| 【発明の名称】 |
ボロメータ型赤外線検知素子およびそれを用いる赤外線イメージセンサ |
| 【発明者】 |
【氏名】山脇 千明
【氏名】出口 治彦
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| 【要約】 |
【課題】シリコン基板12上に、一対の梁(リード)13によってサブストレート(ダイヤフラム)14が支持され、こうして前記シリコン基板12とは熱分離された該サブストレート14上に熱電変換素子15が形成されて成る遠赤外線検出器11において、熱コンダクタンスを低減し、感度の向上を図る。
【解決手段】梁13の厚さ(図1では配線パターン18を含んでいる)H1を、前記サブストレート14の厚さより厚くし、梁13の幅B1に対して、B1≦H1として、梁13のシリコン基板12方向への剛性を向上し、梁13の長さを素子ピッチPy以上として、熱コンダクタンスを低減する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】基板に対して梁で支持され、該基板とは熱分離されたサブストレート上に熱電変換素子が形成されて成るボロメータ型赤外線検知素子において、前記梁の厚さを前記サブストレートの厚さより厚くして梁剛性を向上し、梁の長さを素子長さ以上として熱コンダクタンスを低減することを特徴とするボロメータ型赤外線検知素子。 【請求項2】基板に対して梁で支持され、該基板とは熱分離されたサブストレート上に熱電変換素子が形成されて成るボロメータ型赤外線検知素子において、前記梁の幅をB、梁の厚さをHとしたとき、B≦Hとして梁剛性を向上し、梁の長さを素子長さ以上として熱コンダクタンスを低減することを特徴とするボロメータ型赤外線検知素子。 【請求項3】前記請求項1または2記載のボロメータ型赤外線検知素子を、各素子の中心を結んだ座標系が互いに直交するように2次元配置して成ることを特徴とする赤外線イメージセンサ。 【請求項4】任意の素子における梁の長手方向をy軸、その垂直方向をx軸、y軸方向の素子ピッチをPy、x軸方向の素子ピッチをPxとするとき、梁幅および梁の片側のギャップ間隔の和をHoffxとおき、r1=Py/cosθr2=Px/cosθθ=tan-1(Hoffx/Py)またはθ=tan-1(−Hoffx/Py) とおくと、前記任意の素子のy軸方向の両側の隣接素子の中心位畳を、前記任意の素子の中心からそれぞれ極座標(r1、θ−π/2)、(r1、θ+π/2)に配置し、前記任意の素子のx軸方向の両側の隣接素子の中心位置を、前記任意の素子の中心からそれぞれ極座標(r2、θ)、(r2、θ+π)に配置することで、前記各素子を、その中心を結んだ座標系が互いに直交する2次元配置を実現することを特徴とする請求項3記載の赤外線イメージセンサ。 【請求項5】任意の素子における梁の長手方向をy軸、その垂直方向をx軸、y軸方向の素子ピッチをPy、x軸方向の素子ピッチをPxとするとき、梁幅および梁の片側のギャップ間隔の和をHoffxとおき、r1=Py/cosθθ=tan-1(Hoffx/Py)またはθ=tan-1(−Hoffx/Py) とおくと、前記任意の素子のy軸方向の両側の隣接素子の中心位置を、前記任意の素子の中心からそれぞれ極座標(r1、θ−π/2)、(r1、θ+π/2)に配置し、前記任意の素子のx軸方向の両側の隣接素子の中心位置を、前記任意の素子の中心からそれぞれ極座標(Px、0)、(Px、π)に配置し、y軸方向に隣接する素子出力に予め定める重みを乗算し、加算した補完出力を算出することで、前記各素子を、擬似的に、その中心を結んだ座標系が互いに直交する2次元配置を実現することを特徴とする請求項3記載の赤外線イメージセンサ。 【請求項6】任意の素子の出力をS(m,n)(mはx座標、nはy座標)としたとき、前記重みを乗算した補完出力F(m,n)を、F(m,n)={S(m,n)*(Px−MOD(m,(QUOTIENT(Px,Hoffx)) *Hoffx)/Px}+{S(m,n-1)*MOD(m,(QUOTIENT(Px,Hoffx ))*Hoffx)/Px} または、F(m,n)={S(m,n)*(Px−MOD(m,(QUOTIENT(Px,Hoffx)) *Hoffx)/Px}+{S(m,n+1)*MOD(m,(QUOTIENT(Px,Hoffx ))*Hoffx)/Px} ただし、MOD(a,b)はaをbで除算した剰余、QUOTIENT(a,b)はaをbで除算した商から算出することを特徴とする請求項5記載の赤外線イメージセンサ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ボロメータ型赤外線検知素子の構造、特に赤外線検出ダイヤフラム(サブストレート)の梁(リード)構造と、その素子を用いる赤外線イメージセンサにおける前記素子の2次元配列および出力信号処理とに関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、撮像素子としては、CCDカメラや光電子増倍管が広く用いられているけれども、これらの撮像素子は、昼夜、煙、霧、太陽光等の外乱に影響してしまうので、そのような要求を満足することができる遠赤外線撮像カメラが、たとえばセキュリティ市場で要求されている。すなわち、前記遠赤外線カメラは、遠赤外(8〜12μm)を利用しているので、常温付近での黒体放射強度レベルが高く、近、中赤外を利用したCCDカメラや量子型赤外線カメラより優れているためである。 【0003】ここで、前記遠赤外線カメラには、量子効果を利用したものと、熱効果を利用したものとがあり、前記量子効果を利用したものは、検出感度が良いものの、冷却(77K°程度)機構が必要であり、コストやメンテナンス面での負担が大きいという問題があり、非冷却である熱効果を利用した遠赤外線カメラが注目されている。 【0004】一方、このような熱効果センサは、熱を抵抗変化で検出するボロメータセンサと、熱を熱電対で検出するサーモパイルセンサと、熱を電荷で検出する焦電型センサとに分類されるが、近年、シリコンウエハ上にモノリシック形成できる利点を生かしたボロメータセンサーが開発・製造されている。 