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【発明の名称】 位置誤差較正装置及び方法
【発明者】 【氏名】藤瀬 守正

【要約】 【課題】航空機の気圧高度計及び対気速度計の位置誤差較正に必要な真対気速度、ならびに試験飛行実施時の試験実施高度における風向、風速を、試験飛行を行う飛行機の機上にて計測して、計器の較正のために入力し、または記録する。

【解決手段】姿勢角計からの機首方位、対地速度および対気速度から真対気速度、風向、風速を算出する演算部、演算部からの出力値を記録する記録計、機首方位および演算部からの出力値で機首方位を指示し、保持する姿勢指示装置および姿勢保持装置、対気速度と演算部からの出力値で対気速度を指示し、保持する速度指示装置および速度保持装置、気圧高度と演算部からの出力値で気圧高度を指示し、保持する気圧高度指示装置および気圧高度保持装置、対地高度および気圧高度保持装置からの出力値で高度を保持する高度保持装置とからなるものとした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 位置誤差較正を行う特定高度、特定対気速度で順次機首方位を変更して飛行する各経路(レグ)でそれぞれ計測された、姿勢角計からの機首方位、対地速度計からの自機対地速度およびピトー管で計測された総圧、静圧から対気速度計で算出された対気速度が入力され、真対気速度、風向、風速を算出する演算部と、前記演算部からの出力値を記録する記録装置と、前記姿勢角計からの機首方位および前記演算部からの出力値がそれぞれ入力され、前記各飛行経路での機首方位を指示し、若しくは保持する姿勢指示装置および姿勢保持装置と、前記対気速度計からの対気速度と前記演算部からの出力値がそれぞれ入力され、前記各飛行経路での対気速度を指示し、若しくは保持する速度指示装置および速度保持装置と、前記静圧から気圧高度計で算出された気圧高度と前記演算部からの出力値がそれぞれ入力され、前記各飛行経路での気圧高度を指示し、若しくは保持する気圧高度指示装置および気圧高度保持装置と、電波高度計から出力された対地高度から前記各飛行経路の対地高度を保持する対地高度保持装置および前記気圧高度保持装置からの出力値がそれぞれ入力され、前記各飛行経路での高度を保持する高度保持装置とからなることを特徴とする位置誤差較正装置。
【請求項2】 前記位置誤差較正装置の位置誤差較正を行うべく設定された前記各飛行経路(レグ)飛行時に対応する機首方位が、任意の基準となる第1の機首方位と前記第1の機首方位に対しある角度をなす第2の機首方位と前記第1の機首方位に対し前記第1の機首方位と前記第2の機首方位とのなす角度だけ前記第2の機首方位とは逆方向の角度をなす第3の機首方位とからなり、この3機首方位へ同一指示対気速度を保ち、同一高度において順次飛行し、各機首方位での対地速度の絶対値を計測し、この計測値から風速、風向および前記指示対気速度での真対気速度を求め位置誤差較正を行うことを特徴とする請求項1に記載の位置誤差較正装置を用いた位置誤差較正方法。
【請求項3】 前記第1の機首方位、第2の機首方位および第3の機首方位の全てが任意に設定された基準点を通過するように前記各飛行経路が設定されるとともに、前記基準点を通過するときの電波高度計で計測される対地高度を一定にして、順次飛行させるようにしたことを特徴とする請求項2の位置誤差較正方法。
【請求項4】 前記第1の機首方位、第2の機首方位および第3の機首方位のうちの2つの機首方向が前記基準点を通過するように前記飛行経路が設定されるとともに、前記基準点を通過するときの電波高度計で計測される対地高度を一定にして、順次飛行させるようにしたことを特徴とする請求項2の位置誤差較正方法。
【請求項5】 前記第1の機首方位、第2の機首方位および第3の機首方位が、前記基準点を内包するか、近傍に持つ三角形で形成された前記飛行経路に設定されるとともに、同一指示対気速度を保ち、同一高度において順次飛行させるようにしたことを特徴とする請求項2の位置誤差較正方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、航空機の飛行に不可欠の気圧高度計及び対気速度計の機体への取付位置に伴って生じる位置誤差の較正を行うために必要な真対気速度、ならびに試験飛行実施時の試験実施高度における風向、風速を、較正のために試験飛行を行って機上にて計測した対地速度情報に基づいて算出して、計器の較正のために入力し、または記録するための位置誤差較正装置およびその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】航空機のピトー管の総圧/静圧方式を採用した対気速度計からなる速度計測系統並びに静圧方式を採用した気圧高度計からなる高度計測系統には、機体へのピトー等の取付位置によって気流の状態が変ること等により、特に、静圧の計測に計測誤差が生じることがあり、対気速度計、気圧高度計には、誤差が生じることがあるため、この誤差を較正して、飛行時の真の対気速度/気圧高度を計測できるようにすることが不可欠な事項となる。この較正を行うための取付位置誤差を定める飛行試験の代表的なものとして、従来、スピードコース法、レーダレンジ法、スモークトレイル法などが用いられてきた。
【0003】図16は、取付位置誤差を把握するための飛行試験として従来から行われているスピードコース法を示す図である。図において、18は基準とするスピードコース、19は基準とするスピードコース18の一方の方位∠K、20は基準とするスピードコース18の逆向きの方位∠K+2∠R、21は基準とするスピードコース18の長さである。また、22はスピードコース18と直交して設けられた往路計時開始線(面)および復路計時終了線(面)(以下往路計時開始線という)、23はスピードコース18と直交して設けられた往路計時終了線(面)および復路の計時開始線(面)(以下復路計時開始線という)である。なお、往路計時開始線22および復路計時開始線23を総称するときには、単に計時線と呼称することとする。
