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【発明の名称】 角速度センサの製造方法
【発明者】 【氏名】福田 徹

【氏名】浅野 勝吾

【要約】 【課題】本発明は、角速度の検出精度を高めるとともに小型を図る。

【解決手段】分極方向が一定の方向に設定された板状のユニモルフ圧電素子71から複数の板状圧電素子73を切り出した後、この板状圧電素子73から個片の圧電素子74を切り出す圧電素子切り出し工程と、治具75上に個片の板状圧電素子74を載置した状態で、各個片の圧電素子74に切り出し加工を施すことによって3脚音叉振動子21を一括して形成する振動子切り出し工程と、各柱23〜25の各面および基部36にメッキまたは蒸着により電極を形成する電極形成工程と、各柱23〜25の頂点を面取り加工するとともに基部36の引出し電極を分割することにより、各柱23〜25に形成された電極を基部36に導出する電極独立工程とを含んでなる角速度センサの製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ユニモルフ圧電素子からなる3本の三角形状の柱を2対の音叉振動子を構成するようにそれぞれ対向して配設してなる角速度検出用の3脚音叉振動子を備えた角速度センサの製造方法であって、分極方向が一定の方向に設定された板状のユニモルフ圧電素子から複数の板状圧電素子を切り出した後、この板状圧電素子から個片の圧電素子を切り出す圧電素子切り出し工程と、治具上に前記個片の圧電素子を載置した状態で、前記各個片の圧電素子に切り出し加工を施すことによって前記3脚音叉振動子を形成する振動子切り出し工程と、前記各柱の各面および3本の柱の基部に電極を形成する電極形成工程と、前記各柱の頂点を面取り加工するとともに前記基部の電極を分割する電極独立工程とを含んでなり、前記柱のうちの両端に位置する2本の柱の電極が励振電極を構成し、前記柱のうちの中央に位置する柱の電極が励振モニタ電極を兼用するコリオリ検出電極を構成し、前記基部に導出された電極が前記励振電極およびコリオリ電極の引き出し電極を構成するようにしたことを特徴とする角速度センサの製造方法。
【請求項2】 前記電極形成工程において、前記電極をメッキまたは蒸着によって形成することを特徴とする請求項1記載の角速度センサの製造方法。
【請求項3】 前記電極形成工程において、前記各柱に形成された電極を前記基部の片面に導出することを特徴とする請求項1または2記載の角速度センサの製造方法。
【請求項4】 前記振動子切り出し工程において、前記3本の柱の重心ピッチまたは図心間ピッチの寸法比が1:1または2:1になるように切り出し加工を施すことを特徴とする請求項1〜3何れかに記載の角速度センサの製造方法。
【請求項5】 前記振動子切り出し工程において、前記各柱が正三角形状になるように切り出し加工を施すことを特徴とする請求項1〜4何れかに記載の角速度センサの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は角速度センサの製造方法に関し、詳しくは、車両、航空機、船舶等の移動体の姿勢制御やナビゲーションシステムに用いられる角速度センサの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高度情報化が進むにつれて、より正確な情報を得ることができるセンサが求められ、様々な分野でセンサの開発が進められている。特に、角速度センサはこれらセンサの中でもニーズが高いものであり、中でも音叉振動型は小型軽量にできることから広い分野で応用されている。
【0003】従来のこの種の音叉振動型の角速度としては、例えば、図12に示すようなものが知られている。図12において、基台1には固定軸2を介してU字型の金属振動板3が設けられており、この金属振動板3の上部にはこの金属振動板3の面と直交する方向に配設された一対の金属板4、5が設けられている。
