| 【発明の名称】 |
赤外線センサ、センサ装置及び赤外線センサの調整方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】梅田 秀信
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| 【要約】 |
【課題】赤外線センサ(温度センサ)の補正データを光信号によって該センサに書き込めるようにすることにある。
【解決手段】非接触温度センサ21は赤外線検出素子22と室温検出素子23とを備え、EEPROM28には両素子22、23の補正データが格納されている。また、非接触温度センサ21は、光送受信回路29、投光素子30a、受光素子30bからなる光通信手段を有し、この光通信手段を通じてEEPROM28に補正データを書き込まれる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 赤外線検出素子と、信号処理回路と、外部とデータ伝送するための光通信手段とを備えた赤外線センサ。 【請求項2】 前記赤外線検出素子と前記信号処理回路を樹脂モールドしたことを特徴とする、請求項1に記載の赤外線センサ。 【請求項3】 前記赤外線検出素子を熱伝導性の低い樹脂を用いてモールドし、前記光通信手段の光入出力部分を透光性樹脂を用いてモールドしたことを特徴とする、請求項2に記載の赤外線センサ。 【請求項4】 前記赤外線検出素子を熱伝導性の比較的低い樹脂を用いてモールドし、前記信号処理回路や前記光通信手段のうち少なくとも発熱の大きな部分を熱伝導性の比較的高い透光性樹脂を用いてモールドし、該熱伝導性の比較的高い樹脂が外気と接するようにしたことを特徴とする、請求項2に記載の赤外線センサ。 【請求項5】 請求項1に記載の赤外線センサと、光通信手段を備えた装置とを備え、赤外線センサの光通信手段と当該装置の光通信手段との通信によって赤外線センサと当該装置との間でデータ通信を行えるようにしたセンサ装置。 【請求項6】 請求項1に記載の前記赤外線センサと、光通信手段を備えた演算処理装置とを備え、被測定物を測定した前記赤外線センサからの信号を光通信によって該演算処理装置へ取り込み、該演算処理装置によってセンサ特性に対する補正値を演算し、該補正値を光通信によって前記赤外線センサの前記信号処理回路へ書き込むようにした赤外線センサの調整方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、物体から放射される赤外線を検知する赤外線センサ、該赤外線センサを用いたセンサ装置及び赤外線センサの調整方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、赤外線センサの感度やオフセットなどの補正は、センサ出荷時にポテンションメータや薄膜抵抗のレーザートリミングにより、回路の抵抗値を調整しておこなわれることが多い。 【0003】例えば、図1に示す赤外線センサ1では、増幅回路2に設けられた調整抵抗3の抵抗値を調整して増幅回路2の増幅度を変更することにより、サーモパイルなどの赤外線検出素子4の感度を調整している。また、赤外線検出素子4のオフセットは、調整抵抗5の抵抗値を調整して増幅回路6のオフセットを変更することにより調整される。ここで調整抵抗3、5はポテンションメータでもよいし、レーザートリミング抵抗でもよい。 【0004】また、放射赤外線を測定して物体表面温度を測定する非接触温度センサにおいては、赤外線検出素子の感度やオフセットに加え、入出力特性の直線性、周囲温度の変動による出力変動などの項目も補正する必要がある。近年、これらの補正にはマイクロプロセッサ(CPU)を使うことが一般的になり、メモリに補正データを書き込んでセンサ出力を調整する方法が採用されている。 【0005】図2はこのような補正方式による非接触温度センサの構造を示すブロック図である。この非接触温度センサ11においては、赤外線検出素子12と室温検出素子13の出力を増幅回路14、15で増幅し、ADコンバータ16でデジタルデータに変換してマイクロコンピュータ(ワンチップマイコン)17に入力する。EEPROM18には赤外線検出素子12の感度、オフセット、直線性、温度特性の補正データと、室温検出素子13の感度、オフセット、直線性の補正データが格納されており、マイクロプロセッサ17で各補正値を読み込んで赤外線検出素子12及び室温検出素子13の出力の補正演算をおこなう。 