【0004】24は往路の計時開始時の航空機位置、25は往路の計時終了時の航空機位置、26は復路の計時開始時の航空機位置、27は復路の計時終了時の航空機位置である。また、12はスピードコース18の飛行高度における風速W、13は風向∠Ψ、14は自機の真対気速度Vtである。
【0005】このようなスピードコース法においては、地表に設定された平行な往路計時開始線22、及び復路計時開始線23に直交して設けられたスピードコース18と平行に機首方位を保って往復を同一の対気速度、高度にて飛行させ、スピードコース長さ21の飛行に要した往路及び復路の時間それぞれでスピードコース長さ21を除して得られる速度を速度の次元にて算術平均して真対気速度14を求め、このスピードコース18を往復飛行したとき一定に保った対気速度の計測値(指示対気速度)との比較により対気速度計の較正を行う。
【0006】また、図17はレーダレンジ法による対気速度計、気圧高度計の取付位置誤差の測定を示す図である。図において、28はレーダ位置、29はレーダ位置28を中心として円弧状に設けられた往路計時開始線22から出る時、すなわちアウトバウンド時の機首方位、30は復路計時開始線23から出る時、すなわちインバウンド時の機首方位、31は行程相当のレーダレンジ差である。
【0007】本レーダレンジ法による取付位置誤差測定は、前述したスピードコース法と同様にして行われる。レーダ位置から十分に遠ければ往路計時開始線22および復路計時開始線23は局所的にスピードコース法と同様の直線(平面)とみなせる。飛行時の機首方位をレーダー位置を正面もしくは真後ろに捕らえる角度を保つ様にして、計時線22、23間の通過時間を計り、インバウンド時、アウトバウンド時それぞれの時間にて、レーダレンジ差31を除して求めた速度を速度次元で平均することにより真対気速度14を求める。
【0008】真対気速度14の値および往復飛行したときの対気速度計で計測した対気速度(指示対気速度)とから計測誤差を求め、対気速度計の較正を行う。
【0009】また、図18はスモークトレイル法による取付位置誤差の測定を示す図である。図において、32は較正前の対気速度計、気圧高度計を装備した自機、33は較正済みの気圧高度計を有する航空機、34は較正済みの気圧高度計により一定高度を飛行する航空機33の航跡を明確にするため、航空機33から排出されるスモークである。
【0010】本スモークトレイル法においては、試験条件を確認する場合に任意に設定する基準点近傍において、航空機33から排出されるスモーク34と同高度を飛行しているときの自機32の気圧高度計で計測された気圧高度と航空機33に搭載された気圧高度計との比較から、自機32の気圧高度計を較正する。
【0011】以上、取付位置誤差を定める為の試験として、従来から行われている試験方法を示したが、これらの試験方法では、主要な計測装置や支援器材は、較正を行おうとする自機32とは離れた場所にあり、従って較正を行うため試験の実施に際しては、多くの従事者を要する不具合があった。
【0012】また、図16に示すスピードコース法、図17に示すレーダレンジ法による位置誤差較正では測量済みのスピードコースや、レーダサイト等地上に設けられた施設や設備に従属して、試験実施場所が制約をうけるという不具合もある。さらに、図18に示すスモークトレイル法による較正では、気圧高度一定の航跡を較正済みの航空機33により事前かつ直前にスモーク34で描く必要があり、自機を含め複数の航空機を連携して飛行させなければならないという不具合がある。さらに、上述した試験方法の全てに共通して、試験結果は、事後の解析を要し、無線連絡等により試験結果の情報を受けない限り、試験飛行実施中の操縦者には試験の成否が把握し難いという不具合もあった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、航空機の飛行には不可欠の気圧高度計及び対気速度計の位置誤差較正において行う試験で生じる上述した種々の不具合を解消するため、気圧高度計及び対気速度計の機体への取付位置に伴って生じる位置誤差の較正を行うために必要な真対気速度データ、ならびに試験飛行実施時の試験実施高度における風向、風速を、試験飛行を行う飛行機の機上にて計測して、これらのデータを入力し、これらの計器の較正を行い、または記録するための位置誤差較正装置および位置誤差較正方法を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の位置誤差較正装置は、次の手段とした。
【0015】(1)位置誤差較正を行うために設定された各機首方位で飛行しそれぞれ計測された、姿勢角計からの機首方位、対地速度計からの自機対地速度およびピトー管で計測された総圧、静圧を使って対気速度計で算出された対気速度が入力され、真対気速度、風向、風速を算出する演算部と、演算部からの出力値を記録する記録装置と、姿勢角計からの機首方位および演算部からの出力値がそれぞれ入力され、各飛行経路での機首方位を指示、若しくは保持する姿勢指示装置および姿勢保持装置と、対気速度計からの対気速度と演算部からの出力値がそれぞれ入力され、各飛行経路での対気速度を指示、若しくは保持する速度指示装置および速度保持装置と、ピトー管で計測された静圧により気圧高度計で算出された気圧高度と演算部からの出力値がそれぞれ入力され、各飛行経路での気圧高度を指示、若しくは保持する気圧高度指示装置および気圧高度保持装置と、電波高度計から出力された対地高度から各飛行経路の対地高度を保持する対地高度保持装置および気圧高度保持装置からの出力値がそれぞれ入力され、各飛行経路での高度を保持する高度保持装置とからなるものとした。
