トップ :: G 物理学 :: G01 測定;試験




【発明の名称】 体外循環用圧力計測装置及び体外循環用回路
【発明者】 【氏名】柴田 猛

【氏名】安部 道夫

【氏名】佐藤 光寿

【氏名】筏 宏臣

【氏名】阿部 隆行

【要約】 【課題】体外循環時の圧力を正確に測定できる体外循環用圧力計測装置及び体外循環用回路を提供すること。

【解決手段】本体2の液体流路2cの上部に薄膜5を介して受圧部6を配置し、次の(a)から(d)のうちいずれかの手段を含む圧力計測装置1。(a)前記受圧部6にリード線7を介してアンプ9に接続する手段、(b)前記受圧部6に発信器14を接続して、発信器14により受圧部6の圧力データ信号を無線で外部の受信部15に送信する手段、(c)前記受圧部6に管状体を介して圧力センサを配置したコネクタ8を装着し、該コネクタ8にアンプ9を装着する手段、(d)前記受圧部6に管状体とコネクタ8を介して圧力計に接続する手段、
【特許請求の範囲】
【請求項1】本体2の液体流路2cの上部に薄膜5を介して受圧部6を配置し、次の(a)から(d)のうちいずれかの手段を含むことを特徴とする圧力計測装置1。(a)前記受圧部6にリード線7を介してアンプ9に接続する手段、(b)前記受圧部6に発信器14を接続して、発信器14により受圧部6の圧力データ信号を無線で外部の受信部15に送信する手段、(c)前記受圧部6に管状体を介して圧力センサを配置したコネクタ8を装着し、該コネクタ8にアンプ9を装着する手段、(d)前記受圧部6に管状体とコネクタ8を介して圧力計に接続する手段、【請求項2】本体2の液体流路2cの上部に薄膜5を配置し、次の(e)から(f)のうちいずれかの手段を含むことを特徴とする圧力計測装置1D。(e)前記本体2に管状体45を介して圧力センサ50を配置したコネクタ8を装着し、該コネクタ8にアンプ9を装着する手段、(f)前記本体2に管状体45とコネクタ8を介して圧力計に接続する手段、【請求項3】前記圧力計測装置1(1D)はディスポ部1Aと圧力モニタ部1Bからなり、前記ディスポ部1Aと圧力モニタ部1Bは次の(a)から(f)のいずれかの組み合わせよりなることを特徴とする請求項1ないし請求項2に記載の圧力計測装置1(1D)。(a)ディスポ部1Aが本体2、薄膜5、圧力モニタ部1Bが受圧部6、リード線7、アンプ9、(b)ディスポ部1Aが本体2、薄膜5、圧力モニタ部1Bが受圧部6、発信器14、受信部15、(c)ディスポ部1Aが本体2、薄膜5、圧力モニタ部1Bが受圧部6、圧力センサ、コネクタ8、アンプ9、(d)ディスポ部1Aが本体2、薄膜5、圧力モニタ部1Bが受圧部6、コネクタ8、圧力計、(e)ディスポ部1Aが本体2、薄膜5、圧力モニタ部1Bが管状体45、圧力センサ50、コネクタ8、アンプ9、(f)ディスポ部1Aが本体2、薄膜5、圧力モニタ部1Bが管状体45、コネクタ8、圧力計、【請求項4】動脈側シャント23と送液ポンプ26間の動脈側回路22の途中に請求項1ないし請求項3に記載の圧力計測装置1(1D)を装着したことを特徴とする体外循環用回路。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は体外循環時の血流不全や患者の血圧低下を迅速に感知し、早期対応を可能とする体外循環用圧力計測装置及び体外循環用回路の改良に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】体外循環時の血流不全や患者の血圧低下を感知する方法としては、血液回路のシャント接続部と血液ポンプとの間に圧力計測装置を設けることで対応している。具体的な計測手段として例えば次の3つの方法が実施されている。
■軟らかい断面が楕円状に加工されたチューブのつぶれ具合により陰圧を測定するいわゆる陰圧ピロー手段、■枝管をつけて直接圧力計につなぐ手段、■枝管の先端を閉じて、枝管内の空気の圧縮具合により圧力を算出する手段(特開平11−4812号参照)、等があるが、しかしながら前記■は(a)通常−300mmHgくらいになると、血液ポンプを止める仕組みになっているが、圧力は正確に計測できない。またピロー内のウェルダー部分で血液の滞留が発生する。また前記■は(b)圧力は正確に計測できるが枝管に流入した血液がクロッティングするおそれがある。前記■は(c)■と同様、枝管内に流入した血液がクロッティングするおそれがある。等の各々精度が悪かったり、クロッティングのおそれ等の問題がある。そこで本発明者らは以上の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果次の発明に到達した。
