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【発明の名称】 圧力センサおよびその製造方法
【発明者】 【氏名】増田 誉

【要約】 【課題】従来よりも少ない接合工程数で製造可能とするとともに、電極ピンの位置決めのための治具およびガラス製の緩衝部材を不要とし、低コストで高品質な圧力センサを実現する。

【解決手段】台座パッケージは、金属性の筒状部材(金属コネクタ6)と、この筒状部材の内側に設置され、導電性を有さない材料からなる位置決め用ガラス4と、筒状部材の内側に位置決め用ガラス4と重なるようにして設置され、位置決め用ガラス4よりも低い温度で軟化しかつ導電性を有さない材料からなるハーメチックシール用ガラス5と、位置決め用ガラス4およびハーメチックシール用ガラス5を貫通する金属製の電極ピン3とを備える。筒状部材と位置決め用ガラス4、および、電極ピン3と位置決め用ガラス4は、それぞれハーメチックシールされている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電極ピンの設けられた台座パッケージに、センサチップを搭載するとともに、このセンサチップを可撓性のダイアフラムを有する金属容器で覆いさらにこの金属容器内に封入オイルを満たした構造の圧力センサにおいて、前記台座パッケージは、金属性の筒状部材と、この筒状部材の内側に設置され、導電性を有さない材料からなる位置決め用部材と、前記筒状部材の内側に前記位置決め用部材と重なるようにして設置され、前記位置決め用部材よりも低い温度で軟化しかつ導電性を有さない材料からなるハーメチックシール用部材と、前記位置決め用部材および前記ハーメチックシール用部材を貫通する金属製の電極ピンとを備え、前記筒状部材と前記位置決め用部材とは、軟化した後に固まった前記ハーメチックシール用部材によってハーメチックシールされ、前記電極ピンと前記位置決め用部材とは、軟化した後に固まった前記ハーメチックシール用部材によってハーメチックシールされていることを特徴とする圧力センサ。
【請求項2】 請求項1において、前記位置決め用部材は、低アルカリガラスまたは無アルカリガラスの何れかからなり、前記ハーメチックシール用部材は、ソーダガラスからなることを特徴とする圧力センサ。
【請求項3】 請求項1において、前記位置決め用部材は、前記ハーメチックシール用部材の一方の面に接して設けられた第1の位置決め用部材と、前記ハーメチックシール用部材の他方の面に接して設けられた第2の位置決め用部材とからなることを特徴とする圧力センサ。
【請求項4】 請求項1において、前記電極ピンの代わりに、リードフレームを用いることを特徴とする圧力センサ。
【請求項5】 電極ピンの設けられた台座パッケージに、センサチップを搭載するとともに、このセンサチップを可撓性のダイアフラムを有する金属容器で覆いさらにこの金属容器内に封入オイルを満たした構造の圧力センサの製造方法において、金属製の筒状部材の内側に、電極ピンを通すための貫通孔が設けられかつ導電性を有さない材料で形成された位置決め用部材をはめ込み、前記筒状部材の内側に、前記位置決め用部材と重ね合わせるようにして、前記貫通孔と対向する位置に貫通孔が設けられて前記位置決め用部材よりも低い温度で軟化しかつ導電性を有さない材料からなるハーメチックシール用部材をはめ込み、前記位置決め用部材の貫通孔および前記ハーメチックシール用部材の貫通孔に金属製の電極ピンを通した状態で、前記ハーメチックシール用部材のみが軟化する温度で加熱し、前記軟化したハーメチックシール用部材を、前記各貫通孔と前記電極ピンとの隙間、および、前記位置決め用部材と前記筒状部材との隙間に充填させてから、冷却して固まらせ、前記位置決め用部材の上にセンサチップを固定し、このセンサチップの電極と前記電極ピンとをワイヤを介して接続し、前記センサチップを、内部が封入オイルで満たされかつ可撓性のダイアフラムを有する金属容器で覆うことを特徴とする圧力センサの製造方法。
【請求項6】 請求項5において、前記位置決め用部材は、低アルカリガラスまたは無アルカリガラスからなり、前記ハーメチックシール用部材は、ソーダガラスからなることを特徴とする圧力センサの製造方法。
【請求項7】 請求項5において、前記位置決め用部材として、前記ハーメチックシール用部材の一方の面に接して設けられた第1の位置決め用部材と、前記ハーメチックシール用部材の他方の面に接して設けられた第2の位置決め用部材とを用いることを特徴とする圧力センサの製造方法。
【請求項8】 請求項5において、前記位置決め用部材は、複数の板状部材を並べたものによって構成され、前記位置決め用部材に設けられた貫通孔は、前記複数の板状部材を前記筒状部材の中に配置した状態で、少なくとも2個以上の板状部材の接合部分に形成されることを特徴とする圧力センサの製造方法。
【請求項9】 請求項5において、前記ハーメチックシール用部材は、複数の板状部材を並べたものによって構成され、前記ハーメチックシール用部材に設けられた貫通孔は、前記複数の板状部材を前記筒状部材の中に配置した状態で、少なくとも2個以上の板状部材の接合部分に形成されることを特徴とする圧力センサの製造方法。
【請求項10】 請求項5において、前記電極ピンの代わりに、リードフレームを用いることを特徴とする圧力センサの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧力センサおよびその製造方法に関し、特にピエゾ式および容量式の半導体センサチップを使用した圧力センサおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の圧力センサのパッケージングにおいては、金属製の台座(以下、金属ステムという)に半導体からなるセンサチップを設置するのが一般的であった。その場合、金属ステムとセンサチップの熱膨張率の違いから、熱処理の際に生じた応力によってセンサチップが破損するのを防止するため、金属ステムとセンサチップとの間にガラス製の緩衝部材を設けることが従来より行われている。
