| 【発明の名称】 |
圧電型運動センサにおけるセンサ振動体の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】岡田 恵也
【氏名】白鳥 典彦
【氏名】市川 和豊
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| 【要約】 |
【課題】圧電セラミックスのような圧電材料を用いて運動を検出する圧電型運動センサにおけるセンサ振動体の加工において、単純あるいは複雑な輪郭形状の圧電セラミックスの加工や、センサ振動体表面に形成された複雑な形状をした電極膜のパターンや、センサ振動体の側面への電極形成等を精度良く、容易にかつ安価に製造できる製造方法を得る。
【解決手段】輪郭形状形成、及び所望の形状の電極膜のパターン形成をレーザー加工によって行う。また、電極膜の精密なパターン形成とセンサ振動体の輪郭形状加工を順次または同時に行う。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】圧電材料を用いて形成したセンサ振動体の製造方法において、該センサ振動体の輪郭形状形成をレーザー加工によって行うことを特徴とする圧電型運動センサにおけるセンサ振動体の製造方法。 【請求項2】表面に運動検出用やセンサ振動体の励振用等の電極膜が形成された圧電型センサ振動体の製造方法において、該センサ振動体の表面に予め任意の形状に電極膜を形成し、レーザー加工によって前記電極膜を所望のパターン形状に形成することを特徴とする圧電型運動センサにおけるセンサ振動体の製造方法。 【請求項3】表面に運動検出用やセンサ振動体の励振用等の電極膜が形成された圧電型センサ振動体の製造方法において、該センサ振動体表面に形成される電極膜のパターン形成と、前記センサ振動体の輪郭形状形成とを、異なるエネルギーレベルのレーザービームを用い、素材の加工位置を高精度に維持あるいは再現する手段を伴って、順次または同時に行うことを特徴とする圧電型運動センサにおけるセンサ振動体の製造方法。 【請求項4】前記センサ振動体の輪郭に、折れ線、曲線、穴、窓状部分の少なくとも一つを有することを特徴とする請求項1、2あるいは3に記載の圧電型運動センサにおけるセンサ振動体の製造方法。 【請求項5】センサ振動体の素材となる圧電材料の厚み出しを必要に応じて行う工程と、厚み出しをした素材の所望の面に全面あるいは概略形状の電極膜形成を行う工程と、必要に応じて前記素材の分極処理を行う工程と、前記素材に加工位置を高精度に維持あるいは再現する手段を適用する工程と、レーザー加工により前記電極膜のパターンの形成を行う工程と、レーザー加工にてセンサ振動体の輪郭形状形成を行う工程とを含むことを特徴とする圧電型運動センサにおけるセンサ振動体の製造方法。 【請求項6】センサ振動体の素材となる圧電材料の厚み出しを必要に応じて行う工程と、前記素材の所望の面に全面あるいは概略形状の電極膜の形成を行う工程と、前記素材に加工位置を高精度に維持あるいは再現する手段を適用する工程と、レーザー加工により前記電極膜のパターンの精密形成を行う工程と、レーザー加工にてセンサ振動体の輪郭形状形成を行う工程と、前記センサ振動体の側面に電極膜を形成する工程と、必要に応じて前記電極膜を用いて前記素材または前記センサ振動体の分極処理を行う工程とを含むことを特徴とする圧電型運動センサにおけるセンサ振動体の製造方法。 【請求項7】前記電極膜のパターン形成および前記輪郭形状の形成を遂行する間、前記素材の加工位置を高精度に維持または再現する手段は、前記素材を同一のレーザー加工機の加工台に固定したままにすること、前記素材を同一または別体のレーザー加工機側の位置決め手段と結合する位置決め部を有するジグ手段に固着したままにすること、あるいは前記素材に同一または別個のレーザー加工機側の位置決め手段と結合する位置決め部を予め加工しておくことであることのいずれかであることを特徴とする請求項3、5あるいは6に記載の圧電型運動センサにおけるセンサ振動体の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は圧電セラミックスのような圧電材料を用いた圧電型運動センサにおけるセンサ振動体の製造方法に関するものである。 