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【発明の名称】 位置測定方法
【発明者】 【氏名】松本 重貴

【要約】 【課題】地磁気あるいは人工的に発生した磁界の乱れの有無にかかわらず、これらの磁界を参照して位置測定を行う。

【解決手段】位置測定系PMAは、所定間隔離して設けられたTMM1とTMM2の2個の3軸磁気測定手段、傾斜角測定手段TAMおよび回転角測定手段RAMを有している。まず、その位置および方位あるいは磁界の方向が既知の第1の地点において、前記TMM1で磁界を測定する。次に、TMM2を前記第1の地点に移動し、TMM2で磁界を測定する。そして、移動前にTMM1で測定した磁界、移動後にTMM2で測定した磁界、傾斜角および回転角から、位置測定系PMAの方位を算出し、移動後のTMM1の位置(第2の地点)を算出する。以下、第2の地点を第1の地点として、繰り返し上記の手順を繰り返す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 所定の間隔をもって配置された第1と第2の3軸磁気測定手段、傾斜角測定手段および回転角測定手段を有する位置測定系を用いて、該位置測定系を移動したときのその移動後の位置を測定する位置測定方法であって、その地点の位置およびその地点における位置測定系の方位あるいは磁界の方向が既知である第1の地点において、前記第1の3軸磁気測定手段により磁界を測定する第1のステップ、前記第2の3軸磁気測定手段が前記第1の地点に位置するように前記位置測定系を移動する第2のステップ、前記移動後に前記第2の3軸磁気測定手段により磁界を測定する第3のステップ、および、前記第1のステップの測定結果と前記第3のステップの測定結果とから前記位置測定系の方位を算出し、該算出した方位および前記第1の3軸磁気測定手段と第2の3軸磁気測定手段との間隔に基づいて、前記移動後の前記第1の3軸磁気測定手段の位置である第2の地点の位置を算出する第4のステップを有することを特徴とする位置測定方法。
【請求項2】 前記第2の地点を新たな第1の地点として、前記第1〜第4のステップを繰り返し適用することを特徴とする前記請求項1記載の位置測定方法。
【請求項3】 前記第4のステップは、前記第2の3軸磁気測定手段でベクトル的に検知した前記第1の地点での磁界ベクトルと前記傾斜角測定手段で検知した傾斜角と前記回転角測定手段で検知した回転角とにより算出した移動後の前記位置測定系の方向ベクトルと、前記第1の3軸磁気測定手段と前記第2の3軸磁気測定手段との間隔とから前記第1の地点を基準とする第2の地点の位置を算出するステップであることを特徴とする前記請求項1あるいは2に記載の位置測定方法。
【請求項4】 前記第4のステップは、前記第2の3軸磁気測定手段でベクトル的に検知した前記第1の地点での磁界ベクトルと前記傾斜角測定手段で検知した傾斜角と前記回転角測定手段で検知した回転角とにより算出した移動後の前記位置測定系の方向ベクトルと前記第1の地点における前記位置測定系の方向ベクトルとの平均値と、前記第1の3軸磁気測定手段と第2の3軸磁気測定手段との間隔とから前記第1の地点を基準とする第2の地点の位置を算出するステップであることを特徴とする前記請求項1あるいは2に記載の位置測定方法。
【請求項5】 前記第1の地点から前記第2の地点への移動後の位置測定系の方向に対する移動前の位置測定系の方向の差分ベクトルと移動距離の積により、移動前の前記第1の3軸磁気測定手段の位置に対する移動後の前記第2の3軸磁気測定手段の位置のずれを補正するステップを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の位置測定方法。
【請求項6】 前記位置測定系は、前記第1の3軸磁気測定手段と前記第2の3軸磁気測定手段の中点で支持体に固定されており、該中点が位置測定の対象とされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の位置測定方法。
【請求項7】 前記位置測定系が、元押し機械により先端に掘進ヘッドを取り付けた推進管を地中に押し込む推進工法における掘進ヘッド内あるいは掘進ヘッドに後続する非磁性推進管内に収納されており、掘削位置を測定することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の位置測定方法。
【請求項8】 前記推進工法が地上に設置した元押し機械で先端に掘削ヘッドを装備したドリルパイプを地中に押し込んで地中に掘削孔を形成する水平ドリリング工法であり、前記位置測定系が前記掘進ヘッドに後続する非磁性推進管内に収納されていることを特徴とする請求項7に記載の位置測定方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気測定手段と磁気測定手段の姿勢を検知するための傾斜角測定手段と回転角測定手段とにより、前記磁気測定手段で検知した磁界の方向を知ることにより、移動の前後における位置測定系の方向を算出して、移動前の位置に対する移動後の位置を測定する位置測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図9は従来の位置測定法における測定系の構成を示す図である。図中、RAMは回転角測定手段、TAMは傾斜角測定手段、TMMは3軸磁気測定手段である。ここで、3軸磁気測定手段TMMは、互いに直交する3個の感度軸を持ち、各感度軸方向の磁界成分のみに感度を有するものであり、磁界を直交する3個の軸方向の成分としてベクトル的に検知することができる。この3軸磁気測定手段TMMは、1個の感度軸を有する3個の磁気測定手段を感度軸が互いに直交するように配置して構成されているのが普通である。また、傾斜角測定手段TAMは測定系の傾斜角を検知する機能を持ち、回転角測定手段RAMは特定の軸(図ではx軸)に関する回転角を検知する機能を持つ。
【0003】次に、図9の測定系により位置を測定する方法について説明する。傾斜角測定手段TAMで検出した傾斜角θY、回転角測定手段RAMで検出した回転角θXを用いて1個の3軸磁気測定手段TMMの姿勢を検出し、これと3軸磁気測定手段TMMでベクトル的に検出した地磁気の方向から方位角Ψを算出し、方位角Ψと傾斜角θYから求めた方向ベクトルを移動距離に関して積分して位置を算出する。
【0004】位置を算出する手順の概略は以下の通りである。説明を簡単にするために地磁気の水平成分の方向をx軸、鉛直方向と反対の方向をz軸、これら2軸に直交し、かつ右手系をなす方向をy軸とする座標系を採用する。以後、この座標系を世界座標系と呼ぶ。このとき地磁気の磁束密度ベクトルBEは、【数1】