【0003】また、センサチップ周辺の金属ステムには、複数の貫通孔が設けられ、各貫通孔には、電気信号を取り出すための電極ピンが低融点ガラスでハーメチックシールおよび絶縁シールされた状態で固定されている。そして、センサチップの電極と電極ピンとは、ボンディング・ワイヤを介して接続されている。
【0004】図12は、従来の圧力センサを示す斜視図である。同図に示すように、従来の圧力センサは、センサチップ101と、ワイヤ102と、電極ピン103と、緩衝部材104と、ハーメチックシール用ガラス105と、金属ステム106と、金属容器110と、バリアダイアフラム111とで構成されている。なお、圧力センサの内部構造を示すために、金属容器110およびバリアダイアフラム11を破線で記載している。
【0005】センサチップ101は、シリコン等の半導体からなる圧力センサチップであり、ピエゾ式および容量式のものがある。ワイヤ102は、センサチップ101の電極パッド(図示せず)と電極ピン103とを電気的に接続するためのボンディング・ワイヤである。電極ピン103は、金属ステム106に設けられた貫通孔に貫装された金属製のピンである。
【0006】緩衝部材104は、センサチップ101と金属ステム106の熱膨張係数の違いから、センサチップ101が破損するのを防止するために設けられたガラス製の部材である。ハーメチックシール用ガラス105は、低融点ガラスからなる部材であり、金属ステム106と電極ピン103との隙間におけるハーメチックシールを実現している。
【0007】金属ステム106は、円盤状の金属製の部材であり、電極ピン103の位置に合わせて貫通孔が設けられている。ここでは計5個の貫通孔が設けられている。金属容器110は、金属ステム106の上に設置されセンサチップ101等を覆う容器である。この金属容器110内はシリコンオイル等の封入オイルで満たされている。バリアダイアフラム111は、可撓性の金属膜であり、外から加わった圧力に応じて変形し、その圧力を上述のシリコンオイルを介してセンサチップ101に伝える。また、加わる圧力が解除されることにより、元の形状に戻る。
【0008】図13は、図12のXIII−XIII’線における断面図である。同図に示すように、金属ステム106の中央部には、ガラス製の緩衝部材104が設置され、緩衝部材104の上にはセンサチップ101が設けられている。センサチップ101と電極ピン103とは、ワイヤ102を介して接続されている。
【0009】また、金属ステム106の各貫通孔は、その径が電極ピン103よりも若干大きくなるように作られている。電極ピン105と金属ステム106との隙間には、ハーメチックシール用ガラス105が設置されている。このハーメチックシール用ガラス105は、熱処理によって一旦軟化してから冷却されて固まったものである。したがって、金属ステム106と電極ピン103との隙間は、完全にハーメチックシールされており、センサチップ101側に満たされているシリコンオイルが、貫通孔を通って金属ステム106の反対側に漏れ出すことはない。
【0010】ここで、従来例の製造工程について、図を参照しながら説明する。図14は、センサチップを設置するための台座パッケージの製造工程を示す斜視図である。同図に示すように、電極ピン103を、筒状のハーメチックシール用ガラス105の貫通孔105aに通した後、金属ステム106の貫通孔106aに通し、金属ステム106を凹部107aを有する治具107の上に設置する。凹部107aは、その径が電極ピン103とほぼ同じであり、ハーメチックシール用ガラス105から突出した電極ピン103は、貫通孔107a内に貫装される。
【0011】以上のようにして、治具107上に金属ステム106および電極ピン103等を設置してから、ハーメチックシール用ガラス105が軟化するまで加熱する。その後、加熱処理を中止し、軟化したハーメチックシール用ガラス105を再び固まらせ、電極ピン103と貫通孔106aとの隙間を完全にハーメチックシールすることにより、台座パッケージが完成する。
【0012】一方、予めウエハ状態のセンサチップ101とガラス板とを陽極接合してからダイシングし、緩衝部材104の接合されたセンサチップ101を複数作りだめしておく。そして、上述の台座パッケージ上に、センサチップ101を緩衝部材104を下にして接着してから、センサチップ101上の電極パッド(図示せず)と電極ピン103とを、ボンディングによりワイヤ102で接続する。その後、センサチップ101等を金属容器110およびバイリアダイアフラム111で覆ってから、シリコンオイルを注入して圧力センサが完成する。
【0013】図15は、電極ピン103の位置決めを、治具107で行った様子を示す断面図である。同図に示すように、治具107の凹部107aは、その径が電極ピン103の径とほぼ同じであるため、電極ピン103は治具107によって貫通孔106aの中心に位置決めされる。したがって、加熱処理によってハーメチックシール用ガラス105を軟化させても、電極ピン103の位置がずれることはない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来例には、以下のような問題点がある。
(1)上述のとおり、図12の構造を作り出すためには、工程1.金属ステムと電極ピンのガラスハーメチックシール工程2.センサチップとガラス製の緩衝部材との陽極接合(ダイシング前のウエハ状態での接合)
工程3.ガラス製の緩衝部材と金属ステムとの接着と、最低でも3つの接合工程を必要としている。これでは、接合工程数が多すぎるため、品質低下を招き易いという問題がある。
(2)同様に接合工程数が多いことにより、コスト上昇を招き易いという問題がある。
