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【発明の名称】 傾斜感応センサ
【発明者】 【氏名】広田 真佐樹

【氏名】青島 孝之

【要約】 【課題】電極との接触圧を低減させずに球状導電体を小径化してセンサを小型化することができる傾斜感応センサを得る。

【解決手段】円錐形状の球体転動面23aの表面に導電材料製の床部電極25が装備されたセンサケース23と、球体転動面23aの外周に立設配備されて球体転動面23aを転動する球体を止める周壁部23bに床部電極25とは非導通状態に装備される壁部電極27と、球体転動面23a及び周壁部23bで画成される空間に装填される複数個の球状導電体29とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 円錐形状の球体転動面の表面に導電材料製の床部電極が装備されたセンサケースと、前記球体転動面の外周に立設配備されて前記球体転動面を転動する球体を止める周壁部に前記床部電極とは非導通状態に装備される壁部電極と、前記球体転動面及び周壁部で画成される空間に装填される複数個の球状導電体とを備え、前記センサケースの傾斜が所定以上になると、前記球体転動面を外周方向に転動した複数個の前記球状導電体が前記床部電極と壁部電極との双方に接触した状態になって、前記床部電極と壁部電極とを導通状態にすることを特徴とする傾斜感応センサ。
【請求項2】 前記球状導電体の転動を抑制する突起を前記球体転動面上の空間に突出装備したことを特徴とする請求項1記載の傾斜感応センサ。
【請求項3】 前記床部電極及び壁部電極の少なくとも一方は、互いに非導通状態で周方向に配列された複数個の単位電極群から構成し、センサケースが所定以上の傾斜をした際、何れの単位電極に球状導電体が接触したか識別可能な構成にしたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の傾斜感応センサ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機器や車両を始めとする種々の装置に装備されて、その装置が検出対象となる所定以上の傾斜状態になったか否かを検出する傾斜感応センサに関し、詳しくは、小型化を図るための改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図7及び図8は、機器や車両を始めとする種々の装置に装備されて、その装置が検出対象となる所定以上の傾斜状態になったか否かを検出する傾斜感応センサの従来例を示したものである。この傾斜感応センサ1は、傾斜角θの円錐形状の球体転動面3aの表面に導電材料製の床部電極5が装備されたセンサケース3と、球体転動面3aの外周に立設配備されて球体転動面3aを転動する球体を止める周壁部3bに、床部電極5とは非導通状態に装備される壁部電極7と、球体転動面3a及び周壁部3bで画成される空間に装填される単一の球状導電体9と、球状導電体9がセンサケース3から飛び出ないようにセンサケース3の上部開口を覆う蓋体11とを備えた構成からなる。上記傾斜感応センサ1は、以上の構成により、図9に示すように、センサケース3の傾斜が所定以上になると、球体転動面3aを外周方向に転動した球状導電体9が床部電極5と壁部電極7との双方に接触した状態になって、床部電極5と壁部電極7とが球状導電体9を介して導通状態になることで、所定以上の傾斜の発生を検出する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、床部電極5や壁部電極7に対する球状導電体9の接触圧は、球状導電体9の自重に比例する。そのため、傾斜感応センサ1の小型化を目的として、球状導電体9を小径化すると、小径化による重量の軽減の分だけ、床部電極5や壁部電極7に対する接触圧が低減して、図9に示したように球状導電体9が床部電極5と壁部電極7との双方に接触した状態になっても、接触圧が不足するために、電気的に良好な導通状態が得られず、検出性能が低下する虞がある。従って、接触圧を確保することから球状導電体9の小径化が制限されるため、結局、センサケース3の高さ寸法の縮減ができず、傾斜感応センサ1の小型化が図れないという問題があった。
