| 【発明の名称】 |
光ジャイロ及びこれを用いる回転方向の検知方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】水谷 夏彦
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| 【要約】 |
【課題】光取り出し部の挿入損失が小さく、発振しきい値が小さく、組立て誤差の許容範囲の広い光ジャイロ素子を提供する。
【解決手段】方向性結合器12で反時計回りのレーザモード19から取り出された光は、光取り出し部14から出射される。また、方向性結合器12で時計回りのレーザモード18から取り出された光は、全反射ミラー13で折返されたのちに光取り出し部15から出射される。これらの光取り出し部の光導波路も方向性結合器と同様に電流注入によって光利得を与えられて吸収損失を補う。光取り出し部14と15は、平行な位置関係に対してわずかに内側を向いており、ホトディテクタ16と17の近傍で取り出した光の強度が強くなる。ホトディテクタ16,17の近傍では2つの出力光が干渉縞を形成する。2つのホトディテクタ16と17の中心の間隔は干渉縞パタンのピッチΛの(N/2+1/4)倍(Nは整数)である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 励起手段とリング形状の共振器と共振器の一部である光取り出し部とを有する半導体リングレーザと、前記光取り出し部から得た光を導波路外へ出射する出力部と、出力部から得られる2つの光が重なる位置に置かれた複数の受光素子とを有することを特徴とする光ジャイロ。 【請求項2】 前記光取り出し部が、方向性結合器であることを特徴とする請求項1記載の光ジャイロ。 【請求項3】 前記光取り出し部が、マルチモード干渉計であることを特徴とする請求項1記載の光ジャイロ。 【請求項4】 前記光取り出し部が、低屈折率層と半導体層からなる多層膜反射鏡であり、該反射鏡がリング共振器の導波路の屈曲部に位置して該導波路間を光学的に接続することを特徴とする請求項1記載の光ジャイロ。 【請求項5】 前記複数の受光素子が、アレイ状に形成された受光素子群であることを特徴とする請求項1記載の光ジャイロ。 【請求項6】 前記複数の受光素子として、CCDアレイを有することを特徴とする請求項1記載の光ジャイロ。 【請求項7】 前記複数の受光素子として、リングレーザと同一の層構成のレーザ素子を用いることを特徴とする請求項1記載の光ジャイロ。 【請求項8】 前記複数の受光素子からの光強度信号によって、受光素子の位置に形成された干渉縞パタンの変調周期と移動方向を検知してこれから角速度と回転方向を得ることを特徴とする請求項1記載の光ジャイロ。 【請求項9】 前記複数の受光素子の少なくとも二つの間隔が前記干渉縞パタンのピッチの整数倍とは異なっていることを特徴とする請求項8記載の光ジャイロ。 【請求項10】 前記アレイ状の受光素子群からの光強度信号によって、アレイ素子の位置に形成された干渉縞パタンの移動の速度と方向を検知してこれから角速度と回転方向を得ることを特徴とする請求項5記載の光ジャイロ。 【請求項11】 励起手段とリング形状の共振器と共振器の一部である光取り出し部とを有する半導体リングレーザと、前記光取り出し部から得た光を導波路外へ出射する出力部と、出力部から得られる2つの光が重なる位置に置かれた複数の受光素子を有することを特徴とする光ジャイロにおいて、前記複数の受光素子からの光強度信号によって、受光素子の位置に形成された干渉縞パタンの変動周期と移動方向を検知してこれから角速度と回転方向を得ることを特徴とする光ジャイロの回転方向検知方法。 【請求項12】 励起手段とリング形状の共振器と共振器の一部である光取り出し部とを有する半導体リングレーザと、前記光取り出し部から得た光を導波路外へ出射する出力部と、出力部から得られる2つの光が重なる位置に置かれた複数の受光素子を有することを特徴とする光ジャイロにおいて、前記複数の受光素子からの光強度信号によって、アレイ素子の位置に形成された干渉縞パタンの移動の速度と方向を検知してこれから角速度と回転方向を得ることを特徴とする光ジャイロの回転方向検知方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明が属する技術分野】本発明は、光ジャイロ及びこれを用いた回転方向の検出方法に関し、特に、半導体リングレーザを用いて回転を検知する光ジャイロ装置とその駆動、信号処理に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、物体の回転、すなわち角速度を検知するジャイロとしては、回転子や振動子をもつ機械的ジャイロや、光ジャイロが知られている。