トップ :: G 物理学 :: G01 測定;試験




【発明の名称】 共振素子
【発明者】 【氏名】川合 浩史

【氏名】大和田 邦樹

【要約】 【課題】振動させる平面振動体の振動方向と検出方向の共振周波数の差が小さく、検出方向の平面振動体のぶれも小さい共振素子を提供する。

【解決手段】X,Z二次元平面方向を基板面方向とした基板1に浮いた状態で重り部2からなる平面振動体10を配置し、基板1に支持梁3を介して平面振動体10をX方向の振動が可能に支持し、励振器4により平面振動体10をX方向に振動させる。平面振動体10の振動方向の共振周波数を検出方向の共振周波数より少し低めに設計する。X,Z二次元平面方向に直交するY方向に平面振動体10の面と間隔を介した基板1の面には、X方向に間隔を介した平面振動体10の両端縁部領域に、平面振動体10に静電引力21,22を付与して平面振動体10の検出方向の共振周波数を調整し、かつ、基板1の基板面方向に対する平面振動体10の傾きを補正するための導電層23,24を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 X,Z二次元平面方向を基板面方向とした固定基板に浮いた状態で重り部が配置され、該重り部を備えた平面振動体が前記固定基板に支持梁を介してX方向の振動が可能に支持されており、前記平面振動体をX方向に振動する励振器が設けられており、前記X,Z二次元平面方向に直交するY方向に前記平面振動体の面と間隔を介した対向面側には前記X方向に間隔を介した少なくとも平面振動体の両端縁部領域に、該平面振動体に静電引力を付与して平面振動体の共振周波数を調整し、前記固定基板の基板面方向に対する平面振動体の傾きを補正する振動体傾き補正手段が設けられていることを特徴とする共振素子。
【請求項2】 平面振動体は固定基板に浮いた状態で配置された枠体と、該枠体の内側に連結梁を介して連結された重り部を有しており、前記平面振動体の面とY方向に間隔を介した対向面側にはX方向に間隔を介した少なくとも重り部の両端縁部領域に第1の振動体傾き補正手段が設けられているとともに、前記枠体に対向し、かつ、前記第1の振動体傾き補正手段をX方向に間隔を介して挟む位置に第2の振動体傾き補正手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の共振素子。
【請求項3】 振動体傾き補正手段による平面振動体への静電引力付与に起因した支持梁の引っ張り応力を打ち消す方向の力を支持梁に直接的に又は間接的に加える応力キャンセル手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の共振素子。
【請求項4】 応力キャンセル手段は、平面振動子の面を介して振動体傾き補正手段と対向し、振動体傾き補正手段とにより平面振動体を間隔を介して挟み込む形態で設けられ、平面振動体に静電引力を付与して、振動体傾き補正手段による平面振動体への静電引力付与に起因した支持梁の引っ張り応力を打ち消す構成と成していることを特徴とした請求項3記載の共振素子。
【請求項5】 重り部の表面と裏面の少なくとも一方には垂直移動側電極が設けられるとともに該垂直移動側電極とY方向に間隔を介した対向側には固定対向電極が設けられ、前記垂直移動側電極と固定対向電極の組はZ軸回りの回転の角速度変化に対応する重り部のY方向の振動振幅を検出するZ軸回り角速度検出電極として構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の共振素子。
【請求項6】 重り部はシリコン又はポリシリコンにより形成されて該重り部自体が垂直移動側電極と成しており、この重り部とY方向に間隔を介した対向側には固定対向電極が設けられ、前記重り部と固定対向電極の組はZ軸回りの回転の角速度変化に対応する重り部のY方向の振動振幅を検出するZ軸回り角速度検出電極として構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の共振素子。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、角速度センサやフィルタ等に用いられる共振素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図7には、本出願人が以前に提案した共振素子の斜視図が示されている。この共振素子16は、従来のシリコンのマイクロマシニング技術等を利用して作製した微細素子の共振素子16であり、シリコンの基板1の上に、チッ化膜7を形成し、その上にポリシリコン膜5を形成し、これらの膜7,5をドライエッチング等により予め定めた設定パターンとしたものである。
