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【発明の名称】 シート重量計測装置
【発明者】 【氏名】青木 洋

【氏名】草加 修司

【要約】 【課題】車体やシートの寸法誤差や変形によって荷重センサの性能が損なわれることのないシート重量計測装置を提供する。

【解決手段】本シート重量計測装置9は、車両用シートに座っている乗員の重量を含むシート重量を計測する装置である。シート重量の少なくとも一部を電気信号に変換する荷重センサ50と、シートと荷重センサ間に設けられたズレ及びたわみの吸収機構(ピンブラケット25やピン27)を具備する。この吸収機構のズレ吸収可能量がある値となっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両用シートに座っている乗員の重量を含むシート重量を計測する装置であって;シート内又はシートと車体との間に挿入された、シート重量の少なくとも一部を電気信号に変換する荷重センサと、シートと車体間のズレ及び/又はたわみの吸収機構と、を具備し、上記吸収機構が、左右方向に以下最大LIRスライド可能であることを特徴とするシート重量計測装置;
IR=(a+bδ)×γ/(α+γ)+(cδ/2)×γ/(β+γ)
a:シートレールを車体に固定する際の、左右のシートレールの前後方向中心の間隔の寸法公差(mm)
b:シートスライドがスライド可能な最大ストローク(mm)
c:シートレールの前後の固定点(荷重センサ中心位置)の間隔δ:シートレールを車体に固定するときの、左右のシートレールの相対的角度ズレの公差θの正弦値(sin θ)
α:左右のシートスライド間に左右変形(開き、閉じ)を起こさせる際の単位荷重あたりのたわみ量(mm/kgf)
β:左右のシートスライドを左右方向にかつ前後逆にねじる際の単位荷重あたりのたわみ量(mm/kgf)
γ:吸収機構をスライドさせる際の単位荷重あたりのスライド量(mm/kgf) 。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用シートに座っている乗員の重量を含むシート重量を計測する装置に関する。特には、車体やシートの寸法誤差や変形等によって荷重センサの性能が損なわれることのないように改良を加えたシート重量計測装置に関する。
【0002】
【背景技術】自動車には乗員の安全を確保するための設備としてシートベルトやエアバッグが備えられる。最近では、シートベルトやエアバッグの性能をより向上させるため、乗員の重量(体重)に合わせてそれらの安全設備の動作をコントロールしようという動向がある。例えば、乗員の体重に合わせて、エアバッグの展開ガス量や展開速度を調整したり、シートベルトのプリテンションを調整したりする。そのためには、シートに座っている乗員の重量を何らかの手段で知る必要がある。そのような手段の一例として、シートの下の前後左右4隅に荷重センサ(ロードセル)を配置して、ロードセルにかかる垂直方向荷重を合計することにより乗員の重量を含むシート重量を計測する、との提案がなされている(同一出願人による特願平9−156666号、特願平10−121627号等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このシート重量計測装置で正確な計測を行うためには、シートやその上の乗員(あるいは物)の重量以外の荷重がセンサにかかるのを極力排除する必要がある。そのような排除すべき荷重の1つとして、車体やシートに寸法誤差や変形があるにもかかわらずシート重量計測装置を無理に取り付けた場合に生じる荷重(本明細書では組立荷重と称する)がある。
