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【発明の名称】 電気車用レゾルバ処理装置
【発明者】 【氏名】片山 博

【氏名】吉原 重之

【氏名】本部 光幸

【氏名】横山 哲也

【氏名】八幡 光一

【氏名】富士本 貴

【氏名】片田 寛

【要約】 【課題】レゾルバ処理装置の発熱を最小限とし、かつ、コネクタの接触不良を監視するのではなく、積極的に防止する電気車用レゾルバ処理装置を提供する。

【解決手段】レゾルバを励磁するための繰り返し信号を発生する励磁信号発生部と、前記励磁信号発生部の繰り返し信号に応じて、レゾルバの励磁電圧または励磁電流を発生する励磁増幅部と、前記励磁増幅部の信号により励磁された磁束を、モータの回転角度θに応じてsinθ とcosθ の2つの振幅で変調された2つのレゾルバ検出信号VssとVscを波形整形する入力信号処理部と、前記入力信号処理部の2つの信号からモータの回転角度θを演算する角度演算部とを有し、前記励磁増幅部の電源電圧が、前記励磁信号発生部と、入力信号処理部、および角度演算部の電源電圧より高い電気車用レゾルバ処理装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】レゾルバを励磁するための繰り返し信号を発生する励磁信号発生部と、前記励磁信号発生部の繰り返し信号に応じて、レゾルバの励磁電圧または励磁電流を発生する励磁増幅部と、前記励磁増幅部の信号により励磁された磁束を、モータの回転角度θに応じてsinθとcosθの2つの振幅で変調された2つのレゾルバ検出信号VssとVscを波形整形する入力信号処理部と、前記入力信号処理部の2つの信号からモータの回転角度θを演算する角度演算部と、を有し、前記励磁増幅部の電源電圧が、前記励磁信号発生部と、入力信号処理部、および角度演算部の電源電圧より高い電気車用レゾルバ処理装置。
【請求項2】請求項1記載において、前記励磁信号発生部の繰り返し信号が三角波である電気車用レゾルバ処理装置。
【請求項3】請求項1または請求項2記載において、前記励磁増幅部の信号により励磁された磁束をモータの回転角度θに応じてsinθ とcosθ の2つの振幅で変調した2つのレゾルバ検出信号VssとVscの振幅の最大値が0.5V 以上である電気車用レゾルバ処理装置。
【請求項4】請求項1または請求項2記載において、前記励磁増幅部が電圧による指令を受け、該指令に応じた電流を出力する電流制御型である電気車用レゾルバ処理装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気車のモータ等の回転角度を検出するために用いられるレゾルバ処理装置の低消費電力化と高信頼性化(コネクタ接続不良予防)を目的とした改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のレゾルバ処理装置は、低価格化を念頭に設計されており、電源電圧を1種類にすることによる電源部分の部品点数削減が試みられている。また、例えば内燃機関とモータ(電動機)を同時に有するハイブリッド自動車の場合、炎天下にさらされる高温のエンジンルームや車室内で使用されるレゾルバ処理装置を長年に渡り高い信頼性を確保するためには、装置の発熱を最小限にする必要がある。
【0003】このためには、レゾルバ処理装置の電源電圧を下げる方法が有効である。
【0004】一方、電気車等に使用するモータの角度を検出するレゾルバ処理装置においては、このレゾルバ処理装置の故障により、予期しないモータの挙動が起こり人命にかかわる事故が発生する危険性があるため、信頼性を確保する必要がある。
【0005】特にレゾルバ処理装置とレゾルバを電気的に接続するコネクタは、接触部分が錫によりメッキされている場合でも、長期に使用し続けると次第に絶縁皮膜が成長し接触不良となる問題を持っていることが知られている。
【0006】この問題に対応するため従来は、例えば特開平8−210874 号に示されているような方法により、コネクタの接続不良を検出して事故防止を行う、フェールセーフ機能で対応していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記の如き従来の電気車用レゾルバ処理装置にあっては、低電源電圧化によりレゾルバ処理装置とレゾルバを電気的に接続するコネクタに加わる電圧も低電圧化する。
