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【発明の名称】 ガスメータ
【発明者】 【氏名】友田 馨一

【氏名】吉永 明生

【要約】 【課題】ガス使用量急増時における応答性を向上し、ハンチングが生じない切換弁を備えるガスメータを提供する。

【解決手段】ガスメータ20は供給口21と排出口22とを連通する第1流路23に大流量計量手段24が介在され、この大流量計量手段24の上流側の第1流路23に切換弁25が介在される。この切換弁25をバイパスして第1流路23に接続される第2流路26に小流量計量手段27が介在される。切換弁25は弁座32に対して角変位して開閉動作を行う弁体33を有する。切換弁25の上方には相互に対向する一対のダイヤフラム30,31が設けられ、ダイヤフラム30,31は小流量計量手段27での圧力損失に応じて相互に近接/離反する方向に変位し、この変位がクランク機構50を介して切換弁25の弁体33に伝達される。各ダイヤフラム30,31には永久磁石片83,84を備える弁開時設定手段80が設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 供給口と排出口とを連通する第1流路に介在され、流過するガス流量を計量する大流量計量手段と、大流量計量手段よりも上流側の第1流路に介在される切換弁と、切換弁をバイパスして第1流路に接続される第2流路に介在され、流過するガス流量を計量する小流量軽量手段とを備え、前記切換弁は、第1流路に介在される弁座と、弁座でのガス流過方向に垂直な方向に変位自在に弁座に装着される弁体とを有し、小流量計量手段の上流側と下流側との差圧によって変位駆動するダイヤフラムによって切換弁の弁体は、弁開および弁閉動作することを特徴とするガスメータ。
【請求項2】 前記ダイヤフラムは互いに対向して2枚設けられ、対向する内面側の各内圧力室に小流量計量手段側の上流側の圧力が導かれ、外面側の各外圧力室に小流量計量手段の下流側の圧力が導かれることを特徴とする請求項1記載のガスメータ。
【請求項3】 小流量計量手段の上流側と下流側との差圧が予め定める値に達するまでは磁気吸引力によって弁体が開弁動作することを阻止する永久磁石片を有する弁開時設定手段が設けられることを特徴とする請求項1または2記載のガスメータ。
【請求項4】 弁体を弁閉方向にばね付勢するばね部材が設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のガスメータ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガス使用量を計量するガスメータに関する。
【0002】
【従来の技術】大量にガスを使用する大需要家用にガスの大流量を計量可能なガスメータが望まれている。しかし大流量計量可能な計量手段では小流量を正確に測定することは困難であり、1つの計量手段で小流量から大流量まで正確に測定できる計量手段は構成が大きくなり、製造コストも高くなってしまう。そのため大流量のみ計量可能な大流量計量手段と小流量のみ計量可能な小流量計量手段とを備え、ガス使用量に応じて流路を切換える切換弁を設け、大流量計量手段と小流量計量手段とを併用するガスメータが、本件出願人によって特開平10−227678号公報で提案されている。
【0003】図13はこのような切換弁を備えるガスメータ1の構造を示す模式図である。ガスメータ1には供給口2と排出口3とを連ねる第1流路4に大流量計量手段5が介在され、この大流量計量手段5の上流側の第1流路4に切換弁10が介在される。この切換弁10をバイパスして第1流路4に接続される第2流路6に小流量計量手段7が介在される。
【0004】切換弁10の上方にはダイヤフラム11が設けられ、ダイヤフラム11の上方の第1圧力室15は小流量計量手段7よりも下流側の第1流路4に連通し、ダイヤフラム11の下方の第2圧力室16は小流量計量手段7よりも上流の第2流路6に連通する。