【0006】このようにマイクロコンピュータを用いて行う直線性の補正や温度特性の補正には、多高次近似補正が一般に用いられる。EEPROM18へ格納する補正データは、赤外線検出素子12、室温検出素子13の出力を事前に測定し、パーソナルコンピュータなどで補正値を計算により算出され、その値をマイクロコンピュータ17を介してEEPROM18に格納される。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】上記のように補正データをメモリに書き込んでおき、マイクロコンピュータによって素子の特性を補正する方法では、温度センサ11内のマイクロコンピュータ17と例えばパーソナルコンピュータなどの書き込み装置を電気的に接続する必要があり、ケーブルや端子を温度センサ11から外部へ引き出しておく必要がある。 【0008】しかし、補正用に用いられるケーブルや端子はセンサ出荷時にのみ必要であり、センサ使用時には必要ないから、ユーザーにとっては邪魔になるばかりである。例えば、ユーザーによるセンサ使用時においては、これらケーブルや端子から電気的ノイズが侵入し、センサの誤動作につながる恐れがあったり、静電気を誘導する経路となって内蔵の電子部品が破壊される恐れもある。 【0009】本発明は上記従来例の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、赤外線センサ等の補正値などのデータを光信号によって受信または送信できるようにすることにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】請求項1に記載の赤外線センサは、赤外線検出素子と、信号処理回路と、外部とデータ伝送するための光通信手段とを備えたことを特徴としている。 【0011】ここで、信号処理回路は、例えばマイクロコンピュータ(CPU)やメモリを備えたものであって、光通信手段を通じて外部から伝送されたデータは信号処理回路に書き込まれて保存される。データを書き込むためのメモリは、書き換え可能なメモリであれば、どのようなものでもよいが、例えばEEPROMを用いることができる。また、赤外線検出素子としては、例えばサーモパイルや焦電型のものを用いることができる。 【0012】請求項2に記載の赤外線センサは、請求項1に記載した赤外線センサにおける前記赤外線検出素子と前記信号処理回路を樹脂モールドしたことを特徴としている。 【0013】このとき、光通信手段が外部とデータ伝送できるようにするためには、光通信手段の光入出力部を樹脂モールドの外部に露出させておいてもよく、透光性を有する樹脂でモールドするようにしてもよい。 【0014】請求項3に記載の赤外線センサは、請求項2に記載した赤外線センサにおける前記赤外線検出素子を熱伝導性の低い樹脂を用いてモールドし、前記光通信手段の光入出力部分を透光性樹脂を用いてモールドしたことを特徴としている。 【0015】熱伝導性の低い樹脂としては、例えば発泡ポリウレタン等の樹脂発泡体などを用いることができ、透光性樹脂としては、透明タイプのエポキシ樹脂などを用いることができる。 【0016】請求項4に記載の赤外線センサは、請求項2に記載した赤外線センサにおいて、前記赤外線検出素子を熱伝導性の比較的低い樹脂を用いてモールドし、前記信号処理回路や前記光通信手段のうち少なくとも発熱の大きな部分を熱伝導性の比較的高い透光性樹脂を用いてモールドし、該熱伝導性の比較的高い樹脂が外気と接するようにしたことを特徴としている。 【0017】熱伝導性の比較的低い樹脂は、熱伝導性の比較的高い樹脂よりも熱伝導率の小さなものであればよいが、例えば発泡ポリウレタン等の樹脂発泡体などを用いることができる。また、熱伝導性の比較的高い透光性樹脂は、熱伝導率の比較的低い樹脂よりも熱伝導率の大きなものであればよいが、例えばアルミナ混合樹脂のように金属粉を分散させた樹脂などを用いることができる。 【0018】請求項5に記載のセンサ装置は、請求項1に記載の赤外線センサと、光通信手段を備えた装置とを備え、赤外線センサの光通信手段と当該装置の光通信手段との通信によって赤外線センサと当該装置との間でデータ通信を行えるようにしたことを特徴としている。 【0019】ここでいう装置としては、デスクトップ型やノート型のパーソナルコンピュータ、コンソールタイプのアダプタや補助機器などが典型的なものであり、赤外線センサに各種データを入力したり、赤外線センサからの信号を受信して保存したり、表示したりするものであるが、光通信手段によって赤外線センサと各種データの通信をできるものであればよく、特にこれらに限るものではない。 