| 【発明の名称】 |
振動変換器およびこの振動変換器を備えた加速度センサ |
| 【発明者】 |
【氏名】馬場 啓之
|
| 【要約】 |
【課題】比較的構造が簡単であり、低価格で、高い性能を有する優れた、自己診断機能付きの高信頼型の加速度センサを提供することを目的とする。
【解決手段】第1のエレクトレット膜27が形成された第1の固定電極21と、第2のエレクトレット膜29が形成された第2の固定電極25と、第1および第2の固定電極21および25の間に介在し、所定の間隔で実質的に平行に離隔して対向する金属振動板23と、振動板23を振動可能に支持するとともに、第1および第2の固定電極21および25と振動板23を互いに絶縁する絶縁体37を収容する金属ケース35と、を備え、2つのコンデンサを形成する。一方のコンデンサに電圧を印加して振動板23を振動させ、他方のコンデンサで振動を検出することにより自己診断機能を実現する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 振動を電気信号に変換する振動変換器であって、電極面を有する第1の電極と、この第1の電極の電極面と所定の間隔で実質的に平行に離隔して対向する第1の電極面と、その反対側の第2の電極面と、を有する振動部と、この振動部を前記第1および第2の電極面と実質的に垂直な方向に振動可能に支持する支持部と、を含む金属振動板と、前記第1の電極の電極面と前記振動板の第1の電極面との間に介在する第1のエレクトレット膜と、前記振動板の第2の電極面と所定の間隔で実質的に平行に離隔して対向する電極面を有する第2の電極と、この第2の電極の電極面と前記振動板の第2の電極面との間に介在する第2のエレクトレット膜と、前記第1および第2の電極、前記金属振動板の振動部、および前記第1および第2のエレクトレット膜を収容する凹部と、前記振動板の支持部を遊貫する開口部と、を有する金属ケースと、前記金属ケースの凹部内で、前記第1の電極と、前記振動板と、前記第2の電極と、が互いに絶縁されるように保持する絶縁保持手段と、前記第1および第2の電極とそれぞれ電気的に接続される第1および第2の端子と、電気インピーダンス変換手段と、を備え、前記第1の電極と、前記第1のエレクトレット膜と、前記振動板の第1の電極面と、が第1のコンデンサを形成し、前記第2の電極と、前記第2のエレクトレット膜と、前記振動板の第2の電極面と、が第2のコンデンサを形成し、前記第1および第2のコンデンサの一方が、前記端子を介して前記電気インピーダンス変換手段と電気的に接続され、前記第1および第2コンデンサの他方が、前記端子を介して電圧印加手段と電気的に接続されたことを特徴とする振動変換器。 【請求項2】 前記第1および第2のエレクトレット膜が、高分子フィルムまたはSiO2からなるエレクトレット材をそれぞれ前記第1および第2の電極の電極面上に固着し、エレクトレット化して形成されたエレクトレット層であることを特徴とする請求項1に記載の振動変換器。 【請求項3】 前記第1および第2のエレクトレット膜が、高分子フィルムまたはSiO2からなるエレクトレット材をそれぞれ前記振動板の第1および第2の電極面上に固着し、エレクトレット化して形成されたエレクトレット層であることを特徴とする請求項1に記載の振動変換器。 【請求項4】 前記第1の電極が、前記電極面と反対側の導通面を有する板状の形状を有し、前記金属ケースが、前記第1の電極の導通面と当接し電気的に接続される底面を有し、前記第1の端子が、前記金属ケースに設けられ、前記第2の端子が、前記第2の電極に設けられたことを特徴とする請求項1乃至3に記載の振動変換器。 【請求項5】 前記金属ケースが、前記第1の電極が形成された底面を有し、前記第1の端子が、前記金属ケースに設けられ、前記第2の端子が、前記第2の電極に設けられたことを特徴とする請求項1乃至3に記載の振動変換器。 【請求項6】 請求項1乃至5の何れかに記載の振動変換器を備え、この振動変換器からの電気信号に基づいて加速度を検出することを特徴とする加速度センサ。 【請求項7】 前記振動変換器と、前記インピーダンス変換手段と、を収容するハウジングをさらに備えたことを特徴とする請求項6に記載の加速度センサ。