【0015】(3)図12に示す金属隔膜ダイアフラムと封入オイルとを用いた隔膜構造を採用した場合、封入オイル量の増加を招き、圧力センサの温度特性を劣化させてしまう。そこで、従来においては、ガラス製の緩衝部材の周辺にガラス、セラミックまたは樹脂等からなる構造体を設置することによって封入オイル量を減らすことが一般的に行われているが、そのための工程数や部品点数が増えてしまうという問題がある。
【0016】(4)ガラス製の緩衝部材と金属ステムとの接着、ガラスによる封着および固着などによるダイボンドにおいて、緩衝部材と金属ステムとの熱膨張率をマッチングさせるだけでなく、それらの間に入れる接着剤の熱膨張率もマッチングさせなければ無応力の接合はできない。そのため、従来はこのような応力を回避する方法として、ガラス製の緩衝部材の厚さを厚くし、センサチップに達する応力の伝播量を減衰させてきたが、緩衝部材の大型化に伴って封入オイル量が増加するとともに、緩衝部材のダイシングを困難にするという新たな問題が発生する。
【0017】(5)外部から加わった圧力に対する耐圧性能を向上させる上で、金属ステムと電極ピンとを突き当て構造にしたいが、両者は金属でできていることから、電気的な絶縁性を維持することができない。そこで、従来は金属ステムの厚さを厚くし、金属ステムにおけるガラスハーメチックシールの距離を長くすることが行われているが、金属ステムに開ける孔の深さが深くなると、これらの孔をプレス加工で同時に開けるのが困難となり、切削加工で一つ一つ開口する必要が生じるという問題がある。
【0018】(6)各工程の耐熱温度や熱処理温度の制約から、ダイボンド工程の温度を最も低い温度にあわせる必要があり、そのため接合部分における信頼性が低くなるという問題がある。
(7)ガラスハーメチックシール部分における絶縁距離の小型化に制限があること、および、ワイヤボンドの距離の小型化に制限があることにより、多ピン化が困難という問題がある。
【0019】(8)耐電圧の要求から、電極ピンをなるべく貫通孔の中心部に設置したいが、そのためには電極ピンの位置決め精度を出す必要があり、金属ステムと治具の寸法精度が要求されるという問題がある。
(9)耐電圧の要求から、治具で電極ピンの位置決め精度を出す必要があり、電極ピンと治具との嵌合精度が必要となって電極ピンの曲り等の精度が厳しくなるという問題がある。
【0020】図16(a)は、治具107の凹部107aと、ハーメチックシール用ガラス105の貫通孔105aとがずれてしまった状態を示す断面図である。同図に示すように、従来例においては、治具107で位置決めを行うため凹部107aの径が電極ピン103の径とほぼ等しくなっている。そのため、治具107の凹部107aと、ハーメチックシール用ガラス105の貫通孔105aとを正確に位置合わせしなければならない。しかし、電極ピンの数が多くなればなるほど、そのような位置合わせは困難になるといえる。
【0021】(10)熱処理後、ハーメチックシール用ガラスの流出により、治具と金属ステムとが接着されてしまうという問題が発生しやすい。
(11)金属ステムの耐圧力性を維持する上での制限、および、切削やプレスによる貫通孔加工後の形状を維持する上での制限により、金属ステムの孔の位置を狭くすることに限界点が存在し、パッケージを小型化することができないという問題がある。
【0022】(12)電極ピンや金属ステムの酸化防止のために、無酸素状態の雰囲気ガスで、例えば窒素やアルゴン雰囲気に水素(水素100%の場合もある)を含む還元雰囲気で熱処理すると、使用している金属部品の表面に酸化膜が生じるのを防止することができ、また条件によっては酸化膜を取り除いて清浄化する効果がある。
【0023】また、ガラスハーメチックシールと同時にろう付けができる等の多数の利点があり、実際に実用化されているが、ハーメチックシール用ガラスの軟化点(および流動点)を下げるために添加されるアルカリ金属の酸化物が水素で還元され、アルカリ金属が析出して電気絶縁や耐電圧、迷走電流、PN接合部の劣化破壊等に影響するという問題がある。
【0024】(13)熱処理後、ハーメチックシール用ガラスの流出によって不要なフィレット形状が生成され、この工程後に封入オイルを減少させるための部品を組み付けようとする場合、フィレット形状が邪魔をして組み付けを困難にする。そこで、このような問題を回避するために、ハーメチックシール用ガラスの流出しないように加熱時間や温度を制御するが、却って耐電圧や耐圧およびシール性能を劣化させてしまうという問題がある。
【0025】図16(b)は、軟化した後のハーメチックシール用ガラスによってフィレット形状105bが生じた様子を示す断面図である。同図に示すように、ハーメチックシール用ガラス5の量を正確に調整しないと、軟化した際にはみ出したガラスが電極ピン103等に付着した状態で固まり、フィレット形状105bを生じてしまう。このようなフィレット形状105bは、電極ピン103の周囲に部品を組み付ける際に障害となってしまう。
【0026】(14)熱処理後、ハーメチックシール用ガラスの流出によって不要なフィレット形状が生成され、電極ピンからワイヤボンドを行う場合、フィレット形状以上の高さまで電極ピンを立ち上げないと、電極ピンの先端にあるボンディングパッドにガラスが付着し、ワイヤボンドができなくなる。このため、電極ピンを一定の高さまで立ち上げる必要性が生じ、圧力センサの小型化に支障をきたすという問題がある。
【0027】このように、従来の圧力センサは、ガラス製の緩衝部材を用いること、金属ステムを用いること、および、電極ピンの位置決めに治具を用いることに起因して種々の問題点が生じていた。