【0004】本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、車体やシートの寸法誤差や変形によって荷重センサの性能が損なわれることのないシート重量計測装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】上記課題を解決するため、本発明のシート重量計測装置は、車両用シートに座っている乗員の重量を含むシート重量を計測する装置であって; シート内又はシートと車体との間に挿入された、シート重量の少なくとも一部を電気信号に変換する荷重センサと、 シートと車体間のズレ及び/又はたわみの吸収機構と、を具備し、 上記吸収機構が、左右方向に以下最大LIRスライド可能であることを特徴とするシート重量計測装置;
IR=(a+bδ)×γ/(α+γ)+(cδ/2)×γ/(β+γ)
a:シートレールを車体に固定する際の、左右のシートレールの前後方向中心の間隔の寸法公差(mm)
b:シートスライドがスライド可能な最大ストローク(mm)
c:シートレールの前後の固定点(荷重センサ中心位置)の間隔δ:シートレールを車体に固定するときの、左右のシートレールの相対的角度ズレの公差θの正弦値(sin θ)
α:左右のシートスライド間に左右変形(開き、閉じ)を起こさせる際の単位荷重あたりのたわみ量(mm/kgf)
β:左右のシートスライドを左右方向にかつ前後逆にねじる際の単位荷重あたりのたわみ量(mm/kgf)
γ:吸収機構をスライドさせる際の単位荷重あたりのスライド量(mm/kgf) 。
【0006】部品製作誤差や取り付け時の寸法ズレ、たわみ等に起因する組立荷重が荷重センサに伝わらないよう、荷重センサとシートあるいは荷重センサと車体間の連結保持部に上記吸収機構を設けて、車体やシートの寸法誤差を吸収させる。これにより、荷重センサにはより純粋な計測荷重(シート重量)がかかることとなり、センサの有効範囲を十分に広く利用した正確な計測が可能となる。
【0007】なお、本発明のシート重量計測装置の目的は、基本的にはシート上の乗員の重量を測定することである。したがって、シートそのものの重量分をキャンセルして乗員の重量のみを計測する装置もシート重量計測装置に含まれる。
【0008】以下、図面を参照しつつ説明する。まず、図7を参照しつつ自動車のシート周辺の構造を説明する。図7(A)は、シートを車体に取り付ける部分の構造例を模式的に示す正面断面図である。図7(B)は、側面図である。なお、図中における矢印は以下の方向を示す。上:車体が水平なときの重力方向上方向、下:同下方向、前:車両前進方向、後:車両後進方向、左:車両前進方向に向かって左、右:同右。
【0009】図7にはシート3が示されている。シート3のシートクッション3a上に人1が座る。シートクッション3aの下面は鋼板製のシートフレーム5によって支持されている。シートフレーム5は、底板5a、横板5c、縦板5e、スライド板5g等の部位からなる。底板5aはシートクッション3aの下面を覆うように広がっている。横板5cは、底板5aの下面の左右側方に沿って延びている。縦板5eは横板5cの下面中央部から垂下している。スライド板5gは、縦板5eの左右に羽根のように突出しており、さらに先端部は上方に屈曲している。なお、スライド板5gをシートスライドとも呼ぶ。
【0010】シートレール7は、シート3の左右の下方に、前後方向に延びるように2本平行して設けられている。シートレール7の断面は、U字型をしており、内部に凹部7cが存在する。この凹部7cの上の口は前後方向に延びる溝7aとなっている。この溝7aにはシートフレーム5の縦板5eが入っている。シートレール7の凹部7c内には、シートフレーム7のスライド板5gが入っている。スライド板5gはシートレール7内で前後方向にスライド可能である。
【0011】シートレール7の下面にはシート重量計測装置9が連結されている。シート重量計測装置9は、前後方向に延びる細長い箱状の外形をしている。このシート重量計測装置9の詳細については後述する。シート重量計測装置9の下面の前後端部にはシートブラケット11が取り付けられている。このシートブラケット11は車体のシート取付部13にボルト等により固定されている。