【0016】このように、本発明の位置誤差較正装置は、上述(1)の手段により、(a)地上の支援無しに自機の対地速度を計測する対地速度計と、飛行経路を飛行している自機の姿勢である方位角、ピッチ角、バンク角をそれぞれ計測する姿勢角計と、所望の機首方位を保持して、自機の未較正の指示対気速度を保持して飛行させる速度保持装置と、高度を保持しながら飛行させうる高度保持装置と、適切な手順にて保持する飛行諸元を順次変更し、同一指示対気速度に対しては、自機の姿勢を計測する姿勢角計により、3方向以上の機首方位角にて飛行させ、このとき、ある基準となる方位角の機首方位での飛行時の自機対地速度を計測する対地速度計の計測値、及びこの基準となる方位角に対し、残りの飛行方位の内から2つの別の飛行方位であって基準となる方位角とのなす角の大きさが等しく回転方向が逆となる機首方位角での飛行時の自機対地速度を計測する対地速度計の各計測値と、方位基準となる機首方位角と選ばれた機首方位角及び機首方位角それぞれとのなす各々符号が正及び負である真対気速度間の角度の値を、自機の姿勢を姿勢角計より計測して、これらを用いて風速及び風向及び自機の真対気速度を数1により計算することが可能となり、この真対気速度を使って対気速度計が較正できるとともに、既知の地表面(又は水面)高度と対地高度(および地上気圧)とから未較正の気圧高度計の較正が可能になる。なお、厳密には、この真の気圧高度、外気温とを用い対気速度に対して密度高度換算を行なう公知の算法により求める。
【0017】このように、本発明の位置誤差較正装置では、航空機の飛行には不可欠な気圧高度計及び対気速度計の位置誤差較正において、従来行っていた試験で生じていた種々の不具合を解消して、気圧高度計及び対気速度計の機体への取付位置に伴って生じる位置誤差の較正を行うために必要な真対気速度データ、ならびに試験条件の確認、飛行位置保持に有用な試験飛行実施時の試験実施高度における風向、風速を、試験飛行を行う飛行機の機上にて計測して、これらの計器の較正値を提示し、または位置誤差較正のため等に記録することができる。
【0018】また、上述(1)の手段の位置誤差較正装置を使用しての本発明の位置誤差較正方法は、次の手段を採用した。
【0019】(2)位置誤差較正装置の位置誤差較正を行うべく設定された各飛行経路が、任意の基準方位に設定される第1の機首方位と、第1の機首方位に対しある角度をなす第2の機首方位と、第1の機首方位に対し、第1の機首方位に対する第2の機首方位とのなす角度だけ、第2の機首方位とは逆方向の角度をなす第3の機首方位とからなり、この3機首方位へ同一指示対気速度を保ち、同一高度において順次飛行し、各機首方位での対地速度の絶対値を計測し、これらの対気速度および対地速度の計測値から、各飛行経路における風速、風向および指示対気速度における真対気速度を求め位置誤差較正を行うものとした。
【0020】本発明の位置誤差装置較正方法では、上述(2)の手段の採用により、(b)任意の基準となる機首方位∠Aと、これに対しある角度∠Dをなす機首方位∠A+D、及び基準機首方位∠Aに対して機首方位∠A+Dとは逆の回転方向に、機首方位∠Aと機首方位∠A+Dのなす角∠Dだけ偏向させた機首方位∠A−Dからなる合計3機首方位へ同一指示対気速度を保ち、同一高度において順次飛行し、それら各機首方位での飛行時における対地速度の絶対値を対地速度計で計測し、この値と各飛行径路における相互の機首方位のなす角とから、当該飛行径路に発生している風速、風向及び当該指示対気速度での飛行時における自機真対気速度の計3つの値を数1により求め、これらを使って、対気速度計較正を行うことができる。
【0021】すなわち、上述(1)の手段の位置誤差較正装置を使用した本発明の位置誤差較正方法によれば、速度較正を行うための試験の実施に当って必要とする計測装置は、地表面(海面、水面)の気圧高度、気温を除き全て機上に搭載されており、大掛かりな計測装置や支援機材を地上設ける必要がなく、さらには、試験実施に従事する従事者が不要になる。また、測量済みのスピードコースや、レーダサイト等地上に設ける施設や設備が不要になり、試験実施場所の制約を少くすることができるとともに、スモークトレイル法による気圧高度計較正方法のように、気圧高度一定の航跡を較正済みの航空機により事前かつ直前に描く必要もなくなり、複数の航空機を連携して飛行させなければならないという不具合も解消できる。
【0022】さらに、実験結果は機上で即時に解析されて、提示されフィードバックされるので、地上からの、若しくは携行する便機からの無線連絡を受けるまでもなく試験飛行実施中の操縦者には試験の成否が把握でき、再試験のための飛行を不要にできる。
【0023】また、本発明の位置誤差較正方法は、上述(2)の手段の採用に加え、次の手段を採用した。
(3)第1の機首方位、第2の機首方位および第3の機首方位の何れもが、任意の場所の地表面若しくは海面に設定された基準点を通過するように、各飛行径路が設定されるとともに、基準点を通過するときの電波高度計で計測される対地高度および指示対気速度を一定にして順次飛行し、各機首方位での対地速度計で得られる対地速度の絶対値を計測し、このときの指示対気速度および対地速度の計測値から、各飛行径路における風速、風向および指示対気速度における真対気速度を求め位置誤差較正を行うものとした。
【0024】本発明の位置誤差較正方法では、上述(3)の手段により、上述(b)に加え、(c)第1の機首方位、第2の機首方位および第3の機首方位が、基準点を対地高度一定で通過させるように設定されているので、同一高度の保持状況または気圧高度と対地高度の関係を、電波高度計と気圧高度計双方の基準点通過時のデータを記録しておく事により、高度を一定に保って飛行していることを容易に確認可能となる。