と表すことができる。ただし、前述した座標系の定義から、【数2】

である。
【0005】一方、3軸磁気測定手段TMMで測定した磁束密度ベクトルBMSを、【数3】

とする。ただし、磁束密度ベクトルBMSは3軸磁気測定手段TMMに固定した座標系で表されているので、これを世界座標とz軸が平行な座標系1で表したベクトルBMHは、【数4】

となる。ただし、【数5】

である。また、上付添え字Tは転置行列を表す。
【0006】一方、この座標系1が世界座標系をz軸の周りに角度θZ回転したものであるとすると、地磁気の磁束密度ベクトルBEを座標系1で表したベクトルBEHは、【数6】

となる。ただし、【数7】

である。
【0007】したがって、角度θZ(=方位角Ψ)は、【数8】

と求めることができる。この方位角θZと傾斜角θYから方向ベクトルaを、【数9】

と求めることができ、これを移動距離に関して積分していけば移動後の測定系の位置を算出することができる。
【0008】このような位置測定法は、例えば、地中や海底に管路を非開削で建設する推進工法や水平ドリリング工法などの非開削掘削工法において、地中にある掘削先端の位置を測定するために用いられている。例えば、水平ドリリング工法では、まず、先端に掘削用のビット等を備えたドリルパイプ(推進管)を地上から地中に押し込んで、目的地の地上まで円弧状のパイロット孔を形成する。次に、このパイロット孔を拡径しながら、目的地から逆に管路となるパイプを引き込む。この工法は工期が短く、建設コストが他の非開削工法に比べて低いという特徴があるが、推進管(ドリルパイプ)の径が他の推進工法に較べて極めて細いために、他の推進工法で使用されているようなレ−ザ光を用いる位置測定法を適用できない。そのために、上述のような3軸磁気センサ、傾斜計、回転計を併用する位置測定方法が使われている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来使用されている上記の方法では、地磁気の方向を方位の基準としているために、磁界の発生源や地磁気を乱す磁性体などが存在すると、正しい方位を得ることができない。例えば、橋梁の近くなどでは鉄骨の磁化や地磁気の乱れにより精度の高い位置測定が困難である。そこで、第2の方法として、傾斜角測定手段TAM、回転角測定手段RAM、1個の3軸磁気測定手段TMMからなる測定系を用い、地上に人工的な磁気発生源、例えば大電流を流したループ状の電線などにより磁束密度分布が既知の磁界を作り出してこれを3軸磁気測定手段TMMで検出することにより、位置測定を行う方法が使用されている。しかし、河川を越えて管路を建設する場合などのように、電流を流すためのループ状電線を常に地上に張ることができない場合には、この方法は使用できない。また、電流を流すループ状電線の周辺に磁性体が有ると電流によって発生する磁界が乱れるために、正確な測定ができないことは上記第1の方法と同様である。
【0010】そこで、本発明は、地磁気あるいは人工的に発生した磁界の乱れの有無にかかわらずこれらの磁界を参照して高精度の位置測定を行うことのできる位置測定方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の位置測定方法は、所定の間隔をもって配置された第1と第2の3軸磁気測定手段、傾斜角測定手段および回転角測定手段を有する位置測定系を用いて、該位置測定系を移動したときのその移動後の位置を測定する位置測定方法であって、その地点の位置およびその地点における位置測定系の方位あるいは磁界の方向が既知である第1の地点において、前記第1の3軸磁気測定手段により磁界を測定する第1のステップ、前記第2の3軸磁気測定手段が前記第1の地点に位置するように前記位置測定系を移動する第2のステップ、前記移動後に前記第2の3軸磁気測定手段により磁界を測定する第3のステップ、および、前記第1のステップの測定結果と前記第3のステップの測定結果とから前記位置測定系の方位を算出し、該算出した方位および前記第1の3軸磁気測定手段と第2の3軸磁気測定手段との間隔に基づいて、前記移動後の前記第1の3軸磁気測定手段の位置である第2の地点の位置を算出する第4のステップを有するものである。また、前記第2の地点を新たな第1の地点として、前記第1〜第4のステップを繰り返し適用する位置測定方法である。