【0005】ガス使用量が小流量である場合には切換弁10の弁座8に弁体9が着座して第1流路4が遮断されており、ガスは第2流路6を流過して小流量計量手段7で計量されて排出口3から排出される。ガス使用量が増加すると小流量計量手段7での圧力損失が大きくなり、小流量計量手段7の上流側と下流側とで差圧が大きくなる。するとダイヤフラム11の上方の第1圧力室15の圧力が第2圧力室16よりも低下してダイヤフラム11が上方に変位する。ダイヤフラム11は切換弁10の弁体9に連結されているので、このダイヤフラム11の上方への変位によって弁体9が上方に持上がり、切換弁10が開いて第1流路4が開放する。これによって大流量を第1流路4を流過させて小流量計量手段7の圧力損失が低下する。これとともに小流量計量手段から大流量計量手段に切換えて大流量計量手段5でガス使用量を計量する。
【0006】また、ガス使用量が減少すると小流量計量手段7での圧力損失が低下し、これによってダイヤフラム11が下方に変位して弁体9が弁座8に着座し、第1流路4が遮断されて再び小流量計量手段7によってガス使用量が計量されることになる。このようにして小流量から大流量まで正確に計量することが可能となる。
【0007】このような小流量計量手段7の圧力損失に応じて変位するダイヤフラム11によって切換弁10を開弁および閉弁させる場合には、ハンチング現象が生じる。ハンチング現象は、たとえば圧力損失が高くなって切換弁10が開いたとき、この開弁動作によって圧力損失が低下し、すぐに切換弁10が閉じ、閉じると再び圧力損失が増加して切換弁10が開き、このようにして弁体9が開閉動作を繰返す現象を指す。
【0008】図13に示されるように、弁体9は弁座8に対して上下に変位して開閉動作を行うので、弁体9の変位方向とガスの流過方向とが同じであり、弁体9の背面にガスの流れが大きく作用し、上方に弁開したとき、上方から下方に流れるガスが弁体の背面に作用してすぐに弁体が下がって弁閉し、弁開閉動作がさらに大きくなる。
【0009】ガスメータ1ではこのようなハンチング現象を抑えるために、クラッチ12、ばね13およびソレノイド14によって弁体9の開閉動作の制御を行っている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このように従来のガスメータ1ではクラッチやソレノイドなど複雑な構成でハンチング現象を抑制しているため、構成が大きくなり、また部品点数も増加するといった問題を有する。
【0011】また、ガス使用量が小流量から急激に大流量になった場合には、弁体9の上方から大きな背圧が作用するため、すぐには切換弁10が開かず、ガス使用量急増時の応答性が悪いといった問題も有する。
【0012】本発明の目的は、小流量計量手段および大流量計量手段を併用するガスメータにおいて、簡単な構成で切換弁のハンチングを防ぎ、ガス使用量急増時の切換弁の応答性も良好なガスメータを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明は、供給口と排出口とを連通する第1流路に介在され、流過するガス流量を計量する大流量計量手段と、大流量計量手段よりも上流側の第1流路に介在される切換弁と、切換弁をバイパスして第1流路に接続される第2流路に介在され、流過するガス流量を計量する小流量軽量手段とを備え、前記切換弁は、第1流路に介在される弁座と、弁座でのガス流過方向に垂直な方向に変位自在に弁座に装着される弁体とを有し、小流量計量手段の上流側と下流側との差圧によって変位駆動するダイヤフラムによって切換弁の弁体は、弁開および弁閉動作することを特徴とするガスメータである。
【0014】本発明に従えば、ダイヤフラムは小流量計量手段の圧力損失に応じて変位駆動し、このダイヤフラムの変位によって切換弁が開閉する。たとえばガス使用量が小流量の場合には切換弁が閉じており、ガスは第2流路を流過して小流量計量手段によって計量される。ガス使用量が増加すると圧力損失が大きくなり、これによって切換弁が開いて第1流路をガスが流過して大流量計量手段によって計量される。
【0015】従来の切換弁の弁体はガスの流過方向に変位していたため、弁体の背面にガスの流れが作用してハンチングが生じやすい構成となっていたが、本発明の弁体はガスの流過方向に垂直な方向に変位する構成となっているので、ガスの流れで閉弁動作することなく、これによってハンチング現象が抑制される。
