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【発明の名称】 セルフテスト機能付きWDM方式光ファイバジャイロ
【発明者】 【氏名】梶岡 博

【氏名】熊谷 達也

【氏名】大貫 渉

【要約】 【課題】低価格、小型で、しかもセルフテスト機能を有するセルフテスト機能付きWDM方式光ファイバジャイロを提供する。

【解決手段】測定光を発生し、その測定光を光ファイバを通して受光する光学系と、その受光信号の処理を行う信号処理回路とからなる光ファイバジャイロにおいて、前記光学系に、波長の異なる測定光を発生する二つ以上の光源1,2,3と、これらの波長別測定光を合成/分離する波長選択フィルタ4,5とを設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 測定光を発生し、その測定光を光ファイバを通して受光する光学系と、その受光信号の処理を行う信号処理回路とからなる光ファイバジャイロにおいて、前記光学系に、波長の異なる測定光を発生する二つ以上の光源と、これらの波長別測定光を合成/分離する波長選択フィルタとを設けたことを特徴とするセルフテスト機能付きWDM方式光ファイバジャイロ。
【請求項2】 前記二つ以上の光源のうち一つの光源が劣化したときには、その劣化した光源以外の光源を使用して測定を続けることを特徴とする請求項1記載のセルフテスト機能付きWDM方式光ファイバジャイロ。
【請求項3】 前記二つ以上の光源の測定光の受光信号を処理した結果を相互に比較することにより、光源の良否を診断する自己診断機能を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のセルフテスト機能付きWDM方式光ファイバジャイロ。
【請求項4】 前記二つ以上の光源の測定光の受光信号を処理した結果から前記光学系の各測定光に共通の部分について診断する自己診断機能を設けたことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のセルフテスト機能付きWDM方式光ファイバジャイロ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバループを伝搬する光の変化から回転を検出する光ファイバジャイロに係り、特に、低価格、小型で、しかもセルフテスト機能を有するセルフテスト機能付きWDM方式光ファイバジャイロに関するものである。
【0002】
【従来の技術】光ファイバループを伝搬する光がその光ファイバループに生じている角速度によって影響を受けることを利用して回転を検出する光ファイバジャイロ;FOGが知られている。光ファイバジャイロは、測定光を光ファイバに入射しその光ファイバを通した測定光を受信する光学系と、受信した信号の処理を行う信号処理回路とからなる。
【0003】図2に示した干渉型FOGは、クローズドループ方式の信号処理回路を備えている。21は光源、22はカプラ、23は光IC、24はセンシングコイル、25は受光器、26は信号処理回路である。
【0004】このFOGにおいて最も長期信頼性に留意すべきはSLD(Super LuminesentDiode)と呼ばれる光源21である。SLDは、出射光の指向性が半導体レーザの指向性のように鋭く、波長広がりが発光ダイオードの波長広がりのように広く設計されている特殊光源である。しかし、発光部の単位面積当たりの電流密度が高くなるため、FOGの構成部品のなかで最も寿命が短い。
【0005】このような光源21を有するFOGを使用したFOG応用システムにおいては、システムの安全性(信頼性)を確保するためにセンサ(FOG)を二重系或いは三重系にすることが考えられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図3に、従来の多重系システムを示す。この多重系システムは、それぞれ光源31を備えて単独でセンサを構成する2乃至3台のFOG32と、これら複数台のFOG32の信号処理出力を切り換える光スイッチ33とを備え、いずれかのFOG32の信号処理出力が取り出せるように構成されている。
【0007】上記従来の多重系システムは、1台のFOG32からエラーメッセージが出ると予備のFOG32に切り換えるというものである。しかし、このシステムには次の問題点がある。
【0008】(1)FOGを複数使用するので、コストが上がる(2)設置スペースが2倍以上になる。
【0009】(3)センサが極度に劣化したかどうかはエラーメッセージから判るが、正常かどうか(エラーメッセージが出ない程度の異常があるかどうか)を判定するセルフテストの機能はない。
【0010】(4)3台のFOGを用いると2台よりも信頼性が良くなるが、価格とサイズとが更に上がる。
【0011】複数台のFOGを用いるのではなく、1台のFOGに光源を2つ備えることも考えられるが、同一波長の光源を用いる場合、光スイッチにより切り換える構成が必要となる。
【0012】そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、低価格、小型で、しかもセルフテスト機能を有するセルフテスト機能付きWDM方式光ファイバジャイロを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明は、測定光を発生し、その測定光を光ファイバを通して受光する光学系と、その受光信号の処理を行う信号処理回路とからなる光ファイバジャイロにおいて、前記光学系に、波長の異なる測定光を発生する二つ以上の光源と、これらの波長別測定光を合成/分離する波長選択フィルタとを設けたものである。
【0014】前記二つ以上の光源のうち一つの光源が劣化したときには、その劣化した光源以外の光源を使用して測定を続けてもよい。
【0015】前記二つ以上の光源の測定光の受光信号を処理した結果を相互に比較することにより、光源の良否を診断する自己診断機能を設けてもよい。
