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【発明の名称】 一次元プラントモデル非定常流動評価方法、評価システム、及び記憶媒体
【発明者】 【氏名】吉川信治

【氏名】米川 強

【要約】 【課題】流路ネットワークの各箇所の関係を統合した係数行列を使用せず、各構成要素ごとに開発したソフトウエアをそのまま協調させ、弁誤閉や流路破断等の境界条件の部分的変更があってもこれに柔軟に対応できるようにする。

【解決手段】複数の構成機器とこれを接続する配管からなる流路ネットワークにおける流体の分岐点または合流点をジャンクション(11,13,16)、構成機器(10,12,14,15)をノードとした一次元プラントモデルの評価方法であって、各ジャンクションに接続されている各ノードの流体慣性値に反比例させて質量保存誤差を配分して運動方程式から各ノードの流量変化率を算出する処理を繰り返し、質量保存誤差が所定値以下になったときの流量変化率と時間刻み幅から算出される流量変化を加算して各ノードの流量を求めるようにしたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の構成機器とこれを接続する配管からなる流路ネットワークにおける流体の分岐点または合流点をジャンクション、構成機器をノードとした一次元プラントモデルの評価方法であって、各ジャンクションについて、接続されている各ノードの流体慣性値から、流入量と流出量の差として定義される質量保存誤差の各ノードへの配分比を算出処理する段階、基準値を与える圧力境界のジャンクションを起点として接続状態に応じて順次枝状に各ジャンクションの圧力近似値を算出処理する段階、算出した誤差配分比を、前記圧力近似値から算出される各ノードの圧力差に反映させて運動方程式から各ノードの流量変化率を算出処理する段階、上記処理を繰り返し、質量保存誤差が所定値以下になったときの流量変化率と時間刻み幅から算出される流量変化を加算して各ノードの流量を更新処理する段階、からなる一次元プラントモデル非定常流動評価方法。
【請求項2】 ジャンクションの各ノードへの誤差配分は、流体慣性値の逆数に比例させるものであることを特徴とする請求項1記載の一次元プラントモデル非定常流動評価方法。
【請求項3】 各ノードには隣接する機器の接続情報が格納されていることを特徴とする請求項1記載の一次元プラントモデル非定常流動評価方法。
【請求項4】 複数の機器とこれを接続する配管からなる流路ネットワークにおける流体の分岐点または合流点をジャンクション、構成機器をノードとした一次元プラントモデルの評価システムであって、流路ネットワーク構造と各箇所の流動状態を表示する表示手段と、隣接する構成機器の接続状態を指定する指定手段と、各ジャンクションについて、接続されている各ノードの流体慣性値から、流入量と流出量の差として定義される質量保存誤差の各ノードへの配分比を算出処理し、基準値を与える圧力境界のジャンクションを起点として接続状態に応じて順次枝状に各ジャンクションの圧力近似値を算出処理し、算出した誤差配分比を、前記圧力近似値から算出される各ノードの圧力差に反映させて運動方程式から各ノードの流量変化率を算出処理し、上記処理を繰り返し、質量保存誤差が所定値以下になったときの流量変化率と時間刻み幅から算出される流量変化を加算して各ノードの流量を更新処理するデータ処理手段と、前記データ処理手段で更新した流量を流路ネットワーク構造の該当箇所の流量表示信号に変換して前記表示手段へ出力する表示出力制御手段と、を備えた一次元プラントモデル非定常流動評価システム。
【請求項5】 前記ノードは隣接する機器の接続情報が格納され、前記指定手段により該接続情報を設定可能であることを特徴とする請求項4記載の一次元プラントモデル非定常流動評価システム。
【請求項6】 複数の構成機器とこれを接続する配管からなる流路ネットワークにおける流体の分岐点または合流点をジャンクション、構成機器をノードとした一次元プラントモデルの評価プログラムを記憶した記憶媒体であって、各ジャンクショについて、接続されている各ノードの流体慣性値から、流入量と流出量の差として定義される質量保存誤差の各ノードへの配分比を算出処理する段階、基準値を与える圧力境界のジャンクションを起点として接続状態に応じて順次枝状に各ジャンクションの圧力近似値を算出処理する段階、算出した誤差配分比を、前記圧力近似値から算出される各ノードの圧力差に反映させて運動方程式から各ノードの流量変化率を算出処理する段階、上記処理を繰り返し、質量保存誤差が所定値以下になったときの流量変化率と時間刻み幅から算出される流量変化を加算して各ノードの流量を更新処理する段階、からなるプログラムを記憶した記憶媒体。
