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【発明の名称】 光式河床洗掘状態検知センサ
【発明者】 【氏名】長田 拓馬

【要約】 【課題】設置環境の温度変化に影響されずに、洗掘深度を容易に、かつ、正確で安全に監視することができる河床洗掘状態検知センサを提供することを目的とする。

【解決手段】一定長の円筒部2a〜2zを複数個連続して接続した円筒体2の外周に沿って光ファイバ3を螺旋状に巻き付け、この光ファイバ3が巻き付けられた円筒体2を、河川の河床に埋設し、最下部の円筒部2zに巻き付けられた光ファイバ3の一端に、光ファイバ損失測定装置を接続し、河床洗掘の発生時に、河床に埋め込んだ複数個の円筒部2a〜2zの接続部間で生じる光ファイバ3の断線を、光ファイバ損失測定装置で、光ファイバ3の条長変化として検出して、河床の洗掘深度を監視することで解決している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一定長の円筒部を複数個連続して接続した円筒体の外周に沿って光ファイバを螺旋状に巻き付け、この光ファイバが巻き付けられた円筒体を、河川の河床に埋設し、最下部の円筒部に巻き付けられた光ファイバの一端に、光ファイバ損失測定装置を接続し、河床洗掘の発生時に、河床に埋め込んだ複数個の円筒部の接続部間で生じる光ファイバの断線を、光ファイバ損失測定装置で、光ファイバの条長変化として検出して、河床の洗掘深度を監視することを特徴とする光式河床洗掘状態検知センサ。
【請求項2】 光ファイバは、河床洗掘の発生の際に河川流力により断線しやすいよう、光ファイバ心線である請求項1記載の光式河床洗掘状態検知センサ。
【請求項3】 円筒体に巻かれた光ファイバは、その円筒部の接続部において、最小曲げ半径の円状配線部で接続される請求項1又は2記載の光式河床洗掘状態検知センサ。
【請求項4】 円状配線部を、光ファイバが巻かれた円筒体の外周面に配置すると共にこれを外部固定カバーで覆って固定した請求項1〜3何れかに記載の光式河床洗掘状態検知センサ。
【請求項5】 洗掘発生時に接続された円筒部が水中に露出したとき、円筒部の浮力で、水中に露出した円筒部が円筒体から確実に分離するよう、各円筒部の中心部に水に浮く素材が充填される請求項1〜4何れかに記載の光式河床洗掘状態検知センサ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバを利用した河床洗掘検知センサに係り、特に河川管理を目的とした河床部の洗掘状態検知センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】光ケーブルを利用した河床洗掘状態検知センサには、河床部と水中部の温度を光ファイバ温度測定装置で測定し、その温度差より河床の洗掘深度を計測する方法がある。
【0003】この方法に用いられる河床洗掘状態検知センサは、円筒体に、絶縁被覆で外装したステンレス管入り光ケーブルを螺旋状に巻き付け、これを河床垂直方向に埋設して構成される。円筒体に巻き付けられたステンレス管入り光ケーブルは、地上で、そのステンレス管に交流電源を接続して発熱体として、発熱/冷却を繰り返す。他方ステンレス管に挿入した光ケーブルは、地上に設置した光ファイバ温度測定装置に接続し、その温度測定装置を用いて、ステンレス管の温度上昇幅及び下降幅を測定することにより、河床洗掘状態を検知する。
【0004】すなわち、河床埋設部では、ステンレス管は、その温度上昇幅が、土の保温効果により、大きなものとなること、また、水中に露出した水中部では、加熱されたステンレス管が、流水により熱が奪われ、温度上昇幅が小さなものとなることを利用するものである。これは冷却時でも同様である。
【0005】このように光ファイバ温度測定装置で、光ファイバを介して発熱と冷却を繰り返すステンレス管の温度上昇幅及び下降幅を測定することにより、河床部と河川水中部の境界面を判別することができ、その境界面から洗掘深度を常時監視できるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技術の河床洗掘状態検知センサでは、河床に埋設した光ファイバの温度を測定して洗掘深度を測定するが、実際には、設置環境によってはステンレス管を加熱しても、河床の土中と水中とにおける温度変化が小さい場合もあり、必ずしも正確な洗掘状態を監視することは難しいという問題がある。また、環境温度変化に伴う測定データの温度補正作業も必要となる。
【0007】さらに、ステンレス管を発熱体として使用するため、洗掘発生時に上流より流れてきた石等によりケーブル被覆が破損し、河川へ漏電する恐れがあり、安全性に問題がある。
【0008】本発明は上記事情を考慮してなされたもので、設置環境の温度変化に影響されずに、洗掘深度を容易に、かつ、正確で安全に監視することができる河床洗掘状態検知センサを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するために、請求項1の発明は、一定長の円筒部を複数個連続して接続した円筒体の外周に沿って光ファイバを螺旋状に巻き付け、この光ファイバが巻き付けられた円筒体を、河川の河床に埋設し、最下部の円筒部に巻き付けられた光ファイバの一端に、光ファイバ損失測定装置を接続し、河床洗掘の発生時に、河床に埋め込んだ複数個の円筒部の接続部間で生じる光ファイバの断線を、光ファイバ損失測定装置で、光ファイバの条長変化として検出して、河床の洗掘深度を監視する光式河床洗掘状態検知センサである。