【0016】また従来の切換弁では急激にガス使用量が増加したときに弁体に作用する背圧が弁体の閉弁方向に作用するために、切換弁がすぐに開かないといった現象が生じていたが、本発明の弁体はガスの流過方向に垂直な方向に変位するので、大きな背圧に拘わらず迅速に開弁および閉弁動作を行うことができ、ガス使用量の急増時でも切換弁の応答性が良好である。さらに、このように弁座に対して垂直な方向にスライドして開閉する構造は弁閉時の気密性および耐久性が高く、高い信頼性を有しており、長期間使用するガスメータに好適である。
【0017】請求項2記載の前記ダイヤフラムは互いに対向して2枚設けられ、対向する内面側の各内圧力室に小流量計量手段側の上流側の圧力が導かれ、外面側の各外圧力室に小流量計量手段の下流側の圧力が導かれることを特徴とする。
【0018】本発明に従えば、小流量計量手段での圧力損失が大きくなると内圧力室の圧力が増加し、外圧力室の圧力が低下してダイヤフラムは互いに離反する向きに変位する。逆に圧力損失が低下すると、互いに近接する向きに変位する。このように相互に近接または離反する2枚のダイヤフラムを利用して弁体を変位させるので、切換弁の開閉に充分な駆動力を得ることができる。
【0019】請求項3記載の本発明は、小流量計量手段の上流側と下流側との差圧が予め定める値に達するまでは磁気吸引力によって弁体が開弁動作することを阻止する永久磁石片を有する弁開時設定手段が設けられることを特徴とする。
【0020】圧力損失が予め定める値に達するまでは小流量計量手段で計量するので、このときには切換弁を確実に閉止しておく必要がある。本発明の弁開時設定手段は磁気吸引力によって小流量計量手段の圧力損失が予め定める値に達するまでは弁体の開弁動作を阻止し、圧力損失が予め定める値をを超えると、磁気吸引力に打ち勝ってダイヤフラムが変位して切換弁が開くように設定する。このように磁石を用いるといった簡単な構成で切換弁の開閉のタイミングを正確に行うことができる。また、このような磁気吸引力によってダイヤフラムの変位を抑制することによってガス使用量小量時に生じやすいハンチング現象も防ぐことができる。
【0021】請求項4記載の本発明は、弁体を弁閉方向にばね付勢するばね部材が設けられることを特徴とする。
【0022】本発明に従えば、弁体は常に弁閉方向にばね付勢されているので、ガス使用量が大流量から小流量に減少したとき、正確にダイヤフラムの変位に追従して切換弁を閉止することができる。小流量計量手段での計量時には確実に切換弁を閉止しておく必要があり、本発明ではばね部材を用いてガス流量減少時に確実に切換弁を閉止することができる。これによって小流量計量手段での計量時に切換弁が開いているといったことを防ぐことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態であるガスメータ20の構造を模式的に示す図である。ガスメータ20は、業務用などガス使用量の多い大需要家用のガスメータである。ガスメータ20は大流量のガス流量を計量する大流量計量手段24と、小流量のガス流量を計量する小流量計量手段27と、切換弁25とを備え、供給口21から排出口22にわたって連通する第1流路23に大流量計量手段24が介在され、この大流量計量手段24よりも上流側の第1流路23に切換弁25が介在される。この切換弁25よりも上流側の第1流路23と大流量計量手段24よりも下流側の第1流路23とに接続されて切換弁25をバイパスする第2流路26に小流量計量手段27が介在され、この小流量計量手段27は第2流路26を流過する小流量のガス流量を計量する。
【0024】切換弁25の上流側には互いに対向する第1および第2ダイヤフラム箱40,41を有する弁駆動手段34が設けられる。第1ダイヤフラム箱40に収納される第1ダイヤフラム30と第2ダイヤフラム箱41に収納される第2ダイヤフラム31とは互いに対向して配置され、各ダイヤフラム箱40,41の内側の第1内圧力室42,第2内圧力室43はそれぞれ内壁105,106に形成される開口46,47を介して切換弁25よりも上流側の第1流路23に連通している。ダイヤフラム30,31に関して内圧力室42,43とは反対側の第1および第2外圧力室44,45はそれぞれ小流量計量手段27および大流量計量手段24よりも下流側の第1流路23に連通している。
【0025】切換弁25が閉止状態にある場合には、供給口21から供給されるガスは第2流路26を介して小流量計量手段27でガス使用量が計量されて排出口22から排出されるが、このとき小流量計量手段27の上流側の圧力は各ダイヤフラム箱40,41の内圧力室42,43に導かれ、小流量計量手段27よりも下流側の圧力は外圧力室44,45に導かれる。これによって小流量計量手段27の圧力損失によって小流量計量手段27の上流側と下流側との差圧が大きくなった場合には各ダイヤフラム30,31は相互に離反する方向に変位することになる。