【0025】また、本発明の位置誤差較正方法は、上述(2)の手段の採用に加え、次の手段を採用した。
(4)第1の機首方位、第2の機首方位および第3の機首方位のうちの2つの機首方向が、基準点を通過するように飛行径路が設定されるとともに、基準点を通過するときの電波高度計で計測される対地高度および指示対気速度を一定にして順次飛行し、各機首方位での対地速度の絶対値を計測し、これらの指示対気速度および対地速度の計測値から、各飛行径路における風速、風向および指示対気速度における真対気速度を求め位置誤差較正を行うものとした。
【0026】本発明の位置誤差較正方法では、上述(4)の手段により、上述(b)に加え、(d)第1の機首方位、第2の機首方位および第3の機首方位から等間隔の機首方位を順次設定する各レグのうち連続する3レグのうち、2レグは繰り返して、ほぼ同一地点を通過する様に予め設定しておくことにより、電波高度計等の対地高度計測手段により高度を一定に保っていることを容易に確認することができる。すなわち、前後のレグにて基準点を通過するレグは、当該レグにおいては基準点を通過せずとも、基準点を通過したときの対気速度と気圧高度を保って飛行させた場合には、等価な対気速度と気圧高度が得られていると推定し、これに依拠して飛行高度の保持を保証することができる。
【0027】また、本発明の位置誤差較正方法は、上述(2)の手段の採用に加え、次の手段とした。
(5)第1の機首方位、第2の機首方位および第3の機首方位が、基準点を略中心に配置した正三角で形成された飛行径路に設定されるとともに、この飛行径路を同一指示対気速度を保ち、同一高度において順次飛行し、各機首方位での対地速度の絶対値を計測し、これらの指示対気速度および対地速度の計測値から各飛行径路における風速、風向および指示対気速度における真対気速度を求め位置誤差較正を行うものとした。
【0028】本発明の位置誤差較正方法では、上述(5)の手段により、上述(b)に加え、(e)所望の機首方位にて所望の対気速度指示値にて飛行しての対地速度取得後、可及的速やかに次の機首方位に変更し、順次データを取得することにより、風や気圧の経時的変化の影響を極限まで小さくすることができ、且つ試験時間を短縮できる。
【0029】なお、本発明においては、高度の参照は試験実施場所の近傍にて、地表又は水面が平坦であることを想定しているため、特定の基準点直上を通過する必要はない。すなわち、本発明の位置誤差較正方法においては、自機真対気速度の計3つの値を定める方法に供するための飛行において、等間隔の機首方位を各レグ所要の計測終了次第設定することができるので、経時的に変化することのある、風向、風速若しくは気圧の変化が極限にまで小さい状態で試験を行うことができ、精度の高い風向、風速データが得られるとともに、精度の高い対気速度が得られ、精度の高い対気速度計および気圧高度計の較正を行うことができ、しかも試験時間の短縮が可能となる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の位置誤差較正装置及び位置誤差較正方法の実施の一形態を図面に基づき説明する。なお、図において前述した図16〜図18において示したものと同一若しくは類似のものについては同一符号を符して説明は省略する。
【0031】図1は、本発明の位置誤差較正装置を構成する自動操縦装置の飛行保持装置の実施の第1形態を示すブロック図、図2は、本発明の位置誤差較正装置を図1に示す自動操縦装置と共に構成する飛行指示装置の実施の第1形態を示すブロック図である。
【0032】また、図3は図1,図2に示す実施の形態の位置誤差較正装置を使用した、位置誤差較正のため試験飛行方法の実施の第1形態を示す風と対地速度と対気速度の関係を示すベクトル平面図、図4は図3に示す実施の形態における風と対地速度と対気速度の関係を示すベクトル平面図において風を共通にして速度成分を描き直した図、図5は図4に示す対気速度よりも風の速度が大きい場合についての図3に示す実施の形態における風と対地速度の関係を示す平面ベクトル図、図6は図3に示す実施の形態における、風と対地速度と対気速度の関係を示すベクトル平面図の具体的な事例を示す平面図である。
【0033】図1,図2において、1は地上の支援計測者無しに、較正を必要とする対気速度計41、気圧高度計42を装着している自機32の対地速度を計測する手段であるドップラ速度計、IRS、INS、GPS等からなる対地速度計、2は方位角、ピッチ角、バンク角からなる自機32の姿勢をジャイロ等により計測する手段である姿勢角計、また、対地速度計1又は姿勢角2から出力される5〜10は、図3〜図5において示すように、5は、第1の機首方位としての基準とする任意の方向に向けた機首方位∠A、6は機首方位∠A5での飛行時の自機対地速度a、7は第2の機首方位としての、基準の機首方位∠A5とある角度∠D11だけ角度をなす機首方位∠A+D、8は機首方位∠A+D7での飛行時の自機対地速度b、9は第3の機首方位としての、角度∠D11だけ任意の機首方位∠A5に対して、機首方位∠A+Dとは逆回りに角度をなす機首方位∠A−D、10は機首方位∠A−D9での飛行時の自機対地速度cである。また、36は自機32が保持して飛行した未較正の指示対気速度に対応する真対気速度Vt14データならびに試験飛行実施時の試験実施高度における風向∠4、風速Wおよび飛行するべき方位を算出する演算部である。
