| 【発明の名称】 |
超音波流量計 |
| 【発明者】 |
【氏名】小林 保
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| 【要約】 |
【課題】気泡の発生しやすい流体中においても、大きな誤差を生じずに流量を計測することができる超音波流量計を提供する。
【解決手段】流路用管体1に対向して取付けられた1対の超音波振動子2a、2bと、これら1対の振動子の送信・受信を交互に切換えることにより超音波の伝播方向を切換える切換器3と、流体内を伝播して受信側の振動子により受信される受信信号を増幅する増幅器5と、同増幅器からの出力波形の振幅の値と設定器6により設定される振幅基準値とを比較し、前記増幅器からの出力波形の振幅の値が振幅基準値を超えると比較出力を発する比較器7と、同比較器からの比較出力に基づいて超音波の伝播時間を計測し、かつ、前記切換器による超音波の伝播方向の切換えに伴う超音波の伝播時間の差から流量を計測する演算・制御装置8とを備え、前記設定器における振幅基準値を、前記受信信号のピーク値に比例する値に設定する構成のものとした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】流路用管体に対向して取付けられた1対の超音波振動子と、これら1対の振動子の送信・受信を交互に切換えることにより超音波の伝播方向を切換える切換器と、流体内を伝播して受信側の振動子により受信される受信信号を増幅する増幅器と、同増幅器からの出力波形の振幅の値と設定器により設定される振幅基準値とを比較し、前記増幅器からの出力波形の振幅の値が振幅基準値を超えると比較出力を発する比較器と、同比較器からの比較出力に基づいて超音波の伝播時間を計測し、かつ、前記切換器による超音波の伝播方向の切換えに伴う超音波の伝播時間の差から流量を計測する演算・制御装置とを備え、前記設定器における振幅基準値を、前記受信信号のピーク値に比例する値に設定することを特徴とする超音波流量計。 【請求項2】前記設定器は、前記増幅器からの増幅受信信号を整流するダイオード回路と、この整流された受信信号である電圧信号の最高電圧を保持し、所定回数の受信毎に放電するピーク整流コンデンサと、この放電の直前にピーク整流コンデンサからの出力をサンプリングしてホールドするサンプルホールド回路と、このサンプルホールド回路からの出力を分圧して出力するポテンシオメータとで構成されてなる請求項1に記載の超音波流量計。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、伝播時間差方式の超音波流量計の改良に係るものであり、特に、気泡を含む流体の計測に好適な超音波流量計に関する。 【0002】 【従来の技術】図4は、従来の伝播時間差方式の超音波流量計を示し、以下その概要を説明する。同図において符号1は流体入口1a、同出口1bを有する流路用管体、2a、2bは管体の両端に設けた1対の超音波振動子、3は切換器であり、パルス励振電圧源4と、受信信号の増幅器5とを、前記超音波振動子2aまたは2bへ交互に切換えて接続するものとしてある。 【0003】6は増幅器5の出力の振幅に対する基準値を設定するための設定器で、従来例では直流定電圧を与えられるポテンシオメータで構成され、比較器7は増幅器5および設定器6のタップ出力を比較し、例えば、増幅器5の出力波形の振幅の値が基準値を超えた時刻に、比較出力を演算・制御装置8に与える。 【0004】演算・制御装置8はパルス励振電圧源4を制御して振動子2a、2bをパルス的に励振させるとともに、前記比較器7からの比較出力の時間的間隔から、超音波の伝播時間を計測し、かつ切換器3を制御して超音波の伝播方向を切換え、伝播方向の切換による超音波の伝播時間の差を演算し、この時間差から流路用管体1を流れる流体の値を得ている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上述のような構成の伝播時間差方式の超音波流量計は、半導体デバイス製造分野において、コンタミネーションの少ない薬液用の流量計として賞用されているが、過酸化水素水の流量計に適用しようとすると、過酸化水素水中の酸素気泡によって超音波信号が減衰し、かつ、その減衰量は時間的に急速に変動する。 【0006】図5は従来の超音波流量計における増幅器5の出力波形の具体例を示し、実線Aは液中の気泡が少ない場合、破線Bは気泡が多い場合の波形例を示し、鎖線Cは振幅基準値である。 【0007】同図に示した例においては、気泡が少ない場合、振幅基準値Cは波形の2つの隣合うピークPおよびQの中間に設定されているので、若干の雑音の混入に対しても安定に比較機能を発揮できる。 【0008】しかし、気泡が多い場合は、受信波形の減衰に伴って検知ピークが後ろのピークR’近くに移行し、十分な受信信号が比較器に入力されず、流量計測結果に大きな誤差が生じ、減衰が著しい場合には検知不能になることもある。また、気泡が多い場合に合わせて振幅基準値Cを低過ぎる値に設定すると、気泡が少なくてさほど減衰がない場合にも雑音が多くなって、計測に誤差を生じる。 