| 【発明の名称】 |
角速度検出装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】明石 照久
【氏名】大津 満雄
【氏名】角田 莞爾
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| 【要約】 |
【課題】メカニカルカップリングを無くしながら、加振振動方向の共振周波数とコリオリの力が発生する方向の共振周波数とを一致させ、角速度に対する感度が最大となる形状の振動梁を用いた高感度の角速度検出装置を提供する。
【解決手段】互いに逆方向に分極処理された第一のタンタル酸リチウム圧電体2と第二のタンタル酸リチウム圧電体3とを積層させて直方体のバイモルフ構造の振動梁1とし、振動梁1を両持ち支持した構造の角速度検出装置において、振動梁1の厚さtの値が幅Wの値より大きい形状であり、幅Wと厚さtとの形状比W/tが0.864以上0.957以下の形状の振動梁1とする。 振動梁1をレーザトリミングによって周波数調整し、メカニカルカップリングを発生させることなく、加振振動方向の共振周波数とコリオリの力が発生する方向の共振周波数とを一致させ、角速度に対する感度が最大となる振動梁1に加工できる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 両持ち支持振動梁により角速度に応じたコリオリの力を検出する角速度検出装置において、前記振動梁が、厚み方向に分極された第一のタンタル酸リチウム圧電体と、前記第一の圧電体の分極方向とは逆方向に分極された第二のタンタル酸リチウム圧電体とを積層した直方体状バイモルフ構造の振動梁であり、前記振動梁の厚さtが、当該振動梁の幅Wよりも大きいことを特徴とする角速度検出装置。 【請求項2】 両持ち支持振動梁により角速度に応じたコリオリの力を検出する角速度検出装置において、前記振動梁が、厚み方向に分極された第一のタンタル酸リチウム圧電体と、前記第一の圧電体の分極方向とは逆方向に分極された第二のタンタル酸リチウム圧電体とを積層した直方体状バイモルフ構造の振動梁であり、前記振動梁の厚さtが、当該振動梁の幅Wよりも大きく、前記幅Wと前記厚さtとの形状比W/tが、0.864以上0.957以下であることを特徴とする角速度検出装置。 【請求項3】 互いの長手方向が直交するように配置された少なくとも2つの両持ち支持振動梁により角速度に応じたコリオリの力を検出する角速度検出装置と、前記角速度検出装置の出力に基づき手振れを補正する防振手段とを備えたカメラにおいて、前記角速度検出装置が、請求項1または請求項2に記載の角速度検出装置であることを特徴とするカメラ。 【請求項4】 互いの長手方向が直交するように配置された少なくとも2つの両持ち支持振動梁により角速度に応じたコリオリの力を検出する角速度検出装置と、前記角速度検出装置の出力に基づき車両の進行方向を検出する手段とを備えたカーナビゲーションシステムにおいて、前記角速度検出装置が、請求項1または請求項2に記載の角速度検出装置であることを特徴とするカーナビゲーションシステム。 【請求項5】 互いの長手方向が直交するように配置された少なくとも2つの両持ち支持振動梁により角速度に応じたコリオリの力を検出する角速度検出装置と、前記角速度検出装置の出力に基づき車両の姿勢を制御する手段とを備えた自動車において、前記角速度検出装置が、請求項1または請求項2に記載の角速度検出装置であることを特徴とする自動車。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、角速度検出装置およびその応用機器に係り、特に、振動体を振動させ角速度に応じたコリオリの力を検出する振動式の角速度検出装置およびそれを応用した手振れ防止機能付きカメラ,カーナビゲーションシステム,自動車に関する。 【0002】 【従来の技術】従来の角速度検出装置は、例えば、特開平7-332988号公報に開示されている。また、このような振動梁の共振周波数を調整する際に有利な構造の角速度検出センサは、特開平10-19578号公報に示されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上記特開平7-332988号公報には、角速度に対する感度が最大となる振動梁の形状が具体的に記載されていない。