光ジャイロは、瞬間起動が可能でダイナミックレンジが広いため、ジャイロ分野で革新をもたらしつつある。光ジャイロには、リングレーザ型ジャイロ、光ファイバジャイロ、受動型リング共振器ジャイロなどがある。ガスレーザを用いたリングレーザ型ジャイロはすでに航空機などで実用化されている。また、小型で高精度なリングレーザ型ジャイロとして、半導体基板上に集積された半導体レーザジャイロは、たとえば、特開平5−288556号公報に開示されている。 【0003】このような、レーザジャイロの信号処理しとては、周波数−電圧変換回路によって、出力信号の振動周波数を電圧信号に変換する方法がある。又、周波数−電圧変換回路には、アナログ信号を処理するもの、信号を二値化してパルス数を数えるもの等がある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のリングレーザ型ジャイロは、そのままの出力信号からは回転方向の検知ができず、微小回転振動(ディザ)を加えて、ディザと信号の相関から回転方向を検知していた。 【0005】また、リングレーザ素子から光を取り出して別の素子で受光するリングレーザジャイロにおいては、光取り出し部での後方散乱が、時計回りの光と反時計回りの光の間に光学的な結合をもたらし、小さな角速度の領域でロックイン現象が生じていた。これは、時計回りの光と反時計回りの光の間の結合のために、発振周波数が一方のモードの周波数に引き込まれ、信号が出力されない、というものであった。 【0006】そこで、本発明の第1の課題は、機械的な微少振動(ディザ)を印加することなく回転方向を検知するリングレーザジャイロを提供することである。 【0007】本発明の第2の課題は、光取り出し部の挿入損失を抑えて発振しきい値の小さなリングレーザジャイロを提供することである。 【0008】本発明の第3の課題は、電気的な補正が可能で素子の組立て誤差の許容範囲の広い光ジャイロ素子を提供することである。 【0009】本発明の第4の課題は、全構成要素を基板上にモノリシックに形成でき、回転方向検知できるリングレーザジャイロを提供することである。 【0010】本発明の第5の課題は、干渉縞ピッチの変動の影響を受けないリングレーザジャイロを提供することである。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するための本発明の光ジャイロは、励起手段とリング形状の共振器と共振器の一部である光取り出し部とを有する半導体リングレーザと、前記光取り出し部から得た光を導波路外へ出射する出力部と、出力部から得られる2つの光が重なる位置に置かれた複数の受光素子とを備えている。 【0012】又、本発明の回転方向の検知方法においては、上述した光ジャイロを用いて、前記複数の受光素子からの光強度信号によって、受光素子の位置に形成された干渉縞パタンの変動周期と移動方向を検知してこれから角速度と回転方向を得るようにしている。 【0013】又、本発明の回転方向の検知方法においては、上述した光ジャイロを用いて、前記複数の受光素子からの光強度信号によって、アレイ素子の位置に形成された干渉縞パタンの移動の速度と方向を検知してこれから角速度と回転方向を得るようにしている。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、数式を参照して本発明の実施の形態に突いて説明する。 【0015】[実施形態1]実施形態1においては、光ジャイロは、励起手段とリング形状の共振器と共振器の一部である光取り出し部とを有する半導体リングレーザと、前記光取り出し部から得た光を導波路外へ出射する出力部と、出力部から得られる2つの光が重なる位置に置かれた複数の受光素子を有する。 【0016】上記構成において、電流注入によって利得の生じたリング共振器内では、時計回りの周回モードと反時計回りの周回モードが独立に存在ている。素子が慣性系に対して角速度を持たない場合には、この右回りモードと左回りモードの発振周波数に差はなく、活性層の利得ピーク波長の共振器モードでのレーザ発振となっている。 【0017】このリング共振器の光取り出し部において時計回りの光の一部と反時計回りの光の一部とをリング共振器外に取り出し、出力部から放射する。所定の場所、すなわち観察面において、これら時計回り及び反時計回りの光が重なって到達し、干渉縞を形成する。 