【0026】切換弁25は第1流路23に介在される弁座32と、この弁座32に装着される弁体33とを有し、弁体33は弁座32の弁孔51でのガス流過方向Aに垂直な方向に角変位自在に弁座32に装着される。前記第1および第2ダイヤフラム30,31と弁体33との間にはクランク機構50が設けられ、第1および第2ダイヤフラム30,31の相互に近接/離反する変位によって弁体33が角変位駆動されて弁体33が開閉動作する。
【0027】弁駆動手段34よりも上流側の第1流路23には遮断弁37が介在される。この遮断弁37は制御手段35によって制御され、地震や過大流量などの異常発生時に制御手段35からの遮断信号に応答して第1流路23を遮断し、ガスの供給を停止する。
【0028】大流量計量手段24および小流量計量手段27は、それぞれ流過するガス流量に応じたガス計量信号を制御手段35に入力する。制御手段35ではこれらのガス計量信号に基づき、ガスメータ20を通過するガス通過流量が予め定める切換流量Q1に達するまでは小流量計量手段27からのガス計量信号を積算してガス使用量を求める。ガス使用量が増加し、ガス通過流量が前記予め定める切換流量Q1を超えると大流量計量手段24からの計量信号に基づいてガス使用量を求める。この切換流量Q1は、切換弁25が開き始めるときの弁開閉流量Q2よりも小さく、かつ大流量計量手段24で計量可能な最低の値とする。
【0029】図2はガスメータ20の構造を示す縦断面図であり、図3は図2の切断面線III−IIIから見た断面図であり、図4は図2の切断面線IV−IVから見た断面図である。ガスメータ20は矩形箱状のハウジング55を有し、このハウジング55内に小流量計量手段27、大流量計量手段24、切換弁25および弁駆動手段34が内蔵され、ハウジング55の上に制御手段35が乗載されて取付けられる。
【0030】ガスメータ20の供給口21は図3に示されるようにハウジング55の左上に設けられ、排出口22は右上に設けられ、この排出口22の下に大流量計量手段24が設けられる。ハウジング55の中央部には正面側(図3の手前側)に小流量計量手段27が内蔵されて背面側(図3の奥側)に弁駆動手段34が内蔵され、この弁駆動手段34の下に切換弁25が配置される。また供給口21の直下には遮断弁37が設けられる。遮断弁37は、図4に示されるように第1流路23に介在される弁座56と弁体57を有し、ガスメータ使用時には遮断弁37が開いている。制御手段35からの遮断信号が入力されると遮断弁37のソレノイドによって弁体57が弁座56に着座して第1流路23が遮断される。この遮断状態を解除するにはハウジング55の正面に設けられる復帰ボタン58を押圧操作することによって弁体57を押し戻す。
【0031】小流量計量手段24は本実施形態では膜式ガスメータであり、これによってガス使用量が小量であっても正確に計量することができる。また大流量計量手段24は本実施形態ではフルイディック式ガスメータであり、これによってコンパクトな構成で大量のガス使用量を正確に計量することができる。
【0032】供給口21から供給されたガスは遮断弁34の弁座56を通過して小流量計量手段27および切換弁25に導かれる。図2〜図4で示す図では切換弁25は閉止状態にあるので、遮断弁34を通過したガスはすべて小流量計量手段27のガス導入口60(図4参照)に導入される。導入されたガスは小流量計量手段27で計量されてガス導出口61から排出され、第2流路26を介して第1流路23に合流し、大流量計量手段24に導かれる。大流量計量手段24を流過してガス流量が計量されたガスは排出口22から排出される。
【0033】図5は弁駆動手段34および切換弁25を示す断面図であり、図6はその正面図であり、図7はその平面図であり、図8は切換弁25の平面図である。なお図5〜図8では切換弁25は閉止状態にある。弁駆動手段34の第1および第2ダイヤフラム箱40,41は互いに対向して平行に配置され、下端部が連結部77によって結合され、ハウジング55に支持される。第1および第2ダイヤフラム箱40,41間には永久磁石片83,84を有する弁開時設定手段80およびクランク機構50が設けられる。