【請求項7】 複数の機器とこれを接続する配管からなる流路ネットワークにおける流体の分岐点または合流点をジャンクション、構成機器をノードとした一次元プラントモデルの評価プログラムを記憶した記憶媒体であって、流路ネットワーク構造と各箇所の流動状態を表示する段階、隣接する構成機器の接続状態を指定する段階、各ジャンクションについて、接続されている各ノードの流体慣性値から、流入量と流出量の差として定義される質量保存誤差の各ノードへの配分比を算出処理する段階、基準値を与える圧力境界のジャンクションを起点として接続状態に応じて順次枝状に各ジャンクションの圧力近似値を算出処理する段階、算出した誤差配分比を、前記圧力近似値から算出される各ノードの圧力差に反映させて運動方程式から各ノードの流量変化率を算出処理する段階、上記処理を繰り返し、質量保存誤差が所定値以下になったときの流量変化率と時間刻み幅から算出される流量変化を加算して各ノードの流量を更新処理する段階、更新した流量を流路ネットワーク構造の該当箇所の流量表示信号に変換して前記表示手段へ出力する段階、からなるプログラムを記憶した記憶媒体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラントを構成する機器や配管を模擬した計算モジュールで構成される一次元プラントモデルの非定常流動評価システムに関するもので、原子力プラントの特性解析、石油等液体を扱う化学プラントの特性解析、上水供給ラインの特性解析等に適用可能な評価方法、評価システム、及び記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力発電所のような液体が循環する系を多数有する大規模プラントのシミュレーションは、プラント設計、特性評価、並びに運転員教育に不可欠である。しかしながら、そのためのソフトウエア構築には多数の構成機器の数学モデル(機器モジュール)を緊密な整合性を保ちながら製作し、統合していくプログラミング作業が要求される。これは、多数の機器で構成される流路ネットワーク内の非定常流動計算を解法するために大規模な行列を用いることに起因しているためである。このような従来の一次元プラントモデルの流動計算方法について概略説明する。
【0003】構成機器とこれらをつなぐ配管から流路ネットワークが仮定されると、ネットワーク上の各箇所での流量の時間変化率は、運動方程式から
で表される。この式は細かい時間刻みでみると以下のように表現できる。
【0004】
(新流量−旧流量)×流体慣性値 =(上流側圧力−下流側圧力−圧力損失)×時間刻み ……(2)
ここで、旧流量、流体慣性値、圧力損失、圧力境界(圧力の基準値を与える箇所)での下流側圧力は既知である。また、質量保存の法則から、 流入流量合計=流出流量合計 ……(3)
が成立する。(2)、(3)式を統合すると、
の行列式として表され、右辺の定数項は旧流量、既知の値(圧力損失×流体慣性値、圧力損失×時間刻み)を表している。このように設定された流路ネットワークの各箇所の関係を統合した係数行列を一括処理して時間刻みで解いていくことにより各箇所の流量、圧力の時間変動が求められ、評価・解析が行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の評価システムでは、炉容器、ポンプ、中間熱交換器、蒸気発生器等解析対象である系全体について、OS、言語、変数名等を統一して1つのシステムとして統合して設計する必要があり、この統合のために多大なマンパワーが必要で柔軟性に乏しいという問題があった。また、弁誤閉や流路破断等が起きた際にはその条件が(4)式に入っていないため成立しなくなり、再度新たな条件を入れて全体の配列を変更した流路ネットワークを設定し、(4)式を再構成しなければならない。
【0006】本発明は上記課題を解決するためのもので、流路ネットワークの各箇所の関係を統合した係数行列を使用することなく、各構成要素ごとに開発したソフトウエアをそのまま協調させ、弁誤閉や流路破断等の境界条件の部分的変更があってもこれに柔軟に対応できるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、複数の構成機器とこれを接続する配管からなる流路ネットワークにおける流体の分岐点または合流点をジャンクション、構成機器をノードとした一次元プラントモデルの評価方法であって、各ジャンクションについて、接続されている各ノードの流体慣性値から、流入量と流出量の差として定義される質量保存誤差の各ノードへの配分比を算出処理する段階、基準値を与える圧力境界のジャンクションを起点として接続状態に応じて順次枝状に各ジャンクションの圧力近似値を算出処理する段階、算出した誤差配分比を、前記圧力近似値から算出される各ノードの圧力差に反映させて運動方程式から各ノードの流量変化率を算出処理する段階、上記処理を繰り返し、質量保存誤差が所定値以下になったときの流量変化率と時間刻み幅から算出される流量変化を加算して各ノードの流量を更新処理する段階からなることを特徴とする。