【0002】運動センサは、通常、弾性材料よりなるバネ性部材と付加質量とによって形成されたセンサ振動体と、センサ振動体を励振駆動しまたセンサ振動体が検知したコリオリ力などの運動力学情報を電気信号として出力するための駆動・検出回路によって構成されている。圧電型運動センサは圧電性の材料を用いてセンサ振動体を構成した運動センサを言う。また加速度センサのように、通常センサ振動体を励振させないで使用する場合もあるが、自由振動可能な形態をなす部材が多いので、これらの場合をも含めて運動センサが含む機械的部材をセンサ振動体と呼ぶことにする。 【0003】 【従来の技術】圧電型運動センサは、圧力センサ、加速度センサ、角速度センサ等が既に実用化されている。運動を検出するためのセンサ振動体に用いられる圧電材料もいくつかの種類があるが、圧電セラミックスを用いたものが最も普及している。圧電セラミックスは他の圧電材料に比べ高い圧電定数を持つため、特に小型のセンサ振動体に数多く採用されている。 【0004】従来の圧電セラミックスを用いたセンサ振動体は、角板型、円板形、角柱型、丸棒型等、比較的単純な形状の圧電セラミックス素材を用い、これらの素材を単体でセンサ振動体として用いるか、あるいは金属部材に接合してセンサ振動体を形成している。これらのセンサ振動体はラップ加工機、ワイヤーソー加工機等を用いて圧電セラミックス素材を加工することで形成されている。 【0005】近年、運動センサが普及するにつれて、小型化や高精度化、あるいは1つのセンサ振動体でXYZ三次元座標系における複数の軸方向の運動が検出可能な運動センサ、あるいは1つのセンサ振動体で加速度と角速度等、複数の物理量が検出できる他機能化への要求はますます高まっている。これによってセンサ振動体の形状も複雑化してきており、かつ高い形状精度が要求されるようになってきている。またこれらのセンサ振動体の表面には、スクリーン印刷、スパッタリング等の方法を用いて形成した運動検出用やセンサ振動体の励振用等の電極膜を有しているが、これらの電極膜のパターン形状もセンサ振動体の小型化、高精度化、多機能化によって複雑化してきており、また電極膜のパターンの形状精度及び位置精度もより高度なものが要求されてきている。 【0006】また、水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電単結晶材料(以下、単結晶材と記載する。)を用いた運動センサが提案されている。これらの単結晶材は特性が極めて安定であるので高精度センサには適している。単結晶材はエッチング法を用いることにより複雑な輪郭形状の形成を精度良く行うことが可能である。 【0007】圧電セラミックスを複雑な形状に形成する場合、従来は粉末成形によって焼結、あるいはグリーンシート打ち抜きを行って焼成する方法で所望の形状に形成するが、焼結や焼成時の収縮が甚だしい(例えば10%〜20%)ため、形状精度に限界があり、高い精度が要求されるセンサ振動体として用いることは困難である。また薄肉の部材の形成も加工の過程で破損しやすいため困難である。ワイヤーソー等の切削加工機を用いて形状精度を向上させる場合、加工機によって形状も制限され、任意の形状に形成することができない場合がある。また形状が複雑になるにつれ製造コストがかかり、安価に、大量に製造することが困難になる。このような背景から、従来は複雑な輪郭形状を有するセンサ振動体にはエッチング法等の可能な水晶等の単結晶材が用いられている。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】水晶等の単結晶材は、複雑な輪郭形状の形成が可能であり、また圧電特性も高安定である反面、結晶軸によって圧電特性の得られる軸方向が限られており、また圧電効果も小さいため1つのセンサ振動体でXYZ三次元座標系における複数の軸方向の運動検出は困難である。