| 【発明の名称】 |
光ジャイロ及びこれを用いる回転方向の検知方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】水谷 夏彦
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| 【要約】 |
【課題】光取り出し部での後方散乱を抑えることでロックイン現象が強く生じることを回避し、低発振しきい値で動作し、可能で素子の組立て誤差の許容範囲の広い光ジャイロ素子を提供する。
【解決手段】取り出しミラー13によって右回りの周回モード16から取出された光18と、取り出しミラー12によって左回りの周回モード17から取出された光19とはホトディテクタ14,15の近傍では干渉縞を形成する。ホトディテクタの入射面での反射がレーザ発振モードと結合することを抑えるために、ホトディテクタの入射面の法線を素子から取出された光の進行方向と異ならせている。観察面上には、2つのホト・ディテクタ14と15の中心の間隔が干渉縞パタンのピッチΛの(N/2+1/4)倍(Nは整数)となるように置かれている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 励起手段とリング形状の共振器と時計回りの光の一部を出力する第1の光出力部と反時計回りの光の一部を出力する第2の光出力部とを有する半導体リングレーザと、前記第1及び第2の光出力部から取り出された時計回り及び反時計回りの光の重なる位置に置かれた複数の受光素子を有することを特徴とする光ジャイロ。 【請求項2】 前記第1及び第2の光出力部が、導波路断面の一部分に対して設けた反射ミラーであることを特徴とする請求項1記載の光ジャイロ。 【請求項3】 前記複数の受光素子が、アレイ状に形成された受光素子群であることを特徴とする請求項1記載の光ジャイロ。 【請求項4】 前記複数の受光素子として、CCDアレイを有することを特徴とする請求項1記載の光ジャイロ。 【請求項5】 前記複数の受光素子の受光面が、受光素子に入射する二つの光線のいずれとも垂直ではないことを特徴とする請求項1記載の光ジャイロ。 【請求項6】 前記複数の受光素子の受光面の法線が、受光素子に入射する二つの光線のなす角の二等分線とならないことを特徴とする請求項1記載の光ジャイロ。 【請求項7】 レーザ光に対して透明な部材で構成された平行板を有し、この平行板の片面にフレネルレンズによる光路変換素子を設け、反対の面上に受光素子を置いたことを特徴とする請求項1記載の光ジャイロ。 【請求項8】 前記複数の受光素子として、リングレーザと同一の層構成を用いたことを特徴とする請求項1記載の光ジャイロ。 【請求項9】 前記複数の受光素子として、リングレーザと同一の層構成のレーザ素子を用いたことを特徴とする請求項1記載の光ジャイロ。 【請求項10】 前記複数の受光素子からの光強度信号によって、受光素子の位置に形成された干渉縞パタンの変動周期と移動方向を検知してこれから角速度と回転方向を得ることを特徴とする請求項1記載の光ジャイロ。 【請求項11】 前記複数の受光素子の少なくとも二つの間隔が前記干渉縞パタンのピッチの整数倍とは異っていることを特徴とする請求項10記載の光ジャイロ。 【請求項12】 前記アレイ状の受光素子群からの光強度信号によって、アレイ素子の位置に形成された干渉縞パタンの移動の速度と方向を検知してこれから角速度と回転方向を得ることを特徴とする請求項3記載の光ジャイロ。 【請求項13】 励起手段とリング形状の共振器と時計回りの光の一部を出力する第1の光出力部と反時計回りの光の一部を出力する第2の光出力部とを有する半導体リングレーザと、前記第1及び第2の光出力部から取り出された時計回り及び反時計回りの光の重なる位置に置かれた複数の受光素子を有する光ジャイロを用いた回転方向検知方法であって、前記複数の受光素子からの光強度信号によって、受光素子の位置に形成された干渉縞パタンの変動周期と移動方向を検知してこれから角速度と回転方向を得ることを特徴とする光ジャイロの回転方向検知方法。 