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【発明の名称】 傾斜測定装置
【発明者】 【氏名】近久 博志

【氏名】小林 薫

【氏名】中原 博隆

【氏名】松元 和伸

【氏名】熊谷 幸樹

【氏名】筒井 雅行

【要約】 【課題】ボーリング孔等の掘削作業を中断することなく、その掘削作業と並行してその傾斜角度の測定作業を連続的に行うことができ、しかも、電気的なノイズが混入することなく精度のよい測定を行える傾斜測定装置の提供。

【解決手段】本発明に係る傾斜測定装置は、ケース体18,46に形成した空室21,48内に、シリコンオイル等の制振液Wを密実に充填するとともに、その制振液W中に、これと比重を異ならせたマーカー31,44,47を球面上での移動が自在となるように配置し、また、それらのマーカー31,44,47を撮影する撮影手段23,49をその空室21,48外に固設した構成になっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ケース体に形成した空室内に、シリコンオイル等の制振液を密実に充填していること、その制振液中に、これと比重を異ならせたマーカーを球面上での移動が自在となるように配置していること、そのマーカーを撮影する撮影手段をその空室外に固設していることを特徴とする傾斜測定装置。
【請求項2】 上記マーカーは、制振液よりも比重の大きいものである請求項1記載の傾斜測定装置。
【請求項3】 上記マーカーは、制振液よりも比重の小さいものである請求項1記載の傾斜測定装置。
【請求項4】 上記マーカーは気泡であり、これを上壁面を球面形に形成した空室内に封入している請求項3記載の傾斜測定装置。
【請求項5】 上記ケース体に、制振液の注入口と排出口が形成されている請求項1,2,3又は4記載の傾斜測定装置。
【請求項6】 上記ケース体が円筒形にして形成されており、撮影手段は、レンズ部の光軸をそのケース体の中心軸に一致して配置したCCDカメラであり、また、マーカーの傾動中心が上記中心軸上に設けられている請求項1,2,3,4又は5記載の傾斜測定装置。
【請求項7】 上記空室は、ケース体に対して着脱自在な密封容器である請求項1,2,3,4,5又は6記載の傾斜測定装置。
【請求項8】 内周面にガイド溝を形成したガイドパイプが被傾斜測定管に内挿されており、ケース体にはガイド溝にガイドされるガイドローラが設けられている請求項1,2,3,4,5,6又は7記載の傾斜測定装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば掘削機のリーダー等に挿入して、その傾斜角度を測定する傾斜測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の傾斜測定装置として、特開平8−14895号公報に記載されたものがある。その傾斜測定装置は、図9に示すように、ケース体1の上部板1aに固着した支持材2に、磁石3を内蔵した振子体4を連結することにより、ケース体1内に揺動自在に吊下しているとともに、その磁石3に対向するケース体1側にホール素子5を配設したものである。
【0003】上記の傾斜測定装置では、被測定対象物の傾斜につれて鉛直軸線からいずれの方向に傾斜した場合にも、振子体4が鉛直姿勢を保持するために、ホール素子5に対する磁石3の相対的位置が傾斜角度に応じて変位する。従って、ホール素子5から発生するホール電圧を検出することにより、被測定対象物の傾斜角度を測定するようにしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の傾斜測定装置は、吊下した振子体4に取り付けた磁石3を、ホール素子5により電磁的に検出しているために、測定時にノイズが混入しやすい。
【0005】さらに、振子体4に伝達される外部振動を緩衝するために、ケース体1内にダンピング液6を充填しているが、そのダンピング液6の上部に空気溜め空間7を設けているので、外部振動が、そのダンピング液6の自由液面6aに波紋等を生じさせ、その波紋等が測定結果に悪影響を与えている。
【0006】従って、上記従来の傾斜測定装置では、たとえば掘削機によってボーリング孔を掘削しながらの傾斜角度の測定を行うことができず、掘削作業と測定作業を交互に行わなければならず、その作業が煩雑であるとともに掘削作業を遅延させる原因となる。