また、インピーダンスが高い材料であるため通常センサ振動体を真空封止して使用する。このためセンサ振動体と、駆動検出回路部を含めたセンサ全体での二重のパッケージが必要になり、小型化に限界がある。 【0009】圧電セラミックスは多結晶の焼結体であるため、特性の安定性では単結晶材に及ばないものの、高い圧電定数を有するため寸法に比して高い検出感度を得ることができ、また大気中で使用できるためパッケージ全体の小型化が可能である。また、一つのセンサ振動体の中で分極方向を複数設定することにより圧電特性の軸方向を複数に設定できるため、多機能化にも適している。しかし、従来の技術では複雑な輪郭形状の形成が困難であることから圧電セラミックスを用いた小型、多機能の圧電型運動センサの提案は困難であった。 【0010】本発明の目的は、第一に、センサ振動体の輪郭形状を精度良く、かつ安価に形成できる製造方法を得ることにより、多機能、小型かつ安価な圧電型運動センサを提供することであり、第二に、センサ振動体表面あるいは側面に運動検出用やセンサ振動体励振用の電極膜を精度良く、かつ安価に形成できる製造方法を得ることにより、多機能、小型かつ安価な圧電型運動センサを提供することである。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の圧電型運動センサにおけるセンサ振動体の製造方法においては、下記の特徴のいずれかを有する。 【0012】圧電材料を用いて形成したセンサ振動体の製造方法において、該センサ振動体の輪郭形状形成をレーザー加工によって行うこと。 【0013】表面に運動検出用やセンサ振動体の励振用等の電極膜が形成された圧電型センサ振動体の製造方法において、該センサ振動体の表面に予め任意の形状に電極膜を形成し、レーザー加工によって前記電極膜を所望のパターン形状に形成すること。 【0014】表面に運動検出用やセンサ振動体の励振用等の電極膜が形成された圧電型センサ振動体の製造方法において、該センサ振動体表面に形成される電極膜のパターン形成と、前記センサ振動体の輪郭形状形成とを、異なるエネルギーレベルのレーザービームを用い、素材の加工位置を高精度に維持あるいは再現する手段を伴って、順次または同時に行うこと。 【0015】前記センサ振動体の輪郭に、折れ線、曲線、穴、窓状部分の少なくとも一つを有すること。 【0016】センサ振動体の素材となる圧電材料の厚み出しを必要に応じて行う工程と、厚み出しをした素材の所望の面に全面あるいは概略形状の電極膜形成を行う工程と、必要に応じて前記素材の分極処理を行う工程と、前記素材に加工位置を高精度に維持あるいは再現する手段を適用する工程と、レーザー加工により前記電極膜のパターンの形成を行う工程と、レーザー加工にてセンサ振動体の輪郭形状形成を行う工程とを含むこと。 【0017】センサ振動体の素材となる圧電材料の厚み出しを必要に応じて行う工程と、前記素材の所望の面に全面あるいは概略形状の電極膜の形成を行う工程と、前記素材に加工位置を高精度に維持あるいは再現する手段を適用する工程と、レーザー加工により前記電極膜のパターンの精密形成を行う工程と、レーザー加工にてセンサ振動体の輪郭形状形成を行う工程と、前記センサ振動体の側面に電極膜を形成する工程と、必要に応じて前記電極膜を用いて前記素材または前記センサ振動体の分極処理を行う工程とを含むこと。 【0018】前記電極膜のパターン形成および前記輪郭形状の形成を遂行する間、前記素材の加工位置を高精度に維持または再現する手段は、前記素材を同一のレーザー加工機の加工台に固定したままにすること、前記素材を同一または別体のレーザー加工機側の位置決め手段と結合する位置決め部を有するジグ手段に固着したままにすること、あるいは前記素材に同一または別個のレーザー加工機側の位置決め手段と結合する位置決め部を予め加工しておくことであることのいずれかであること。 【0019】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。