【0020】請求項6に記載した赤外線センサの調整方法は、請求項1に記載の前記赤外線センサと、光通信手段を備えた演算処理装置とを備え、被測定物を測定した前記赤外線センサからの信号を光通信によって該演算処理装置へ取り込み、該演算処理装置によってセンサ特性に対する補正値を演算し、該補正値を光通信によって前記赤外線センサの前記信号処理回路へ書き込むようにしたことを特徴としている。 【0021】 【作用】請求項1に記載の赤外線センサは、光通信手段によって外部の機器とデータ通信することができる。外部とデータ伝送するための光通信手段を備えているので、この赤外線センサにあっては、外部とデータ伝送するためのケーブルや端子をセンサ外部へ引き出す必要がなくなる。そのため、センサ使用中にこれらのケーブルや端子から電気的ノイズが侵入し、赤外線センサの誤動作を引き起こしたり、静電気によって内部の電子部品等が破壊されたりすることがなくなる。 【0022】また、必ずしも電気信号を伝送するためのケーブルや端子のように通信相手とコネクタ等で接続する必要がないので、空間を隔てて通信相手と光通信する場合には、通信のための準備を簡単にすることができる。 【0023】請求項2に記載の赤外線センサにあっては、前記赤外線検出素子と前記信号処理回路を樹脂モールドしているから、樹脂によって赤外線検出素子や信号処理回路を保護することができ、赤外線センサの耐衝撃性、耐水性、耐湿性を高めることができる。 【0024】さらに、請求項2に記載の赤外線センサでは、光通信手段を用いているから、赤外線センサを樹脂モールドした状態においても問題なく外部とデータ通信することができる。すなわち、端子を通じて外部と通信する方式では、樹脂モールドする場合、端子を樹脂モールド中に埋め込むと、樹脂モールド後にはデータ通信することができず、端子を樹脂モールドから露出させていると、端子から静電気が流れたり、ノイズを拾ったりする問題があるが、請求項2に記載の赤外線センサでは、このような問題がない。 【0025】請求項3に記載の赤外線センサにあっては、赤外線検出素子を熱伝導性の低い樹脂を用いてモールドしているので、赤外線検出素子と外気との断熱効果が高まり、周囲温度変動に対する安定性が高くなる。さらに、光通信手段の光入出力部分を透光性樹脂を用いてモールドしているので、光通信を妨げることなく光通信手段における耐湿性などの耐環境性を高めることができる。 【0026】請求項4に記載の赤外線センサにあっては、赤外線検出素子を熱伝導性の比較的低い樹脂を用いてモールドしているから、赤外線検出素子と外気との断熱効果が高まり、周囲温度の変動に対するセンサ特性の安定性を高めることができる。また、信号処理回路や光通信手段のうち少なくとも発熱の大きな部分を熱伝導性の比較的高い透光性樹脂を用いてモールドし、該熱伝導性の比較的高い樹脂が外気と接するようにしているから、ここからの発熱は熱伝導性の比較的高い樹脂を通して外気に放熱され、この熱が赤外線検出素子に伝わりにくくなり、赤外線検出素子の熱的安定性が向上する。 【0027】請求項5に記載のセンサ装置にあっては、赤外線センサと前記装置とが光通信手段によってデータ通信できるようになっているので、赤外線センサと当該装置とをケーブルなどで接続する必要がなくなる。そのため、センサ使用中にこれらのケーブルから電気的ノイズが侵入し、赤外線センサの誤動作を引き起こしたり、静電気によって内部の電子部品等が破壊されたりすることがなくなる。 【0028】また、赤外線センサを当該装置とケーブルで結ぶ必要がないので、ケーブルが邪魔になることがなく、赤外線センサを扱い易くなる。 【0029】請求項6に記載の赤外線センサの調整方法にあっては、被測定物を測定した赤外線センサからの信号を光通信によって該演算処理装置へ取り込み、該演算処理装置によってセンサ特性に対する補正値を演算し、該補正値を光通信によって前記赤外線センサの信号処理回路へ書き込むようにしているので、補正値を赤外線センサに書き込むためのケーブルや端子が必要ない。従って、ケーブルや端子からノイズを拾ったり、静電気の通路となって内部の電子部品等が破損する恐れがない。 【0030】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に従って具体的に説明する。 (第1の実施形態)図3は本発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。この実施形態は本発明の赤外線センサを非接触温度センサとして構成したものである。この温度センサ21は、放射赤外線量を計測するためのサーモパイル等の赤外線検出素子22とサーミスタ等の室温検出素子23とを備えており、赤外線検出素子22の出力は増幅回路24で増幅され、室温検出素子23の出力は増幅回路25で増幅されて、それぞれADコンバータ26に入力される。ADコンバータ26に入力された信号は、ADコンバータ26でデジタルデータに変換された後、マイクロコンピュータ(ワンチップマイコン)27に入力される。 【0031】EEPROM28には、赤外線検出素子22の感度、オフセット、直線性および温度特性の補正データと、室温検出素子23の感度、オフセットおよび直線性の補正データが格納されている。マイクロコンピュータ27にデジタルデータが入力されると、マイクロコンピュータ27はEEPROM28から各補正値を読み込み、赤外線検出素子22及び室温検出素子23の出力の補正演算を行い、補正された演算結果を計測温度として出力する。 【0032】このような温度センサ21では、その製造ラインの検査工程や調整工程において、各温度センサ21の特性を測定し、その補正データを個々の温度センサ21に書き込む必要がある。この温度センサ21では、EEPROM28への各補正データの書き込みは、光通信手段を通じて行われる。温度センサ21の光通信手段は、光送受信回路29、発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード等の投光素子30a、フォトダイオード等の受光素子30bによって構成されている。 【0033】一方、温度センサ21に補正データを書き込むためのセンサ調整装置32は、補正データ書き込み装置35と光通信手段によって構成されている。補正データ書き込み装置35はパーソナルコンピュータ(PC)によって構成されており、補正データ書き込み装置35も光送受信回路34、発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード等の投光素子33a、フォトダイオード等の受光素子33bからなる光通信手段を介して温度センサ21とデータを送受信する。 【0034】なお、この温度センサ21には、ケーブルを通じて電源部36から電力が供給される。あるいは、内蔵のバッテリにより電力を供給されるようになっていてもよい。 【0035】このような構成の温度センサ21及び補正データ書き込み装置35においては、製造ラインで、次のようにして温度センサ21のEEPROM28に補正データが書き込まれる。まず、所定の熱源からの赤外線を温度センサ21で測定する。このとき、正確な補正データを得るため、熱源温度と室温(雰囲気温度)は数種類測定するものとする。所定の熱源の温度を計測すると、各熱源温度と室温を計測した赤外線検出素子22および室温検出素子23の出力は、増幅回路24、25とADコンバータ26を介してマイクロコンピュータ27に入力される。マイクロコンピュータ27に格納された赤外線検出素子22および室温検出素子23の測定データは、光送受信回路29で所定の光通信方式で変調され、投光素子30aから送信される。投光素子30aから送信された光信号は、投光素子30aに対向させて配置されているセンサ調整装置32の受光素子33bで受光され、光送受信回路34で元の信号に復調された後、補正データ書き込み装置35に送られる。 【0036】補正データ書き込み装置35では、温度センサ21から受け取った各測定データに基づき、赤外線検出素子22の感度、オフセット、直線性、温度特性の各補正データと、室温検出素子23の感度、オフセット、直線性の各補正データを演算により算出する。算出された各補正データは、光送受信回路34で所定の変調方式で変調され、投光素子33aから送信される。投光素子33aから送信された光信号は、投光素子33aに対向させて配置されている温度センサ21の受光素子30bで受光され、光送受信回路29で元の信号に復調された後、マイクロコンピュータ27に格納され、その後マイクロコンピュータ27からEEPROM28に格納される。 【0037】こうしてEEPROM28に補正データを格納された温度センサ21は、上記のように、この補正データを用いて補正された計測温度を出力する。 【0038】図4は上記の温度センサ21の具体的構造を示す斜視図、図5はその断面図である。