【0009】 【発明の目的】本発明は、上述した従来技術の問題点を解消し、気泡の発生しやすい流体中においても、大きな誤差を生じずに流量を計測することができる超音波流量計を提供することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明に係る超音波流量計は、流路用管体に対向して取付けられた1対の超音波振動子と、これら1対の振動子の送信・受信を交互に切換えることにより超音波の伝播方向を切換える切換器と、流体内を伝播して受信側の振動子により受信される受信信号を増幅する増幅器と、同増幅器からの出力波形の振幅の値と設定器により設定される振幅基準値とを比較し、前記増幅器からの出力波形の振幅の値が振幅基準値を超えると比較出力を発する比較器と、同比較器からの比較出力に基づいて超音波の伝播時間を計測し、かつ、前記切換器による超音波の伝播方向の切換えに伴う超音波の伝播時間の差から流量を計測する演算・制御装置とを備え、前記設定器における振幅基準値を、前記受信信号のピーク値に比例する値に設定する構成のものとしてある。 【0011】また、本発明に係る超音波流量計は、前記設定器を、前記増幅器からの増幅受信信号を整流するダイオード回路と、この整流された受信信号である電圧信号の最高電圧を保持し、所定回数の受信毎に放電するピーク整流コンデンサと、この放電の直前にピーク整流コンデンサからの出力をサンプリングしてホールドするサンプルホールド回路と、このサンプルホールド回路からの出力を分圧して出力するポテンシオメータとで構成したものとしてある。 【0012】 【実施例】以下、本発明に係る超音波流量計の実施例を添付図1乃至図3に基づいて説明する。なお、図において従来例のものと同じ構成には同じ符号を付して説明は省略した。 【0013】本実施例における振幅基準値を設定する設定器6は、ピーク検知用スイッチ61、理想化ダイオード回路62、ピーク整流コンデンサ63、このピーク整流コンデンサ63に備えられた放電用スイッチ64、サンプルホールド回路65、このサンプルホールド回路65に備えられたピーク値ホールド用コンデンサ66、このサンプルホールド回路65からの出力が与えられるポテンシオメータ67、このポテンシオメータ67に備えられたタップ68などにより構成される。 【0014】なお、ピーク検知用スイッチ61、放電用スイッチ64、サンプルホールド回路65の各制御端子t1 、t2 、t3 は、演算・制御装置8の対応する端子t11、t12、t13に接続され、各スイッチ61、64のON/OFF、および回路65の機能を制御する。 【0015】(作用)まず、本実施例に係る超音波流量計の振幅基準値を設定する設定器6について説明する。演算・制御装置8はタイマ機能を有し、切換器3の切換のタイミングなどから予定される受信信号の到来に合せて、端子t1 に論理信号Hを与え(図2(B)上段)ピーク検知用スイッチ61をONとし、受信信号の波形を取り込む。 【0016】この取り込まれた波形(図2(C))すなわち電圧波形は、ダイオード回路62により整流され(図2(D))、ピーク整流コンデンサ63の電位は階段状(図2(E))に変化し、やがて受信波ピーク群の最高値(この場合は図2(D)の4つのピークのうちの3番目のピーク値)をとる。 【0017】次に、t2 (図2(B)中段)がHとなると、サンプルホールド回路65は、ピーク整流コンデンサ63の電位をサンプリング(図3(F)の太線)し、この電位をポテンシオメータ67に与える(サンプル状態)。 【0018】そして、ピーク値ホールド用コンデンサ66を同電位とし、t2 がLとなると、サンプルホールド回路65はピーク値ホールド用コンデンサ66の電位を出力としてホールドし続ける(ホールド状態(図3(F)の太線から右に続く実線))。 【0019】次にt3 (図2(B)下段)がHとなると、放電用スイッチ64がコンデンサ63を放電し(図2(E)右の急な傾斜)、次回のピーク整流に備える。このようにして、ポテンシオメータ67には毎回の受信波形のピーク値が与えられる。 【0020】ポテンシオメータ67のタップ68は、サンプルホールド回路65のホールド状態の出力をα倍に分圧すなわち比例制御して(図3(F)の鎖線)、比較器7に電圧の基準値として供給する。 【0021】このαの値を、0<α<1とし、しかも経験則による所定の値とすることで、常に基準値を最適の値、例えば受信波の2つのピーク(図3のPとQ、またはP’とQ’)の中間に位置する値とすることができ、比較器7は安定に動作することができる。 【0022】次に、上述した設定器6によって前回の受信の際に設定される基準値により、本実施例に係る超音波流量計が次回の受信の際に得る作用を、図3により説明する。同図において(A)は気泡による減衰が少ない場合、(B)は減衰が著しい場合の各受信波形を示し、同図(A)(B)中のCは振幅基準値である。 【0023】一般に、気泡により超音波が減衰されても、超音波の受信信号の波形におけるピーク群の継続時間は、数マイクロ秒間であって、ほぼ一定と見なせる。そして、同図(A)、(B)の波形を比べると、横軸(時間軸)は同一で縦軸(電圧軸)のみが縮小・拡大された形をとる。 