| 【発明の名称】 |
化学物質検出方法及び装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】丸尾 和幸
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| 【要約】 |
【課題】大気中に存在する環境汚染物質などの化学物質を同定し或いはその濃度を測定する化学物質検出方法及び装置に関し、ダイオキシンなど不純物粒子に付着した形で発生する化学物質を含め、種々の化学物質を高感度で且つリアルタイムに測定しうる化学物質検出方法及び装置を提供する。
【解決手段】不純物に付着した検出対象物質を分解し、検査対象物質に特有な化学物質を不純物から脱離させる化学物質分解手段10と、化学物質を検出する化学物質検出手段30と、化学物質を化学物質検出手段30に選択的に導入するフィルタ50とを有し、化学物質の検出結果に基づいて検査対象物質を間接的に検出する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 不純物に付着した検出対象物質を分解し、前記検査対象物質に特有な化学物質を前記不純物から脱離させる化学物質分解手段と、前記化学物質を検出する化学物質検出手段と、前記化学物質を前記化学物質検出手段に選択的に導入するフィルタとを有し、前記化学物質の検出結果に基づいて前記検査対象物質を間接的に検出することを特徴とする化学物質検出装置。 【請求項2】 不純物に付着した検出対象物質を分解し、前記検査対象物質に特有な化学物質を前記不純物から脱離させる化学物質分解手段と、前記化学物質を検出する化学物質検出手段とを有し、前記化学物質の検出結果に基づいて前記検査対象物質を間接的に検出することを特徴とする化学物質検出装置。 【請求項3】 請求項1又は2記載の化学物質検出装置において、前記化学物質分解手段は、前記検出対象物質に紫外線を照射するための紫外線発生装置であることを特徴とする化学物質検出装置。 【請求項4】 請求項1又は2記載の化学物質検出装置において、前記化学物質分解手段は、前記検出対象物質をプラズマに曝すためのプラズマ発生装置であることを特徴とする化学物質検出装置。 【請求項5】 請求項4記載の化学物質検出装置において、前記プラズマ発生装置は、高圧の電圧パルスによりプラズマを発生することを特徴とする化学物質検出装置。 【請求項6】 請求項4記載の化学物質検出装置において、前記プラズマ発生装置は、マイクロ波によりプラズマを発生することを特徴とする化学物質検出装置。 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の化学物質検出装置において、前記化学物質検出手段は、前記化学物質を含む雰囲気に赤外線を照射する赤外光源と、前記雰囲気から出射された前記赤外線を検出する赤外線検出器とを有し、検出された前記赤外線の吸光量に基づいて前記化学物質を検出することを特徴とする化学物質検出装置。 【請求項8】 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の化学物質検出装置において、前記化学物質検出手段は、前記化学物質を付着させる赤外透過基板と、前記赤外透過基板に赤外線を入射する赤外光源と、前記赤外透過基板内部を多重反射した後に前記赤外透過基板より出射される前記赤外線を検出する赤外線検出器とを有し、検出された前記赤外線の吸光量に基づいて前記化学物質を検出することを特徴とする化学物質検出装置。 【請求項9】 請求項8記載の化学物質検出装置において、前記赤外透過基板に紫外線を照射することにより前記赤外透過基板の表面を洗浄する紫外線照射装置を更に有することを特徴とする化学物質検出装置。 【請求項10】 請求項7乃至9のいずれか1項に記載の化学物質検出装置において、前記化学物質検出手段は、前記赤外線検出器により検出された前記赤外線を分光分析する分光分析器を更に有し、前記化学物質の種類を同定し及び/又は前記化学物質の量を定量化することを特徴とする化学物質検出装置。 【請求項11】 不純物に付着した検出対象物質を分解し、前記検査対象物質に特有な化学物質を前記不純物から脱離させ、脱離した前記化学物質を検出し、前記化学物質の検出結果に基づいて前記検査対象物質を間接的に検出することを特徴とする化学物質検出方法。 【請求項12】 請求項11記載の化学物質検出方法において、脱離した前記化学物質を前記不純物から分離した後に検出することを特徴とする化学物質検出方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、大気中に存在する環境汚染物質などの化学物質を同定し或いはその濃度を測定する化学物質検出方法及び装置に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、ダイオキシン類による環境汚染の問題など、大気中の微量な化学物質に起因する環境汚染が関心を集めている。このため、大気中の微量な化学物質を検出し、物質同定、濃度測定を行う、いわゆる環境モニタシステムの必要性が高まっている。 【0003】大気中に存在する化学物質を測定する従来の方法としては、TENAXなどの多孔質物質に測定気体を吸着させ、これを熱して吸着した化学物質を放出し、質量分析計によって化学物質成分の同定・定量化を行う方法(加熱脱離GC−MS:Gas Chromatography-Mass Spectroscopy)などが用いられている。 【0004】また、大気中の化学物質を測定する他の方法として、測定気体に赤外線を照射し、吸収スペクトルを分光分析する、いわゆるFT−IR(Fourier TransformInfrared Spectroscopy)がある。赤外線の吸収スペクトルは物質に固有なため、赤外吸収スペクトルを解析することにより、測定気体中の化学物質を同定し、濃度を定量化することができる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、加熱脱離GC−MSを用いた従来の方法は、測定に数十時間を要するため、測定のリアルタイム性に欠けるものであった。また、GC−MS投入用のカラム作成作業は研究室などで行う必要があり、環境をその場測定することができず、測定結果を環境管理にフィードバックすることが困難であった。 