【0004】金属振動板3の一方の面には励振用圧電素子6が設けられているとともに、他方の面にはモニタ用圧電素子7が設けられており、こられ各圧電素子6、7は接着剤によって金属振動板3に固着されている。また、金属板4、5には前記圧電素子6、7の面と直交するようにコリオリ検出用圧電素子8、9が設けられており、これら圧電素子8、9は接着剤によって金属板4、5に固着されている。
【0005】また、各圧電素子6〜9はそれぞれリード線10〜13によってリードピン14〜17に接続されており、このリードピン14〜17はガラス等の絶縁体18を介して基台1と電気的に絶縁されている。
【0006】次に、この角速度センサの動作を説明する。
【0007】なお、図12(a)はセンサの励磁状態を示す図であり、同図(b)は角速度センサのコリオリ力を検出する状態を示す図である。
【0008】まず、同図(a)において、励振用圧電素子6に電圧を印加すると、金属振動板3が矢印Aで示す方向に音叉励振される。このときの励振周波数と振幅はモニタ用圧電素子7によってモニタリングされることにより、金属振動板3が常に一定の周波数と振幅で励振されるように励振用圧電素子6への印加電圧がコントロールされる。
【0009】一方、図12(b)に示すようにこのセンサの検出軸18に矢印B方向に回転角速度ωが加わると、励振方向Aと直角方向に発生するコリオリ力によって金属板4、5が互いに逆方向19、20に撓む。
【0010】なお、このときに発生するコリオリ力FCは、FC=2mVωとなる。
【0011】ここで、上記mは金属振動板4の質量、上記Vは励振速度、上記ωは印加された回転角速度を示す。
【0012】さて、このコリオリ力FCはコリオリ検出圧電素子8、9の一方に伸び、他方に縮みという逆方向の歪みを発生させるため、差動出力としてコリオリ検出圧電素子8、9の検出電圧をリード線10、12を介してリードピン14、16から取り出すことができるため、この差動出力から角速度を得ることができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の角速度センサにあっては、回転角速度ωが発生すると、音叉振動子20にコリオリ力が加わって音叉振動子20が図12(b)の19a、19bで示す方向に撓むことによって発生する回転モーメントMが固定軸2に加わるため、固定軸2と基台1および金属振動板3の固定度合いがセンサの角速度検出精度のばらつき要因となってしまい、角速度の検出精度を高めることができないという問題があった。
【0014】また、励振用圧電素子6、モニタ用圧電素子7およびコリオリ検出用圧電素子8、9が接着剤によって金属振動板3および金属板4、5に固着されていたため、接着のばらつきおよび接着剤の温度特性がセンサの角速度の検出精度のばらつき要因となってしまう上に、この接着精度、音叉振動子20の曲げ加工精度、固定軸2と音叉振動子20および基台1の固定精度等の組立加工時精度のばらつきもセンサによる角速度の検出精度のばらつき要因となってしまった。
【0015】また、励振方向とコリオリ検出方向とでは、金属振動板3と金属板4、5との形状(厚みおよび幅)が一致しないため、図13に示すように励振時の共振周波数とコリオリ検出時の共振周波数を一致させ難く、非共振型角速度センサとなってしまい、共振型に比して感度が低下してしまうという問題があった。
【0016】また、リード線10〜13が各圧電素子6〜9を介して振動する金属振動板3および振動板4、5に接続されるため、リード線10〜13の捩れがセンサの角速度の検出精度のばらつき要因になってしまった。