【0007】そこで本発明は、ボーリング孔等の掘削作業を中断することなく、その掘削作業と並行してその傾斜角度の測定作業を連続的に行うことができ、しかも、電気的なノイズが混入することなく精度のよい測定を行える傾斜測定装置を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る傾斜測定装置は、ケース体18,46に形成した空室21,48内に、シリコンオイル等の制振液Wを密実に充填するとともに、その制振液W中に、これと比重を異ならせたマーカー31,44,47を球面上での移動が自在となるように配置し、また、それらのマーカー31,44,47を撮影する撮影手段23,49をその空室21,48外に固設した構成になっている。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。8は、図1に示すように、掘削機本体9の前側に傾動可能に装架したブーム10に、下端部にオーガー11を取り付けた被傾斜測定管であるリーダー12を押進するオーガーマシンGを配設した掘削機である。
【0010】本発明の第1の実施形態に係る傾斜測定装置14(以下、本発明装置という)は、上記リーダー12に昇降自在に挿入されており、これに、上記オーガーマシンG上に載置した昇降駆動部15、操縦室9a内に配置した、図2に示す制御部16、及びコンピュータ17を加えて傾斜観測システムを構成している。
【0011】リーダー12には、図3に示すように、内周面13aに4本のガイド溝13b…を90°間隔で形成したガイドパイプ13が内挿されている。
【0012】本発明装置14の構成は次の通りである。18は、図4に示すように、上下端面を閉じた円筒形にした金属製のケース体であり、これの内部を、例えば透明なアクリル樹脂等からなる区画板19により、上下2つの空室20,21に区画している。
【0013】ケース体18の外周面18aの上,下端部には、上記ガイドパイプ13のガイド溝13b…内を走行するガイドローラ22…が配設され、これにより、ガイドパイプ13内で回転することなく昇降できるようにしている。
【0014】上側の空室20内には、撮影手段であるCCDカメラ23と、このCCDカメラ23を制御する、図6に示すビデオシグナル変調回路24及び電源ユニット25を搭載した制御ボード26が収納されている。
【0015】CCDカメラ23は、カメラ本体27と、これの下端部に配設したレンズ部28とからなり、そのレンズ部28の光軸をケース体18の中心軸Oに一致させた状態でカメラホルダ29により固定されている。
【0016】下側の空室21内には、所要粘度からなるシリコンオイル等の制振液Wが密実に充填されているとともに、その制振液W中に、これと比重を異ならせたマーカー31を球面上での移動が自在となるように支持したマーカー支持部Aが配設されている。
【0017】具体的には、マーカー支持部Aは、上記区画板19下面の中心に上端部を固定した所定長さの例えば透明なプラスチックの糸等からなる支持材30の下端部に、制振液Wよりも比重の大きい例えば金属製からなる球形のマーカー31を連結してなるものであり、これにより、マーカー31は、中心軸O上に設けた支持材30の上端部を中心O1とした球面移動ができるようになっている。なお、本実施形態においては、支持材30の上端部から、マーカー31の下端部までの長さをLとしている。
【0018】制振液Wは、前記掘削機8による掘削に伴う外部振動により、マーカー31が変位してしまうことを防ぐためのものであり、従って、その振動数,マーカー31の重量及び支持材30の長さ等を勘案して、その粘度を適宜変更するとよい。
【0019】ケース体18の周壁18aには、空室21内に制振液Wを注入する注入口32と、その制振液Wを排出させる排出口33が形成されており、それらにより、制振液Wの注入と排出を容易に行えるようにしている。なお、32a,33aは注入口32と排出口33に螺合された止栓である。
【0020】マーカー支持部Aは、支持材30に連結されたマーカー31が常に鉛直姿勢に保持されること、詳しくは、中心O1を通る鉛直線上に一致した状態に保持されることを利用したものであり、図5に示すように、ケース体18が傾斜していないときのマーカー31の初期位置(イ)と、そのケース体18が傾斜したときのマーカー31の相対的な移動位置(ロ)を撮影することにより、本発明装置14の傾斜角度、すなわち、本発明装置14を内挿したリーダー12の傾斜角度,方向及びずれを算出できるようにしている。
【0021】次に昇降駆動部15と制御部16について説明する。昇降駆動部15は、図6に示すように、たとえば全長数百メートルのケーブル34を巻回するドラム35と、このドラム35を正逆回転駆動するモーター36と、このモーター36を駆動制御する駆動制御回路37とからなり、ドラム35に付設したプーリー35aの正逆方向の回転数によって、ケーブル34の一定距離毎の繰り出しと巻き取りを行うことにより、本発明装置14を任意の深度に移動させるようにしている。
【0022】制御部16は、本発明装置14からケーブル34を通じて出力されたビデオ信号を復調するビデオシグナル復調回路38、電源ユニット39、本発明装置14の深度を表示する深度表示器40及びCPU41からなる。
【0023】CPU41は、次の各手段を有している。
(1) CCDカメラ23で撮影した上記マーカー31の初期位置(イ)と移動位置(ロ)の2つの画像に基づいて、本発明装置14の傾斜角度とその方向、すなわち、リーダー12の傾斜角度とその方向を算出する傾斜角度算出手段。
