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【発明の名称】 光学装置
【発明者】 【氏名】小野 修司

【要約】 【課題】被写体画像に基づいて被写体までの距離を測定する光学装置を提供する。

【解決手段】本発明の光学装置は、レンズユニット22と受光部30とを有する撮像ユニット20と、ズーム等を制御する撮像制御ユニット40と、デジタル画像データを処理する処理ユニット60と、デジタル画像を表示する表示ユニット100と、ユーザが操作する操作ユニット110とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1、第2の視点をもつレンズ系を備えた光学装置であって、外界を前記第1、第2の視点を通して結像したときの結像面に生じる視差量が等しくなる等視差面と、この光学装置からの等距離面とがほぼ一致する特性を前記レンズ系にもたせたことを特徴とする光学装置。
【請求項2】 前記等距離面は、前記第1、第2の視点の中間点を基点とする等距離面であることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】 第1、第2の視点をもつレンズ系を備えた光学装置であって、前記レンズ系の視野内にある被写体を結像した画像の像高をy、焦点距離をf、この光学装置および被写体を結ぶ線と光軸とがなす角をθとした場合、0<θ<π/2のときにf・θ<y<f・tanθとなる特性を前記レンズ系にもたせたことを特徴とする光学装置。
【請求項4】 前記第1の視点および被写体を結ぶ線と前記第2の視点および被写体を結ぶ線とがなす角をα(θ)としたとき、【数1】

となる特性を前記レンズ系にもたせたことを特徴とする請求項3に記載の光学装置。
【請求項5】 前記第1、第2の視点のそれぞれに前記レンズ系を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光学装置。
【請求項6】 前記第1の視点と前記第2の視点との間で前記レンズ系を移動させるレンズ駆動部をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光学装置。
【請求項7】 前記視差量に基づいて奥行き分布情報を生成する奥行き分布情報生成部をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の光学装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学装置に関する。本発明は、特に距離を測定する光学装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的なカメラにおいては、被写体像をひずみなく撮影できるよう設計されたf・tanθレンズが用いられる。また、人間の目以上に広い画角を持つように設計されたレンズとしてf・θレンズ(魚眼レンズ)等がある。一方、従来から、同一被写体を複数の視点から撮影するステレオ撮影という技法がある。この技法により得られた2つの画像間における見かけの違い(視差)に基づいて、カメラから被写体までの距離を求めることができる。これは、人間の両眼立体視の原理と同様である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、f・tanθレンズを用いてステレオ撮影する場合、複数の視点を通して結像したときの結像面に生じる視差量が等しくなる等視差面は、レンズの光軸に直交する平面となる。しかし、この等視差面はカメラからの正確な等距離面ではない。また、f・θレンズを用いてステレオ撮影する場合、等視差面は複数の視点と被写体を通る球面となるが、この等視差面もまたカメラからの正確な等距離面ではない。このように、いずれのレンズを用いてステレオ撮影を行っても、正確に距離を測定することは困難であった。
