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【発明の名称】 傾斜検出ユニット
【発明者】 【氏名】川本 宏

【要約】 【課題】スムースな姿勢制御などを行なうのに好適な傾斜検出ユニットを提供する。

【解決手段】第1のプリント基板10上に、この第1のプリント基板面に沿う方向の傾斜を検出する傾斜検出素子11を設ける。第2のプリント基板20上に、この第2のプリント基板面に交差する方向の角速度を検出する角速度検出素子21を設ける。傾斜検出素子11で検出される傾斜に応じた出力信号を生成する第1の信号処理回路部と、角速度検出素子で検出される角速度に応じた出力信号を生成する第2の信号処理回路部とを第3のプリント基板30上に設ける。第1のプリント基板面と第2のプリント基板面と第3のプリント基板面とが互いに直交する状態で、第1のプリント基板10と第2のプリント基板20と第3のプリント基板30とを、ユニット筐体40内に収納する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】第1のプリント基板と、前記第1のプリント基板上に設けられて、この第1のプリント基板面に沿う方向に変化する傾斜を検出する傾斜検出素子と、前記第1のプリント基板上に設けられ、前記傾斜検出素子で検出される傾斜に応じた出力信号を生成する第1の信号処理回路部と、第2のプリント基板と、前記第2のプリント基板上に設けられて、この第2のプリント基板面に交差する方向の角速度を検出する角速度検出素子と、前記第2のプリント基板上に設けられ、前記角速度検出素子で検出される角速度に応じた出力信号を生成する第2の信号処理回路部と、前記第1のプリント基板面と前記第2のプリント基板面とが互いに直交する状態で、前記第1のプリント基板と前記第2のプリント基板とを収納するユニット筐体と、からなる傾斜検出ユニット。
【請求項2】第1のプリント基板と、前記第1のプリント基板上に設けられて、この第1のプリント基板面に沿う方向に変化する傾斜を検出する傾斜検出素子と、第2のプリント基板と、前記第2のプリント基板上に設けられて、この第2のプリント基板面に交差する方向の角速度を検出する角速度検出素子と、第3のプリント基板と、前記第3のプリント基板上に設けられ、前記傾斜検出素子で検出される傾斜に応じた出力信号を生成する第1の信号処理回路部と、前記第3のプリント基板上に設けられ、前記角速度検出素子で検出される角速度に応じた出力信号を生成する第2の信号処理回路部と、前記第1のプリント基板面と前記第2のプリント基板面と前記第3のプリント基板面とが互いに直交する状態で、前記第1のプリント基板と前記第2のプリント基板と前記第3のプリント基板を収納するユニット筐体と、からなる傾斜検出ユニット。
【請求項3】請求項1または請求項2に記載の傾斜検出ユニットにおいて、前記傾斜検出素子は、前記第1のプリント基板上において、互いに電気的に独立に設けられる1対の差動電極と、前記1対の差動電極に対して所定の空隙を隔てて対向する共通電極板を備え、この共通電極板から導出される端子により、前記第1のプリント基板に取り付けられる共通電極と、前記1対の差動電極と前記共通電極板とを、前記第1のプリント基板との間で形成する密閉空間内に収納するようにするケース部材と、前記密閉空間内に、液面が前記基準面の傾斜に応じて変化するような状態で封入された誘電性液体と、を備え、前記共通電極と、前記1対の差動電極のそれぞれとで構成される2個のコンデンサの容量値の差分に応じたレベルの出力信号を傾斜検出出力として得るものであることを特徴とする傾斜検出ユニット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えばトラクタや田植え機等の農業機械や建設機械などに搭載して、これらの姿勢制御や転倒警報などの所定制御を行わせるために用いて好適な傾斜検出ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】トラクタや田植え機等の農業機械は、車体が傾斜しても常に水平あるいは一定の傾斜角度で作業を行なわせるようにする姿勢制御機能が設けられている。この姿勢制御のために、上述の農業機械には、傾斜センサが取り付けられている。そして、この傾斜センサの出力を用いた姿勢制御システムは、図9のブロック図に示すように構成されている。