【0010】請求項2の発明は、光ファイバは、河床洗掘の発生の際に河川流力により断線しやすいよう、光ファイバ心線である請求項1記載の光式河床洗掘状態検知センサである。
【0011】請求項3の発明は、円筒体に巻かれた光ファイバは、その円筒部の接続部において、最小曲げ半径の円状配線部で接続される請求項1又は2記載の光式河床洗掘状態検知センサである。
【0012】請求項4の発明は、円状配線部を、光ファイバが巻かれた円筒体の外周面に配置すると共にこれを外部固定カバーで覆って固定した請求項1〜3何れかに記載の光式河床洗掘状態検知センサである。
【0013】請求項5の発明は、洗掘発生時に接続された円筒部が水中に露出したとき、円筒部の浮力で、水中に露出した円筒部が円筒体から確実に分離するよう、各円筒部の中心部に水に浮く素材が充填される請求項1〜4何れかに記載の光式河床洗掘状態検知センサである。
【0014】上記構成によれば、一定長の円筒部を複数個連続して接続した円筒体の外周に沿って光ファイバを螺旋状に巻き付けて光式河床洗掘状態検知センサとし、洗掘で円筒体の円筒部が水中に露出する際に、この円筒部とその円筒部に巻かれた光ファイバごと切り離されることで、河床に埋設されている円筒体の光ファイバの条長を測定するだけで、設置環境の温度変化に影響されずに、洗掘深度を容易にかつ正確に監視することができ、さらに、電源を必要としないため水中での漏電を防ぐと同時に、システム構成を簡略化でき、センサ設置コストを抑えることができる河床洗掘状態検知センサが実現できる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0016】図1および図2は本発明の好適実施の形態である光式河床洗掘状態検知センサを示し、図1(a)は、その平面図、図1(b)は、その全体側面図、図2(a)は、その拡大側面図、図2(b)は、その拡大平面図を示したものである。
【0017】図1および図2に示すように、本発明の光式河床洗掘状態検知センサ1は、一定長の円筒部2a〜2zを複数個連続して接続した円筒体2の外周に沿って光ファイバ3を螺旋状に巻き付けたものである。
【0018】この光ファイバ3は、例えば、光ファイバ心線を用い、各円筒部2a〜2zのそれぞれに一定量巻き付けるようにする。
【0019】まず、円筒体2を構成する各円筒部2a〜2zの構成をより具体的に説明する。
【0020】図1および図2に示すように、各円筒部2a〜2zの外周面には凹面部が設けられており、この凹面部に光ファイバ3を巻き付けるようにしている。
【0021】また、各円筒部2a〜2zは、例えば、その上端の4カ所に凸状接続部4a〜4zが形成されると共に、その下端の4カ所に凹状接続部5a〜5zが形成される。これら凸状接続部4a〜4zと凹状接続部5a〜5zとで、上下の円筒部同士を確実に接続するようになっている。
【0022】さらに、凸状接続部4a〜4zのうち、凸状接続部4b〜4zの側面には、溝Cが形成される。
【0023】さて、光ファイバ3は、例えば上部の円筒部2aから下部の円筒部2zにかけて順次巻き付けるが、その際、接続部において、例えば、最小曲げ半径の円状配線部6を形成して巻き付けていくようにする。
【0024】つまり、円筒体2の外周に沿って螺旋状に巻き付けられる光ファイバ3は、まず、円筒部2aの外周に沿って巻き付け初め、一定量巻き付けた後、円筒部2aの外周面に円状配線部6を形成して配置し、円筒部2aの直下に接続される円筒部2bの溝Cを介して、今度は円筒部2bの外周に沿って巻き付けていく。このようにして、光ファイバ3が、順次、円筒体2の外周に沿って螺旋状に巻き付けるようにしている。
【0025】そして、これら光ファイバ3および円状配線部6を、例えば、半円筒状に形成される外部固定カバー7、7で覆って固定する。
【0026】外部固定カバー7、7は、図2に示すように、例えば2層構造にし、光ファイバ3と密着する内側に硬質のゴム層8を形成すると共に、このゴム層8の外側に円筒部2と同じ材質の外部層9を形成する。
【0027】さらに、各円筒部2a〜2zには、例えば、各中心部に水に浮く素材として発泡素材10を充填している。
【0028】各円筒部2a〜2zは以上のような構成である。
【0029】次に、図1に示すように、このような構成を有する円筒体2の最下部となる円筒部2zの下部に、円筒体状で上部に凸状接続部11を有する光接続箱12を設け、円筒部2zの凹状接続部5zに、光接続箱12の凸状接続部11をはめ込み、円筒部2zと光接続箱12とを接続する。
【0030】そして、円筒部2zに巻き付けられている光ファイバ3の一端と、誘導保護パイプ13内に設けられるアプローチ光ケーブル14とを、光接続箱11を介して接続する。
【0031】光接続箱12は、光ファイバ3とアプローチ光ケーブル14との接続を処理するもので、防水構造とする。