【0017】本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、角速度の検出精度を高めることができるとともに小型化を図ることができる角速度センサの製造方法を提供するものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の角速度センサは、ユニモルフ圧電素子からなる3本の三角形状の柱を2対の音叉振動子を構成するようにそれぞれ対向して配設してなる角速度検出用の3脚音叉振動子を備えた角速度センサの製造方法であって、分極方向が一定の方向に設定された板状のユニモルフ圧電素子から複数の板状圧電素子を切り出した後、この板状圧電素子から個片の圧電素子を切り出す圧電素子切り出し工程と、治具上に前記個片の圧電素子を載置した状態で、前記各個片の圧電素子に切り出し加工を施すことによって前記3脚音叉振動子を形成する振動子切り出し工程と、前記各柱の各面および3本の柱の基部に電極を形成する電極形成工程と、前記各柱の頂点を面取り加工するとともに前記基部の電極を分割する電極独立工程とを含んでなり、前記柱のうちの両端に位置する2本の柱の電極が励振電極を構成し、前記柱のうちの中央に位置する柱の電極が励振モニタ電極を兼用するコリオリ検出電極を構成し、前記基部に導出された電極が前記励振電極およびコリオリ電極の引き出し電極を構成しているものである。
【0019】この製造方法により、3脚音叉振動子を板状のユニモルフ圧電素子から切り出された一体構造にすることができるため、3脚音叉振動子の加速度検出精度を機械精度によって決定することができ、従来のように組立て精度のばらつきによる影響を受けるのを防止して角速度の検出精度を向上させることができる。
【0020】また、3脚音叉振動子を一体構造にしているため、コリオリ発生時に両端の励振用柱が撓む方向に対して中央のコリオリ検出用柱の撓む方向を反対方向にすることができ、コリオリ発生時の回転モーメントをキャンセルすることができる。このため、振動ロスを最小限にすることができるとともに3脚音叉振動子を固定する固定部に回転モーメントが生じるのを防止して角速度の検出精度を向上させることができる。
【0021】また、3脚音叉振動子を板状のユニモルフ圧電素子から複数個切り出すようにようにしたため、3脚音叉振動子の製造工程を少なくすることができ、角速度センサの製造コストを低減することができる。
【0022】請求項2記載の発明の角速度センサは、請求項1記載の発明において、前記電極形成工程において、前記電極をメッキまたは蒸着によって形成しているものである。
【0023】この製造方法により、各柱に励振電極、モニタ電極を兼用するコリオリ検出電極をメッキまたは蒸着によって形成しているため、電極の厚みのばらつきを小さくして3脚音叉振動子の特性ばらつきを小さくすることができる上に、微細な三角形の斜面に電極を形成できるため、3脚音叉振動子を小型化することができ、結果的に角速度センサの小型化を図ることができる。これに加えて、銀電極のような印刷作業や高温下での焼付け作業が不要になり、電極の形成作業の簡素化を図ることができる。
【0024】請求項3記載の発明の角速度センサは、請求項1または2記載の発明において、前記電極形成工程において、前記各柱に形成された電極を前記基部の片面に導出するようにしている。
【0025】この製造方法により、基部の片側の面に励振電極およびコリオリ電極の引き出し電極を導出するようにしたため、3脚音叉振動子の基部を角速度センサの固定部に取付けたときに、角速度センサ側のリードピン等に引き出し電極をワイヤボンディングで接続することができ、超小型化に対応することができるとともに、従来のような信号線の捩れ等が発生しないので角速度の検出精度が低下するのを防止することができる。
【0026】請求項4記載の発明の角速度センサは、請求項1〜3何れかに記載の発明において、前記振動子切り出し工程において、前記3本の柱の重心ピッチまたは図心間ピッチの寸法比が1:1または2:1になるように切り出し加工を施すようにしている。
【0027】この製造方法により、コリオリ検出用柱とこのコリオリ検出用柱と対をなす励振検出用柱とを最大効率で励振させることができる。
【0028】請求項5記載の発明の角速度センサは、請求項1〜4何れかに記載の発明において、前記振動子切り出し工程において、前記各柱が正三角形状になるように切り出し加工を施すようにしている。