【0034】クランク機構50は第1および第2リンク65,66、クランク円盤67および連結軸68を有する。連結軸68は、第1ダイヤフラム箱40および第2ダイヤフラム箱41間の中央部で各ダイヤフラム箱40,41に平行に上下に延び、連結軸68の軸線である第1軸線L1まわりに角変位自在に連結部77に軸支される。この連結軸68の上端部がクランク円盤67の中央部に第1軸線L1まわりの変位が阻止されてトルク伝達可能に連結される。前記軸線L1に垂直で、各ダイヤフラム30,31の中央を通り、ダイヤフラム30,31の変位方向に水平に延びる軸線を第2軸線L2とすると、弁開時設定手段80はこの軸線L2に沿って配置される。
【0035】クランク機構50の第1および第2リンク65,66は前記第2軸線L2に略平行に設けられ、第1ダイヤフラム30に接続される第1リンク65は図5の紙面に対して軸線L2よりも手前側(図7の下方)に配置され、第2ダイヤフラム31に連結される第2リンク66は図5の紙面に対して軸線L2の奥側(図7の上方)に配置される。各リンク65,66はそれぞれ一端部が第1および第2ダイヤフラム30,31に、第1軸線L1に平行な軸線まわりに角変位自在に連結される。第1リンク65の他端部は第1軸線L1よりも第2ダイヤフラム箱41側で、第1軸線L1に平行な軸線まわりに角変位自在にクランク円盤67に連結される。同様に第2リンク66の他端部も第1軸線L1よりも第1リンク40側で、第1軸線L1に平行な軸線まわりに角変位自在にクランク円盤67に連結される。
【0036】このような構成によって第1および第2ダイヤフラム30,31が互いに離反する方向に変位したとき各リンク65,66およびクランク円盤67を介して連結軸68が図7において時計まわりである弁開方向Cに角変位し、逆に第1および第2ダイヤフラム30,31が相互に近接する向きに変位したときには連結軸68は図7において反時計まわりである弁閉方向Dに角変位する。なお連結軸68の各変位量は45°である。
【0037】切換弁25の弁座32は円形であり、ハウジング55に取付けられ、中心角が45°の略扇形の弁孔51が周方向に等間隔に4個形成される。この弁座32は前記第1軸線L1と同軸に配置され、この中心に凹所90が形成される。弁体33も弁座32と略同径の円形であり、中央部に下方に突出するピン91が形成され、このピン91が弁座32の凹所90に嵌まり込むことによって弁体32は第1軸線L1まわりに角変位自在に弁座32に装着される。弁体33にも中心角が45°の略扇形の開口92が周方向に等間隔に4個形成される。この弁体33の中央部の上方には凹所93が形成され、この凹所93に連結軸68の下端部が嵌まり込む。連結軸68の下端部には第1軸線L1に垂直に連結棒69が連結軸68に対して挿通され、第1軸線L1まわりの変位が阻止されてトルク伝達可能に連結される。連結棒69の両端部には切欠き96,97が形成され、弁体33から上方に突出するピン94,95が各切欠き96,97に嵌まり込んで角変位自在に連結される。このような構成によって連結軸68の第1軸線L1まわりの角変位によって弁体33が弁座32上でスライド角変位して弁開および弁閉動作を行う。
【0038】弁開時設定手段80は第1ダイヤフラム30に取付けられる第1取付棒81と第2ダイヤフラム31に取付けられる第2取付棒部82と第1および第2取付棒81,82の先端部に取付けられる永久磁石片83,84とから構成される。各取付棒81,82はそれぞれ第2軸線L2に沿って配置され、基端部が第1および第2ダイヤフラム30,31の中央部に固定され、先端部が対向するように配置される。この先端部に取付けられる永久磁石片83,84はそれぞれ対向する面が互いに反対の磁極となるように各取付棒81,82に取付けられる。このような構成によって第1および第2ダイヤフラム30,31は互いに近接する方向に磁気吸引力が作用することになる。切換弁35が閉止位置にあるとき各永久磁石片83,84が最も近接した位置にある。