請求項2の発明は、ジャンクションの各ノードへの誤差配分は、流体慣性値の逆数に比例させるものであることを特徴とする。請求項3の発明は、各ノードには隣接する機器の接続情報が格納されていることを特徴とする。請求項4の発明は、複数の機器とこれを接続する配管からなる流路ネットワークにおける流体の分岐点または合流点をジャンクション、構成機器をノードとした一次元プラントモデルの評価システムであって、流路ネットワーク構造と各箇所の流動状態を表示する表示手段と、隣接する構成機器の接続状態を指定する指定手段と、各ジャンクションについて、接続されている各ノードの流体慣性値から、流入量と流出量の差として定義される質量保存誤差の各ノードへの配分比を算出処理し、基準値を与える圧力境界のジャンクションを起点として接続状態に応じて順次枝状に各ジャンクションの圧力近似値を算出処理し、算出した誤差配分比を、前記圧力近似値から算出される各ノードの圧力差に反映させて運動方程式から各ノードの流量変化率を算出処理し、上記処理を繰り返し、質量保存誤差が所定値以下になったときの流量変化率と時間刻み幅から算出される流量変化を加算して各ノードの流量を更新処理するデータ処理手段と、前記データ処理手段で更新した流量を流路ネットワーク構造の該当箇所の流量表示信号に変換して前記表示手段へ出力する表示出力制御手段とをを備えたことを特徴とする。請求項5の発明は、前記ノードは隣接する機器の接続情報が格納され、前記指定手段により該接続情報を設定可能であることを特徴とする。請求項6の発明は、複数の構成機器とこれを接続する配管からなる流路ネットワークにおける流体の分岐点または合流点をジャンクション、構成機器をノードとした一次元プラントモデルの評価プログラムを記憶した記憶媒体であって、各ジャンクショについて、接続されている各ノードの流体慣性値から、流入量と流出量の差として定義される質量保存誤差の各ノードへの配分比を算出処理する段階、基準値を与える圧力境界のジャンクションを起点として接続状態に応じて順次枝状に各ジャンクションの圧力近似値を算出処理する段階、算出した誤差配分比を、前記圧力近似値から算出される各ノードの圧力差に反映させて運動方程式から各ノードの流量変化率を算出処理する段階、上記処理を繰り返し、質量保存誤差が所定値以下になったときの流量変化率と時間刻み幅から算出される流量変化を加算して各ノードの流量を更新処理する段階 からなるプログラムを記憶したことを特徴とする。請求項7の発明は、複数の機器とこれを接続する配管からなる流路ネットワークにおける流体の分岐点または合流点をジャンクション、構成機器をノードとした一次元プラントモデルの評価プログラムを記憶した記憶媒体であって、流路ネットワーク構造と各箇所の流動状態を表示する段階、隣接する構成機器の接続状態を指定する段階、各ジャンクションについて、そこに接続されている各ノードの流体慣性値から、流入量と流出量の差として定義される質量保存誤差の各ノードへの配分比を算出処理する段階、基準値を与える圧力境界のジャンクションを起点として接続状態に応じて順次枝状に各ジャンクションの圧力近似値を算出処理する段階、算出した誤差配分比を、前記圧力近似値から算出される各ノードの圧力差に反映させて運動方程式から各ノードの流量変化率を算出処理する段階、上記処理を繰り返し、質量保存誤差が所定値以下になったときの流量変化率と時間刻み幅から算出される流量変化を加算して各ノードの流量を更新処理する段階、更新した流量を流路ネットワーク構造の該当箇所の流量表示信号に変換して前記表示手段へ出力する段階からなるプログラムを記憶したことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明を説明するための高速増殖炉の二次冷却系の構成を説明する図、図2は端重みを説明するための図である。なお、以下において、ジャンクションは流体の分岐点または合流点、ノードは構成機器自体を表し、説明の便宜上、配管は各ノードに含ませている。図1において、配管を通して金属ナトリウムを循環させるポンプ10の出口側は上方がガスで満たされて金属ナトリウムが一定レベル以上になると溢れ出るタンクにより圧力を基準値に維持する圧力境界11となっている。中間熱交換器12で熱交換した金属ナトリウムは分岐点13で一部が空気冷却器14へ、残りは蒸気発生器15へ送られて合流点16で合流し、ポンプ10へ還流する。