【0003】すなわち、傾斜センサ1は、被制御物4に、検出したい方向の傾斜を検出できるように取り付けられて、その被制御物4の、水平位置を基準とした傾斜角に応じた傾斜検出出力信号を、コントローラ2に供給する。コントローラ2は、傾斜センサ1の出力信号から、被制御物4の検出対象の傾斜方向の傾斜角を検出し、被制御物4を水平に保つようにする制御信号を、被制御物4の傾斜を補正する制御機構3に供給する。これにより、被制御物4が前記検出対象の傾斜方向の傾斜が補正されて水平に保たれるように制御される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般に、傾斜センサでは、当該傾斜センサが取り付けられている被制御物の図10(A)に示すような急激な傾斜変化に対しては、作用、反作用の法則により、オーバーシュート、アンダーシュートが発生し、その傾斜検出出力信号は、図10(B)に示すような波形となる。
【0005】すなわち、図10(A),(B)に示したように、傾斜検出出力信号の波形は、被制御物の急激な傾斜変化の開始時点および終了時点に対して遅れを生じるため、スムースな制御ができないという問題があった。
【0006】そこで、傾斜センサに加えて角速度センサを用いることが考えられた。図11は、その場合の姿勢制御システムの構成例を示すブロック図である。すなわち、この図11の場合には、角速度センサが、傾斜センサで検出する傾斜方向の被制御物の角速度を検出するように、被制御物に取り付けられる。そして、コントローラ2には、傾斜センサからの傾斜検出出力信号だけでなく、角速度センサ5からの角速度検出出力信号も供給される。この角速度検出出力信号は、図12(C)に示すように、被制御物の前記検出対象の傾斜方向の傾斜変化に即応した信号である。
【0007】したがって、コントローラ2は、この角速度検出出力信号を用いて、姿勢制御の開始タイミングおよび終了タイミングを検知し、傾斜センサの傾斜検出出力信号に基づいた姿勢することができるようになり、スムースな姿勢制御を行なえるようになる。
【0008】この場合に、傾斜センサ1と、角速度センサ5とは、それぞれ単品の部品が用いられているが、被制御物に対して、これら傾斜センサ1と、角速度センサ5とを、適切な位置で、かつそれぞれについて適切な検出方向に取り付けなければならない。
【0009】しかし、被制御物への取り付け位置は、一般に限られた設置スペースであり、適切な位置かつ適切な検出方向を考慮しての取り付けが厄介であるとともに、2つのセンサは別部品であるため、それらの電気的接続も厄介であった。さらには、それぞれ単品の部品である傾斜センサ1と、角速度センサ5とを用いるため、コスト高となるとい欠点もあった。
【0010】この発明は、以上の問題点を解決した傾斜検出ユニットを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、請求項1の発明による傾斜検出ユニットは、第1のプリント基板と、前記第1のプリント基板上に設けられて、この第1のプリント基板面に沿う方向の傾斜を検出する傾斜検出素子と、前記第1のプリント基板上に設けられ、前記傾斜検出素子で検出される傾斜に応じた出力信号を生成する第1の信号処理回路部と、第2のプリント基板と、前記第2のプリント基板上に設けられて、この第2のプリント基板面に交差する方向の角速度を検出する角速度検出素子と、前記第2のプリント基板上に設けられ、前記角速度検出素子で検出される角速度に応じた出力信号を生成する第2の信号処理回路部と、前記第1のプリント基板面と前記第2のプリント基板面とが互いに直交する状態で、前記第1のプリント基板と前記第2のプリント基板とを収納するユニット筐体と、からなることを特徴とする。