【0012】図2は、本発明の1実施例に係るシート重量計測装置の全体構成を示す図である。(A)は平面図、(B)は側面断面図、(C)及び(D)は正面断面図である。図3は、本実施例のシート重量計測装置のズレ/たわみの吸収機構を示す図である。(A)は分解斜視図であり、(B)はピンブラケット部の正面断面図である。なお、図2(A)、(B)、図3(A)において後方の約半分の部分は図示省略されている。図4は、センサ板周りの詳細構成を示す一部破断斜視図である。図5は、センサ板の詳細構成を示す平面図である。図6は、センサ板とハーフアームの関係を示す図である。(A)は平面図、(B)は無荷重状態の側面図、(C)は荷重がかかった状態を模式的に示す側面図である。
【0013】このシート重量計測装置9は細長いベース21を基体として構成されている。ベース21は、車体に取り付けたときに前後方向に長く延びており、図2(C)、(D)に示すように、正面断面が上向きコの字状の鋼板プレス品である。ベース21の断面の底の部分を底板21cと呼び、底板21cの左右端から90°曲がって上に立ち上がる部分を側板21aと呼ぶ。
【0014】ベース側板21aには、前後それぞれ2カ所ずつのピン孔21e、21gが開けられている(図3(A)、(C)、(D)参照)。各孔21e、21gは、左右の側板21a、21a′に対向して開けられている。端寄りの孔21eは、ベース21の前後端からベース21全長の約1/8程度中央に寄った部位に開けられている。同孔21eは、図3(A)に示すように上下に長く延びる長孔である。この長孔21e内には、ブラケットピン27の端部が入っている。
【0015】しかし、ブラケットピン27と長孔21eの上下・左右には隙間があって、通常はブラケットピン27が長孔21eの内縁に触れることはない。しかしながら、このシート重量計測装置9(具体的にはピンブラケット25の部分)に過大な荷重がかかったときには、ブラケットピン27が下がって長孔21eの下縁に当たり、超過荷重は荷重センサ(センサ板51、詳細後述)には伝わらない。つまり、ピン27と長孔21eは、センサ板51に加える荷重の上限を制限する機構の一部を構成する。なお、ブラケットピン27の主な役割は、ピンブラケット25にかかるシート重量をZアーム23に伝えることである。
【0016】長孔21eのやや中央寄り(ベース21全長の約1/10中央寄りのところ)にはピン孔21gが開けられている。同孔21gには、ベースピン31が貫通している。ベースピン31は、図2(D)に示すように左右のベース側板21a、21a′間を掛け渡すように存在する。ピン31の端部にはリテーナー33が取り付けられており、ベースピン31がベース21に固定されている。なお、ベースピン31はZアーム23の回動中心軸である。
【0017】Zアーム23は、ベース21の内側に配置されている。Zアーム23の平面形状は、中央寄りが左右二叉に分かれ(叉部23h)、前後端寄りが長方形をしている。Zアーム23の前後端寄りの半分の部分の左右端部には、上方に90°折り返された側板23aが形成されている。叉部23hは単なる平たい板である。側板23aは、ベース21の側板21aの内側に沿っている。ただし、両側面23a、21a間には隙間がある。
【0018】Zアーム側板23aにも2カ所のピン孔23c、23eが開けられている。前後端寄りのピン孔23cにはブラケットピン27が貫通している。中央寄りのピン孔23eにはベースピン31が貫通している。ベースピン31は、Zアーム23の回動中心であり、ピン孔23eとベースピン31の間では、Zアーム23の回動分だけ摺動がある。ベースピン31外周のベース側板21aとZアーム側板23aの間には、図2(D)に示すように孔開き円板状のスペーサ35がはめ込まれている。
【0019】Zアーム23の叉部23hは、ほぼZアーム23の全長の半分の長さである。同部23hは、左右に分かれて前後方向中央寄りに延びており、中央寄りでは巾狭となっている。Zアーム叉部23hの先端の作用部23jは、図4に示すように、上下のハーフアーム41、42の羽根部41a、42aの間にはさまれている。ピンブラケット25に荷重がかかると、Zアーム23はわずかに回動して(最大約5°)、作用部23jはハーフアーム41、42を介してセンサ板51に荷重を伝える。