【0003】基板1は、X,Z二次元平面方向を基板面方向とした固定基板として機能するものであり、基板1上には、基板1から浮いた状態で重り部2が配置され、同図に示す共振素子16においては、重り部2が平面振動体10として機能する。平面振動体10は支持梁3を介してX方向の振動が可能に支持されており、各支持梁3の一端側は、固定部35を介して基板1に固定されている。
【0004】平面振動体10の両側には、横方向(X方向)の外側に向かって櫛形電極6Bが形成されており、櫛形電極6Bと対向する位置には、横方向の内側に向かって櫛形電極6Aが櫛形電極6Bに噛み合う状態で配置されている。これら櫛形電極6A,6Bには、駆動用導体層11A,11Bが接続されており、図示しない導体パターンを介して外部の電極パッド(図示せず)に接続されて励振器4を形成している。
【0005】この励振器4の駆動用導体層11A,11Bに交流電圧を印加すると、櫛形電極6A,6B間に静電力が発生し、この静電力により平面振動体10は、矢印Fの方向(X方向)に振動するようになっている。
【0006】上記構成の共振素子16の櫛形電極6A,6Bを駆動し、平面振動体10をX方向に振動させて、共振素子16をZ軸を回転軸として回転させると、前記X,Z二次元平面方向に直交するY方向にコリオリ力が発生し、このコリオリ力が重り部2から成る平面振動体10に加えられ、平面振動体10はコリオリ力の方向に振動する。このときの平面振動体10のコリオリ力による振動振幅の大きさに対応する電気信号を測定することで、例えば、回転の角速度の大きさを検知することができる。
【0007】なお、共振素子16を角速度センサ等として適用する場合は、前記コリオリ力による平面振動体10の振動振幅の大きさに対応する電気信号を測定するための検出部が設けられる。
【0008】ところで、共振素子16を作製する場合、平面振動体10のコリオリ力の方向(Y方向)の共振周波数を、予め設計段階でX方向の共振周波数に設定して、平面振動体10の形状、寸法、重量等をその共振周波数になるように設計製作する。しかし、平面振動体10の形状、寸法、重量等は、シリコンのマイクロマシニング技術の加工精度により設計通りに作製されない場合が度々あり、平面振動体10の共振周波数が設計上の周波数からずれることが度々発生する。平面振動体10の振動が共振状態ならば、構造的に起因するQ(Quality Factor)の値により振幅が飛躍的に増幅されるが、周波数がずれると増幅が殆どされず、共振素子の感度を著しく低下するという問題がある。そのため、重り部2や支持梁3を、例えば、面倒な機械加工等によるトリミングを行い、平面振動体10の共振周波数を設計の設定周波数に調整する必要がある。
【0009】しかしながら、前記共振素子16は、シリコンのマイクロマシニング技術を応用して作製した微細な共振素子16のため、機械加工を利用して所望の共振周波数を得るために必要な微小のトリミング調整部分をトリミングしようとしても、面倒な機械加工では加工精度上から微細な重り部2や支持梁3を所望の寸法、形状、重量等に削り加工することは殆ど不可能である。したがって、平面振動体10の共振周波数を設定の値に調整することは極めて困難であった。
【0010】そこで、上記提案の共振素子16においては、図7の(b)に示すように、基板1上の、重り部2とY方向に間隔を介して対向する位置に、静電引力15を付与する導電層12を設けている。この導電層12は、図7の(a)に示すように、導電パターン13を介して導電パッド14に接続されており、これら導電パターン13と導電パッド14を介して導電層12に印加する電圧を制御することにより、共振素子16の共振周波数を設定値に調整できるようにした。