一方、特開平10-19578号公報に示されているように、一般的に、(特開平7-332988号公報の振動梁を含む)ある素子において、角速度に対する感度が最大となるためには、その素子の加振振動方向の共振周波数とコリオリの力が発生する方向の共振周波数とを一致させることが必要である。 【0004】上記特開平7-332988号公報に示された振動梁において、各方向の共振周波数を一致させるには、各方向における断面二次モーメントを一致させればよい。しかし、断面二次モーメントを一致させるために、振動梁の幅と厚さとを一致させると、メカニカルカップリングと呼ばれる現象が発生し、振動梁を加振方向に振動させているにもかかわらず、コリオリの力が発生する方向にも振動してしまう。したがって、従来技術においては、加振方向にのみ振動させることはできない。 【0005】振動梁に用いる圧電材料としては、ジルコン酸チタン酸鉛PZTなどの粉末焼結体すなわちセラミックスと、水晶やタンタル酸リチウムLTなどの単結晶とがある。このうち、タンタル酸リチウムは、PZTと比べて、高感度ではあるが、メカニカルカップリングの影響が顕著であり、従来は、振動梁への利用が困難とされていた。 【0006】本発明の目的は、メカニカルカップリングを無くしながら、加振振動方向の共振周波数とコリオリの力が発生する方向の共振周波数とを一致させ、角速度に対する感度が最大となる形状の振動梁を用いた角速度検出装置を提供することである。 【0007】本発明の他の目的は、前記角速度検出装置を応用したカメラ,カーナビゲーションシステム,自動車を提供することである。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するために、両持ち支持振動梁により角速度に応じたコリオリの力を検出する角速度検出装置において、前記振動梁が、厚み方向に分極された第一のタンタル酸リチウム圧電体と、第一の圧電体の分極方向とは逆方向に分極された第二のタンタル酸リチウム圧電体とを積層した直方体状バイモルフ構造の振動梁であり、振動梁の厚さtが、当該振動梁の幅Wよりも大きい角速度検出装置を提案する。 【0009】本発明は、また、上記目的を達成するために、両持ち支持振動梁により角速度に応じたコリオリの力を検出する角速度検出装置において、前記振動梁が、厚み方向に分極された第一のタンタル酸リチウム圧電体と、第一の圧電体の分極方向とは逆方向に分極された第二のタンタル酸リチウム圧電体とを積層した直方体状バイモルフ構造の振動梁であり、振動梁の厚さtが、当該振動梁の幅Wよりも大きく、幅Wと厚さtとの形状比W/tが、0.864以上0.957以下である角速度検出装置を提案する。 【0010】本発明は、上記他の目的を達成するために、互いの長手方向が直交するように配置された少なくとも2つの両持ち支持振動梁により角速度に応じたコリオリの力を検出する角速度検出装置と、角速度検出装置の出力に基づき手振れを補正する防振手段とを備えたカメラにおいて、上記角速度検出装置のいずれかを採用したカメラを提案する。 【0011】本発明は、また、上記他の目的を達成するために、互いの長手方向が直交するように配置された少なくとも2つの両持ち支持振動梁により角速度に応じたコリオリの力を検出する角速度検出装置と、角速度検出装置の出力に基づき車両の進行方向を検出する手段とを備えたカーナビゲーションシステムにおいて、上記角速度検出装置のいずれかを採用したカーナビゲーションシステムを提案する。 【0012】本発明は、さらに、上記他の目的を達成するために、互いの長手方向が直交するように配置された少なくとも2つの両持ち支持振動梁により角速度に応じたコリオリの力を検出する角速度検出装置と、角速度検出装置の出力に基づき車両の姿勢を制御する手段とを備えた自動車において、上記角速度検出装置のいずれかを採用した自動車を提案する。 【0013】 【発明の実施の形態】次に、図1〜図15を参照して、本発明による角速度検出装置とその応用機器の実施形態を説明する。 【0014】 【実施形態1】図1は、本発明による角速度検出装置の実施形態1における素子部を分解して示す図である。ただし、パッケージ部やカバーを省略してあり、増幅回路などの回路部分も図示していない。 