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、振動を電気信号に変換する振動変換器および、この振動変換器を備えた加速度センサに関し、特に、広い周波数帯域にわたって安定した出力が得られ、かつ自己診断機能を有する振動変換器および、この振動変換器を備えた加速度センサに関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、実用化されている振動センサには、電磁型、圧電型、半導体型等種々の方式により振動を電気信号に変換して検出するものが知られている。このような振動センサのうち、オーディオ回路用マイクロホンに適したものとして、コンデンサ型のものが一般的に普及している。この従来のコンデンサ型マイクロホンは、図9に示されるように、特に低周波数帯域で、広い範囲にわたって平坦な周波数特性を有する。 【0003】このコンデンサ型マイクロホンの一例として、エレクトレット化した高分子フィルムを使用したエレクトレットコンデンサ型マイクロホン10を図10に示す。同図に示されるように、従来のエレクトレットコンデンサ型マイクロホン10は、振動板3と、振動板3と所定の間隔で離隔する金属背極5と、を備えている。振動板3と背極5は、絶縁体7により互いに絶縁保持され、金属ケース1内に収容される。背極5の一方の平面5a上には、高分子フィルムが固着され、エレクトレット化されたエレクトレット膜9が形成される。このエレクトレット膜9は、振動板3側が負極になるように分極している。 【0004】このようにエレクトレット膜9を挟んで、所定の間隔を隔てて配置された振動板3と背極5が、コンデンサを形成する。従来のマイクロホン10は、振動板3が振動すると、このコンデンサの容量が変化するので、この容量変化を検出することにより、振動を検出することができるものである。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述のような従来の振動センサ10においては、その周波数特性が、低周波帯域においては、広い範囲にわたって平坦であり、安定した出力が得られるが、図9に示されるように高周波帯域においては、安定した出力が得られないといった問題点があった。これは、加速度センサなどの、特定の周波数帯域で安定した出力が求められる場合、不都合である。 【0006】また、金属ケース1内に所定の間隔を隔てて配置される振動板3と背極5や、絶縁体7の組立作業をより簡単に、より正確に行えることが望まれる。さらに、従来のマイクロホン10を加速度センサなどに含まれる振動検出器として応用できるようにするために、金属ケース1の気密性を高め、金属ケース1内にノイズなどが侵入しないよう構成できることが望まれる。 【0007】また、振動変換器の信頼性を向上させるために、簡単な構成で自己診断機能を実現させることが望まれる。 【0008】そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、比較的構造が簡単であり、低価格で、広域にわたり安定した周波数特性が得られる高い性能を有する優れた、自己診断機能付きの高信頼性型の振動変換器および、この振動変換器を備えた加速度センサを提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、上記課題を解決するために、振動を電気信号に変換する振動変換器であって、電極面を有する第1の電極と、この第1の電極の電極面と所定の間隔で実質的に平行に離隔して対向する第1の電極面と、その反対側の第2の電極面と、を有する振動部と、この振動部を前記第1および第2の電極面と実質的に垂直な方向に振動可能に支持する支持部と、を含む金属振動板と、前記第1の電極の電極面と前記振動板の第1の電極面との間に介在する第1のエレクトレット膜と、前記振動板の第2の電極面と所定の間隔で実質的に平行に離隔して対向する電極面を有する第2の電極と、この第2の電極の電極面と前記振動板の第2の電極面との間に介在する第2のエレクトレット膜と、前記第1および第2の電極、前記金属振動板の振動部、および前記第1および第2のエレクトレット膜を収容する凹部と、前記振動板の支持部を遊貫する開口部と、を有する金属ケースと、前記金属ケースの凹部内で