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【発明の名称】 高温材料試験片への熱電対取付け方法
【発明者】 【氏名】加藤 章一

【氏名】川島 成一

【要約】 【課題】熱電対測温部を高温材料試験片に迅速、確実に且つ容易に取り付けることができるようにする。また、作業者の熟練度を必要とせず、大型試験片に熱電対を取り付けることができるようにする。

【解決手段】高温材料試験片10の側面に熱電対測温部22を当接し、その外側を耐熱性の帯状体30でほぼ半周巻となるように覆う。帯状体の両端にコイルバネ32の一端を接続し、他端を該コイルバネが伸長状態となるように外部固定部材(支柱34)に結合し、コイルバネの収縮力を利用して帯状体で熱電対測温部を材料試験片表面に圧接保持する。外部固定部材への固定のし易さから、2本のコイルバネを用いるのが好ましいが、1本のコイルバネで引っ張る構成でもよい。耐熱性の帯状体は、数本の耐熱性ひもを編んで帯状にし両端が丸い輪になるように保持した構造や耐熱性テープの両端に輪状部分を設けた構造がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 高温材料試験片の側面に熱電対測温部を当接し、その外側を耐熱性材料からなる帯状体でほぼ半周巻となるように覆い、該帯状体の両端にコイルバネの一端を接続し、コイルバネの他端を該コイルバネが伸長状態となるように外部固定部材に結合し、コイルバネの収縮力を利用して前記帯状体で熱電対測温部を高温材料試験片表面に圧接保持するようにしたことを特徴とする高温材料試験片への熱電対取付け方法。
【請求項2】 帯状体の両端にそれぞれコイルバネの一端ずつを接続し、両方のコイルバネの他端が、該コイルバネが伸長状態となるように外部固定部材に結合されており、各コイルバネの伸長方向と熱電対測温部の圧接方向とのなす取付け角度を45度以下に設定する請求項1記載の高温材料試験片への熱電対取付け方法。
【請求項3】 耐熱性材料からなる帯状体が、数本の耐熱性ひもを編んで帯状にし、その両端が丸い輪になるように保持した構造である請求項1又は2記載の高温材料試験片への熱電対取付け方法。
【請求項4】 耐熱性材料からなる帯状体が、耐熱性テープの両端に輪状部分を設けた構造である請求項1又は2記載の高温材料試験片への熱電対取付け方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温材料試験片に熱電対を取り付ける方法に関し、更に詳しく述べると、コイルバネの収縮力を利用して耐熱性の帯状体によって熱電対測温部を高温材料試験片の表面に圧接保持するようにした熱電対取付け方法に関するものである。この技術は、例えば高温疲労試験において、大型試験片に熱電対測温部を確実に取り付けるのに有効である。
【0002】
【従来の技術】高速増殖炉の原子炉容器や配管などの設計に用いる設計線(ひずみ範囲と破損繰り返し数との関係、安全裕度を含む)を得るために、高温疲労試験を行っている。高温疲労試験機は、例えば図1のような構造をなしている。Aは全体構成図であり、Bは要部の詳細図である。試験片10の両端をグリップ12で掴み、試験片10の温度を一定(設定に対して±5℃以内)に維持した状態で、該試験片10に押し当てているひずみ計14により、試験片のひずみ(変位)を制御してアクチュエータ16により繰り返し負荷を与える。試験片10に加わる応力はロードセル18で測定する。得られるデータは、破損繰り返し数、動的応力−ひずみ関係データなどである。
【0003】例えば高速増殖炉の構造材料では、オーステナイト系ステンレス鋼、フェライト系鋼などが試験対象であり、試験片は全長25cm程度の大型の円筒状であり、中央部分は外形が括れて薄肉状になっている。試験片10には高周波加熱用のワークコイル20で高周波を印加することにより加熱制御する。測定温度範囲は、450〜650℃程度である。
【0004】高温疲労試験における試験中の温度制御は、信頼性の高い疲労強度データを得る上で極めて重要である。そのため上記のように、試験中、試験片10の温度を一定(設定に対して±5℃以内)に維持する必要がある。具体的には、熱電対測温部22を試験片10の表面に当接保持させ、その測定値に基づき温度制御を行う。従来、小型試験片の場合には、耐熱性ひもを用いて試験片に熱電対測温部を縛り付ける方法が採用されてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この耐熱性ひもによる縛り付け方法によって大型試験片による高温疲労試験を実施したところ、計測誤差が大きくなる(最大15℃程度)問題が生じた。これは、熱電対測温部の当接保持状態が作業者の熟練度に左右され、未熟練者による作業では緩みが生じ易いためと考えられる。
【0006】試験片に熱電対を取り付ける他の方法として、熱電対測温部の点付け溶接が考えられる。しかし、高温疲労試験では、点付け溶接部分が試験片の亀裂発生源となるため採用することができない。
【0007】本発明の目的は、熱電対測温部を高温材料試験片に迅速、確実に且つ容易に取り付けることができる方法を提供することである。本発明の他の目的は、大型試験片に熱電対を取り付ける際に、作業者の熟練度を必要としない方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、高温材料試験片の側面に熱電対測温部を当接し、その外側を耐熱性材料からなる帯状体でほぼ半周巻となるように覆い、該帯状体の両端にコイルバネの一端を接続し、コイルバネの他端を該コイルバネが伸長状態となるように外部固定部材に結合し、コイルバネの収縮力を利用して前記帯状体で熱電対測温部を高温材料試験片表面に圧接保持するようにした高温材料試験片への熱電対取付け方法である。