【0012】また、請求項2の発明による傾斜検出ユニットは、第1のプリント基板と、前記第1のプリント基板上に設けられて、この第1のプリント基板面に沿う方向の傾斜を検出する傾斜検出素子と、第2のプリント基板と、前記第2のプリント基板上に設けられて、この第2のプリント基板面に交差する方向の角速度を検出する角速度検出素子と、第3のプリント基板と、前記第3のプリント基板上に設けられ、前記傾斜検出素子で検出される傾斜に応じた出力信号を生成する第1の信号処理回路部と、前記第3のプリント基板上に設けられ、前記角速度検出素子で検出される角速度に応じた出力信号を生成する第2の信号処理回路部と、前記第1のプリント基板面と前記第2のプリント基板面と前記第3のプリント基板面とが互いに直交する状態で、前記第1のプリント基板と前記第2のプリント基板と前記第3のプリント基板を収納するユニット筐体と、からなることを特徴とする。
【0013】また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の傾斜検出ユニットにおいて、前記傾斜検出素子は、前記第1のプリント基板上において、互いに電気的に独立に設けられる1対の差動電極と、前記1対の差動電極に対して所定の空隙を隔てて対向する共通電極板を備え、この共通電極板から導出される端子により、前記第1のプリント基板に取り付けられる共通電極と、前記1対の差動電極と前記共通電極板とを、前記第1のプリント基板との間で形成する密閉空間内に収納するようにするケース部材と、前記密閉空間内に、液面が前記基準面の傾斜に応じて変化するような状態で封入された誘電性液体と、を備え、前記共通電極と、前記1対の差動電極のそれぞれとで構成される2個のコンデンサの容量値の差分に応じたレベルの出力信号を傾斜検出出力として得るものであることを特徴とする。
【0014】
【作用】上記の構成の請求項1の発明による傾斜検出ユニットは、例えば被制御物などの傾斜検出対象物に対して、傾斜検出素子が設けられている第1のプリント基板の板面方向が、当該傾斜検出対称物について検出したい傾斜方向になるように取り付けられる。すると、傾斜検出素子は、傾斜検出対象物の前記検出対称傾斜方向の傾斜角に応じた傾斜検出出力信号を出力する。
【0015】また、角速度検出素子は、第1のプリント基板面に直交する面方向の第2のプリント基板に設けられているので、傾斜検出対象物が前記検出対称傾斜方向に傾斜変動をすると、その変動に即応した角速度検出出力信号を出力する。
【0016】すなわち、この発明による傾斜検出ユニットは、傾斜検出素子の傾斜検出方向を、傾斜検出対象物の前記検出対称傾斜方向に合わせて、傾斜検出対称物に取り付けるだけで、検出したい傾斜方向の傾斜角に対応した傾斜検出出力が得られるだけでなく、検出したい傾斜方向の急激な変化に即応した角速度検出出力を得ることができる。
【0017】したがって、この傾斜検出ユニットを、上述したような姿勢制御に使用すれば、スムースな姿勢制御が可能になると共に、被制御物に簡単に装着でき、また、それぞれ単品の傾斜センサおよび角速度センサを用いる場合に比べて、安価になるという効果がある。
【0018】また、請求項1の発明によれば、上述のような傾斜検出素子と、角速度検出素子とを用いることにより、第1のプリント基板と第2のプリント基板とを直交する状態で、ユニット筐体内に収納するようにするので、1枚の基板上に傾斜検出素子と、角速度検出素子と、それらの検出出力信号をそれぞれ生成する信号処理回路部とを構成する場合に比べて、長手方向の大きさをコンパクトにすることができる。
【0019】また、請求項2の発明によれば、第1および第2のプリント基板には、傾斜検出素子および角速度検出素子の検出出力信号をそれぞれ生成する信号処理回路部は設けられず、第3のプリント基板に集約して設けられる。そして、この第3のプリント基板は、第1のプリント基板と第2のプリント基板と直交する状態で設けられる。
【0020】したがって、この請求項2の発明の場合には、第1および第2のプリント基板は、信号処理回路部が設けられない分だけ小さくなると共に、第3のプリント基板は、第1のプリント基板と第2のプリント基板と直交する状態で設けられるので、これら第1〜第3のプリント基板は、スペースが有効に利用されて、ユニット筐体内に収納される。したがって、請求項2の発明の傾斜検出ユニットは、全体としてコンパクトになる。
【0021】また、請求項3の発明においては、傾斜検出素子は、平行電極板間に誘電性液体が封入されて構成された静電容量式のものであって、傾斜変化に対応したリニアな特性の傾斜検出出力信号を得ることができるものである。したがって、請求項3の発明によれば、上記のリニアな傾斜検出出力信号に加えて、角速度検出素子の角速度検出出力信号を出力するので、姿勢制御などの制御に非常に有効な傾斜検出ユニットを提供することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図を参照しながら、この発明による傾斜検出ユニットの実施の形態を説明する。