【0024】傾斜角度の算出原理は、上記初期位置(イ)と移動位置(ロ)に移動したときのマーカー31の画像を解析して、その重心31aの座標を算出するとともに、それら座標の値から初期位置(イ)から移動位置(ロ)までの移動距離Δx,Δyを算出し、それらを次式(1) ,(2) に代入することにより傾斜角度θx,θyを求める。なお、Lは、上記支持材30の上端部から、マーカー31の下端部までの長さである。
θx=tan-1(Δx/L) (i) θy=tan-1(Δy/L) (ii) これにより、本発明装置14の、すなわちリーダー12の傾斜角度を求めることができる。
【0025】(2) ケーブル34の繰出し長さに基づいて、本発明装置14の深度を算出する深度算出手段。
【0026】(3) 上記傾斜角度に基づき、一定の深度毎の座標を算出する座標算出手段。すなわち、各深度と上記傾斜角度とから、公知の三角関数により一定の深度毎の座標を算出し、さらに、その座標から、初期位置(イ)からのずれを算出している。
【0027】前記コンピュータ17には、ビデオキャプチャーカード42を介して、制御部16で得られた解析結果に基づくリーダー12の画像が転送され、それらがディスプレイ17a上に2次元表示されるようにしている。
【0028】次に、本発明装置14を用いて、リーダー12の傾斜角度を測定する作業について説明する。掘削機8による掘削作業に並行して、リーダー12のガイドパイプ13内に挿入しておいた本発明装置14を、昇降駆動部15により複数回昇降させながら、一定の深度毎の傾斜角度を複数回測定する。このように、複数回の測定を行うことにより、必要に応じて各深度での測定誤差を補正できるようにしている。
【0029】これら画像データは、これらを重畳した状態で制御部16に転送され、その制御部16において復調,分離される。そして、傾斜角度、各深度毎の初期位置からのずれ等を求める。
【0030】コンピュータ17のディスプレイ17a上には、算出された本発明装置14の傾斜角度、各深度毎の初期位置からのずれ等が表示されるようにしている。これにより、掘削機8の操縦者は、リーダー12が鉛直姿勢となるように各部を操作する。
【0031】マーカー支持部の他例について、図7を参照して説明する。なお、本発明装置の他の構成については、図1〜6において説明したものとほぼ同じものであるので、同等のものに同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】図7に示すマーカー支持部A′は、制振液W中に、これよりも比重の小さい例えばプラスチック製からなる球形のと比重を異ならせたマーカー44を球面上での移動が自在となるように支持してなるものである。
【0033】具体的には、ケース体18の底壁中心に下端部を固定した所定長さの支持材43の上端部にマーカー44を連結してなるものであり、これにより、マーカー44は、中心軸O上に設けた支持材43の上端部を中心O1′とした球面移動ができるようになっている。なお、支持材43は、上記の支持材30と同じく例えば透明なプラスチックの糸等からなるものである。また、支持材43の上端部から、マーカー44の下端部までの長さをLとしている。
【0034】すなわち、マーカー支持部A′は、支持材43に連結されたマーカー44が、ケース体18の傾動に関わりなく、そのマーカー44に作用する浮力によって、常に鉛直姿勢に保持されること、詳しくは、中心O1′を通る鉛直線に一致した状態に保持されることを利用したものであり、前記図5において説明したものと同様にして、ケース体18が傾斜していないときのマーカー44の初期位置と、そのケース体18が傾斜したときのマーカー44の相対的な移動位置を撮影することにより、本発明装置14の傾斜角度、すなわち、本発明装置14を内挿したリーダー12の傾斜角度,方向及びずれを算出できるようにしている。
【0035】次に、本発明の第2の実施形態に係る傾斜測定装置について、図8を参照して説明する。図8に示す本発明の第2の実施形態に係る傾斜測定装置45は、上下端面を閉じた円筒形にした金属製のケース体46内に、例えば透明なアクリル樹脂製の密封容器48を着脱自在に収容しているとともに、その密封容器48の上部に、撮影手段であるCCDカメラ49を固設した構成のものである。
【0036】密封容器48は、これの上壁48aを所要曲率の球面形にして形成したものであり、これの内部に、上記と同様の制振液Wが密実に充填されているとともに、マーカーである気泡47が封入されている。
【0037】すなわち、気泡47が、これに作用する浮力により、球面形にした上壁48a下面の天頂部に常に保持されることを利用したものである。換言すると、気泡47は、上壁48aの曲率半径の中心O1″を中心とした球面上での移動が自在となるようになっている。本実施形態においては、上壁48aと気泡47によりマーカー支持部A″を構成している。
