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【発明の名称】 腐食速度測定用電気抵抗センサー及びその製造方法とそれを利用した腐食速度測定方法
【発明者】 【氏名】キム ユン−グン

【氏名】リー セオン−ミン

【氏名】コウ ユン−タイ

【氏名】ソン ホン−セオク

【氏名】ウォン デオク−ソー

【要約】 【課題】複数個の導電性細線を用いて、点腐食などの微細な腐食の測定も施し得る腐食速度測定用電気抵抗センサー及びその製造方法とそれを利用した腐食速度測定方法を提供することを目的とする。

【解決手段】所定の大きさの絶縁性基板20と、基板20の上面に形成された導電性物質からなる複数の分配部50と、各分配部50の一方の端にそれぞれ形成され、各分配部50と外部回路とを電気的に連結する導電性物質からなる複数個の連結部30、31と、各分配部50間に形成され、分配部50と電気的に連結される複数個の細線41からなる細線部40と、細線部40の所定領域を除いた基板20の上面に、各分配部50と連結部30、31とを密封するように形成された保護層60と、で構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 導電性物質からなり複数個の細線に形成された細線部と、該細線部に一定な電圧、又は電流を印加する分配部と、前記細線部の所定領域のみを露出させる保護層と、を具備する腐食速度測定用電気抵抗センサー。
【請求項2】 所定の大きさの絶縁性基板と、該基板の上面に形成された導電性物質からなる2個の分配部と、前記各分配部の一方の端にそれぞれ形成され、前記各分配部と外部回路とを電気的に連結する導電性物質からなる2個の連結部と、前記各分配部間に形成され、前記分配部と電気的に連結される複数個の細線からなる細線部と、所定領域内の細線部を除いた前記基板の上面に、前記各分配部を密封するように形成された保護層と、を具備する腐食速度測定用電気抵抗センサー。
【請求項3】 前記細線部を構成する各細線は、一方の側の連結部から分配部及び各細線を経て他方側の連結部に達する長さが、それぞれ同じになるように形成されることを特徴とする請求項2記載の腐食速度測定用電気抵抗センサー。
【請求項4】 所定の大きさの絶縁性基板を準備する段階と、該基板の上面に導電性薄膜を蒸着する段階と、前記薄膜をパターニングして、2個の分配部と、前記分配部の一方の端に形成される2個の連結部と、前記各分配部間に形成される複数個の細線からなる細線部と、をそれぞれ形成する段階と、所定領域内の細線部を除いた前記基板の上面に、前記各分配部が密封されるように、絶縁性、耐食性保護層を形成する段階と、を順次行うことを特徴とする腐食速度測定用電気抵抗センサーの製造方法。
【請求項5】 前記連結部は、前記薄膜をパターニングして形成された分配部及び細線部とは別途に形成して、前記分配部の一方端に固定付着することを特徴とする請求項3記載の腐食速度測定用電気抵抗センサーの製造方法。
【請求項6】 複数個の細線からなる細線部を包含する電気抵抗センサーを腐食環境に露出させた後、前記細線部の抵抗変化を測定して、腐食速度を測定することを特徴とする腐食速度測定方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、腐食速度測定用電気抵抗センサーに係るもので、詳しくは、複数個の導電性細線を用いてピッチング(Pitting;点腐食)などの微細な腐食の測定も施し得る腐食速度測定用電気抵抗センサー及びその製造方法とそれを利用した腐食速度測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、腐食速度を測定する方法としては、対象材質を板状又はワイヤ状に加工した試片を腐食環境に露出した後、該試片の腐食にともなう試片の抵抗変化を測定する方法が広く利用されている。このような従来の腐食速度測定方法では、測定試片が機械的な加工により製造され、該試片自体が厚いときは、微少な腐食の場合には、測定試片の抵抗変化の幅が小さいため、腐食速度が速い場合のみに測定可能であった。