【0011】導電層12に直流電圧を印加すると、平面振動体10に静電力が作用し、これが静電的なバネとして平面振動体10に作用する。すなわち、平面振動体10が基板1に近づく方向に振動するときに振幅を増大させる方向に静電力が作用するため、機械的なバネと反対方向の力を発生させる効果があり、結果的に平面振動体10のY方向の共振周波数を低下させる。この共振周波数の低下量は、印加する静電引力15に応じて変化するため、導電層12に印加する直流電圧の大きさを調整することで、平面振動体10の固有の共振周波数から低周波数側に共振周波数を微調整できる。
【0012】この効果を利用すると、平面振動体10の固有のY方向の共振周波数を最も高感度な共振周波数(X方向の共振周波数)よりも僅かに高く設計しておけば(言い換えれば励振器4による平面振動体10の振動方向の共振周波数よりも検出方向の共振周波数を高めに設計しておけば)、導電層12に印加する直流電圧の調整により、共振素子16の感度を高感度に調整することができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のような共振素子16においては、その共振周波数を設定値にすることが大切であると共に、平面振動体10の振動状態を的確にすることが非常に重要である。図6には、共振素子16において、平面振動体10をX方向に振動させたときに、Z軸周りの角速度がないときの平面振動体10のX−Y平面内での動きの一例が示されており、図7に示したような共振素子16においては、例えば図6の(a)に示すように、平面振動体10の振動状態がコリオリ力の検出方向であるY方向にぶれている(基板1の基板面方向に対する平面振動体10の傾きが大きい)と、コリオリ力を正確に検出することができず、角速度センサ等のジャイロ特性が悪くなる。
【0014】したがって、平面振動体10の振動状態は、図6の(b)に示すように、Y方向にぶれが殆どないことが望ましい。
【0015】また、一般に、平面振動体10の振動方向と検出方向の共振周波数の差(Δf)が小さくなるほど、両方向間のメカニカルカップリング(両振動モード間の機械的エネルギーの伝搬および相互作用)が大きくなり、共振素子16を駆動させたときの検出方向へのぶれは大きくなりやすい。特に、素子作製時の寸法誤差や、残留応力などがこのメカニカルカップリングを増大させる。
【0016】したがって、共振素子16において、その感度を高くするために、平面振動体10の振動方向と検出方向の共振周波数の差(Δf)を小さくしても、その一方で、検出方向のぶれ量が大きくなると、コリオリ力を正確に検出できなくなることとなる。このため、提案の共振素子16のように、導電層12を設けて前記共振周波数の差(Δf)を小さくするだけでは、感度が高く、かつ、正確な共振素子16を得ることはできなかった。そのため、従来において、前記共振周波数の差(Δf)が小さく、かつ、検出方向のぶれも小さい共振素子16を得ることは困難であり、両者の特性を満足できる共振素子16の歩留まりは極めて低かった。
【0017】なお、寸法ばらつき等のある従来の共振素子16において、前記平面振動体10の検出方向のぶれ量を小さくするように、機械的なトリミングを行なうことは、原理的には可能であるかもしれないが、平面振動体10のぶれ量を評価しながらの機械的なトリミング作業は現実的ではない。
【0018】また、トリミング後に、平面振動体10のぶれ量を確認し、その後、またトリミングを行ない、さらにトリミング後の平面振動体10のぶれ量確認を行なうといった作業を繰り返し行なって、前記ぶれ量をゼロに近づけることは、極めて時間のかかる非現実的な作業である。このため、このような作業を行なわずに、平面振動体10の振動方向と検出方向の共振周波数の差(Δf)が小さく、かつ、検出方向のぶれも小さい共振素子16の開発が望まれていた。