本発明の製造法を適用した第1の実施の形態においては、加速度と角速度を1つのデバイスで検出できる複合型運動センサのセンサ振動体である、圧電材料として圧電セラミックスを用い、脚部に屈曲形状、長穴を有する変形音叉型のセンサ振動体の製造を行った。図1は、本発明の製造法の第1の実施の形態を適用したセンサ振動体の平面図である。図3は、本発明の製造法の第1の実施の形態を適用したセンサ振動体の電極膜のパターンを示す平面図である。図2は本実施の形態の製造方法を適用する素材である圧電セラミックス板の斜視図である。 【0020】本実施の形態に用いた複合型運動センサにおけるセンサ振動体の構成及び機能について簡単に説明する。センサ振動体1は対称軸5に関して対称な3つの平行な部分からなる。外側の2本の脚A2、脚B3は平行なバネ部を持つ片持ち梁であって2脚の音叉を形成し、脚A、Bによって角速度センサを形成する。これらの脚にはそれぞれ電極21、電極22、電極31、電極32が設けられ、これらの電極は発振回路に接続されている。ここで、電極21、電極31に同位相の発振波形を入力し、電極22、電極32には電極21、電極31に対して位相の反転した発振波形を入力する。すると振動方向VA、VBのごとく対称軸5に対して対称に振動する。角速度が作用していない状態では電極22と電極32の出力電圧は等しい。 【0021】脚A2、脚B3(2ヶ所)がそれぞれ振動速度UA、UBで振動している際に、センサ振動体1の板面に対して垂直な回転軸のまわりに角速度Ωで回転するとき、角速度Ωに比例したコリオリ力FA、FBが板面内に互いに反対向きに生じ、角速度Ωに比例して脚A、Bの振動のたわみに差が生じる。このたわみの差に比例して、電極22と電極32の出力電圧に差が生じる。差動増幅回路等を通じて出力電圧の差を検出することにより角速度Ωの大きさを検出することができる。 【0022】脚C4は加速度センサ機能を有する。脚Cには長穴状の窓部43を設けることによって対称軸5に関して対称な枠脚41、枠脚42が形成されている。枠脚41、枠脚42にはそれぞれ電極411、電極412、電極421、電極422が形成され、これらの電極は発振回路に接続されている。ここで、電極411、電極421に同位相の発振波形を入力し、電極412、電極422には電極421、電極422に対して位相の反転した発振波形を入力する。すると枠脚41、枠脚42は、たわみ413、たわみ423のような弓形の振動姿態によって固有振動数で自励発振をする。ここで脚C4に加速度Gが作用すると、加速度Gに比例して枠脚の固有振動周波数が変化し、自励発振の発振周波数が変化する。その発振周波数の変化分を、周波数計測回路等を通じて検出することにより、加速度Gの大きさを検出することができる。 【0023】本実施の形態の製造方法を工程順に説明する。図2に示すように、まず圧電セラミックス板11を、ラップ、平面研削等の方法にて予め所望の厚みに形成し、次に圧電セラミックス板11の表面全面に予め所望の厚みに電極膜12を形成する。図中には見えていないが電極膜は圧電セラミックス板11の裏面全面にも形成されている。本実施の形態においては圧電セラミックスの分極方向はセラミックスの厚み方向であり、かつ単方向で良いので、ここで圧電セラミックス板11の分極処理を行う。分極処理は、同一のセンサ振動体の中で複数の分極方向に設定する場合や、センサ体の一部分だけを分極したい場合などは電極膜を所望の形状のパターンに加工した後に行われる。 【0024】次に、電極膜12を、レーザー加工機を用いて図3に示すように、所望の形状のパターンである電極21、電極22、電極31、電極32、電極411、電極412、電極421、電極422の形状に加工する。この際、圧電セラミックス板11の裏面にも電極膜のパターンが必要な場合、裏面も同様に加工を行う。電極膜のパターン形成の際には、できるだけ電極膜のみを除去し、圧電セラミックス板11に影響がないようにレーザーの出力を弱めて行う。 【0025】次に、加工基準位置がずれないように固定したまま圧電セラミックス板11を、図1に示すように所望の輪郭形状であるセンサ振動体1の形状にレーザー加工機を用いて加工を行い、センサ振動体を形成する。 