従って、このような従来の腐食速度測定方法は、設備の安定性をさほど考慮する必要がない場合には適用可能であるが、微少な腐食であっても設備の安定性が大きく低下される場合、又は腐食に敏感な設備を利用する場合には、適用が不可能であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】然るに、このような従来の腐食速度測定方法では、測定試片を機械的な加工により厚く製造しているため、微少な腐食の場合には、測定試片の抵抗変化の幅が小さくて、腐食速度が速い場合のみに測定可能であるという不都合な点があった。
【0004】従って、設備維持管理の安定性、精密性及び正確性を図るために、腐食速度が低い環境でも、正確な腐食速度を測定し得る技術が必要となり、これを具現するため、微少な腐食変化にも敏感に感応し得る抵抗変化の幅の大きいセンサーの開発が要請されていた。そこで、本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、設備内の腐食速度測定用検知手段として、ピッチング型の局部腐食にも敏感に感応できる複数の細線からなる細線部を備えた薄膜型電気抵抗センサー及びその製造方法を提供しようとすることにある。
【0005】さらに、本発明の第2の目的は、前記薄膜型電気抵抗センサー用いて設備の腐食速度を精密に測定し得る腐食速度測定方法を提供しようとすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成するため、本発明に係る腐食速度測定用電気抵抗センサーにおいては、所定の大きさの絶縁性基板と、該基板の上面に形成された導電性物質からなる複数の分配部と、各分配部の一方の端にそれぞれ形成され、前記各分配部と外部回路とを電気的に連結する導電性物質からなる複数個の連結部と、前記各分配部間に形成され、分配部と電気的に連結される複数個の細線からなる細線部と、所定領域内の細線部を除いた前記基板の上面に、前記各分配部を密封するように形成された保護層と、を備えて構成されている。
【0007】さらに、本発明に係る腐食速度測定用電気抵抗センサーの製造方法においては、所定の大きさの絶縁性基板を準備する段階と、該基板の上面に導電性薄膜を蒸着する段階と、前記薄膜をパターニングして、複数個の分配部と、それら分配部の一方端に形成される複数個の連結部と、前記各分配部間に形成される複数個の細線からなる細線部と、をそれぞれ形成する段階と、所定領域内の細線部を除いた前記基板の上面に、前記各分配部が密封されるように、絶縁性、耐食性保護層を形成する段階と、を順次行うようになっている。
【0008】本発明に係る腐食速度測定方法においては、複数個の細線からなる細線部を包含する電気抵抗センサーを腐食環境に露出させた後、前記細線部の抵抗変換を測定して腐食速度を測定するようになっている。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明に係る腐食速度測定用電気抵抗センサー(以下、電気抵抗センサー)の外観構成を示した斜視図で、図2及び図3は、図1のA−A′線断面図である。
【0010】本発明に係る電気抵抗センサーは、図1〜図3に示したように、絶縁物質からなる所定の大きさの平坦状の基板20の上面に、導電性物質、特に、金属薄膜からなる2つの分配部50が形成されている。さらに、前記2つの分配部50間の基板20の上面には、両方端が前記分配部50にそれぞれ連結された複数個の細線41からなる細線部40が形成されている。このとき、前記細線41は、導電性物質、特に金属薄膜からなり、腐食速度を測定する対象となる材料と同様な材料に形成することが好ましい。又、前記細線は、その厚さが10nm以下である場合、腐食環境に露出される前に切れ易く、20μm 以上であるときは、腐食環境に敏感に感応できないため、細線41を形成する金属薄膜は、10nm〜20μmの厚さを有するものが好ましい。