【0015】Z軸は、加振方向であり、Y軸は、検出方向すなわちコリオリの力の発生方向であり、X軸の回りには、角速度ωが加わるとする。 【0016】この素子部は、大きく分けて、角速度を検出するためにZ軸方向に振動する振動梁1と、第一のサスペンション9と、第二のサスペンション16と、絶縁物でできた固定台15とに分けられる。これらを組み立てると、角速度検出装置の素子部が完成する。 【0017】振動梁1の第一の圧電基板2の主面は、4箇所の接続アーム12により、第一のサスペンション9に固定され、第一のサスペンション9の外枠11は、接着剤により、固定台15に固着される。振動梁1の第二の圧電基板3の主面は、4箇所の接続アーム17により、第二のサスペンション16に固定される。第二のサスペンション16の外枠18は、4箇所の接続アーム17により、固定台15に固着される。 【0018】第一の圧電基板2の主面と4箇所の接続アーム12とは、両持ち梁がZ軸方向に一次の屈曲共振振動をする際の節(ノード)の部分で接続される。同様に、第二の圧電基板3の主面と4箇所の接続アーム17とは、両持ち支持した振動梁1がZ軸方向に一次の屈曲共振振動をする際の節の部分で接続される。振動梁1は、第一のサスペンション9と第二のサスペンション16とにより、挟むように支持されている。 【0019】第一のサスペンション9と第二のサスペンション16とは、同一構造なので、第一のサスペンション9を例として、サスペンションの構造を説明する。第一のサスペンション9は、外枠11と2つの内枠10とからなり、外枠11と内枠10とは、接続部14により接続される。それぞれの内枠10には、接続アーム12が2つ形成されており、第一のサスペンション9には、合計4つの接続アーム12が形成されている。これらの接続アーム12によって、振動梁1を4箇所で支持する。 【0020】それぞれの内枠10には、接続アーム12の間にコの字形に曲がった屈曲ばね13が形成されている。このため、振動梁1がY軸方向に屈曲振動した場合、第一のサスペンション9によってその振動が阻害されることはなく、振動梁1は、Y軸方向に振動自在な状態で第一のサスペンション9に支持されている。また、接続部14や内枠10の幅に対してそれらの厚みが薄いので、第一のサスペンション9は、Z軸方向に振動自在な状態で振動梁1を支持できる。このような形状の第一のサスペンション9を用いれば、振動梁1がZ軸方向に常に一次の屈曲共振振動をしている状態で、X軸周りに角速度ωが加わったとき、振動に同期して振動梁1のY軸方向に発生するコリオリの力を拘束することはない。 【0021】図2は、振動梁1の表面側と裏面側とを斜めから見た図である。振動梁1は、第一の圧電基板2と、第二の圧電基板3と、中間層4とからなり、第一の圧電基板2と第二の圧電基板3とは、中間層4を介して、互いに接合されている。さらに、第一の圧電基板2および第二の圧電基板3の主面および副面には、金属薄膜が予め形成されている。そのうち、第一の圧電基板2の主面でのみ、分割パターン5が薄膜電極を2分割しており、第一の薄膜電極6と第二の薄膜電極7とが形成されている。第二の圧電基板3の主面には、全面に第三の薄膜電極8が形成されている。 【0022】これら薄膜電極は、導電性を持てばよく、Au/Cr薄膜,Au/Ti薄膜,Pt/Ti薄膜,Au/Pt/Ti薄膜,Ni/Ti薄膜などを使用する。Au薄膜,Pt薄膜,Ni薄膜の下層に、Cr薄膜やTi薄膜を形成するのは、下地の第一の圧電基板2および第二の圧電基板3とAu薄膜,Pt薄膜,Ni薄膜との密着性を高めるためである。中間層4は、例えば、エポキシ系の接着剤層やSn−Pbのハンダ層でもよい。さらに、ここで用いる第一の圧電基板2と第二の圧電基板3とは、130deg 回転Yカットの単結晶のタンタル酸リチウム圧電基板であり、互いに逆向きに厚み方向の分極処理がなされている。ここでは、振動梁1の幅をWと表記し、厚みをtと表記する。 【0023】図3は、振動梁1をZ軸方向に振動させる原理を説明する図である。第一の圧電基板2と第二の圧電基板3とは、矢印で示す通り、分極方向が厚み方向に沿って逆向きとなっている。このような関係になるように、第一の圧電基板1と第二の圧電基板3とが、中間層4を介して接合されている。 