【0005】図18は典型的な従来技術のボロメータセンサである遠赤外線検出器1の構造を示す斜視図であり、図19はその遠赤外線検出器1の正面図であり、図20は図19の切断面線A−Aから見た断面図である。この遠赤外線検出器1は、たとえば特許第2710228号などに記載されており、シリコン基板2上に、一対の梁(リード)3によってサブストレート4が支持され、こうして前記シリコン基板2とは熱分離された該サブストレート4上に、熱電変換素子5が形成されている。熱電変換素子5上には、入射赤外線6の反射防止用に、シート抵抗が定められた金属膜7が積層されている。サブストレート4に入射した赤外線6は、サブストレート4の赤外線吸収層(図示せず)において吸収され、熱に変換される。前記熱電変換素子(ボロメータ材料)5は、温度によって抵抗値が変化する材料であり、前記サブストレート4が入射した赤外線6を吸収することで上昇した温度変化を電気抵抗変化として検出するものである。前記電気抵抗変化は、前記梁3上に形成された配線パターン8を介して、端子9間で取出すことができ、図示しないシリコン基板2上の配線パターンに電気的に接続される。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】このように構成される遠赤外線検出器1の感度Resは以下の式で表される。 Res[V/W]=η・α・VB・(1−exp(−τi/τT))/G …(1) ここで、ηは赤外線吸収率であり、αは抵抗温度係数であり、VBはバイアス電圧であり、τiは積分時間であり、τTは熱時定数(=HC/G、HCは熱容量、Gは熱コンダクタンス)である。 【0007】この式1から、遠赤外検出器1の感度を向上させるためには、赤外線吸収率ηを向上させる、抵抗温度係数αの大きなボロメータ材料を使用する、熱コンダクタンスGを小さくすることが考えられる。また、熱容量HCを小さくすることで、熱時定数τTを小さくすることができ、応答性が向上する。 【0008】しかしながら、前記赤外線吸収率ηおよび抵抗温度係数αは、使用する材料によって定まってしまうので、遠赤外検出器1の感度を向上させるためには、熱コンダクタンスGを小さくする必要がある。ここで、前記熱コンダクタンスGは、 G=ρ・B・H/L …(2) で表される。ただし、ρは熱伝導度であり、Bは梁3の幅であり、Hは梁3の厚さであり、Lは梁3の長さである。 【0009】したがって、熱伝導度ρの小さな材料を用いるか、梁3の面積(B・Hの積)を小さくするか、または梁3の長さLを長くすることで、熱コンダクタスGを小さくすることができる。なお、前記熱伝導度ρは、梁3の構造体と配線材料とを合わせた熱伝導度である。 【0010】しかしながら、前記熱伝導度ρは使用する材料によって定まってしまう。また、梁3の面積(B・Hの積)に関しては、梁3の幅を広くすると、センサ面積の減少によるセンサ感度の低下を招き、一方、従来から、該梁3の厚さHをサブストレート4の厚さと同じにする方がプロセス的に容易なため、両者は同じ厚さに成膜している(たとえば特開平2−196929号公報では1700Å、日経エレクトロニクス1996.5.6(no.661)pp.21では0.9μm)ので、梁3の厚さHを薄くした場合、該梁3やサブストレート4の歪や反りの影響が増大し、サブストレート4のシリコン基板2への接触による熱コンダクタンスの増大によって、デバイス不良を招くという問題を生じる。さらにまた、梁3の長さLを長くすることは、矩形に形成されるサブストレート4のマトリクス配列に乱れが生じたり、前記梁3の面積(B・Hの積)の増大を招くという問題を生じる。 【0011】本発明の目的は、熱コンダクタスを低減し、検出感度を向上するすることができるボロメータ型赤外線検知素子およびそれを用いる赤外線イメージセンサを提供することである。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明に係るボロメータ型赤外線検知素子は、基板に対して梁で支持され、該基板とは熱分離されたサブストレート上に熱電変換素子が形成されて成るボロメータ型赤外線検知素子において、前記梁の厚さを前記サブストレートの厚さより厚くして梁剛性を向上し、梁の長さを素子長さ以上として熱コンダクタンスを低減することを特徴とする。 【0013】上記の構成によれば、前記梁の厚さを前記サブストレートの厚さより厚くすることで梁の膜厚方向の剛性を高め、梁の長さを素子長さ以上としても、従来とほぼ同じ膜厚方向の梁剛性を確保し、衝撃などに対して、サブストレートの基板との接触を生じることはない。そして、梁の長さを素子長さ(画素ピッチ)以上にとることができた結果、従来より熱コンダクタンスを低減でき、検出感度を向上するすることができる。 【0014】また、本発明に係るボロメータ型赤外線検知素子は、基板に対して梁で支持され、該基板とは熱分離されたサブストレート上に熱電変換素子が形成されて成るボロメータ型赤外線検知素子において、前記梁の幅をB、梁の厚さをHとしたとき、B≦Hとして梁剛性を向上し、梁の長さを素子長さ以上として熱コンダクタンスを低減することを特徴とする。 【0015】上記の構成によれば、前記B≦Hとすることで梁の膜厚方向の剛性を高め、梁の長さを素子長さ以上としても、従来とほぼ同じ膜厚方向の梁剛性を確保し、衝撃などに対して、サブストレートの基板との接触を生じることはない。そして、梁の長さを素子長さ(画素ピッチ)以上にとることができた結果、従来より熱コンダクタンスを低減でき、検出感度を向上することができる。 【0016】さらにまた、本発明に係る赤外線イメージセンサは、前記請求項1または2記載のボロメータ型赤外線検知素子を、各素子の中心を結んだ座標系が互いに直交するように2次元配置して成ることを特徴とする。 【0017】上記の構成によれば、請求項1または2記載のボロメータ型赤外線検知素子を2次元配列して成る赤外線イメージセンサにおいて、2次元画素配列の各画素中心を結んだ座標系が互いに直交するように配置する。 【0018】したがって、歪みなく画像出力できる。 