【0006】また、ダイオキシンなどの一定の化学物質は、ゴミ焼却場から排出される煙などの不純物粒子に付着した形で発生するため、これら化学物質の検出にGC−MSを利用する場合、煙を集塵し、これに硫酸処理などの化学的処理を繰り返して適用した後に質量分析にかけるという煩雑な処理が必要であった。 【0007】また、FT−IRを用いた測定では、煙粒子が赤外線を吸収、或いは、乱反射してしまい、目的の化学物質のスペクトルが正しく或いは高感度に得られないことがあった。 【0008】本発明の目的は、ダイオキシンなど不純物粒子に付着した形で発生する化学物質を含め、種々の化学物質を高感度で且つリアルタイムに測定しうる化学物質検出方法及び装置を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記目的は、不純物に付着した検出対象物質を分解し、前記検査対象物質に特有な化学物質を前記不純物から脱離させる化学物質分解手段と、前記化学物質を検出する化学物質検出手段と、前記化学物質を前記化学物質検出手段に選択的に導入するフィルタとを有し、前記化学物質の検出結果に基づいて前記検査対象物質を間接的に検出することを特徴とする化学物質検出装置によって達成される。 【0010】また、上記目的は、不純物に付着した検出対象物質を分解し、前記検査対象物質に特有な化学物質を前記不純物から脱離させる化学物質分解手段と、前記化学物質を検出する化学物質検出手段とを有し、前記化学物質の検出結果に基づいて前記検査対象物質を間接的に検出することを特徴とする化学物質検出装置によっても達成される。 【0011】また、上記の化学物質検出装置において、前記化学物質分解手段は、前記検出対象物質に紫外線を照射するための紫外線発生装置であってもよい。 【0012】また、上記の化学物質検出装置において、前記化学物質分解手段は、前記検出対象物質をプラズマに曝すためのプラズマ発生装置であってもよい。 【0013】また、上記の化学物質検出装置において、前記プラズマ発生装置は、高圧の電圧パルスによりプラズマを発生するようにしてもよい。 【0014】また、上記の化学物質検出装置において、前記プラズマ発生装置は、マイクロ波によりプラズマを発生するようにしてもよい。 【0015】また、上記の化学物質検出装置において、前記化学物質検出手段は、前記化学物質を含む雰囲気に赤外線を照射する赤外光源と、前記雰囲気から出射された前記赤外線を検出する赤外線検出器とを有し、検出された前記赤外線の吸光量に基づいて前記化学物質を検出するようにしてもよい。 【0016】また、上記の化学物質検出装置において、前記化学物質検出手段は、前記化学物質を付着させる赤外透過基板と、前記赤外透過基板に赤外線を入射する赤外光源と、前記赤外透過基板内部を多重反射した後に前記赤外透過基板より出射される前記赤外線を検出する赤外線検出器とを有し、検出された前記赤外線の吸光量に基づいて前記化学物質を検出するようにしてもよい。 【0017】また、上記の化学物質検出装置において、前記赤外透過基板に紫外線を照射することにより前記赤外透過基板の表面を洗浄する紫外線照射装置を更に有するようにしてもよい。 【0018】また、上記の化学物質検出装置において、前記化学物質検出手段は、前記赤外線検出器により検出された前記赤外線を分光分析する分光分析器を更に有し、前記化学物質の種類を同定し及び/又は前記化学物質の量を定量化するようにしてもよい。 【0019】また、上記目的は、不純物に付着した検出対象物質を分解し、前記検査対象物質に特有な化学物質を前記不純物から脱離させ、脱離した前記化学物質を検出し、前記化学物質の検出結果に基づいて前記検査対象物質を間接的に検出することを特徴とする化学物質検出方法によっても達成される。 【0020】また、上記の化学物質検出方法において、脱離した前記化学物質を前記不純物から分離した後に検出するようにしてもよい。 【0021】 【発明の実施の形態】[本発明の原理]本発明による化学物質検出方法及び装置の原理について図1乃至図4を用いて説明する。 【0022】図1は本発明による化学物質検出方法及び装置の原理を示す概略図、図2はプラズマ発生装置の一例を示す図、図3はフーリエ変換赤外分光装置の一例を示す図、図4はクロロフェノールによる赤外線吸収スペクトルを示すグラフである。 【0023】図1に示すように、本発明による化学物質検出装置は、不純物に付着した検出対象物質を分解して検出対象物質から特定の化学物質を脱離させる化学物質分解手段10と、このように脱離した当該特定の化学物質を選択するフィルタ50と、フィルタ50を透過した当該特定の化学物質を検出し、検出した当該特定の化学物質の量に基づいて、不純物に付着した検出対象物質の量を算出する化学物質検出手段30と、を有することに主たる特徴がある。 【0024】以下、本発明による化学物質検出方法及び装置の各構成部分について個々に詳述する。なお、以下の説明では、ゴミ焼却場などにおいて発生するダイオキシンを検出する場合を例に本発明を説明する。但し、本発明による化学物質検出方法及び装置により測定可能な化学物質はダイオキシンに限られるものではなく、他の環境汚染物質、例えば、構造式【0025】 【化1】
【0026】で示されるポリクロロジベンゾフラン(PCDF)、構造式【0027】 【化2】
【0028】で示されるPCB類などにおいても同様に適用することができる。 【0029】(a)化学物質分解手段10ダイオキシンは、正式にはポリクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン(polychlorodibenzo-p-dioxin)といい、構造式【0030】 【化3】
【0031】で示される構造を有している。構造式[化3]中の1〜4及び6〜9の位置には、最高8個までの塩素原子が入ることが可能で、塩素の総数と位置とによって75個の異性体が存在する。これら異性体を総称してダイオキシン類、或いは、単にダイオキシンと呼んでいる。 【0032】ダイオキシン類は、主にゴミ焼却場の焼却灰として発生し、多くは焼却場から発生する煙粒子に付着した形で排出される。煙粒子はその分子量が106〜108ほどであるの対し、ダイオキシン類の分子量は300程度であるので、ダイオキシン類を正確に定量化するには煙分子から分離することが望ましい。 【0033】ダイオキシン類は単体で固体結晶であるので、この構造を保持したまま煙粒子から分離して測定に供するのは困難である。しかし、ダイオキシンに高エネルギーを加えることにより、反応式【0034】 【化4】
