トップ :: G 物理学 :: G01 測定;試験




【発明の名称】 分光光度計
【発明者】 【氏名】杉岡 幹生

【要約】 【課題】装置が安定したか否かを定量的に判定する。

【解決手段】初期化完了した時刻(A時)を初期化判定部10に記憶し、測光間隔(B秒)ごとに測定値を測定し、ばらつき算出時間(C分)内における(C×60÷測光回数m)回分の測光値の変動係数(CV値)E%を算出する。判定間隔時間(D分)経過ごとに判定間隔時間(D分)経過直前のばらつき算出時間(C分)内における(C×60÷測光回数m)回分の測光値のCV値E%を算出し、算出したCV値E%が判定基準値P%より大きい場合は表示部に装置が安定していない旨を表示し、CV値E%が判定基準値P%以下になった場合に安定した旨を表示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 初期化完了時から予め設定された測光間隔をもって測光値の測定を開始し、前記初期化完了時から予め設定されたばらつき算出時間が経過した後、そのばらつき算出時間内における測光値のばらつきを算出し、その算出したばらつきが予め設定された判定基準値以下でない場合には前記ばらつき算出時間経過後から予め設定された判定間隔時間が経過するごとに前記判定間隔時間経過直前の前記ばらつき算出時間内における測光値のばらつきを算出し、算出したばらつきが前記判定基準値以下になった場合に測定を開始できる旨を表示する安定化判定部を備えた分光光度計。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紫外光、可視光、赤外光、蛍光などを検出する分光光度計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】分光光度計では、装置の電源をオンにしてからしばらく時間が経過しないと、IC素子などの電気回路の熱的安定性や光源のちらつきなどにより測光値が安定しない。そのため、装置の電源をオンにしてからしばらく待って、電気回路や光源が安定してからでないと使用することができない。その安定化のための待ち時間はオペレータによって異なり、20分待って測定を開始する人もいれば、2時間待って測定を開始する人もいる。また、他のオペレータが電源をオンにした装置を使用する場合には、電源オンからどれくらい時間が経過しているのか判断できないし、自分で電源をオンにした場合でもいつ電源をオンにしたかを忘れることがしばしばある。いずれにせよ、装置が安定したか否かはオペレータにより判断されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】オペレータは、安定化待ち時間を少し長めにとったとしても、本当に装置が安定して使用可能状態になっているか否かを確認できず、定量的な確証をもって測定を開始することができなかった。そのため、測定精度に悪影響が生じるのではないかという不安感から逃れることができなかった。そこで本発明は、装置電源投入後、装置が安定したか否かを定量的に判定することのできる分光光度計を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】図1は、本発明を示すブロック図である。光源2からの光は波長選択部4に送られ、波長選択部4は光源2からの光を所望の波長(検出波長)に変調し、試料室6のセルに照射する。検出器8は、試料室6のセルからの光を検出する。検出器8には安定化判定部10を介して表示部12が接続されている。判定化判定部10は、初期化完了時から予め設定された測光間隔をもって測光値の測定を開始し、初期化完了時から予め設定されたばらつき算出時間が経過した後、そのばらつき算出時間内における測光値のばらつきを算出し、その算出したばらつきが予め設定された判定基準値以下でない場合にはばらつき算出時間経過後から予め設定された判定間隔時間が経過するごとに判定間隔時間経過直前のばらつき算出時間内における測光値のばらつきを算出し、算出したばらつきが判定基準値以下になった場合に測定を開始できる旨を表示部12に表示する。
【0005】安定化判定部10は、算出したばらつきが予め設定された基準値よりも小さい場合は表示部12に測定を開始できる旨を表示するので、装置が安定しているか否かが判らないということがなくなり、オペレータは定量的に安定性が保証された状態で安心して測定を開始することができる。
【0006】
【実施例】一実施例の構成は図1に示したものである。図2は、この実施例の安定化判定動作を示すフローチャートである。図1及び図2を用いて一実施例の動作について説明する。装置の電源を投入し、光源2を点灯し、波長選択部4及び検出部8の初期化を行なう。初期化完了した時刻(A時)を初期化判定部10に記憶する。初期化判定部10には、測光間隔(B秒)、ばらつき算出時間(C分)、判定間隔時間(D分)及び判定基準値(P%)が予め設定されている。例えば、B=1、C=5、D=1、P=0.05であり、A=9時32分とする。判定回数n=0、測光回数m=1として安定化の判定を開始する。