【0011】更に、前記各分配部50の一方の端には、電気抵抗センサー10を、該電気抵抗センサー10の腐食速度を資料化し得るコンピュータなどの手段(図示せず)と電気的に連結するための連結部30が形成されているが、該連結部30は、図2に示したように前記分配部50と一体に形成するか、又は、図3に示したように、導電性の優秀な別途の材質からなる連結部31を前記分配部50の一方端に固定して形成してもよい。且つ、腐食環境に露出させる所定領域の細線部40を除いた前記基板20の上面には、前記分配部50及び連結部30を密封する絶縁性、耐食性塗料からなる保護層60が形成されている。又、前記各細線41は、電流がそれら細線41を経て流れるとき、一方の側の連結部30から各細線を経て他方の側の連結部30に達する経路の長さが同じになって、結果的に電流が同等な抵抗の各導線に沿って流れるような効果を奏するように、各細線41の長さを調節して形成することも可能である。
【0012】図4は、本発明に係る電気抵抗センサーの製造方法を示したフローチャートであり、図5(A)〜(G)は、図4の具体的な実施形態を示した工程図である。以下、本発明に係る電気抵抗センサーの製造方法に対について、図4及び図5を用いて説明する。先ず、基板の上面に薄膜を形成するために所定の大きさの絶縁性基板20を準備し(S1、図5(A))、前記絶縁性基板20の上面に、10nm〜20μm の厚さに導電性薄膜、特に金属薄膜21を真空蒸着法、スパッタリング法及びメッキ法の何れか一つを施して形成する(S2、図5(B))。このとき前記金属薄膜21は、腐食速度を測定する対象となる材料と同様な材料に形成することが好ましい。
【0013】その後、前記金属薄膜21を食刻法、特に化学的食刻法を施してパターニングして(S3)、連結部30、細線部40及び分配部50を全て形成し(図5(C))、前記連結部30を除いた細線部40及び分配部50のみを形成することもできる(図5(E))。このとき、連結部30を食刻法により形成しない場合は、導電性の優秀な別途の材質の連結部31を形成して、前記分配部50の一方の端に固定付着する(図5(F))。
【0014】その後、腐食速度を資料化し得る手段(図示せず)と、電気抵抗センサーとを電気的に連結する電線などの導電手段(図示せず)を前記連結部30、31に固定付着した後、腐食環境に露出させる所定領域の細線部40を除いた前記基板20の上面に、分配部50及び連結部30、31が密封されるように、絶縁性及び耐食性を有する塗料を塗布し硬化させ、保護層60を形成して(S4、図5(D)、図5(G))、本発明に係る電気抵抗センサーの製造工程を終了する。
【0015】さらに、前記S4の他の実施形態として、腐食環境に露出させる所定領域の細線部40を除いた前記基板20の上面に、分配部50の全て及び連結部30、31の内の一部領域が密封されるように、絶縁性及び耐食性を有する塗料を塗布し硬化させ、保護層60を形成した後、露出された連結部30、31に電線などの導電手段(図示せず)を固定付着し、その後、前記導電手段及び露出された連結部30を、別途の保護キャップ又は保護層を形成して密封することもできる。
【0016】以下、本発明に係る電気抵抗センサーを利用して腐食速度を測定する方法について、図6を用いて説明する。先ず、本発明に係る電気抵抗センサー10を、土壌、海水、淡水、化学薬品及び大気などの腐食環境に埋立て、又は沈漬させて腐食環境に露出させる(S101)。このとき、前記電気抵抗センサー10の連結部30、31には、該電気抵抗センサー10を、電気抵抗センサー10の腐食速度を資料化し得るコンピュータなどの手段(図示せず)と電気的に連結する電線などの導電手段が連結されている。
【0017】その後、前記電気抵抗センサー10の連結部に所定の電圧又は電流を印加し(S102)、前記連結部30、31に所定の電圧又は電流が印加されると、該連結部30、31と連結された分配部50及び複数個の細線41からなる細線部40を通して電流が流れる。このとき、腐食環境に露出された各細線41が腐食されて各細線41の抵抗値が変化し、更に電気抵抗センサー10の抵抗値が変化する。