【0004】そこで本発明は、上記の課題を解決することのできる光学装置を提供することを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明のさらなる有利な具体例を規定する。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明の第1の形態は、第1、第2の視点をもつレンズ系を備えた光学装置であって、外界を前記第1、第2の視点を通して結像したときの結像面に生じる視差量が等しくなる等視差面と、この光学装置からの等距離面とがほぼ一致する特性を前記レンズ系にもたせた。
【0006】前記等距離面は、前記第1、第2の視点の中間点を基点とする等距離面であってもよい。
【0007】また、本発明の第2の形態においては、第1、第2の視点をもつレンズ系を備えた光学装置であって、前記レンズ系の視野内にある被写体を結像した画像の像高をy、焦点距離をf、この光学装置および被写体を結ぶ線と光軸とがなす角をθとした場合、0<θ<π/2のときにf・θ<y<f・tanθとなる特性を前記レンズ系にもたせた。
【0008】前記第1の視点および被写体を結ぶ線と前記第2の視点および被写体を結ぶ線とがなす角をα(θ)としたとき、【数2】

となる特性を前記レンズ系にもたせてもよい。
【0009】前記第1、第2の視点のそれぞれに前記レンズ系を備えてもよい。前記第1の視点と前記第2の視点との間で前記レンズ系を移動させるレンズ駆動部をさらに備えてもよい。前記視差量に基づいて奥行き分布情報を生成する奥行き分布情報生成部をさらに備えてもよい。
【0010】なお上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた発明となりうる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】以下に説明する本発明の光学装置は、各実施形態において一般的な画像撮影に用いられるほか、撮影された画像を利用して被写体までの距離を測定することができる。以下、本発明の実施の形態を説明する。本実施形態における光学装置は、その一例としてのデジタルカメラである。図1は実施の形態に係るデジタルカメラ10の構成を示す。このデジタルカメラ10は、主に撮像ユニット20、撮像制御ユニット40、処理ユニット60、表示ユニット100、および操作ユニット110を含む。
【0013】撮像ユニット20は、撮影および結像に関する機構部材および電気部材を含む。撮像ユニット20はまず、映像を取り込んで処理を施すレンズユニット22、絞り24、シャッタ26、光学LPF(ローパスフィルタ)28、受光部30、および撮像信号処理部32を含む。レンズユニット22は、フォーカスレンズやズームレンズ等により構成させてもよい。この構成により、被写体像が受光部30の受光面上に結像する。結像した被写体像の光量に応じ、受光部30の各センサエレメント(図示せず)に電荷が蓄積される(以下その電荷を「蓄積電荷」という)。蓄積電荷は、リードゲートパルスによってシフトレジスタ(図示せず)に読み出され、レジスタ転送パルスによって電圧信号として順次読み出される。受光部30は、受光面上に配置された複数の受光素子(図示せず)を有する。受光素子には、例えばCCD(電荷結合素子)が用いられる。
【0014】デジタルカメラ10は一般に電子シャッタ機能を有するので、機械式シャッタは必須ではない。電子シャッタ機能を実現するために、受光部30にシャッタゲートを介してシャッタドレインが設けられる。シャッタゲートを駆動すると蓄積電荷がシャッタドレインに掃き出される。シャッタゲートの制御により、各受光素子に電荷を蓄積するための時間、すなわちシャッタスピードを制御できる。
【0015】受光部30から出力される電気信号、すなわちアナログ信号は撮像信号処理部32でR、G、B成分に色分解され、まずホワイトバランスが調整される。つづいて撮像信号処理部32はガンマ補正を行い、必要なタイミングでR、G、B信号を順次A/D変換し、その結果得られたデジタルの画像データ(以下単に「デジタル画像データ」とよぶ)を処理ユニット60へ出力する。
【0016】撮像ユニット20はさらに、ファインダ34とストロボ36を有する。ファインダ34には図示しないLCDを内装してもよく、その場合、後述のメインCPU62等からの各種情報をファインダ34内に表示できる。ストロボ36は、コンデンサ(図示せず)に蓄えられたエネルギが放電管36aに供給されたときそれが発光することで機能する。