【0004】また、上記の傾斜感応センサ1の場合は、例えば、センサケース3が球体転動面3aの傾斜角θ以上傾けば、傾斜方向に一直線に球状導電体9が転動し、直ちに床部電極5と壁部電極7とを導通状態にする。従って、センサケース3の傾斜が極短時間で解消されるような瞬間的な傾斜の場合でも、比較的確実に傾斜の発生を検出することができるが、逆に、例えば、傾斜状態が一定時間以上継続する場合のみを検出するといった用途には使用できない。そして、センサケース3が突発的に傾斜する場合でも、その都度、球状導電体9が床部電極5上を転動して壁部電極7に衝突し、球状導電体9と各電極との導通頻度が多くなるために、各電極や球状導電体9の摩耗が早く、寿命が短いという問題もあった。
【0005】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、電極との接触圧を低減させずに球状導電体を小径化してセンサを小型化することができ、更には、突発的なセンサケースの傾斜に対しては、球状導電体の周壁部への到達を阻止して、球状導電体と各電極との導通頻度を必要限度に低減させることができ、従って、各電極や球状導電体の摩耗を抑えて長寿命化を実現すると同時に、例えば、ノイズ的な振動等に起因した突発的な傾斜の検出を抑えて傾斜状態が一定時間以上継続する場合のみを検出するといった用途にも適した傾斜感応センサを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明に係る傾斜感応センサは、円錐形状の球体転動面の表面に導電材料製の床部電極が装備されたセンサケースと、前記球体転動面の外周に立設配備されて前記球体転動面を転動する球体を止める周壁部に前記床部電極とは非導通状態に装備される壁部電極と、前記球体転動面及び周壁部で画成される空間に装填される複数個の球状導電体とを備え、前記センサケースの傾斜が所定以上になると、前記球体転動面を外周方向に転動した複数個の前記球状導電体が前記床部電極と壁部電極との双方に接触した状態になって、前記床部電極と壁部電極とを導通状態にすることを特徴とする。
【0007】そして、上記構成によれば、センサケースが所定以上に傾斜した場合には、複数個の球状導電体が球体転動面を傾斜方向に転動し、複数個の球状導電体の内の一部は、床部電極と壁部電極との双方に接触した状態となって、床部電極と壁部電極とを導通状態とし、残る球状導電体は、電極に接触している球体転動面外周の各球状導電体を後ろから押して、各電極と球状導電体との接触圧を増大させる負荷として働く。従って、電極との接触圧を低減させずに球状導電体を小径化することができ、球状導電体の小径化によって、センサ全体を小型化することができる。
【0008】なお、上記の傾斜感応センサにおいて、好ましくは、球状導電体の転動を抑制する突起を前記球体転動面上の空間に突出装備した構成とするとよい。このようにすると、センサケースの傾斜によって球状導電体が球体転動面の外周側に転動する際、球体転動面上の空間に突出する突起が各球状導電体の移動を邪魔して、各球状導電体の壁部電極への到達を遅らせる。従って、突発的なセンサケースの傾斜に対しては、球状導電体の周壁部への到達を阻止して、この傾斜の検出を排除すると共に、球状導電体と各電極との導通頻度を必要限度に低減させることができる。
【0009】更に、上記の傾斜感応センサにおいて、好ましくは、床部電極及び壁部電極の少なくとも一方は、互いに非導通状態で周方向に配列された複数個の単位電極群から構成し、センサケースが所定以上の傾斜をした際、何れの単位電極に球状導電体が接触したか識別可能な構成にするとよい。このようにすると、センサケースが所定以上の傾斜をした際、何れの単位電極に球状導電体が接触したかの識別で、センサケースの傾斜方向まで検出可能になる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る傾斜感応センサの好適な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1乃至図6は本発明に係る傾斜感応センサの一実施の形態を示したもので、図1は本発明の一実施形態による傾斜感応センサの分解斜視図、図2は図1の傾斜感応センサの一部断面を示した平面図、図3は図2のB矢視図、図4は図2のC−C断面図、図5は図2のD矢視図、図6は図1に示した傾斜感応センサの傾斜時の状態を示す断面図である。