【0024】第二の圧電基板3の主面に形成した第三の薄膜電極8(図2参照)と第一の薄膜電極6および第二の薄膜電極7とに、交流電圧19を印加する。この電圧の印加により、第一の圧電基板2は、X軸方向に矢印のように伸び、第二の圧電基板3は、X軸方向に矢印のように縮む。印加電圧の極性が反転すれば、第一の圧電基板2は、X軸方向に縮み、第二の圧電基板3は、X軸方向に伸びる。一連の動作が、印加電圧の周波数に対応して繰り返される。この動作の結果、両持ち支持のバイモルフ構造である振動梁1は、Z軸方向にある速度Vで屈曲振動する。 【0025】この交流電圧19の周波数が、振動梁1をZ軸方向に一次の屈曲共振振動させる共振周波数となれば、Z軸方向の速度Vは、最大値を示すと同時に、振動梁1の長手方向中央部(一次共振振動の腹となる部分)における変位は、最大変位を示すことになる。このとき、X軸周りに角速度ωが加わると、Z軸方向の屈曲振動に同期して、振動梁1のY軸方向にコリオリの力Fcが発生する。このコリオリの力Fcが加わると、Z軸方向の屈曲振動は、Z軸に対してある角度を持った斜めの屈曲振動となる。 【0026】図4は、図3における振動梁1の長手方向中央部のA−A断面を示している。図4においては、分かりやすくするために、中間層4を各層ごとに分離して示してある。中間層4は、第一の圧電基板2の副面に全面に形成してある第四の薄膜電極20と、第二の圧電基板3の副面に全面に形成してある第五の薄膜電極21と、接着剤層22とからなる。 【0027】ここでは、振動梁1をZ軸方向の共振周波数で振動させているから、振動梁1のY軸方向の共振周波数が、Z軸方向の共振周波数と一致すれば、コリオリの力Fcが加わり、斜め屈曲振動になったときのY軸方向の変位は、最大となる。Y軸方向の変位が最大となれば、第一の圧電基板2に生じるY軸方向のひずみは、最大となる。例えば、Y軸の負方向に振動梁1が屈曲した場合、第一の薄膜電極6と第四の薄膜電極20とにより挟まれる第一の圧電基板2の部分は、最大の伸びすなわち最大の引っ張り応力を示し、第二の薄膜電極7と第四の薄膜電極20とにより挟まれる第一の圧電基板2の部分は、最大の縮みすなわち最大の圧縮応力を示す。 【0028】この伸び縮みによって、第一の薄膜電極6に電位Vが生じ、第二の薄膜電極7に電位−Vが生じる。このようにして、第一の薄膜電極6と第二の薄膜電極7とに絶対値が最大を示す電位Vが、発生するので、振動梁1は、最大感度を得ることになる。結局、加振方向であるZ軸方向の共振周波数とその方向と直交し検出方向であるY軸方向の共振周波数とを一致させると、振動梁1における検出感度を最大にできる。 【0029】バイモルフ構造で両持ち支持振動梁1のZ軸方向およびY軸方向の共振周波数は、次式f={α2/(2πl2)}・{√(EI/DA)} で表されることが知られている。ただし、fは各方向の共振周波数、Iは振動梁1の断面二次モーメント、Eは振動梁1のヤング率、Dは振動梁1の密度、Aは振動梁1の断面積、αは共振モードによる定数(一次振動モード:4.73)である。 【0030】この式からも明らかなように、Z軸方向の共振周波数とY軸方向の共振周波数とを一致させるには、Z軸周りにおける振動梁1の断面二次モーメントとY軸周りにおける振動梁1の断面二次モーメントとを一致させればよい。すなわち、幅Wと厚さtとの値を一致させればよいことになる。 【0031】しかし、この幅Wと厚さtとを限りなく近づけて、各方向の共振周波数を限りなく近づけると、振動軌跡23を描くようにZ軸方向に振動させているにもかかわらず、加振方向の振動が、検出方向であるY軸方向に漏れて、連成振動であるメカニカルカップリングによる漏れ振動が誘発される。このメカニカルカップリングにより、振動梁1は、斜め振動の振動軌跡24を描いてしまう。その影響を受けて、角速度によるコリオリの力を正確に検出できない。 【0032】ここでは、メカニカルカップリングを表す量として、カップリング率という値を導入する。このカップリング率は、振動梁1をZ軸方向に加振させている際の(Y軸方向の振幅/Z軸方向の振幅)で表す。 【0033】図5は、このカップリング率を測定するための実験装置の一例を示している。Z軸方向とY軸方向とにおける振動梁1の振動振幅を測定するために、2チャンネルのレーザドップラ振動計を用いる。