【0023】この実施の形態の傾斜検出ユニット全体の構成を説明する前に、この実施の形態で用いられる静電容量式の傾斜検出素子について、図3〜図6を参照して説明する。
【0024】図3は、この例の傾斜センサの傾斜検出素子の分解斜視図である。また、図4は、この傾斜検出素子を、その正面に垂直な面で切断した場合の断面図を示すものである。
【0025】これらの図において、101はプリント基板で、例えばガラス布基材エポキシ樹脂積層板等の耐熱性部材からなる。このプリント基板101は、傾斜センサが傾斜検出対象物に取り付けられる時に、傾斜測定の基準面に対して垂直に配置される。図3では、この基準面は、二点鎖線で示す仮想線L0を含む面として示した。この基準面が、被測定面となる。この場合、傾斜角が0度とは、基準面が重力方向に垂直な線を含む状態である。
【0026】このプリント基板101には、1対の差動電極102a,102bが、銅泊パターンによって、基準面およびプリント基板101面の両方に垂直な面と、プリント基板101との交差線(図3で二点鎖線で示す仮想線L1)により左右に分割される領域に、互いに電気的に独立に形成される。
【0027】プリント基板101の差動電極102a,102bが形成される面とは反対側の面には、後述する傾斜センサの信号処理回路部が、プリント配線パターンと必要な電子部品とによって構成されて設けられる。差動電極102a,102bのそれぞれは、図3の電極点102c,102dからスルーホールを介してプリント基板101の信号処理回路部が形成される面の銅泊パターンに接続されるようにされている。
【0028】そして、1対の差動電極102a,102bは、前記仮想線L1を対称軸として互いに線対称となる形状の電極パターンとして設けられる。また、この1対の差動電極102a,102bのそれぞれは、仮想線L1に垂直な仮想線L2を対称軸とした線対称な電極パターン形状ともされる。図3の例の場合には、差動電極102a,102bの形状は横向きの扇形に構成されている。
【0029】図3の例の場合、差動電極102aおよび102bの円弧状周縁は、仮想線L1と仮想線L2との交点を中心とした円の一部の円弧とされている。この例の場合、その円の直径は、30mmとされている。
【0030】103は共通電極板で、適当な剛性を持つ導電性部材で形成されている。この共通電極板103は、この板103と一体で、この板103から直角に曲げられた複数個の端子103a,103b,103c,103dが、プリント基板101に設けられている端子孔104a,104b,104c,104dに挿入され、プリント基板101の信号処理回路部が形成される面において半田付け固定されることにより、図4に示すように、差動電極102a,102bに対して一定の間隔を持って平行に保持される状態で、プリント基板101に取り付けられる。
【0031】105はオイルケースで、適当な柔軟性を有するプラスチックからなる。このケース105は、図4に示すように、断面がコ字状を有し、その端面がプリント基板101に、例えば両面テープ105Bなどの接着手段により接着されることにより、プリント基板101と共に密閉空間を形成する。
【0032】この場合、差動電極102a,102bの周端縁と、共通電極板103の周端縁と、ケース105の端面の内周縁は同心円状に形成され、また、差動電極102a,102bと共通電極板103とケース105の対向面はそれぞれ平行に形成されている。
【0033】ケース105とプリント基板101とで形成される密閉空間内には、プリント基板101に設けられた貫通孔106からシリコン・オイル等の誘電性液体107が、密閉空間内の有効容積のほぼ1/2のレベル、すなわち図3の仮想線L2のレベルまで充填される。
【0034】プリント基板101の貫通孔106は、誘電性液体107が封入された後、封止される。
【0035】なお、108および109は、外部の影響を遮断するための静電シールド板で、静電シールド板108は、ケース105およびその周辺を覆うようにプリント基板101に取り付けられ、静電シールド板109は、後述する信号処理回路部分を覆うようにプリント基板101に取り付けられる。