【請求項14】 励起手段とリング形状の共振器と時計回りの光の一部を出力する第1の光出力部と反時計回りの光の一部を出力する第2の光出力部とを有する半導体リングレーザと、前記第1及び第2の光出力部から取り出された時計回り及び反時計回りの光の重なる位置に置かれたアレイ状の受光素子群を有する光ジャイロを用いた回転方向検知方法であって、前記複数の受光素子からの光強度信号によって、アレイ素子の位置に形成された干渉縞パタンの移動の速度と方向を検知してこれから角速度と回転方向を得ることを特徴とする光ジャイロの回転方向検知方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明が属する技術分野】本発明は、光ジャイロ及びこれを用いた回転方向の検知方法に関し、特に、半導体リングレーザを用いて回転を検知する光ジャイロ装置とその駆動、信号処理に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、物体の回転、すなわち角速度を検知するジャイロとしては、回転子や振動子をもつ機械的ジャイロや、光ジャイロが知られている。光ジャイロは、瞬間起動が可能でダイナミックレンジが広いため、ジャイロ分野で革新をもたらしつつある。光ジャイロには、リングレーザ型ジャイロ、光ファイバジャイロ、受動型リング共振器ジャイロなどがある。ガスレーザを用いたリングレーザ型ジャイロはすでに航空機などで実用化されている。また、小型で高精度なリングレーザ型ジャイロとして、半導体基板上に集積された半導体レーザジャイロは、たとえば、特開平5−288556号公報に開示されている。 【0003】このような、レーザジャイロの信号処理としては、周波数−電圧変換回路によって、出力信号の振動周波数を電圧信号に変換する方法がある。又、周波数−電圧変換回路には、アナログ信号を処理するもの、信号を二値化してパルス数を数えるもの等がある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のリングレーザ型ジャイロは、そのままの出力信号からは回転方向の検知ができず、微少回転振動(ディザ)を加えて、ディザと信号の相関から回転方向を検知していた。 【0005】また、リングレーザ素子から光を取り出して別の素子で受光するリングレーザジャイロにおいては、光取り出し部での後方散乱が、時計回りの光と反時計回りの光の間に光学的な結合をもたらし、小さな角速度の領域でロックイン現象が生じていた。これは、時計回りの光と反時計回りの光の間の結合のために、発振周波数が一方のモードの周波数に引き込まれ、信号が出力されない、というものであった。 【0006】そこで、本発明の第1の課題は、機械的な微少振動(ディザ)を印加しない場合であっても回転方向を検知するリングレーザジャイロを提供することである。 【0007】又、本発明の第2の課題は、光取り出し部での後方散乱を抑えることでロックイン現象が強く生じることを回避しまた低発振しきい値で動作するリングレーザジャイロを提供することである。 【0008】又、本発明の第3の課題は、電気的な補正が可能で素子の組立て誤差の許容範囲の広い光ジャイロ素子を提供することである。 【0009】本発明の第4の課題は、戻り光によってロックイン現象が強く生じることを回避したリングレーザジャイロを提供することである。 【0010】本発明の第5の課題は、素子の感度低下やS/Nの劣化を抑えたリングレーザジャイロを提供することである。 【0011】本発明の第6の課題は、S/Nが改善しかつ組立ての位置精度が緩やかなリングレーザジャイロを提供することである。 【0012】本発明の第7の課題は、全構成要素を基板上にモノリシックに形成でき、回転方向検知できるリングレーザジャイロを提供することである。 【0013】本発明の第8の課題は、機械的な微少振動(ディザ)を印加することなく回転方向検知できるリングレーザジャイロを提供することである。 【0014】本発明の第9の課題は、機械的なディザを印加することなく信号処理によって回転方向検知できるリングレーザジャイロを提供することである。 【0015】本発明の第10の課題は、機械的なディザを印加することなく信号処理によって回転方向検知でき、干渉縞ピッチの変動の影響を受けないリングレーザジャイロを提供することである。 【0016】本発明の第11の課題は、機械的なディザを印加することなく回転方向検知できるリングレーザジャイロの回転方向検知方法を提供することである。 【0017】本発明の第12の課題は、機械的なディザを印加することなく信号処理によって回転方向検知でき、干渉縞ピッチの変動の影響を受けないリングレーザジャイロの回転方向検知方法を提供することである。 