【0017】撮像制御ユニット40は、位置制御部240、撮像系CPU50、測距センサ52、および測光センサ54をもつ。位置制御部240は、ステッピングモータ等の駆動手段を有する。後述のレリーズスイッチ114の押下に応じ、測距センサ52は被写体までの距離を測定し、測光センサ54は被写体輝度を測定する。測定された距離のデータ(以下単に「測距データ」という)および被写体輝度のデータ(以下単に「測光データ」という)は撮像系CPU50へ送られる。撮像系CPU50は、ユーザから指示されたズーム倍率等の撮影情報に基づき、位置制御部240による制御を介してズーム倍率の調整を行う。撮像系CPU50は、1画像フレームのRGBのデジタル信号積算値、すなわちAE情報に基づいてシャッタスピードを決定する。決定された値にしたがい、撮像系CPU50は受光部30の電子シャッタ機能を制御する。
【0018】撮像系CPU50はまた、測光データに基づいてストロボ36の発光を制御する。ユーザが映像の取込を指示したとき、受光部30が電荷蓄積を開始し、測光データから計算されたシャッタ時間の経過後、蓄積電荷が撮像信号処理部32へ出力される。
【0019】処理ユニット60は、撮像信号処理部32から受け取るデジタル画像データを処理する。ここでいう処理には、デジタル画像を処理する行程を含むほか、単にデータをメモリに格納する行程も含む。処理ユニット60は、デジタルカメラ10全体、とくに処理ユニット60自身を制御するメインCPU62と、これによって制御されるメモリ制御部64、YC処理部70、オプション装置制御部74、圧縮伸張処理部78、通信I/F部80を有する。メインCPU62は、シリアル通信などにより、撮像系CPU50との間で必要な情報をやりとりする。メインCPU62の動作クロックは、クロック発生器88から与えられる。クロック発生器88は、撮像系CPU50、表示ユニット100に対してもそれぞれ異なる周波数のクロックを提供する。
【0020】メインCPU62には、キャラクタ生成部84とタイマ86が併設されている。タイマ86は電池でバックアップされ、つねに日時をカウントしている。このカウント値から撮影日時に関する情報、その他の時刻情報がメインCPU62に与えられる。キャラクタ生成部84は、撮影日時、タイトル等の文字情報を発生し、この文字情報が適宜撮影画像に合成される。
【0021】メモリ制御部64は、不揮発性メモリ66とメインメモリ68を制御する。不揮発性メモリ66は、EEPROM(電気的消去およびプログラム可能なROM)やFLASHメモリなどで構成され、ユーザによる設定情報や出荷時の調整値など、デジタルカメラ10の電源がオフの間も保持すべきデータが格納されている。不揮発性メモリ66には、場合によりメインCPU62のブートプログラムやシステムプログラムなどが格納されてもよい。一方、メインメモリ68は一般にDRAMのように比較的安価で容量の大きなメモリで構成される。メインメモリ68は、撮像ユニット20から出力されたデータを格納するフレームメモリとしての機能、各種プログラムをロードするシステムメモリとしての機能、その他ワークエリアとしての機能をもつ。不揮発性メモリ66とメインメモリ68は、処理ユニット60内外の各部とメインバス82を介してデータのやりとりを行う。
【0022】YC処理部70は、デジタル画像データにYC変換を施し、輝度信号Yと色差(クロマ)信号B−Y、R−Yを生成する。輝度信号と色差信号はメモリ制御部64によってメインメモリ68に一旦格納される。圧縮伸張処理部78はメインメモリ68から順次輝度信号と色差信号を読み出して圧縮する。こうして圧縮されたデータ(以下単に「圧縮データ」という)は、オプション装置制御部74を介してオプション装置76の一種であるメモリカードへ書き込まれる。
【0023】処理ユニット60はさらにエンコーダ72をもつ。エンコーダ72は輝度信号と色差信号を入力し、これらをビデオ信号(NTSCやPAL信号)に変換してビデオ出力端子90から出力する。オプション装置76に記録されたデータからビデオ信号を生成する場合、そのデータはまずオプション装置制御部74を介して圧縮伸張処理部78へ与えられる。つづいて、圧縮伸張処理部78で必要な伸張処理が施されたデータはエンコーダ72によってビデオ信号へ変換される。