【0035】で示される分解反応や、反応式【0036】 【化5】
【0037】で示される分解反応が生ずることが知られている。 【0038】[化4]で示される反応は、ダイオキシンに紫外線を照射することにより生ずるものであり、紫外線の照射によってダイオキシンから塩素が脱離する。したがって、脱離した塩素を検出することにより、間接的にダイオキシンを検出することが可能となる。 【0039】反応式[化4]で示される反応を発生させるための化学物質分解手段としては、煙粒子に紫外線を照射する紫外線照射光源を適用することができる。紫外線照射光源としては、ダイオキシンの塩素の結合エネルギーよりも大きなエネルギーを有する光源を適用する。例えば、Xe(キセノン)エキシマ光、185nmと254nmの発光波長を有する低圧水銀灯、172nmの発光波長を有する誘電体バリア放電エキシマランプなどの紫外線光源を適用することができる。このようなエネルギーを有する光の照射により、C−Cl結合を解離し、煙粒子に付着しているダイオキシンから塩素ガスを分離することができる。 【0040】また、反応式[化5]で示される反応は、ダイオキシンにプラズマのエネルギーを与えることにより生ずるものであり、煙粒子をプラズマに曝すことによってダイオキシンが分解してクロロフェノールという物質が発生する。クロロフェノールは常温では液体であるが沸点が175℃であり、プラズマ環境では気化して煙粒子から脱離する。したがって、脱離したクロロフェノールを検出することにより、間接的にダイオキシンを検出することが可能となる。 【0041】ダイオキシンにプラズマのエネルギーを与えて反応式[化5]で示される反応を発生させるための化学物質分解手段10としては、例えば、図2に示すようなプラズマ発生装置を適用することができる。なお、プラズマとは、自由に動きうる電子とイオンとが十分に存在し、巨視的には電荷の総和が零であるような気体のことである。プラズマは、原子に束縛されていた電子がエネルギーを得て電離することによって発生するため、基本的に高い温度(電子温度、イオン温度、気体温度)をもっている。したがって、核融合、レーザー、化学的活性化など、さまざまなエネルギー源として応用されている。 【0042】本発明においては、空気中の窒素や酸素をプラズマ化してこのエネルギーで不純物中の化学物質を分解・脱離する。例えば、図2に示すように、対向する平板電極20、22を設け、電極20、22間に接続された高電圧交流電源24によって高電圧交流電界を印加することにより、これら電極間にプラズマ26を発生させることができる。発生するプラズマのエネルギーは、電源電圧、電極間距離などのパラメータによって決定される。 【0043】プラズマを発生させる方法・装置は多数存在するが、大気圧(1気圧)程度の気体中で比較的容易に発生させるには、上述のような高電圧交流電源を使用する方法やマイクロ波を使用する方法が好ましい。本発明においてはいずれの方法をも適用することができる。 【0044】(b)化学物質検出手段30化学物質検出手段30は、ダイオキシンから分離された特定の化学物質、例えば塩素やクロロフェノールを検出し、この濃度からダイオキシンの濃度を算出するものである。 【0045】化学物質を検出する手段には、前述のGC−MSガスクロマトグラフィーをはじめとする様々な手段が考えられるが、測定のリアルタイム性等を考慮すると、赤外線を用いた検出方法を用いるのが望ましい。そこで、本発明では、赤外光の吸収スペクトルを解析して特定の物質を検出するフーリエ変換赤外分光法(Fourier Transform Infrared Spectroscoopy:FT−IR)を利用する。 【0046】FT−IRは、原理的には図3に示すように、検出対象気体に赤外線を照射する赤外光源32と、検出対象気体を通過した赤外線を検出して分光分析する分光分析器34とによって実現される。特定の化学物質が混入した検出対象気体中に赤外線を入射すると、その物質が赤外線を吸収し、出力光に吸収スペクトルが発生する。この吸収スペクトルは照射された化学物質によって固有である。したがって、検出対象気体に赤外線を照射し、出力光を分光し、吸収スペクトルを分析することにより、検出対象気体の中に特定の化学物質があるかどうかを判断することができる。 【0047】例えば、ダイオキシンが分解して生ずるクロロフェノールは、構造式【0048】 【化6】
【0049】で表されるが、これに赤外線を照射すると図4に示すような吸収スペクトルが得られる。その逆に、ゴミ焼却場からの焼却灰をプラズマに曝した気体に赤外線を照射して得られた吸収スペクトルが図4のようになれば、もとの焼却灰はダイオキシンを含んでいると判断することが可能となる。 【0050】また、赤外線を検出対象気体に直接照射する方法のほか、検出対象気体中に曝露した赤外透過結晶基板内に赤外線を入射し、この基板中を多重内部反射させ、基板から出射した光を検出・分光分析する検出方法を用いてもよい。このような検出手法については、例えば、特願平11−231495号明細書に詳述されている。多重内部反射FT−IRを用いることにより、気体中に直接赤外線を照射するよりも高い感度で特定の化学物質を検出することができる。 【0051】なお、FT−IRによれば、上述のように特定の化学物質の量を検出することが可能なほか、化学物質の種類を同定し或いはその量を算出することもできる。FT−IRを用いた物質の同定や定量化については、例えば、特願平11−95853号明細書、特願平11−231495号明細書等に詳述されている。また、FT−IRについては、例えば田隈三生編著「FT−IRの基礎と実際 第2版」(東京化学同人)に詳述されている。 【0052】(c)フィルタ50前述の通り、煙粒子はその分子量が106〜108ほどであるの対し、ダイオキシン類の分子量は300程度である。したがって、煙粒子に直接赤外線を照射した場合、ほとんどの赤外線を煙粒子が吸収してしまい、ダイオキシンの吸収スペクトルを観察することができなくなる虞がある。