【0018】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するための本発明の光ジャイロは、励起手段とリング形状の共振器と時計回りの光の一部を出力する第1の光出力部と反時計回りの光の一部を出力する第2の光出力部とを有する半導体リングレーザと、前記第1及び第2の光出力部から取り出された時計回り及び反時計回りの光の重なる位置に置かれた複数の受光素子とを備えている。 【0019】又、本発明の回転方向検出方法は、上述した光ジャイロを用いて、前記複数の受光素子からの光強度信号によって、受光素子の位置に形成された干渉縞パタンの変動周期と移動方向を検知してこれから角速度と回転方向を得るようにしている。 【0020】又、本発明の回転方向検出方法においては、前記複数の受光素子からの光強度信号によって、アレイ素子の位置に形成された干渉縞パタンの移動の速度と方向を検知してこれから角速度と回転方向を得るようにしている。 【0021】 【発明の実施の形態】以下、数式を参照して本発明の実施形態について説明する。 【0022】[実施形態1]実施形態1においては、光ジャイロは、励起手段とリング形状の共振器と時計回りの光の一部を出力する第1の光出力部と反時計回りの光の一部を出力する第2の光出力部とを有する半導体リングレーザと、前記第1及び第2の光出力部から取り出された時計回り及び反時計回りの光の重なる位置に置かれた複数の受光素子を有する。 【0023】上記構成において、電流注入によって利得の生じたリング共振器内では、時計回りの周回モードと反時計回りの周回モードが独立に存在している。素子が慣性系に対して角速度を持たない場合には、この右回りモードと左回りモードの発振周波数に差はなく、活性層の利得ピーク波長の共振器モードでのレーザ発振となっている。 【0024】このリング共振器から時計回りの光の一部を出力する出力手段によって時計回りの光の一部を出力し、また反時計回りの光の一部を出力する出力手段によって反時計回りの光の一部を出力し、所定の観察面に、時計回り及び反時計回りの光を重ねて到達させる。 【0025】簡単のために、観察面が光出力手段から離れていて、それぞれ平行ビームとして扱える場合を考える。2つのビームが観察面の法線に対してそれぞれ角度±ε/2だけ傾いて入射するものとする。ここで、2つのビームで規定される面を入射面と称することとする。 【0026】入射面と観察面の交わりをX軸とし、時計回りの光がX軸の正の方向から、反時計回りの光がX軸の負の方向から入射する場合に、観察面上での光強度分布は、次の式で表される。 【0027】I=I0(1+cosΦ) ここに、Φ=2πεX/λ+2π(f1-f2)tここで、λは半導体レーザジャイロが静止しているとき光の波長、f1,f2はそれぞれ時計回りの光の発振周波数と反時計回りの光の発振周波数である。半導体レーザジャイロが静止している場合にはf1=f2なので干渉縞は時間変化がない。また、干渉縞のピッチはλ/εで表されることがわかる。 【0028】ここで、半導体レーザジャイロが角速度Ωで時計回りに回転すると、時計回りの第1のレーザ光の発振周波数は、非回転時と比べて、Δf1=2SΩ/λLだけ減少する。ここでSはリング共振器の囲む面積、Lはレーザの光路長である。また同時に、反時計回りの第2のレーザ光の発振周波数は、非回転時と比べて、Δf2=2SΩ/λLだけ増加する。このとき、光強度分布Iは、ビート周波数f2−f1=4SΩ/λLで振動し、干渉縞パタンは、xの正の方向に移動していく。 【0029】また、レーザジャイロが反時計回りに回転すると、光強度分布は、ビート周波数(f1−f2)=4SΩ/λLで振動し、干渉縞は、xの負の方向に移動していく。 【0030】2つの光がそれぞれ平行ビームではない場合も、光強度分布Iで表された干渉縞ピッチは不当間隔となるが、ビートに応じた干渉縞の移動が見られるということは変わらない。 【0031】そこで観察面上に、干渉縞のピッチと異なる間隔で複数の受光素子を配置して位相の異なる光強度振動を検知することで、振動周波数から回転の角速度の絶対値を知り、この振動の位相差から干渉縞の移動方向を検知することができる。それゆえ、回転方向の検知できるリングレーザジャイロとなる。 【0032】[実施形態2]実施形態2においては、第1及び第2の光出力部が、導波路断面の一部分に対して設けた反射ミラーである。 