【0009】本発明では、プラントの構成機器の圧力、流量、流量の時間変化率等で表現される流動式群を行列形式として扱わないで流路ネットワークを評価することに主眼を置いており、このような流動式群は構成機器とその接続状態から得ることができるので、隣接する機器の間での局所的な数値計算だけで解法することができれば行列形式での処理を回避でき、かつ、動的な流路ネットワーク構造の変化にも対応することが可能である。
【0010】局所的な数値計算の結果、各ジャンクションにおいて質量保存誤差が生じた場合は、それを当該ジャンクションに接続されている各ノードに割り付けて再計算し最終的に誤差が収斂するまで計算を繰り返す。この点を図2により説明すると、ジャンクションJには上流側ノードN1 、下流側ノードN2 、N3 がそれぞれ接続されており、各ノードN1 、N2 、N3 の流体慣性値をI1 、I2 、I3 とする。ジャンクションにおける質量保存誤差ΔWは、ΔW=流入量−流出量と表される。理論的には非圧縮性流体の場合、ジャンクションにおける流入量(及び変化量)と流出量(及び変化量)との差は常に0となる。そこで、この誤差を各ノードに対して流体慣性値の逆数に比例させて配分する。これは流体慣性値が大きいほど流量変化が少ないことに基づいている。各ノードN1 、N2 、N3への誤差配分をE1 、E2 、E3 とすると、
で表される。なお、ΔWの半分について誤差配分しているのは、一度に大きな誤差を配分すると計算結果が収斂しないおそれがあるためである。ここで、(5)〜(7)式の分子I2 3 、I1 3 、I1 2 を各ノードN1 、N2 、N3 のジャンクションJにおける端重み、分母をジャンクションの重み合計と言う。すなわち、ノードN1 の端重み=ノードN2 の流体慣性値×ノードN3 の流体慣性値ノードN2 の端重み=ノードN3 の流体慣性値×ノードN1 の流体慣性値ノードN3 の端重み=ノードN1 の流体慣性値×ノードN2 の流体慣性値ジャンクションの重み合計=ノードN1 の端重み+ノードN2 の端重み+ノードN3 の端重みとなる。
【0011】図3は図1の冷却系をモデル化した図、図4はジャンクションのジャンクションの質量誤差の配分方法を説明する図である。図3において、ジャンクションAは圧力境界11に、ジャンクションBは分岐点13に、ジャンクションCは分岐点10にそれぞれ対応し、圧力、質量保存誤差項、重み合計のデータを有する。ノードABは中間熱交換器12に、ノードBCは空気冷却器14に、ノードB′C′は蒸気発生器15に、ノードCAはポンプ10にそれぞれ対応し、流量、流量変化率、圧力差、流体慣性値、接続情報(ノードの両端に何が接続されているかを示す情報)、圧力参照フラグ(計算に際して圧力が参照されたか否かを示すフラグ)のデータを有する。
【0012】図4はジャンクションB、C間についてノードB′C′の圧力を参照しないで流量を算出する例を示している。例えば、ジャンクションBについてみると、質量保存誤差={(ノードABの流量変化率)−(ノードBCの流量変化率)}+{(ノードABの流量)−(ノードBCの流量)}×係数と表される。これについて説明すると、各時点の流量は(流量変化率×時間刻み)が毎回加算されて求められる。例えば、0.00001までしか扱えないコンピュータを用い、上流から1本のノード、下流に2本のノードを持つジャンクションの場合、上流ノードの時間変化率が0.0007、下流1ノード当たりの時間変化率が0.00035で、時間刻み巾が0.1秒だとすると、毎回加算される流量変化は上流が0.00007、下流は下一桁が切り捨てられて0.00003となり、これが何回も繰り返されると上下流の流量が食い違いを生ずる。これを避けるために、流量変化率の誤差項だけでなく、流量そのものの誤差も流量変化率の修正に反映させるために流量の差に係数(10マイナス数乗程度の値)を乗じた誤差項を加えて質量保存誤差としている。
【0013】ノードBCにおける修正後の流量変化率についてみると、修正後の流量変化率=修正前の流量変化率+(ジャンクションBの質量保存誤差)×(配分比B→C)/2+(ジャンクションCの質量保存誤差)×(配分比C→B)/2ここで、
である。
【0014】次に、図5の非定常流動計算処理フローを用いて流動計算アルゴリズムについて説明する。