【0019】また、本発明に係る赤外線イメージセンサは、任意の素子における梁の長手方向をy軸、その垂直方向をx軸、y軸方向の素子ピッチをPy、x軸方向の素子ピッチをPxとするとき、梁幅および梁の片側のギャップ間隔の和をHoffxとおき、r1=Py/cosθ、r2=Px/cosθ、θ=tan-1(Hoffx/Py)またはθ=tan-1(−Hoffx/Py)とおくと、前記任意の素子のy軸方向の両側の隣接素子の中心位畳を、前記任意の素子の中心からそれぞれ極座標(r1、θ−π/2)、(r1、θ+π/2)に配置し、前記任意の素子のx軸方向の両側の隣接素子の中心位置を、前記任意の素子の中心からそれぞれ極座標(r2、θ)、(r2、θ+π)に配置することで、前記各素子を、その中心を結んだ座標系が互いに直交する2次元配置を実現することを特徴とする。 【0020】上記の構成によれば、請求項3を具現化するにあたって、請求項1または2記載のボロメータ型赤外線検知素子を2次元配列したときに、任意の素子における梁の長手方向をy軸、その垂直方向をx軸、y軸方向の素子ピッチをPy、x軸方向の素子ピッチをPxとして、任意の素子のy軸方向の両側の隣接素子の中心位置を、前記任意の素子の中心からそれぞれ前記極座標(r1、θ−π/2)、(r1、θ+π/2)に配置することで、前記請求項1または2のように梁の長さを素子ピッチPy以上としても、隣接素子間の干渉なく配置できる。また、前記任意の素子におけるx軸方向の両側の隣接素子の中心位置を、前記任意の素子の中心から前記極座標(r2、θ)、(r2、θ+π)に配置することで、各画素中心が直交して2次元配置できる。 【0021】さらにまた、本発明に係る赤外線イメージセンサは、任意の素子における梁の長手方向をy軸、その垂直方向をx軸、y軸方向の素子ピッチをPy、x軸方向の素子ピッチをPxとするとき、梁幅および梁の片側のギャップ間隔の和をHoffxとおき、r1=Py/cosθ、θ=tan-1(Hoffx/Py)またはθ=tan-1(−Hoffx/Py)とおくと、前記任意の素子のy軸方向の両側の隣接素子の中心位置を、前記任意の素子の中心からそれぞれ極座標(r1、θ−π/2)、(r1、θ+π/2)に配置し、前記任意の素子のx軸方向の両側の隣接素子の中心位置を、前記任意の素子の中心からそれぞれ極座標(Px、0)、(Px、π)に配置し、y軸方向に隣接する素子出力に予め定める重みを乗算し、加算した補完出力を算出することで、前記各素子を、擬似的に、その中心を結んだ座標系が互いに直交する2次元配置を実現することを特徴とする。 【0022】上記の構成によれば、請求項3を具現化するにあたって、請求項1または2記載のボロメータ型赤外線検知素子を2次元配列したときに、任意の素子における梁の長手方向に位置する両側の隣接画素の中心位置を、梁(リード)幅および梁の両側のギャップ間隔の和Hoffxだけ、梁の長手方向の軸に垂直な方向に互いに逆の方向にオフセットさせて、前記請求項1または2のような素子ピッチ以上の梁を干渉なく配置し、これによって前記梁の長手方向の軸とは交差する方向での隣接画素の中心を結んだ軸は前記梁の長手方向の軸とは互いに直交しなくなり、直交座標とはオフセットが生じる。たとえば2次元画素配置する際に、或る素子の両側の隣接素子の中心位置を梁幅および梁の両側のギャプ間隔の分だけ互いに逆方向に直交方向にオフセットさせた軸を画像表示(ディスプレイ)の水平信号軸とすると、隣接の水平走査線間で、各素子の位置に水平方向にずれが発生することになるので、隣接する素子の出力に所定の重みを乗算し、加算することで、本来の位置、すなわち直交座標系の本来の位置での信号と等価な信号を演算させ、本信号によりずれを補正させる。 【0023】また、本発明に係る赤外線イメージセンサは、任意の素子の出力をS(m,n)(mはx座標、nはy座標)としたとき、前記重みを乗算した補完出力F(m,n)を、F(m,n)={S(m,n)*(Px−MOD(m,(QUOTIENT(Px,Hoffx)) *Hoffx)/Px}+{S(m,n-1)*MOD(m,(QUOTIENT(Px,Hoffx ))*Hoffx)/Px} または、F(m,n)={S(m,n)*(Px−MOD(m,(QUOTIENT(Px,Hoffx)) *Hoffx)/Px}+{S(m,n+1)*MOD(m,(QUOTIENT(Px,Hoffx ))*Hoffx)/Px} ただし、MOD(a,b)はaをbで除算した剰余、QUOTIENT(a,b)はaをbで除算した商から算出することを特徴とする。 【0024】上記の構成によれば、請求項5を具現化して、実際に直交座標系にない2次元素子出力を使用して、直交座標系のディスプレイでの表示のための補完出力F(m,n)を算出することができる。 【0025】 【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について、図1〜図5ならびに前記図19および図20に基づいて説明すれば以下の通りである。 【0026】図1は本発明の実施の一形態のボロメータセンサである遠赤外線検出器11の断面図であり、図2はその遠赤外線検出器11の正面図である。図2において、図1の切断面線をB−Bで示している。この遠赤外線検出器11は、シリコン基板12上に、一対の梁(リード)13によってサブストレート(ダイヤフラム)14が支持され、こうして前記シリコン基板12とは熱分離された該サブストレート14上に、熱電変換素子15が形成されている。 【0027】熱電変換素子15上には、入射赤外線16の反射防止用に、シート抵抗が定められた金属膜17が積層されている。サブストレート14に入射した赤外線16は、サブストレート14の赤外線吸収層(図示せず)において吸収され、熱に変換される。前記熱電変換素子15は、たとえば遷移金属の酸化物やPtまたはTi等のボロメータ材料から成り、温度によって抵抗値が変化する材料であり、前記サブストレート14が入射した赤外線16を吸収することで上昇した温度変化を電気抵抗変化として検出するものである。 