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【発明の名称】 光電式エンコーダ
【発明者】 【氏名】青木 敏彦

【氏名】夜久 亨

【要約】 【課題】小型化したときの高性能化を図った光電式エンコーダを提供する。

【解決手段】メインスケールと、このメインスケールに対してその測定軸方向に相対移動可能に配置されてスケール格子を読み取るセンサヘッドとを有し、センサヘッドは、メインスケールに光を照射する光源と、メインスケールからの光を受光して位相の異なる複数の変位信号を出力する受光部とを備え、受光部5は、透明基板40と、その表面に形成された半導体薄膜52を加工して所定ピッチで配列された複数のフォトダイオードPDと、これらのフォトダイオードPDを覆って形成されて、前記透明基板40を透過して各フォトダイオードPDに入射される光を内部に閉じ込める反射膜55とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 測定軸に沿ってスケール格子が形成されたメインスケールと、このメインスケールに対してその測定軸方向に相対移動可能に配置されて前記スケール格子を読み取るセンサヘッドとを有し、前記センサヘッドは、前記メインスケールに光を照射する光源と、前記メインスケールからの光を受光して位相の異なる複数の変位信号を出力する受光部とを備えた光電式エンコーダにおいて、前記受光部は、透明基板と、この透明基板の表面に形成された感光性薄膜を加工して作られた複数の受光素子と、これら複数の受光素子を覆って形成されて、前記透明基板を透過して各受光素子に入射される光を各受光素子内部に閉じ込める反射膜とを有することを特徴とする光電式エンコーダ。
【請求項2】 前記光源とメインスケールとの間に前記光源からの光を透過して前記メインスケールを照射するインデックススケールを有することを特徴とする請求項1記載の光電式エンコーダ。
【請求項3】 前記受光素子が形成された透明基板は、前記インデックススケールの基板を兼ねていることを特徴とする請求項2記載の光電式エンコーダ。
【請求項4】 前記複数の受光素子は、所定ピッチで配列されて受光素子アレイを構成していることを特徴とする請求項1記載の光電式エンコーダ。
【請求項5】 前記反射膜は、前記各受光素子の端子電極を引き出す配線として用いられる金属膜により形成されていることを特徴とする請求項1記載の光電式エンコーダ。
【請求項6】 前記受光素子が形成された透明基板の裏面に、特定方向からの光を選択的に前記受光素子に入射させるための光ガイド部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載の光電式エンコーダ。
【請求項7】 測定軸に沿ってスケール格子が形成されたメインスケールと、このメインスケールに対してその測定軸方向に相対移動可能に配置されて前記スケール格子を読み取るセンサヘッドとを有し、前記センサヘッドは、前記メインスケールに光を照射する光源と、前記メインスケールからの光を受光して変位信号を出力する受光素子とを備えた光電式エンコーダにおいて、前記受光素子の受光面側に、特定方向からの光を選択的に前記受光素子に入射させるための光ガイド部材が設けられていることを特徴とする光電式エンコーダ。
【請求項8】 前記センサヘッドに、前記メインスケールに形成された原点検出用パターンを検出するための原点検出用光源及び原点検出用受光素子が設けられていることを特徴とする請求項1又は7に記載の光電式エンコーダ。
【請求項9】 前記センサヘッドに、前記メインスケールに形成された原点検出用パターンを検出するための原点検出用光源及び原点検出用受光素子が設けられ、且つ前記原点検出用受光素子の光入射部に前記原点検出用光源から前記メインスケールに照射されて反射した光を選択的に入射させるための光ガイド部材が設けられていることを特徴とする請求項7記載の光電式エンコーダ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、光電式エンコーダを小型化したときの精度向上技術に関する。
【0002】