【0024】オプション装置制御部74は、オプション装置76に認められる信号仕様およびメインバス82のバス仕様にしたがい、メインバス82とオプション装置76の間で必要な信号の生成、論理変換、または電圧変換などを行う。デジタルカメラ10は、オプション装置76として前述のメモリカードのほかに、例えばフロッピーディスク等の磁気記録媒体をサポートしてもよい。また、デジタルカメラ10は、オプション装置76として例えばPCMCIA準拠の標準的なI/Oカードをサポートしてもよい。その場合、オプション装置制御部74は、PCMCIA用バス制御LSIなどで構成してもよい。
【0025】通信I/F部80は、デジタルカメラ10がサポートする通信仕様、例えばUSB、RS−232C、イーサネットなどの仕様に応じたプロトコル変換等の制御を行う。通信I/F部80は、必要に応じてドライバICを含み、ネットワークを含む外部機器とコネクタ92を介して通信する。そうした標準的な仕様のほかに、例えばプリンタ等の外部機器との間で独自のI/Fによるデータ授受を行う構成としてもよい。
【0026】表示ユニット100は、LCDモニタ102とLCDパネル104を有する。それらはLCDドライバであるモニタドライバ106、パネルドライバ108によってそれぞれ制御される。LCDモニタ102は、例えば2インチ程度の大きさでカメラ背面に設けられ、現在の撮影や再生のモード、撮影や再生のズーム倍率、電池残量、日時、モード設定のための画面、被写体画像などを表示する。LCDパネル104は例えば小さな白黒LCDでカメラ上面に設けられ、画質(FINE/NORMAL/BASICなど)、ストロボ発光/発光禁止、標準撮影可能枚数、画素数、電池容量などの情報を簡易的に表示する。
【0027】操作ユニット110は、ユーザがデジタルカメラ10の動作やそのモードなどを設定または指示するために必要な機構および電気部材を含む。パワースイッチ112は、デジタルカメラ10の電源のオンオフを決める。レリーズスイッチ114は、半押しと全押しの二段階押し込み構造になっている。一例として、半押しで測距動作や測光動作がロックし、全押しで撮影画像の取込が行われ、必要な信号処理、データ圧縮等の後、メインメモリ68、オプション装置76等に記録される。ズームスイッチ118は、ズーム倍率を決める。操作ユニット110はこれらのスイッチの他、回転式のモードダイヤルや十字キーなどによる設定を受け付けてもよく、それらは図1において機能設定部116と総称されている。操作ユニット110で指定できる動作または機能の例として、「ファイルフォーマット」、「特殊効果」、「印画」、「決定/保存」、「表示切換」等がある。
【0028】以上の構成による主な動作は以下の通りである。まず、デジタルカメラ10のパワースイッチ112がオンされ、カメラ各部に電力が供給される。メインCPU62は、機能設定部116の状態を読み込むことで、デジタルカメラ10が撮影モードにあるか再生モードにあるかを判断する。
【0029】カメラが撮影モードにあるとき、メインCPU62はレリーズスイッチ114の半押し状態を監視する。半押し状態が検出されたとき、メインCPU62は測光センサ54および測距センサ52からそれぞれ測光データと測距データを得る。得られたデータに基づいて撮像制御ユニット40が動作し、レンズユニット22のピント、絞りなどの調整が行われる。調整が完了すると、LCDモニタ102に「スタンバイ」などの文字を表示してユーザにその旨を伝え、つづいてレリーズスイッチ114の全押し状態を監視する。レリーズスイッチ114が全押しされると、所定のシャッタスピードで受光部30の蓄積電荷が撮像信号処理部32へ掃き出される。撮像信号処理部32による処理の結果生成されたデジタル画像データはメインバス82へ出力される。デジタル画像データは一旦メインメモリ68へ格納され、この後YC処理部70と圧縮伸張処理部78で処理を受け、オプション装置制御部74を経由してオプション装置76へ記録される。記録された画像は、フリーズされた状態でしばらくLCDモニタ102に表示され、ユーザは撮影画像を知ることができる。以上で一連の撮影動作が完了する。