【0012】さらに、前記第4のステップは、前記第2の3軸磁気測定手段でベクトル的に検知した前記第1の地点での磁界ベクトルと前記傾斜角測定手段で検知した傾斜角と前記回転角測定手段で検知した回転角とにより算出した移動後の前記位置測定系の方向ベクトルと、前記第1の3軸磁気測定手段と前記第2の3軸磁気測定手段との間隔とから前記第1の地点を基準とする第2の地点の位置を算出するステップとされているものである。あるいは、前記第4のステップは、前記第2の3軸磁気測定手段でベクトル的に検知した前記第1の地点での磁界ベクトルと前記傾斜角測定手段で検知した傾斜角と前記回転角測定手段で検知した回転角とにより算出した移動後の前記位置測定系の方向ベクトルと前記第1の地点における前記位置測定系の方向ベクトルとの平均値と、前記第1の3軸磁気測定手段と第2の3軸磁気測定手段との間隔とから前記第1の地点を基準とする第2の地点の位置を算出するステップとされているものである。さらにまた、前記第1の地点から前記第2の地点への移動後の位置測定系の方向に対する移動前の位置測定系の方向の差分ベクトルと移動距離の積により、移動前の前記第1の3軸磁気測定手段の位置に対する移動後の前記第2の3軸磁気測定手段の位置のずれを補正するステップを有するものである。
【0013】さらにまた、前記位置測定系は、前記第1の3軸磁気測定手段と前記第2の3軸磁気測定手段の中点で支持体に固定されており、該中点が位置測定の対象とされているものである。さらにまた、前記位置測定系が、元押し機械により先端に掘進ヘッドを取り付けた推進管を地中に押し込む推進工法における掘進ヘッド内あるいは掘進ヘッドに後続する非磁性推進管内に収納されており、掘削位置を測定するものである。さらにまた、前記推進工法が地上に設置した元押し機械で先端に掘削ヘッドを装備したドリルパイプを地中に押し込んで地中に掘削孔を形成する水平ドリリング工法であり、前記位置測定系が前記掘進ヘッドに後続する非磁性推進管内に収納されているものである。
【0014】所定の間隔をもって配置した2個の3軸磁気測定手段と傾斜角測定手段と回転角測定手段により位置測定系を構成することにより、移動前に第1の3軸磁気測定手段で検知した磁界を、移動後に第2の3軸磁気測定手段を用いて再度測定して、移動後の位置測定系の方位を算出することにより、位置あるいは方位の基準となる磁界の乱れの影響を取り除くことができ、磁界の乱れによる測定精度の低下を防ぐことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】(位置測定系の配置)図1は、本発明の位置測定方法に用いられる位置測定系PMAの構成例を示す図である。図中、RAMは回転角測定手段、TAMは傾斜角測定手段、TMM1は第1の3軸磁気測定手段(以下、「3軸磁気測定手段1」という)、TMM2は第2の3軸磁気測定手段(以下、「3軸磁気測定手段2」という)、SLSは3軸磁気測定手段1TMM1と3軸磁気測定手段2TMM2の磁界を検知する中心の間を結ぶ線分である。図2は3軸磁気測定手段TMM1およびTMM2の感度軸を説明する図面である。3軸磁気測定手段TMM1およびTMM2は、図中に感度軸1、感度軸2および感度軸3と記されている互いに直交する3個の感度軸を持ち、感度軸方向の磁界成分のみに感度を有するので、磁界を直交する3個の軸方向の成分としてベクトル的に検知することができる。この3軸磁気測定手段1TMM1と3軸磁気測定手段2TMM2は、前述した従来の測定法で使用している3軸磁気測定手段TMMと同様のものである。また、回転角測定手段RAM、傾斜角測定手段TAMは従来の測定法で使用しているものと同様の機能を持つものであり、回転角測定手段RAMは特定の軸(例えば、x軸)に関する回転角を検知し、傾斜角測定手段TAMは位置測定系PMAの傾斜角を検知する。なお、図1では、回転角測定手段RAMと傾斜角測定手段TAMが独立した要素として配置されているが、両者が独立した要素である必要は無く、3軸加速度計を用いれば両者の働きを兼ねることができる。