【0026】本実施の形態においては、電極膜のパターン及びセンサ振動体の輪郭形成には、YAGレーザーマーカーを用いた。YAGレーザーマーカーの概略図を図4に示した。YAGレーザーマーカーの本体13は制御部14と接続されている。加工台15は高さをレーザー光の焦点位置に合わせて固定され、加工台に加工される圧電セラミックス板16が固定される。本実施の形態においては圧電セラミックス板16はアクリル接着剤で加工台15に固定した。加工台への固定方法はレーザー加工中に圧電セラミックス板がずれることがなければ機械的にクランプする等、別の方法でも構わない。また、図中では省略しているが、レーザー加工中における電極膜の酸化を防ぐことと、削り屑を除去する目的で不活性ガスを吹き付けながら加工を行った。本実施の形態においては不活性ガスには窒素を用いた。加工後は剥離剤を用いて加工台15から圧電セラミックス板16を取り外した。本実施の形態においては剥離剤にはアセトンを用いた。 【0027】本実施の形態で用いたYAGレーザーマーカーは、制御部14より入力された位置信号に応じて本体13内に設置された2つの偏向ミラーの角度を変えることによってレーザー光17の照射位置をマーキングエリアの範囲内で任意に変えることができる。従って圧電セラミックス板16を加工台15に固定した状態のまま二次元的な形状の加工が可能である。本実施の形態に用いたレーザーのマーキングエリアはφ60mmであり、これより小さなサイズであれば圧電セラミックス板を固定したまま加工が可能である。また加工精度を向上させるため、レーザー光の焦点を絞った短焦点レンズを用いた。本実施例に用いたレーザーの位置分解能は4μmである。加工条件は主にレーザーの出力、パルス周波数、スキャンニング速度によって変えることができる。本実施例において電極パターン加工とセンサ振動体の輪郭形状加工は目的に応じて主に出力を切り換えて行っている。 【0028】本実施の形態においては1つの圧電セラミックス板から1つのセンサ振動体を形成したが、加工台15への取り付け、取り外しの時間を考慮すると、1枚の圧電セラミックス板からできる限り多くのセンサ振動体が加工できることが望ましい。一例を図5に示した。圧電セラミックス板51に、窓部54、55をレーザー加工によって形成し、図1に示したものと同形状のセンサ振動体52を圧電セラミックス板51上に複数形成する。図中では省略しているが、電極膜も同様に形成する。ここで、水晶の音叉のエッチング加工で用いられるように、センサの特性に影響のない部分に連結子53を設けてセラミックス板51とセンサ振動体52をつないでおき、後工程で連結子53を折るなどして製品を分割することによって製品回収など取り扱い性を向上させている。 【0029】ここで、センサ振動体の取り個数を多くするため、前記のマーキングエリアより圧電セラミックス板を大きくする場合は、加工台にX−Y方向の移動台を設けて圧電セラミックスを移動台に固定し、各センサ振動体の加工をする度に移動台を動かし、常にマーキングエリアの中心付近で加工すると良い。また、圧電セラミックス板が前記マーキングエリアより小さい場合でも、レーザーのエネルギー密度等がマーキングエリア中心付近と外周部付近で異なってくるため、加工を安定化させるためにできるだけマーキングエリア中心付近で加工が行えるように高精度で位置出しを行いながら平行移動する加工台を設けることが望ましい。本実施の形態では文字等のマーキングを主目的とするレーザーマーカーを用いたが、板材の切断等を目的としたレーザー加工機はレーザー光の照射方向は固定され、被加工物を上記移動する加工台で動かしながら加工を行う方式が一般的であるが、このような方式の加工機を用いるのも良い。 【0030】本実施の形態においては、圧電セラミックス板11には外形15mm×10mm、厚さ0.3mmのPZT(ジルコン酸チタン酸鉛)を用いた。また、電極膜12の材質にはAg(銀)のペーストを用い、スクリーン印刷によって形成した。加工時間は加工台への取り付け、取り外し時間を除いて1個の運動センサあたり約10秒であった。