すなわち、Z軸方向の振動振幅を測定するために、レーザが出力されるチャンネル1のレンズ28およびチャンネル1のレーザドップラ振動計27を用いて、Y軸方向の振動振幅を測定するために、レーザが出力されるチャンネル2のレンズ29およびチャンネル2のレーザドップラ振動計26を用いる。それらのレーザドップラ振動計27,26から、振動梁1の振動状態に対応した出力信号が、FFTアナライザ25に入力される。FFTアナライザ25は、それらの信号を解析する。振動梁1を備えた素子32は、防振台30上のホルダ31に載せて測定される。 【0034】以上のような実験装置によれば、カップリング率を測定できる。図5の実験装置を用いて、このメカニカルカップリングの影響を取り除くために、振動梁1の幅Wとカップリング率との関係を調べた。 【0035】図6は、振動梁1の厚さtを1.014mmにしたときの振動梁1の幅Wとカップリング率との関係を示している。振動梁1の幅Wを0.970mm以下とすれば、カップリング率が6%以下となり、Z軸方向の振動軌跡23のような振動軌跡を得ることが分かった。 【0036】図7は、振動梁1の幅Wと共振周波数差との関係を示すグラフである。振動梁1の幅Wを0.970mmとしたとき、共振周波数差は、約1400Hzとなった。図7に示した結果から、素子の幅Wが小さくなれば、共振周波数差が大きくなることが分かる。先に述べたように、Z軸方向の共振周波数とY軸方向の共振周波数とを一致させれば、その振動梁1における検出感度を最大にできる。このため、YAGレーザを用いて振動梁1をトリミングし、周波数を調整した。 【0037】図8は、振動梁1と第二のサスペンションの接続アーム17とを示している。図8のように、第二の圧電基板3の第三の薄膜電極8が形成された主面に、レーザトリミング溝33を形成する。レーザトリミング溝33は、トリミング前のカップリング率を変化させないように、第二の圧電基板3の幅方向に平行に形成される。レーザトリミング溝33は、図8のように、複数形成してもよく、レーザトリミング溝33の深さや幅は、周波数の調整量に応じて変更できる。 【0038】図9は、カップリング率6%の振動梁1をレーザトリミングして周波数調整した結果を示している。横軸は、レーザトリミングによる体積除去率であり、縦軸は、共振周波数差である。図9に示すように、体積除去率を増していけば、各方向の共振周波数を一致させることができる。各方向の共振周波数が一致した状態でも、そのときのカップリング率は、レーザトリミング前のカップリング率とほとんど変わらなかった。 【0039】また、このような周波数調整は、5000Hz程度ならば、容易に達成でき、生産効率においても、問題は無かった。周波数差が5000Hzのときの振動梁1の幅Wは、0.876mmであり、カップリング率は、6%以下である。 【0040】以上のように、周波数調整いわゆる合わせ込みの容易さと生産効率とを考慮すると、振動梁1の幅Wと厚さtとの形状比W/tの下限が決まり、必要な共振周波数差を配慮すると、形状比W/tの上限が決まる。 【0041】結局は、形状比W/tが、0.864以上0.957以下であれば、メカニカルカップリングが発生せずに、振動梁1は、加振振動方向に振動できる。また、レーザトリミングによって周波数を調整すると、加振振動方向の共振周波数とコリオリの力が発生する方向の共振周波数とを容易に一致させて、角速度に対する感度が最大の振動梁1を得ることができる。 【0042】図10は、本発明による角速度検出装置の角速度検出系統の構成を示す図である。振動梁1をZ軸方向に共振周波数で振動させる交流電圧を第一の薄膜電極6および第二の薄膜電極7と第三の薄膜電極8との間に印加する発振回路34を設け、第一の薄膜電極6と第二の薄膜電極7との電位差を差動増幅する差動増幅回路35を設ける。さらに、コリオリの力に比例した電位差を取り出すために、同期検波回路36,直流増幅回路37などを設ける。角速度検出装置が作動状態にある間は、発振回路34により第一の薄膜電極6および第二の薄膜電極7と第三の薄膜電極8との間に交流電圧が印加されるため、振動梁1がZ軸方向に振動する。ただし、この交流電圧の周波数は、振動梁1がZ軸方向に共振する周波数とする。このときの振動速度をVとし、振動梁の質量をmとする。 