【0016】本配置例では、3軸磁気測定手段1TMM1と3軸磁気測定手段2TMM2はそれぞれの感度軸1、感度軸2、感度軸3が平行であるように配置されている。また、両者は感度軸1方向に所定の間隔をもって配置されている。水平ドリリング工法で使用するような場合、この間隔、つまり中心を結ぶ線分SLSの長さは、例えば、0.5メートルから1メートル程度とすればよい。
【0017】ところで、3軸磁気測定手段1TMM1の感度軸と3軸磁気測定手段2TMM2の感度軸は必ずしも平行である必要はなく、また、中心を結ぶ線分SLSがこれら2個の3軸磁気測定手段の感度軸のいずれかと一致している必要もないが、3軸磁気測定手段1TMM1の感度軸と3軸磁気測定手段2TMM2の感度軸が平行であり、中心を結ぶ線分SLSがこれら2個の3軸磁気測定手段の感度軸のいずれかと一致している場合には、位置測定のための処理が簡単になる利点がある。また、本発明の位置測定法は、これらの条件が満たされている場合でも満たされていない場合でも原理的に変わらないので、以下の位置測定法の説明では、3軸磁気測定手段1TMM1の感度軸と3軸磁気測定手段2TMM2の感度軸が平行であり、中心を結ぶ線分SLSがこれら2個の3軸磁気測定手段の感度軸のいずれかと一致している場合について説明する。
【0018】また、図1においては、回転角測定手段RAMと傾斜角測定手段TAMは3軸磁気測定手段1TMM1と3軸磁気測定手段2TMM2を通る直線上に配置されているが、必ずしも同直線上に配置する必要はない。傾斜角測定手段TAMは中心を結ぶ線分SLSの傾斜角を検知するように配置すれば十分である。また、回転角測定手段RAMは、中心を結ぶ線分SLSに平行な軸に関する位置測定系PMAの回転角を検知するように配置すれば十分である。なお、本発明の位置測定法を元押し機械により先端に掘進ヘッドを取り付けた推進管を地中に押し込む推進工法における掘削位置の測定に適用する場合には、前記位置測定系PMAを前記掘進ヘッド内あるいは掘進ヘッドに後続する非磁性推進管の内部に収納すればよい。また、水平ドリリング工法に適用する場合には、掘進ヘッドに後続する非磁性推進管内に収納する。
【0019】(位置測定法の概要)図3は、本発明を用いて位置測定を行う方法を説明する図面である。また、図4は、図3の中で用いている位置測定系の略図を説明する図面である。図中、TMM1とTMM2は図1中のものと同じ3軸磁気測定手段1および3軸磁気測定手段2を指す。PMAは位置測定系である。また、P0、P1、P2、P3、P4はそれぞれ地点0、地点1、地点2、地点3、地点4を表す。地点0P0はその位置が既知である位置測定の起点である。地点1P1、地点2P2、地点3P3、地点4P4はそれぞれ位置測定を行う地点である。
【0020】ここで、まず、位置測定のための基本的事実と用語について説明する。本発明では、傾斜角測定手段TAMにより、常に位置測定系PMAの傾斜角を検知することができる。位置測定系PMAの方向を水平面に射影した方向は、3軸磁気測定手段1TMM1および3軸磁気測定手段2TMM2で検知した磁界から算出する。磁界としては、地磁気であっても良いし、人為的に作り出した任意の磁界であっても良い。また、磁界の大きさや方向の空間的な変化の様子が常に既知である必要はない。なお、位置測定系PMAの方向を水平面に射影した方向を以後「位置測定系PMAの方位」と呼ぶことにする。また、大地に固定した座標系を世界座標系WCSと呼ぶことにする。なお、以下の説明では「位置測定系PMAの方向」という用語を用いるが、位置測定系PMAの方向は、3軸磁気測定手段1TMM1、3軸磁気測定手段2TMM2、回転角測定手段RAMおよび傾斜角測定手段TAMの配置に関して固定された任意の方向である。