、前記第1の電極と、前記振動板と、前記第2の電極と、が互いに絶縁されるように保持する絶縁保持手段と、前記第1および第2の電極とそれぞれ電気的に接続される第1および第2の端子と、電気インピーダンス変換手段と、を備え、前記第1の電極と、前記第1のエレクトレット膜と、前記振動板の第1の電極面と、が第1のコンデンサを形成し、前記第2の電極と、前記第2のエレクトレット膜と、前記振動板の第2の電極面と、が第2のコンデンサを形成し、前記第1および第2のコンデンサの一方が、前記端子を介して前記電気インピーダンス変換手段と電気的に接続され、前記第1および第2コンデンサの他方が、前記端子を介して電圧印加手段と電気的に接続されたことを特徴とする。 【0010】各エレクトレット膜は、持続性のある電気分極特性を有し、良好な誘電体として作用する。各エレクトレット膜を一対の電極の間に介在させることによって、2つのコンデンサが形成される。一対の電極のうちの一方を振動板上に形成されている。このようにして形成された各コンデンサは、振動に応じて容量変化を生じる。この容量変化を検出することにより振動を検出するものである。一方のコンデンサの出力は電気インピーダンス変換手段を介して外部に取り出され、他方のコンデンサは、電圧印加手段に接続され、電圧を印加することにより容量変化を生じさせて、振動板を振動させる。前記電気インピーダンス変換手段は、電解効果トランジスタを含む。 【0011】この構成によれば、一つの振動体の両面に電極面を設けることにより、各電極面に所定の間隔で離隔して対向する固定電極をそれぞれ設け、各固定電極と、振動体の電極面との間にエレクトレット膜を介在させることにより、2つのコンデンサを有する振動変換器が簡単に構成でき、一方のコンデンサに電圧を印加して振動させ、他方のコンデンサで振動を検出させることが可能となり、自己診断機能を有する振動変換器が提供される。 【0012】このように、比較的簡単な構成で、安価な、広域にわたり安定した周波数特性が得られる高い性能を有する優れた、自己診断機能付きの高信頼性型の振動変換器を得ることができる。 【0013】前記第1および第2のエレクトレット膜は、高分子フィルムあるいはSiO2からなるエレクトレット材をそれぞれ前記第1および第2の電極の電極面上に固着し、エレクトレット化して形成されたエレクトレット層であってもよい。エレクトレット材は、熱融着などにより固着できる。 【0014】また、前記第1および第2のエレクトレット膜は、高分子フィルムあるいはSiO2からなるエレクトレット材をそれぞれ前記振動板の第1および第2の電極面上に固着し、エレクトレット化して形成されたエレクトレット層であってもよい。エレクトレット材は、熱融着などにより固着できる。 【0015】さらに、前記第1の電極が、前記電極面と反対側の導通面を有する板状の形状を有し、前記金属ケースが、前記第1の電極の導通面と当接し電気的に接続される底面を有し、前記第1の端子が、前記金属ケースに設けられ、前記第2の端子が、前記第2の電極に設けられてもよい。 【0016】あるいは、前記金属ケースが、前記第1の電極が形成された底面を有し、前記第1の端子が、前記金属ケースに設けられ、前記第2の端子が、前記第2の電極に設けられてもよい。 【0017】請求項6に記載の発明は、上記課題を解決するために、加速度センサが、請求項1乃至5に記載の振動変換器を備え、この振動変換器からの電気信号に基づいて加速度を検出することを特徴とする。 【0018】この構成によれば、一つの振動体の両面に電極面を設けることにより、各電極面に所定の間隔で離隔して対向する固定電極をそれぞれ設け、各固定電極と、振動体の電極面との間にエレクトレット膜を介在させることにより、2つのコンデンサを有する振動変換器が簡単に構成でき、一方のコンデンサに電圧を印加して振動させ、他方のコンデンサで振動を検出させることが可能となり、自己診断機能を有する振動変換器を備えた加速度センサが提供される。 【0019】このように、比較的簡単な構成で、安価な、広域にわたり安定した周波数特性が得られる高い性能を有する優れた、自己診断機能付きの高信頼性型の加速度センサを得ることができる。 