【0003】
【課題を解決するための手段】[1]本発明は、本体2の液体流路2cの上部に薄膜5を介して受圧部6を配置し、次の(a)から(d)のうちいずれかの手段を含む圧力計測装置1を提供する。
(a)前記受圧部6にリード線7を介してアンプ9に接続する手段、(b)前記受圧部6に発信器14を接続して、発信器14により受圧部6の圧力データ信号を無線で外部の受信部15に送信する手段、(c)前記受圧部6に管状体を介して圧力センサを配置したコネクタ8を装着し、該コネクタ8にアンプ9を装着する手段、(d)前記受圧部6に管状体とコネクタ8を介して圧力計に接続する手段、[2]本発明は、本体2の液体流路2cの上部に薄膜5を配置し、次の(e)から(f)のうちいずれかの手段を含む圧力計測装置1Dを提供する。(e)前記本体2に管状体45を介して圧力センサ50を配置したコネクタ8を装着し、該コネクタ8にアンプ9を装着する手段、(f)前記本体2に管状体45とコネクタ8を介して圧力計に接続する手段、[3]本発明は、前記圧力計測装置1(1D)はディスポ部1Aと圧力モニタ部1Bからなり、前記ディスポ部1Aと圧力モニタ部1Bは次の(a)から(f)のいずれかの組み合わせよりなる[1]ないし[2]に記載の圧力計測装置1(1D)を提供する。
(a)ディスポ部1Aが本体2、薄膜5、圧力モニタ部1Bが受圧部6、リード線7、アンプ9、(b)ディスポ部1Aが本体2、薄膜5、圧力モニタ部1Bが受圧部6、発信器14、受信部15、(c)ディスポ部1Aが本体2、薄膜5、圧力モニタ部1Bが受圧部6、圧力センサ、コネクタ8、アンプ9、(d)ディスポ部1Aが本体2、薄膜5、圧力モニタ部1Bが受圧部6、コネクタ8、圧力計、(e)ディスポ部1Aが本体2、薄膜5、圧力モニタ部1Bが管状体45、圧力センサ50、コネクタ8、アンプ9、(f)ディスポ部1Aが本体2、薄膜5、圧力モニタ部1Bが管状体45、コネクタ8、圧力計、[4]本発明は、動脈側シャント23と送液ポンプ26間の動脈側回路22の途中に[1]ないし[3]に記載の圧力計測装置1(1D)を装着した体外循環用回路を提供する。
【0004】
【発明の実施の形態】図1は本発明の体外循環用回路21の概略図で、図2は図1の体外循環用回路21に装着する圧力計測装置1の一実施例を示す拡大断面図である。体外循環用回路21は動脈側シャント23と送液ポンプ26間の動脈側回路22の途中に圧力計測装置1が配置されている。圧力計測装置1は図2に示すように本体2と薄膜5と受圧部6より構成されている。
【0005】本体2は液体流路2cの上部が開口し、上部の側部に溝2aと鍔2bが形成されている。アダプタ3は上部と下部が開口し、上部の側部に鍔3b、下部の側部に溝3aが形成されている。コネクタ4は内筒4cの上部と下部の中央が開口するとともに上部に内側に溝4aを形成した外筒4bが形成され、内筒4cの下部に受圧部6が装着されている。本体2の鍔2bの内側にアダプタ3の溝3aを装着するとともに本体2の溝2aとアダプタ3の下部の間に薄膜5が挟持される。コネクタ4の内筒4cをアダプタ3の内部に装着するとともにコネクタ4の溝4aにアダプタ3の鍔3bを装着する。受圧部6はリード線7、コネクタ8を介してアンプ9に接続される。
【0006】さらに補足すると本体2の上部に小孔のような開口部を形成し、この開口部に軟らかくかつ極薄の薄膜5を気密状態を保持するように装着する。開口部の形状及び開口部への薄膜5の装着の仕方は本体2内を流れる液体が乱流とならないようにするのが良い。またその他の構造として、開口部に薄膜5を直接接着あるいは溶着することもできる。本体2の上部とアダプタ3の下部の装着並びにアダプタ3とコネクタ4の装着形状は図2に示したものに限定されず、本体2とアダプタ3は薄膜5を挟持できる形状、アダプタ3とコネクタ4は脱着できる形状であれば何でも採用することができる。またアダプタ3とコネクタ4は気密保持構造にすることで陰圧も測定できる。また薄膜5は例えばシリコーン等のような軟らかい薄膜で圧力を圧力センサーに伝導できるものであれば何でも使用することができる。