【0018】このような抵抗値の変化は、前記連結部30、31に一定な電圧を印加した場合は、電流の変化により測定することができ、逆に前記連結部30、31に一定な電流を印加した場合は、電圧の変化により測定することができる(S103)。その後、前記S102と、S103とを繰り返して行い、前記電気抵抗センサー10の抵抗値の時間にともなう変化を測定し、それを資料化する(S104)。
【0019】図7は、本発明に係る電気抵抗センサー10及びそれを利用した腐食測定方法による実験結果を示したグラフである。図7(A)は、本発明に係る電気抵抗センサー10に一定な電圧を印加しながら、前記電気抵抗センサー10を3%のNaCl溶液に沈漬して腐食する第1段階と、前記3%のNaCl溶液に1wt%のNalco39Lの腐食抑制剤を添加した第2段階について、前記電気抵抗センサー10での電流変化を示した。図示したように、第1段階において、時間の経過にともなって電流が一定に減少する理由は、腐食が進行するにつれて、細線部40の各細線41の導電可能領域が均一に減少する均一腐食が発生したためである。即ち、前記細線41が均一に腐食して、電流が流れ得る導電可能領域の断面積が減少し、抵抗が増大されたため、図示したように、時間の経過にともない電流が一定な傾きに減少する。
【0020】さらに、前記第2段階として、前記第3%のNaCl溶液に1wt%のNalco39Lの腐食抑制剤を添加すると、腐食の進行が抑制されて、各細線41の腐食速度が著しく低減され、その結果、電流の減少する傾きが0に近似する。このとき、注目すべきところは、腐食抑制剤をNaClに添加すると、直ちに電気抵抗センサーが敏感に反応するという点である。このような即時の反応が可能な理由は、腐食の行われる細線41が薄膜に形成されていて、微細な腐食環境の変化による抵抗変化率の幅が大きいためである。
【0021】図7(B)は、本発明に係る電気抵抗センサー10に一定な電圧を印加しながら、前記電気抵抗センサー10を1wt%のNalco39Lの腐食抑制剤が添加された55℃の3%NaClの溶液に沈漬して腐食について、前記電気抵抗センサー10を通る電流の時間に従う変化を示した。図示したように、時間にともなう電流の変化が連続的でなく、断続的であるが、このように電気抵抗センサーの抵抗が断続である理由は、腐食環境に露出された細線部40を構成する全ての細線41が均一に腐食されず、各細線41の一部位のみが腐食される局部腐食が発生するためである。即ち、本発明に係る電気抵抗センサーは、均一な腐食が行われる場合は勿論で、ピッチング(piting;点腐食)型の腐食の場合にも適用することができる。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る腐食速度測定用電気抵抗センサー及びその製造方法とそれを利用した腐食速度測定方法で、抵抗センサーでの抵抗変化を精密、敏感に測定することができ、腐食に対する安定性が大いに要求されるか、又は腐食に敏感な設備にも適用し得るという効果がある。
【0023】さらに、均一な腐食の場合は勿論で、局部的なピッチング状の腐食が発生される場合にも適用し得るという効果がある。又、重要な用途として、埋設配管系の腐食状態及び熱交換機内部の腐食状態を監視することが可能であるが、前記埋設配管系に適用する場合には、埋設配管にセンサーを電気的に連結した後、埋設して地上から抵抗の変化を測定することができ、一方、熱交換機に適用する場合には、熱交換機の外方面に設置されたポートを経て内部熱媒体液に沈漬されるように、センサーを設置して熱媒体の腐食性の変化を観測することもできる。
【出願人】 【識別番号】599128549
【氏名又は名称】コリア ガス コーポレイション
【出願日】 平成11年9月10日(1999.9.10)
【代理人】 【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬 (外4名)
【公開番号】 特開2001−91299(P2001−91299A)
【公開日】 平成13年4月6日(2001.4.6)
【出願番号】 特願平11−257161