【0018】簡単のために、観察面が光出力手段から離れていて、それぞれの光が平行ビームとして扱える場合を考える。2つのビームが観察面の法線に対してそれぞれ角度±ε/2だけ傾いて入射するとき、入射面と観察面の交わりをX軸とし、時計回りの光がX軸の正の方向から、反時計回りの光がX軸の負の方向から入射する場合に、観察面上での光強度分布Iは、次の式で表される。 【0019】I=Io(1+cosΦ) ここに、Φ=2πεX/λ+2π(f1-f2)tここで、λは半導体レーザジャイロが静止しているとき光の波長、f1,f2はそれぞれ時計回りの光の発振周波数と反時計回りの光の発振周波数である。半導体レーザジャイロが静止している場合にはf1=f2なので干渉縞は時間変化がない。また、干渉縞のピッチはλ/εで表されることがわかる。 【0020】ここで、半導体レーザジャイロが角速度Ωで時計回りに回転すると、時計回りの第1のレーザ光の発振周波数は、非回転時と比べて、Δf1=2SΩ/λLだけ減少する。ここでSはリング共振器の囲む面積、Lはレーザの光路長である。また同時に、時計回りの第2のレーザ光の発振周波数は、非回転時と比べて、Δf2=2SΩ/λLだけ増加する。このとき、光強度分布Iは、ビート周波数(f2−f1)=4SΩ/λLで振動し、干渉縞パタンは、xの正の方向に移動していく。 【0021】また、レーザジャイロが反時計回りに回転すると、ビート周波数(f1−f2)=4SΩ/λLで振動し、干渉縞は、xの負の方向に移動していく。 【0022】2つの光がそれぞれ平行ビームではない場合も、強度分布Iで表された干渉縞ピッチは不等間隔となるが、ビートに応じた干渉縞の移動が見られるということは変わらない。 【0023】そこで観察面上に、干渉縞のピッチと異なる間隔で複数の受光素子を配置して位相の異なる光強度振動を検知することで、振動周波数から回転の角速度の絶対値を知り、この振動の位相差から干渉縞の移動方向を検知することができる。それゆえ、回転方向の検知できるリングレーザジャイロとなる。 【0024】[実施形態2]実施形態2においては、光取り出し部が、方向性結合器である。 【0025】上記構成において方向性結合器は、リング共振器のレーザモード光の所望の割合をリング共振器内にとどめ、残りをリング共振器外に取り出す光分岐素子として機能する。方向性結合器内では導波方向に光が進行するとともに2つの導波路間でパワーの分配比率が変化していくが、方向性結合器の結合長を、レーザの利得ピーク付近の波長では大部分の光がリング共振器内にとどまるように選定することで、レーザモードに対する方向性結合器の損失を抑えて発振しきい値の小さな低駆動電流の光ジャイロとすることができる。 【0026】[実施形態3]実施形態3においては、光取り出し部が、マルチモード干渉計である。 【0027】上記構成においてマルチモード干渉計は、リング共振器のレーザモード光の所望の割合をリング共振器内にとどめ、残りをリング共振器外に取り出す光分岐素子として機能する。特にマルチモード導波路の幅の変化するテーパ状マルチモード導波路を複数接続することで、接続部に位相シフトを与えて、出力の分岐比を任意に制御できることが知られている。レーザの利得ピーク付近の波長では大部分の光がリング共振器内にとどまるように設計したマルチモード干渉計を用いることで、リングレーザモードに対する損失を抑えて発振しきい値の小さな低駆動電流の光ジャイロとすることができる。 【0028】[実施形態4]実施形態4においては、光取り出し部が、低屈折率層/半導体層の多層膜反射ミラーであることを特徴とする。 【0029】上記構成において低屈折率層/半導体層の多層膜反射ミラーは、リング共振器のレーザモード光の所望の割合をリング共振器内にとどめ、残りをリング共振器外に取り出す光分岐素子として機能する。レーザの利得ピーク付近の波長で高反射率となるような多層膜反射ミラーによって大部分の光がリング共振器内にとどまるようにして、リングレーザモードに対する損失を抑えて発振しきい値の小さな低駆動電流の光ジャイロとすることができる。 【0030】[実施形態5]実施形態5においては、複数の受光素子が、アレイ状に形成された受光素子群、又はCCDアレイである。 【0031】上記構成において、受光素子を2つ以上のアレイ状の受光素子ないしCCDアレイとすることで、補間などの信号処理が可能となり、受光素子の位置する観察面上での干渉縞のピッチが設計と異なる場合にも信号処理によって感度よく干渉縞の移動方向を検知することが可能になる。