【0039】第1および第2ダイヤフラム箱40,41の各外圧力室44,45と各内圧力室42,43との差圧による各ダイヤフラム30,31の駆動力が、最も近接した位置にあるときの永久磁石片83,84の磁気吸引力を上まわると、各ダイヤフラム30,31は前記磁気吸引力に抗して互いに離反する方向に変位して切換弁25が開き始める。したがって、切換弁25が閉止状態にあるときの弁開時設定手段80の各永久磁石片83,84の間隔を調整することによって切換弁25の弁開するタイミングを調整することができる。本実施形態では大流量計量手段24で計量可能な最小ガス流量である切換流量Q1よりも大きい弁開閉流量Q2に達したときに切換弁25が開くように前記永久磁石片83,84の位置を調整する。また永久磁石片83,84が最も近接したときであっても、互いに密着しないように設けて、各ダイヤフラム30,31に極度に大きな力が作用しないように構成する。
【0040】連結軸68を軸支する連結部77とクランク円盤67との間には弁体33を弁閉方向Dにばね付勢するばね部材100が介在される。ばね部材100は捩りばねによって構成され、一端部がクランク円盤67に連結され、他端部が連結部77に連結れ、クランク円盤67が図7において反時計まわりに角変位するようにばね付勢する。これによって弁体33は弁閉方向Dにばね付勢されることになる。
【0041】図9は切換弁25が全開したときの弁駆動手段34および切換弁25の断面図であり、図10はその平面図であり、図11は切換弁25の平面図である。切換弁25が閉止位置にあるときには、永久磁石片83,84の磁気吸引力によって各ダイヤフラム30,31が相互に近接する向きに磁気吸引されて各ダイヤフラム30,31はそれぞれダイヤフラム箱40,41の内壁105,106に支持されている。このときには図8に示されるように、弁体33の開口90と弁座32の弁孔31とが周方向にずれて弁閉状態にある。切換弁25が全開状態にあるときには、図9に示されるように各ダイヤフラム30,31が相互に最も離反し、ダイヤフラム箱40,41の外壁107,108に各ダイヤフラム30,31が支持された状態にある。このとき図11に示すように弁座32の弁孔51と弁体33の開口92とが一致して、全開状態となる。弁座32には各弁孔51の周縁部に沿って凸条110が形成され、閉止位置にあるときの弁体33の各開口92の周縁部に対応する弁座32にも凸条110が形成され、これらの凸条110上に弁体33が気密に乗載される。このような凸条110によって弁座32と弁体33との接触面積が小さくなり、摺動抵抗が低減し、スムーズにスライドして開閉することができる。このような切換弁25の構造によって、閉止時のガス漏れ量を2リットル/時以下とすることができる。
【0042】図12は、ガス使用量Q(m3/時)とガスメータ20での圧力損失、すなわち供給口21と排出口22との差圧ΔP(Pa)との関係を示すグラフであり、図12において実線Eで示す。なお図12において破線Fで示すグラフは、大流量計量手段24の上流側と下流側との差圧を示す。
【0043】ガス使用量Qが0のとき、切換弁25は閉止状態にあり、制御手段35は小流量計量手段27からの計量信号に基づいて計量可能な状態にあり、この状態からガスが使用されると小流量計量手段27に基づいて計量される。なお小流量計量手段27を流過したガスは第1流路23に介在される大流量計量手段24を流過し、大流量計量手段24でも流過したガス流量に応じた計量信号を出力している。
【0044】ガス流量が徐々に増加し、切換流量Q1に達すると、制御手段35は小流量計量手段27に基づく計量から大流量計量手段24に基づく計量に切換える。すなわち、大流量計量手段24から入力される計量信号に基づいて計量し始める。なおこのときにはまだ切換弁25は閉止状態にある。図12の破線で示すように、切換流量Q1に達すると大流量計量手段24に差圧が生じて、大流量計量手段24で計量可能となる。
【0045】ガス流量がさらに増加し、弁開閉流量Q2に達すると、切換弁25が開き始める。この弁開閉流量Q2は本実施形態では膜式ガスメータである小流量計量手段27の最大駆動差圧、すなわち小流量計量手段27に作用させることができる最大圧力によって規定され、たとえば147Paである。このような小流量計量手段27の最大駆動差圧で切換弁25が開き始めるように永久磁石片83,84の間隔を調整しておく。このような弁開時設定手段80によって、小流量計量手段27での計量時に切換弁25が開くことが確実に防がれる。また、弁開時設定手段80でガス使用量小量時に容易に切換弁25が開くことを防ぐことにより、確実にハンチングを防止することができる。
