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【発明の名称】 温度センサ回路
【発明者】 【氏名】田島 修

【要約】 【課題】本発明は、出力電圧のばらつきがなく、精度が向上する温度センサ回路を提供することを目的とする。

【解決手段】差動回路で構成され所定の温度特性を持つ絶対温度比例電圧を出力する温度センサ部(Q3〜Q8,R2,R3,16,18)と、一端に前記絶対温度比例電圧を印加されると共に定電流を流されており前記絶対温度比例電圧を降下させて他端より出力する第1の抵抗素子(R6)とを有するため、第1の抵抗素子(R6)から出力されるシフトされた絶対温度比例電圧が、トランジスタの素子定数によってばらつくことがなく、出力電圧のばらつきを防止できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 差動回路で構成され所定の温度特性を持つ絶対温度比例電圧を出力する温度センサ部と、一端に前記絶対温度比例電圧を印加されつと共に定電流を流されており前記絶対温度比例電圧を降下させて他端より出力する第1の抵抗素子とを有することを特徴とする温度センサ回路。
【請求項2】 請求項1記載の温度センサ回路において、前記定電流は、第2の抵抗素子に電流を流して発生する電圧がツェナー電圧と一致するように制御して得た電流であることを特徴とする温度センサ回路。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は温度センサ回路に関し、特に、半導体素子の温度特性を利用して温度を検出する温度センサ回路に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、半導体素子の温度特性を利用して温度を検出する温度センサ回路がある。図2は、従来の温度センサ回路の一例の回路図を示す。同図中、電源Vccと接地GND間に定電流源10とツェナーダイオード12とが直列接続されて、定電圧源を構成している。定電流源10とツェナーダイオード12のカソードとの接続点は、演算増幅器14の非反転入力端子に接続されてツェナーダイオード12で発生した定電圧のツェナー電圧ツェナー電圧VZが演算増幅器14に供給されている。演算増幅器14の出力端子はnpnトランジスタQ1のベースに接続され、トランジスタQ1のエミッタは抵抗R1を介して接地されると共に演算増幅器14の反転入力端子に接続され、トランジスタQ1のコレクタはpnpトランジスタQ2のコレクタに接続されている。上記の演算増幅器14とトランジスタQ1と抵抗R1は、抵抗R1に電流を流して発生する電圧がツェナー電圧VZと一致するように制御して精度の良い定電流を得ており、トランジスタQ1のコレクタ電流はVZ/R1で表される。
【0003】トランジスタQ2のエミッタは電源Vccに接続され、トランジスタQ2のベースはコレクタに接続されると共にpnpトランジスタQ9のベースに接続され、トランジスタQ9のエミッタは電源Vccに接続され、トランジスタQ9のコレクタはpnpトランジスタQ10のエミッタに接続されている。トランジスタQ2,Q9はカレントミラー回路を構成しており、トランジスタQ10のエミッタ電流IEQ10はVZ/R1となる。
【0004】pnpトランジスタQ3,Q4はエミッタ面積比が1:n(nは例えば8)とされており、トランジスタQ3,Q4のエミッタは共通接続され定電流源16を介して電源Vccに接続されている。トランジスタQ3,Q4それぞれのコレクタはnpnトランジスタQ5,Q6それぞれコレクタに接続されている。トランジスタQ5,Q6のベースは共通接続されてトランジスタQ6のコレクタに接続され、トランジスタQ5,Q6のエミッタは接地されてカレントミラー回路を構成しており、トランジスタQ3,Q4の構成する差動回路に動作電流を供給している。トランジスタQ4のベースは抵抗R2の一端に接続され、トランジスタQ3のベースは抵抗R2の他端に接続されている。
【0005】トランジスタQ3のコレクタはnpnトランジスタQ7のベースに接続され、トランジスタQ7のコレクタはnpnトランジスタQ8のベースに接続され、かつ、定電流源18を介して電源Vccに接続され、更に位相補正用のコンデンサC1を介してベースに接続され、エミッタは接地されている。トランジスタQ8のコレクタは電源Vccに接続され、エミッタは直列接続された抵抗R2,R3を介して接地されている。これにより、差動回路の出力がトランジスタQ3のコレクタからトランジスタQ7に供給されて増幅され、エミッタフォロア構成のトランジスタQ8のエミッタから電圧VPTATとして出力されると共に、抵抗R2,R3から差動回路に帰還されている。
【0006】上記のトランジスタQ3〜Q8,抵抗R2,R3及び定電流源16,18は温度センサ部を構成しており、電圧VPTATはトランジスタQ3とQ4のベース・エミッタ間電圧降下の差に応じた温度特性を持つため絶対温度比例電圧と呼ばれ、(1)式で表される。
PTAT=[(R2+R3)/R2]・[k・T/q]・ln(n)…(1)
但し、kはボルツマン定数、Tは絶対温度[deg]、qは電荷、lnは自然対数、nはトランジスタQ3,Q4のエミッタ面積比である。