【0038】ケース体46は、これの外周面46aの上,下端部に、前記ガイドローラ22と同様のガイドローラ50…が配設されており、ガイドパイプ内で回転することなく昇降できるようにしている。
【0039】上記CCDカメラ49は、カメラ本体51と、これの下端部に配設したレンズ部52とからなり、そのレンズ部52の光軸をケース体46の中心軸O′に一致させた状態でカメラホルダ53により固定されている。
【0040】傾斜角度の算出原理は、上記図5において説明したものと同様であり、前記の実施形態においては、支持材の上端部からマーカーの上下端部までの長さをLとしたのに対して、この第2の実施形態においては、密封容器48の上面48aの曲率半径をL′として、換言すると、曲率半径の中心O1″から気泡47の上端部までの長さをL′として、次式により求めている。
θx=tan-1(Δx/L′) (iii) θy=tan-1(Δy/L′) (iv)これにより、リーダーの傾斜角度を求めることができる。
【0041】この第2の実施形態に係る本発明装置の場合、互いに粘度の異なる制振液を充填した密封容器を複数用意しておき、たとえば外部振動の振動数等の掘削条件に対応して、それらの密封容器を交換するとよい。
【0042】なお、本発明は前述した各実施形態に限るものではなく、次のような変形実施が可能である。上記においては、傾斜測定装置をリーダー内で昇降自在に配置した例について説明したが、リーダーの下端部に固定してもよい。この場合には、リーダーの掘進に従って、傾斜測定装置を次第に深く移動させられるので、上述したような昇降駆動部を設ける必要はない。
【0043】上記においては、本発明装置を被傾斜測定管として掘削機のリーダー内に挿入した例について説明したが、例えば地盤に掘削したボーリング孔に挿入して、そのボーリング孔の傾斜角度を測定するようにしてもよい。
【0044】上記においては、ケース体として金属製のものを例として説明したが、合成樹脂で形成してもよい。
【0045】
【発明の効果】請求項1〜8記載の発明によれば、次の効果を得ることができる。ケース体に形成した空室内に、シリコンオイル等の制振液を密実に充填しているとともに、その制振液中に、これと比重を異ならせたマーカーを球面上での移動が自在となるように配置し、また、そのマーカーを撮影する撮影手段をその空室外に固設しているので自由液面がなく、従って、外部から振動が加えられる場合にも制振液に波紋等が生じない。すなわち、外部振動が加えられているときにも、たとえば掘削機によるボーリング孔の掘削作業を中断することなく、これに並行して傾斜角度の測定作業を連続的に行うことができる。
【0046】マーカーの移動位置を撮影手段で撮影するようにしているので、傾斜角度を電磁的に測定していた従来の傾斜測定装置のように、測定時に電気的なノイズが混入せず、精度のよい測定を行うことができる。
【0047】マーカーを球面上で移動できるようにしただけの簡易な構成にしているので、ケース体の外径を小さく設定することができる。
【0048】請求項1〜8記載の発明で得られる上記共通の効果の他、各請求項記載の発明によれば次の各効果を得ることができる。
【0049】請求項4記載の発明によれば、マーカーとして気泡を用いているので、さらに簡易な構成にすることができる。
【0050】請求項5記載の発明によれば、ケース体に、制振液の注入口と排出口を形成しているので、振動数等を考慮した粘性を有する制振液の注入,排出作業が容易である。
【0051】請求項6記載の発明によれば、CCDカメラのレンズ部の光軸をケース体の中心軸に一致して配置し、また、マーカーが移動する球面の中心を中心軸上に設けているので、傾斜角度の算出が容易である。
【0052】請求項7記載の発明によれば、空室を、ケース体に対して着脱自在な密封容器で形成しているので、互いに粘度の異なる制振液を充填した密封容器を複数用意しておき、例えば外部振動の振動数等の振動掘削条件によってそれらの密封容器を交換することができるので便利である。
【0053】請求項8記載の発明によれば、内周面にガイド溝を形成したガイドパイプが上記リーダーに内挿されており、ケース体にはガイド溝にガイドされるガイドローラを設けているので、ガイドパイプ内でケース体が回転してしまうことを防止できる。
【出願人】 【識別番号】000235543
【氏名又は名称】飛島建設株式会社
【出願日】 平成11年11月15日(1999.11.15)
【代理人】 【識別番号】100062476
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 信市
【公開番号】 特開2001−141451(P2001−141451A)
【公開日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【出願番号】 特願平11−324173