【0030】一方、デジタルカメラ10が再生モードの場合、メインCPU62は、メモリ制御部64を介してメインメモリ68から最後に撮影した画像を読み出し、これを表示ユニット100のLCDモニタ102へ表示する。この状態でユーザが機能設定部116にて「順送り」、「逆送り」を指示すると、現在表示している画像の前後に撮影された画像が読み出され、LCDモニタ102へ表示される。
【0031】図2は、デジタルカメラ10の機能ブロック図である。本実施形態の光学装置は、レンズ系200と受光部30と奥行き分布情報生成部302とレンズ駆動部304とを備える。レンズ系200は、第1、第2の視点を通して被写体像を結像する。レンズ駆動部304は、第1の視点と第2の視点との間でレンズ系200を移動させる。これにより、レンズ系200は第1の視点と第2の視点のそれぞれの位置から見た被写体像を結像することができる。レンズ系200およびレンズ駆動部304は、図1におけるレンズユニット22に相当する。受光部30は、レンズ系200を通して外界の光を受光する。受光部30における光電変換作用により2つの視点から見た被写体画像が得られる。これらの被写体画像間には、見かけの違いから視差が生じる。本実施形態における視差量は、被写体までの距離に比例する。奥行き分布情報生成部302は、視差量に基づいて奥行き分布情報を生成する。他の形態においては、レンズ系200を移動させるレンズ駆動部304を備えず、第1、第2の視点のそれぞれにレンズ系200を備えてもよい。
【0032】このように、本実施形態においては、視差量が等しくなる被写体がすべて等距離に位置するので、視差量を求めることにより被写体までの距離を容易に算出することができる。
【0033】次に、本発明の光学装置によるステレオ撮影を説明する前提として、f・tanθレンズおよびf・θレンズを用いたステレオ撮影を説明する。図3は、f・tanθレンズを用いたステレオ撮影を示す。本図に示すレンズ系202、204は、これらレンズ系の視野内にある被写体を結像した画像の像高をy、焦点距離をf、カメラ位置および被写体を結ぶ線と光軸とがなす角(以下、「方位角」という。)をθとしたときに、y=f・tanθという像高特性を有する。このような特性をもつレンズは、ひずみのない画像を撮影できるので一般的なカメラに多く用いられる。そして、このレンズ系202、204を用いてステレオ撮影した場合、複数の視点を通して結像したときの結像面に生じる視差量が等しくなる等視差面は、レンズ系202、204の光軸に直交する平面となる。すなわち、この等視差面上の各点A、A30、およびA60に対応する視差量をそれぞれId、Id30、およびId60とすると、Id=Id30=Id60となる。
【0034】ここで、各点A、A30、およびA60のそれぞれから基点B(レンズ系202の位置とレンズ204の位置との中間点)までの距離は異なる。すなわち、点Aθの位置が光軸から離れるほど、点Aθから点Bまでの距離は遠くなる。このように、等視差面はカメラ位置(基点B)からの等距離面ではない。
【0035】f・tanθレンズを用いたステレオ撮影による測距は、例えばカメラのオートフォーカス機能に用いる目的であれば問題にならない。オートフォーカスにおいては、等視差面(焦点面)までの距離を用いて焦点調節をするからである。しかし、f・tanθレンズを通して得られる視差量は被写体までの距離に比例しないので、f・tanθレンズを用いた正確な距離の算出は容易でない。
【0036】図4は、f・θレンズを用いたステレオ撮影を示す。本図に示すレンズ系206、208は、これらレンズ系の視野内にある被写体を結像した画像の像高をy、焦点距離をf、方位角をθとしたときに、y=f・θという像高特性を有する。このような特性をもつレンズを用いて撮影すると、180°に近い画角のいわゆる全方位画像が得られる。そして、このレンズ系206、208を用いてステレオ撮影した場合、等視差面はレンズ系206の位置とレンズ系208の位置とから等距離にある所定の点Oを中心にした球面となる。すなわち、この等視差面上の各点A、A30、およびA60に対応する視差量をそれぞれId、Id30、およびId60とすると、Id=Id30=Id60となる。