【0007】図3は受圧部6内に組み込む圧力センサ10の概略平面図で、図4は図3のA矢視図、図5は図3のセンサ回路図である。圧力センサ10は半導体チップにより構成され、台座10a上にシリコン製のダイヤフラム部11が装着され、ダイヤフラム11上は複数の抵抗12(R)で、ブリッジを構成するゲージ部となっている。このゲージ部に印加された圧力がゲージ部に歪みを生じさせ、各抵抗12(R)の抵抗値が変化し、この変化が出力電圧となって電気信号に変換される。また圧力センサ10の被測定対象と接しない面は大気と連通し大気圧に保持され、測定圧は大気圧を基準として相対圧で表示される。また圧力センサ10の測定圧力のバラツキを補償するため、リード線7を台座10aの端部で結線し、受圧部6間で圧力測定の特性が均一になるように別の抵抗体で調整する。他方、受圧部6で圧力センサ10に圧力が加わると、アンプ9からの駆動用電圧との間で変化が惹起され、電気信号に変換されアンプ9より出力される。本発明の圧力計測装置1では印加圧力DC.5Vで圧力は最大300mmHgまで測定でき測定範囲は±300mmHgである。
【0008】また圧力計測装置1の本体2は、動脈側回路22の上部に開口部を形成して、動脈側回路22をそのまま本体2として使用しても良いし、動脈側回路22と別部品の管状体を本体2として、この管状体(本体2)の両側に動脈側回路22を接続するようにしても良い。また圧力計測装置1では薄膜5と受圧部6の接触状態は(a)密着状態でも良いし、薄膜5と受圧部6の間に(b)少量の空気または(c)液体(生理食塩水、水)等の流体を介在させても良い。(b)よりも(c)のほうが薄膜5の圧力を受圧部6に伝達しやすいので好ましい。また圧力計測装置1では受圧部6にリード線7を接続する代わりに中空の管状体を接続し、コネクタ8側に圧力センサ10を配置し、アンプ9に接続しても良い。圧力センサ10は半導体に限定されず、その他の材料でも使用できる。またコネクタ8側に圧力センサ10を配置してアンプ9に接続する代わりにコネクタ8に圧力計[例えば半導体圧力センサを利用した圧力計、ブルドン管式圧力計、抵抗線(半導体含む)歪計を利用した圧力計、液体(水、水銀等)を利用した圧力計]を接続することができる。
【0009】次に圧力計測装置1と体外循環用回路21による圧力測定方法の一例について簡単に説明する。液体流路2cの中を流れる流体圧力が増加して大気圧より大きくなると薄膜5が受圧部6方向へ膨張して受圧部6中の圧力センサ10に圧力が印加され、これが電気信号に変換され、大気圧を基準として例えば+100mmHg等として測定される。他方、液体流路2c中の流体圧力が減少して大気圧より小さくても感度良く圧力を測定できる。
【0010】また本発明では、部品点数の削減を図るため前記アダプタ3とコネクタ4を一体化して本体2に装着することができる。図6は前記アダプタ3とコネクタ4を一体化したコネクタ4Aを本体2の上部に装着した一実施例を示す。コネクタ4Aは内筒4Acの上部と下部を開口するとともに内筒4Acの外周に溝4Aaを形成した外筒4Abが形成されている。本体2の鍔2bをコネクタ4Aの溝4Aaに装着し、薄膜5を内筒4Acの下部または溝2aに直接装着しても良いし溝2aと内筒4Ac下部の間に挟持しても良い。受圧部6は薄膜5に密着するかあるいは内筒4Acの内周面に装着しても良い。
【0011】また本発明ではリード線7を廃止してワイヤレスにすることができる。図7はワイヤレスタイプの圧力計測装置1の一例を示す概略図で、図2の圧力計測装置1を構成するコネクタ4の内部に発信器14を配置し受圧部6に発信器14を接続して発信器14により受圧部6の圧力データ信号を無線で外部の受信部15に送信するようにしたものである。受信部15は受信した微弱信号を増幅し表示するアンプ9に接続される。発信器14は中央に変換部41が配置され、変換部41の上部にはアンテナ42が装着され、変換部41の下部は結線43を介して受圧部6に接続されている。受圧部6の圧力センサ10の変化量を変換部41で信号に変換しこれをアンテナ42より受信部15に送信し、アンプ9で出力する。また発信器14は図6の圧力計測装置1を構成するコネクタ4Aの内部に図7と同様に配置することができる。