【従来の技術】光電式エンコーダは基本的に、光源と、この光源からの光を透過してスケールに照射する第1の光学格子と、スケール上に形成された第2の光学格子と、この第2の光学格子の透過又は反射光を透過させる第3の光学格子と、この第3の光学格子の透過光を受光する受光素子とを備えて構成される。光電式エンコーダには透過型と反射型とがあるが、特に反射型エンコーダでは、光源と受光素子を第1及び第3の光学格子が形成されたインデックススケールと共にメインスケールの一方側に配置してセンサヘッドを構成することにより、全体を小型にすることができる。また、受光素子として、第3の光学格子を兼ねた受光素子アレイにより構成する方式も知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】光電式エンコーダを小型にした場合、受光素子から得られる変位信号のピーク・ピーク値VPPと直流オフセット電圧VDCの比VPP/VDCが小さくなり、高精度位置測定が困難になるという問題がある。受光部に、複数の受光素子を配列形成した受光素子アレイを使用した場合、受光素子アレイの配列ピッチがスケール格子ピッチに対応して小さくなると、各受光素子は、受光面積が小さくなるだけでなく、光電変換に寄与する体積も小さいものとなる。特に受光素子アレイをアモルファスシリコン等の半導体薄膜により形成した場合、光電変換層が薄いため、受光素子に入射した光の多くが光電変換されずに突き抜けてしまう。
【0004】小型化に伴ってVPP/VDCが小さくなるもう一つの理由は、原点検出機構との関係にある。通常、メインスケールには原点検出用パターンを形成し、センサヘッドにはその原点検出用パターンを検出するための光源と受光素子が、スケール検出用の光源と受光素子とは別に設けられる。従って、全体を小型化した場合には、スケール検出用の光源と原点検出用の光源とが近接して配置され、原点検出用光源からの光がスケール検出用の受光素子にも入り込む。これにより直流オフセット電圧VDCが大きくなる。
【0005】この発明は、上記事情を考慮してなされたもので、小型化したときの高性能化を図った光電式エンコーダを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、第1に、測定軸に沿ってスケール格子が形成されたメインスケールと、このメインスケールに対してその測定軸方向に相対移動可能に配置されて前記スケール格子を読み取るセンサヘッドとを有し、前記センサヘッドは、前記メインスケールに光を照射する光源と、前記メインスケールからの光を受光して位相の異なる複数の変位信号を出力する受光部とを備えた光電式エンコーダにおいて、前記受光部は、透明基板と、この透明基板の表面に形成された感光性薄膜を加工して作られた複数の受光素子と、これら複数の受光素子を覆って形成されて、前記透明基板を透過して各受光素子に入射される光を各受光素子内部に閉じ込める反射膜とを有することを特徴とする。
【0007】この発明によると、受光素子の表面に反射膜を設けることにより、透明基板を介して受光素子に入射される光を素子内部に閉じ込めて複数回反射させ、光電変換層を複数回通過させることができる。これにより、受光素子の寸法が微細になっても、大きな光電変換効率が得られ、従って、大きなVPP/VDCが得られる。また反射膜は、受光素子への無用な迷光の入射を遮る働きをする。従って、原点検出用光源が隣接して配置されても、その影響を低減することができ、これもVPP/VDCの向上につながる。
【0008】この発明において好ましくは、光源とメインスケールの間にはインデックススケールが設けられる。この場合、受光素子が形成された透明基板は、インデックススケールの基板と一体のものとして反射型の光電式エンコーダを構成することにより、これらを別々に用意する場合に比べて、センサヘッドの組立が容易になり、小型化が図られる。またこの発明において好ましくは、複数の受光素子は、所定ピッチで配列されて受光側インデックス格子を兼ねた受光素子アレイとして構成される。更にこの発明において、受光素子を覆う反射膜は例えば、各受光素子の端子電極を引き出す配線として用いられる金属膜により形成することができる。この様に配線膜と反射膜を同じ金属膜のパターニングにより形成すれば、工程は簡単になる。更にこの発明において好ましくは、受光素子が形成された透明基板の裏面に、特定方向からの光を選択的に受光素子に入射させるための光ガイド部材が設けられるものとする。これにより、迷光の影響がより低減される。
【0009】この発明は、第2に、測定軸に沿ってスケール格子が形成されたメインスケールと、このメインスケールに対してその測定軸方向に相対移動可能に配置されて前記スケール格子を読み取るセンサヘッドとを有し、前記センサヘッドは、前記メインスケールに光を照射する光源と、前記メインスケールからの光を受光して変位信号を出力する受光素子とを備えた光電式エンコーダにおいて、前記受光素子の受光面側に、特定方向からの光を選択的に前記受光素子に入射させるための光ガイド部材が設けられていることを特徴とする。