【0029】この製造方法により、各柱の形状(幅、厚さ等)を同一形状にすることができるため、励振時の共振周波数とコリオリ検出時の共振周波数を略一致させることができ、角速度センサの感度を高めることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態に基づいて説明する。
【0031】図1〜11は本発明に係る角速度センサの製造方法の一実施形態を示す図である。
【0032】まず、構成を説明する。図1、2において、ユニモルフ圧電素子からなる角速度検出用の3脚音叉振動子21は3本の正三角形状を有する3脚柱部22を有している。
【0033】この3脚音叉振動子21は予め分極方向が一定の方向(図2(a)中、C方向)に設定された1枚の板状のユニモルフ圧電素子26から切り出されたものであり、切り出し後には図2(b)で示すように正三角形状の頂点27a〜27c、28a〜28c、29a〜29cが鋭角になっている。そして、この状態で各柱23〜25の各面にメッキを塗装するかまたは蒸着等の手段により後述する電極を形成した後、図2(c)に示すように各正三角形状の頂点27a〜27c、28a〜28c、29a〜29cが面取りされている。この結果、各柱23〜25はそれぞれC1、C2、C3方向に分極される。なお、この3脚音叉振動子21の製造方法は後で詳しく説明する。
【0034】また、3脚柱部22は両端部が励振用柱23、24を構成するとともに中央部がコリオリ検出用柱25を構成しており、励振用柱23とコリオリ検出用柱25が1対の音叉振動子を構成するとともに励振用柱24とコリオリ検出用柱25が1対の音叉振動子を構成している。すなわち、3脚柱部22は2対の音叉振動子を有している。
【0035】また、励振用柱23とコリオリ検出用柱25の重心ピッチまたは図心間ピッチL1と励振用柱24とコリオリ検出用柱25の重心ピッチまたは図心間ピッチL2の寸法比が1:1になるように3脚音叉振動子21がユニモルフ圧電素子から切り出されるようになっている。
【0036】一方、励振用柱23は、分極方向C1と鋭角に交叉して隣接する2つの面に励振電極30a、30bが設けられるとともに、残りの1つの面にアース電極30cが設けられており、励振用柱24は、分極方向C2と鋭角に交叉して隣接する2つの面に励振電極31a、31が設けられるとともに、残りの1つの面にアース電極31cが設けられている。そして、これら各電極30a、30b、31bおよび31a、31b、31cは頂点27a〜27c、28a〜28cが上述したように面取りされることによって独立するため、電気的に絶縁される。
【0037】また、コリオリ検出用柱25は、分極方向C3と鋭角に交叉して隣接する2つの面に励振モニタ電極を兼用するコリオリ検出電極32aが設けられるとともに、残りの1つの面にアース電極32cが設けられている。そして、これら各電極32a、32b、32bは頂点29a〜29cが上述したように面取りされることによって独立するため、電気的に絶縁される。
【0038】また、本実施形態では、励振用柱23、24の分極方向C1、C2と鋭角に交叉する頂点27a、28aに対して、コリオリ検出用柱25の分極方向C3と鋭角に交叉する頂点29aが反対の向きになるように配置されている。
【0039】また、3脚柱部22の基部36には引出し電極が設けられており、各電極30a〜30c、31a〜31c、32a〜32cはこの引出し電極に導出されるようようになっている。
【0040】具体的には、励振電極30bは3脚柱部22の基部36表面の引出し電極33aに導出されている。また、アース電極30cは3脚柱部22の基部36表面の引出し電極33bに導出されている。また、励振電極30aは3脚柱部22の基部36背面に導出された引出し電極33cから3脚柱部22の底面に設けられた裏面電極(引出し電極)33dを介して3脚柱部22の基部36表面の引き出し電極33eに導出される。
【0041】また、コリオリ検出電極32bは3脚柱部22の基部36表面の引出し電極34aに導出されている。また、アース電極32cは3脚柱部22の基部36背面に導出された引出し電極34bから3脚柱部22の底面に設けられた裏面電極(引出し電極)34cを介して3脚柱部22の基部36表面の引き出し電極34dに導出される。また、コリオリ検出電極32aは3脚柱部22の基部36背面に導出された引出し電極34eから3脚柱部22の底面に設けられた裏面電極(引出し電極)34fを介して3脚柱部22の基部36表面の引き出し電極34gに導出される。