【0015】まず、計算の時間刻み巾Δtを設定し(S1)、ノードの流体慣性値から、前述したようにして全ジャンクションの重み合計と、これに接続する各ノードの端重みを算出する(S2)。次いで、前回計算時の流量変化率により各ノードの圧力差(上流側圧力−下流側圧力)を求めて、圧力境界(基準圧力)のジャンクションを起点として接続状態に応じて順次枝状に各ジャンクションの圧力近似値を算出する(S3)。この時、各ノードの圧力が参照されたか否かチェックし(S4)、参照されている場合はそのノードの圧力参照フラグを1とする(S5)。次いで、各ノードの前回計算時の流量(旧流量)を用いて前述の(2)式から各ノードの流量変化率を算出する(S6)。このとき圧力差が参照されず無視されたノードについても、両側のジャンクションの圧力差と前回計算時の流量から、同様に当該ノードの流量変化率を算出する。図3の例で言えば、ノードBCの圧力差を用いてジャンクションB、Cの圧力近似値を算出した場合は、ノードB′C′について流量変化率を算出することになる。このように、流量変化率を算出する場合、無視されたノードが存在するため各ジャンクションにおいて質量保存誤差(流量誤差)が生ずる。そこで、求めた流量変化率から各ジャンクションにおける質量保存誤差を算出する(S7)。この場合、必要に応じて上流と下流の流量差に係数を乗じたものも誤差に加える。次いで、質量保存誤差がしきい値以内か否かチェックし(S8)、しきい値以内に収まっていない場合は、求めた質量保存誤差の1/2を各ノードの端重みに反比例させて配分し流量変化率を補正する(S9)。この場合、流入側のノードについては、その流量変化率から配分した質量保存誤差を減じ、流出側のノードについては加算する。こうして、再度S3に戻って同様の処理を繰り返しす。この過程において、質量保存則、あるいは運動量保存則上の局所的な誤差が流路ネットワーク全体に伝播していくことで、全体を行列計算で一括して解法した場合と等価な解が得られる。そして、質量保存誤差がしきい値以下に達したら、各ノードの流量を更新(変化分=流量変化率×時間刻み幅を加算)し、S1に戻ってシミュレーションの時刻を時間刻み巾分進め、次の時刻の流量変化を算出する。
【0016】図6は本発明の非定常流動評価方法の妥当性を示す図で、図6(a)は計算比較結果を示す図、図6(b)はモデル図である。モデル図は、ポンプ20と流路ノード21〜23からなる系で、両端の圧力差が流量変化率と流量2 ×圧力損失係数の和に等しい特性を持っているパイプを意味している。このモデル図において、図6(a)は縦軸が計算開始時点の流量に対する相対流量、横軸が時間で、実線が理論解、○が本発明の手法により得られた解で、両者が一致していることが分かる。
【0017】図7は本発明のアルゴリズムを実装したシミュレーションシステムを示す図で、図7(a)は計算を実行している画面を示す図、図7(b)はスペックを設定している画面を示す図である。図中、30は2次冷却系に1次系から熱を伝える中間熱交換器、31は蒸気発生器を使わないで1次系から伝わった熱を大気中に逃がすためのナトリウム−空気熱交換器、32はナトリウムの熱を奪って水を蒸気に変える蒸気発生器、33はさらに蒸気温度を上げるための過熱器である。本システムでは、隣接する機器の結合状態を動的に管理するため、各ノードには、図3で説明したように、接続情報として隣接するジャンクションの情報を格納できるモデル構造にするとともに、プラントシミュレーションモデルを画面上から直接指定できるようにしている。従って、画面上から、例えば、接続情報無しというように、隣接する機器の結合状態を指定してモデル構造を設定し、各部の流量、圧力がどのようになるかを解析することができる。
【0018】
【発明の効果】原子力プラントに代表される複雑な流路を有する大規模な工学システムの設計、評価に不可欠なプラントシミュレーションにおいて、必須の非定常の流動計算を用いずに行うアルゴリズムを考案し、高速炉の二次主冷却系構成を対象に本アルゴリズムを検証した。流動計算における収束計算量の増加は、機器モジュールの伝熱計算量に比べて十分小さく、流路ネットワーク構造の動的変化への対応等の本アルゴリズムの利点を損なわないことを確認した。本発明により、プラントの全体モデル、特に流路の破断や隔離のように、境界条件の構造そのものが不連続に変化する現象を模擬可能なモデルが容易に構築可能となり、シミュレーションの柔軟性の向上を図ることができる。また、従来、こうした全体モデルは均質な開発環境下(言語、計算機)での製作に限定されていたが、プラント構成要素毎の機器モジュールを独立した開発環境で製作し、これらの連結によって全体モデルへ統合することも可能となり、ソフトウエア開発、保守のマンパワーの逓減が期待できる。
【出願人】 【識別番号】000224754
【氏名又は名称】核燃料サイクル開発機構
【出願日】 平成11年6月17日(1999.6.17)
【代理人】 【識別番号】100092495
【弁理士】
【氏名又は名称】蛭川 昌信 (外7名)
【公開番号】 特開2001−4414(P2001−4414A)
【公開日】 平成13年1月12日(2001.1.12)
【出願番号】 特願平11−171233