【0010】この発明によると、光ガイド部材を受光素子の受光面側に配置することによって、無用な迷光の受光素子への入射が防止される。特に、センサヘッドに、メインスケールに形成された原点検出用パターンを検出するための原点検出用光源及び原点検出用受光素子が設けられている場合に、原点検出用光源からのスケール検出用受光素子への無用な光入射がなくなり、大きなVPP/VDCが得られる。更にこの発明において、センサヘッドに、メインスケールに形成された原点検出用パターンを検出するための原点検出用光源及び原点検出用受光素子が設けられる場合に、原点検出用受光素子の光入射部にも、原点検出用光源からメインスケールに照射されて反射した光を選択的に入射させるための光ガイド部材を設けることが好ましく、これにより原点検出機能の向上が図られる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明の実施の形態を説明する。
[実施の形態1]図1(a)(b)は、この発明の実施の形態1による反射型の光電式エンコーダの平面図とその測定軸x方向の断面図である。この光電式エンコーダは、メインスケール1とこれに対してメインスケール1の測定軸x方向に相対移動可能に配置されたセンサヘッド2とから構成される。メインスケール1は、ガラス基板等のスケール基板10を用い、これに所定ピッチのスケール格子11を形成して構成されている。スケール格子11とは別のトラックに、原点検出用パターン12が形成されている。
【0012】センサヘッド2は、メインスケール1の同じ側に配置された、スケール用光源であるLED3と、インデックススケール4、及び受光部5を有する。インデックススケール4は、ガラス基板等の透明基板40を用いて構成されている。この透明基板40に、LED3からの光を透過するインデックス格子41が形成され、またこのインデックス格子41に隣接して、メインスケール1からの反射光を受光して位相の異なる複数の変位信号を出力するための受光部5を構成するフォトダイオードアレイPDAが形成されている。
【0013】インデックススケール4の透明基板40上にはまた、原点検出用パターン12を検出するために、スリット6,7が設けられ、これらのスリット6,7上にそれぞれ、原点検出用受光素子8,原点検出用光源であるLED9が配置されている。
【0014】図2は、受光部5の要部を拡大して示す断面図である。この受光部5は、透明基板40上に形成されたアモルファスシリコン膜52を加工して所定ピッチでフォトダイオードPD(PD1,PD2,…)を配列形成したフォトダイオードアレイPDAとして構成されている。具体的にフォトダイオードアレイPDAは、次のようにして作られる。まず透明基板40上にITO膜等の透明導電膜51を介して、p型,i型,n型のアモルファスシリコンを順次堆積する。更にその上にNi等の電極膜を堆積する。そして電極膜をパターニングして端子電極53を分離した後、この端子電極53をマスクとしてアモルファスシリコンをエッチングする。
【0015】この実施の形態では、以上のように形成されたフォトダイオードアレイPDAを覆うようにシリコン酸化膜等の絶縁膜54が形成され、更にその上にフォトダイオードアレイPDAの主要部を覆うように、反射膜55が形成されている。反射膜55は例えば、フォトダイオードアレイPDAの端子電極53を外部に引き出すための配線と同時に金属膜により形成される。
【0016】図3は、フォトダイオードアレイPDAのレイアウトを配線と共に示している。各フォトダイオードPDは、スケール格子との関係で位相が90°異なるA,B相、及びこれらの反転位相のAA,BB相の4相の正弦波状変位信号を出力するものである。これらのフォトダイオードPDの4相の変位信号出力線となる信号配線58と、これらと各フォトダイオードの端子電極53を接続する信号線57とが、例えばAl膜を用いた二層配線技術により形成される。フォトダイオードPDを覆う反射膜55は、信号配線57,58のいずれかと同じAl膜を用いて形成される。
【0017】この実施の形態によると、図2に示したように、メインスケール1からの信号光である反射光は、透明基板40を通して各フォトダイオードPDに入射する。この入射光は、反射膜55があるためにフォトダイオードPDを突き抜けることはなく、フォトダイオードPD内で複数回の反射を繰り返す。即ち、入射光はフォトダイオードPD内に閉じ込められ、この結果フォトダイオードPDが微細寸法のものであっても、高い光電変換効率が得られる。また、原点検出用LED9等からの迷光は、反射膜55により反射されて、フォトダイオードPDに入射しない。以上により、スケールピッチの小さい光電式エンコーダを構成した場合にも、VPP/VDCの大きい変位信号が得られる。