【0020】ピンブラケット25は、図3に示すように断面形状が下向き略コの字状である。前後方向の長さは、ベース21のほぼ1/20とあまり長くない。ピンブラケット25の上面25aは平らであり、ここに図7に示すシートレール7が載る。両者の間は、ボルト締結等により強固に連結される。
【0021】ピンブラケット25の左右側板25bは同ブラケット25の左右に垂下しており、その下端部は内側寄りに曲がっている。側板25bはZアーム側板23aの内側に遊びを持たせて配置されている。側板25bにはピン孔25cが開いている。この孔25cには、ブラケットピン27が貫通している。ピン孔25cの寸法はブラケットピン27の径よりも大きい。両者の隙間によりシートや車体の寸法誤差や不測の変形を吸収する。
【0022】ピンブラケット25の左右側板25bと左右のZアーム側板23aの間には、バネ板29がはさまれている。バネ板29は、孔の開いたバネ座金状の部分を有し、ブラケットピン27の外側に隙間を持たせてはめ込んである。このバネ板29は、ピンブラケット25を中央方向に付勢するセンタリング機構を構成する。このようなセンタリング機構は、ピンブラケット25をスライド可能範囲の中心付近に極力位置させる。このセンタリング機構の作用により、シート重量計測装置取り付け後において、スライド機構や回動機構の可動範囲を両方向(左右、上下、前後)に確保することができる。
【0023】次にセンサ板51周りの構成について説明する。まずセンサ板51自体の構成を説明する。図5は、本発明の1実施例に係るシート重量計測装置のセンサ板の構成例を示す図である。図5(A)はセンサ板の平面図であり、(B)は(A)の線X−X′で切った側面断面図であり、(C)はセンサの回路図である。
【0024】センサ50の母材であるセンサ板(バネ材)51の上には、電気絶縁のための絶縁層(下絶縁層)52が形成されている。この絶縁層52の上に配線層53が選択的に形成されている。さらに、この配線層53の上に抵抗層54が選択的に形成され、ストレインゲージが構成されている。そして、それらの保護膜としての絶縁層(上絶縁層)55が形成されている。このように、バネ材51の上に抵抗などの電気回路を直接に積層形成しているので、加工コストや組付けコストを低減でき、さらに耐熱性や耐腐食性を向上できる。
【0025】センサ板51は、全体として二カ所のくびれの入った長方形の板である。センサ板51の中央部には中心軸孔51aが開けられている。センサ板51の両端部には、ボルト孔51bが開けられている。中心軸孔51aの周縁から中心軸孔51aと両ボルト孔51bの間にかけて、センサ50が形成されている。荷重センサ50の形成領域のうち中心軸孔51aと両ボルト孔51bの間の領域51cには、両側にV字状にえぐられたくびれが設けられている。このくびれにより、センサ板51が変形する部分が位置的に固定されるため、センサ50の表面歪の位置変化も固定され感度が安定となる。
【0026】センサ50は、中心軸孔51aの中心に対してほぼ左右対称に配置されている。センサ50を構成する4個の歪抵抗は、ボルト孔51b寄り(端寄り)に引張歪側の2個の歪抵抗54a,54bが配置されており、中心軸孔51a寄り(中央寄り)に、圧縮歪側の2個の歪抵抗54c,54dが配置されている。そして、4個の歪抵抗54a,54b,54c,54dは、図5(C)のようなブリッジ回路を形成するように、配線53a,53b,53c,53dにより接続されている。なお、図中の四角の中に1、2、3、4の数字が入っているものは端子を示す。
【0027】歪抵抗54a,54cと歪抵抗54b,54dの間には、感度調整抵抗54eが配置されている。なお、歪抵抗54a,54b,54c,54dによってセンサ板51の歪を検出する代わりに、静電容量センサやホール素子等によってセンサ板51のたわみを検出し、そのたわみを荷重に換算してもよい。
【0028】センサ板51は、図4、6に示すように、ベース底板21cの中央部において、コラム63上に、座金67、ナット68により強固に固定されている。