【0020】さらに、前記振動変換器と、前記インピーダンス変換手段と、を収容するハウジングを備えてもよく、これにより振動変換器の耐ノイズ性を高めることができ、高性能な加速度センサが提供される。 【0021】 【発明の実施の形態】本発明に係る加速度センサは、電極面を有する第1の電極と、この第1の電極の電極面と所定の間隔で実質的に平行に離隔して対向する第1の電極面と、その反対側の第2の電極面と、を有する振動部と、この振動部を前記第1および第2の電極面と実質的に垂直な方向に振動可能に支持する支持部と、を含む金属振動板と、前記第1の電極の電極面と前記振動板の第1の電極面との間に介在する第1のエレクトレット膜と、前記振動板の第2の電極面と所定の間隔で実質的に平行に離隔して対向する電極面を有する第2の電極と、この第2の電極の電極面と前記振動板の第2の電極面との間に介在する第2のエレクトレット膜と、前記第1および第2の電極、前記金属振動板の振動部、および前記第1および第2のエレクトレット膜を収容する凹部と、前記振動板の支持部を遊貫する開口部と、を有する金属ケースと、前記金属ケースの凹部内で、前記第1の電極と、前記振動板と、前記第2の電極と、が互いに絶縁されるように保持する絶縁保持手段と、前記第1および第2の電極とそれぞれ電気的に接続される第1および第2の端子と、電気インピーダンス変換手段と、を含む振動を電気信号に変換する振動変換器を備えている。 【0022】この振動変換器において、前記第1の電極と、前記第1のエレクトレット膜と、前記振動板の第1の電極面と、が第1のコンデンサを形成し、前記第2の電極と、前記第2のエレクトレット膜と、前記振動板の第2の電極面と、が第2のコンデンサを形成し、前記第1および第2のコンデンサの一方が、前記端子を介して前記電気インピーダンス変換手段と電気的に接続され、前記第1および第2コンデンサの他方が、前記端子を介して電圧印加手段と電気的に接続される。本発明に係る加速度センサは、この振動検出器からの電気信号に基づいて加速度を検出するものである。 【0023】各エレクトレット膜は、持続性のある電気分極特性を有し、良好な誘電体として作用する。各エレクトレット膜を一対の電極の間に介在させることによって、2つのコンデンサが形成される。一対の電極のうちの一方を振動板上に形成されている。このようにして形成された各コンデンサは、振動に応じて容量変化を生じる。この容量変化を検出することにより振動を検出するものである。一方のコンデンサの出力は電気インピーダンス変換手段を介して外部に取り出され、他方のコンデンサは、電圧印加手段に接続され、電圧を印加することにより容量変化を生じさせて、振動板を振動させる。前記電気インピーダンス変換手段は、電解効果トランジスタを含む【0024】この構成によれば、2つのコンデンサを有する振動変換器が簡単に構成でき、一方のコンデンサに電圧を印加して振動させ、他方のコンデンサで振動を検出させることも可能となり、自己診断機能を有する振動変換器およびこの振動変換器を備えた加速度センサが提供される。 【0025】このように、比較的簡単な構成で、安価な、広域にわたり安定した周波数特性が得られる高い性能を有する優れた、自己診断機能付きの高信頼性型の振動変換器およびこの振動変換器を備えた加速度センサを得ることができる。 【0026】さらに、前記振動変換器と、前記インピーダンス変換手段と、を収容するハウジングを備えてもよく、これにより振動変換器の耐ノイズ性を高めることができ、高性能な加速度センサが提供される。 【0027】 【第1実施例】以下、本発明に係る加速度センサの振動変換器の第1実施例について、図1乃至6を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素は同じ参照記号および符号を用いて示してある。 【0028】図1は、本発明に係る加速度センサの第1実施例の振動変換器20の断面図である。振動変換器20は、加速度センサが受ける振動を電気信号に変換し、出力するものである。同図に示されるように、振動変換器20は、第1の金属固定電極21と、金属振動板23と、第2の金属固定電極25と、を備えている。 【0029】第1の金属固定電極21は、電極面21aと、電極面21aと反対側の導通面21bを有する板状の形状を有し、この電極面21a上に第1のエレクトレット層27が形成されている。 