したがって、ダイオキシンを感度よく測定するためには、ダイオキシンから分離した特定の化学物質(例えば、クロロフェノール)を煙分子から分離した後に測定することが望ましい。 【0053】煙分子からダイオキシンから分離した特定の化学物質を分離する手段として、図1に示すように、化学物質分解手段10と化学物質検出手段30との間に、フィルタ50を設けることが有効である。 【0054】化学物質分解手段10を設置する分解室12と化学物質検出手段30を設置する検出室14とをフィルタ50によって仕切り、検出室14に対して分解室12を陽圧にし、或いは、分解室12に対して検出室14を陰圧にすることにより、分解室12の気体がフィルタ50を通って検出室14側に流れる。したがって、フィルタ50として、煙粒子のような分子量がきわめて大きな粒子を通さず、クロロフェノールのような分子量の小さな粒子を通す物質を適用する。一般的に煙粒子は直径が1μm以上あるので、例えばメッシュ粗さが1μmの撥油性の防塵マスクなどに使われているようなフィルタを適用する。これにより、ダイオキシンから分離された特定の化学物質のみを検出室14に選択的に導入することができる。なお、検出室14に対して分解室12を陽圧にするには、例えば検出室12内に焼却ガスを導入する検査対象導入手段16を設ければよく、また、分解室12に対して検出室14を陰圧にするには、例えば検出室14内のガスを排出する排気手段18を設ければよい。 【0055】なお、ダイオキシンの検出感度を高めるためにはフィルタ50を設けることが望ましいが、煙粒子による赤外線の吸収が少ないなど、ダイオキシンから分離した特定の化学物質による赤外吸収スペクトルを十分に得ることができる場合には、必ずしもフィルタ50を設ける必要はない。 【0056】[第1実施形態]本発明の第1実施形態による化学物質検出方法及び装置について図5を用いて説明する。図5は本実施形態による化学物質測定方法及び装置を示す概略図である。 【0057】はじめに、本実施形態による化学物質測定装置について図5を用いて説明する。 【0058】本実施形態による化学物質測定装置は、ゴミ焼却灰や焼却ガスなどの不純物に含まれる測定対象物質(例えばダイオキシン)を分解して特定の化学物質(例えば塩素)を脱離させる分解室12と、焼却ガスに含まれる測定対象物質を分解して得られた特定の化学物質を検出する検出室14とを有し、分解室12と検出室14との間が、煙粒子のような分子量の大きな物質を遮るフィルタ50により仕切られている。 【0059】分解室12には、検査対象であるゴミ焼却灰や焼却ガスなどの不純物を導入する検査対象導入手段16が設けられている。分解室12内には、測定対象物質を分解して特定の化学物質を脱離させるための紫外線光源28が設けられている。 【0060】検出室14内には、赤外光源32と、分光分析器34とを有し、焼却ガスに含まれる測定対象物質を分解して得られた特定の化学物質を検出するためのフーリエ変換赤外分光装置が設けられている。検出室14には、また、検出室内のガスを排出する排気手段18が設けられている。 【0061】このように、本実施形態による化学物質検出装置は、ダイオキシンなどの検査対象物質を分解して特定の化学物質を脱離させる化学物質分解手段として紫外線光源28を適用し、検査対象物質から脱離した特定の化学物質を検出する化学物質検出手段としてフーリエ変換赤外分光装置を適用したものである。 【0062】このようにして化学物質検出装置を構成することにより、煙粒子に吸着されたダイオキシンは、紫外線光源28から出射された紫外線に曝されて[化4]の分解反応によって塩素を発生する。したがって、このように発生した塩素の量をフーリエ変換赤外分光装置により検出することで、塩素の発生源であるダイオキシンの量を測定することができる。 【0063】また、フーリエ変換赤外分光装置を化学物質検出手段として適用することにより、測定対象物質が不明な場合にも、その物質を同定し或いはその量を算出することが可能である。 【0064】次に、本実施形態による化学物質測定方法について説明する。 【0065】まず、検査対象であるゴミ焼却灰や焼却ガスなどの不純物を、検査対象導入手段16により分解室12に導入する。 【0066】次いで、紫外線光源28から紫外線を発生し、分解室12内に導入されたゴミ焼却灰或いは焼却ガスに照射する。これにより、ゴミ焼却灰或いは焼却ガスなどに付着したダイオキシンが[化4]の分解反応にしたがって分解され、塩素が発生する。 【0067】このとき、検出室14に対して分解室12を陽圧にし、或いは、分解室12に対して検出室14を陰圧にすることにより、分解室12の気体がフィルタ50を通って検出室14側に流れる。ところが、フィルタ50は、煙粒子のような分子量がきわめて大きな粒子を通さず、塩素のような分子量の小さな粒子のみを通すので、ダイオキシンから分離された塩素を煙粒子に対して選択的に検出室14に導入することができる。 【0068】次いで、フーリエ変換赤外分光装置により、検出室14内の不純物の分析を行う。分光装置の赤外光源32から発せられた赤外線はダイオキシンより発生した塩素によって特定波長域において吸収される。したがって、検出室14内を通過した赤外線の赤外吸収スペクトルを分析することにより、塩素の量を検出することができ、その結果、塩素の発生源であるダイオキシンの有無或いはダイオキシンの量を算定することができる。 【0069】この際、検出室14内には分子量の大きな煙粒子は存在しないので、煙粒子による検出感度の劣化は生じない。 【0070】このように、本実施形態によれば、煙粒子に吸着しているダイオキシンを分解し、これによって発生される特有の化学物質を選択的に検出系に導入して検出し、これによってダイオキシンを間接的に検出するので、煙粒子の影響を受けることなく高感度でダイオキシンを検出することができる。 【0071】また、FT−IRを用いた検出系は、測定にリアルタイム性があるので、従来のGC−MSを用いた測定方法と比較して検出時間を大幅に短縮することができる。代表的な測定例で示すと、従来の測定方法では1ヶ月程度の測定時間が必要であるのに対し、本発明によれば10分程度の測定時間でダイオキシンの検出を行うことができる。 