【0011】この傾斜感応センサ21は、円錐形状の球体転動面23aの周辺部表面に導電材料製の床部電極25がリング状に装備された絶縁材料製のセンサケース23と、球体転動面23aの外周に立設配備されて球体転動面23aを転動する球体を止めるセンサケース23の周壁部23bに床部電極25とは非導通状態に装備される壁部電極27と、球体転動面23a及び周壁部23bで画成される空間に装填される複数個の球状導電体29と、センサケース23の上部開放部を覆ってセンサケース23から球状導電体29が飛び出すことを防止する蓋体31とを備えている。
【0012】センサケース23の球体転動面23aは、傾斜角がθに設定されている。従って、センサケース23が角度θ以上傾斜すると、内部の球状導電体29が球体転動面23a上を転動開始する。
【0013】床部電極25は、図4に示すように、リング部25aがセンサケース23の球体転動面23aに面一に埋設装備され、また、図3に示すように、リング部25aの外周から延出するリード部25bがセンサケース23の周壁部23bに形成された切欠部23cから外部に突出する。なお、床部電極25は、本実施形態のようにセンサケース23に傾斜が生じていない定常状態で球状導電体29が電極上から外れるようなリング状に装備されていることで、球状導電体29の転動による摩耗の進行を低減させることができるが、しかし、このようなリング状でなくても構わない。
【0014】部壁部電極27は、センサケース23の周壁部23bの内周面に添う筒状部27aの一部から延出するリード部27bが、図2に示すように、センサケース23の周壁部23bに形成された切欠部23dから外部に突出する。
【0015】蓋体31は、センサケース23の上部開口を覆う円板部31aの外周4カ所に、周壁部23bに形成された切欠部23eに嵌合する係合部31bが突出形成され、この係合部31bが切欠部23eに嵌合することで、センサケース23に対して位置決めされる。また、この蓋体31には、図1及び図5から明らかなように、切欠部23cから延出するリード部25bを上から押える第1のリード押さえ部31cと、切欠部23dから延出するリード部27bを上から押える第2のリード押さえ部31dとが突設されている。センサケース23から引き出されたリード部25b,27bは、図示せぬ導通チェック回路に接続され、導通が発生すると、傾斜の発生が通知される。
【0016】また、本実施の形態の蓋体31には、球状導電体29の転動を抑制する突起33と、床部電極25のリング部25aを球体転動面23aに押さえつける押さえ突起35とが、球体転動面23a上の空間に突出するように装備されている。この突起33,35は、図2に示すように、球体転動面23aの中心に対して、多重の同心円状に、適宜間隔で分散配置されている。また、最外周に位置する押さえ突起35は、球状導電体29の移動を抑制する突起としての機能も兼ね備えている。
【0017】上記実施の形態の傾斜感応センサ21では、センサケース23が所定以上(角度θ以上)に傾斜した場合には、複数個の球状導電体29が球体転動面23aを傾斜方向に転動し、複数個の球状導電体29の内の一部は、床部電極25と壁部電極27との双方に接触した状態となって、床部電極25と壁部電極27とを導通状態とし、残る球状導電体29は、電極に接触している球体転動面23a外周の各球状導電体29を後ろから押して、各電極25,27と球状導電体29との接触圧を増大させる負荷として働く。従って、球状導電体29を小径化しても、各球状導電体29の自重の低下による接触圧の低減分が、他の球状導電体29からの押圧荷重によって補われ、実質的には、球体転動面23aの最外周の球状導電体29は十分な接触圧で各電極25,27に接触することができるため、接触圧の不足による導通不良が発生しない。従って、電極との接触圧を低減させずに球状導電体29を小径化することができ、球状導電体29の小径化によって、センサ全体を小型化することができる。