【0033】上記構成において反射ミラーは、導波モード光の波面を空間的に分割し、ミラー面に到達する部分を導波路外に取出し、ミラー面に到達しない導波モード光には影響を与えない、波面分割型の光分岐素子として機能する。このとき後方散乱が小さいので時計回りの光と反時計回りの光の結合を抑え、ロックイン特性を劣化させない。また、挿入損失は幾何学的形状によって設計可能であるので、これを小さく抑えた低発振しきい値・低駆動電流の光ジャイロとすることができる。 【0034】[実施形態3]実施形態3においては、複数の受光素子が、アレイ状に形成された受光素子群、又はCCDアレイである。 【0035】上記構成において、受光素子を2つ以上のアレイ状の受光素子又はCCDアレイとすることで、補間などの信号処理が可能となり、受光素子の位置する観察面上での干渉縞のピッチが設計と異なる場合にも信号処理によって感度よく干渉縞の移動方向を検知することが可能になる。すなわち、受光素子の位置が設計上の観察面からずれても電気的に補正が可能になり、素子の組立て誤差の許容範囲を広くすることができる。 【0036】[実施形態4]実施形態4においては、複数の受光素子の受光面が、受光素子に入射する二つの光線のいずれとも垂直ではない。 【0037】上記構成において、このような受光面の配置は、受光面での反射光が同じ光路を逆に戻って素子内に結合して時計回りの光と反時計回りの光の間に光学結合が生じることを防ぐ。すなわち、このような配置によってロックイン現象が強く生じることを回避する。 【0038】[実施形態5]実施形態5においては、複数の受光素子の受光面の法線が、受光素子に入射する二つの光線のなす角の二等分線とならないようにしている。 【0039】上記構成において、受光面をこのように配置することで、受光面での反射光が戻り光として素子内に戻って同一周回方向の光と光学結合することを防ぐ。戻り光による外部共振器モードの形成を抑えるものであり、素子の感度低下やS/Nの劣化を抑える。 【0040】[実施形態6]実施形態6においては、レーザ光に対して透明な部材で構成された平行板を有し、この平行板の片面にフレネルレンズによる光路変換素子を設け、反対の面上に受光素子を置いている。 【0041】上記構成において、光路変換素子はリングレーザから取り出されたそれぞれの発散光を平行光に変換するとともに光の進行方向を曲げて平行板裏面の観察面上で二つの平行光を重ねて干渉させるものである。 【0042】平行光を重ねあわせるので、観察面を離した場合にも干渉縞のコントラストの劣化が小さく、また均一なピッチの干渉縞が形成される。前者によって、S/Nが改善し、後者によってディテクタを設置する位置精度が緩やかになった。また、石英板を厚くすることで、干渉縞を形成する二つの光線のなす角を小さくでき、形成される干渉縞のピッチを大きくできた。このことによって、ディテクタの受光面積を大きくしてS/Nを改善したり、組立ての位置精度を緩やかなものとできた。 【0043】[実施形態7]実施形態7においては、複数の受光素子として、リングレーザと同一の層構成を用いているか、又は、リングレーザと同一の層構成のレーザ素子を用いる。 【0044】上記構成によって、リング共振器レーザと、出力光の伝播方向を変換する光学素子と、受光素子とが同一の層構成となるので、全構成要素を基板上にモノリシックに形成できる。 【0045】[実施形態8]実施形態8においては、複数の受光素子からの光強度信号によって、受光素子の位置に形成された干渉縞パタンの変動周期と移動方向を検知してこれから角速度と回転方向を得るようにしている。 【0046】上記構成において、上述した光強度分布I、Δf1、Δf2の各式から分かるように、各受光素子における光強度信号の変動周期から素子の角速度を知ることができ、また複数の受光素子での光強度信号の変動の位相差から干渉縞パタンの移動の方向、すなわち回転方向を検知することができる。 【0047】[実施形態9]実施形態9においては、複数の受光素子の少なくとも二つの間隔が前記干渉縞パタンのピッチの整数倍とは異っている。 【0048】上記構成において、干渉縞ピッチの整数倍とは異なる間隔で設けた複数の受光素子から得られる光強度信号は、同じ振動周期で時間変化し、かつ信号の位相が異なっているので、この位相差から回転方向を検知できる。 【0049】具体的には、二つの受光素子を中心の間隔が干渉縞パタンのピッチΛのN/2+1/4倍(Nは整数)となるように置かれている場合を例にとって説明する。