【0028】本発明は、このような課題を解決するためのものであり、従来よりも少ない接合工程数で製造可能とするとともに、電極ピンの位置決めのための治具およびガラス製の緩衝部材を不要とし、低コストで高品質な圧力センサおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成するために、本発明に係る圧力センサは、電極ピンの設けられた台座パッケージに、センサチップを搭載するとともに、このセンサチップを可撓性のダイアフラムを有する金属容器で覆いさらにこの金属容器内に封入オイルを満たした構造の圧力センサにおいて、上記台座パッケージは、金属性の筒状部材と、この筒状部材の内側に設置され、導電性を有さない材料からなる位置決め用部材と、上記筒状部材の内側に上記位置決め用部材と重なるようにして設置され、上記位置決め用部材よりも低い温度で軟化しかつ導電性を有さない材料からなるハーメチックシール用部材と、上記位置決め用部材および上記ハーメチックシール用部材を貫通する金属製の電極ピンとを備え、上記筒状部材と上記位置決め用部材とは、軟化した後に固まった上記ハーメチックシール用部材によってハーメチックシールされ、上記電極ピンと上記位置決め用部材とは、軟化した後に固まった上記ハーメチックシール用部材によってハーメチックシールされている。
【0030】また、本発明はその他の態様として以下に示すものも含む。すなわち、上記位置決め用部材は、低アルカリガラスまたは無アルカリガラスの何れかからなり、上記ハーメチックシール用部材は、ソーダガラスからなるものでもよい。
【0031】また、上記位置決め用部材は、上記ハーメチックシール用部材の一方の面に接して設けられた第1の位置決め用部材と、上記ハーメチックシール用部材の他方の面に接して設けられた第2の位置決め用部材とからなるものでもよい。また、上記電極ピンの代わりに、リードフレームを用いてもよい。
【0032】一方、本発明に係る圧力センサの製造方法は、電極ピンの設けられた台座パッケージに、センサチップを搭載するとともに、このセンサチップを可撓性のダイアフラムを有する金属容器で覆いさらにこの金属容器内に封入オイルを満たした構造の圧力センサの製造方法において、金属製の筒状部材の内側に、電極ピンを通すための貫通孔が設けられかつ導電性を有さない材料で形成された位置決め用部材をはめ込み、上記筒状部材の内側に、上記位置決め用部材と重ね合わせるようにして、上記貫通孔と対向する位置に貫通孔が設けられて上記位置決め用部材よりも低い温度で軟化しかつ導電性を有さない材料からなるハーメチックシール用部材をはめ込み、上記位置決め用部材の貫通孔および上記ハーメチックシール用部材の貫通孔に金属製の電極ピンを通した状態で、上記ハーメチックシール用部材のみが軟化する温度で加熱し、上記軟化したハーメチックシール用部材を、上記各貫通孔と上記電極ピンとの隙間、および、上記位置決め用部材と上記筒状部材との隙間に充填させてから、冷却して固まらせ、上記位置決め用部材の上にセンサチップを固定し、このセンサチップの電極と上記電極ピンとをワイヤを介して接続し、上記センサチップを、内部が封入オイルで満たされかつ可撓性のダイアフラムを有する金属容器で覆うものである。
【0033】また、本発明に係る圧力センサの製造方法は、その他の態様として以下に示すものも含む。すなわち、上記位置決め用部材は、低アルカリガラスまたは無アルカリガラスからなり、上記ハーメチックシール用部材は、ソーダガラスからなるものでもよい。
【0034】また、上記位置決め用部材として、上記ハーメチックシール用部材の一方の面に接して設けられた第1の位置決め用部材と、上記ハーメチックシール用部材の他方の面に接して設けられた第2の位置決め用部材とを用いてもよい。
【0035】また、上記位置決め用部材は、複数の板状部材を並べたものによって構成され、上記位置決め用部材に設けられた貫通孔は、上記複数の板状部材を上記筒状部材の中に配置した状態で、少なくとも2個以上の板状部材の接合部分に形成されていてもよい。
【0036】また、上記ハーメチックシール用部材は、複数の板状部材を並べたものによって構成され、上記ハーメチックシール用部材に設けられた貫通孔は、上記複数の板状部材を上記筒状部材の中に配置した状態で、少なくとも2個以上の板状部材の接合部分に形成されていてもよい。また、上記電極ピンの代わりに、リードフレームを用いてもよい。
【0037】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
【0038】[第1の実施の形態]図1は、本発明の第1の実施の形態を示す斜視図である。同図に示すように、本実施の形態に係る圧力センサは、センサチップ1と、ワイヤ2と、電極ピン3と、ハーメチックシール用ガラス4と、ハーメチックシール用ガラス5(図2)、金属コネクタ6と、金属容器10と、バリアダイアフラム11とで構成されている。なお、圧力センサの内部構造を示すために、金属容器およびバイリアダイアフラム11を破線で記載している。
【0039】センサチップ1は、シリコン等の半導体からなる圧力センサチップであり、ピエゾ式および容量式のものがある。ワイヤ2は、センサチップ1の電極パッド(図示せず)と電極ピン3とを電気的に接続するためのボンディング・ワイヤである。電極ピン3は、位置決め用ガラス4に設けられた貫通孔に貫装された金属製のピンである。
【0040】位置決め用ガラス4は、石英ガラス等の低アルカリガラスまたは無アルカリガラス等からなる円盤状の部材であり、電極ピン3の位置に合わせて貫通孔が設けられている。ここでは計5個の貫通孔が設けられている。金属コネクタ6は、筒状の金属製の部材であり、内枠には位置決め用ガラス4およびハーメチックシール用ガラス5(図2)がはめ込まれている。
【0041】金属容器10は、位置決め用ガラス4の上に設置され、センサチップ1等を覆う容器である。この金属容器10内はシリコンオイル等の封入オイルで満たされている。なお、ここでは金属容器10と金属コネクタ6とをそれぞれ別個に作製し、両者を接合しているが、両者を一体構造としたものも本発明に含まれる。バリアダイアフラム10は、可撓性の金属膜であり、外から加わった圧力に応じて変形し、その圧力を上述のシリコンオイルを介してセンサチップ1に伝える。また、加わる圧力が解除されることにより、元の形状に戻る。