【0008】一方、コネクタに発生する絶縁皮膜は、ある程度電圧を加えることにより破壊することが出来るが、このためにはレゾルバ処理装置の電源電圧を上げなければならず、レゾルバ処理装置の発熱による装置寿命低下の問題があった。
【0009】本発明は、レゾルバ処理装置の発熱を最小限とし、かつ、コネクタの接触不良を監視するのではなく、積極的に防止する電気車用レゾルバ処理装置を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、レゾルバを励磁するための繰り返し信号を発生する励磁信号発生部と、前記励磁信号発生部の繰り返し信号に応じて、レゾルバの励磁電圧または励磁電流を発生する励磁増幅部と、前記励磁増幅部の信号により励磁された磁束を、モータの回転角度θに応じてsinθ とcosθ の2つの振幅で変調された2つのレゾルバ検出信号VssとVscを波形整形する入力信号処理部と、前記入力信号処理部の2つの信号からモータの回転角度θを演算する角度演算部と、を有し、前記励磁増幅部の電源電圧が、前記励磁信号発生部と、入力信号処理部、および角度演算部の電源電圧より高い電気車用レゾルバ処理装置である。
【0011】好ましくは、前記励磁信号発生部の繰り返し信号が三角波である電気車用レゾルバ処理装置である。
【0012】好ましくは、前記励磁増幅部の信号により励磁された磁束をモータの回転角度θに応じてsinθとcosθの2つの振幅で変調した2つのレゾルバ検出信号VssとVscの振幅の最大値が0.5V 以上である電気車用レゾルバ処理装置である。
【0013】好ましくは、前記励磁増幅部が電圧による指令を受け、該指令に応じた電流を出力する電流制御型である電気車用レゾルバ処理装置である。
【0014】このように構成された電気車用レゾルバ処理装置においては、レゾルバ処理装置の発熱を最小限とすることにより装置の寿命低下を防止し、かつ、コネクタの接触不良を監視するのではなく、コネクタの絶縁皮膜を破壊するために十分な電圧をコネクタに加えることにより積極的に接触不良を防止する電気車用レゾルバ処理装置を提供することが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面により本発明の実施例を説明する。なお、以下の各実施例を説明するための図において、同一機能を有する対応部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】図1は本発明による電気車用レゾルバ処理装置の全体構成の例を示す。
【0017】レゾルバ7は、コネクタ8を介して低電圧駆動レゾルバ処理回路1と励磁アンプ9に接続される。
【0018】また、レゾルバ7は励磁コイル50に励磁電圧Vro34を加えると、モータの回転角度θに応じてsinθ とcosθ の2つの振幅で変調された2つのレゾルバ検出信号Vss33とVsc32を発生する構造となっている。
【0019】ここで励磁電圧Vro34は、励磁信号発生部3による三角波信号をもとにした繰り返し信号であり、その電圧信号の繰り返し周波数はモータの最高回転周波数よりも数倍以上早い周波数を用いる。
【0020】また検出信号Vss33とVsc32は、入力信号処理部2により振幅値を増幅するなどの波形整形を施され、sinθ で変調された信号はs_sin31,cosθで変調された信号はs_cos30となる。
【0021】角度演算部4は、これらs_sin31と、s_cos30、及び励磁信号発生部3の繰り返し信号のタイミングs_t36からモータの角度θを求める部分である。以上説明したブロックは、直接コネクタ8に加わる電圧を発生する機能を持たないため5V程度より低い電源電圧Vccで駆動することにより、消費電力と発熱を抑えることができ、回路の寿命を長くすることができる。
【0022】次に、励磁アンプ9の部分について説明する。この回路はバイラテラルタイプと呼ばれる電流制御型の増幅器で、入力電圧Vin35に比例した励磁コイル50に流れる電流Ir60を発生する機能をもつ。その電流Ir60は以下の式1によって決定されるものである。