【0042】また、励振電極31bは3脚柱部22の基部36表面の引出し電極35aに導出されている。アース電極31cは3脚柱部22の基部36表面の引出し電極35bに導出されている。また、励振電極31aは3脚柱部22の基部36背面に導出された引出し電極35cから3脚柱部22の底面に設けられた裏面電極(引出し電極)35dを介して3脚柱部22の基部36表面の引き出し電極35eに導出される。
【0043】また、基部36の表面に形成された引出し電極33a、33b、33c、34a、34d、34g、35a、35b、35e間にはそれぞれ縦溝39aおよび横溝39bが形成されることにより引出し電極33a等が分割されているとともに基部36の上基部36aおよび下基部36bに分割されている。
【0044】また、基部36裏面に形成された引出し電極33c、34b、34e、35c間にはそれぞれ縦溝38が形成されることにより各引出し電極33c等が分割されている。
【0045】この結果、各電極30a〜30c、31a〜31c、32a〜32cは分割された状態で(非接触で)引出し電極33a〜33e、34a〜34gおよび35a〜35eが3脚柱部22の基部36の表面に導出される。なお、図1中、符号40は3脚音叉振動子21を角速度センサの基台に固定するための固定部である。
【0046】図3は3脚音叉振動子21の回路図を示す図である。図3において、励振用柱23、24の各励振電極30a、30b、31a、31bはドライブ電源42の一方の極側に接続されており、アース電極30c、31cはドライブ電源42の他方の極側に接続されている。
【0047】また、コリオリ検出用柱25のコリオリ検出電極32a、32bにはアンプ43、44、45が接続されており、出力端子46、47から出力される差動増幅によって電圧変化分Vが出力される。
【0048】また、コリオリ検出電極32a、32bは励振をモニタする電極を兼用するようになっており、アンプ48、49を介して出力端子50、51から出力される電圧変化Mがモニタされるようになっている。
【0049】図4はこの3脚音叉振動子21が組込まれた1次元角速度センサを示す図である。図4において、符号52は車両、航空機、船舶等の移動体の姿勢制御やナビゲーションシステムに搭載される角速度センサであり、3脚音叉振動子21は基部36側の表面の引出し電極33a等が上面側に位置した状態で板ばね56によって固定部41が基台(固定部材)55に固定され、この板ばね56は両端部がスポット溶接部53、54によって基台55に固定されている。
【0050】また、各電極30a〜30c、31a〜31c、32a〜32cは3脚柱部22の表面に形成された引出し電極33a、33b、33e、34a、34d、34g、35a、35b、35eおよびリード線を介して回路基板57に形成されたパッド58a〜58mに接続されている。すなわち、3脚音叉振動子21は回路基板57にワイヤボンディングによって接続されている。また、3脚音叉振動子21のコリオリ検出電極32a、32bからの出力信号は回路基板57から回路基板59を介して基台55に絶縁固定されたリードピン60a、60bに導出されるようになっている。
【0051】次に、角速度の検出方法を説明する。
【0052】まず、各柱23〜25が図2(c)中、矢印E方向に移動するメカニズムを励振用柱23を例にとって図2(b)(c)、図3および図5に基づいて説明する。
【0053】まず、励振用柱23の各電極30a〜30cに図5(a)で示すような電圧を交互に印加すると、図3の極性の電圧印加では、電界方向は分極方向C1と一致するものの、図5(a)で示すように三角形の頂点27b、27c部分の電界密度が頂点27a部分の電界密度よりも大きくなるため、図5(b)に示すようにコリオリ検出用柱25に対向する励振用柱23の部分(図5(a)で61で示す部分)の矢印F方向への伸びが小さくなるとともに、61で示す部分と反対側の部分62の矢印G方向への伸びが大きくなり、励振用柱23は矢印H方向に倒れる。