【0042】図2は、図1のII−II’線における断面図である。同図に示すように、位置決め用ガラス4の中央部には、センサチップ1が設けられている。センサチップ1と電極ピン3とは、ワイヤ2を介して接続されている。位置決め用ガラス4の下には、ソーダガラス等の低融点ガラスからなるハーメチックシール用ガラス5が設けられている。
【0043】また、位置決め用ガラス4およびハーメチックシール用ガラス5の各貫通孔は、その径が電極ピン3とほぼ同じになるように作られている。電極ピン3と位置決め用ガラス4との隙間は、軟化(または流動)した後に固まったハーメチックシール用ガラス5でハーメチックシールされている。したがって、センサチップ1側に満たされているシリコンオイルが、貫通孔を通ってハーメチックシール用ガラス5の側に漏れ出すことはない。
【0044】ここで、本実施の形態の製造工程について、図を参照しながら説明する。図3は、センサチップ1を設置するための台座パッケージの製造工程を示す斜視図である。同図に示すように、電極ピン3を、ハーメチックシール用ガラス5の貫通孔5aに通した後、位置決め用ガラス4の貫通孔4aに通し、ハーメチックシール用ガラス5および位置決め用ガラス4を、筒状の金属コネクタ6の内枠6aにはめ込む。
【0045】その後、これらを炉内に設置し、ハーメチックシール用ガラス5のみが軟化(または流動)するまで加熱する。加熱されたハーメチックシール用ガラス5は、その熱膨張率に応じて膨張するとともに軟化し、さらに高温にすることによって流動化する。このとき、軟化(または流動化)したハーメチックシール用ガラス5が、電極ピン3と位置決め用ガラス4との隙間等に十分回り込むまで、加熱温度および時間を調整する。
【0046】その後、加熱処理を中止し、軟化(または流動化)したハーメチックシール用ガラス5を冷却して再び固まらせる。この冷却過程により、膨張していたハーメチックシール用ガラス5が収縮して、電極ピン3と貫通孔4aとの隙間および位置決め用ガラス4と金属コネクタ6との隙間を完全にハーメチックシールし、台座パッケージが完成する。
【0047】その後、予めダイシングしておいたセンサチップ1を、位置決め用ガラス4の上に接着してから、センサチップ1上の電極パッド(図示せず)と電極ピン3とを、ボンディングによりワイヤ2で接続する。その後、センサチップ1等を金属容器10およびバイリアダイアフラム11で覆ってから、シリコンオイルを注入して圧力センサが完成する。
【0048】なお、位置決め用ガラス4を仮焼成のプリフォームガラス(ガラス粉末を多価アルコール等のバインダを使って固めたもの)で製作する場合は、位置決め用ガラス4の軟化点(または流動点)を高温化しすぎると、プリフォームガラスが仮焼成のままの状態となり、ガラス粉体間の結合が弱く材料強度が高く取れないことがある。このため、この位置決め用ガラス4が位置決めに影響しない程度の軟化(または流動)状態となるように、ハーメチックシール用ガラス5と位置決め用ガラス4の軟化点(または流動点)を決め、作業温度および時間を決定する。通常の場合、このハーメチックシール用ガラス5と位置決め用ガラス4の軟化点(または流動点)との差を、100℃以上にすると作業性がよい。また、他の方法として、位置決め用ガラス4を、本焼成後のフォーミングガラスで製作すれば、上記のような問題を生じなくて済む。
【0049】図4は、電極ピン3の位置決めを、位置決め用ガラス4で行った状態を示す断面図である。同図に示すように、電極ピン3は、位置決め用ガラス4によって位置決めされている。したがって、従来例のように、治具8によって位置決めする必要がないため、治具8の凹部8aの径は電極ピン3の径よりも大きくても構わない。また、位置決め用ガラス4を設けることにより、軟化したハーメチックシール用ガラス5が漏れだして、治具8等に接着してしまうことを防止することができる。
【0050】このように、本実施の形態の構造を作製するために必要とする接合工程は、以下のとおりである。
工程1.金属コネクタと電極ピンのガラスハーメチックシールと同時に行われる、ハーメチックシール用ガラスと位置決め用ガラスとの接合工程2.センサチップと位置決め用ガラスとの陽極接合(ダイシング後のチップ状態での接合)
したがって、本実施の形態は、従来例と比べて工程数が一つ減っている点に特徴がある。
【0051】また、本実施の形態に係る構造では、位置決め用ガラス4を用いることにより、熱処理によって流動したハーメチックシール用ガラス5がはみ出すことを防止し、電極ピン3の周りに不要なフィレット形状が生じるのを防止することができる。これにより、ハーメチックシール用ガラス5のプリフォームガラスの体積と金属ステムと電極ピンの隙間の体積とのマッチングのための高い寸法精度を要求されないメリットや、表面を平坦化でき、他の部品の組み付け時のぶつかりやガラスからワイヤボンディング部の高さを低くできる等のメリットがある。
【0052】さらに、ハーメチックシール用ガラス中のアルカリ成分がICの回路の動作に影響する場合や耐電圧の低下を招く問題に対して、位置決め用ガラスに低アルカリガラスや無アルカリガラスを用いることにより、回避することができる。
【0053】次に、本発明のその他の実施の形態について説明する。
【0054】[第2の実施の形態]図1においては、センサチップ1を搭載する側にのみ位置決め用ガラス4を設けていたため、圧力センサ内(金属容器10およびバイリアダイアフラム11によって覆われる個所)にフィレット形状が生じることを防ぐことはできるが、圧力センサの外側に生じることを防ぐことはできない。ところが、圧力センサを外部装置等に組み付ける際に、そのようなフィレット形状が障害となる場合がある。そこで、第2の実施の形態では、位置決め用ガラスを2枚用いることにより、このような問題点を解消する。