【0019】本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、面倒なトリミング加工を行う必要がなく、コリオリ力により振動する平面振動体の振動方向と検出方向の共振周波数の差(Δf)が小さく、かつ、検出方向の平面振動体のぶれも小さい共振素子を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するために、次のように構成されている。すなわち、第1の発明は、X,Z二次元平面方向を基板面方向とした固定基板に浮いた状態で重り部が配置され、該重り部を備えた平面振動体が前記固定基板に支持梁を介してX方向の振動が可能に支持されており、前記平面振動体をX方向に振動する励振器が設けられており、前記X,Z二次元平面方向に直交するY方向に前記平面振動体の面と間隔を介した対向面側には前記X方向に間隔を介した少なくとも平面振動体の両端縁部領域に、該平面振動体に静電引力を付与して平面振動体の共振周波数を調整し、前記固定基板の基板面方向に対する平面振動体の傾きを補正する振動体傾き補正手段が設けられている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0021】また、第2の発明は、上記第1の発明の構成を備え、前記平面振動体は固定基板に浮いた状態で配置された枠体と、該枠体の内側に連結梁を介して連結された重り部を有しており、前記平面振動体の面とY方向に間隔を介した対向面側にはX方向に間隔を介した少なくとも重り部の両端縁部領域に第1の振動体傾き補正手段が設けられているとともに、前記枠体に対向し、かつ、前記第1の振動体傾き補正手段をX方向に間隔を介して挟む位置に第2の振動体傾き補正手段が設けられていることを特徴として構成されている。
【0022】さらに、第3の発明は、上記第1又は第2の発明の構成に加え、振動体傾き補正手段による平面振動体への静電引力付与に起因した支持梁の引っ張り応力を打ち消す方向の力を支持梁に直接的に又は間接的に加える応力キャンセル手段が設けられていることを特徴として構成されている。
【0023】さらに、第4の発明は、上記第3の発明を構成する応力キャンセル手段は、平面振動子の面を介して振動体傾き補正手段と対向し、振動体傾き補正手段とにより平面振動体を間隔を介して挟み込む形態で設けられ、平面振動体に静電引力を付与して、振動体傾き補正手段による平面振動体への静電引力付与に起因した支持梁の引っ張り応力を打ち消す構成と成していることを特徴として構成されている。
【0024】さらに、第5の発明は、上記第1〜第4の発明の何れか1つの発明の構成を備え、前記重り部の表面と裏面の少なくとも一方には垂直移動側電極が設けられるとともに該垂直移動側電極とY方向に間隔を介した対向側には固定対向電極が設けられ、前記垂直移動側電極と固定対向電極の組はZ軸回りの回転の角速度変化に対応する重り部のY方向の振動振幅を検出するZ軸回り角速度検出電極として形成されていることを特徴として構成されている。
【0025】さらにまた、第6の発明は、上記第1〜第4の発明の何れか1つの発明の構成を備え、重り部はシリコン又はポリシリコンにより形成されて該重り部自体が垂直移動側電極と成しており、この重り部とY方向に間隔を介した対向側には固定対向電極が設けられ、前記重り部と固定対向電極の組はZ軸回りの回転の角速度変化に対応する重り部のY方向の振動振幅を検出するZ軸回り角速度検出電極として形成されていることを特徴として構成されている。
【0026】なお、本明細書において、両端縁部領域とは、平面振動体や重り部の両端縁部より多少内側の領域や多少外側の領域を含む広い概念で用いている。
【0027】上記構成の発明において、重り部を備えた平面振動体は固定基板に支持梁を介してX方向の振動が可能に支持されており、振動体傾き補正手段は、その平面振動体に静電引力を付与して平面振動体の共振周波数を調整し、固定基板の基板面方向に対する平面振動体の傾きを補正する。このように、振動体傾き補正手段によって、平面振動体の共振周波数の調整と、固定基板の基板面方向に対する平面振動体の傾きの補正とを共に行なうことができる。