先端部にレンズ38を保持したレンズホルダー40は、円筒状をしたケース37の先端部に納められており、レンズ38はケース37の前面開口から露出している。センサ部39は、サーモパイルなどの赤外線検出素子22とサーミスタなどの室温検出素子23を金属パッケージに封止したものであり、ケース37内の基板41に実装されている。レンズ38と基板41とは所定距離を保つようにしてあり、それによってレンズ38と赤外線検出素子22及び室温検出素子23との間で、焦点距離などの光学配置が保たれている。 【0039】回路基板42は、基板41の背面に固定されており、その上には増幅回路24、25、ADコンバータ26、マイクロコンピュータ27、EEPROM28、光送受信回路29等を構成する電子部品44や投光素子30a、受光素子30bなどが実装されている。また、センサ部39内の赤外線検出素子22や室温検出素子23は、リード43により回路基板42に接続されている。なお、回路基板42に電気的に接続されているケーブル46は、温度センサ21への電源供給や温度センサ21からの信号出力のためのものであり、補正データの書き込みのためのものではない。 【0040】電子部品44や投光素子30a、受光素子30bを実装した回路基板42は、ケース37内に納められており、ケース37内に充填されたエポキシ、シリコーン、ウレタンなどの樹脂45で封止されている。これによって温度センサ21は、耐衝撃性、耐水性、耐湿性を付与されている。ただし、レンズホルダー40の内部は空間とし、また投光素子30a、受光素子30bは、ケース37の背面に露出させている。 【0041】このような構成の非接触温度センサ21では、補正データ書き込みのためのケーブルや端子を温度センサ21から外部へ引き出す必要がないため、ユーザが使用中に、これらケーブルや端子から電気的ノイズが侵入し、温度センサ21の誤動作を引き起こしたり、静電気によって電子部品44が破壊されたりすることがなくなる。 【0042】さらに、温度センサ21では、一般にケース37内に樹脂45を充填する前後で赤外線検出素子22周辺の熱伝導特性や熱バランスが変化することにより、そのオフセット値や温度特性などが変化する。このため、補正データの書き込みのための端子を設けておき、補正データを書き込んだ後、この端子を樹脂内に埋め込む方法をとると、ノイズを拾ったり静電気が侵入したりする恐れはなくなるが、樹脂の充填によって温度センサのオフセット値や温度特性が変化してしまい、しかもその変化後の補正データを温度センサに書き込むことはできない。これに対し、本発明の温度センサ21では、樹脂45を充填した後に、温度センサ21の補正データを演算し、書き込みできるので、樹脂充填による熱伝導特性や熱バランス変化も含めた誤差の補正が可能であり、非接触温度センサ21の高精度化も実現できる。 【0043】(第2の実施形態)図6は本発明の別な実施形態による温度センサ51の構造を示す断面図である。全体の構成は、図3の構成と同様であるので、図示を省略する。この温度センサにあっては、モールド用の樹脂に2種類の樹脂を用いる。一方の樹脂52は、発泡ポリウレタンなどのように熱伝導率の低い素材からなり、センサ部39付近をモールドしている。他方の樹脂53は、透明タイプのエポキシ樹脂のような透光性を有する素材からなり、光通信手段の入出力部分である投光素子30aおよび受光素子30bをモールドしている。この場合、投受光素子30a、30bはベアチップであり、回路基板42とはワイヤーボンディングなどで電気的に接続されていてもよい。また、ケース37の一部には、投受光素子30a、30bに対向させて窓54を開口してあり、投光素子30aから出射された光は窓54を通して外部に出射され、受光素子30bは窓54から入射した光を受光するようにしている。 【0044】このような構成を採用すれば、センサ部39は熱伝導率の低い樹脂52でモールドされているため、外気との断熱効果が高まり、周囲温度変動に対する安定性が高くなる。また、投光素子30a及び受光素子30bは透光性を有する樹脂53によって保護されているので、耐湿性などの耐環境性を高めることができる。 【0045】(第3の実施形態)図7は本発明のさらに別な実施形態による非接触温度センサ61の構造を示す断面図である。この実施形態にあっても、全体の構成は図3の構成と同様であるので、図示を省略する。この温度センサ61にあっても、モールド用の樹脂に2種類の樹脂を用いる。一方の樹脂62は、発泡ポリウレタンなどの熱伝導率の低い樹脂であって、センサ部39の付近をモールドしている。