すなわち、受光素子の位置が設計上の観察面からずれても電気的に補縞のピッチが設計と異なる場合にも信号処理によって感度よく干渉縞の移動方向を検知することが可能になる。すなわち、受光素子の位置が設計上の観察面からずれても電気的に補正が可能になり、素子の組立て誤差の許容範囲を広くすることができる。 【0032】[実施形態6]実施形態6においては、複数の受光素子として、リングレーザと同一の層構成を用いたるか、又は、リングレーザと同一の層構成のレーザ素子を用いる。 【0033】上記構成によって、リング共振器レーザと、出力光の伝播方向を変換する光学素子と、受光素子とが同一の層構成となるので、全構成要素を容易にモノリシック形成できる。 【0034】[実施形態7]実施形態7においては、複数の受光素子からの光強度信号によって、受光素子の位置に形成された干渉縞パタンの変動周期と移動方向を検知してこれから角速度と回転方向を得る。 【0035】上記構成において、上述した光強度分布I、Δf1、Δf2の各式からわかるように、各受光素子における光強度信号の変動周期から素子の角速度を知ることができ、また複数の受光素子での光強度信号の変動の位相差から干渉縞パタンの移動の方向、すなわち回転方向を検知することができる。 【0036】[実施形態8]実施形態8においては、複数の受光素子の少なくとも二つの間隔が前記干渉縞パタンのピッチの整数倍とは異なっている。 【0037】上記構成において、干渉縞ピッチの整数倍とは異なる間隔で設けた複数の受光素子から得られる光強度信号は、同じ振動周期で時間変化し、かつ信号の位相が異なっているので、この位相差から回転方向を検知できる。 【0038】より具体的には、ふたつの受光素子を中心の間隔が干渉縞パタンのピッチΛのN/2+1/4倍(Nは整数)となるように置かれている場合を例にとって説明する。第1の受光素子の位置のx座標を−Λ/4、第2の受光素子の位置のx座標を2Λとすると、第1の受光素子から干渉縞パタンのsin(2π(f1−f2)t)に相当する信号が、第2の受光素子からcos(2π(f1−f2)t)とに相当する信号が得られることがわかる。この結果、第2の受光素子での光強度が極大近くのときに、第1の受光素子での光強度が増加している場合には干渉縞がxの負の方向に移動しており、第1の受光素子での光強度が減少している場合には干渉縞がxの正の方向に移動していることがわかる。 【0039】[実施形態9]実子形態9においては、光の重なる位置に置かれたアレイ状の受光素子群からの光強度信号によって、この受光素子群の位置に形成された干渉縞パタンの移動の速度と方向を検知してこれから角速度と回転方向を得るようにしている。 【0040】上記構成において、アレイ状の素子で干渉縞パタンを受光し、この強度信号を信号処理をして干渉縞パタンを表す関数をえる。その時間変化を調べることで干渉縞パタンの移動の速度と方向を検知し、角速度と回転方向が得られる。等間隔ではない干渉縞パタンが形成される場合にも有効である。 【0041】また、素子温度が変化して、レーザの発振波長が変動して干渉縞ピッチが変動するような場合にも、常に同じ信号処理が可能である。 【0042】[実施形態10]実施子形態10においては、複数の受光素子からの光強度信号によって、受光素子の位置に形成された干渉縞パタンの変動周期と移動方向を検知してこれから角速度と回転方向を得るようにしている。 【0043】上記構成において、干渉縞ピッチの整数倍とは異なる間隔で設けた複数の受光素子から得られる光強度信号は、同じ振動周期で時間変化し、かつ信号の位相が異なっているので、この位相差から干渉縞パタンの移動方向を得て回転方向を検知できる。 【0044】[実施形態11]実施形態11においては、複数の受光素子からの光強度信号によってアレイ素子の位置に形成された干渉縞パタンの移動の速度と方向を検知してこれから角速度と回転方向を得るようにしている。 【0045】上記構成において、アレイ状の素子で干渉縞パタンを受光し、この強度信号を信号処理をして干渉縞パタンを表す関数をえる。その時間変化を調べることで干渉縞パタンの移動の速度と方向を検知し、角速度と回転方向が得られる。等間隔ではない干渉縞パタンが形成される場合にも有効である。また、素子温度が変化して、レーザの発振波長が変動して干渉縞ピッチが変動するような場合にも、常に同じ信号処理が可能である。 【0046】 【実施例】[第1の実施例]図1(a)は、第1の実施例の光ジャイロの平面図である。10は光ジャイロであり、11はリング共振器型半導体レーザ素子、12は導波路の一部に設けた方向性結合器、13は全反射ミラー、14と15は光取り出し部、16と17はホトディテクタである。