【0055】図5は、本発明の第2の実施の形態を示す断面図である。同図において、図1における同一符号の部品は、同一または同等のものを示す。石英ガラス等の低アルカリまたは無アルカリガラスからなる位置決め用ガラス4の中央部には、センサチップ1が設けられている。センサチップ1と電極ピン3とは、ワイヤ2を介して接続されている。位置決め用ガラス4の下には、ソーダガラス等の低融点ガラスからなるハーメチックシール用ガラス5が設けられている。そして、本実施の形態では、ハーメチックシール用ガラス5の下に、さらにもう一枚の位置決め用ガラス7が設けられている。位置決め用ガラス7は、位置決め用ガラス4と同様に石英ガラス等の低アルカリガラスまたは無アルカリガラスからなる。
【0056】また、位置決め用ガラス4,7およびハーメチックシール用ガラス5の各貫通孔は、その径が電極ピン3とほぼ同じになるように作られている。電極ピン3と位置決め用ガラス4,7との隙間は、軟化(または流動)した後に固まったハーメチックシール用ガラス5でハーメチックシールされている。したがって、センサチップ1側に満たされているシリコンオイルが、貫通孔を通って位置決め用ガラス7の側に漏れ出すことはない。
【0057】ここで、本実施の形態の製造工程について、図を参照しながら説明する。図6は、電極ピン3の位置決めを、位置決め用ガラス4,7で行った状態を示す断面図である。同図に示すように、電極ピン3は、位置決め用ガラス4,7によって位置決めされている。したがって、従来例のように、治具8によって位置決めする必要がないため、治具8の凹部8aの径は電極ピン3の径よりも大きくても構わない。また、位置決め用ガラス4,7を設けることにより、軟化したハーメチックシール用ガラス5が漏れだして、治具8等に接着してしまうことを防止することができる。
【0058】図7は、センサチップ1を設置するための台座パッケージの製造工程を示す斜視図である。同図に示すように、電極ピン3を、位置決め用ガラス7の貫通孔7aに通した後、ハーメチックシール用ガラス5の貫通孔5aに通し、さらに位置決め用ガラス4の貫通孔4aに通し、ハーメチックシール用ガラス5および位置決め用ガラス4,7を、筒状の金属コネクタ6の内枠6aにはめ込む。
【0059】その後、これらを炉内に設置し、ハーメチックシール用ガラス5のみが軟化(または流動)するまで加熱する。加熱されたハーメチックシール用ガラス5は、その熱膨張率に応じて膨張するとともに軟化し、さらに高温にすることによって流動化する。このとき、軟化(または流動化)したハーメチックシール用ガラス5が、電極ピン3と位置決め用がガラス4,7との隙間等に十分回り込むまで、加熱温度および時間を調整する。
【0060】その後、加熱処理を中止し、軟化(または流動化)したハーメチックシール用ガラス5を冷却して再び固まらせる。この冷却過程により、膨張していたハーメチックシール用ガラス5が収縮して、電極ピン3と貫通孔4a,5aとの隙間および位置決め用ガラス4,7と金属コネクタ6との隙間を完全にハーメチックシールし、台座パッケージが完成する。
【0061】その後、予めダイシングしておいたセンサチップ1を、位置決め用ガラス4の上に接着してから、センサチップ1上の電極パッド(図示せず)と電極ピン3とを、ボンディングによりワイヤ2で接続する。その後、センサチップ1等を金属容器10およびバイリアダイアフラム11で覆ってから、シリコンオイルを注入して圧力センサが完成する。
【0062】なお、位置決め用ガラス4,7を仮焼成のプリフォームガラス(ガラス粉末を多価アルコール等のバインダを使って固めたもの)で製作する場合は、位置決め用ガラス4,7の軟化点(または流動点)を高温化しすぎると、プリフォームガラスが仮焼成のままの状態となり、ガラス粉体間の結合が弱く材料強度が高く取れないことがある。
【0063】このため、この位置決め用ガラス4,7が位置決めに影響しない程度の軟化(または流動)状態となるように、ハーメチックシール用ガラス5と位置決め用ガラス4,7の軟化点(または流動点)を決め、作業温度および時間を決定する。通常の場合、このハーメチックシール用ガラス5と位置決め用ガラス4,7の軟化点(または流動点)との差を、100℃以上にすると作業性がよい。また、他の方法として、位置決め用ガラス4,7を、本焼成後のフォーミングガラスで製作すれば、上記のような問題を生じなくて済む。
【0064】このように、本実施の形態の構造を作製するために必要とする接合工程は、以下のとおりである。
工程1.金属コネクタと電極ピンのガラスハーメチックシールと同時に行われる、ハーメチックシール用ガラスと位置決め用ガラスとの接合工程2.センサチップと位置決め用ガラスとの陽極接合(ダイシング後のチップ状態での接合)
したがって、本実施の形態は、従来例と比べて工程数が一つ減っている点に特徴がある。
【0065】また、本実施の形態に係る構造では、位置決め用ガラス4,7を用いることにより、熱処理によって流動したハーメチックシール用ガラス5がはみ出すことを防止し、電極ピン3の周りに不要なフィレット形状が生じるのを防止することができる。これにより、ハーメチックシール用ガラス5のプリフォームガラスの体積と金属ステムと電極ピンの隙間の体積とのマッチングのための高い寸法精度を要求されないメリットや、表面を平坦化でき、他の部品の組み付け時のぶつかりやガラスからワイヤボンディング部の高さを低くできる等のメリットがある。また、ハーメチックシール用ガラス中のアルカリ成分がICの回路の動作に影響する場合や耐電圧の低下を招く問題に対して、位置決め用ガラスに低アルカリガラスや無アルカリガラスを用いることにより、回避することができる。