他方の樹脂63は、樹脂中にアルミニウム粉を分散させたアルミナ混合樹脂のような熱伝導率の高い樹脂であって、投光素子30aや受光素子30b、投受光素子30a、30bを駆動するトランジスタや電源ICなどの消費電力が大きく発熱量の大きい電子部品44をモールドしており、この熱伝導率の高いモールド用の樹脂63は一部分が外気に露出している。 【0046】このような構成の実施形態によれば、センサ部39が熱伝導率の低い樹脂62でモールドされているので、センサ部39と外気との断熱効果が高まり、周囲温度の変動に対する特性の安定性を高めることができる。また、投受光素子30a、30b、投受光素子30a、30bを駆動するトランジスタや電源ICなどの消費電力が大きく発熱量の大きい電子部品44は、熱伝導率の高い樹脂63でモールドされているので、これらの電子部品44からの発熱は、高熱伝導率の樹脂63を通して外気に放熱される。そのため、電子部品44からの発熱がセンサ部39に伝わりにくく、センサ部39内の赤外線検出素子22や室温検出素子23の熱的安定度が増す。 【0047】(第4の実施形態)サーモパイルなどの赤外線検出素子を用いた非接触温度センサは、物体から放射される赤外線量を測定することによって物体の温度を計測するものであるが、物体から放射される赤外線量は同一温度であっても物体の放射率によって変化する。従って、ユーザーが非接触温度センサを使用する場合には、被測定物体ごとにその放射率に応じて非接触温度センサのデータを補正する必要がある。 【0048】図8に示す実施形態のセンサ装置71は、非接触温度センサ21を使用する際に、ユーザーが被測定物体の赤外線放射率等の測定基礎データを非接触温度センサに入力したり、計測結果を出力できるようにしたものである。このセンサ装置71は、非接触温度センサ21とハンドヘルド型の入出力装置73とからなり、ここでは図3で説明したものと同じ構成の非接触温度センサ21を示している。このセンサ装置71では、温度センサ21が入出力装置73を備えた形態となっているが、温度センサ21と入出力装置73とは別個の形態となっており、ケーブル等によってつながってはいない。 【0049】入出力装置73は、マイクロコンピュータ(ワンチップマイコン)76、データ保存用のメモリ77、操作スイッチなどを有する入力操作部78、液晶表示パネルなどの表示装置79、光送受信回路75、投光素子74a及び受光素子74bを備えている。また、この入出力装置73はコンソールタイプとなっていて、バッテリ80で駆動される。 【0050】しかして、入出力装置73には、入力操作部78から各種被測定物体の赤外線放射率値を入力することができる。入力されたデータは、マイクロコンピュータ76により表示装置79に表示されると共にメモリ77内に書き込まれて保存される。ついで、入力操作部78から被測定物体の種類を指定すると、被測定物体の名前が表示装置79に表示され、該被測定物体の赤外線放射率がメモリ77からマイクロコンピュータ76へ読み出される。さらに、入力操作部78からデータ書き込み命令が送られると、マイクロコンピュータ76は光送受信回路75で赤外線放射率等のデータを変調し光信号として投光素子74aから温度センサ21へ送信する。 【0051】入出力装置73からデータを送信されると、温度センサ21は受光素子30bで光信号を受信し、光送受信回路29で復調し、EEPROM28に保存する。そして、この放射率を用いて被測定物体の温度を計測する。 【0052】温度センサ21で計測された温度は、温度センサ21のケーブルを通じて出力することができるが、温度センサ21の光通信手段と入出力装置73の光通信手段を介して入出力装置73へ送り、入出力装置73の表示装置79に表示できるようになっていてもよい。 【0053】なお、被測定物体の放射率以外にも、測定温度との比較しきい値や各種アラーム設定値などのデータも、光通信によって入出力装置73から非接触温度センサ21のEEPROM28へ格納させることもできる。 【0054】したがって、このセンサ装置71によれば、工場出荷時にEEPROM28に補正データを書き込むための光通信手段を利用して、放射率値等のデータもEEPROM28に書き込むことができる。 【0055】また、温度センサを小型化した場合には、入力操作スイッチや表示部などを温度センサに設けることができないため、ユーザーが温度センサに放射率などのデータを入力するのは困難となるが、このようなセンサ装置71によれば、非接触温度センサ21を小型にしても各種設定値を温度センサ21に入力することが可能になる。 