【0072】なお、上記実施形態では化学物質分解装置として紫外線光源28を用いたが、例えば図2に示すようなプラズマ発生装置を用いてもよい。 【0073】また、上記実施形態では、赤外光源32及び分光分析器34をともに検出室14内に載置しているが、赤外光源32及び/又は分光分析器34を検出室14外に配置し、赤外光源32から出射された赤外線を赤外線透過窓を通して検出室14内に導入し、或いは、赤外線透過窓を通して検出室14内から赤外線を出射して分光分析器34に導入するようにしてもよい。 【0074】また、上記実施形態では、分光分析器を用いて赤外線を分析したが、必ずしも分光分析器を設ける必要はない。例えば、検出する化学物質の赤外線吸収帯域が明らかな場合、当該吸収帯域の赤外線を選択的に検出するようにすれば、検出した赤外線の強度によって当該化学物質の量を定量化することができる。 【0075】[第2実施形態]本発明の第2実施形態による化学物質測定方法及び装置について図6を用いて説明する。図5に示す第1実施形態による化学物質測定方法及び装置と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡略にする。図6は本実施形態による化学物質測定方法及び装置を示す概略図である。 【0076】図6に示すように、本実施形態による化学物質測定方法は、図5に示す第1実施形態による化学物質測定装置の分解室12と検出室14との間に、フィルタ50を設けていないことに特徴がある。 【0077】フィルタ50は、検出室14内に分子量の大きな煙粒子が導入されるのを抑止し、測定光である赤外線が煙粒子により吸収されて検出感度が低下することを防止するためのものであるが、煙粒子による赤外線の吸収が少ないなど、ダイオキシンから分離した塩素による赤外吸収スペクトルを十分に得ることができる場合には必ずしもフィルタ50を設ける必要はない。このように化学物質測定装置を構成することにより、装置構成を簡略にすることができる。 【0078】このように、本実施形態によれば、分解室12と検出室14とをフィルタ50により仕切る必要がないので、装置構成を簡略にすることができる。 【0079】[第3実施形態]本発明の第3実施形態による化学物質測定方法及び装置について図7を用いて説明する。図7は本実施形態による化学物質測定方法及び装置を示す概略図である。 【0080】はじめに、本実施形態による化学物質測定装置について図7を用いて説明する。 【0081】本実施形態による化学物質測定装置は、ゴミ焼却灰や焼却ガスなどの不純物に含まれる測定対象物質(例えばダイオキシン)を分解して特定の化学物質(例えばクロロフェノール)を脱離させる分解室12と、焼却ガスに含まれる測定対象物質を分解して得られた特定の化学物質を検出する検出室14とを有し、分解室12と検出室14との間が、煙粒子のような分子量の大きな物質を遮るフィルタ50により仕切られている。 【0082】分解室12には、検査対象であるゴミ焼却灰や焼却ガスなどの不純物を導入する検査対象導入手段16が設けられている。分解室12内には、ゴミ焼却灰や焼却ガスに含まれる測定対象物質を分解して特定の化学物質を脱離させるためのプラズマを発生するプラズマ発生装置が設けられている。プラズマ発生装置は、対向して配置された一対の電極20、22により構成され、これら電極20、22間には高電圧交流電源24が接続されている。 【0083】検出室14には、赤外光源32と、分光分析器34とを有し、焼却ガスに含まれる測定対象物質を分解して得られた特定の化学物質を検出するためのフーリエ変換赤外分光装置が設けられている。検出室14には、また、検出室14内のガスを排出する排気手段18が設けられている。 【0084】このように、本実施形態による化学物質検出装置は、ダイオキシンなどの検査対象物質を分解して特定の化学物質を脱離させる化学物質分解手段としてプラズマ発生装置を適用し、検査対象物質から脱離した特定の化学物質を検出する化学物質検出手段としてフーリエ変換赤外分光装置を適用したものである。 【0085】このようにして化学物質検出装置を構成することにより、煙粒子に吸着されたダイオキシンは、プラズマ発生装置により発生されたプラズマに曝されて[化5]の分解反応によってクロロフェノールを発生する。したがって、このように発生したクロロフェノールの量をフーリエ変換赤外分光装置により検出することで、クロロフェノールの発生源であるダイオキシンの有無或いはダイオキシンの量を測定することができる。 【0086】また、フーリエ変換赤外分光装置を化学物質検出手段として適用することにより、測定対象物質が不明な場合にも、その物質を同定し或いはその量を算出することが可能である。 【0087】次に、本実施形態による化学物質測定方法について説明する。 【0088】まず、検査対象であるゴミ焼却灰や焼却ガスなどの不純物を、検査対象導入手段に16より分解室12に導入する。 【0089】次いで、プラズマ発生装置により、分解室12内にプラズマ26を発生させる。例えば、実効電圧10kV、周波数1kHzの交流電圧を電極20、22間に印加することにより、大気圧においても放電が起こり、プラズマ26が発生する。これにより、ゴミ焼却灰或いは焼却ガスなどに付着したダイオキシンが[化5]の分解反応にしたがって分解され、クロロフェノールが発生される。 【0090】このとき、検出室14に対して分解室12を陽圧にし、或いは、分解室12に対して検出室14を陰圧にすることにより、分解室12の気体がフィルタ50を通って検出室側に流れる。ところが、フィルタ50は、煙粒子のような分子量がきわめて大きな粒子を通さず、クロロフェノールのような分子量の小さな粒子のみを通すので、ダイオキシンから分離されたクロロフェノールを煙粒子に対して選択的に検出室14に導入することができる。 【0091】次いで、フーリエ変換赤外分光装置により、検出室14内の不純物の分析を行う。分光装置の赤外光源32から発せられた赤外線はダイオキシンより発生したクロロフェノールによって特定波長域において吸収される。したがって、赤外吸収スペクトルを分析することにより、クロロフェノールの量を検出することができ、その結果、クロロフェノールの発生源であるダイオキシンの量を算定することができる。 【0092】この際、検出室14内には分子量の大きな煙粒子は存在しないので、煙粒子による検出感度の劣化は生じない。 