【0028】前記電気抵抗変化は、前記梁13上に形成された配線パターン18を介して取出され、図示しないシリコン基板12上の配線パターンに与えられる。シリコン基板12上には、サブストレート14に対向して、該サブストレート14を透過した赤外線を反射するための反射膜19が形成されている。 【0029】たとえば、前記サブストレート14および梁13はSiO2 またはSiNから成り、前記配線パターン18および反射膜19はAlから成る。なお、配線パターン18には、前記Al以外の、Ti等の材料を用いている場合もある。前記金属膜17のシート抵抗は、たとえば377Ω/□である。サブストレート14のシリコン基板12(反射膜19)からの高さKは、赤外線16の波長、たとえば10μmの1/4に選ばれ、前記反射膜19からの反射波の位相を反射膜19への出射波の位相と反転させることで、サブストレート14の表面での反射を抑えるように構成されている。 【0030】注目すべきは、本発明では、梁13の厚さ(図1では配線パターン18を含んでいる)H1を、前記サブストレート14の厚さより厚くしていることである。これによって、後述するように梁13の幅B1に対して、B1≦H1となり、梁13の基板12方向への剛性を向上し、梁13の長さL1を、素子ピッチPy以上として、前記式1における熱コンダクタンスGを低減し、感度Resを向上させていることである。 【0031】図3は、上述のような梁13をサブストレート14より厚く形成する該遠赤外線検出器11の作成工程を説明するための断面図である。なお、この図3では、前記反射膜19は省略している。まず、図3(a)で示すように、シリコン基板12上に、ポリイミドなどの有機材料またはアモルファスシリコンなどの無機材料から成る犠牲層21を形成する。 【0032】次に、図3(b)で示すように、前記SiO2 またはSiNによって前記サブストレート14および梁13となる下部絶縁層22を形成し、参照符23で示すように前記サブストレート14に対応する部分を、RIEまたはイオンミリング等のドライエッチングもしくはウエットエッチングによって所定量だけエッチングする。 【0033】続いて、図3(c)で示すように、前記熱電変換素子15となる感温層24、Ti、TaまたはAlなどの金属材料から成り、前記感温層24の一部にオーバーラップするとともに前記配線パターン18となる電極層25および前記図1では図示していない上部絶縁層26が順次積層される。なお、電極層25の感温層24に対するオーバーラップは、所望の形状に加工する(加工形状は図示していない)。 【0034】さらに、図3(d)で示すように、前記RIEまたはイオンミリング等のドライエッチングもしくはウエットエッチングによって、サブストレート14および梁13の周囲を犠牲層21までエッチングする。その後、酸素プラズマまたは水溶液によって、図3(e)で示すように、サブストレート14および梁13とシリコン基板12との間の犠牲層21を除去すると、遠赤外線検出器11が完成する。 【0035】なお、上述の例では、梁13およびサブストレート14となる下部絶縁層22を均等に成膜し、サブストレート14に対応する部分を選択的にエッチングすることで、梁13およびサブストレート14それぞれに適切な厚さに形成しているけれども、サブストレート14の厚さまで均等に成膜し、梁13部分だけを選択的に所定の梁厚さまでリフトオフ等で成膜するようにしてもよい。 【0036】ここで、前記図19および図20を参照して、遠赤外線検出器1において、本発明に関係するパラメータを説明する。梁3の幅をB0、厚さをH0、長さをL0とする。したがって、梁3の断面積A0は、B0×H0である。梁3の長手方向をy軸、その垂直方向をx軸、y軸方向の素子ピッチをPy、x軸方向の素子ピッチをPxとする。なお、梁3の熱伝導度ρは、梁構造による熱伝導度ρSiO2と梁の配線パターン8による熱伝導度ρwiringとの和で現わす。 【0037】この従来の遠赤外線検出器1では、梁3の長さL0は素子ピッチPxと比較して、L0<Pxである。また、梁幅B0と梁厚さH0とは、B0>H0の関係である。本構造においては、梁3が片持ち梁構造で、先端にサブストレート4の荷重Wが加わっているものとすることができる。このときの梁3の撓みの慣性モーメントI0xは、 I0x=B0・H03 /12 …(3) であり、また梁3のヤング率をEとすると、本梁3の最大撓みV0maxは先端において発生し、 V0max=W・L0/(3・E・I0x) …(4) となる。 【0038】次に、熱コンダクタンスG0は、梁3の断面積が前記A0、幅がB0、厚さがH0、長さがL0であり、梁構造材料の熱伝導度を前記ρとすると、前記式2から、 G0=ρ・B0・H0/L0=ρ・A0/L0 …(5) と表される。 【0039】これに対して、本発明の遠赤外線検出器11では、サブストレート14はサブストレート4と同じ材料、同じ形状であり、前記素子ピッチもPy,Pxで同一である。しかしながら、前記のように、梁13の長さL1は素子ピッチPxと比較して、L1>Pxであり、梁13の幅B1と厚さH1とは、B1<H1の関係である。また、梁13の断面積A1は、B1×H1である。 【0040】本発明の構造においても、梁13が片持ち梁構造で、先端にサブストレート14の荷重Wが加わっているものとすることができる。このときの梁13の撓みの慣性モーメントI1xは、 I1x=B1・H13 /12 …(6) であり、また梁13のヤング率をEとすると、本梁13の最大携みV1maxは先端において発生し、 V1max=W・L1/(3・E・I1x) …(7) となる。 【0041】次に、熱コンダクタンスG1は、梁13の断面積が前記A1、幅がB1、厚さがH1、長さがL1であり、梁構造材料の熱伝導度を前記ρとすると、前記式2から、 G1=ρ・B1・H1/L1=ρ・A1/L1 …(8) と表される。 【0042】ここで、梁3と梁13との断面積を同一、すなわちA0=A1とし、それらの先端に許容する最大携みを同一、すなわちV0max=V1maxとおく。まず、前記式5と式8とから、 G0/G1=L0/L1 …(9) が得られる。