リング共振器型半導体レーザ素子では18に示す時計回りの周回モードと19に示す反時計回りの周回モードが存在している。方向性結合器12において、入力光121と出力光122と123がある。 【0047】図1(b)は、リング共振器型半導体レーザ素子11と方向性結合器12、出力部14,15及びホトディテクタ16,17の断面図である。このような断面構造を有する半導体多層構造を有機金属気相成長法によって成膜した。 【0048】すなわち、n−InP基板102上に、1.3μm組成のノンドープInGaAsP光ガイド層103(厚さ0.15μm)、1.55μm組成のアンドープInGaAsP活性層104(厚さ0.1μm)、1.3μm組成のノンドープInGaAsP光ガイド層105(厚さ0.15μm)、p−InPクラッド層106(厚さ1.5μm)p−InGaAsキャップ層107を結晶成長した。フォトレジストを塗布し、マスクパタンを露光、現像して導波路形状とミラー形状のレジストパタンを形成した。塩素ガスを用いたリアクティブイオンエッチングによって、高さ3μmのハイメサ形状のリッジ導波路とホトディテクタ部方向性結合器を形成した。Cr/Auをリッジ導波路上部とホトディテクタ上に蒸着して、p−電極108とした。ウェハの下側にはAuGe/Auを蒸着してn−電極101とした。水素雰囲気中でアロイ化して、p−,n−の電極をオーミック接触とした。 【0049】次に、リング共振器型半導体素子11のレーザ発振について説明する。半導体層と空気では屈折率が異なるため、界面では反射が生じる。半導体層の屈折率が3.5であれば、半導体と空気の界面に対する法線とレーザ光のなす角が16.6度以上となるときに全反射となる。リング共振器型レーザ素子11では、導波路折れ曲がり部のコーナーミラーにおいて導波路と半導体/空気界面の法線のなす角が45度となっており、全反射条件を満たしている。全反射されるモードは他のモードと比べてミラー損失分だけしきい値利得が小さくなるので、低注入電流レベルでレーザ発振する。また、この発振モードに対する利得の集中によって、その他のモードの発振を抑圧する。 【0050】本実施例の半導体レーザ素子11はしきい値15mAでレーザ発振した。 【0051】リング共振器では、時計回りの周回モード18と反時計回りの周回モード19とが独立に存在している。光ジャイロが慣性系に対して角速度を持たない場合には、この時計回りのモードと反時計回りのモードの発振周波数に差はなく、活性層の利得ピーク波長でのレーザ発振となっている。また、光ジャイロがある角速度で回転しているときには、時計回りの周回モード18の発振周波数と反時計回りの周回モード19の発振周波数に差が出る。 【0052】方向性結合器12は、リング共振器でレーザ発振する光の一部を取り出す。吸収損失を補うために方向性結合器12にはリング共振器の発振しきい値電流密度以下の電流注入によって利得を与えている。 【0053】反時計回りのレーザモード19が入力光121として方向性結合器12の左側から入射すると、方向性結合器の右側の二つの導波路では、リング共振器内にとどまる出力光122とリング共振器外に取り出される出力光123とが得られる。方向性結合器の結合長Lを調整することで出力光122と123の比率を変えることができる。また、この比率は波長分散を示すので、活性層の利得ピーク波長では、出力光122と出力光123の分岐比率が例えば20:1などと大部分の光が出力光122となるような方向性結合器を作製することができる。この場合にリング共振器型半導体素子11における損失、すなわち方向性結合器の挿入損失が小さく、低しきい値でのレーザ発振を得やすくなる。 【0054】このとき、時計回りのレーザモード18が同様に方向性結合器に右側から入射して、大部分の光はリング共振器内にとどまり、一部の光が共振器から取り出される。このときの分岐比率は方向性結合器に左から入射した場合の比率と同じである。リングレーザの発振周波数が回転によって変化した場合でも、方向性結合器の分岐特性の波長分散はそれほど急峻ではなく実質的には分岐比率には影響しない。 【0055】方向性結合器12で反時計回りのレーザモード19から取り出された光は、光取り出し部14から出射される。また、方向性結合器12で時計回りのレーザモード18から取り出された光は、全反射ミラー13で折返されたのちに光取り出し部15から出射される。これらの光取り出し部の光導波路も方向性結合器と同様に電流注入によって光利得を与えられて吸収損失を補っている。 