【0056】なお、ここでは光通信手段を備えたハンドヘルド型の入出力装置の場合について述べたが、温度センサに放射率等のデータを書き込むための入出力装置としては、パーソナルコンピュータに光通信のためのアダプタをつないだものでもよい。 【0057】 【発明の効果】請求項1に記載の赤外線センサによれば、光通信手段によって外部の機器とデータ通信することができ、外部とデータ伝送するためのケーブルや端子をセンサ外部へ引き出す必要がなくなるから、センサ使用中にこれらのケーブルや端子から電気的ノイズが侵入し、赤外線センサの誤動作を引き起こしたり、静電気によって内部の電子部品等が破壊されたりすることがなくなる。 【0058】また、必ずしも電気信号を伝送するためのケーブルや端子のように通信相手とコネクタ等で接続する必要がないので、空間を隔てて通信相手と光通信する場合には、通信のための準備を簡単にすることができる。 【0059】請求項2に記載の赤外線センサによれば、前記赤外線検出素子と前記信号処理回路を樹脂モールドしているから、樹脂によって赤外線検出素子や信号処理回路を保護することができ、赤外線センサの耐衝撃性、耐水性、耐湿性を高めることができる。 【0060】さらに、請求項2に記載の赤外線センサでは、光通信手段を用いているから、赤外線センサを樹脂モールドした状態においても問題なく外部とデータ通信することができる。 【0061】また、請求項3に記載の赤外線センサにあっては、赤外線検出素子を熱伝導性の低い樹脂を用いてモールドしているので、赤外線検出素子と外気との断熱効果が高まり、周囲温度変動に対する安定性が高くなる。さらに、光通信手段の光入出力部分を透光性樹脂を用いてモールドしているので、光通信を妨げることなく光通信手段における耐湿性などの耐環境性を高めることができる。 【0062】また、請求項4に記載の赤外線センサにあっては、赤外線検出素子を熱伝導性の比較的低い樹脂を用いてモールドしているから、赤外線検出素子と外気との断熱効果が高まり、周囲温度の変動に対するセンサ特性の安定性を高めることができる。また、信号処理回路や光通信手段のうち少なくとも発熱の大きな部分を熱伝導性の比較的高い透光性樹脂を用いてモールドし、該熱伝導性の比較的高い樹脂が外気と接するようにしているから、ここからの発熱は熱伝導性の比較的高い樹脂を通して外気に放熱され、この熱が赤外線検出素子に伝わりにくくなり、赤外線検出素子の熱的安定性が向上する。 【0063】また、請求項5に記載のセンサ装置によれば、赤外線センサと通信相手の装置とが光通信手段によってデータ通信できるようになっているので、赤外線センサと当該装置とをケーブルなどで接続する必要がなくなる。そのため、センサ使用中にこれらのケーブルから電気的ノイズが侵入し、赤外線センサの誤動作を引き起こしたり、静電気によって内部の電子部品等が破壊されたりすることがなくなる。 【0064】また、赤外線センサを当該装置とケーブルで結ぶ必要がないので、ケーブルが邪魔になることがなく、赤外線センサを扱い易くなる。 【0065】請求項6に記載の赤外線センサの調整方法によれば、補正値を赤外線センサに書き込むためのケーブルや端子が必要なくなるので、ケーブルや端子からノイズを拾ったり、静電気の通路となって内部の電子部品等が破損する恐れがない。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002945 【氏名又は名称】オムロン株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年10月22日(1999.10.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100094019 【弁理士】 【氏名又は名称】中野 雅房
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| 【公開番号】 |
特開2001−124624(P2001−124624A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月11日(2001.5.11) |
| 【出願番号】 |
特願平11−301511 |
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