【0036】図5は、この例の傾斜センサの信号処理回路部分の構成を示すものである。
【0037】図5において、111は発振器であり、その発振信号の出力端子が、前述した図3および図4で説明した構成の傾斜検出素子100の共通電極板103に接続される。また、傾斜検出素子100の1対の差動電極102a,102bのそれぞれは、容量−電圧変換回路112a,112bの入力端子に接続される。
【0038】これら容量−電圧変換回路112aおよび112bの出力端子は、それぞれ差動増幅回路113の一方および他方の入力端子に接続される。この差動増幅回路113からは傾斜センサの出力端子114が導出される。なお、信号処理回路部には電源安定化回路115が含まれており、この電源安定化回路115を通じた安定化電圧が発振器111や差動増幅回路113に、その電源電圧として供給される。
【0039】信号処理回路部は、上述のように構成されているので、発振器111からの一定周波数の発振出力信号は、差動電極102aと共通電極板103とで構成される第1のコンデンサを通じて容量−電圧変換回路112aに供給されると共に、差動電極102bと共通電極板103とで構成される第2のコンデンサを通じて容量−電圧変換回路112bに供給される。このとき、容量−電圧変換回路112aおよび112bのそれぞれには、第1のコンデンサの容量値および第2のコンデンサの容量値のそれぞれに応じた波高値の信号が、それぞれ入力される。
【0040】容量−電圧変換回路112aおよび112bは、それぞれの入力信号を整流し、平滑した電圧を出力する。したがって、容量−電圧変換回路112aおよび112bの出力電圧は、それぞれの入力信号の波高値、すなわち、第1のコンデンサの容量値および第2のコンデンサの容量値のそれぞれに応じた大きさとなる。
【0041】したがって、差動増幅回路113からは、容量−電圧変換回路112aの出力電圧と、容量−電圧変換回路112bの出力電圧との差の電圧が得られ、それが傾斜センサの出力として、出力端子114に導出される。すなわち、差動増幅回路113からは、第1のコンデンサと第2のコンデンサの容量値の差に応じた出力電圧が得られる。
【0042】以上のような構成の傾斜検出素子100および信号処理回路部を備える傾斜センサを、前述したように被測定物の傾斜測定の基準面となる面(以下、この面を被測定面という)上に設置する。このとき、傾斜検出素子100のプリント基板101面が、被測定面の被測定傾斜方向を含む面となるように設置する。
【0043】なお、この明細書において、被測定面の被測定傾斜方向とは、測定しようとする傾斜の方向に被測定面が傾斜するときの被測定面の法線の移動方向であり、被測定面が測定しようとする傾斜の方向に順次傾斜するときに、各傾斜位置にある被測定面の法線の全てを含む面に沿う方向をいう。
【0044】被測定面が、前記被測定傾斜方向に傾斜していなければ(すなわち、重力方向に垂直な線を含む面となっているとき)、誘電性液体107は、差動電極102aと102bとのそれぞれほぼ半分を等しく浸漬する状態となる。したがって、差動電極102aと共通電極板103とで構成される第1のコンデンサの容量値と、差動電極102bと共通電極板103とで構成される第2のコンデンサの容量値とは等しくなり、容量−電圧変換回路112a,112bの出力電圧の差は零となる。このとき、差動増幅回路113の出力電圧は、それに応じた電圧Voとなる。
【0045】そして、被測定面が、前記被測定傾斜方向に傾斜したとき、誘電性液体107の液面位置は、差動電極102a,102bの一方は、その傾斜角だけ誘電性液体107内に余分に浸漬し、他方は、その傾斜角だけ電極が液面から露呈するようになる状態になり、その傾斜角に応じた容量差が第1のコンデンサと第2のコンデンサとの間に生じる。
【0046】このとき、図3において、傾斜角が0度の位置から被測定面が+θ方向(例えば反時計方向)に傾斜した場合には、第1のコンデンサの容量値が小さくなり、第2のコンデンサの容量値が大きくなるため、容量−電圧変換回路112aの出力電圧が、容量−電圧変換回路112bの出力電圧よりも大きくなる。したがって、差動増幅回路113の出力電圧は、電圧Voよりも+θ方向の傾斜角に応じた分だけ、大きくなるように変化する。