【0037】本実施形態における等視差面は、人間の目で例えると、両眼視差がゼロとなる点の軌跡であり、一般にホロプタ(Horopter)とよばれる。この等視差面は点Oからの等距離面であるが、カメラ位置からの等距離面ではない。図に示すように、各点A、A30、およびA60のそれぞれから基点B(レンズ系206の位置とレンズ系208の位置との中間点)までの距離は異なる。そして、点Aθの位置が光軸から離れるほど、点Aθから点Bまでの距離は近くなる。このように、等視差面はカメラ位置(基点B)からの等距離面ではない。
【0038】f・θレンズを用いたステレオ撮影による測距は、f・tanθレンズを用いた場合と同様、カメラのオートフォーカス機能に用いる目的であれば問題にならない。しかし、f・θレンズを通して得られる視差量は被写体までの距離に比例しないので、f・θレンズを用いた正確な距離の算出は容易でない。
【0039】以下、上記の内容を前提に本発明の光学装置を用いたステレオ撮影を説明する。図5は、本実施形態における光学装置を用いたステレオ撮影を示す。本実施形態の光学装置においては、外界を第1、第2の視点を通して結像したときの結像面に生じる視差量が等しくなる等視差面と、この光学装置からの等距離面とがほぼ一致する。第1、第2の視点のそれぞれにレンズ系(レンズ系210、212)が設けられる。なお、特許請求の範囲および発明の詳細な説明において用いられる「レンズ系」の語は、単一光軸をもつ単数または複数の光学素子を意味する。例えば、図5におけるレンズ系210やレンズ系212は、それぞれがひとつの「レンズ系」であり、レンズ系210、212のそれぞれを複数枚のレンズを接合して形成させてもよい。
【0040】本実施形態の光学装置からの等距離面は、例えば第1の視点と第2の視点との中間点を基点とする球面であってもよい。図5において、レンズ系210の中心点(点C)とレンズ系212の中心点(点D)との中間点である基点Bを中心とした半径rの円弧が等距離面を示す。そして、等視差面が等距離面とほぼ一致する特性をレンズ系210、212にもたせる。ここで、光学装置の位置(点B)および被写体を結ぶ線と光軸とがなす角(以下、「方位角」という。)をθとする。また、等視差面上の被写体位置を示す点Aθおよびレンズ系210を結ぶ線と点Aθおよびレンズ系212を結ぶ線とがなす角(以下、「視差角」という。)をαθとする。等視差面上の各点A、A30、A60に対応する視差角をそれぞれα、α30、α60とすると、これらの視差角αθはα>α30>α60の関係となる。すなわち、点Aが光軸から遠いほど、その視差角αθは小さい。以下に、視差角αθと方位角θとの関係を明らかにする。
【0041】図に示すような点Bを原点(0,0)とする座標系(z,y)をとる場合、レンズ系210、212の位置を示す点C、Dの座標は、C=(0,−d)、D=(0,d)となる。点Aの座標は、A=(−r,0)となる。点Aθ(ただし、θ=0°〜90°)は、半径rの円弧上の点なので、点Aθの座標は、Aθ=(−r・cosθ,r・sinθ)となる。したがって、被写体から各視点に向かうベクトルは、【数3】

となる。そして、視差角αθは、2つのベクトルがなす角を求める公式より、次式で表される。
【数4】

【0042】ここで、右辺の分子および分母を展開すると、【数5】

となる。したがって、α(θ)は次式のような詳細な式で示すことができる。
【数6】

【0043】図6は、α(θ)とθとの関係を示すグラフである。グラフに示される通り、α(θ)の値は、rとdの比によって帯域が決まるが、いずれの場合も同様のカーブとなる。そこで、θ=0のときのα(θ)、すなわちα(0)で正規化すると、α(θ)=α(θ)/α(0)となる。このα(θ)は、α(0)を1とした場合における、被写体の方位角θに対する視差角αの減少率を示す。
【0044】図7は、dをパラメータにしたα(θ)とθとの関係を示すグラフである。図に示すとおり、パラメータであるdを小さいほど、曲線はcosθの曲線に近似する。r>>dであると仮定すれば、α(θ)≒cosθとすることができる。すなわち、方位角θの増大に伴って、視差角αはcosθ状に減少する。本実施形態のレンズ系に、視差角αの減少分を補正する像高特性をもたせるならば、補正分1/α(θ)を積分する形の像高特性を与えればよい。すなわち、補正量α(θ)は、【数7】