【0034】38は自機32が保持して飛行した未較正の指示対気速度に対応する真対気速度Vt14データならびに試験飛行実施時の試験実施高度における風向∠Ψ、風速Wを記録する記録装置である。41は対気速度計、42は気圧高度計、43は対地高度計測手段であり対地高度の真値を計測する電波高度計、48は較正対象の対気速度計41に総圧計測値を入力する総圧(Pitot)ポート、49は較正対象の対気速度計41および気圧高度計42に静圧計測値を入力する静圧(static)ポートである。
【0035】また、図1において、3は自機32の未較正の場合を含む対気速度計41から出力される指示対気速度を保持して飛行させるために自動操縦装置、または指示対気速度の増減指示器に従ってパイロットが操縦する速度保持装置、4は未較正の場合を含む気圧高度計42から出力される気圧高度を保持しながら飛行させるために自動操縦装置、または後述する気圧高度保持装置44/電波高度計43からの高度に従ってパイロットが操縦する高度保持装置である。37は所望の機首方位を保持して飛行させる姿勢(機首方位)保持装置、44は気圧高度を保持しながら飛行させうる手段である気圧高度保持装置、46は必要に応じて対地高度を保持しながら飛行させうる手段である対地高度保持装置である。
【0036】さらに、図2において、39は自機32が保持して飛行した未較正の指示対気速度に対応する真対気速度Vt14データならびに試験飛行実施時の試験実施高度における風向∠Ψ、風速Wを入力し、飛行するべき方位を指示する機首方位指示装置、40は自機32が保持して飛行するべき未較正の指示対気速度が入力され、要すれば速度の増減を指示する速度指示装置、45は自機が保持して飛行するべき未較正の気圧高度が入力され、要すれば上昇又は降下を指示する対地高度指示装置である。47は必要に応じて自機が保持して飛行するべき対地高度を提示し、要すれば上昇又は降下を指示する対地高度指示装置、50は気圧高度指示装置45および対地高度指示装置47からの指示高度を入力して高度指示を行う高度指示装置である。
【0037】また、15は機首方位の1例、16は自機対地速度の1例、17は航空機の1例である。
【0038】本実施の形態の位置誤差較正装置は、地上の支援無しに自機の対地速度を計測する対地速度計1からの機首方位∠Aでの自機対地速度a6、機首方位∠A+Dでの自機対地速度b8、および機首方位∠A−Dでの自機対地速度c10と、姿勢方位角、ピッチ角、バンク角からなる自機の姿勢角を計測する姿勢角計2からの機首方位∠A5、機首方位∠A+D7、および機首方位∠A−D9と、ピトー管の総圧ポート48および静圧ポート49からの圧力信号が入力された対気速度計41からの対気速度とが入力された(真対気速度、風向、風速)演算部36では、各機首方位∠A5,∠A+D7,∠A−D9における真対気速度Vt14、風向∠Ψ、風速Wおよび真気圧高度が算出されて記録装置38に出力される。
【0039】また、演算された真対気速度Vt14、風向∠Ψ13および風速W12データは、姿勢角計2からの機首方位∠A5,∠A+D7、∠AーD9の計測データとともに姿勢保持装置37および機首方位指示装置39に入力される。また、演算された真対気速度Vtは対気速度計41からの対気速度の計測値と共に速度保持装置3および速度指示装置40に入力される。さらに、演算された真気圧高度は、気圧高度計42からの気圧高度の計測値と共に気圧高度保持装置44および気圧高度指示装置45に入力される。
【0040】一方、自機32には対地高度を計測する電波高度計43が搭載されており、この電波高度計43で計測される対地高度は、ピトー管で計測される圧力、特に、静圧ポート49で計測される静圧のように機体によって変化する気流の影響を受けないために、真対地高度を示すものとなっており、そのまま、対地高度保持装置46および対地高度指示装置47に入力される。さらに、前述した気圧高度保持装置44からの保持気圧高度と対地高度保持装置46からの保持対地高度とは、高度保持装置4に入力されると共に、気圧高度指示装置45からの指示気圧高度と対地高度指示装置からの指示対地高度とは高度指示装置50にも入力される。
【0041】本実施の形態の位置誤差較正装置は、上述の如く構成されて、地上の支援無しに自機の対地速度を計測する対地速度計1と、自機32の姿勢である方位角、ピッチ角、バンク角をそれぞれ計測する姿勢角計2と、所望の機首方位を保持して自機32の未較正の指示対気速度を保持して飛行させる速度保持装置3と、高度を保持しながら飛行させうる高度保持装置4と、適切な手順にて保持する飛行諸元を順次変更し、同一指示対気速度に対しては自機32の姿勢を計測する姿勢角計2により、3方向以上の機首方位角∠A,∠A+D,∠A−Dにて飛行させる。
【0042】このときある基準となる方位角の機首方位∠A5での飛行時の自機対地速度を計測する対地速度計1の計測値a6、及びこの基準となる方位角に対し、残りの飛行方位の内から2つの別の飛行方位であって基準となる方位角とのなす角の大きさが等しく回転方向が逆となる機首方位角∠A+D7及び∠A−D9での飛行時の自機対地速度を計測する対地速度計1の計測値b8及び計測値c10と、方位基準となる機首方位角∠A5と選ばれた機首方位角∠A+D7及び機首方位角∠A−D9それぞれとのなす各々符号は、正及び負である真対気速度Vt14間の角度∠Dの値を、自機32の姿勢(方位角、ピッチ角、バンク角)を計測する姿勢角計2より定め、これらを用いて風速W12及び風向Ψ13及び自機の真対気速度Vt14を数1により計算することが可能となる。
【0043】
【数1】

【0044】次に、上述した位置誤差較正装置を使用して気圧高度計および対気速度計を較正する、位置誤差較正方法の実施の第1形態を図3〜図6に基づき説明する。