【0046】永久磁石片83,84の磁気吸引力によって弁開閉流量Q2に達するまでダイヤフラム30,31の相互に離反する方向への変位が阻止されており、全開流量Q2に達して永久磁石片83,84が離反すると磁気吸引力がほとんど作用しなくなり、切換弁25は一気に弁開方向Cに開こうとするが、切換弁25が開くことにより圧力損失が低下し、ダイヤフラム30,31の駆動差圧も低下するので、切換弁25は一気に全開するのでなく、小流量計量手段27および弁通路の圧力損失に応じた開度が保たれる。なお、弁開時の圧力損失で再び弁閉してハンチングが起こらないように弁開時設定手段80の磁気吸引力が設定される。
【0047】このようにして大流量計量手段24によって最大ガス使用量Qmaxまで計量可能となる。大流量Qmaxは前述した小流量計量手段27の最大駆動差圧によって決定される。このQmaxに達するより前に、切換弁25が全開するようにばね部材100のばね力が設定され、これによって最大ガス使用量を可及的に大きくすることができる。本実施形態では、最大ガス使用量Qmaxに達したとき切換弁25が全開となるようにばね部材100のばね力が設定される。これによって切換弁25を最も効果的に利用することができる。
【0048】ガス使用量が減少すると、これに従い圧力損失ΔPが低下するのでこれによって切換弁25は弁閉し始める。ガス使用量が切換流量Q1まで低下するまでの弁開閉流量Q2で切換弁25を確実に閉止する必要があり、確実に閉止するためには弁開時設定手段80の永久磁石片83,84によって相互に磁気吸着させる必要がある。しかしながら永久磁石片83,84が離反した状態にあるときには磁気吸引力がほとんど作用しないため、磁気吸引力のみで弁閉方向Dに駆動させることは困難である。本発明では前述したようにばね部材100を設けることによって各ダイヤフラム30,31を常に近接する方向にばね付勢することができ、これによって弁開閉流量Q2に達したとき確実に永久磁石片83,84によって磁気吸引させて切換弁25を閉止することができる。
【0049】このように弁開閉流量Q2に達して切換弁25が閉止すると図12に示すように圧力損失ΔPが急増し、さらにガス使用量が低下して切換流量Q1に達すると制御手段35は大流量計量手段24から小流量計量手段24に切換えて小流量計量手段24に基づいてガス使用量を計量する。このようにしてガスメータ20で小流量から大流量まで正確に計量することが可能となる。
【0050】また切換弁25の弁体33は切換弁25でのガス流過方向Aに垂直な方向にスライドして開閉動作を行うので、切換弁25の上流側の圧力である背圧が弁体33の動作方向にほとんど影響を及ぼさず、これによってガス使用量が急激に増大したときに切換弁25が開かなくなるといったことが防がれ、切換弁25の応答性が向上される。
【0051】本実施形態では、小流量計量手段を膜式ガスメータとしたが、本発明の他の実施計量として小流量計量手段および大流量計量手段の両方をフルイディック式ガスメータとしてもよく、さらに超音波ガスメータなど他の方式の計量手段との組合わせであってもよい。
【0052】
【発明の効果】請求項1記載の本発明によれば、切換弁の弁体はガス流過方向に垂直な方向に変位駆動して開閉するので、ハンチングを抑制し、ガス使用量急増時の応答性を向上することができる。
【0053】請求項2記載の本発明によれば、ダイヤフラムが2枚設けられることにより、弁体を開閉動作するための大きな駆動力を得ることができる。
【0054】請求項3記載の本発明によれば、磁気吸引力によってガス使用量が小量のときの開閉操作を阻止することによってハンチング現象を防止することができる。
【0055】請求項4記載の本発明によれば、弁閉方向にばね付勢するばね部材を設けることによって、ガス使用量減少時に確実に切換弁を閉止することができる。
【出願人】 【識別番号】000142425
【氏名又は名称】株式会社金門製作所
【出願日】 平成11年10月27日(1999.10.27)
【代理人】 【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
【公開番号】 特開2001−124609(P2001−124609A)
【公開日】 平成13年5月11日(2001.5.11)
【出願番号】 特願平11−305294