【0028】したがって、面倒なトリミング加工を行わなくても、コリオリ力により振動する平面振動体の振動方向と検出方向の共振周波数の差を小さくすることができ、かつ、平面振動体の検出方向のぶれも小さくすることが可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態例を図面に基づいて説明する。なお、以下に述べる実施形態例の説明において、前記提案例と同一の名称部分には同一符号を付し、その詳細な重複説明は省略する。
【0030】図1には、本発明に係る共振素子の第1実施形態例が示されている。第1実施形態例の共振素子16は、前記提案例と同様に、シリコンのマイクロマシニング技術等を利用して作製した微細な素子であり、角速度センサ等に適用される。
【0031】第1実施形態例の共振素子16は、図7に示した提案例と同様に、ドライエッチング等により形成した平面振動体10と、櫛形電極6A,6Bの静電力を利用した励振器4とを備えている。
【0032】ところで、前記したような平面振動体10の検出方向への振動のぶれは、平面振動体10が固定基板1の基板面方向に対して傾いていることが主な原因ではないかということが分かった。そこで、この第1実施形態例では、平面振動体10の共振周波数を調整すると共に、基板1の基板面方向に対する平面振動体10の傾きを補正する特有な振動体傾き補正手段を設けた。
【0033】すなわち、この第1実施形態例では、図1の(b)に示すように、平面振動体10の面とY方向に間隔を介した対向面である基板1の面に、2つの導電層23,24をX方向に間隔を介した平面振動体10の両端縁部領域に設け、これらの導電層23,24を、平面振動体10に静電引力21,22を付与して平面振動体10の共振周波数を調整すると共に、基板1の基板面方向に対する平面振動体10の傾きを補正する振動体傾き補正手段とした。
【0034】なお、図1の(a)に示すように、導電層23は導電パターン25を介して導電パッド27に接続され、導電層24は導電パターン26を介して導電パッド28に接続されている。
【0035】また、第1実施形態例では、平面振動体10の検出方向の共振周波数(例えばfy=5.5Hz)を励振器4による平面振動体10の振動方向の共振周波数(例えばfx=5kHz)よりも多少(例えば500Hz)高めに設計してある。
【0036】図2には、第1実施形態例の共振素子の作製プロセスが示されている。まず、図2の(a)に示すように、シリコンの基板1上の外周側に窒化膜7を形成し、基板1上の中央部には、リンPやボロンBをドープした振動体傾き補正手段としての導電層23,24をX方向に間隔を介して形成する。なお、導電層23,24の形成位置は、後の工程で基板1上に浮かした状態で形成される重り部2(平面振動体10)の両端縁部領域とする。
【0037】然る後に、導電層23,24上に、図1の(b)に示すように、酸化膜等の犠牲層8を外周側の窒化膜7に跨った状態で形成する。
【0038】次いで、図1の(c)に示すように、窒化膜7および犠牲層8上にポリシリコン膜5を形成し、重り部2や櫛形電極6A,6B等のパターンを形成する。そして、図1の(d)に示すように、例えば、ドライエッチング等により犠牲層8を除去して、間隙9を介して重り部2を基板1に浮いた状態で形成して平面振動体10とし、この平面振動体10の両端縁部領域に導電層23,24を対向配置した状態とし、共振素子16を作製する。
【0039】第1実施形態例の共振素子16は以上のようにして作製されて、図1に示したように構成されている。前記提案例で述べたように、この共振素子16の励振器4を駆動することにより、平面振動体10を支持梁3の長さに直交するX方向に振動させることができ、この状態で、Z軸を回転軸として回転すると、Y方向にコリオリ力が発生する。このコリオリ力が平面振動体10に加えられ、平面振動体10はコリオリ力の方向(Y方向)に振幅する。この振幅の大きさを測定することで、角速度を検出することができる。
【0040】また、第1実施形態例では、平面振動体10の傾き補正を行なう手段として、導電層23,24を設けたので、平面振動体10の振動時に、導電パッド27,28を介して導電層23,24にそれぞれ個別に直流電圧を印加して、図1の(b)に示すように、導電層23,24に対向している平面振動体10の両端縁部領域を静電引力21,22によって基板1側に引っ張って平面振動体10の傾き補正を行なうことが可能である。このように、平面振動体10の傾き補正を行うことにより、平面振動体10の検出方向への振動のぶれを補正することができる。