【0045】任意の基準となる機首方位∠A5とこれに対しある角度∠D11をなす機首方位∠A+D7及び基準機首方位∠A5に対して∠A+D7とは逆の回転方向に、機首方位∠A5と機首方位∠A+D7のなす角∠D11をなす機首方位∠A−D9の合計3機首方位へ同一指示対気速度を保ち、同一高度において順次飛行し、それら各機首方位での飛行時における対地速度の絶対値a,b,cを計測し、この値から風速W12及び風向Ψ13及び当該指示対気速度での飛行時における自機32の真対気速度Vt14の計3つの値を数1により求め、この3つの値を使って機体への取付位置に伴って生じる、対気速度計41および気圧高度計42の位置誤差較正を行い、取付位置によって生じる位置誤差をなくすることができる。
【0046】但し、数1における逆正接の計算には、ATAN2等分母・分子の正負を評価して2π角を値域として定められる関数を用いる。風速W12が自機対地速度a6,b8,c10の何れかよりも大きい場合には、数1の計算式により定まるVt14をW12に、逆にW12をVt14と読み替え、図5に示されるようにする。
【0047】なお、同一の指示対気速度にて飛行するときに回転翼航空機や非対称性が強い固定翼航空機の如く、定常的に横滑り角βをもって飛行する様な場合においては、風向Ψについて横滑り角分だけ偏差を補正すればよい。また、横滑り角βは試験を行う自機32に横滑り角計を設けることにより容易に計測することができる。試験実施時の試験条件に大きな変動がないことを確認する程度の目的にしか風向Ψを用いぬ場合には、この横滑り分の補正を必要としない。
【0048】次に図7は、前述した位置誤差較正装置を用いて毎レグ基準点35を通過させる飛行を行い実施する位置誤差較正方法の実施の第2形態を示す平面図である。また、図8は本実施の形態において、風がある場合の上記飛行方法による飛行径路の平面図である。
【0049】図に示すように、本実施の形態においては飛行方位を変えた少なくとも3レグを飛行することにより、実施の第1形態の方法により真対気速度Vtを求めるに際して、同一気圧高度を保って飛行するときに、任意に設定する基準点35を毎レグ通過する様に設定しておくことにした。これにより、同一高度の保持状況または気圧高度と対地高度の関係を、電波高度計43と気圧高度計42双方の基準点35通過時のデータを記録しておく事により確認可能となる。
【0050】すなわち、任意の基準機首方位∠A5と、これに対しある角度∠D11をなす機首方位∠A+D7及び基準機首方位∠A5に対して機首方位∠A+D7とは逆の回転方向に、機首方位∠A5と機首方位∠A+D7とのなす角∠D11偏位させた機首方位∠A−D9の合計3機首方位へ同一指示対気速度を保ち、同一高度において順次飛行し、それら各機首方位5,7,9での飛行時における対地速度a,b、cの絶対値を計測し、この値から風速W12及び風向Ψ13及び当該指示対気速度での飛行時における自機真対気速度Vt14の計3つの値を定める方法に供するための飛行において、等間隔の機首方位∠A5,∠A+D7,∠A−D9を順次設定する各レグにおいて繰り返してほぼ同一地点を通過する様に予め設定しておくことにより、電波高度計43などにより高度を一定に保っていることを容易に確認することができる飛行ができる。
【0051】次に、図9は、前述した位置誤差較正装置を用いて連続する3レグのうち、2レグにて基準点35を通過させる飛行を行い実施する位相誤差較正方法の実施の第3形態を示す平面図である。図10は図9に示す実施の形態の他形態を示す図で、図11は図9に示す実施の形態のさらに他形態を示す図である。
【0052】本実施の形態においては、飛行方位を変えた少なくとも3レグを飛行することにより、図3〜図6に示す実施の第1形態の方法により真対気速度Vtを求めるに際して同一気圧高度を保って飛行するときに、任意に設定する基準点35を3レグ中2レグ通過する飛行方法により、一連のレグの気圧高度保持状況または気圧高度と対地高度の関係の確認が電波高度計43と気圧高度計42双方の基準点35通過時のデータを記録しておく事により可能となる。
【0053】すなわち、前後のレグにて基準点を通過するレグは、当該レグにおいては基準点を通過せずとも対気速度と気圧高度を保って飛行された場合には、等価な対気速度と気圧高度が得られていると推定し、これに依拠して飛行高度の保持を保証することができる。
【0054】すなわち、図9〜図11に示す本実施の形態の位置誤差較正方法では、任意の基準機首方位∠A5と、これに対しある角度∠D11をなす機首方位∠A+D7及び基準機首方位5に対して7とは逆の回転方向に、機首方位∠A5と機首方位∠A+D7のなす角∠D11偏位させた機首方位∠A−D9の合計3機首方位へ同一指示対気速度を保ち同一高度において順次飛行し、それら各機首方位∠A5,∠A+D7,∠A−D9での飛行時における対地速度a6,b8,c10の絶対値を計測し、この値から風速W12及び風向Ψ13及び当該指示対気速度での飛行時における自機真対気速度Vt14の計3つの値を定める方法に供するための飛行において、等間隔の機首方位を順次設定する各レグのうち連続する3レグのうち2レグは繰り返して、ほぼ同一地点を通過する様に予め設定しておくことにより、電波高度計等の対地高度計測手段により高度を一定に保っていることを容易に確認することができる。
【0055】次に、図12は、前述した位置誤差較正装置を用いて、各レグを基準点35の近傍を通過させる飛行を行い、実施する位置誤差較正方法の実施の第4形態を示す平面図である。
【0056】本実施の形態においては、地表高度の変化が少ない地面又は海面上にて飛行方位∠A5,∠A+D7,∠A−D9を変えた少なくとも3レグを飛行することにより実施の第1形態の方法と同様にして真対気速度Vt14を求めるに際して、同一高度の保持状況または気圧高度と対地高度の関係は電波高度計43と気圧高度計42双方のデータを取得することにより確認可能となる。また、本実施の形態の方法においては、所望の機首方位∠A5,∠A+D7,∠A−D8にて所望の対気速度指示値にて飛行しての対地速度a6,b8,c10取得後、可及的速やかに次の機首方位に変更し、順次データを取得することにより風や気圧の経時的変化の影響を極限まで小さくすることができ、且つ試験時間を短縮できる。