しかし、説明を簡単にするために、以下の説明では中心を結ぶ線分SLSの方向を指すものとする。ただし、線分の向きは3軸磁気測定手段2TMM2から3軸磁気測定手段1TMM1に向かう方向とする。また、位置測定系PMAの傾斜角とは、中心を結ぶ線分SLSの水平に対する傾きである。座標系の定義の都合から、位置測定系PMAの傾斜角は中心を結ぶ線分SLSの俯角となる。また、位置測定系PMAの回転角とは、中心を結ぶ線分SLSに平行な軸に関する位置測定系PMAの回転角である。座標系の定義の都合から、中心を結ぶ線分SLSの方向に進むときの右ネジの方向が正になる。
【0021】次に、本発明における位置測定手順の概要について説明する。最初、図3の(1)に示すように、3軸磁気測定手段1TMM1が地点0P0に位置する状態に位置測定系PMAがある。ここで、地点0P0の位置は既知である。また、地点0P0では位置測定系PMAの方位が既知であるか、あるいは磁界の方向が既知である。位置測定系PMAの方位が既知であれば、傾斜角は傾斜角測定手段TAMにより常に検知可能であるから、3軸磁気測定手段1TMM1によりベクトル的に検知した磁界から、世界座標系WCSでの磁界の方向と大きさを算出することができる。したがって、いずれの場合にも、地点0P0での磁界を世界座標系WCSでのベクトルとして特定することができる。
【0022】次に、3軸磁気測定手段2TMM2が地点0P0に来るように位置測定系PMAが移動する(図3の(2))。このときの3軸磁気測定手段1TMM1の位置を地点1P1とする。3軸磁気測定手段2TMM2により地点0P0での磁界を検知すれば、地点0P0での磁界は世界座標系WCSでのベクトルとして特定されていることにより、逆に3軸磁気測定手段2TMM2でベクトル的に検知した磁界と傾斜角測定手段TAMにより検知した傾斜角から位置測定系PMAの方向を知ることができる。ここで、位置測定系PMAの方向とは中心を結ぶ線分SLSの方向であり、中心を結ぶ線分SLSの長さは既知であるから、地点1P1の位置を世界座標系WCSでの座標として計算することができる。さらに、このとき3軸磁気測定手段1TMM1で地点1P1の磁界を検知すれば、3軸磁気測定手段1TMM1の世界座標系WCSでの姿勢も既知であるから、3軸磁気測定手段1TMM1で検知した磁界を、世界座標系WCSでのベクトルとして特定することができる。以下、図3の(3)、(4)、(5)に示すように、地点0P0の代わりに地点1P1を、地点1P1の代わりに地点2P2を考えて同じ手順を繰り返せば、次々に地点1P1、地点2P2、地点3P3、地点4P4の位置を世界座標系WCSの座標として得ることができる。
【0023】以下、本発明による位置測定法について詳細に説明する。
(起点での処理)世界座標系WCSの取り方は任意であるので、世界座標系WCSのx軸は地磁気の水平成分の向きに平行、z軸は反鉛直方向であるとする。y軸はx軸とz軸と直交し、これらが右手系をなすように決める。また、座標軸の定義から地磁気のy成分は0である。この座標系の原点は適当にとれば良く、非開削工法での掘削位置の測定に用いる場合には、例えば発進坑の近傍の1点にとる。地点0P0(起点)の世界座標系WCSでの座標をr0(x0,y0,z0)、位置測定系PMAの傾斜角をθY,0、位置測定系PMAの方位角をθZ,0とする。さらに位置測定系PMAの回転角をθX,0とする。これらはいずれも既知であるものとする。外乱磁界の点r0(x0,y0,z0)での磁束密度をBD,0(BDX,0,BDY,0,BDZ,0)とする。地磁気の磁束密度ベクトルは前記式(p1)、(p2)で示したように、BE(BEX,BEY,BEZ)、BEY=0である。
【0024】地点0P0で3軸磁気測定手段1TMM1が測定した磁束密度をセンサに固定した座標系でBMS,0(BMSX,0,BMSY,0,BMSZ,0)であったとする。これを、世界座標系WCSで表現したベクトルBMW,0は、【数10】