【0043】この状態において、角速度検出装置がX軸を軸中心として角速度ωで回転すると、角速度に応じたコリオリの力Fc(=2mVω)がY軸方向に発生する。このコリオリの力Fcは、Y軸方向に加わり、振動梁1をY軸方向にたわませる。 【0044】図10に示すY軸負方向にコリオリの力Fcが加わった場合、第一の薄膜電極6に生じる電位を+Vとし、第二の薄膜電極7に生じる電位を−Vとする。これらの第一の薄膜電極6および第二の薄膜電極7に生じる電位には、コリオリの力Fcに伴う信号に加えて振動梁1の振動に起因する信号が合成された形で検出される。コリオリの力Fcによる信号は、第一の薄膜電極6と第二の薄膜電極7とで符号が異なるため、差動増幅回路35にこれらの値を入力し、両者の差をとれば、振動梁1の振動に起因する信号が相殺され、コリオリの力Fcによる信号のみを読み取りできる。振動梁1を共振周波数でZ軸方向に振動させている発振回路34の周波数を基準として、差動増幅回路35を経て得られた電圧信号を同期検波回路36によって検波する。さらに、直流増幅回路37によって増幅し、コリオリの力Fcによるたわみに基づく電圧値を角速度ωに比例した電圧値として取り出す。 【0045】以上のような方法を用いて、角速度を検出する。ただし、図10の回路の構成は、一つの実施形態であり、図1,図2に示した本発明による角速度検出装置の振動梁1を用いてあれば、本発明は回路構成には限定されない。 【0046】図11は、図1に示した角速度検出装置の振動梁1と第一のサスペンション9と固定台15と第二のサスペンション16とを組み立てた状態を示す図である。これらを組み立てた状態で、第一の薄膜電極6および第二の薄膜電極7と第一のサスペンション9とが、導通し、第三の薄膜電極8と第二のサスペンション16(図2および図1参照)とが、導通している。そこで、破線B−Bで示す第一のサスペンション9の一部をYAGレーザを用いて切断し、第一の薄膜電極6と第二の薄膜電極7とを電気的に分離する。第一の薄膜電極6と導通した接続線a,第二の薄膜電極7と導通した接続線b,第三の薄膜電極8と導通した接続線cなどにより、外部の発振回路34および差動増幅回路35に接続すると、振動梁1を実際に動作させることが可能となる。 【0047】 【実施形態2】図12は、本発明による角速度検出装置を互いの長手方向が直交するように2個配置しているビデオカメラの一部分をカットした状態で示す図である。実施形態2のビデオカメラは、大きく分類して、ビデオテープ装着部111と、カメラ部114と、音声入力部116と、ファインダ部112とからなる。カメラ部114は、レンズ部113と角速度検出センサ搭載基板115とを含んでいる。 【0048】図13は、図12のレンズ部113および角速度検出センサ搭載基板115を示している。角速度検出装置搭載基板115上には、水平方向手振れ検出用の角速度検出装置121と、垂直方向手振れ検出用の角速度検出装置122とが実装されている。ここでは、詳細な構造を図示しないが、搭載基板115は、例えばねじ止めにより、レンズ部113に固定され、一体となっている。そのため、レンズ部113が水平方向および/または垂直方向に動いたときに、角速度検出装置搭載基板115も同時に動くので、各方向の角速度を角速度検出装置121,122により検出できる。 【0049】図14は、角速度検出装置搭載基板115を背面側から見た図である。角速度検出装置121,122は、レンズ外径位置131のレンズ光軸132にできるだけ近い位置に、しかも、互いの長手方向すなわちX軸が直交するように配置される。ただし、角速度検出装置121と角速度検出装置122とは、双方ともに振動式角速度検出装置であるから、共振周波数が相互作用を及ぼさないように、500Hz程度ずらしてある。 【0050】なお、実施形態2は、ビデオカメラへの応用を説明したが、ビデオカメラのみならず、スチルカメラやムービーカメラにも適用でき、さらに、双眼鏡,望遠鏡の手振れ防止手段としても、役に立つ。 【0051】また、ここでは、互いの長手方向が直交するように配置された2個の角速度検出装置を用いていたが、X軸,Y軸,Z軸方向に沿って、3個配置してもよい。この場合は、手振れを3次元的に検出し、手振れをより厳密に防止できる。 