【0029】ハーフアーム41、42は、図4及び図6に示すように前後・上下4枚組みの部品であって、センサ板51の前後を上下から挟むように組み込まれている。個々のハーフアーム41、42は同じ形状をしているので、上ハーフアーム41について説明する。ハーフアーム本体部41cは、長方形の板状のものであってその中央部には取付孔41e(図6(B))が開いている。本体部41cの中央寄りの縁部には、左右方向に延びる羽根部41aが突設されている。羽根部41aの裏面には、左右方向に延びる堤状の支点41bが形成されている。支点41bの先はやや尖った稜となっている。
【0030】次に、上下ハーフアーム41、42、センサ板51、Zアーム作用部23jの組み立て構造について説明する。上ハーフアーム41の本体部41cの下面はフラットな面であって、センサ板51の表面にピッタリ合わせて固定されている。上下のハーフアーム41、42の羽根部41a、42aは、支点41b、42b同士を対向させて向かい合っている。両支点41b、42bの間にはZアーム23の作用部23jが挟まれている。
【0031】シート重量計測装置9のピンブラケット25に荷重がかかると、Zアーム23がわずかに回動してその作用部23jが上に持ち上げられる。このときのセンサ板やハーフアームの様子を模式的に誇張して示すのが図6(C)である。Zアーム作用部23jが持ち上げられると、上ハーフアーム41の支点41bが持ち上げられる。このため、センサ板51の前後方向端部にモーメントMがかかる。このモーメントMにより、前後方向端部のストレインゲージ54a、54bは引っ張られ、中央部のストレインゲージ54c、54dは圧縮される。これによる各ストレインゲージの抵抗変化を電気信号とに取り出して、センサ板の歪ひいてはピンブラケット25にかかる荷重を計測する。
【0032】次に、本実施例のシート重量計測装置のズレ/たわみ吸収機構の全様についてまとめて説明する。図3は、本実施例のシート重量計測装置のズレ/たわみ吸収機構を示す図である。(A)は分解斜視図であり、(B)はピンブラケット部の正面断面図である。ピンブラケット25は、シートレール7にボルト等によって強固に固定される。シート重量計測装置9の各部の構成と組み立て関係は前述したとおりである。車体の上下方向に対しては、ピンブラケット25のピン孔25cとブラケットピン27の隙間でズレを吸収する。車体の前後方向に対しては、ピンブラケット25のピン孔25cを長孔としてズレを吸収する。車体の左右方向に対しては、ピンブラケット側板25bとZアーム側板23aの間の隙間でズレを吸収する。なお、この部分はバネ板29によるセンタリング機構が備えられている。その定量的な構成については後述する。
【0033】車体の上下方向を軸とした回動に対しては、主にピンブラケット側板25bとZアーム側板23aの間の隙間でズレを吸収する。車体の前後方向を軸とした回動に対しては、主に車体の上下方向と同じく、ピンブラケット側板25bとZアーム側板23aの間の隙間でズレを吸収する。車体の左右方向を軸とした回動に対しては、主にピンブラケット25のブラケットピン27回りの回動で吸収する。
【0034】次に、吸収機構の左右方向のスライド可能量について定量的に考察する。図1は、シートの脚部周辺の構造を示す図である。(A)はシートレール及びシートスライドの模式底面図である。(B)はシートの脚部周辺の模式正面図である。
【0035】図1(B)に示すように、シート3はシートフレーム5によって支持されている。シートフレーム5は下には、左右2本のシートスライド5gが、車両の前後方向に延びるように設けられている。シートスライド5gは、シートレール7中を前後方向にスライド可能である。シートレール7の下には、上述の吸収機構を含むシート重量計測装置9が設けられている。シート重量計測装置9は、シートブラケット11を介して車体のシート取付部13に固定されている。