【0041】具体的には、平面振動体10の振動時に、例えば、図1の(b)の破線Aに示すように、平面振動体10が右下がりに傾くときには、導電層24に印加する直流電圧よりも大きな直流電圧を導電層23に印加し、導電層23に対向している平面振動体10の端縁部領域側を、導電層24に対向している平面振動体10の端縁部領域よりも強く基板1側に引っ張ることにより、前記傾きを補正する。
【0042】また、上記とは逆に、図1の(b)の破線Bに示すように、平面振動体10が左下がりに傾くときには、導電層23に印加する直流電圧よりも大きな直流電圧を導電層24に印加する。そして、導電層24に対向している平面振動体10の端縁部領域側を、導電層23に対向している平面振動体10の端縁部領域よりも強く基板1側に引っ張ることにより、前記傾きを補正する。
【0043】また、導電層23,24は、平面振動体10の傾き補正を行なう手段として機能すると同時に、平面振動体10の共振周波数の調整を行なう手段としても機能する。つまり、導電層23,24への直流電圧印加に起因する静電引力21,22によって、平面振動体10を基板1側に引っ張ることにより、平面振動体10の検出方向の共振周波数を低くすることができる。このことから、平面振動体10の検出方向の共振周波数を振動方向の周波数よりも少し高めに設計しておき、上記静電引力21,22によって、平面振動体10を基板1側に引っ張って平面振動体10の検出方向の共振周波数を低くして、平面振動体10の駆動方向と検出方向の共振周波数差(Δf)を小さく調整する。
【0044】すなわち、第1実施形態例では、導電層23,24に印加する直流電圧を調節することにより、前記平面振動体10の傾き補正と同時に、平面振動体10の検出方向の共振周波数を適宜の値だけ低くし、それにより、平面振動体10の駆動方向と検出方向の共振周波数差(Δf)を小さく調整することができる。
【0045】例えば、共振素子16において、導電層23,24に直流電圧を印加していない場合、または、同じ大きさの直流電圧を導電層23,24にそれぞれ印加した場合に、平面振動体10の駆動方向(X方向)の変位量に対して検出方向(Y方向)の変位(ぶれ量)が5%以上あったとする。このときには、まず、例えば導電層23に印加する電圧を0とし、導電層24に印加する直流電圧を0〜20Vの間で変化させる(あるいは、その逆に、導電層24に印加する電圧を0とし、導電層23に印加する直流電圧を0〜20Vの間で変化させる)。これにより、平面振動体10の傾きが補正されて平面振動体10の駆動方向の変位量に対する検出方向の変位を2%以下とする印加電圧値を求める。
【0046】仮に、導電層23に印加する電圧を0とし、導電層24に印加する直流電圧を10Vとしたときに、前記変位(ぶれ量)を2%以下にできたとすると、次に、導電層23には(0+α)Vの直流電圧を印加し、導電層24には、(10+β)Vの直流電圧を印加する(αとβは共に正の値であり、その都度調整する)。そうすると、平面振動体10の振動方向の共振周波数よりも高めに設計してある検出方向の共振周波数を小さく調整できるため、駆動方向と検出方向の共振周波数差(Δf)が小さく調整される。
【0047】このような調整により、平面振動体10の基板1の面に対する傾きに伴う検出方向のぶれ量を2%以下にし、かつ、駆動方向と検出方向の共振周波数差(Δf)を小さく調整することができる。例えば、共振素子16の検出感度を、0.9度/sec.から0.3度/sec.程度まで向上することが実験的に確認され、3(=0.9/0.3)倍程度の検出感度(分解能)向上が確認できた。なお、平面振動体10や支持梁3等の状態や、各導電層23,24に印加する直流電圧の大きさ等によっては、3倍以上の検出感度向上も期待できる。