【0018】また、本実施の形態の傾斜感応センサ21では、センサケース23の傾斜によって球状導電体29が球体転動面23aの外周側に転動する際、球体転動面23a上の空間に突出する突起33,押さえ突起35が各球状導電体29の移動を邪魔して、各球状導電体29の壁部電極27への到達を遅らせる。従って、突発的なセンサケース23の傾斜に対しては、球状導電体29の周壁部23bへの到達を阻止して、傾斜の検出を排除すると共に、球状導電体29と各電極との導通頻度を必要限度に低減させることができ、各電極25,27や球状導電体29の摩耗を抑えて長寿命化を実現することができる。また、各球状導電体29の壁部電極27への到達時間の遅れは、球体転動面23a上の空間に突出する突起33の装備数と、球状導電体の大きさ及び個数に応じて任意値に調整可能なため、例えば、傾斜の検出応答性や傾斜状態が一定時間以上継続する場合のみを検出するといった用途にも、柔軟に対応することができる。
【0019】なお、本発明の傾斜感応センサにおいて、床部電極や壁部電極の具体的な構造、あるいはセンサケースの具体的な構造、更には、センサケースの開口部を覆う蓋体の具体的構造は、上記の実施の形態に限定するものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜に設計変更可能であることは言うまでもない。また、上記の実施の形態では、床部電極及び壁部電極は何れも単一部品であったが、例えば、床部電極及び壁部電極の少なくとも一方は、互いに非導通状態で周方向に配列された複数個の単位電極群から構成し、センサケースが所定以上の傾斜をした際、何れの単位電極に球状導電体が接触したか識別可能な構成にすることも可能である。このようにすると、センサケースが所定以上の傾斜をした際、何れの単位電極に球状導電体が接触したかの識別で、センサケースの傾斜方向まで検出可能になり、センサ用途の向上を図ることができる。
【0020】
【発明の効果】本発明の傾斜感応センサによれば、センサケースが所定以上に傾斜した場合には、複数個の球状導電体が球体転動面を傾斜方向に転動し、複数個の球状導電体の内の一部は、床部電極と壁部電極との双方に接触した状態となって、床部電極と壁部電極とを導通状態とし、残る球状導電体は、電極に接触している球体転動面外周の各球状導電体を後ろから押して、各電極と球状導電体との接触圧を増大させる負荷として働く。従って、球状導電体を小径化しても、各球状導電体の自重の低下による接触圧の低減分が、他の球状導電体からの押圧荷重によって補われ、実質的には、球体転動面の最外周の球状導電体は十分な接触圧で各電極に接触することができるため、接触圧の不足による導通不良が発生しない。そのため、電極との接触圧を低減させずに球状導電体を小径化することができ、球状導電体の小径化によって、センサ全体を小型化することができる。
【0021】また、請求項2に記載の構成とすると、センサケースの傾斜によって球状導電体が球体転動面の外周側に転動する際、球体転動面上の空間に突出する突起が各球状導電体の移動を抑制して、各球状導電体の壁部電極への到達を遅らせる。従って、瞬間的なセンサケースの傾斜に対しては、球状導電体の周壁部への到達を阻止して、球状導電体と各電極との導通頻度を必要限度に低減させることができ、各電極や球状導電体の摩耗を抑えて長寿命化を実現することができる。また、各球状導電体の壁部電極への到達時間の遅れは、球体転動面上の空間に突出する突起の装備数を増減することによって、あるいは、球状導電体の大きさ及び個数の変更等の組合せによって任意値に調整可能なため、例えば、傾斜の検出応答性や傾斜状態が一定時間以上継続する場合のみを検出するといった用途にも、柔軟に対応することができる。
【0022】更に、請求項3に記載の構成とすると、センサケースが所定以上の傾斜をした際、何れの単位電極に球状導電体が接触したかの識別で、センサケースの傾斜方向まで検出可能になり、センサ用途の向上を一層図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
【出願日】 平成11年11月9日(1999.11.9)
【代理人】 【識別番号】100073874
【弁理士】
【氏名又は名称】萩野 平 (外4名)
【公開番号】 特開2001−141450(P2001−141450A)
【公開日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【出願番号】 特願平11−318479