となる。ただし、【数11】

である。ここで、上付添え字Tは転置行列を表す。したがって、外乱磁界BD,0は、【数12】

で与えられる。
【0025】(その他の地点での処理)以下の説明では地点Pk(k=0,...,N)の世界座標系WCSでの座標をrk(xk,yk,zk)(k=0,...,N)とする。地点Pk:rk(xk,yk,zk)(k=1,...,N)の位置を測定する場合について説明する。ここで、地点Pk-1(k=1,...,N)の座標rk-1(xk-1,yk-1,zk-1)(k=1,...,N)は既知である。また、地点Pk-1(k=1,...,N)での世界座標系WCSで表した磁束密度ベクトルBW,k-1(BWX,k-1,BWY,k-1,BWZ,k-1)(k=1,...,N)も既知である。さらに、位置測定系PMAの傾斜角θY,k-1(k=1,...,N)、位置測定系PMAの方位角θZ,k-1(k=1,...,N)も既知である。
【0026】3軸磁気測定手段1TMM1で検知した地点Pk:rk(xk,yk,zk)(k=1,...,N)での磁束密度をBMS,k(BMX,k,BMY,k,BMZ,k)(k=1,...,N)とする。一方、3軸磁気測定手段2TMM2は地点Pk-1:rk-1(xk-1,yk-1,zk-1)(k=1,...,N)の磁束密度B’MS,k-1(B'MX,k-1,B'MY,k-1,B'MZ,k-1)(k=1,...,N)を測定している。これを位置測定系の姿勢で補正して、世界座標のz軸の周りに未知の角度θZ,k回転した座標系での表現B’MH,k-1(B'MHX,k-1,B'MHY,k-1,B'MHZ,k-1)(k=1,...,N)を求めると、【数13】

となる。ただし、【数14】

である。また、回転行列Rk-1そのものは、【数15】

と表すことができる。
【0027】一方、地点Pk-1:rk-1(xk-1,yk-1,zk-1)(k=1,...,N)における磁束密度BW,k-1(BWX,k-1,BWY,k-1,BWZ,k-1)(k=1,...,N)は地磁気の磁束密度BE(BEX,BEY,BEZ),BEY=0と外乱磁界あるいは人為的に発生させた磁界の磁束密度BD,k-1(BDSX,k-1,BDSY,k-1,BDSZ,k-1)(k=1,...,N)によって、【数16】

と表すことができる。
【0028】これを世界座標WCSのz軸の周りに未知の方位角θZ,k回転した座標系で表すとBH,k-1(BHX,k-1,BHY,k-1,BHZ,k-1)(k=1,...,N)となる。つまり、【数17】

である。
【0029】この磁束密度BH,k-1(BHX,k-1,BHY,k-1,BHZ,k-1)(k=1,...,N)は測定により求めた磁束密度B’MH,k-1(B'MHX,k-1,B'MHY,k-1,B'MHZ,k-1)(k=1,...,N)と等しいから、【数18】

または、上記式(11a)、(11b)から、【数19】

であり、これから、例えば、【数20】

により位置測定系PMAの方位角θZ,k(k=1,...,N)を求めることができる。ただし、【数21】

である。なお、上記式(11a)および(11b)から位置測定系PMAの方位角θZ,k(k=1,...,N)を求める方法はこれ以外の方法を用いることも可能である。
【0030】上記式(13)で求めた位置測定系PMAの方位角θZ,k(k=1,...,N)と傾斜角測定手段TAMにより検知した位置測定系PMAの傾斜角θY,k(k=1,...,N)を用いて、3軸磁気測定手段1TMM1で測定した磁束密度BMS,k(BMSX,k,BMSY,k,BMSZ,k)(k=1,...,N)を世界座標系WCSで表現すると、【数22】