第1の受光素子の位置のx座標を−Λ/4、第2の受光素子の位置のx座標を2Λとすると、上述した光強度分布Iの式から、第1の受光素子から干渉縞パタンのsin(2π(f1−f2)t)に相当する信号が、第2の受光素子からcos(2π(f1−f2)t)とに相当する信号が得られることがわかる。この結果、第2の受光素子での光強度が極大近くのときに、第1の受光素子での光強度が増加している場合には干渉縞がxの負の方向に移動しており、第1の受光素子での光強度が減少している場合には干渉縞がxの正の方向に移動していることがわかる。 【0050】[実施形態10]実施形態10においては、光の重なる位置に置かれたアレイ状の受光素子群からの光強度信号によって、この受光素子群の位置に形成された干渉縞パタンの移動の速度と方向を検知してこれから角速度と回転方向を得るようにしている。 【0051】上記構成において、アレイ状の素子で干渉縞パタンを受光し、この強度信号を信号処理をして干渉縞パタンを表す関数を得る。その時間変化を調べることで干渉縞パタンの移動の速度と方向を検知し、角速度と回転方向が得られる。等間隔ではない干渉縞パタンが形成される場合にも有効である。また、素子温度が変化して、レーザの発振波長が変動して干渉縞ピッチが変動するような場合にも、常に同じ信号処理が可能である。 【0052】[実施形態11]実施形態11においては、複数の受光素子からの光強度信号によって、受光素子の位置に形成された干渉縞パタンの変動周期と移動方向を検知してこれから角速度と回転方向を得るようにしている。 【0053】上記構成において、干渉縞ピッチの整数倍とは異なる間隔で設けた複数の受光素子から得られる光強度信号は、同じ振動周期で時間変化し、かつ信号の位相が異なっているので、この位相差から干渉縞パタンの移動方向を得て回転方向を検知できる。 【0054】[実施形態12]実施形態12においては、複数の受光素子からの光強度信号によってアレイ素子の位置に形成された干渉縞パタンの移動の速度と方向を検知してこれから角速度と回転方向を得るようにしている。 【0055】上記構成において、アレイ状の素子で干渉縞パタンを受光し、この強度信号を信号処理をして干渉縞パタンを表す関数を得る。その時間変化を調べることで干渉縞パタンの移動の速度と方向を検知し、角速度と回転方向が得られる。等間隔ではない干渉縞パタンが形成される場合にも有効である。また、素子温度が変化して、レーザの発振波長が変動して干渉縞ピッチが変動するような場合にも、常に同じ信号処理が可能である。 【0056】 【実施例】[第1の実施例]図1(a)は、第1の実施例の光ジャイロの平面図である。10は本実施例の光ジャイロであり、11はリング共振器型半導体レーザ素子、12と13は導波路の一部に設けた光取り出し用ミラー、14と15はホトディテクタである。リング共振器型半導体レーザ素子では16に示す時計回りの周回モードと17に示す反時計回りの周回モードが存在している。 【0057】、図1(b)は、第1の実施例のリング共振器型半導体レーザ素子11とホトディテクタ14,15の断面図である。リング共振器型半導体レーザ素子11とホトディテクタ14,15は、以下のようにして作製した。 【0058】はじめに、n−InP基板102上に、1.3μm組成のノンドープInGaAsP光ガイド層103(厚さ0.15μm)、1.55μm組成のアンドープInGaAsP活性層104(厚さ0.1μm)、1.3μm組成のノンドープInGaAsP光ガイド層105(厚さ0.15μm)、p−InPクラッド層106(厚さ1.5μm)p−InGaAsキャップ層107を結晶成長した。フォトレジストを塗布し、マスクパタンを露光、現像して導波路形状とミラー形状のレジストパタンを形成した。塩素ガスを用いたリアクティブイオンエッチングによって、高さ3μmのハイメサ形状のリッジ導波路とホトディテクタ部を形成した。 【0059】次に、Cr/Auをリッジ導波路上部とホトディテクタ上に蒸着して、p−電極108とした。 【0060】一方、ウェハの下側にはAuGe/Auを蒸着してn−電極101とした。水素雰囲気中でアロイ化して、p−、n−の電極をオーミック接触とした。 【0061】次に、リング共振器型半導体素子11のレーザ発振について説明する。半導体層と空気では屈折率が異なるため、界面では反射が生じる。半導体層の屈折率3.5であれば、半導体と空気の界面に対する法線とレーザ光のなす角が16.6度以上となるときに全反射となる。