【0047】一方、図3において、傾斜角が0度の位置から被測定面が−θ方向(例えば時計方向)に傾斜した場合には、第2のコンデンサの容量値が小さくなり、第1のコンデンサの容量値が大きくなるため、容量−電圧変換回路112aの出力電圧が、容量−電圧変換回路112bの出力電圧よりも小さくなる。したがって、差動増幅回路113の出力電圧は、電圧Voよりも−θ方向の傾斜角に応じた分だけ、小さくなるように変化する。
【0048】したがって、差動増幅回路113からは、容量−電圧変換回路112a,112bの出力電圧の差分、つまり、2個のコンデンサの容量値の差分、に応じた電圧が出力電圧として得られる。この差動増幅回路113の出力電圧は、図6のように、傾斜角=0の面位置からの傾斜方向も含めて、傾斜角=0の面位置からの被測定面の傾斜角に比例して直線状に変化する直流電圧となる。
【0049】なお、この場合、差動電極102a,102b及び共通電極板103の前記扇形形状は、この差動増幅回路113の出力電圧の変化が、図6に示すように、傾斜角の変化にリニアに対応するように定めたものである。
【0050】次に、この実施の形態の傾斜検出ユニットの構成について説明する。図1は、実施の形態の傾斜検出ユニットの全体の構成を説明するための図であり、10は第1のプリント基板、20は第2のプリント基板、30は第3のプリント基板である。また、40は、これら第1、第2、第3のプリント基板10、20、30を収納するユニット筐体である。
【0051】図2(A)はユニット筐体40の側面図、また、図2(B)はユニット筐体40の上面図である。ユニット筐体40は、図1および図2に示すように、長手方向の中央部に第1、第2、第3のプリント基板10、20、30を収納する収納空間を形成する小部屋部41と、この筐体40の底面40a側において小部屋部41から長手方向に延長するように設けられるユニット取付用段部42a,42bとを備える。
【0052】小部屋部41の天井部側は開口とされており、第1、第2、第3のプリント基板10、20、30がこの天井部側の開口から小部屋部41内に収納される。第1、第2、第3のプリント基板10、20、30が小部屋部41に収納された後、この天井部側には、図示しない天板が取り付けられて、小部屋部41内への塵芥の侵入が防止される。
【0053】ユニット取付用段部42a,42bには、ユニット筐体40の底面40aに垂直方向のネジ孔43、43が設けられて、このネジ孔43、43を通じて取付ネジにより、傾斜検出ユニットが、傾斜を検出する対象物の傾斜測定の基準面となる面(以下、この面を被測定面という)上に取り付けられる。
【0054】第1のプリント基板10は、前述した傾斜検出素子100のプリント基板101のうちの、信号処理回路部を除いた部分に相当するもので、この第1のプリント基板10の面に沿う方向を被測定傾斜方向とするように、図3、図4に示した構成の傾斜検出素子11(傾斜検出素子100と同じ)が設けられている。
【0055】したがって、この例の場合には、第1のプリント基板10の面が、被測定面の被測定傾斜方向を含む面となるようにされるもので、第1のプリント基板10は、底面40aに垂直の状態で、ユニット筐体40の小部屋部41に、収納される。
【0056】第2のプリント基板20には、この第2のプリント基板20と交差する方向の運動変化を検出するように角速度検出素子21が設けられている。第2のプリント基板20は、角速度検出素子21が、第1のプリント基板10の傾斜検出素子11の被測定傾斜方向の角速度変化を検出するようにするため、図1に示すように、第1のプリント基板10に直交し、かつ、ユニット筐体40の底面40aに垂直になる状態で、ユニット筐体40の小部屋部41に、収納される。
【0057】第3のプリント基板30には、前述の図5に示した傾斜センサの信号処理回路部のうち、傾斜検出素子100を除く部分に等しい、傾斜検出素子11についての信号処理回路部が設けられると共に、角速度検出素子21についての同様の信号処理回路部が設けられる。
【0058】そして、第3のプリント基板30は、ユニット筐体40の底面40aと平行に、したがって、第1および第2のプリント基板10および20に直交する状態で組み合わされる。