加工時間はセラミックス板や電極膜の材質やサイズによって異なる。電極膜の材質は、所定の目的を満足するものであればこれに限定されるものではない。本実施の形態においては圧電セラミックスを用いたセンサ振動体の場合について述べたが、レーザーによる形状加工が可能なものであれば単結晶材を用いたセンサ振動体にも本発明を用いることができる。 【0031】本実施の形態においては、脚部に屈曲形状、長穴を有する変形音叉型のセンサ振動体及び電極膜のパターン形成を行う場合について述べたが、センサ振動体としての機能を満足するものであれば、リング型、トラス型等、他の形状のセンサ振動体でも本発明の製造方法を用いることができる。また、円板や矩形板のような比較的単純な形状の場合でも、本発明の製造方法を適用することで高い形状精度が得ることができ、発振周波数等、センサ特性の再現性が優れたセンサ振動体を得ることができる。なお、本実施の形態におけるセンサ振動体の輪郭形状精度は±5μmであった。 【0032】本実施の形態においては素材である圧電セラミックス板の全面に電極膜を形成したが、スクリーン印刷、スパッタリング等の方法で予め所望の形状、寸法に近い形で電極膜のパターン形成を行い、レーザー加工によって精度良く電極膜のパターン形成を行う方法を採っても良い。この場合レーザーによって電極膜を除去する面積を小さくでき、加工時間を短くできるなどの効果がある。ただし予め形成する電極膜の位置がセンサ振動体の輪郭に対してずれること等を考慮し、予め形成しておく電極パターンのうち形状精度を要求される部分について、所望の寸法より大きめにとっておき、その部分をレーザー加工によって加工することが望ましい。 【0033】本発明の製造法の第2の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。本発明の製造法の第2の実施の形態においては、加速度と角速度を1つのデバイスで検出できる複合型運動センサのセンサ振動体である、圧電材料として圧電セラミックスを用い、脚部に屈曲形状、長穴を有する変形音叉型のセンサ振動体の製造を行った。図6は、本発明の製造法の第2の実施の形態を適用したセンサ振動体の平面図である。図7は、本発明の製造法の第2の実施の形態における、側面電極を形成し、かつ矢印Pで示したように板面方向に分極処理を行ったセンサ振動体の製造工程を概念的に示す断面図である。本断面図は、図6のX−X断面形状を示している。 【0034】本実施の形態の複合型運動センサにおけるセンサ振動体の輪郭形状及び角速度、加速度検出機能については第一の実施の形態と同じであるので説明は省略する。電極構造、分極方法及び励振方法が異なるためそれに関する説明をする。脚A61a、脚B61b、枠脚61c1、61c2の表面にそれぞれ電極62a、62b、62c1、62c2が形成されている。また、図中では記載していないが各脚、各枠脚の裏面にも同様の形状の電極63a、63b、63c1、63c2の電極が形成されている。また、脚A61aの側面両側に側面電極68a1、68a2が、脚B61bの側面両側に側面電極68b1、68b2が、枠脚61c1の側面両側に側面電極68c11、68c12が、枠脚61c2の側面両側に側面電極68c21、68c22がそれぞれ形成されている。分極方向は、図7の工程iの矢印Pに示すようにセラミックス板61の板面方向に施されている。 【0035】脚A61aの表面、裏面に形成された電極62a、63aを帰還電極とし、側面電極68a1、68a2に同位相の発振波形を入力する自励発振回路を形成する。ここで分極方向は板面方向に施されているため、脚の両側面の収縮が逆になるので、第一の実施の形態の場合と同様にVAのような形態で振動する。脚B61bについては脚Aと同様の構造で発振回路を形成し、脚Aと同位相の発振波形を入力すると、脚Bは脚Aに対して対称軸5に対して対称方向に分極が施されているため、VBの様な形態で振動し、かつ脚Aの振動VAに対して対称軸5に関して対称に振動する。 