リング共振器型レーザ素子11では、導波路折れ曲がり部のコーナーミラーにおいて導波路と半導体/空気界面の法線のなす角が45度となっており、全反射条件を満たしている。全反射されるモードは他のモードと比べてミラー損失分だけしきい値利得が小さくなるので、低注入電流レベルでレーザ発振する。また、この発振モードに対する利得の集中によって、その他のモードの発振を抑圧する。光取り出し用ミラー12と13は、導波モード光の一部を全反射によって導波路外に取出す。ミラーで折かえされた光は導波路から空気中に放射されるが、この界面での反射を戻り光として結合させないためには、導波路の長さ方向に対するミラー面の傾きを45度からわずかにずらしている。 【0062】本実施例の半導体レーザ素子11はしきい値15mAでレーザ発振した。 【0063】リング共振器では、右回りの周回モード16と左回りの周回モード17とが独立に存在している。光ジャイロが慣性系に対して角速度を持たない場合には、この右回りモードと左回りモードの発振周波数に差はなく、活性層の利得ピーク波長でのレーザ発振となっている。また、光ジャイロがある角速度で回転しているときには、右回りの周回モード16の発振周波数と左回りの周回モード17の発振周波数に差が出る。 【0064】取り出しミラー13によって右回りの周回モード16から取出された光18と、取り出しミラー12によって左回りの周回モード17から取出された光19とはホトディテクタ14,15の近傍では干渉縞を形成する。 【0065】ホトディテクタ14と15は逆バイアスを印加してあり、入射光に応じた電流を取出すことができる。また、ホトディテクタの入射面での反射がレーザ発振モードと結合することを抑えるために、ホトディテクタの入射面の法線を素子から取出された光の進行方向と異ならせている。 【0066】観察面上には、2つのホト・ディテクタ14と15が、中心の間隔が上記干渉縞パタンのピッチΛの(N/2+1/4)倍(Nは整数)となるように置かれている。この配置によって、干渉縞パタンのcos(2π(f1−f2)t)に相当する信号と、sin(2π(f1−f2)t)とに相当する信号が得られるので、信号処理によって干渉縞パタンの移動方向、すなわちf1とf2の大小関係がわかり、回転方向を検知できる。また、干渉縞の振動の周期から、回転の角速度が分かる。あるいは、干渉縞パタンの移動速度Λ・(f1−f2)から回転の角速度がわかる。 【0067】さて、光ジャイロが、カメラの手振れや自動車の姿勢変化によって30度毎秒の角速度で時計回りに回転したときには、レーザ光の発振周波数f1は200Hz増加し、f2の発振周波数は、200Hz減少した。ホトディテクタ14,15では、400Hzの信号を検知し、これから回転速度と回転方向を得た。 【0068】ホトディテクタ14,15は順バイアス印加として、インピーダンス変化を検知してもよい。 【0069】この実施例では半導体材料としてInGaAsP/InP系を用いたが、GaAs系、ZnSe系、InGaN系などの電流注入によってレーザ発振させることのできる材料系であっても構わない。 [第2の実施例]図2は、第2の実施例の光ジャイロの平面図である。20は第2の実施例の光ジャイロであり、21はリング共振器型半導体レーザ素子、22と23は導波路の一部に設けた光取り出しミラー、24はアレイ状のホトディテクタであり、リング共振器型半導体レーザ素子21の基板の劈開端面に接して基板よりも上側に受光部を設けるように固定されている。リング共振器型半導体レーザ素子21では25に示す時計回りの周回モードと26に示す反時計回りの周回モードが存在している。 【0070】リング共振器型半導体レーザ素子の構成と動作は、第1の実施例と同様である。 【0071】取り出しミラー23によって右回りの周回モード25から取出された光27と、取り出しミラー22によって左回りの周回モード26から取出された光28とは、光ジャイロ素子の基板の端面において干渉縞を形成する。 【0072】アレイ状のホトディテクタ24の素子間隔は、受光面への入射角とレーザ波長から定まる干渉縞ピッチの1/2よりも小さくなっている。ホトディテクタ24で基板端面の位置での干渉縞をモニタし、この出力を信号処理して干渉縞パタンを得ることができる。この干渉縞パタンの移動の方向と速度を検出した。これにより回転方向と角速度を得た。 