【0018】[実施の形態2]図4(a)は、この発明の実施の形態2による反射型の光電式エンコーダの平面図であり、同図(b)はその測定軸方向の断面図、同図(c)は測定軸と直交する方向の原点検出部の断面図である。先の実施の形態と対応する部分には、先の実施の形態と同一符号を付して詳細な説明は省く。
【0019】この実施の形態では、インデックススケール4に、光源側インデックス格子41aと受光側インデックス格子41bを形成した場合を示している。受光素子5aは、受光側インデックス格子41bから得られる4相の信号光を受光する4個のフォトダイオードを単結晶シリコン基板に集積形成したICである。またこの実施の形態の場合、原点検出用のスリット6,7のうち、受光側のスリット6は、インデックススケール4の光源側インデックス格子41aと受光側インデックス格子41bとの間に配置している。これは、スケールの幅方向寸法をできるだけ小さくするためである。
【0020】この様なインデックススケール4の透明基板40の裏面には、図4(b)に示すように、メインスケール1からの反射光を受光素子5aに導くための光ガイド部材401aが設けられている。また図4(c)に示すように、透明基板40の裏面の、原点検出用LED9によるメインスケール1からの反射光が原点検出用受光素子8に入射する位置にも、その反射光を受光素子8に導くための光ガイド部材401bが設けられている。これらの光ガイド部材401(401a,401b)は、受光面に対して特定の傾斜角を持って入射する信号光成分のみを通過させるような光ガイドが形成された微小なルーバーである。
【0021】図5(a)(b)は、その様な光ガイド部材401を薄膜技術により形成する方法を示している。図5(a)に示すように、インデックススケール基板40に斜め方向からのスパッタ、蒸着等により、傾斜した粒界をもつ針状結晶の堆積膜400を形成する。そしてこの堆積膜400を、図5(b)に示すように、斜め方向からのエッチングガスの供給により、粒界に隙間が形成されるようなエッチングを行うことにより、特定方向の光ガイドを行う光ガイド部材401が得られる。
【0022】光ガイド部材401には上述した薄膜技術によるものの他、薄板を板金加工したもの、フイルム状に加工されているライトコントロールフィルム(3M社製の商品名)、分子を特定方向に配向させた液晶等を用い得る。
【0023】この実施の形態によると、スケール検出部と原点検出部が近接して配置される小型エンコーダであっても、スケール検出部に原点検出用光が入り込み、原点検出部にスケール検出用光が入り込む事態が確実に防止される。従って、変位信号,原点検出信号共に大きなVPP/VDCが得られる。
【0024】なお、実施の形態2では、受光部にインデックス格子41bを有し、受光素子5aとしてモノリシックICを用いる場合を示したが、実施の形態1と同様に、受光側インデックス格子を省き、受光側インデックス格子を兼ねた受光素子アレイを用いてもよい。
【0025】[実施の形態3]図6は、実施の形態1と実施の形態2の手法を組み合わせた実施の形態3の要部構成を、図2に対応する断面図で示している。即ち、実施の形態1と同様に、受光部5を構成するフォトダイオードアレイPDAを反射膜55により覆う。これと同時に、実施の形態2と同様に、透明基板40の裏面には光ガイド部材401を形成する。この実施の形態によれば、光電変換効率の向上と迷光除去の効果により、更に大きなVPP/VDCを得ることができる。
【0026】
【発明の効果】以上述べたようにこの発明によれば、受光部に信号光の受光素子突き抜けを防止する反射膜を形成し、或いは受光部への迷光の入射を防止する光ガイド部材を設けることにより、小型化した場合の光電式エンコーダの高性能化を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
【出願日】 平成11年7月27日(1999.7.27)
【代理人】 【識別番号】100092820
【弁理士】
【氏名又は名称】伊丹 勝
【公開番号】 特開2001−41775(P2001−41775A)
【公開日】 平成13年2月16日(2001.2.16)
【出願番号】 特願平11−212632