【0030】第2の金属固定電極25は、電極面25aと、電極面25aと反対側の導通面25bを有する板状の形状を有し、この電極面25a上に第2のエレクトレット層29が形成されている。また、第2の金属固定電極25は、複数の貫通孔25cを有する。この貫通孔25cは、センサ内部の通気のための孔である。 【0031】金属振動板23は、第1の金属固定電極21の電極面21aと所定の間隔d1で実質的に平行に離隔して対向する第1の電極面23aと、第2の金属固定電極25の電極面25aと所定の間隔d2で実質的に平行に離隔して対向する第2の電極面23bと、を有する振動部23cと、この振動部23cを第1および第2の電極面23aおよび23bと実質的に垂直な方向に振動可能に支持する支持部23dと、を含む。 【0032】第1のエレクトレット層27は第1の金属固定電極21の電極面21aと振動板23の第1の電極面23aの間に介在すればよく、また、第2のエレクトレット層29も第2の金属固定電極25の電極面25aと振動板23の第2の電極面23bの間に介在すればよい。 【0033】第1および第2エレクトレット層27および29は、例えば、高分子フィルムからなるエレクトレット材をそれぞれ第1および第2の固定電極21および25の電極面21aおよび25a上に熱融着などにより固着し、エレクトレット化して形成される。このようにエレクトレット化された高分子フィルムは、持続性のある電気分極特性を有し、良好な誘電体として作用する。各エレクトレット層27および29は、振動板23に対面する側が負極になるように分極している。 【0034】エレクトレット材としての高分子フィルムは、ポリエステルフィルムが好ましく、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP)フィルムなどがある。他の実施例において、各エレクトレット層27および29は、SiO2からなるエレクトレット材を使用して形成されてもよい。 【0035】図2に、本実施例の振動変換器20の上記部品の分解斜視図を示す。図1および2に示されるように、第1のエレクトレット膜27が形成された第1の固定電極21の電極面21aと、振動体23の第1の電極面23aの間には、厚さd1を有し、各電極面の周縁部で支持する絶縁部材からなる第1のスペーサ31が設けられ、これにより、第1の固定電極21の電極面21aと、振動体23の第1の電極面23aの間に所定の間隔d1が形成される。さらに、第2のエレクトレット膜29が形成された第2の固定電極25の電極面25aと、振動体23の第2の電極面23bの間には、厚さd2を有し、各電極面の周縁部で支持する絶縁部材からなる第2のスペーサ33が設けられ、第2の固定電極25の電極面25aと、振動体23の第2の電極面23bの間に所定の間隔d2が形成される。第1および第2のスペーサ31および33の厚さd1およびd2は、数10μmである。 【0036】図2に示されるように、本実施例の振動板23は、2つの振動部23cを有する音叉形状であるが、これに限定されるものではなく、例えば、円形でもよく、種々の形状が考えられる。 【0037】再び図1に戻り、振動変換器20は、第1および第2の固定電極21および25と、金属振動板23の振動部23cと、を収容する凹部35aと、振動板23の支持部23dを遊貫する開口部35bと、底面部35cと、上端開口部35dに形成されたカシメ部35eと、を有する金属ケース35と、振動板23と第2の固定電極25が金属ケース35と電気的に絶縁されるように、金属ケース35の凹部35a内に、第1および第2の固定電極21および25と、振動板23とを保持する絶縁保持部材からなる絶縁体37と、をさらに備えている。 【0038】さらに、本実施例の振動変換器20は、金属ケース35に設けられた第1の端子41と、第2の固定電極25に設けられた第2の端子42と、振動板23の支持部23dに設けられた第3の端子43と、を備えている。金属ケース35の底面部35cが、第1の固定電極21の導通面21bと当接し電気的に接続されており、これにより、第1の端子41は、金属ケース35を介して第1の固定電極21と電気的に接続される。 【0039】図3は、本実施例の振動変換器20の斜視図である。