【0032】誘導保護パイプ13は、アプローチ光ケーブル14を河床より地上に誘導・保護するためのものである。
【0033】以上のようにして、本発明の光式河床洗掘状態検知センサ1が構成される。
【0034】次に、本発明の光式河床洗掘状態検知センサ1の設置方法を説明する。
【0035】図3および図4は、本発明の光式河床洗掘状態検知センサ1の設置状態の一例を示し、図3は、その断面図を示し、図4は、その拡大断面図を示したものである。
【0036】図3および図4に示すように、河川の低水位時に、まず、光式河床洗掘状態検知センサ1を、最上部の円筒体2aの凸状接続部4a先端が、河川15の河床面16と一致するように、かつ、センサ1が、河床面16に対して垂直方向となるように埋設する。
【0037】このとき、誘導保護パイプ13もセンサ1に沿うように埋設すると共に、アプローチ光ケーブル14を地上まで敷設する。
【0038】そして、このアプローチ光ケーブル14を、地上に設置した光ファイバ損失測定装置17および洗掘表示端末18に接続する。
【0039】これら光ファイバ損失測定装置17および洗掘表示端末18は、別に設けられる電源(図示せず)で動作するようにしている。
【0040】以上のようにして、本発明の光式河床洗掘状態検知センサ1が設置される。
【0041】次に、本発明の光式河床洗掘状態検知センサ1の作用を説明する。
【0042】まず、光式河床洗掘状態検知センサ1を洗掘を監視すべき河床に埋設し、センサ1の状態を、光ファイバ損失測定装置17および洗掘表示端末18で常時監視する。
【0043】通常、河川の低水位時には、河床の洗掘は発生せず、光ファイバ損失測定装置17および洗掘表示端末18での表示には変化がないが、図5および図6に示すような高水位時は、流速及び流量変化に伴い、河床での洗掘19が発生する。
【0044】この洗掘発生を図5及び図6により説明する。
【0045】図5および図6は、本発明の光式河床洗掘状態検知センサ1設置後の河川の高水位時における状態を示し、図5はその断面図を示し、図6は、その拡大断面図を示したものである。
【0046】洗掘19が発生すると、センサ1の最上部に位置する円筒部2aが河床より露出し、その内部に充填されている発泡素材10の浮力により、浮くと同時にその水流の力により流される。
【0047】流された円筒部2a内部では、その直下の円筒部2bが固定点として働き、円状配線部6の曲げ半径は、その設置時よりもさらに小さなものとなり、最終的にはキンク20状態となり、光ファイバ3が断線となる。
【0048】この光ファイバ3の断線と、センサ1の各円筒部2a〜2zに光ファイバ3が一定量巻き付けられていることの2つの理由で、光ファイバ3の条長変化を、光ファイバ損失測定装置17で確実に検出し、洗掘表示端末18でその河床洗掘深度として監視することができる。
【0049】なお、本発明の光式河床洗掘状態検知センサ1の外部固定カバー7、7は、センサ1設置時や河床洗掘発生時において、光ファイバ3の外傷を防ぐ機能を有している。さらに、河床洗掘発生時において、円状配線部6のキンク状態および光ファイバ3の断線を確実に誘発させるために、この円状配線部6を固定する機能も併せて持つようにしている。
【0050】以上説明してきたように、本発明の光式河床洗掘状態検知センサ1は、河川河床の洗掘状態監視に適用され、光ファイバ心線の条長測定をするものであり、設置環境の温度変化に対する影響を考える必要がない。
【0051】また、本発明のセンサは電源を必要としないため、土中および水中で使用するセンサとして漏電する心配がなく、同時にシステム構成の簡略化ができ、設置コストの低減を図ることが可能となる。
【0052】なお、本実施の形態では、河川管理を目的とした河床部の洗掘状態を検知する例で説明したが、本発明の光式河床洗掘状態検知センサは、これに限定されるものではなく、例えば、砂防管理の一部である地盤すべり地帯の監視として本センサを適用することにより、地表からすべり面の距離、すなわち、地盤が円弧すべりする際に発生する地盤の可動部と固定部の境界面の剪断を検出することもでき、地下深さ方向の境界面距離を監視することも可能である。
【0053】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、本発明によれば次のごとき優れた効果を発揮する。
【0054】(1)センサの設置環境の温度変化に影響されずに、洗掘深度を容易に、かつ、正確で安全に監視することができる。
【0055】(2)機器構成を簡略化でき、センサ設置コストを抑えることができる。
【出願人】 【識別番号】000005120
【氏名又は名称】日立電線株式会社
【出願日】 平成11年11月17日(1999.11.17)
【代理人】 【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
【公開番号】 特開2001−141455(P2001−141455A)
【公開日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【出願番号】 特願平11−327241