【0036】脚Cの枠脚61c1の表面、裏面にそれぞれ形成された電極62c1、63c1を帰還電極とし、側面電極68c11、68c12に同位相の発振波形を入力する発振回路を形成する。ここで分極方向は板面方向に施されているため、脚の両側面の収縮が逆になるので、第一の実施の形態の場合と同様のたわみ413のような弓型の形態で振動する。枠脚61c2については枠脚61c1と同様の構造で発振回路を形成し、枠脚61c1と同位相の発振波形を入力すると、枠脚61c2は枠脚61c1に対して対称軸5に対して対称方向に分極が施されているため、たわみ423の様な弓型の形態で振動し、かつ枠脚61c1のたわみ413に対して対称軸5に関して対称に振動する。 【0037】本実施の形態の製造方法を図7を用いて工程順に説明する。まず工程aに示すように、圧電セラミックスを、ラップ、平面研削等の方法で所望の厚みに加工し圧電セラミックス板61を形成する。(もし素材厚さの精度が十分高ければ更なる加工は不要である。)外形についてはこの後の工程で使用する固定ジグ65にセットできる形状に形成する。 【0038】次に、工程bに示すように圧電セラミックス板61の両面全面に電極膜62、63を形成する。本実施の形態においては電極膜を圧電セラミックス板61の両面全面に形成したが、第一の実施の形態の場合と同様、スクリーン印刷、スパッタリング等の方法で形状精度を要求される部分について、予め所望の形状、寸法に近い形で所望の寸法より大きめに電極パターン形成を行う方法を採っても良い。 【0039】次に、工程cに示すように圧電セラミックス板61を固定ジグ65に、接着剤64を介して接合する。接着剤64の材質については任意に選択して良いが、加工時の仮固定が目的であり、後工程において接着剤を剥離することなどから、接着及び剥離が容易に行えるものを選定する。固定ジグ65には、外側面に基準面を設けるか、あるいは位置決めピンを用いるなどしてレーザー加工機の加工台15との位置決めの基準を設ける。固定ジグ65は本例では枠状であり、脆弱な圧電セラミックス板61を補強し保護する役割も果たしている。 【0040】次に圧電セラミックス板61をレーザー加工機の加工台上にセットする。このとき固定ジグ65の位置決め基準部を用いるので加工中に固定ジグ65ごと圧電セラミックス61を一時的に取り外したり、表裏反転して再びセットしても取り付け位置は再現性は十分に高い。そして工程dに示すように圧電セラミックス板61の上面に形成されたレーザーを用いて電極膜62を加工することにより電極62a、62b、62c1、62c2を形成する。さらに、工程eに示すように圧電セラミックス板61の下面に形成されたレーザーを用いて電極膜63を加工することにより電極63a、63b、63c1、63c2を形成する。下面の電極を形成する場合は固定ジグを反転して加工を行う方法が容易であるが、下面側にもレーザーを設けておき、2台のレーザー加工機にて工程dと工程eを同時にあるいは順次に、素材の反転なしに行う方法を採っても良い。この場合、後工程の工程gにおいてセンサ振動体の輪郭加工の際に上面と下面から同時に加工を行うことができ、加工時間を短縮できる効果がある。 【0041】次に工程fに示すように電極保護膜66、67を形成する。電極保護膜は、後工程の工程jにおいて除去しやすいこと、あるいは後工程の工程hにおいて側面電極を形成する際にスパッタ、蒸着あるいはメッキ等に耐えうることなどを考慮して選定する。 【0042】次に工程gに示すように、レーザー加工によってセンサ振動体の輪郭形状を形成する。圧電セラミックス板61を、外枠D61d、脚A61a、枠脚61c1、枠脚61c2、脚B61b、外枠E61eのように切断する。圧電セラミックス板61を切断したことに伴って電極保護膜66、67についてもそれぞれ電極保護膜66a、66b、66c1、66c2、66d、66e、67a、67b、67c1、67c2、67d、67eのように分割される。 【0043】次に工程hに示すように、側面電極68a1、68a2、68b1、68b2、68c11、68c12、68c21、68c22、68d、68eを形成する。側面電極はスパッタ、蒸着、メッキ等の方法で形成する。