第1の固定電極21が金属ケース35の底面35cに当接するように金属ケース35内に挿入され、第1のスペーサ31、振動板23、第2のスペーサ33、第2の固定電極25の順に、絶縁体37で金属ケース35の凹部35aの内面と絶縁するように収容され、これらの部品はカシメ部35eで固定される。 【0040】図4は、図1に示された本実施例の振動変換器20を備えた加速度センサの等価的電気回路図例である。同図に示されるように、第1の固定電極21と振動板23の第1の電極面23aが、第1の一対の電極として作用し、これらが誘電体である第1のエレクトレット層27とともに第1のコンデンサC1を形成し、一方、第2の固定電極25と振動板23の第2の電極面23bが、第2の一対の電極として作用し、これらが誘電体である第2のエレクトレット層29とともに第2のコンデンサC2を形成する。第1のコンデンサC1は第1の端子41を介して電気インピーダンス変換手段45と電気的に接続され、第2のコンデンサは第2の端子42を介して図示されない電圧印加手段と電気的に接続される。 【0041】電気インピーダンス変換手段45は、電解効果トランジスタ(以後、「FET」と呼ぶ)からなる。FET45は、第1のコンデンサC1の出力のインピーダンス変換をするためのものである。本実施例の振動変換器20の各コンデンサは、空気容量のため、その容量が数10pF程度と小さい。従って高インピーダンスとなるので、インピーダンス変換が必要となる。理論的には、コンデンサの場合、ω=0(ω=2πf)まで出力が得られるが、実質的には、FET45の入力インピーダンスの大小によりその限界が決定される。 【0042】また、第2のコンデンサC2は、インピーダンス変換をするためのトランス等介して電圧印加手段に電気的に接続するようにしてもよい。しかし、振動板23の共振点の周波数を利用することにより、大きな出力を得ることが可能となるので、インピーダンス変換手段は必ずしも必要ではない。 【0043】尚、本実施例のFET45は、ソースフォロワ方式(三線式)で使用しており、これにより周波数特性を極低帯域まで安定して得ることが可能となる。他の実施例において、ソース接地方式(二線式)を使用してもよい。 【0044】振動変換器20の振動板23は、第3の端子43を介してアースされている。第1のコンデンサC1は、第1の端子41を介してFET45の端子Gと電気的に接続され、FET45の端子Dに電源が供給され、FET45の端子Sは、負荷抵抗RsおよびカップリングコンデンサCcと電気的に接続され、カップリングコンデンサCcから出力が取り出される。先にも述べたように、第2のコンデンサC2は第2の端子42を介して電圧印加手段と電気的に接続され、電圧が入力される。 【0045】以下、本実施例の振動変換器20の作用を説明する。 【0046】本実施例において、加速度センサが外部より振動を受けると、金属振動板23が振動する。このとき、振動板23の質量をmとし、外部振動を加速度Gとすると、この振動板23にはF=m×Gの力が働き、この力Fにより、第1のコンデンサC1は振動変化分だけ容量変化ΔCを生じる。即ち、コンデンサの容量はC1=C1±ΔCとなる。この容量変化ΔCは電圧変化ΔVとして得ることができ、この電圧変化ΔVはFET45により電気インピーダンス変換され電気信号として取り出される。 【0047】本実施例の振動変換器20の周波数特性の平坦部の感度は、金属固定電極25と金属振動板23の呈する等価的有効面積、第1の固定電極21と金属振動板23の等価ギャップ、浮遊容量、FET45の利得等によって左右される。 【0048】図5は、上述の振動変換器20を備えた本発明に係る加速度センサの断面図である。同図に示されるように、加速度センサ50は、本実施例の振動変換器20とともに、抵抗、コンデンサなどの電子回路部品51を、回路基板53上に載置し、回路基板53を支持プレート55に固定し、ハウジング57内に振動変換器20および電子回路部品51が収容されるように、ハウジング57と支持プレート55を固定している。振動変換器20および電子回路部品51間の配線は、ワイヤリング52あるいは、回路基板53上に形成された図示されない導電路によって電気的に接続され、さらに回路基板53と支持プレート55を貫通している端子ピン59を介して外部と電気的に接続されるようになっている。 