【0007】トランジスタQ8のエミッタは、トランジスタQ9のコレクタ及びトランジスタQ10のエミッタに接続されている。トランジスタQ10のコレクタは接地され、ベースは演算増幅器20の非反転入力端子に接続されている。演算増幅器20の出力端子は端子22に接続されると共に、抵抗R5を介して演算増幅器20の反転入力端子に接続されており、また、反転入力端子は抵抗R4を介して接地され、増幅度(R4+R5)/R4の非反転増幅器を構成している。これにより、トランジスタQ8のエミッタの電圧VPTATはトランジスタQ10のベース・エミッタ間降下電圧VBEQ10 だけシフトされた後、演算増幅器20で増幅されて端子22から出力される。
【0008】例えば10mV/degといった大きな温度勾配の回路を作成する場合には、絶対温度比例電圧VPTATの動作電圧が上昇する。そのため、電源電圧Vccが3V以下の低電圧で動作させるために、トランジスタQ10のVBEQ10 でレベルシフトを行っている。端子22の出力電圧Voutは(2)式で表される。
Vout=(VPTAT−VBEQ10 )・(R4+R5)/R4 …(2)
BEQ10 =[k・T/q]・ln(IEQ10/IS
=[k・T/q]・ln[VZ/(R1・IS )] …(3)
但し、IS はトランジスタ形成時の不純物の拡散濃度等で定まる素子定数。
【0009】上記の絶対温度比例電圧VPTATは例えば4mV/deg程度であり、VBEQ10は−2mV/deg程度である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来回路の出力電圧Voutは(2)式で表される温度特性を有している。(2)式において、抵抗R4,R5それぞれは温度変化するが、(R4+R5)/R4の項では温度変化分が相殺される。VPTATは(1)式で表され温度特性を有している。(1)式の(R2+R3)/R2の項は温度変化分が相殺され、k,q,nそれぞれは定数であり、ばらつきはない。
【0011】しかし、レベルシフトを行っているトランジスタQ10のVBEQ10 は(3)式で表される温度特性を有している。(3)式において、ツェナー電圧VZは温度変化がほとんどないが、IS はトランジスタ形成時の不純物の拡散濃度等で定まる素子定数IS は、トランジスタQ10を形成するときにばらつく。この素子定数IS のばらつきのために、各温度センサ回路では出力電圧Voutがばらつき、精度が悪化するという問題があった。
【0012】本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、出力電圧のばらつきがなく、精度が向上する温度センサ回路を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、差動回路で構成され所定の温度特性を持つ絶対温度比例電圧を出力する温度センサ部(Q3〜Q8,R2,R3,16,18)と、一端に前記絶対温度比例電圧を印加されると共に定電流を流されており前記絶対温度比例電圧を降下させて他端より出力する第1の抵抗素子(R6)とを有する。
【0014】このように、第1の抵抗素子(R6)に定電流を流し、その電圧降下によって絶対温度比例電圧をシフト(降下)させているため、第1の抵抗素子(R6)から出力されるシフトされた絶対温度比例電圧が、トランジスタの素子定数によってばらつくことがなく、出力電圧のばらつきを防止できる。請求項2に記載の発明は、請求項1記載の温度センサ回路において、前記定電流は、第2の抵抗素子(R1)に電流を流して発生する電圧がツェナー電圧と一致するように制御して得た電流である。
【0015】このため、第1の抵抗素子(R6)の温度変化と第2の抵抗素子(R1)の温度変化とを相殺でき、精度の良い温度検出が可能となる。なお、上記括弧内の符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例にすぎない。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は本発明の温度センサ回路の一実施例の回路図を示す。同図中、図2と同一部分には同一符号を付す。図1において、電源Vccと接地GND間に定電流源10とツェナーダイオード12とが直列接続されて、定電圧源を構成している。定電流源10とツェナーダイオード12のカソードとの接続点は、演算増幅器14の非反転入力端子に接続されてツェナーダイオード12で発生した定電圧のツェナー電圧VZが演算増幅器14に供給されている。演算増幅器14の出力端子はnpnトランジスタQ1のベースに接続され、トランジスタQ1のエミッタは抵抗R1を介して接地されると共に演算増幅器14の反転入力端子に接続され、トランジスタQ1のコレクタはpnpトランジスタQ2のコレクタに接続されている。上記の演算増幅器14とトランジスタQ1と抵抗R1は、抵抗R1に電流を流して発生する電圧がツェナー電圧VZと一致するように制御して精度の良い定電流を得ており、トランジスタQ1のコレクタ電流はVZ/R1で表される。