さらに工程iにおいて、形成した側面電極を利用して板面方向の分極処理を行う。分極方向はセンサ振動体の機能に応じて決定すれば良く、本図の方向に限定されるものではない。板厚方向に分極を施す必要がある場合には工程bの平板状態であらかじめ分極しておくか、あるいはセンサ振動体の場所によって異なる向きの板厚方向の分極が求められる場合には、工程eで分割形成された表裏面の電極群を適宜用いるか、工程jにて電極保護膜を除去された後の表裏面の電極群を適宜用いて分極処理を行う。 【0044】次に工程jにおいて、電極保護膜を除去し、さらに固定ジグ65を取り外してセンサ振動体が完成する。センサ振動体と外枠は特性に影響の無い部分で連結子等で接続しておき、後工程の必要な時点で折り取ることによって容易に分離することができるようにしておく。固定ジグは反復して使用することができる。 【0045】本実施の形態においては素材である圧電セラミックス板を、加工機側の位置決め手段と係合する位置決め部を有する固定ジグに固定することで素材の加工位置を精度良く再現していたが、素材板の側面を高精度の平面にしておいたり、素材板に位置決め用の穴を設けるなど、素材に加工機側の位置決め手段と係合するように位置決め部を設ける方法をとっても良い。この場合、固定ジグを用いることなく位置の再現性を得ることができる。 【0046】以上本発明の2つの実施の形態について述べたが、本発明の製造方法はこれのみに止まらず、任意の形状のセンサ振動体の形成加工適用することができる。上記実施の形態と同程度あるいはより複雑な他の形状のセンサ振動体に関してはもちろんだが、例えば従来用いられたような円板や矩形板のような単純な形状のセンサ振動体においても、本発明の製造方法を適用すれば極めて正確な輪郭形状と電極パターンが得られ、量産されるセンサ振動体の特性を良好にしバラツキを小さくすることができるのは自明である。また圧電セラミックス以外の圧電材料への応用も容易にできる可能性も高い。 【0047】 【発明の効果】本発明においてはセンサ振動体の輪郭をレーザーを用いて加工したので、輪郭形状が単純であっても複雑であっても極めて高い形状精度が得られ、しかも歩留り良く、比較的短時間、低コストで製造できる圧電型運動センサ振動体の製造法を提供することができた。なお素材板を固定したまま、あるいはジグに固着したまま加工することにより一層その効果を発揮することができる。 【0048】また、素材表面にあらかじめ電極膜を形成しておき、所望の電極パターンをセンサ振動体の輪郭加工と共にレーザー加工によって形成することにより、高い輪郭形状精度に加えて高い電極位置精度を持ち、センサ振動体としての機械的および電気的特性の再現性が良くかつ安定した圧電型運動センサ振動体を低コストで容易に製造できる効果が得られた。 【0049】また、更に素材における電極膜およびセンサ振動体の輪郭加工の工程中に側面電極を形成する工程を付加することにより、輪郭形状精度も電極形状精度も優れると共に電極配置の自由度や分極方向の自由度が高く、優秀な特性を備え得る圧電型運動センサ振動体を低コストで容易に製造できる効果が得られた。
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| 【出願人】 |
【識別番号】500020287 【氏名又は名称】マイクロストーン株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年1月12日(2000.1.12) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2001−194158(P2001−194158A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月19日(2001.7.19) |
| 【出願番号】 |
特願2000−37218(P2000−37218) |
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