【0049】このように構成された加速度センサ50は、図6に示されるような周波数特性を有する。すなわち、共振点f0付近では、高いQ値を有し、中および低周波数領域では平坦な特性を示す。このように低周波数帯域の平坦部のみでなく、高周波数帯域においても、特定の周波数(共振点f0)における振動検出が可能となり、広域にわたり安定した周波数特性を有する振動変換器が提供される。従って、本実施例の振動変換器20は、加速度センサにおいても、その使用目的により、平坦部または共振点f0近傍の振動出力を選択して使用することが可能となる。 【0050】本実施例によれば、比較的構造が簡単で、製造コストが低く、量産でき、高性能な優れた、自己診断機能付きの高信頼型の加速度センサを提供することができる。 【0051】 【第2実施例】次に、本発明に係る加速度センサの振動変換器の第2実施例について、図7を用いて説明する。 【0052】図7は、第2実施例の振動変換器の断面図を示している。同図に示されるように、第2実施例の振動変換器60は、図1に示された第1実施例の振動変換器20から第1の固定電極21が削除された以外は同じ構成となっている。すなわち、金属ケース35の少なくとも底面35cを含む内面を直接、高分子フィルムで被覆し、エレクトレット化して第1のエレクトレット層67を形成したものである。本実施例においては、金属ケース35の底面35cが、第1の固定電極21を兼ねることになる。 【0053】このように構成された第2実施例の振動変換器60においても、第1実施例の振動変換器20と同様な作用効果が得られる。 【0054】 【第3実施例】図8に本発明に係る振動変換器の第3実施例の断面図を示す。同図に示されるように、第3実施例の振動変換器70は、図1に示された第1実施例の振動変換器20の第1および第2のエレクトレット層27および29を、第1および第2の固定電極21および25の電極面21aおよび25a上ではなく、振動板23の両面23aおよび23b上に形成したものである。すなわち、振動板23の両面23aおよび23b上にエレクトレット材を融着し、エレクトレット化して第1および第2のエレクトレット層77および79が形成される。エレクトレット材は、高分子フィルムやSiO2などである。 【0055】このように構成された第3実施例の振動変換器70においても、第1実施例の振動変換器20と同様な作用効果が得られる。 【0056】 【発明の効果】本発明によれば、一つの振動体の両面に電極面を設けることにより、各電極面に所定の間隔で離隔して対向する固定電極をそれぞれ設け、各固定電極と、振動体の電極面との間にエレクトレット膜を介在させることにより、2つのコンデンサを有する振動変換器が簡単に構成でき、一方のコンデンサに電圧を印加して振動させ、他方のコンデンサで振動を検出させることが可能となり、自己診断機能を有する高信頼型の振動変換器および、この振動変換器を備えた加速度センサが提供される。 【0057】このように、比較的簡単な構成で、安価な、広域にわたり安定した周波数特性が得られる高い性能を有する優れた、自己診断機能付きの高信頼性型の振動変換器および、この振動変換器を備えた加速度センサを得ることができる。 【0058】さらに、前記振動変換器と、前記インピーダンス変換手段と、を収容するハウジングを備えているので、振動変換器の耐ノイズ性を高めることができ、高性能な加速度センサが提供される。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000005821 【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成11年9月14日(1999.9.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100072604 【弁理士】 【氏名又は名称】有我 軍一郎
|
| 【公開番号】 |
特開2001−83006(P2001−83006A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月30日(2001.3.30) |
| 【出願番号】 |
特願平11−259758 |
|