【0057】なお、本実施の形態においては、高度の参照は試験実施場所の近傍にて地表が平坦であることを想定しているため特定の基準点35直上を通過する必要はない。
【0058】すなわち、任意の基準機首方位∠A5とこれに対しある角度∠D11をなす機首方位∠A+D7及び基準機首方位∠A5に対して∠A+D7とは逆の回転方向に、機首方位∠A5と機首方位∠A+D7のなす角∠D11をなす機首方位∠A−D9の合計3機首方位へ同一指示対気速度を保ち、同一高度において順次飛行し、それら各機首方位∠A5,∠A+D7,∠A−D9での飛行時における対地速度a6,b8,c10の絶対値を計測し、この値から風速W12及び風向Ψ13及び当該指示対気速度での飛行時における、自機真対気速度Vt14の計3つの値を定める方法に供するための飛行において等間隔の機首方位を各レグ所要の計測終了次第順次設定することができる。
【0059】次に、図13〜図15は、前述した位置誤差較正装置を用いて等間隔の機首方位を順次設定した飛行径路に沿って飛行を行い実施する位置誤差較正方法を示す平面図で、図13は前のレグの第1のレグE51と第2のレグF52のなす角が120度より小さい場合、更に同一対気速度、高度にて、第3のレグの飛行を行なう場合の機首方位候補G1 53,G2 54,G3 55, 4 56を示す平面図、図14は前の第1のレグE51と第2のレグF52のなす角が120度である場合の、同様に第3のレグの飛行を行なう場合の機首方位候補G1 53,G2 54,G355, 4 56を示す平面図、図15は前の第1のレグE51と第2のレグF52のなす角が120度より大きい場合の、同様に第3のレグの飛行を行なう場合の機首方位候補G1 53,G2 54,G3 55, 4 56を示す平面図である。
【0060】地表高度の変化が少ない地面又は海面上にて飛行方位を変えた、少なくとも3レグを飛行することにより実施の第1形態の方法により真対気速度を求めるに際して、所望の機首方位にて所望の対気速度指示値にて飛行しての対地速度取得後、可及的速やかに次の機首方位に変更し、順次データを取得する場合に等間隔の機首方位角の3レグを設定する場合、3レグの内の最終のレグにおいて目標とするべき機首方位の候補を、前の2レグの飛行実績に基づいて定め操縦者に提示する、または自動操縦の目標値とすることにより事前に設定した飛行方位に対して偏差を生じた場合でも、最終のレグにおいて補正を行える様にしたことにより飛行諸元設定に要する時間を短縮し、この間の風の変化による影響を少なくすることができる。
【0061】任意の基準機首方位∠A5と、これに対しある角度∠D11をなす機首方位∠A+D7及び基準機首方位∠A5に対して∠A+D7とは逆の回転方向に機首方位∠A5と機首方位∠A+D7のなす角∠D11をなす機首方位∠AーD9の合計3機首方位へ同一指示対気速度を保ち同一高度において順次飛行し、それら各機首方位での飛行時における対地速度の絶対値を計測し、この値から風速W12及び風向Ψ13及び当該指示対気速度での飛行時における自機真対気速度Vt14の計3つの値を定める方法に供するための飛行において、等間隔の機首方位を各レグ所要の計測終了次第順次設定する飛行指示装置、または自動操縦装置であって、3レグの内の第三のレグにおいて目標とするべき機首方位の候補を、これに先立つ2つのレグの実績に基づいて定め、これを操縦者に提示あるいは自動操縦の目標値として第三のレグを飛行させることにより等間隔の飛行方位における計測を行わせるようにした。
【0062】第三のレグの機首方位角候補(∠G)は第一のレグでの機首方位角(∠E)及び第二のレグにおける機首方位角(∠F)より以下の計算式により定める。
∠G1=2∠E−∠F 基準の機首方位∠A5として∠Eを用いる、∠G2=2∠F−∠E 基準の機首方位∠A5として∠Fを用いる、∠G3=(∠E+∠F)/2 基準の機首方位∠A5として∠G3を用いる、∠G4=(∠E+∠F)/2±2∠R 基準の機首方位∠Aとして∠G4を用いる、このとき、推奨の順位は、例えば∠G3または∠G4のうち∠E(又は∠F)となす角の余弦が負であるもの、ついで∠G1または∠G2のうち第二のレグ終了時における機首方位角(∠F)となす角の余弦が大きいもの(なす角の絶対値が小さいもの)ついで∠G1または∠G2のうち第二のレグ終了時における機首方位角(∠F)となす角の余弦が小さいもの(なす角の絶対値が大きいもの)最後に∠G3または∠G4のうち∠E(又は∠F)となす角の余弦が正であるものとする等の順位をつけたアルゴリズムにより決定する。この決定は、第二のレグ終了時点までに取得した情報に基づいて行える。
【0063】例えば、∠Eと∠Fのなす角の目標を120度に設定しておき、この目標値に対し実際に飛行した時の結果が、若干の偏差を生じたとした場合の例では、第三のレグの機首方位角候補は、推奨順位第三位までが先の偏差の3倍の幅の中にはいる。第一候補を目標として機首方位を安定させようとして、残り偏差が生じている場合、第二または第三の方位候補へ安定させる方が修正に要する時間が短い場合に、こちらを選択して機首方位を修正することにより試験時間を短縮できる。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の位置誤差較正装置は、姿勢角計からの機首方位、対地速度および対気速度が入力され、真対気速度、風向、風速を算出する演算部と、演算部からの出力値を記録する記録計と、機首方位および演算部からの出力値が入力され、機首方位を指示し、保持する姿勢指示装置および姿勢保持装置と、対気速度と演算部からの出力値が入力され、対気速度を指示し、保持する速度指示装置および速度保持装置と、気圧高度と演算部からの出力値が入力され、気圧高度を指示し、保持する気圧高度指示装置および気圧高度保持装置と、対地高度および気圧高度保持装置からの出力値がそれぞれ入力され、高度を保持する高度保持装置とからなるものとした。