【0059】この場合、第1のプリント基板10と第3のプリント基板30とは、プリント基板結合機能と信号ライン接続機能とを合わせ持つコネクタ部材12により互いに直交する状態で結合される。同様に、第2のプリント基板20と第3のプリント基板30とは、プリント基板結合機能と信号ライン接続機能とを合わせ持つコネクタ部材13により互いに直交する状態で結合される。
【0060】コネクタ部材12、13は、それぞれ、樹脂からなる保持部12a、13aにより比較的高硬度の複数本のL字型の接続ピン12p,13pを保持する構造であり、保持部12a,13aから一方側に伸びる複数本の接続ピン12p、13pの部分は、それぞれ第1のプリント基板10、第2のプリント基板20に半田付けされて固定される。また、保持部12a,13aから他方側にL字型に伸びる複数本の接続ピン12p,13pの先端部分は、第3のプリント基板30に対応して設けられている複数個のピン孔31および32に挿入され、半田付けされて固定される。
【0061】この場合、コネクタ部材12の複数本の接続ピン12pの一部および全部は、第1のプリント基板10と第3のプリント基板30との信号ラインを接続するための接続ピンの役割をする。同様に、コネクタ部材13の複数本の接続ピン13pの一部および全部は、第2のプリント基板20と第3のプリント基板30との信号ラインを接続するための接続ピンの役割をする。
【0062】以上のようにして、コネクタ部材12および13によって、第1および第3のプリント基板10および30間、第2および第3のプリント基板20および30間を接続することによって、これら3枚のプリント基板10、20、30が結合される。
【0063】そして、このように結合された3個のプリント基板が、上述したように、第1および第2のプリント基板10および20が、共に底面40aに垂直になり、第3のプリント基板30が小部屋部41の天井側となるような状態で、ユニット筐体40の小部屋部41内に収納される。
【0064】このとき、ユニット筐体40の小部屋部41内の側壁には、第1のプリント基板10の底面40aと垂直な一辺側が嵌合する嵌合溝44aと、第2のプリント基板20の底面40aと垂直な互いに対向する2辺側がそれぞれ嵌合する嵌合溝44b,44cが形成されている。これらの嵌合溝44a,44b,44cに、第1および第2のプリント基板10および20が嵌合することにより、結合された3枚のプリント基板10、20、30が、底面40aに平行な方向に、動かないようにされる。
【0065】また、小部屋部41の内部の第1および第2のプリント基板10および20が収納されるスペースを除く領域には、台状部45が形成される。そして、この台状部45上の小部屋部41のほぼ中央となる位置には、ネジ孔が穿かれている柱状突部46が設けられている。この柱状突部46は、収納された第3のプリント基板30に衝合するようにされていると共に、第3のプリント基板30の対応する位置には、透孔34が設けられている。そして、第3のプリント基板30が、透孔34を介して柱状突部46にネジ止めされることにより、小部屋部41内に、3枚のプリント基板10、20、30が固定される。
【0066】また、この実施の形態の場合、ユニット筐体40の台状部45の一部に底面側に貫通する孔47が設けられると共に、ユニット取付用段部42aの底面側に孔47と連結する凹溝48が設けられている。
【0067】そして、この傾斜検出ユニットの出力信号の複数本のリード線33は、図1に示すように、第3のプリント基板30から導出されるが、これらのリード線33は、図2にも示すように、台状部45の一部に設けられた孔47を通じ、また、ユニット取付用段部42aの凹溝48を通じて、ユニット筐体40から外部に導かれるようにされている。なお、複数本のリード線33は、被覆部材33aにより、一纏めにされて、ユニット筐体40外に導出される。
【0068】以上のようにして、第1、第2、第3のプリント基板10、20、30がユニット筐体40の小部屋部41に収納され、リード線33が外部に導出された後、小部屋部41の開口側は、前述したように、図示しない天板により閉塞されるようにされる。