【0056】光取り出し部14と15は、平行な位置関係に対してわずかに内側を向いており、ホトディテクタ16と17の近傍で取り出した光の強度が強くなる。ホトディテクタ16,17の近傍では2つの出力光が干渉縞を形成する。ホトディテクタ16と17は逆バイアスを印加してあり、入射光に応じた電流を取出すことができる。2つのホトディテクタ16と17は、中心の間隔が上記干渉縞パタンのピッチΛの(N/2+1/4)倍(Nは整数)となるように置かれている。この配置によって、干渉縞パタンのcos(2π(f1−f2)t)に相当する信号と、sin(2π(f1−f2)t)とに相当する信号が得られるので、信号処理によって干渉縞パタンの移動方向、すなわちf1とf2の大小関係がわかり、回転方向を検知できる。また、干渉縞の振動の周期から、回転の角速度が分かる。あるいは、干渉縞パタンの移動速度Λ・(f1−f2)から回転の角速度がわかる。 【0057】さて、光ジャイロが、カメラの手振れや自動車の姿勢変化によって30度毎秒の角速度で時計回りに回転したときには、レーザ光の発振周波数f1は200Hz増加し、f2の発振周波数は、200Hz減少した。ホトディテクタ14,15では、400Hzの信号を検知し、これから回転速度と回転方向を得た。 【0058】ホトディテクタ14,15は順バイアス印加として、インピーダンス変化を検知してもよい。 【0059】この実施例では半導体材料としてInGaAsP/InP系を用いたが、GaAs系、ZnSe系、InGaN系などの電流注入によってレーザ発振させることのできる材料であっても構わない。 【0060】[第2の実施例]図2(a)(b)は、それぞれ、第2の実施例の光ジャイロの平面図及び断面図である。20は本発明による光ジャイロ素子であり、21はリング共振器型半導体レーザ素子、22はマルチモード干渉計、23は導波路に設けた全反射ミラー、24は導波路の交差部、25,26は光取り出し部、27はアレイ状のホトディテクタであり、リング共振器型半導体レーザ素子21の基板の劈開端面に接して基板よりも上側に受光部を設けて固定されている。リング共振器型半導体レーザ素子21では28に示す時計回りの周回モードと29に示す反時計回りの周回モードが存在している。 【0061】リング共振器型半導体レーザ素子の構成と動作は、第1の実施例と同様である。 【0062】マルチモード干渉計22は、以下のようにして一定の比率の光を分岐してリング共振器から取り出す。素子長Lと入力ポートの位置を適切に選んだマルチモード干渉計では、各ポートへの入力はすべての出力ポートに結合される。均一な幅のマルチモード導波路部を有する干渉計による2×2カプラに光を入力した場合には、1:1,0:1,15:85,28:72などの分岐比の得られることが知られている。さらに、図のようにマルチモード導波路の幅にテーパを与えたものを接続した場合には、接続部で生じる位相シフトによって2×2カプラの分岐比を制御することができるので、テーパ幅をパラメータとした設計が可能となることも知られている。そこで、リング共振器レーザの共振器にたいするマルチモード干渉計の挿入損失が大きくならないように分岐比を設定できる。例えば、マルチモード干渉計22への入射光221の94%は出射光222としてリング共振器内にとどまり、6%が出射光223としてリング共振器から取り出されるのである。このとき同様にマルチモード干渉計22に入射した時計回りの光も、94%がリング共振器内にとどまり、6%が取り出される。 【0063】マルチモード干渉計から取り出した光を全反射ミラー23で光路を折返して出射部に導く。時計回りの周回モード28からマルチモード干渉計によって取出された光は全反射ミラー23で光路を折返して光取り出し部25から出射される。また反時計回りの周回モード29からマルチモード干渉計によって取出された光は導波路の交差部24を通過して、光取り出し部26から出射される。 【0064】これらの光は、光ジャイロ素子の基板の端面において干渉縞を形成する。アレイ状のホトディテクタ27の素子間隔は、受光面への入射角とレーザ波長から定まる干渉縞ピッチの1/2よりも小さくなっている。ホトディテクタ27で干渉縞をモニタし、この出力を信号処理して干渉縞パタンを得ることができる。この干渉縞パタンの移動の方向と速度を検出した。これにより回転方向と角速度を得た。 【0065】素子がAlGaAs系材料などからなっていて、発振波長がシリコンのCCDが感度を有する波長の場合には、安価なCCDアレイ素子によって干渉縞パタンを観測してもよい。 【0066】[第3の実施例]図3(a)(b)は、それぞれ、第3の実施例の光ジャイロの平面図及び断面図である。