【0009】耐熱性材料からなる帯状体の両端をまとめて1本のコイルバネに接続し、引っ張る方式でもよいが、帯状体の両端にそれぞれコイルバネの一端ずつを接続し、両方のコイルバネの他端を、該コイルバネが伸長状態となるように外部固定部材に結合する方式の方が好ましい。その場合、各コイルバネの伸長方向と熱電対測温部の圧接方向とのなす取付け角度を45度以下に設定するのがよい。
【0010】耐熱性材料からなる帯状体としては、数本の耐熱性ひもを編んで帯状にし、その両端が丸い輪になるように保持した構造が好適である。その他、耐熱性テープの両端に輪状部分を設けた構造等でもよい。
【0011】
【実施例】図2は、本発明に係る高温材料試験片への熱電対取付け方法の一実施例を示す説明図である。Aは正面図であり、Bは側面図である。これは高温疲労試験機に適用した例であり、試験機自体は図1に示すものと同様であってよいので、それについての説明は省略する。
【0012】大型の材料試験片10は、上下のグリップ12によって高温疲労試験機にセットされる。その大型の材料試験片10の側面に熱電対測温部22を当接し、その外側を耐熱性材料からなる帯状体30でほぼ半周巻となるように覆う。該帯状体30の両端にそれぞれコイルバネ32の一端ずつを接続し、両方のコイルバネ32の他端を、該コイルバネ32が伸長状態となるように、それぞれ外部固定部材(高温疲労試験機の基台部分から立設した支柱34)に結合する。このようにして、コイルバネ32の収縮力を利用して前記帯状体30で熱電対測温部22を材料試験片10の表面に圧接保持する。なお、符号20は高周波加熱用のワークコイルである。
【0013】ここで使用した耐熱性材料からなる帯状体の一例を図3に示す。耐熱性材料からなる帯状体30は、数本の耐熱性ひも40を編んで帯状にし、その両端が丸い輪になるように保持した構造である。耐火繊維(ここではシリカ繊維を使用しており、その最高使用温度は1300℃である)からなる4本の耐熱性ひもを編んで、両端を丸く輪にしてステンレス鋼製の針金42を巻き付け固定することで作製している。シリカ繊維に代えて、セラミックス繊維などを用いてもよい。コイルバネとしては、そのバネ定数kが、k=0.026〜0.046kgf/cm程度のものがよく、ステンレス鋼線あるいはそれ以外の鋼線などからなる。
【0014】高温材料試験片に熱電対測温部を取り付ける手順は、次の通りである。まず、2個のコイルバネのそれぞれの一端を支柱に固定しておく。そのうち一方のコイルバネの他端に、耐熱性の帯状体の一端を取り付けておく。そして、材料試験片の中央部分に熱電対測温部を当て、耐熱性の帯状体で覆って押さえ、該耐熱性の帯状体の他端を、他方のコイルバネの他端に引っ掛けて、両方のコイルバネで引っ張るようにして取り付ける。耐熱性の帯状体の他端を他方のコイルバネの他端に引っ掛ける際には、金属棒の先端部が曲がったステッキ形状の引掛け金具を用いて該コイルバネを引っ張ると容易に作業を行える。
【0015】逆に高温材料試験片から熱電対測温部を取り外すには、上記引掛け金具を用いて、一方のコイルバネを引っ張るようにして耐熱性の帯状体を弛め、耐熱性の帯状体との接続部分を取り外せばよい。
【0016】図4は、コイルバネの取付け角度の説明図である。2本のコイルバネを用いて保持する場合、図4に示すように、両コイルバネ32の伸長方向x、yと熱電対測温部22の圧接方向pとのなす取付け角度θを0〜45度の範囲内に設定するのがよく、より好ましくは15〜30度程度とするのがよい。ある程度の角度をつけて引っ張ることで、熱電対測温部をより確実に試験片表面に当接させることができる。
【0017】上記の方法によって、大型試験片を用いた高温疲労試験を、温度計測誤差3℃以内で実施することができた。
【0018】上記のように外部固定部材(支柱)への固定のし易さから、2本のコイルバネを用いるのが好ましいが、1本のコイルバネで引っ張る構成でもよい。耐熱性の帯状体としては、耐熱テープを用いてもよい。
【0019】なお、熱電対測温部の当接保持のために横方向の力が加わるが、この横方向の力は試験片軸方向の力(1000〜3000kg)に比べて非常に小さなものであり、疲労強度への影響は全く生じない。
【0020】
【発明の効果】本発明は上記のように、コイルバネの収縮力を利用して耐熱性の帯状体によって熱電対測温部を高温材料試験片表面に圧接保持する方法であるから、大型試験片に容易に且つ確実に熱電対を取り付けることができ、高温疲労試験を高精度で実施することができる。そして、熱電対取り付けに関して作業者の熟練度が必要無くなり、試験の信頼性が向上する。
【0021】本発明方法は、大型試験片のみならず従来の小型試験片にも適用でき、汎用性がある。また、耐熱性の帯状体は、迅速に着脱でき、何度でも使用できるので、作業効率が大幅に向上する。
【出願人】 【識別番号】000224754
【氏名又は名称】核燃料サイクル開発機構
【出願日】 平成11年9月16日(1999.9.16)
【代理人】 【識別番号】100078961
【弁理士】
【氏名又は名称】茂見 穰
【公開番号】 特開2001−83016(P2001−83016A)
【公開日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【出願番号】 特願平11−262062