【0066】また、本実施の形態は、ハーメチックシール用ガラス5を2枚の位置決め用ガラス4,7で挟み込む構造となっているため、電極ピン3を支持する個所が増え、図1の構造よりも位置決め精度が向上する。さらに、台座パッケージの何れの側においても、フィレット形状が生じることのない平坦な状態を維持することができ、完成した圧力センサを外部装置等に組み付け易いという効果を有する。
【0067】[第3の実施の形態]図8は、本発明の第3の実施の形態を示す斜視図である。同図に示すように、位置決め用ガラス4およびハーメチックシール用ガラス5を複数の板状部材で構成することにより、コストのかかる孔開け工程を用いたフォーミングガラスを用いる必要がなくなる。この場合、2枚の板状部材を並べたときにその境目に貫通孔4aができるようにしておけばよい。もちろん、3枚以上の板状部材の境目に、貫通孔4aができるようにしてもよい。このように位置決め用ガラス4を複数の板状部材で構成した場合、熱処理の際に軟化したハーメチックシール用ガラス5が各部の隙間に回り込み、電極ピン3のハーメチックシールと同時に各板状部材の接合が行われる。
【0068】このように本実施の形態は、電極ピン部分に相当する孔を必要としない部品形状となる。したがって、コストのかかる孔開け工程を不要とするため、製造コストの低減に効果的である。
【0069】[第4の実施の形態]図9は、本発明の第4の実施の形態を示す斜視図である。同図に示すように、本実施の形態に係る圧力センサは、センサチップ1と、ワイヤ2と、リードフレーム3aと、ハーメチックシール用ガラス4と、ハーメチックシール用ガラス5(図10)、金属コネクタ6と、金属容器10と、バリアダイアフラム11とで構成されている。なお、圧力センサの内部構造を示すために、金属容器およびバイリアダイアフラム11を破線で記載している。
【0070】センサチップ1は、シリコン等の半導体からなる圧力センサチップであり、ピエゾ式および容量式のものがある。ワイヤ2は、センサチップ1の電極パッド(図示せず)とリードフレーム3aとを電気的に接続するためのボンディング・ワイヤである。リードフレーム3aは、位置決め用ガラス4に設けられたスリットに貫装された金属製の部材であり、金属板をプレスしてから折り曲げることによって作られる。
【0071】位置決め用ガラス4は、石英ガラス等の低アルカリガラスまたは無アルカリガラス等からなる円盤状の部材であり、リードフレーム3aの位置に合わせてスリットが設けられている。ここでは計2個のスリットが設けられている。金属コネクタ6は、筒状の金属製の部材であり、内枠には位置決め用ガラス4およびハーメチックシール用ガラス5(図10)がはめ込まれている。
【0072】金属容器10は、位置決め用ガラス4の上に設置され、センサチップ1等を覆う容器である。この金属容器10内はシリコンオイル等の封入オイルで満たされている。なお、ここでは金属容器10と金属コネクタ6とをそれぞれ別個に作製し、両者を接合しているが、両者を一体構造としたものも本発明に含まれる。バリアダイアフラム10は、可撓性の金属膜であり、外から加わった圧力に応じて変形し、その圧力を上述のシリコンオイルを介してセンサチップ1に伝える。また、加わる圧力が解除されることにより、元の形状に戻る。
【0073】図10は、図9のX−X’線における断面図である。同図に示すように、位置決め用ガラス4の中央部には、センサチップ1が設けられている。センサチップ1とリードフレーム3aとは、ワイヤ2を介して接続されている。位置決め用ガラス4の下には、ソーダガラス等の低融点ガラスからなるハーメチックシール用ガラス5が設けられている。
【0074】また、位置決め用ガラス4およびハーメチックシール用ガラス5の各スリットは、リードフレーム3aの大きさとほぼ同じになるように作られている。リードフレーム3aと位置決め用ガラス4との隙間は、軟化(または流動)した後に固まったハーメチックシール用ガラス5でハーメチックシールされている。したがって、センサチップ1側に満たされているシリコンオイルが、スリットを通ってハーメチックシール用ガラス5の側に漏れ出すことはない。
【0075】ここで、本実施の形態の製造工程について、図を参照しながら説明する。図11は、センサチップ1を設置するための台座パッケージの製造工程を示す斜視図である。同図に示すように、リードフレーム3aを、位置決め用ガラス4のスリット4bに通した後、ハーメチックシール用ガラス5のスリット5bに通し、位置決め用ガラス4およびハーメチックシール用ガラス5を、筒状の金属コネクタ6の内枠6aにはめ込む。
【0076】その後、これらを炉内に設置し、ハーメチックシール用ガラス5のみが軟化(または流動)するまで加熱する。もちろん感熱する際には、軟化(または流動)したハーメチックシール用ガラス5が流れ出さないようにするため、位置決め用ガラス4が下に位置するように設置する。加熱されたハーメチックシール用ガラス5は、その熱膨張率に応じて膨張するとともに軟化し、さらに高温にすることによって流動化する。このとき、軟化(または流動化)したハーメチックシール用ガラス5が、リードフレーム3aと位置決め用ガラス4との隙間等に十分回り込むまで、加熱温度および時間を調整する。
【0077】その後、加熱処理を中止し、軟化(または流動化)したハーメチックシール用ガラス5を冷却して再び固まらせる。この冷却過程により、膨張していたハーメチックシール用ガラス5が収縮して、リードフレーム3aとスリット4bとの隙間および位置決め用ガラス4と金属コネクタ6との隙間を完全にハーメチックシールし、台座パッケージが完成する。
【0078】その後、予めダイシングしておいたセンサチップ1を、位置決め用ガラス4の上に接着してから、センサチップ1上の電極パッド(図示せず)とリードフレーム3aとを、ボンディングによりワイヤ2で接続する。その後、センサチップ1等を金属容器10およびバイリアダイアフラム11で覆ってから、シリコンオイルを注入して圧力センサが完成する。