【0054】このとき、励振用柱23とコリオリ検出用柱25の音叉構成によってコリオリ検出用柱25も矢印I方向に倒れる。また、同様にして励振用柱24が励振用柱23と同方向(H方向)に励振されるため、コリオリ検出用柱25はコリオリ検出用柱25の音叉構成によってI方向に倒れる。すなわち、コリオリ検出用柱25は励振用柱23と24によって両面から駆動されるため、振幅が大きくなる。
【0055】そして、次の瞬間に励振用柱23の各電極30a〜30cに図3の極性とは逆の極性の電圧を印加すると、電界方向が分極方向C1と反対方向になり、励振用柱23は矢印H方向と反対方向に倒れる。このとき、励振用柱23とコリオリ検出用柱25の音叉構成によってコリオリ検出用柱25も矢印I方向と反対方向に倒れる。また、同様にして励振用柱24がH方向と反対方向に励振されるため、コリオリ検出用柱25の音叉構成によってコリオリ検出用柱25は矢印I方向と反対方向に倒れるため(すなわち、励振用柱23とコリオリ検出用柱25が離隔し、励振用柱24とコリオリ検出用柱25が近接する)、結果的にコリオリ検出用柱25の振幅が増大される。
【0056】次に、コリオリ力の検出メカニズムを図2(c)、図3および図6に基づいて説明する。
【0057】上述したように図2(c)の矢印E方向に常時励振している各柱23〜25に、図6に示す検出軸63に対してJ方向に角速度が加わると、各柱23〜25には面垂直方向Kにコリオリ力が発生し、各柱23〜25は面垂直方向Kに撓みを生じながら振動することになる。
【0058】このコリオリ力に対する各柱23〜25の面垂直撓みの方向は励振の方向によって決まるため、ある瞬間では励振用柱23および24は同方向(矢印Pで示す)に撓み、コリオリ検出用柱25は逆方向(矢印Qで示す)に撓むことになる。そして、次の瞬間には励振用柱23、24およびコリオリ検出用柱25は上記の方向とは逆の方向に撓むため、この振動を繰返すことになる。
【0059】また、コリオリ検出用柱25がQ方向に撓むとコリオリ検出電極32aが伸び、コリオリ検出電極32bが縮むため、電極32a、32b間の電位が変化し、アンプ43、44、45を介して端子46、47間で差動増幅によって電圧変化分Vを出力する。このとき、コリオリ検出電極32a、32bはコリオリ発生方向に対して垂直に近い形で配置されるため、検出感度が高くなる。
【0060】また、励振用柱23、24とコリオリ検出用柱25の逆方向の面垂直撓みを利用して励振用柱23または励振用柱24とコリオリ検出用柱25との所謂、柱間の差動出力も取り出すことも可能であるため、出力感度のより一層の向上を期待することができる。
【0061】さらに、コリオリ検出用柱25の励振をモニタする際には、励振用柱23、24とコリオリ検出用柱25が矢印E方向に面内励振しているときのコリオリ検出電極32a、32bとアース電極32c間ので電界密度変化をアンプ48、49を介して端子50および端子51との間で和動出力として検出することができるため、励振用柱23、24が常に一定の周波数と振幅で励振されるように励振電極30a、30b、31a、31bへの印加電圧をコントロールすることができる。
【0062】次に、3脚音叉振動子21を製造する方法を図7、8に基づいて説明する。
【0063】まず、図7(a)に示すように、側面に電極72a、72bが貼付された1枚の板状のユニモルフ圧電素子(以下、単に圧電ブロックという)71を準備し、電極72a、72bに電圧を印加することにより、圧電ブロック71の厚み方向を分極方向Cとする圧電ブロック71を製造した後、電極72a、72bを圧電ブロック71から取り外して切り出し工程に移行する。