【0023】
Ir=−Vin×R2/(R1×R5) …(1)
このように、負荷側のインピーダンスに関係なく、入力電圧Vin35に比例した電流を発生するものであるため、例えば一時的に励磁コイル50がショートした場合でも指定した電流以上は流れず回路の永久破壊を防止することができる。
【0024】このように、電流制御型増幅器を用いることにより瞬間的な故障に対して回路の永久破壊を防止することができる。
【0025】次に、このときコネクタ8に加わる電圧を詳細に説明する。
【0026】図2は、レゾルバ7の励磁コイル50の電気的等価回路である。
【0027】レゾルバ7の励磁コイル50は、電気的には抵抗Rrの抵抗成分とインダクタンスLrのインダクタンス成分に分けることができる。この励磁コイルに流れる電流Ir60はVin35に比例する。ここで、Vin35は三角波信号であるため、励磁電流Ir60も三角波信号となる。
【0028】図3は、この励磁電流波形を示したものである。
【0029】励磁アンプ9に入力する信号Vin35と、励磁電流Ir60はそれぞれ三角波であり、この励磁電流Ir60を励磁コイル50に流すと、抵抗Rrである抵抗成分の部分には、励磁電流Ir60に比例した三角波信号Vrが発生し、インダクタンスLrであるインダクタンス成分には、励磁電流Ir60の時間変化dIr/dtに比例した方形波電圧Vlが発生する。
【0030】従って、コネクタ8には、三角波信号Vrと方形波電圧Vlを加算したVro34が加わる。一般に、抵抗Rrは、コイルの内部抵抗であるため、インダクタンスLrに比べて小さくコネクタ8に加わる電圧Vro34は、ほぼ方形波になる。
【0031】このように、インダクタンス成分が多い励磁コイルに効率的な電圧を発生させるためには、三角波の電流を流すことが望ましい。
【0032】なお、このコネクタ8に加わる電圧Vro34は、コネクタ8の端子接触部分に発生する絶縁皮膜破壊を目的にできるだけ大きい方が望ましい。
【0033】このためには、励磁アンプ9の電源電圧は高くして、励磁アンプ9の出力電圧が飽和するのを防止する必要がある。本実施例では、この励磁アンプ9の電源電圧のみ別系統とし高い電圧を加える構成としている。このことにより、電源電圧の上昇による消費電力と発熱の増加は、励磁アンプ9のブロックだけで済み、装置全体の発熱抑制することができる。また、コネクタ8に加わる電圧Vro34を絶縁皮膜が破壊できる電圧にすることができ、接触不良を積極的に予防することができる。
【0034】次に、レゾルバ7の検出コイル部分51,52の信号について詳細に説明する。
【0035】図4は、レゾルバ7の検出コイル部分51,52と入力信号処理部2の接続の例を示す。
【0036】励磁アンプ9の繰り返し信号により、励磁コイル50に励磁される磁束は、2つの検出コイル51,52に誘起電圧を発生させる構造となっている。ここで、励磁コイル50はモータの回転と同期して回転し、検出コイル51,52は励磁コイル50の出す磁束の方向に対して90゜方向が異なるように配置されている。従って、モータの回転角度θに対して検出コイル51に誘起される信号の波高値がsinθ 状に変化したとすると、検出コイル52に誘起される信号の波高値はcosθ 状に変化する。
【0037】また、励磁コイル50と検出コイル51,52の間には、信号振幅の比率が決まっており、これを変圧比Kと呼んでいる。すなわち次の式2に示す関係がある。
【0038】
K=Vsc(最大値)/Vro(最大値)
=Vss(最大値)/Vro(最大値) …(2)
この変圧比Kは一般に0.3程度であり、Vro(最大値)34が1.5V程度であればVsc(最大値)32またはVss(最大値)33は0.5 V程度に小さくなる。
【0039】従って、コネクタ8の接触不良の防止を考える際には、Vsc(最大値)32またはVss(最大値)33を幾らにするかが重要となり、少なくともこの部分の電圧は0.5V以上確保することが望ましい。
【0040】これは、電圧により絶縁被膜を破壊できる被膜厚さは100Å/V程度であるため、50Å程度の絶縁被膜を破壊することを目的としている。