【0093】このように、本実施形態によれば、煙粒子に吸着しているダイオキシンを分解し、これによって発生される特有の化学物質を選択的に検出系に導入して検出し、これによってダイオキシンを間接的に検出するので、煙粒子の影響を受けることなく高感度でダイオキシンを検出することができる。 【0094】また、FT−IRを用いた検出系は、測定にリアルタイム性があるので、従来のGC−MSを用いた測定方法と比較して検出時間を大幅に短縮することができる。代表的な測定例で示すと、従来の測定方法では1ヶ月程度の測定時間が必要であるのに対し、本発明によれば10分程度の測定時間でダイオキシンの検出を行うことができる。 【0095】なお、上記実施形態では化学物質分解装置として図2に示すようなプラズマ発生装置を用いたが、第1実施形態のように紫外線光源28を適用してもよい。また、他のプラズマ発生装置を適用することもできる。 【0096】[第4実施形態]本発明の第4実施形態による化学物質測定方法及び装置について図8を用いて説明する。図7に示す第3実施形態による化学物質測定方法及び装置と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡略にする。図8は本実施形態による化学物質測定方法及び装置を示す概略図である。 【0097】図8に示すように、本実施形態による化学物質測定方法は、図7に示す第3実施形態による化学物質測定装置の分解室12と検出室14との間に、フィルタ50を設けていないことに特徴がある。 【0098】フィルタ50は、検出室14内に分子量の大きな煙粒子が導入されるのを抑止し、測定光である赤外線が煙粒子により吸収されて検出感度が低下することを防止するためのものであるが、煙粒子による赤外線の吸収が少ないなど、ダイオキシンから分離した塩素による赤外吸収スペクトルを十分に得ることができる場合には必ずしもフィルタ50を設ける必要はない。このように化学物質測定装置を構成することにより、装置構成を簡略にすることができる。 【0099】このように、本実施形態によれば、分解室12と検出室14とをフィルタ50により仕切る必要がないので、装置構成を簡略にすることができる。 【0100】[第5実施形態]本発明の第5実施形態による化学物質測定方法及び装置について図9を用いて説明する。図9は本実施形態による化学物質測定方法及び装置を示す概略図である。 【0101】はじめに、本実施形態による化学物質測定装置について図9を用いて説明する。 【0102】〔1〕 化学物質測定装置の全体構成本実施形態による化学物質測定装置は、ゴミ焼却灰や焼却ガスなどの不純物に含まれる測定対象物質(例えばダイオキシン)を分解して特定の化学物質(例えばクロロフェノール)を脱離させる分解室12と、焼却ガスに含まれる測定対象物質を分解して得られた特定の化学物質を検出する検出室14とを有し、分解室12と検出室14との間が、煙粒子のような分子量の大きな物質を遮るフィルタ50により仕切られている。 【0103】分解室12には、検査対象であるゴミ焼却灰や焼却ガスなどの不純物を導入する検査対象導入手段16が設けられている。分解室12内には、ゴミ焼却灰や焼却ガスに含まれる測定対象物質を分解して特定の化学物質を脱離させるためのプラズマを発生するプラズマ発生装置が設けられている。プラズマ発生装置は、対向して配置された一対の電極20、22により構成され、これら電極20、22間には高電圧交流電源24が接続されている。 【0104】検出室14には、検出室14内に導入された化学物質を吸着して測定に供するための赤外透過基板40と、赤外透過基板40表面に付着した物質を除去して表面状態を初期化するための紫外線光源42と、赤外透過基板40内に赤外線を入射して多重内部反射させるための赤外光源32と、赤外透過基板40内部を多重反射した後に出射した透過赤外線を分光分析して赤外透過基板40に付着した化学物質を検出する分光分析器34が設けられている。検出室14には、また、検出室14内のガスを排出する排気手段18が設けられている。 【0105】このように、本実施形態による化学物質検出装置は、ダイオキシンなどの検査対象物質を分解して特定の化学物質を脱離させる化学物質分解手段としてプラズマ発生装置を適用し、検査対象物質から脱離した特定の化学物質を検出する化学物質検出手段として多重内部反射FT−IR装置を適用したものである。 【0106】このようにして化学物質検出手段を構成することにより、検出室14内に導入された化学物質の検出感度を大幅に高めることができる。 【0107】以下、多重内部反射FT−IRを適用した化学物質検出手段の各構成部分について説明する。なお、化学物質検出手段の各構成部分については、例えば、特願平11−95853号明細書、特願平11−231495号明細書に詳述されている。本発明による化学物質検出装置には、これら明細書に記載の種々の構成部分を適用することが可能である。 【0108】(a) 赤外透過基板40赤外透過基板40は、前述の通り、測定対象である化学物質を吸着して測定に供するためのものであり、被測定対象物質の分子振動に対応する波長域の光を透過する材料であることが必要である。代表的な汚染物質である有機物質の基本振動に対応する波数域は、500cm-1(波長20μm)〜5000cm-1(波長2μm)程度の赤外・近赤外域である。したがって、赤外透過基板40を構成する材料はこれら波数域(波長域)の光を透過しうる赤外透過物質群のなかから選択する。例えば、セレン化亜鉛(ZnSe)は、透過波長域が約0.6〜13μm程度ときわめて広い赤外透過波長域を有しており、赤外透過基板40を構成する一材料として選択することができる。 【0109】赤外透過基板40の形状は、例えば図9に示すように、端面の傾きを45°に設定することが望ましい。こうすることで、赤外透過基板40内部への赤外線の入射効率を高めることができるとともに、赤外線を赤外透過基板40内部で多重反射させることができる。また、特願平11−95853号明細書に示されているように、300mmシリコンウェーハのような端部形状を有する基板を適用することもできる。 