となる。また、外乱磁界BD,k(k=1,...,N)は、【数23】

で与えられる。したがって、外乱磁界あるいは人為的に発生させた磁界をベクトル的に得ることができるので、これと地磁気との合成磁束密度BMW,kを基準にして次の測定点での方位を求めることができる。
【0031】ところで、地点Pk(k=1,...,N)の位置rk(xk,yk,zk)(k=1,...,N)を求める方法としては、位置測定系の移動の仕方により以下の2つの方法を用いることができる。第1の方法は、上記の手順により求めた位置測定系PMAの方位角θZ,k(k=1,...,N)と傾斜角測定手段TAMにより検知した位置測定系PMAの傾斜角θY,k(k=1,...,N)を用いて位置測定系PMAの方向ベクトルak(k=1,...,N)を求め、地点Pk(k=1,...,N)の位置rk(xk,yk,zk)(k=1,...,N)を、【数24】

として求める方法である。ただし、【数25】

であり、sk(k=1,...,N)は地点Pk-1(k=1,...,N)から地点Pk(k=1,...,N)に移動するときの移動距離である。場所による磁界の変化が十分に小さければ、この移動距離sk(k=1,...,N)は中心を結ぶ線分SLSの長さと同じである必要はない。つまり、移動前に3軸磁気測定手段1TMM1で測定した地点と移動後に3軸磁気測定手段2TMM2で測定する地点とが厳密に一致する必要はなく、実際に移動した距離を用いればよい。この方法は地点Pk-1(k=1,...,N)から地点Pk(k=1,...,N)への移動が直線的に行われる場合に適している。
【0032】第2の方法は、移動前の位置測定系PMAの方向ベクトルak-1(k=1,...,N)と移動後の位置測定系PMAの方向ベクトルak(k=1,...,N)との平均的方向である位置測定系PMAの平均的方向barak(k=1,...,N)(aの上に横線を付したものをbaraと記す)を用いて、【数26】

により、測定後の地点Pk(k=1,...,N)の位置の座標rk(xk,yk,zk)(k=1,...,N)を求める方法である。
【0033】ここで位置測定系PMAの平均的方向barak(k=1,...,N)は、【数27】

である。この第2の方法は、地点Pk-1(k=1,...,N)から地点Pk(k=1,...,N)への移動において、位置測定系PMAの方向がak-1(k=1,...,N)からak(k=1,...,N)に滑らかに変化する場合に有効である。移動距離sk(k=1,...,N)が中心を結ぶ線分SLSの長さと同じである必要はないことは、前述した第1の方法と同様である。
【0034】この第2の方法が有効な事例として、水平ドリリング工法における位置測定に本発明を適用する場合がある。図5は水平ドリリング工法に本発明を適用する場合の位置測定系の配置例を示す図である。図中、PMSは位置測定系支持部、BHDは掘進ヘッド、NMPは非磁性管、DPPは推進管である。その他の要素(PMA、TMM1、TMM2)はこれまでに説明したものと同じである。図示するように、位置測定系PMAは非磁性管NMPの中に位置測定系支持部PMSにより固定されており、磁性材である掘進ヘッドBHDおよび後続の推進管DPPから離されている。
【0035】また、図5に示した例では、位置測定系PMAは、掘進ヘッドBHD側に配置された位置測定系支持部PMSにより、前記非磁性管NMPに固定されているが、位置測定系PMAの固定は、任意の位置、例えば掘進ヘッドBHD側でも推進管DPP側でもどこでも構わない。ただし、位置測定系の変形がないように、つまり3軸磁気測定手段1TMM1と3軸磁気測定手段2TMM2との相対的な位置関係が非磁性管NMPの変形によって変わらないように、1カ所で支持されている必要がある。図7は、前記位置測定系PMAをその中心部で非磁性管NMPに固定した例を示す図である。この場合には、位置測定系支持部PMSが位置測定系PMAの中央部に配置されている。
【0036】図6は、水平ドリリング工法で本発明を用いて位置の測定を行うときの位置測定系PMAの姿勢、非磁性管NMPの変形の状態を示す図である。ここでは、図5に示した位置で位置測定系PMAが非磁性管に固定されている場合を示している。図示するように、掘削の進行に伴い、位置1、位置2、位置3と掘進ヘッドは進行していく。例えば、図中の位置3に掘進ヘッドBHDがある場合、非磁性管NMPは掘削孔BHLに沿って弾性変形する。しかし、位置測定系PMAは位置測定系支持部PMSにより1点で支持されているので、3軸磁気測定手段1TMM1と3軸磁気測定手段2TMM2との相対的な位置関係は変わらない。水平ドリリング工法に本発明を適用する場合、非磁性管NMPが掘削孔BHLに沿って変形するため、地点Pk-1(k=1,...,N)から地点Pk(k=1,...,N)に位置測定系PMAが移動する場合、位置測定系PMAの方向はak-1(k=1,...,N)からak(k=1,...,N)に滑らかに変化する。
【0037】また、図6の位置3に掘進ヘッドBHDがある場合のように掘削孔BHLが曲線を描いている場合には、移動後の3軸磁気測定手段2TMM2の位置は移動前の3軸磁気測定手段1TMM1の位置と異なる可能性がある。また、掘削孔BHLに対して非磁性管NMPの直径が2割程度細いのが普通であるので、図6の位置1から位置2への移動のように直線的に掘進ヘッドBHDが移動する(直線的な掘削が行われている)場合でも、移動後の3軸磁気測定手段2TMM2の位置は移動前の3軸磁気測定手段1TMM1の位置とほぼ同じになるとは限らない。しかし、本発明では移動前と移動後の位置測定系PMAの方向を求めることができるので、非磁性管NMPが同じ経路を通って掘削が進むという仮定の下にこの位置の差を補正することが可能である。
【0038】図8は、この補正項の求め方を説明するための図である。中心を結ぶ線分SLSの長さをlとし、位置測定系PMAが3軸磁気測定手段1TMM1から距離lbの点で支持体(例えば非磁性管NMP)に固定されているとする。移動前の位置測定系PMAの方向ak-1(k=1,...,N)と移動後の位置測定系PMAの方向ak(k=1,...,N)の差が小さければ、【数28】