【0064】切り出し工程では、図7(b)に示すように、ワイヤソー等によって分極方向が図2(a)と同方向となるように板状圧電素子(以下、単に圧電シートという)73を切り出し、この切り出し作業を圧電ブロック71の長手方向に亘って一括して実施することにより、圧電ブロック71の長手方向長さに相当する板厚の複数の圧電シート73を一括して形成する。なお、図7(b)において仮想線はカット位置の一部を示す図である。次いで、この圧電ブロック71を図2(a)で示すカットラインS1、S2でカットすることにより、1枚の圧電シートから複数の圧電シート74に分割する。
【0065】次いで、振動子切り出し工程に移行する。この振動子切り出し工程では、図8(a)に示すように複数の圧電シート74を斜めにした状態で載置可能な治具75を準備し、この治具75の溝75aに複数の圧電シート74を載置し、水平なカットラインS3およびこのカットラインS3と斜めのカットラインS4で切削を行なった後、図8(b)に示すように励振用柱23、24、コリオリ検出用柱25を分割するカットラインS5、S6でカットを行なうことにより、正三角形状の励振用柱23、24およびコリオリ検出用柱25を一括して形成する。
【0066】次いで、電極形成工程に移行する。この電極形成工程では、励振用柱23、24、コリオリ検出用柱25および基部36上にメッキまたは蒸着により電極を形成する。
【0067】次いで、電極独立工程に移行する。この電極独立工程では、スリッタ等によって励振用柱23、24、コリオリ検出用柱25の頂点27a〜27c、28a〜28c、29a〜29cを面取りするとともに、基部36に縦溝37a、38、横溝37cおよび溝39を形成することにより、不要なメッキ電極または蒸着電極を剥ぎ取る。
【0068】このため、励振用柱23、24に励振電極30a、31a、30b、31bおよびアース電極30c、31cが形成されるとともに、コリオリ検出用柱25に励振モニタ電極を兼用するコリオリ検出電極32a、32bおよびアース電極32cが形成され、こから各電極30a〜30c、31a〜31c、32a〜32cが非接触で引出し電極33a〜33e、34a〜34gおよび35a〜35eが3脚柱部22の基部36の表面に導出され、上述したような角速度を検出することができる3脚音叉振動子21が製造される。
【0069】このように本実施形態では、3脚音叉振動子21を板状の圧電ブロック71から切り出された一体構造にすることができるため、3脚音叉振動子21の加速度検出精度を機械精度によって決定することができ、従来のように組立て精度のばらつきによる影響を受けるのを防止して角速度の検出精度を向上させることができる。
【0070】また、3脚音叉振動子21を一体構造にしているため、コリオリ発生時に両端の励振用柱23、24が撓む方向に対して中央のコリオリ検出用柱25の撓む方向を反対方向にすることができ、コリオリ発生時の回転モーメントをキャンセルすることができる。
【0071】具体的には、このため、図9に示すようにコリオリ発生時に各柱23、24、25に発生する回転モーメントMを+M、−Mの逆等モーメントにすることができ、各柱23、24、25に発生する回転モーメントをキャンセルすることができる。このため、振動ロスを最小限にすることができるとともに3脚音叉振動子21の固定部40に回転モーメントが生じるのを防止して(殆ど零にして)、角速度の検出精度を向上させることができる。
【0072】また、各柱23〜25に励振電極30a、30b、31a、31bおよびモニタ電極を兼用するコリオリ検出電極32a、32bをメッキまたは蒸着によって形成しているため、電極30a等の厚みのばらつきを小さくして3脚音叉振動子21の特性ばらつきを小さくすることができる上に、微細な三角形の斜面に電極31a等を形成できるため、3脚音叉振動子21を小型化することができ、結果的に角速度センサの小型化を図ることができる。これに加えて、銀電極のような印刷作業や高温下での焼付け作業が不要になり、電極30a等の形成作業の簡素化を図ることができる。
【0073】また、3脚音叉振動子21を板状の圧電ブロック71から複数個切り出すようにようにしたため、3脚音叉振動子21の製造工程を少なくすることができ、角速度センサの製造コストを低減することができる。