一方、前記式4と式7とから、 W・L0/(3・E・I0x)=W・L1/(3・E・I1x)…(10) したがって、 L0/I0x=L1/I1x …(11) となり、さらに式3と式6とから、 L0/(B0・H03 /12)=L1/(B1・H13 /12)…(12) となり、 L0/(A0・H02 )=L1/(A1・H12 ) …(13) となって、前記A0=A1および前記式9から、 (G0/G1)=(H1/H0)2 …(14) となる。 【0043】すなわち、梁3,13の断面積A0,A1が同一であれば、梁3,13の先端に許容する最大携みV0max,V1maxを同一値とすると、梁3,13の長さL0,L1に関わらず、熱コンダクタンスG0とG1との比は、(H1/H0)2 となる。したがって、梁13の厚さをある状態のH0より厚くすること(H0/H1<1)で、熱コンダクタンスG1をG0より(H0/H1)2 で小さくできることが理解される。この式14の関係を、図4のグラフに示す。 【0044】また、以下には、梁13の断面積A1および長さL1を一定、すなわち熱コンダクタンスG1が一定のとき、梁13の厚さをH1からH2に、および幅をB1からB2に変化させた場合の梁13の先端撓みV1max,V2maxの関係について説明する。 【0045】梁13の剛性は、前記式3および式6と同様に、 I2x=B2・H23 /12=A2・H22 /12 …(15) で表されるので、同じ断面積A1=A2では、慣性モーメントI2xは厚さH2の2乗で表される。梁先端のたわみV2maxは、前記式4および式7と同様に、 V2max=W・L13 /(3・E・I2x) …(16) から、前記式15を代入して、 V2max=4W・L13 /(E・B2・H23 ) …(17) となる。同様に、 V1max=4W・L13 /(E・B1・H13 ) …(18) と表される。ここで、 A1=B1・H1=B2・H2 …(19) であるから、 V1max/V2max=(H2/B2)(B1/H1) …(20) が得られる。 【0046】そして、比較のためにH2=B2とおくと、上記式20は、 V1max/V2max=(B1/H1) …(21) となる。したがって、前記H2=B2のときの撓みV2maxに対して、撓みV1maxの比は、(B1/H1)の比として表すことができる。この関係を図5のグラフに示す。すなわち、梁13の断面積A1および長さL1が一定、したがって熱コンダクタンスG1が一定のとき、梁13の先端撓みV1maxは、梁13の幅B1と厚さH1との比として表され、B1<H1となる程、前記み撓みV1maxが小さくなることが理解される。 【0047】以上のように本発明は、梁13の厚さH1をサブストレート14の厚さより厚くすることで、また梁13の幅B1を、前記厚さH1に対して、B1≦H1とすることで、梁13の膜厚方向の剛性を高め、梁13の長さL1を素子長さPy以上としても、従来とほぼ同じ膜厚方向の梁剛性を確保し、衝撃などに対して、サブストレート14のシリコン基板12との接触を生じることなく、従来より熱コンダクタンスG1を低減でき、検出感度Resを向上するすることができる。但し、横方向の耐衝撃性を考慮し、むやみにB1≪H1とすることは望ましくない。 【0048】本発明の実施の他の形態について、図6および図7に基づいて説明すれば以下の通りである。 【0049】図6は、本発明の実施の他の形態のボロメータセンサである遠赤外線検出器31の断面図である。この遠赤外線検出器31は、前述の遠赤外線検出器11に類似し、対応する部分には同一の参照符を付して示し、その説明を省略する。注目すべきは、この遠赤外線検出器31は、前述の遠赤外線検出器11が梁13とサブストレート14との下面の高さを揃えているのに対して、梁33とサブストレート14との上面の高さを揃えていることである。 【0050】図7は、上述のような遠赤外線検出器31の作成工程を説明するための断面図である。なお、この図7は前記図3に対応している。まず、図7(a)で示すように、シリコン基板12上に前記犠牲層21を形成し、参照符34で示すように前記梁33に対応する部分を、RIEまたはイオンミリング等のドライエッチングもしくはウエットエッチングによって所定量だけエッチングする。 【0051】次に、図7(b)で示すように、前記サブストレート14および梁33となる下部絶縁層22を形成する。さらにその上部に、前記感温層24、電極層25および上部絶縁層26が積層される。 【0052】続いて、図7(c)で示すように、前記上部絶縁層26の凹凸を、エッチバックまたはCMPによる研削などによって平坦化し、図7(d)で示すように、前記RIEまたはイオンミリング等のドライエッチングもしくはウエットエッチングによって、サブストレート14および梁33の周囲を犠牲層21までエッチングする。その後、酸素プラズマまたは水溶液によって、図7(e)で示すように、サブストレート14および梁33とシリコン基板12との間の犠牲層21を除去すると、遠赤外線検出器31が完成する。 【0053】本発明の実施のさらに他の形態について、図8に基づいて説明すれば以下の通りである。 【0054】図8は、本発明の実施のさらに他の形態のボロメータセンサである遠赤外線検出器41の断面図である。この遠赤外線検出器41は、梁13の厚さH1を幅B1に対して、B1≦H1としている点は前記遠赤外線検出器11,31と同様であるけれども、サブストレート44の厚さを梁13の厚さに等しく形成している。 【0055】したがって、サブストレート44の熱容量HCが前記サブストレート14と比較して大きくなるが、感度、時定数が許容できるならば、本構成は従来通りの作成プロセスで容易である。 【0056】本発明の実施の他の形態について、図9に基づいて説明すれば以下の通りである。 【0057】図9は、本発明の実施の他の形態の赤外線イメージセンサ51の正面図である。この赤外線イメージセンサ51は、上述の各遠赤外線検出器11,31,41の何れかから成る素子を2次元マトリックス配列して構成されている。各素子は参照符Sで示し、さらに括弧書きでアドレスを付して示している(総称するときにはSのみで示す)。