であるので、位置測定系PMAの移動前の支持点と移動後の支持点を結ぶベクトルI’は近似的に、【数29】

と表すことができる。
【0039】したがって、移動前の3軸磁気測定手段1TMM1の位置と移動後の3軸磁気測定手段2TMM2の位置の差Δrk-1(k=1,...,N)は、図8から、【数30】

となり、これを整理すると、【数31】

となる。
【0040】位置測定系PMAを3軸磁気測定手段1TMM1の位置で固定している場合は(lb=0、la=l)、【数32】

となる。この間の移動距離をsk(k=1,...,N)とすれば、【数33】

であるから、lをskで置き換えて、【数34】

となる。また、位置測定系PMAを3軸磁気測定手段2TMM2の位置で固定している場合には、【数35】

となる。
【0041】この補正を施すと、地点Pk(k=1,...,N)の位置rk(xk,yk,zk)(k=1,...,N)は、位置の算出に移動後の位置測定系PMAの方向ak(k=1,...,N)を使う場合には、上記式(17)に代えて、【数36】

となり、また、移動前の位置測定系PMAの方向ak-1(k=1,...,N)と移動後の位置測定系PMAの方向ak(k=1,...,N)の平均値barakを使う場合には、上記式(19)に代えて、【数37】

となる。
【0042】さらに、前記図7に示したように、位置測定系PMAを3軸磁気測定手段1TMM1の位置と3軸磁気測定手段2TMM2の位置の中点で固定した場合には、上記式(26)から、【数38】

となるから、補正が不要となる。特に、位置測定系PMAの位置としてこの中点の位置を用いる場合には、ほぼ掘削経路に沿った位置測定が可能である。この場合、位置の計算には上記式(17)あるいは式(19)を用いればよい。なお、位置測定系PMAの位置rs,k(k=0,...,N)は、3軸磁気測定手段1TMM1の位置rk(xk,yk,zk)(k=1,...,N)により、一般に、【数39】

で求めることができる。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、地磁気を方位の基準とする場合においても、人工的に発生した磁界を位置の参照源とする場合においても、これらの磁界の乱れの影響を受けずに位置測定を行うことが可能である。また、本発明は推進工法や水平ドリリング工法における位置測定に有効であるばかりでなく、位置測定系の移動が何らかの要因により拘束されており、2個の3軸磁気測定手段がほぼ同一の経路に沿って移動するような場合に広く適用することができる。
【出願人】 【識別番号】000208891
【氏名又は名称】株式会社ディーディーアイ
【出願日】 平成11年10月27日(1999.10.27)
【代理人】 【識別番号】100086841
【弁理士】
【氏名又は名称】脇 篤夫 (外1名)
【公開番号】 特開2001−124555(P2001−124555A)
【公開日】 平成13年5月11日(2001.5.11)
【出願番号】 特願平11−305395