【0074】また、基部36の表面に励振電極30a、30b、31a、31bおよびコリオリ電極32a、32bの引き出し電極33a〜33e、34a〜34gおよび35a〜35eを導出するようにしたため、3脚音叉振動子21の基部36を角速度センサの固定部55に取付けたときに、角速度センサ側のリードピンに引出し電極33a、33b、33e、34a、34d、34g、35a、35b、35eをワイヤボンディングで接続することができ、超小型化に対応することができるとともに、従来のような信号線の捩れ等が発生しないので角速度の検出精度が低下するのを防止することができる。
【0075】また、励振用柱23とコリオリ検出用柱25の重心ピッチまたは図心間ピッチL1と励振用柱24とコリオリ検出用柱25の重心ピッチまたは図心間ピッチL2の寸法比が1:1になるように3脚音叉振動子21を構成したため、コリオリ検出用柱25とこのコリオリ検出用柱25と対をなす励振検出用柱23、24とを最大効率で励振させることができる。なお、励振用柱23とコリオリ検出用柱25が重心ピッチまたは図心間ピッチL1と励振用柱24とコリオリ検出用柱25の重心ピッチまたは図心間ピッチL2の寸法比が2:1になるようにしても同様の効果を得ることができる。
【0076】また、各柱23、24、25を正三角形状として形状(幅、厚さ等)を同一形状にしたため、図10に示すように励振時の共振周波数とコリオリ検出時の共振周波数を略一致させることができ、角速度センサ52の感度を高めることができる。
【0077】また、本実施形態では、各柱23、24、25を正三角形にしているが、これに限らず、二等辺三角形、不等辺三角形であっても良い。また、励振用柱23、24の分極方向C1、C2と鋭角に交叉する頂点27a、28aに対して、コリオリ検出用柱25の分極方向C3と鋭角に交叉する頂点29aが同方向となるように配設しても良い。要は、励振用柱23、24の頂点27a、28aが同方向に配設されていれば良いのである。
【0078】また、本実施形態では、3脚音叉振動子21を1次元の角速度センサ52に取付けた例を示しているが、これに限らず、図11に示すように、各柱23、24、25の延在方向がそれぞれX方向、このX方向と直交するY方向およびX、Y方向と直交するZ方向に位置するように3つの3脚音叉振動子21a、21b、21cを基台55に取付けて3次元の角速度センサ65を構成しても良い。このようにすれば、X、Y、Zの各方向での角速度を検出することができ、高性能な角速度センサを得ることができる。
【0079】
【発明の効果】本発明によれば、3脚音叉振動子を板状のユニモルフ圧電素子から切り出された一体構造にすることができるため、3脚音叉振動子の加速度検出精度を機械精度によって決定することができ、従来のように組立て精度のばらつきによる影響を受けるのを防止して角速度の検出精度を向上させることができる。
【0080】また、3脚音叉振動子を一体構造にしているため、コリオリ発生時に両端の励振用柱が撓む方向に対して中央のコリオリ検出用柱の撓む方向を反対方向にすることができ、コリオリ発生時の回転モーメントをキャンセルすることができる。このため、振動ロスを最小限にすることができるとともに3脚音叉振動子を固定する固定部に回転モーメントが生じるのを防止して角速度の検出精度を向上させることができる。
【0081】また、3脚音叉振動子を板状のユニモルフ圧電素子から複数個切り出すようにようにしたため、3脚音叉振動子の製造工程を少なくすることができ、角速度センサの製造コストを低減することができる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成11年10月27日(1999.10.27)
【代理人】 【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
【公開番号】 特開2001−124561(P2001−124561A)
【公開日】 平成13年5月11日(2001.5.11)
【出願番号】 特願平11−305936