図9では、素子S(m,n)を中心として、3×3個の素子S(m−1,n−1),S(m,n−1),S(m+1,n−1);S(m−1,n),S(m,n),S(m+1,n);S(m−1,n+1),S(m,n+1),S(m+1,n+1)を示している。座標系は、x,yで示している。 【0058】前記中心の素子S(m,n)に対して、x軸方向に隣接する素子S(m±1,n)は、梁13の長さL1を素子ピッチPxより長くするために、その中心位置がy軸方向にHoffyだけオフセットして配置されている。前記オフセットHoffyは、前記梁幅B1と、隣接素子間のギャップ間隔D1とから、 Hoffy=B1+D1 …(22) で表すことができる。前記ギャップ間隔D1は相互に等しく、かつ梁13とサブストレート14との間隔に等しい。 【0059】したがって、図9の例では9個の各素子Sの中心位置を結ぶ直線は、互い直交していない。このため、この図9のマトリックス構成で2次元の検出を行い、画像として出力すると、画像出力側の各画素の中心位置を結ぶ直線が直交したディスプレイ(たとえばブラウン管、液晶ディスプレイ)ではあれば歪んだ画像となってしまうけれども、直交座標系に表示しても歪が問題無い応用用途ではそのまま出力すればよい。また、各素子S間の前記オフセットHoffyは既知であるので、画像抽出等の演算の際には、既知のオフセットHoffyを考慮し、画像抽出等の演算を行えばよい。 【0060】本発明の実施のさらに他の形態について、図10に基づいて説明すれば以下の通りである。 【0061】図10は、本発明の実施のさらに他の形態の赤外線イメージセンサ61の正面図である。この赤外線イメージセンサ61は、上述の赤外線イメージセンサ51と同一構成であり、注目すべきは、x,y座標が相互に入換えられていることである。このようなx,y座標系において、前述のように梁13の長さL1が素子ピッチPxより長い各素子Sを2次元配列すると、中心の素子S(m,n)に対して、y軸方向に隣接する両側の素子S(m,n±1)の中心位置は、各々x軸方向にHoffxだけオフセットする。Hoffxは、前記図9のHoffyと同様に、 Hoffx=B1+D1 …(23) である。 【0062】ここで、 r1=Py/cosθ …(24) θ=tan-1(−Hoffx/Py) …(25) とおくと、素子S(m,n)の中心から素子S(m,n−1)の中心は極座標(r1、θ−π/2)に位置し、素子S(m,n+1)の中心は極座標(r1、θ+π/2)に位置する。なお、θは図10では図示していない。また、梁13の引出し方向が逆である場合には、前記式25に代えて、 θ=tan-1(Hoffx/Py) …(26) が用いられる。 【0063】また、前記素子S(m,n)に対して、x軸方向に隣接する両側の素子S(m−1,n),S(m+1,n)の中心は、それぞれ極座標(Px、0),(Px、π)に位置する。 【0064】このように構成すると、前記直交座標ディスプレイにおいて、各素子Sは各々のx軸上にあり、オフセットHoffxはx軸方向に発生する。即ち直交ディスプレイで表示する際に水平走査線方向に各素子Sのオフセットが発生することに相当する。隣接する走査線間で、水平方向の素子のこのオフセットHoffxは既知であるので、隣接素子の検出信号から所定の重みを乗算し、両者を加算することで、直交座標系に相当する画素位置での検出信号を算出することができる。 【0065】たとえば、図11で示すように、素子S(m,n)[m=0,1,…,11、n=0,1,…,9]を、x,y軸方向でそれぞれピッチPx,Py、x軸方向のオフセット量をHoffxでマトリックス状に配置する(ただし、S(m,n)<S(m,n+1)、すなわち素子S(m,n+1)が素子S(m,n)よりもx軸上で相対的に右方にあることを示している。また、素子S(j,−1)[j=1〜4,6〜9]は、後述する重み計算上でのダミー素子である。)と、素子S(m,n)の出力に対して重みを乗算した補完出力F(m,n)は、 F(m,n) ={S(m,n)*(Px−MOD(m,(QUOTIENT(Px,Hoffx)) *Hoffx)/Px} +{S(m,n-1)*MOD(m,(QUOTIENT(Px,Hoffx ))*Hoffx)/Px} …(27) で求めることができる。ここで、MOD(a,b)はaをbで除算した剰余、QUOTIENT(a,b)はaをbで除算した商である。 【0066】本例の演算結果を表1および表2に示す。表1は図11の素子S(m,n)の素子出力をそのまま示したものであり、表2は前記式27を用いて重み付けをした直交座標系の位置の補完出力F(m,n)の算出結果である。ただし、図11で示すように、本例ではPx:Hoffx=5:1としている。また、表1のn=−1のダミー欄は、式27におけるn=0の重み補完を行う際に用いるダミー出力であり、本例では便宜的に出力“0”を用いたが、素子出力の中間値、最大値、最小値等、その用途に適応して、どのような値を用いてもよい。 【0067】 【表1】
【0068】 【表2】
【0069】次に、素子S(m,n)と素子S(m,n+1)との相対位置関係がS(m,n)>S(m,n+1)、すなわち素子S(m,n+1)が素子S(m,n)よりもx軸上で相対的に左方にある場合の例について、前記図11と同様の図である図12を用いて説明する。素子S(j,12)[j=1〜4,6〜9]は、前記ダミー素子である。この場合、素子S(m,n)の出力に対して重みを乗算した補完出力F(m,n)は、 F(m,n) ={S(m,n)*(Px−MOD(m,(QUOTIENT(Px,Hoffx)) *Hoffx)/Px} +{S(m,n+1)*MOD(m,(QUOTIENT(Px,Hoffx ))*Hoffx)/Px} …(28) で求めることができる。 【0070】本例の演算結果を表3および表4に示す。表3は図12の素子S(m,n)の素子出力をそのまま示したものであり、表2は前記式28を用いて重み付けをした直交座標系の位置の補完出力F(m,n)の算出結果である。ただし、図11と同様に、Px:Hoffx=5:1としている。また、表3のn=12のダミー欄は、便宜的に出力“0”を用いたが、素子出力の中間値、最大値、最小値等、その用途に適応して、どのような値を用いてもよい。 【0071】 【表3】