【0110】赤外透過基板40を構成しうる他の材料としては、例えば、砒化ガリウム(GaAs:透過波長域1.0〜18μm)、シリコン(Si:透過波長域1.2〜6μm)、臭化カリウム(KBr:透過波長域0.4〜22μm)、塩化カリウム(KCl:透過波長域0.3〜15μm)、フッ化バリウム(BaF2:透過波長域0.2〜5μm)、臭化セシウム(CsBr:透過波長域0.5〜30μm)、ゲルマニウム(Ge:透過波長域2〜18μm)、フッ化リチウム(LiF:透過波長域0.2〜5μm)、フッ化カルシウム(CaF2:透過波長域0.2〜8μm)、サファイア(Al2O3:透過波長域0.3〜5μm)、ヨウ化セシウム(CsI:透過波長域0.5〜28μm)、フッ化マグネシウム(MgF2:透過波長域0.2〜6μm)、臭化タリウム(KRS−5:透過波長域0.6〜28μm)、硫化亜鉛(ZnS:透過波長域0.7〜11μm)などがある。 【0111】(b) 赤外光源32赤外光源32としては、有機分子の分子振動に対応する2〜25μm帯域の赤外線を発する光源を適用することができる。例えば、フィラメントとしてのシリコンカーバイド(SiC)やニクロム線に電流を印加して発する熱線を光源として用いることができる。SiCグローバ灯などのSiCを用いた光源は、1.1〜25μm帯域の赤外線を発し、且つ、空気中でむき出しで使用しても焼損がないという特徴がある。 【0112】また、光源の効率を高め、赤外光の強度を大きくするために適当な形状の反射板を設けてもよい。例えば、同一出願人による特願平11−95853号明細書に記載の種々の赤外光源を適用することができる。 【0113】(c) 分光分析器34赤外透過基板40内部に入射した赤外線が多重内部反射するとき、基板表面で光線が反射するときに滲み出る光(エヴァネッセント光)の周波数成分が基板表面の汚染物質の分子振動周波数と一致していると共鳴吸収される。したがって、入射赤外線を赤外透過基板40の内部で多重反射させることで、その赤外線には基板表面状態の情報が反映される。赤外透過基板40から出射した赤外線の赤外吸収スペクトルを分析することにより、有機汚染物質の種類と量を特定することができる。 【0114】図4はクロロフェノールが付着した赤外透過基板40において多重内部反射した後に検出された赤外線をフーリエ変換分光して得られた吸光スペクトルを示すグラフである。図示するように、特定の有機汚染物質の分子振動に対応する波数域にピークが観察されることでクロロフェノールであると特定することができ、また、ピーク強度からその付着量を算出することができる。なお、クロロフェノールの場合、赤外透過基板40の表面におよそ5×1011分子/cm2以上付着した場合に、図4に示すような吸光スペクトルとして検出することができた。 【0115】なお、、FT−IR装置の代わりに回折格子(グレーティング)による赤外分光計を用いてもよい。 【0116】(d) 紫外線光源42本発明による化学物質検出装置は赤外透過基板40の表面に吸着された化学物質の同定と定量化を行うことでゴミ焼却灰や焼却ガスなどの環境雰囲気中の汚染物質を測定するものであるが、赤外透過基板40に吸着される汚染物質の量は時間の経過によって飽和する。このため、大気中の汚染物質濃度の変化を長い時間にわたって調査する必要があるときは、赤外透過基板40の表面に付着した汚染物質を定期的に除去する洗浄工程が必要となる。 【0117】本実施形態による化学物質検出装置では、基板に吸着した化学物質の洗浄手段として紫外線光源42を設けている。紫外線光源42は、赤外透過基板40の表面に付着した化学物質を解離・蒸発させるためのものであり、付着した化学物質の結合エネルギーよりも大きなエネルギーを有する光を発生する光源とする。例えば、Xe(キセノン)エキシマ光、185nmと254nmの発光波長を有する低圧水銀灯、172nmの発光波長を有する誘電体バリア放電エキシマランプなどの紫外線光源を適用することができる。このようなエネルギーを有する光の照射により、C−C、C−H、C−Oなどの有機汚染物質の結合を解離し、赤外透過基板10の表面から除去或いは蒸発させることができる。 【0118】なお、紫外線光源42に付随的な構成として、紫外線光源42から発せられた紫外光を効率よく赤外透過基板40に照射するための反射鏡(図示せず)を設けてもよい。例えば、特願平11−231495号明細書に記載のような断面形状が楕円である反射鏡を適用することで、紫外線光源42から発せられた紫外光を効率よく赤外透過基板40の両面に照射することができる。 【0119】また、化学物質の除去には、他の化学的・物理的除去方法を用いてもよい。なお、本実施形態による化学物質検出装置では赤外透過基板40の上面と下面の両方で反射と吸収が起こるため、基板の両面を洗浄する必要がある。 【0120】(e) 演算・表示手段(図示せず) 分光装置により得られたスペクトルの測定データは、演算・表示手段に送られ、化学物質の特定や量の算出が行われる。 【0121】化学物質の種類と検量線は別途データベースとして演算・表示手段の記憶部に蓄えられており、測定データはそれらのデータを参照して定量化される。 【0122】また、演算・表示手段には、赤外透過基板40の表面に吸着した化学物質の量と環境雰囲気中の汚染物質の量との関係がデータベースとして蓄えられており、検出された赤外透過基板40表面の汚染物質の量から環境雰囲気中の汚染物質の濃度を算出することができる。 【0123】このようにして解析された結果は、必要に応じて表示装置(図示せず)に表示することができる。 【0124】〔2〕 化学物質測定方法本実施形態による化学物質測定方法について説明する。 【0125】まず、検査対象であるゴミ焼却灰や焼却ガスなどの不純物を、検査対象導入手段に16より分解室12に導入する。 【0126】次いで、プラズマ発生装置により、分解室12内にプラズマ26を発生させる。例えば、実効電圧10kV、周波数1kHzの交流電圧を電極間20、22に印加することにより、大気圧においても放電が起こり、プラズマ26が発生する。これにより、ゴミ焼却灰或いは焼却ガスなどに付着したダイオキシンが[化5]の分解反応にしたがって分解され、クロロフェノールが発生する。 【0127】このとき、検出室14に対して分解室12を陽圧にし、或いは、分解室12に対して検出室14を陰圧にすることにより、分解室12の気体がフィルタ50を通って検出室14側に流れる。