【0036】図1(A)に示すように、シートスライド5gは、シートレール7から前後にある長さbだけ突出可能である。シートレール7は、前後端部においてシート重量計測装置のピンブラケット29に連結されている。前後のピンブラケット29の中心点間の間隔(シートレールの長さ)はcである。シートスライド5gがシートレール7から突出する長さ(スライド可能な最大ストローク)はbである。なお、シートスライド5gの前後端部の白抜き点は、シートフレーム5とシートスライド5gとの接続部の位置を示す。
【0037】図1(A)の状態では、左右のシートレール7の前後方向中心点の間隔にaの寸法ズレ(公差分)がある。さらに、左側のシートレール7′は、角度θだけ前後方向に対して傾いている。このため、シートレール7′前後端部において、(c/2)×sin θ=cδ/2だけ位置ズレが生じている。さらに、シートスライド5g′の前端部は、b×sin θ=bδ余分にズレている。これらのズレがあった場合であって、もし吸収機構がないとすると、シートフレーム5あるいは車体取付部13が無理に変形して内部応力(組立応力)が生じ、シート重量計測装置の測定値に外乱が乗ることになる。
【0038】そこで、荷重センサの計測に影響しないように、シート取付後に生じる力を吸収する機構が必要である。吸収機構が吸収可能なストロークはLIR=γFsである。吸収機構に作用する力はシート取り付け時の左右方向への相対水平ズレ(a+bδ)が吸収機構の作用により緩和されバランスすることから以下となる。
Fs=(a+bδ−γFs)/α【0039】ここでバランス状態では、Fs=(a+bδ)/(α+γ)である。したがって、ストロークLIR=γ(a+bδ)/(α+γ)である。吸収機構に作用する力はシート締結時の左右方向への相対ねじれズレ(cδ/2β)が吸収機構の作用により緩和されバランスすることから以下となる。
Fs=(cδ/2−γFs)/βバランス状態ではFs=cδ/2(β+γ)、ストロークLIR=γcδ/2(β+γ)である。これらから水平ズレとねじれズレを合成しワーストケースを求めると以下となる。
吸収機構に作用する力 Fs=(a+bδ)/(α+γ)+cδ/2(β+γ)
ストローク LIR=γ((a+bδ)/(α+γ)+cδ/2(β+γ))
【0040】ストロークの式から吸収機構を自由にスライドさせた場合はγ=∽となり、シートの変形量がそのまま吸収機構で吸収するストロークとなる。
ストローク LIR=γ(a+bδ+cδ/2)
一般的にこのストロークは10mmを超え吸収機構として現実的でない。
【0041】軽量なシートは構造的に左右の開きはねじれよりも変形しやすい。つまりα>>β。したがってシート取付部に位置ズレが起こってもシートの脚が開き(又は内側に閉じ)ズレを吸収する。しかし、ねじれ変形はしにくく荷重センサに大きなストレスを生む。この場合、吸収機構のγをα>>γ>βとすると、水平方向ズレはシートの変形で吸収し、ねじれは吸収機構で吸収するように機能させられる。またパワーシートではシートフレームが強固であり、γ>>α=βであるため吸収機構でズレを吸収する。いずれにしてもシートと吸収機構にズレをバランスよく分散させ計測に影響ないレベルにストレスを押さえるように選定する。
【0042】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、部品製作誤差や取り付け時の寸法ズレ、たわみ等に起因する組立荷重が荷重センサに伝わらないよう、荷重センサとシートあるいは荷重センサと車体間の連結保持部に上記吸収機構を設けて、車体やシートの寸法誤差を吸収させる。これにより、荷重センサにはより純粋な計測荷重(シート重量)がかかることとなり、センサの有効範囲を十分に広く利用した正確な計測が可能となる。
【出願人】 【識別番号】000108591
【氏名又は名称】タカタ株式会社
【出願日】 平成11年7月27日(1999.7.27)
【代理人】 【識別番号】100100413
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 温
【公開番号】 特開2001−41813(P2001−41813A)
【公開日】 平成13年2月16日(2001.2.16)
【出願番号】 特願平11−212212