【0007】(A+mB)時に測光値を検出部8により測定し、安定化判定部10に記憶する。その後、測光間隔である1秒ごとに測光値を測定する。最初の測光時刻は、9時32分+1×1秒=9時32分1秒である。時刻が(A+C+nD)時に達した後、安定化判定部10により、(A+nD)時から(A+C+nD)時までの(C×60÷m)回分の測光値の変動係数(CV値)E%を算出する。CV={(標準偏差)/(平均値)}×100である。この実施例では、5分×60÷1秒=300回分の測光値のCV値E%を算出し、最初のCV値E%の算出時刻は、9時32分+5分×1=9時37分である。
【0008】図3は安定化判定時に表示部12に表示される画面の一例を示す図である。表示部12に表示された分光光度計画面14には、メッセージ画面16が表示されている。装置が安定しているか否かの表示は、メッセージ画面16の破線で囲まれた表示枠18内に表示される。算出したCV値E%が判定基準値P%より大きい場合、安定化判定部10は、表示部12に表示されたメッセージ画面の表示枠18内に「装置がまだ安定していません」と表示する。算出したCV値E%が判定基準値P%以下の場合、安定化判定部10は、表示部12に表示されたメッセージ画面の表示枠18内に「装置が安定しました」と表示する。そして、オペレータが測定を開始した場合は、測定が開始されて、安定化判定部10は安定化の判定を終了する。
【0009】算出したCV値E%が判定基準値P%より大きい場合、又は算出したCV値E%が判定基準値P%以下でも測定が開始されない場合は、いずれの場合も判定回数nに「1」を加算する。そして、(A+C+nD)時に達したときにCV値E%を算出し、そのCV値E%と判定基準値P%を比較して装置の安定化を判定する。安定化の判定は、判定間隔時間D分ごとに行なわれるので、この実施例では、9時37分、9時38分、9時39分、・・・と、1分ごとに行なわれる。このように、装置が安定しているか否かが表示部12に表示されるので、装置の安定性が保証された状態で測定を開始することができ、オペレータの測定精度に対する不安を解消することができる。また、念のために長い安定待ち時間をとる必要がなくなり、最短の時間で測定にとりかかることができ、時間の節約にもなる。
【0010】この実施例では、ばらつきを評価する尺度としてCV値を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、単位時間当たりの傾きや変動幅など、他の尺度を用いてもよい。この実施例では、安定化の判定を1波長の光のみで行なっているがこれに限定されるものではなく、波長の異なる複数の光を測定し、それぞればらつきを算出してその全てが判定基準値以下の場合に装置の安定化を合格としてもよい。また、安定化判定のために測定する光の波長は、最もエネルギーの弱くなる波長の光や、試料測定に用いる波長の光など、どの波長の光を用いてもよい。本発明は、光源のちらつきの影響が大きいシングルビームの装置に最も偉力を発揮するが、光源のちらつきの影響に強いダブルビームの装置であっても電気回路の熱的安定化を判定するのに有効に働く。
【0011】
【発明の効果】本発明の分光光度計は、安定化判定部を備え、その安定化判定部により、初期化完了時から予め設定された測光間隔をもって測光値の測定を開始し、初期化完了時から予め設定されたばらつき算出時間が経過した後、そのばらつき算出時間内における測光値のばらつきを算出し、その算出したばらつきが予め設定された判定基準値以下でない場合にはばらつき算出時間経過後から予め設定された判定間隔時間が経過するごとに判定間隔時間経過直前のばらつき算出時間内における測光値のばらつきを算出し、算出したばらつきが判定基準値以下になった場合に測定を開始できる旨を表示部に表示するようにしたので、装置電源投入後、装置が安定したか否かを定量的に判定することができる。
【出願人】 【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
【出願日】 平成11年7月30日(1999.7.30)
【代理人】 【識別番号】100085464
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 繁雄
【公開番号】 特開2001−41820(P2001−41820A)
【公開日】 平成13年2月16日(2001.2.16)
【出願番号】 特願平11−216489