【0072】 【表4】
【0073】以上のように重み付け演算を行うことによって、直交座標系のディスプレイで表示を行うにあたって、該直交座標系に相当する画素位置での補完出力F(m,n)を算出することができる。 【0074】本発明の実施の他の形態について、図13〜図15に基づいて説明すれば以下の通りである。 【0075】図13は、本発明の実施の他の形態の赤外線イメージセンサ71の正面図である。この赤外線イメージセンサ71は、上述の赤外線イメージセンサ51,61に類似しており、注目すべきは、各素子Sが、その中心を通る軸線Lx,Lyが相互に直交するように配置され、かつそれらの軸線Lx,Lyと平行に、x’,y’座標が設定されていることである。 【0076】すなわち、軸線Ly(m−1)上には素子S(m−1,n−1),S(m−1,n),S(m−1,n+1)が配置され、軸線Ly(m)上には素子S(m,n−1),S(m,n),S(m,n+1)が配置され、軸線Ly(m+1)上には素子S(m+1,n−1),S(m+1,n),S(m+1,n+1)が配置され、同様に軸線Lx(n−1)上には素子S(m−1,n−1),S(m,n−1),S(m+1,n−1)が配置され、軸線Lx(n)上には素子S(m−1,n),S(m,n),S(m+1,n)が配置され、軸線Lx(n+1)上には素子S(m−1,n+1),S(m,n+1),S(m+1,n+1)が配置されている。 【0077】図14を参照して、前記x’,y’座標は、x,y座標からθだけ回転している。各素子S(m,n)の中心を各々C(m,n)とし、上記直交座標系にするためには、たとえば素子S(m,n)に対して素子S(m+1,n)は、素子S(m,n)の中心C(m,n)を通り、y軸と平行な軸線y(m,n)に対する前記軸線Ly(m)の傾きθだけ、x軸から傾向けた前記軸線Lx(n)と、その中心C(m+1,n)を通り、前記y軸と平行な軸線y(m+1,n)との交点に、その中心C’(m+1,n)を配置すればよい。すなわち、素子S(m+1,n)の中心C’(m+1,n)は、前記軸線y(m+1,n)上で、中心C(m,n)の回りに中心C(m+1,n)からθだけ回転した位置に配置すればよい。 【0078】なお、素子S(m+1,n)の中心C’(m+1,n)が軸線y(m+1,n)上に位置するのは、隣接素子S(m,n)とのギャップ間隔として素子ピッチPxが必要であるためである。ここで、移動する距離Hoffy(C(m+1,n)とC’(m+1,n)との間の距離)は、 Hoffy=Px×tanθ …(29) で表わされる。ただし、 θ=tan-1(Hoffx/Py) …(26) (Hoffx,Pyは前記図10記載)である。 【0079】図15に、前記軸線Ly(m)上の素子S(m,n−1),S(m,n),S(m,n+1)を基準として、それぞれ隣接する素子S(m+1,n−1),S(m+1,n),S(m+1,n+1)を、上述のように変位して前記軸線Ly(m+1)上に配置し、各々の素子中心がx’,y’座標の直交座標系に位置するようにした状態を示す。 【0080】ここで、x’,y’座標の新たな直交座標系における素子ピッチPx’,Py’は、それぞれ、 Px’=Px/cosθ …(30) Py’=Py/cosθ …(31) として表わされる。 【0081】この場合、素子S(m,n)にy軸方向に隣接する素子S(m,n−1)の中心C(m,n−1)は、中心C(m,n)から極座標(r1、θ+π/2)に位置する。また、y軸方向に隣接するもう1つの素子S(m,n+1)の中心C(m,n+1)は、中心C(m,n)から極座標(r1、θ−π/2)に位置する。ここで、 r1=Py/cosθ …(24) θ=tan-1(−Hoffx/Py) …(25) である。 【0082】また、素子S(m,n)にx軸方向に隣接する素子S(m+1,n)の中心C’(m+1,n)は、中心C(m,n)から極座標(r2、θ)に位置する。また、x軸方向に隣接するもう1つの素子S(m−1,n)(前記図13参照)の中心C’(m−1,n)は、中心C(m,n)から極座標(r2、θ+π)に位置する。ここで、r2=Px/cosθ …(32)θ=tan-1(−Hoffx/Py) …(25)である。 【0083】隣接素子をこのように配置することによって、前記図13に示す直交座標系でのマトリックス配列を実現することができ、前記図10〜図12で示す赤外線イメージセンサ61のような複雑な信号処理を行うことなく、前記直交座標系のディスプレイでの表示を行うことができる。 【0084】本発明の実施のさらに他の形態について、図16に基づいて説明すれば以下の通りである。 【0085】図16は、本発明の実施のさらに他の形態の赤外線イメージセンサ81の正面図である。この赤外線イメージセンサ81は、前述の赤外線イメージセンサ51に類似しており、注目すべきは、前記赤外線イメージセンサ51では梁13の長さL1が素子ピッチPxの約1.5倍であるのに対して、長さL2が素子ピッチPxの約2・5倍に形成されていることである。 【0086】素子S(m,n)の中心C(m,n)に対して、x軸方向に隣接する素子S(m±1,n)の中心C(m±1,n)は、前述の赤外線イメージセンサ51と変わらず、y軸方向にHoffyだけオフセットしている。しかしながら、y軸方向の素子ピッチは、PyからPy”に拡がっている。すなわち、サブストレート14の幅をB10、隣接素子間のギャップ間隔および梁13とサブストレート14との間隔をD1とすると、 Py=B10+3×B1+4×D1 …(33) に対して、 Py”=B10+4×B1+5×D1 …(34) となり、 Py”−Py=B1+D1 …(33) だけ素子ピッチを拡大すればよい。 【0087】このようにして、梁13の長さL2を延長し、前記熱コンダクタンスGをさらに低減することができる。