【0073】素子がAlGaAs系材料などからなっていて、発振波長がシリコンのCCDが感度を有する波長の場合には、安価なCCDアレイ素子によって干渉縞パタンを観測してもよい。 [第3の実施例]図3は、第3の実施例の斜視図である。31はリング共振器型半導体レーザ素子、32と33はリング共振器型半導体レーザから取り出した光、34は石英板でありフレネルレンズ35が形成されている。36は石英板の裏面に設けたホトディテクタである。 【0074】リング共振器型半導体レーザの構成は、第1または第2の実施例と同様であり、右回りのレーザ光の一部が取り出された32と左回りのレーザ光の一部が取り出された33が基板から放射される。石英板34上のフレネルレンズ35によってレーザ光をコリメートして平行光とし、また進行方向をわずかに曲げて、石英板34裏面でこれらの平行光が重なるようにする。 【0075】石英板34裏面では、右回り光と左回り光による干渉縞が形成され、第1、第2の実施例同様に、2つのホトディテクタ36,37によって、干渉縞の移動速度と移動方向を検知して、素子の回転速度と方向を知ることができた。 【0076】先の実施例と比べると、フレネルレンズによってビームをコリメートしたために、干渉縞のコントラストが改善し、均一なピッチの干渉縞が形成される。前者によって、S/Nが改善し、後者によってディテクタを設置する位置精度が緩やかになった。また、石英板を厚くすることなどの光路の設計によって、干渉縞を形成する二つの光線のなす角を小さくでき、形成される干渉縞のピッチを大きくできた。このことで、ディテクタの受光面積を大きくしたり、位置精度を緩やかなものとできる。 【0077】 【発明の効果】以上説明した実施形態1の本発明によれば、回転の角速度と回転方向を検知することのできる光ジャイロが得られる。 【0078】又、実施形態2の本発明によれば、ロックイン特性が劣化せず低発振しきい値の光ジャイロが得られる。 【0079】又、実施形態3の本発明によれば、受光素子の位置が設計上の観察面からずれても電気的に補正が可能になり、素子の組立て誤差の許容範囲を広くすることができるジャイロが得られる。 【0080】又、実施形態4の本発明によれば、戻り光によってロックイン現象が強く生じることを回避した光ジャイロが得られる。 【0081】又、実施形態5の本発明によれば、戻り光による外部共振器モードの形成を抑えて素子の感度低下やS/Nの劣化を抑えた光ジャイロが得られる。 【0082】又、実施形態6の本発明によれば、S/Nが改善しかつ組立ての位置精度が緩やかな光ジャイロが得られる。 【0083】又、実施形態7の本発明によれば、部品点数が少なく、回転の角速度と回転方向を検知することのできる光ジャイロが得られる。 【0084】又、実施形態8,9の本発明によれば、複数の受光素子での信号の位相差から、回転方向を検知することのできる光ジャイロが得られる。 【0085】又、実施形態10の本発明によれば、干渉縞パタンの移動の速度と方向を検知し、角速度と回転方向の得られる光ジャイロが得られる。 【0086】又、実施形態11の本発明によれば、複数の受光素子での信号の位相差から、回転方向を検知することのできる光ジャイロの回転方向の検知方法が得られた。 【0087】又、実施形態12の本発明によれば、干渉縞パタンの移動の速度と方向を検知し、角速度と回転方向の得られる光ジャイロの回転方向の検知方法が得られる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001007 【氏名又は名称】キヤノン株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年10月25日(1999.10.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100065385 【弁理士】 【氏名又は名称】山下 穣平
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| 【公開番号】 |
特開2001−124564(P2001−124564A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月11日(2001.5.11) |
| 【出願番号】 |
特願平11−302597 |
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