【0041】そこで、このことから逆にたどってVro(最大値)34は1.5V 以上を確保する必要がある。
【0042】図5は、上記説明を波形で示したものである。
【0043】Vsc(最大値)32またはVss(最大値)33は0.5V 程度以上を確保するためには、Vro(最大値)34を1.5V 程度以上にすればよい。
【0044】図6に励磁アンプ9の別の例を示す。レゾルバ7の励磁コイル50のインピーダンスZroが極端に小さい場合、励磁電流Ir60は大きくなる。このような場合に、もしOPアンプ5の電流供給能力で励磁電流Ir60がまかないきれないとき、トランジスタTr1,Tr2により不足分を供給する回路構成となっている。
【0045】次に、低電圧駆動レゾルバ処理回路1の構成要因である各ブロックの詳細な説明を行う。
【0046】図7は入力処理回路2の例である。
【0047】Vsc32またはVss33の振幅を適当な振幅になるようにOPアンプ10とOPアンプ11でゲイン調整する回路である。
【0048】図8は励磁信号発生部3の例である。
【0049】s_t36は角度演算部4から供給されるON時間とOFF時間が等しいパルス信号である。またそのパルス信号s_t36の周波数fpはモータの最高回転周波数よりも数倍以上早い周波数とする。
【0050】OPアンプ13は、抵抗R19とコンデンサC4で決定される時定数tで応答する積分回路である。従って、この時定数tを角度演算部4から供給されるパルス信号s_t36の周期の半分より長く設定することにより、パルス信号s_t36から、図3のVinで示した三角波を生成することができる。
【0051】図4は角度演算部4の例である。
【0052】まず、OSC15でモータの最高回転周波数よりも数倍以上早い周波数fpのパルス信号s_t36を発生する。
【0053】同期検波14では、s_sin31とs_cos30をパルス信号s_t36のタイミングでサンプリングする処理である。このことによりs_sin31からはsinθ18,s_cos30からはcosθ37 を得ることができる。ここでθはモータの回転角度である。
【0054】ここで仮にモータの回転角度をφ42と検出したと仮定する。カウンタ21の指示がモータの検出角度φ42である。この検出角度φ42からsinφ 化ブロック16でsinφを、cosφ化ブロック17でcosφ を生成し、それぞれ、乗算ブロック18,19を介すことによりcosθ×sinφ39とsinθ×cosφ40を得ることができる。それぞれを減算ブロック20に入力する。
【0055】ここで、次の式3で示す正弦の加法定理を用いると sin(θ−φ)=sinθ×cosφ−cosθ×sinφ …(3) 減算ブロック20の出力41は、sin(θ−φ )となる。従って、減算ブロック20の出力41は、モータの回転角度θと検出角度φ42が一致していれば0、θ>φのときプラス側、θ<φのときマイナス側の値を示す。
【0056】もし、この出力41がプラスの値を示せば、積分22の出力は上昇しVCO23の出力するパルス信号の発振周波数は高くなる。このため検出角度φは大きくなり、モータ角度θと一致する方向に動く。また、出力41がマイナスの値を示せば、積分22の出力は下降しVCO23の出力するパルス信号の発振周波数は低くなる。このため検出角度φは小さくなり、モータ角度θと一致する方向に動く。この作用によりモータ角度θと検出角度φ42を一致させることができる。
【0057】従って、この検出角度φ42を用いて電気車の電動機等の角度を得ることができ、運転者の要求に応えた動作を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【識別番号】000232999
【氏名又は名称】株式会社日立カーエンジニアリング
【出願日】 平成11年9月17日(1999.9.17)
【代理人】 【識別番号】100075096
【弁理士】
【氏名又は名称】作田 康夫
【公開番号】 特開2001−82980(P2001−82980A)
【公開日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【出願番号】 特願平11−263185