ここで、y軸方向の素子ピッチPy”が異なるだけで、x軸方向の素子ピッチPxは前記赤外線イメージセンサ51と同一であり、図9で示すこの赤外線イメージセンサ51から、図10〜図12の赤外線イメージセンサ61または図13〜図15の赤外線イメージセンサ71に対するx,y座標のx’,y’座標への変換の考え方を、この赤外線イメージセンサ81に適用することもできる。 【0088】なお、前述の遠赤外線検出器11,31,41を2次元マトリックス配列して成る上記各赤外線イメージセンサ51,61,71,81において、各素子で検出した信号は、2次元座標系で表わした場合、各素子の中心位置での検出値となる。そこで、図17においてハッチングを施して示すように、梁13の素子ピッチPx,Pyの外のエリア13aは、赤外線検出範囲として使用してもよく、また使用しなくてもよい。 【0089】使用しない場合には、そのエリア13a部分による影響が生じないように、たとえば特開平2−196929号公報に記載されているように、表面金属膜のシート抵抗、および波長λのλ/4離れた位置に平行に厚い導電層を形成することによって赤外線吸収率が異なることを利用し、前記エリア13a部分の赤外線吸収率を低下させるようにすればよい。 【0090】 【発明の効果】本発明に係るボロメータ型赤外線検知素子は、以上のように、基板に対して梁で支持され、該基板とは熱分離されたサブストレート上に熱電変換素子が形成されて成るボロメータ型赤外線検知素子において、前記梁の厚さを前記サブストレートの厚さより厚くして梁剛性を向上し、梁の長さを素子長さ以上として熱コンダクタンスを低減する。 【0091】それゆえ、検出感度を向上するすることができる。 【0092】また、本発明に係るボロメータ型赤外線検知素子は、以上のように、基板に対して梁で支持され、該基板とは熱分離されたサブストレート上に熱電変換素子が形成されて成るボロメータ型赤外線検知素子において、前記梁の幅をB、梁の厚さをHとしたとき、B≦Hとして梁剛性を向上し、梁の長さを素子長さ以上として熱コンダクタンスを低減する。 【0093】それゆえ、検出感度を向上するすることができる。 【0094】さらにまた、本発明に係る赤外線イメージセンサは、以上のように、前記請求項1または2記載のボロメータ型赤外線検知素子を、各素子の中心を結んだ座標系が互いに直交するように2次元配置して成る。 【0095】それゆえ、歪みなく画像出力できる。 【0096】また、本発明に係る赤外線イメージセンサは、以上のように、請求項3を具現化するにあたって、請求項1または2記載のボロメータ型赤外線検知素子を2次元配列したときに、任意の素子における梁の長手方向をy軸、その垂直方向をx軸、y軸方向の素子ピッチをPy、x軸方向の素子ピッチをPxとして、任意の素子のy軸方向の両側の隣接素子の中心位置を、前記任意の素子の中心からそれぞれ前記極座標(r1、θ−π/2)、(r1、θ+π/2)に配置し、また前記任意の素子におけるx軸方向の両側の隣接素子の中心位置を、前記任意の素子の中心から前記極座標(r2、θ)、(r2、θ+π)に配置する。 【0097】それゆえ、前記y軸方向では、前記請求項1または2のように梁の長さを素子ピッチPy以上としても、隣接素子間の干渉なく配置できる。また、前記x軸方向では、各画素中心が直交して2次元配置できる。 【0098】さらにまた、本発明に係る赤外線イメージセンサは、以上のように、請求項3を具現化するにあたって、請求項1または2記載のボロメータ型赤外線検知素子を2次元配列したときに、任意の素子における梁の長手方向に位置する両側の隣接画素の中心位置を、梁(リード)幅および梁の両側のギャップ間隔の和Hoffxだけ、梁の長手方向の軸に垂直な方向に互いに逆の方向にオフセットさせて配置し、前記任意の素子の梁の長手方向の軸に垂直な方向に位置する両側の隣接画素はそのままで、素子出力に予め定める重みを乗算し、加算した補完出力を算出することで、前記各素子を、擬似的に、その中心を結んだ座標系が互いに直交する2次元配置を実現する。 【0099】それゆえ、素子ピッチ以上の梁を干渉なく配置することができ、これによる直交座標からのずれも補正することができる。 【0100】また、本発明に係る赤外線イメージセンサは、以上のように、前記請求項5を具現化するにあたって、任意の素子の出力をS(m,n)(mはx座標、nはy座標)としたとき、前記重みを乗算した補完出力F(m,n)を、F(m,n)={S(m,n)*(Px−MOD(m,(QUOTIENT(Px,Hoffx)) *Hoffx)/Px}+{S(m,n-1)*MOD(m,(QUOTIENT(Px,Hoffx ))*Hoffx)/Px} または、F(m,n)={S(m,n)*(Px−MOD(m,(QUOTIENT(Px,Hoffx)) *Hoffx)/Px}+{S(m,n+1)*MOD(m,(QUOTIENT(Px,Hoffx ))*Hoffx)/Px} ただし、MOD(a,b)はaをbで除算した剰余、QUOTIENT(a,b)はaをbで除算した商から算出する。 【0101】それゆえ、直交座標系にない2次元素子出力を使用して、直交座標系のディスプレイでの表示のための補完出力F(m,n)を算出することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005049 【氏名又は名称】シャープ株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年7月27日(1999.7.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080034 【弁理士】 【氏名又は名称】原 謙三
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| 【公開番号】 |
特開2001−41818(P2001−41818A) |
| 【公開日】 |
平成13年2月16日(2001.2.16) |
| 【出願番号】 |
特願平11−212779 |
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