となる。また、被写体までの距離と2つの視点の間隔とが、r>>dの関係となる配置であれば、α(x)にcosxを代入することができる。
【0045】図8は、各種レンズの像高特性を示すグラフである。このグラフは、縦軸が像高y、横軸が方位角θであり、パラメータは各種レンズの像高特性である。パラメータに用いる各種レンズは、f・tanθレンズ、f・θレンズ、および本実施形態のレンズ系である。0°<θ<90°の範囲において、本実施形態のレンズ系の像高yの値は、f・θ<y<f・tanθとなる。このレンズ系の像高特性を示すy=f・α(θ)の曲線は、y=f・tan(θ)の曲線とy=f・θの曲線との間に位置する。すなわち、本実施形態のレンズ系は、f・tanθレンズとf・θレンズとの間の像高特性を有する。
【0046】このように、本実施形態における光学装置は、f・tanθレンズとf・θレンズとの中間的な像高特性を有するレンズ系を備えるので、f・tanθレンズやf・θレンズよりも、高い精度で被写体までの距離を測定することができる。また、本実施形態のレンズ系は、上述したf・α(θ)の像高特性を有するので、被写体像が結像されたときの結像面に現れる視差量が被写体までの距離に対して比例する。したがって、視差量が求まれば被写体までの距離を容易に算出することができる。
【0047】なお、特許請求の範囲および発明の詳細な説明の中で、本実施形態における光学装置が備えるレンズ系は第1、第2の視点をもつこととしているが、さらに第3またはそれ以上の視点をもってもよい。また、これまで本発明の光学装置をデジタルカメラに応用した実施形態を説明したが、他の形態としては、本発明の光学装置を銀塩カメラに応用してもよい。この場合、上記の像高特性を有するレンズ系を備えた銀塩カメラは、被写体像を第1、第2の視点を通して銀塩フイルムに撮像する。
【0048】本実施形態の光学装置は、物体までの正確な距離の測定を要する様々な装置や機能に応用することができる。例えば、物体までの距離の情報に基づいて照明光の強度を調整する機能をもつカメラに応用してもよい。例えば、物体までの距離の情報に基づいて位置制御されるアーム機構を備えたロボットに応用してもよい。例えば、物体までの距離の情報に基づいて塗料を射出する強さを制御する塗装装置に応用してもよい。
【0049】以上のように、本実施形態によれば、視差量が等しくなる被写体がすべて等距離に位置するので、視差量を求めることにより被写体までの距離を容易に算出することができる。
【0050】また、本実施形態の光学装置は、f・tanθレンズとf・θレンズとの中間的な像高特性を有するレンズ系を備えるので、f・tanθレンズやf・θレンズよりも、高い精度で被写体までの距離を測定することができる。
【0051】また、本実施形態におけるレンズ系は、上述したf・α(θ)の像高特性を有するので、被写体像が結像されたときの結像面に現れる視差量が被写体までの距離に対して比例する。したがって、視差量が求まれば被写体までの距離を容易に算出することができる。
【0052】以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることができる。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【発明の効果】上記説明から明らかなように、本発明によれば被写体画像に基づいて被写体までの距離を測定することができる。
【出願人】 【識別番号】000005201
【氏名又は名称】富士写真フイルム株式会社
【出願日】 平成11年11月10日(1999.11.10)
【代理人】 【識別番号】100104156
【弁理士】
【氏名又は名称】龍華 明裕
【公開番号】 特開2001−141448(P2001−141448A)
【公開日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【出願番号】 特願平11−320379