30は光ジャイロであり、31はリング共振器型半導体レーザ素子、32は低屈折率層/半導体層多層膜反射ミラーである。これらは、第1の実施例と同様の層構成からなっている。また33はアレイ状ホトディテクタである。 【0067】低屈折率層/半導体層多層膜反射ミラー32は、レーザの発振波長λにたいして、(λ/(4neff))×(2j+1)(j=0,1,2,…)の厚さの半導体部分と(λ/4n)×(2k+1)(k=0,1,2,…)の厚さの低屈折率部分との繰り返しからなる。レーザの活性層を含む半導体層での吸収損失を低減するためには、半導体層の厚さは小さい方がよい。また、導波構造のない低屈折率層部での光の広がりによる損失を抑えるためには、この層も薄いことが望まれる。例えば、3λ/4neffの半導体層と、3λ/4nの低屈折率層からなる構造を作製した。半導体層上にSiN膜とホトレジスト膜を形成し、EB描画によってホトレジスト上に形成したパタンを、ドライエッチングによってSiN膜に転写し、塩素ガスを用いたリアクティブイオンエッチングによって、下側クラッドまで到達する溝を形成して多層膜ミラーを形成した。 【0068】低屈折率層/半導体層多層膜反射ミラー32に対して2つの導波路が垂直から傾いて接続する。多層ミラーに対する入射角は、半導体層から低屈折率層への界面で全反射条件とならない小さな角度を選定している。半導体層の屈折率が3.5、低屈折率層が空気(屈折率は1.0)の場合、入射角16.6度以上が全反射条件となるので、多層膜反射ミラー部ではこれより小さな入射角としている。また、グースヘンシェンシフトが生じるので、このシフト量を考慮して2つの導波路を配置して、導波路間で最も高い反射率が得られるようにした。 【0069】反射ミラーからの透過光はホトディテクタ33近くでは入射角の差が小さいので周期の大きな干渉縞を形成する。 【0070】第1、第2の実施例同様に、アレイ状のホトディテクタ33によって、干渉縞の移動速度と移動方向を検知して、素子の回転速度と方向を知ることができた。 【0071】 【発明の効果】以上説明した実施形態1の本発明によれば、回転の角速度と回転方向を検知することのできる光ジャイロが得られた。 【0072】実施形態2の本発明によれば、低発振しきい値で低駆動電流の光ジャイロが得られた。 【0073】実施形態3の本発明によれば、低発振しきい値で低駆動電流の光ジャイロが得られた。 【0074】実施形態4の本発明によれば、低発振しきい値で低駆動電流の光ジャイロが得られた。 【0075】実施形態5の本発明によれば、受光素子の位置が設計上の観察面からずれても電気的に補正が可能になり、素子の組立て誤差の許容範囲を広くすることができる光ジャイロが得られた。 【0076】実施形態6の本発明によれば、部品点数が少なく、回転の角速度と回転方向を検知することのできる光ジャイロが得られた。 【0077】実施形態7,8の本発明によれば、複数の受光素子での信号の位相差から、回転方向を検知することのできる光ジャイロが得られた。 【0078】実施形態9の本発明によれば、干渉縞パタンの移動の速度と方向を検知し、角速度と回転方向の得られる光ジャイロが得られた。 【0079】実施形態10の本発明によれば、複数の受光素子での信号の位相差から、回転方向を検知することのできる光ジャイロの回転方向の検知方法が得られた。 【0080】実施形態11の本発明によれば、干渉縞パタンの移動の速度と方向を検知し、角速度と回転方向の得られる光ジャイロの回転方向の検知方法が得られた。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001007 【氏名又は名称】キヤノン株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年10月25日(1999.10.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100065385 【弁理士】 【氏名又は名称】山下 穣平
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| 【公開番号】 |
特開2001−124565(P2001−124565A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月11日(2001.5.11) |
| 【出願番号】 |
特願平11−302709 |
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