【0052】 【実施形態3】図15は、本発明による角速度検出装置を互いの長手方向が直交するように少なくとも2個配置したカーナビゲーションシステムを実装している乗用車を示す図である。乗用車145には、エンジン141と、カーナビゲーションシステムデータ処理部144と、角速度検出装置146と、GPS衛星からの信号を受信するGPS衛星信号受信アンテナ143と、データの処理結果を表示するカーナビゲーション情報表示部142とが搭載されている。乗用車145に装備してある処理部144では、アンテナ143からのデータ,エンジン141からのデータ,本発明による角速度検出装置146からのデータ,車輪147からのデータが処理される。 【0053】カーナビゲーションシステムは、GPS衛星からの位置信号に基づき、乗用車145の位置を割り出し、目的地まで誘導するシステムである。しかし、GPS衛星からの信号は、数m〜数十mの誤差があるために、都市部の入り組んだ道路や路地では、システムが現在の位置を誤認識する場合がある。 【0054】その誤差を補正するために、実施形態3のデータ処理部144は、互いの長手方向が直交するように配置された少なくとも2つの角速度検出装置146からのデータを用いる。例えば、乗用車145が乗用車の回転方向148を感知したときに、データ処理部144は、角速度検出装置146からのデータと車輪147からのデータとに基づき、乗用車145の移動データを処理する。この後には、GPS衛星からの位置情報により、細かな車体の挙動を求め、情報表示部142に補正した位置を表示する。 【0055】 【実施形態4】実施形態3の角速度検出装置146からのデータは、自動車の姿勢を制御するためのデータとしても活用できる。この場合は、互いの長手方向が直交するように配置された少なくとも2つ角速度検出装置と、角速度検出装置の出力に基づき車両の姿勢を制御する手段としてのデータ処理部144を備える。 【0056】姿勢制御の対象には、X軸を車両進行方向とすると、車両のZ軸に沿った上下動(バウンス),Y軸周りのピッチング,X軸周りのローリング,Z軸周りのヨーイングなどが含まれる。 【0057】実施形態4は、例えばX軸,Y軸,Z軸方向に沿って互いの長手方向が直交するように配置された3個の角速度検出装置146を備える。データ処理部144は、3個の角速度検出装置146からの出力に基づき、車両のバウンス,ピッチング,ローリング,ヨーイングを検出すると、サスペンションやショックアブソーバなどに信号を送り、車両の姿勢や乗り心地を制御する。 【0058】 【発明の効果】本発明によれば、角速度検出装置に適用する振動梁の振動梁の厚さtを振動梁の幅Wよりも大きくしたので、メカニカルカップリングが発生することなく、振動梁を加振振動方向に振動させることができる。また、この振動梁をレーザトリミングによって周波数調整すると、メカニカルカップリングを発生させることなく、加振振動方向の共振周波数とコリオリの力が発生する方向の共振周波数とを一致させ、角速度に対する感度が最大となる振動梁に加工できる。結果として、高感度の角速度検出装置が得られる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005108 【氏名又は名称】株式会社日立製作所 【識別番号】000153535 【氏名又は名称】株式会社日立メディアエレクトロニクス
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| 【出願日】 |
平成12年1月7日(2000.1.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100066979 【弁理士】 【氏名又は名称】鵜沼 辰之
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| 【公開番号】 |
特開2001−194150(P2001−194150A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月19日(2001.7.19) |
| 【出願番号】 |
特願2000−1373(P2000−1373) |
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