【0016】前記二つ以上の光源の測定光の受光信号を処理した結果から前記光学系の各測定光に共通の部分について診断する自己診断機能を設けてもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0018】本発明の光ファイバジャイロ(FOG)は、図2に示したクローズドループ方式のFOGに、波長の異なる測定光を発生する3台の光源と、これらの波長別測定光を合成/分離する波長選択フィルタ(WDMフィルタ)とを設けたものである。WDMフィルタとしては、ガラス導波路によるAWG(アレイ導波路型光合分波器)や光ファイバグレーティング方式のものが使用される。図1には、この光ファイバジャイロの光源部とWDMフィルタ部とを詳細に示した。
【0019】図1に示されるように、本発明のFOGは、波長の異なる測定光を発生する3台の光源1,2,3と、これらの波長別測定光を合成/分離するWDMフィルタ4,5とを有する。3台の光源1,2,3は、各測定光を合成するためのWDMフィルタ(MUX)4に接続され、このWDMフィルタ4の出力側はカプラ6に接続されている。カプラ6の出力側には、光IC7が接続されている。光IC7は、分岐器、変調器等が集積化されたものである。その光IC7にはセンシングコイル8が接続されている。カプラ6は、光源部からの各測定光をセンシングコイル8に導き、センシングコイル8を通った各測定光を受光部に導くものである。カプラ6の受光部側には、測定光を分離するためのWDMフィルタ(DEMUX)5が接続されている。このWDMフィルタ5の出力側には、それぞれ受光器9,10,11が接続されている。各受光器9,10,11には、それぞれ信号処理回路12,13,14が接続されている。各信号処理回路12,13,14の出力側は出力比較判定回路15に接続されている。
【0020】図1のFOGの動作を、3台の光源1,2,3が常時使用される方式の場合について説明する。
【0021】3台の光源1,2,3からの3つの波長の異なる測定光は、WDMフィルタ4で合成され、後段のリング干渉系に導かれる。これらの測定光は、カプラ6、光IC7を経てセンシングコイル8に導かれる。センシングコイル8内を左回り・右回り両方向に伝搬した測定光は、光IC7、カプラ6を経てWDMフィルタ5に導かれる。WDMフィルタ5で波長別に分離された測定光は、それぞれ受光部9,10,11に導かれる。受光部9,10,11で光電変換された信号は、それぞれ信号処理回路12,13,14で処理される。
【0022】なお、図1のFOGは、波長の異なる3つの測定光が同時に伝搬するが、製造段階では予め個々の波長の光源のみ駆動し、従来の1軸のFOGを製造するのと同じ方法でスケールファクタの温度補正をほどこしてある。また、カプラ6、光IC7については、3つの波長帯の光に対し十分な機能を有するように設計してある。
【0023】次に、図1のFOGがもたらす効果を説明する。なお、ここでは以下の2点を前提としている。
【0024】前提1)2個の光源が同時に故障する確率は十分小さい。
【0025】前提2)カプラ、光IC、センシングコイルの故障率は十分低く、かつ故障が容易に判断できる。
【0026】図1のFOGでは、以下の判定を行うことができる。
【0027】判定1)3波長のFOG出力信号(信号処理回路で処理した結果)をモニタし、どのFOGからもエラー信号が出ておらず、FOGの出力信号が3波長とも同じであれば3台の光源はともに正常であると判定する。
【0028】判定2)どれか1つの波長のFOG出力信号が他の2つの波長のFOG出力信号と異なっている場合は、この1波長のFOGはエラーに至っていないが、何等かの異常があると判定する。
【0029】この場合、異常があると判定された1波長のFOGは除外する。残りのFOGは測定を続行する。除外したFOGについての修理要求メッセージを出す。
【0030】判定3)3波長のFOG出力信号に共通している異常から、各波長に共通した光学系部分であるカプラ、光IC、センシングコイルの異常を判定する。
【0031】図1のFOGは、以下の効果が得られる。
【0032】効果1)波長の異なる二つ以上の光源の測定光を使用するので、処理結果の相互の比較から光源のエラーには至らない異常が判定できる。
【0033】効果2)1つの光源に異常があっても異常でない光源を使用して測定が続けられる。
【0034】効果3)従来のFOGを3台使用する3重系システムに比べ、カプラ、光IC、センシングコイルを共用できるので、小型、低価格化が可能である。
【0035】上記の実施形態では、3台の光源を常時使用したが、1台乃至は2台の光源を使用し、光源に異常が発生した場合に、その異常な光源を除外し、別の光源に切り換えてもよい。
【0036】本発明のFOGは、車体制御システムなどの常時正確な角速度を計測する必要のあるシステムに応用することができる。
【0037】
【発明の効果】本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0038】(1)寿命が短い光源を複数台使用し、他の光学系は共用したので低価格、小型で多重系が実現できる。
【0039】(2)各光源が波長の異なる測定光を発生するので、複数光源を同時に使用することができ、処理結果の比較によるセルフテストが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000005120
【氏名又は名称】日立電線株式会社
【出願日】 平成11年10月13日(1999.10.13)
【代理人】 【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
【公開番号】 特開2001−108449(P2001−108449A)
【公開日】 平成13年4月20日(2001.4.20)
【出願番号】 特願平11−291061