【0069】以上のように構成された傾斜検出ユニットは、前述したように、ユニット筐体40の取付用段部42a,42bの部分において、例えば姿勢制御の対象物の被測定面に、その傾斜測定方向に合わせて取り付けることにより、簡単に取り付けられる。そして、ユニット筐体40から導出されたリード線33を姿勢制御を行なう制御部を構成するコントローラに接続することにより、前述の姿勢制御システムを構成することができる。
【0070】図7は、この場合の姿勢制御システムの構成例のブロック図を示すものである。この実施の形態の場合には、傾斜検出素子と、角速度検出素子とを備える前述した構成の傾斜検出ユニット6を被制御物4に取り付け、この傾斜検出ユニット6の出力線(リード線33)をコントローラ2に接続するものである。
【0071】以上のように、この実施の形態の傾斜検出ユニットを用いて、図7のような姿勢制御システムを構成することにより、傾斜検出素子と角速度検出素子を用いたスムースな姿勢制御が可能になると共に、傾斜検出素子と角速度検出素子とを別々に被制御物に取り付ける場合に比べて、被制御物への取り付けが簡単であり、また、コントローラへの接続もユニット筐体40から導出される一組のリード線のみでよく、非常に構成が容易になる。また、傾斜検出素子と角速度検出素子とをひとつのユニットに構成したので、安価に製造することができるというメリットもある。
【0072】しかも、この実施の形態においては、傾斜検出素子と角速度検出素子とについての信号処理回路部は、第3のプリント基板にまとめて構成するようにしたので、非常にコンパクトにユニットを構成することができる。
【0073】この発明の傾斜検出ユニットは、上述の実施の形態に限られるものではない。図8は、この発明の他の実施の形態を示すもので、傾斜検出素子11およびその信号処理部12を設けた第1のプリント基板200と、角速度検出素子21とその信号処理回路部22を設けた第2のプリント基板300とを、前述の第1のプリント基板10と第2のプリント基板20と同様に互いに直交する状態で、底面40aに垂直に立てて、ユニット筐体40内に収納するようにして、第3のプリント基板30を省略した構成である。
【0074】この実施の形態においても、前述の実施の形態と同様に、傾斜検出素子と角速度検出素子を用いたスムースな姿勢制御が可能になると共に、傾斜検出素子と角速度検出素子とを別々に被制御物に取り付ける場合に比べて、被制御物への取り付けが簡単であり、また、コントローラへの接続もユニット筐体40から導出される一組のリード線のみでよく、非常に構成が容易であり、安価に製造することができるというメリットが得られる。
【0075】
【発明の効果】以上説明したように、この発明による傾斜検出ユニットは、傾斜検出素子の傾斜検出方向を、傾斜検出対象物の前記検出対称傾斜方向に合わせて、傾斜検出対称物に取り付けるだけで、検出したい傾斜方向の傾斜角に対応した傾斜検出出力が得られるだけでなく、検出したい傾斜方向の急激な変化に即応した角速度検出出力を得ることができる。
【0076】したがって、この傾斜検出ユニットを、上述したような姿勢制御に使用すれば、スムースな姿勢制御が可能になると共に、被制御物に簡単に装着をでき、また、それぞれ単品の傾斜センサおよび角速度センサを用いる場合に比べて、安価になるという効果がある。
【0077】また、請求項2の発明のように、3枚のプリント基板を互いに直交する状態で組み合わせて筐体に収納する構成とすることにより、スペースが有効に利用されて、全体としてコンパクトな傾斜検出ユニットを提供することができる。
【0078】また、請求項3の発明のような静電容量式のものであって、傾斜変化に対応したリニアな特性の傾斜検出出力信号を得ることができる傾斜検出素子を用いた場合には、リニアな傾斜検出出力信号に加えて、角速度検出素子の角速度検出出力信号を出力するので、姿勢制御に非常に有効な傾斜検出ユニットを提供することができる。
【出願人】 【識別番号】595139635
【氏名又は名称】株式会社タイコーデバイス
【出願日】 平成12年1月11日(2000.1.11)
【代理人】 【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
【公開番号】 特開2001−194144(P2001−194144A)
【公開日】 平成13年7月19日(2001.7.19)
【出願番号】 特願2000−6092(P2000−6092)