ところが、フィルタ50は、煙粒子のような分子量がきわめて大きな粒子を通さず、クロロフェノールのような分子量の小さな粒子のみを通すので、ダイオキシンから分離されたクロロフェノールを煙粒子に対して選択的に検出室14に導入することができる。 【0128】検出室14に導入されたクロロフェノールは、検出室14内におかれた赤外透過基板40の表面に吸着される。 【0129】次いで、化学物質検出手段により、赤外透過基板に付着したクロロフェノールの定量化を行う。 【0130】まず、赤外光源32から発せられた赤外線を、赤外透過基板40内に入射する。赤外透過基板40内に入射された赤外線は、赤外透過基板40の表裏の表面において多重内部反射されると同時に赤外透過基板40の表面に吸着しているクロロフェノールの情報を累積してプロービングし、赤外透過基板40の外部に出射される。 【0131】次いで、赤外透過基板40から出射された赤外線を、分光分析器34により分光分析した後、図示しない演算・表示手段によってクロロフェノールの定量化を行い、クロロフェノールの量からクロロフェノールの発生源であるダイオキシンの有無或いはダイオキシンの量を算定する。 【0132】この際、検出室14内には分子量の大きな煙粒子は存在しないので、煙粒子による検出感度の劣化は生じない。 【0133】次いで、必要に応じて、紫外線光源42から発せられた紫外線を赤外透過基板40に照射することにより赤外透過基板40の表面に吸着している汚染物質を除去し、基板表面の初期化を行う。 【0134】次いで、必要に応じて上記測定を繰り返し行い、環境雰囲気中の汚染物質の経時変化等を測定する。 【0135】このように、本実施形態によれば、煙粒子に吸着しているダイオキシンを分解し、これによって発生される特有の化学物質を選択的に検出系に導入して検出し、これによってダイオキシンを間接的に検出するので、煙粒子の影響を受けることなく高感度でダイオキシンを検出することができる。 【0136】また、FT−IRを用いた検出系は、測定にリアルタイム性があるので、従来のGC−MSを用いた測定方法と比較して検出時間を大幅に短縮することができる。代表的な測定例で示すと、従来の測定方法では1ヶ月程度の測定時間が必要であるのに対し、本発明によれば10分程度の測定時間でダイオキシンの検出を行うことができる。また、検出系に多重内部反射FT−IRを適用するので、ダイオキシンの検出感度を大幅に向上することができる。 【0137】なお、上記実施形態では化学物質分解装置として図2に示すようなプラズマ発生装置を用いたが、第1実施形態のように紫外線光源28を適用してもよい。また、他のプラズマ発生装置を適用することもできる。 【0138】また、上記実施形態では、分光分析器を用いて赤外線を分析したが、必ずしも分光分析器を設ける必要はない。例えば、検出する化学物質の赤外線吸収帯域が明らかな場合、当該吸収帯域の赤外線を選択的に検出するようにすれば、検出した赤外線の強度によって当該化学物質の量を定量化することができる。 【0139】[第6実施形態]本発明の第6実施形態による化学物質測定方法及び装置について図10を用いて説明する。図9に示す第5実施形態による化学物質測定方法及び装置と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡略にする。図10は本実施形態による化学物質測定方法及び装置を示す概略図である。 【0140】図10に示すように、本実施形態による化学物質測定方法は、図9に示す第5実施形態による化学物質測定装置の分解室12と検出室14との間に、フィルタ50を設けていないことに特徴がある。 【0141】フィルタ50は、検出室14内に分子量の大きな煙粒子が導入されるのを抑止し、測定光である赤外線が煙粒子により吸収されて検出感度が低下することを防止するためのものであるが、煙粒子による赤外線の吸収が少ないなど、ダイオキシンから分離した塩素による赤外吸収スペクトルを十分に得ることができる場合には必ずしもフィルタ50を設ける必要はない。このように化学物質測定装置を構成することにより、装置構成を簡略にすることができる。 【0142】このように、本実施形態によれば、分解室12と検出室14とをフィルタ50により仕切る必要がないので、装置構成を簡略にすることができる。 【0143】 【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、煙粒子に吸着している測定対象物質(例えばダイオキシン)を分解し、これによって発生される特有の化学物質を選択的に検出系に導入して検出し、これによって測定対象物質を間接的に検出するので、煙粒子の影響を受けることなく高感度で測定対象物質を検出することができる。 【0144】また、FT−IRを用いた検出系を適用することによりリアルタイムで測定が可能となるので、従来のGC−MSを用いた測定方法と比較して検出時間を大幅に短縮することができる。また、検出系に多重内部反射FT−IRを適用することにより測定対象物質の検出感度を大幅に向上することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390005175 【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
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| 【出願日】 |
平成12年1月6日(2000.1.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100087479 【弁理士】 【氏名又は名称】北野 好人
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| 【公開番号】 |
特開2001−194306(P2001−194306A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月19日(2001.7.19) |
| 【出願番号】 |
特願2000−963(P2000−963) |
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