【0079】なお、位置決め用ガラス4を仮焼成のプリフォームガラス(ガラス粉末を多価アルコール等のバインダを使って固めたもの)で製作する場合は、位置決め用ガラス4の軟化点(または流動点)を高温化しすぎると、プリフォームガラスが仮焼成のままの状態となり、ガラス粉体間の結合が弱く材料強度が高く取れないことがある。
【0080】このため、この位置決め用ガラス4が位置決めに影響しない程度の軟化(または流動)状態となるように、ハーメチックシール用ガラス5と位置決め用ガラス4の軟化点(または流動点)を決め、作業温度および時間を決定する。通常の場合、このハーメチックシール用ガラス5と位置決め用ガラス4の軟化点(または流動点)との差を、100℃以上にすると作業性がよい。また、他の方法として、位置決め用ガラス4を、本焼成後のフォーミングガラスで製作すれば、上記のような問題を生じなくて済む。
【0081】このように、本実施の形態の構造を作製するために必要とする接合工程は、以下のとおりである。工程1.金属コネクタと電極ピンのガラスハーメチックシールと同時に行われる、ハーメチックシール用ガラスと位置決め用ガラスとの接合工程2.センサチップと位置決め用ガラスとの陽極接合(ダイシング後のチップ状態での接合)したがって、本実施の形態は、従来例と比べて工程数が一つ減っている点に特徴がある。
【0082】また、本実施の形態に係る構造では、位置決め用ガラス4を用いることにより、熱処理によって流動したハーメチックシール用ガラス5がはみ出すことを防止し、電極ピン3の周りに不要なフィレット形状が生じるのを防止することができる。これにより、ハーメチックシール用ガラス5のプリフォームガラスの体積と金属ステムと電極ピンの隙間の体積とのマッチングのための高い寸法精度を要求されないメリットや、表面を平坦化でき、他の部品の組み付け時のぶつかりやガラスからワイヤボンディング部の高さを低くできる等のメリットがある。また、ハーメチックシール用ガラス中のアルカリ成分がICの回路の動作に影響する場合や耐電圧の低下を招く問題に対して、位置決め用ガラスに低アルカリガラスや無アルカリガラスを用いることにより、回避することができる。
【0083】さらに、本実施の形態は、図1等で用いた電極ピン3の代わりに、リードフレーム3aを用いているため、台座パッケージの組み立てにあたって複数の電極を同時に作ることができ、図1よりも簡単な工程で済むという利点がある。なお、本実施の形態においても、第2の実施の形態のように2枚の位置決め用ガラスを用いてもよいし、第3の実施の形態のように分割した位置決め用ガラスおよびハーメチックシール用ガラスを用いてもよい。
【0084】なお、以上の第1〜第4の実施の形態における位置決め用ガラスの材料としては、次のようなものを使用することができる。例えば、SiO2 を主成分(あるいは単独で用いる)とし、PbO、ZnO、B23,Al23、Na2O、BaO、CaO、KO等を添加したガラスを用いるとよい。また、ガラスの代わりにセラミックを用いてもよく、その場合、アルミナ系、チタニア系、SiC系、Si34系、ジルコニア系等のセラミックを用いるとよい。一方、ハーメチック用ガラスの材料としては、位置決め用ガラスと同様のガラス(SiO2 を主成分とし、PbO、ZnO、B23,Al23、Na2O、BaO、CaO、KO等を添加したもの)を用いればよいが、その場合、添加物の量を調整して位置決め用ガラスよりも低融点化させる必要がある。
【0085】
【発明の効果】以上説明したとおり本発明は、金属性の筒状部材と、この筒状部材の内側に設置され、導電性を有さない材料からなる位置決め用部材と、上記筒状部材の内側に上記位置決め用部材と重なるようにして設置され、上記位置決め用部材よりも低い温度で軟化しかつ導電性を有さない材料からなるハーメチックシール用部材と、上記位置決め用部材および上記ハーメチックシール用部材を貫通する金属製の電極ピンとを備えた台座パッケージを有し、上記筒状部材と上記位置決め用部材とは、軟化した後に固まった上記ハーメチックシール用部材によってハーメチックシールされ、上記電極ピンと上記位置決め用部材とは、軟化した後に固まった上記ハーメチックシール用部材によってハーメチックシールされている。
【0086】したがって、従来のようにセンサチップと台座パッケージとの間に緩衝部材を設ける必要がなく、作製工程数(特に接合工程)および部品点数を簡素化することができる。また、緩衝部材を用いないため、圧力センサ内部の容積が小さくて済み、封入オイルが少なくて済む。また、電極ピンやリードフレームの位置決めを、治具の代わりに位置決め用部材で行うため、高精度な治具を用意する必要がなくなる。
【0087】また、センサチップを位置決め用部材の上に搭載するため、ハーメチックシール用部材が直接センサチップに触れることがなくなり、PN接合部の劣化等が生じることを防ぐことができる。また、位置決め用部材を用いることにより、圧力センサ内にフィレット形状が生じることを防ぐことができ、圧力センサ内に封入オイルを減らすための部材を設置しやすくする。
【0088】さらに、従来のように電極ピンやリードフレームを通すための貫通孔を作る際に、プレスや切削加工による孔開けを行う必要がなくなり、電極ピンの位置決めの自由度を増やすことができる。また、当然のことながら、多ピン化も容易になる。
【出願人】 【識別番号】000006666
【氏名又は名称】株式会社山武
【出願日】 平成11年8月3日(1999.8.3)
【代理人】 【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
【公開番号】 特開2001−41838(P2001−41838A)
【公開日】 平成13年2月16日(2001.2.16)
【出願番号】 特願平11−220341