【0024】したがって、減衰が少ない受信の際に同図(A)のように、ピークRの電圧値に比例する振幅基準値Cをタップ68により、ピークであるPとQの中間に位置するようにαの値を設定して置けば、次の受信の際に、超音波信号の減衰が著しくて同図(B)のようになった場合においても、同じαの値によって得られる振幅基準値C’はピークP’、Q’のほぼ中間に位置する。 【0025】逆に、減衰が著しい状態から減衰の少ない状態になった場合であっても同様であり、減衰が著しい受信の際に同図(B)のように、ピークR’の電圧値に比例する振幅基準値C’をタップ68により、ピークであるP’とQ’の中間に位置するようにαの値を設定しておけば次の受信の際に減衰が少なく、同図(A)のように減衰が少なくなった場合においても、同じαの値によって得られる設定値CはピークP、Qのほぼ中間に位置することになる。 【0026】そして、一度、このαの値を定めれば、常に、ほぼ最適な基準値C、C’を得られる。すなわち、前回と今回の受信の間隔、あるいは前回と今回の計測の間隔は、十分に短くでき、流体中の気泡による減衰が時間的に急速に変動しても、この変動よりも十分に速く対応できる。 【0027】つまり、受信等の間隔を十分に短くできることから、減衰の変動に伴う受信波形の変動は十分に小さく、よって前回と今回の基準値の差(図3(F)の鎖線の段差)は、十分に小さくでき、前回の受信により設定された基準値を今回の受信に採用できる。 【0028】以上、説明したように、本発明によれば、流体中の気泡による減衰が時間的に急速に変動しても、設定器6の基準値は、前回の受信信号のピーク値のα倍(0<α<1)とし、くり返して行う各計測を十分に速く行うことで、減衰の状態に応じた基準値を設定でき、したがって、大きな誤差を生じずに流量を計測することができる。 【0029】また、受信波形は、縦軸のみが縮小・拡大された形をとるので、一定のαの値により、振幅基準値は、常に受信波形の2つのピーク(PとQ、またはP’とQ’)の中間に位置し、比較器7は安定に動作することができ、従って気泡を含む流体の超音波による流量計測を安定に行うことができる。 【0030】上述した実施例においては、受信波形の整流に理想化ダイオード回路62を使用したが、通常のダイオードに代えることも可能であり、この場合、ポテンシオメーター67に与えられる電圧は、正確には受信波形のピーク値と比例しないが、本発明における基準値とピーク値との間の比例関係は厳密である必要はなく、要は波形の変動に拘らず基準値がピークの1つに、例えば最大ピークのR,R’に接近することがなければよい。 【0031】また、本実施例においてはピーク値の検出、ホールド、および基準値の設定等をハードウエアで実現しているが、これらをA/D変換機能、D/A変換機能を有するいわゆるワンチップ形CPUによるソフトウエアにより実現する場合もある。 【0032】さらに、本実施例においては、演算・制御装置8によって直接伝播時間を計測しているが、従来のシング・アラウンド方式あるいはPLL(位相同期)方式により周波数すなわち伝播時間の送数の形で流量を計測する装置を演算・制御装置として使用する場合もある。 【0033】また、本実施例においては、受信波形の振幅の値が振幅基準値を超えた時点をもって超音波信号の到来としたが、受信波形が振幅基準値を超えた後の最初のゼロクロス点(波形がゼロ・ラインを横切る点)をもって信号の到来とする従来の方式を採用する場合もある。 【0034】さらに、本実施例では、図2に示すようにt1 のH信号の時間範囲としてピーク群中の最高値Rをも含むようにかなり広い範囲に選んだが、この時間範囲を短時間にして、例えば振幅基準値Cを超えた直後のピークQのみを含むようにする場合もあり、この場合、設定器6が比較器7に与える振幅基準値Cは受信直後のピークの電圧に比例する。 【0035】 【発明の効果】本発明に係る超音波流量計によれば、流体中の気泡による減衰が時間的に急速に変動しても、受信波形の振幅基準値が受信信号の2つのピーク値の中間に設定されるので、比較器が安定して動作し、したがって気泡を含む流体の流量測定においても安定して流量を計測することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390026996 【氏名又は名称】東京計装株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年6月22日(1999.6.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100065086 【弁理士】 【氏名又は名称】前田 清美
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| 【公開番号】 |
特開2001−4417(P2001−4417A) |
| 【公開日】 |
平成13年1月12日(2001.1.12) |
| 【出願番号】 |
特願平11−175626 |
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