【0012】図8は本発明の圧力計測装置1のその他の実施例を示す圧力計測装置1Dの概略図で、本体2の液体流路2cの上部に薄膜5を配置し、本体2の上部にアダプタ46、中空の管状体45を連結して、これにアダプタ47と圧力センサ50を配置したコネクタ8を介してアンプ9を接続したものである。中空の管状体45(必要に応じてアダプタ46、47)の中には空気または好ましくは液体(生理食塩液、水)を充填して、薄膜5から圧力センサ10への圧力伝導能力をより良くすることができる。図8では本体2と管状体45、管状体45とコネクタ8の間にそれぞれアダプタ46、47を配置しているが本体2と管状体45、管状体45とコネクタ8は直接連結するようにしても良い。圧力センサ50は半導体に限定されず、その他の材料でも使用できる。またコネクタ8側に圧力センサ50を配置してアンプ9に接続する代わりにコネクタ8に圧力計[例えば半導体圧力センサを利用した圧力計、ブルドン管式圧力計、抵抗線(半導体含む)歪計を利用した圧力計、液体(水、水銀等)を利用した圧力計]を接続することができる。
【0013】図9と図10は本発明の圧力計測装置1のその他の実施例を示す圧力計測装置1の概略図で、コネクタ4の内筒4cの壁面内に下部から上部に亘って、薄膜5と内筒4c下部及び受圧部6下部との間に形成される空間16の圧逃孔17を形成するとともに内筒4cの上部(圧逃孔17の上部)に圧逃げ調整用の栓18を装着したものである。図2(図7)の圧力計測装置1では、コネクタ4の内筒4cをアダプタ3の内部に装着する際、空気の逃げ場がないため空間16が圧縮されないようにアダプタ3と内筒4cの隙間から空気を抜きながら装着しないと、空間16に異常な圧力が加わり、薄膜5で正確な圧力を受圧部6に伝導できない懸念がある。また、異常な圧により、薄膜5または受圧部6に損傷を与える懸念もある。このため、図9(図10)の圧力計測装置1は前記のように内筒4cに圧逃孔17と栓18を設け、これらの懸念を回避できるように改良したものである。例えば圧逃孔17上部と栓18にそれぞれネジ山とネジ溝を設け、栓18を締めた時には圧逃孔17と空間16の気密性が保持され、栓18を緩めた時には気密性がなくなり、空間16内が圧逃孔17を介して外気と連通し、空間16内の圧縮された空気を外に排出することができる。圧逃孔17上部と栓18はネジ山とネジ溝の代わりに適切なテーパーを設けて気密性を調整できるようにしても良い。また前記圧逃孔17はアダプタ3の壁面内に下部内側から外側に亘って形成しても良いし、内筒4cとアダプタ3の壁面内に内筒4cの下部からアダプタ3の下部外側に亘って形成しても良い。この場合、栓18はアダプタ3の下部外側に装着される。また前記圧逃孔17はアダプタ3と本体2の壁面内にアダプタ3の下部内側から本体2の上部外側(鍔2bも含む)に亘って形成しても良い。この場合、栓18は本体2の上部外側(鍔2bも含む)に装着される。
【0014】なお圧力計側装置1(1D)は、ディスポ部1Aと圧力モニタ部1Bから構成され、それぞれに区分して使用することができる。ディスポ部1Aは一回限りの使い捨て部分で圧力モニタ部1Bはディスポ部1Aに着脱して反復して何度でも使用できる部分である。前記圧力計測装置1(1D)はディスポ部1Aと圧力モニタ部1Bからなり、前記ディスポ部1Aと圧力モニタ部1Bは次の(a)から(f)のいずれかの組み合わせより選択することができる。
(a)ディスポ部1Aが本体2、薄膜5、圧力モニタ部1Bが受圧部6、リード線7、アンプ9、(b)ディスポ部1Aが本体2、薄膜5、圧力モニタ部1Bが受圧部6、発信機14、受圧部15、(c)ディスポ部1Aが本体2、薄膜5、圧力モニタ部1Bが受圧部6、圧力センサ、コネクタ8、アンプ9、(d)ディスポ部1Aが本体2、薄膜5、圧力モニタ部1Bが受圧部6、コネクタ8、圧力計、(e)ディスポ部1Aが本体2、薄膜5、圧力モニタ部1Bが管状体45、圧力センサ50、コネクタ8、アンプ9、(f)ディスポ部1Aが本体2、薄膜5、圧力モニタ部1Bが管状体45、コネクタ8、圧力計、【0015】
【発明の作用効果】■体外循環時の圧力を正確に測定できるのでシャントトラブルや血圧低下を迅速に感知することができる。
■圧力測定部位(受圧部6)が滑らかでかつ空気との接触がない構造を採用することができるので血液のクロッティングが生じにくい。
【出願人】 【識別番号】000200035
【氏名又は名称】川澄化学工業株式会社
【出願日】 平成12年4月4日(2000.4.4)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−13024(P2001−13024A)
【公開日】 平成13年1月19日(2001.1.19)
【出願番号】 特願2000−101737(P2000−101737)