【0017】トランジスタQ2のエミッタは電源Vccに接続され、トランジスタQ2のベースはコレクタに接続されると共にpnpトランジスタQ9のベースに接続され、トランジスタQ9のエミッタは電源Vccに接続され、トランジスタQ9のコレクタはnpnトランジスタQ12のコレクタに接続されている。トランジスタQ2,Q9はカレントミラー回路を構成しており、トランジスタQ9のコレクタ電流ICQ9 はVZ/R1となる。
【0018】pnpトランジスタQ3,Q4はエミッタ面積比が1:n(nは例えば8)とされており、トランジスタQ3,Q4のエミッタは共通接続され定電流源16を介して電源Vccに接続されている。トランジスタQ3,Q4それぞれのコレクタはnpnトランジスタQ5,Q6それぞれコレクタに接続されている。トランジスタQ5,Q6のベースは共通接続されてトランジスタQ6のコレクタに接続され、トランジスタQ5,Q6のエミッタは接地されてカレントミラー回路を構成しており、トランジスタQ3,Q4の構成する差動回路に動作電流を供給している。トランジスタQ4のベースは抵抗R2の一端に接続され、トランジスタQ3のベースは抵抗R2の他端に接続されている。
【0019】トランジスタQ3のコレクタはnpnトランジスタQ7のベースに接続され、トランジスタQ7のコレクタはnpnトランジスタQ8のベースに接続され、かつ、定電流源18を介して電源Vccに接続され、更に位相補正用のコンデンサC1を介してベースに接続され、エミッタは接地されている。トランジスタQ8のコレクタは電源Vccに接続され、エミッタは直列接続された抵抗R2,R3を介して接地されている。これにより、差動回路の出力がトランジスタQ3のコレクタからトランジスタQ7に供給されて増幅され、エミッタフォロア構成のトランジスタQ8のエミッタから電圧VPTATとして出力されると共に、抵抗R2,R3から差動回路に帰還されている。
【0020】上記のトランジスタQ3〜Q8,抵抗R2,R3及び定電流源16,18は温度センサ部を構成しており、電圧VPTATはトランジスタQ3とQ4のベース・エミッタ間電圧降下の差に応じた温度特性を持つため絶対温度比例電圧と呼ばれ、(1)式で表される。トランジスタQ8のエミッタは、抵抗R6を介してnpnトランジスタQ11のコレクタ及び演算増幅器20の非反転入力端子に接続されている。トランジスタQ11,Q12はベースを共通接続されてトランジスタQ12のコレクタに接続され、トランジスタQ11,Q12のエミッタは接地されてカレントミラー回路を構成している。このため、トランジスタQ11のコレクタ電流ICQ11はトランジスタQ9のコレクタ電流ICQ9 と同一でVZ/R1となる。
【0021】演算増幅器20の出力端子は端子22に接続されると共に、抵抗R5を介して演算増幅器20の反転入力端子に接続されており、また、反転入力端子は抵抗R4を介して接地され、増幅度(R4+R5)/R4の非反転増幅器を構成している。これにより、トランジスタQ8のエミッタの電圧VPTATは、抵抗R6に電流電流ICQ11が流れ降下する電圧ICQ11・R6だけシフトされた後、演算増幅器20で増幅されて端子22から出力される。
【0022】例えば10mV/degといった大きな温度勾配の回路を作成する場合には、絶対温度比例電圧VPTATの動作電圧が上昇する。そのため、電源電圧Vccが3V以下の低電圧で動作させるために、抵抗R6でレベルシフトを行っている。端子22の出力電圧Voutは次式で表される。
Vout=(VPTAT−ICQ11・R6)・(R4+R5)/R4 =(VPTAT−VZ・R6/R1)・(R4+R5)/R4 …(4)
上記の絶対温度比例電圧VPTATは例えば4mV/deg程度である。
【0023】上記の本発明回路は(4)式で表される温度特性を有している。(4)式において、VPTATは(1)式で表される温度特性を有している。抵抗R4,R5それぞれは温度変化するが、(R4+R5)/R4の項では温度変化分が相殺され、また、抵抗R1,R6それぞれは温度変化するが、R6/R1の項では温度変化分が相殺され、また、ツェナー電圧VZは温度変化がほとんどない。図1の回路では従来のように回路素子形成時の不純物の拡散濃度等で定まる素子定数IS を持たないため、出力電圧Voutがばらつくことはなく、温度の検出精度が向上する。
【0024】なお、抵抗R1が請求項記載の第2の抵抗に対応し、抵抗R6が第1の抵抗に対応する。
【0025】
【発明の効果】上述の如く、請求項1に記載の発明は、第1の抵抗素子に定電流を流し、その電圧降下によって絶対温度比例電圧をシフト(降下)させているため、第1の抵抗素子から出力されるシフトされた絶対温度比例電圧が、トランジスタの素子定数によってばらつくことがなく、出力電圧のばらつきを防止できる。
【0026】請求項2に記載の発明は、第1の抵抗素子の温度変化と第2の抵抗素子の温度変化とを相殺でき、精度の良い温度検出が可能となる。
【出願人】 【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
【出願日】 平成11年10月28日(1999.10.28)
【代理人】 【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
【公開番号】 特開2001−124632(P2001−124632A)
【公開日】 平成13年5月11日(2001.5.11)
【出願番号】 特願平11−307583