【0065】これにより、位置誤差較正を行う機器を搭載した航空機を、3方向以上の機首方位角にて飛行させ、基準となる第1の機首方位での飛行時の対地速度の計測値、及びこの基準となる方位角に対し、残りの飛行方位の内から2つの別の飛行方位であって基準となる方位角とのなす角の大きさが等しく回転方向が逆となる第2の機首方位角及び第3の機首方位の飛行時の対地速度を計測する対地速度計の各計測値と、第1の機首方位角と第2の機首方位角及び第3の機首方位角のそれぞれとのなす角度の値を、姿勢角計より計測して、これらを用いて風速及び風向及び自機の真対気速度を数1により計算することが可能となり、これらの風速、風向を使って対気速度計が較正できるとともに、気圧高度計の較正が可能になる。
【0066】このように、本発明の位置誤差較正装置では、気圧高度計及び対気速度計の位置誤差較正において従来行っていた試験で生じていた不具合が解消でき、気圧高度計及び対気速度計の機体取付位置に伴って生じる位置誤差の較正を行うために必要な真対気速度データ、ならびに試験飛行実施時の試験実施高度における風向、風速を、試験飛行を行う飛行機の機上にて計測して、これらの計器を較正することができ、または記録することができる。
【0067】また、本発明の位置誤差較正装置を使用しての位置誤差較正方法は、第1の機首方位と第2の機首方位とに対する第3の機首方位とからなり、この3機首方位へ同一指示対気速度を保ち、同一高度において順次飛行し、各機首方位での対地速度の絶対値を計測し、これらの対気速度および対地速度の計測値から各飛行径路における風速、風向および指示対気速度における真対気速度を求め位置誤差較正を行うものとした。
【0068】これにより、第1の機首方位、第2の機首方位及び第3の機首方位の合計3機首方位へ同一指示対気速度を保ち、同一高度において順次飛行し、それら各機首方位での飛行時における対地速度の絶対値を計測し、この値と各飛行径路における相互の機首方位のなす角とから当該飛行径路に発生している風速及び風向及び当該指示対気速度での飛行時における自機真対気速度の計3つの値を数1により求め、これらを使って、対気速度計および気圧高度計の較正を行うことができる。さらに、試験結果は機上で即時に解析されて、気圧高度計、対気速度計へフィードバックされるので、地上からの、若しくは携行する便機からの無線連絡を受けるまでもなく試験飛行実施中の操縦者には試験の成否が把握できる。
【0069】また、本発明の位置誤差較正方法は、第1の機首方位、第2の機首方位および第3の機首方位が任意に設定された基準点を通過するように、各飛行径路が設定されるとともに、基準点を通過するときの電波高度計で計測される対地高度を一定にして順次飛行し、各機首方位での対地速度の絶対値を計測し、これらの対気速度および対地速度の計測値から各飛行径路における風速、風向および指示対気速度における真対気速度を求め位置誤差較正を行うものとした。
【0070】これにより、第1の機首方位、第2の機首方位および第3の機首方位が基準点を対地高度一定で通過させるように設定されているので、同一高度の保持状況または気圧高度と対地高度の関係を、電波高度計と気圧高度計、双方の基準点通過時のデータを記録しておく事により、電波高度計などにより高度を一定に保って飛行していることを容易に確認可能となる。
【0071】また、本発明の位置誤差較正方法は、第1の機首方位、第2の機首方位および第3の機首方位のうちの2つの機首方向が基準点を通過するように飛行径路が設定されるとともに、基準点を通過するときの電波高度計で計測される対地高度を一定にして順次飛行し、各機首方位での対地速度の絶対値を計測し、これらの対気速度および対地速度の計測値から各飛行径路における風速、風向および指示対気速度における真対気速度を求め位置誤差較正を行うものとした。
【0072】これにより、第1の機首方位、第2の機首方位および第3の機首方位から等間隔の機首方位を順次設定する各レグのうち連続する3レグのうち、2レグは繰り返してほぼ同一地点を通過する様に予め設定しておくことにより電波高度計等の対地高度計測手段により高度を一定に保っていることを容易に確認することができる。
【0073】また、本発明の位置誤差較正は、第1の機首方位、第2の機首方位および第3の機首方位が、基準点を内包するか近傍に持つ三角で形成された飛行径路に設定されるとともに、同一指示対気速度を保ち、同一高度において順次飛行し、各機首方位での対地速度の絶対値を計測し、これらの対気速度および対地速度の計測値から各飛行径路における風速、風向および指示対気速度における真対気速度を求め位置誤差較正を行うものとした。
【0074】これにより、所望の機首方位にて所望の対気速度指示値にて飛行しての対地速度取得後、可及的速やかに次の機首方位に変更し、順次データを取得することにより風や気圧の経時的変化の影響を極限まで小さくすることができ、且つ試験時間を短縮できる。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成11年9月17日(1999.9.17)
【代理人】 【識別番号】100069246
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 新 (外1名)
【公開番号】 特開2001−91295(P2001−91295A)
【公開日】 平成13年4月6日(2001.4.6)
【出願番号】 特願平11−263714