【0048】この第1実施形態例によれば、上記のように、平面振動体10の共振周波数調整と傾き補正を行なう振動体傾き補正手段としての導電層23,24を、互いにX方向に間隔を介して、基板1の平面振動体10に対向する位置に設け、それら導電層23,24に印加する直流電圧値を適宜に調整することにより、平面振動体10の駆動方向と検出方向の共振周波数差を小さくできると共に、平面振動体10の傾きを小さくできる。このため、この共振素子16は、その製造プロセスにおいて生じた誤差や使用環境の変化にとらわれることなく、平面振動体10や支持梁3のトリミングを行なわなくても、感度が高く、かつ、ノイズが小さい優れた共振素子16とすることができる。
【0049】特に、この第1実施形態例では、導電層23,24を、互いにX方向に間隔を介した平面振動体10の両端縁部領域に設けて、平面振動体10である重り部2の重心位置と重り部2に静電力21,22が加えられる位置との間隔を長くしている。このため、梃の原理により、平面振動体10の傾きを小さな静電力21,22でも補正することができ、導電パッド27,28を介して導電層23,24に印加する電圧の大きさを小さくできる。したがって、共振素子16の大型化を抑制でき、小型の共振素子16とすることができる。
【0050】なお、この第1実施形態例において、例えば、図2の(d)の鎖線に示すように、重り部2の表面に垂直移動側電極30を設け、垂直移動側電極30とY方向に間隔を介した対向側に、固定対向電極31を設け、垂直移動側電極30と固定対向電極31の組を、Z軸回りの回転の角速度変化に対応する重り部2のY方向の振動振幅を検出するZ軸回り角速度検出電極として構成すれば、前記の如く、Z軸周りの回転により生じるY方向のコリオリ力を検出することにより、角速度の検出を行なうことができる。
【0051】また、このように、基板1と反対側に固定対向電極31を設ける場合は、同図2の(d)の鎖線に示すように、例えばガラス製のカバー32に固定対向電極31を固定するとともに、カバー32を接合部34にて陽極接合によりポリシリコン膜5に接合して共振素子16を形成するとよい。なお、接合部34に予め金等の金属を蒸着などにより付着させておき、接合部34を共晶接合しても共振素子16を形成できる。
【0052】図3の(a)には、本発明に係る共振素子の第2実施形態例の要部構成図が斜視図によって示されており、図3の(b)には、図3の(a)に示すB−B’部分の断面図が示されている。この第2実施形態例の説明において、上記第1実施形態例と同一名称部分には同一符号が付し、その重複説明は省略する。
【0053】第2実施形態例の共振素子は、角速度センサであり、この第2実施形態例が上記第1実施形態例と異なる特徴的なことは、第1に、図3の(a)に示すように、平面振動体10を、基板1に浮いた状態で配置された枠体36と、枠体36の内側に連結梁40を介して連結された重り部2を有する構成としたことであり、第2に、図3の(b)に示すように、第1の振動体傾き補正手段としての導電層23A,24Aと第2の振動体傾き補正手段としての導電層23B,24Bを設けて共振素子16を構成したことである。導電層23A,24Aは、平面振動体10の面とY方向に間隔を介した対向面側である基板1上の、X方向に間隔を介した重り部2の両端縁部領域に設けており、導電層23B,24Bは、枠体36に対向し、かつ、導電層23A,24AをX方向に間隔を介して挟む位置に設けてある。
【0054】導電層23A,24A,23B,24Bは、それぞれ、図示されていない別個の導電パターンを介して、図示されていない導電パッドに接続されており、この第2実施形態例では、各導電パッドに印加する直流電圧をそれぞれ調節することにより、平面振動体10に静電引力21A,22A,21B,22Bを付与して平面振動体10の共振周波数を調整し、基板1の基板面方向に対する平面振動体10の傾きを補正する。
【0055】また、この第2実施形態例では、重り部2は、例えば、シリコンやポリシリコンにより形成されており、該重り部2自体が垂直移動側電極30として機能する。この重り部2とY方向に間隔を介した対向側の基板1上には固定対向電極31が設けられている。重り部2(垂直移動側電極30)と固定対向電極31の組はZ軸回りの回転の角速度変化に対応する重り部2のY方向の振動振幅を検出するZ軸回り角速度検出電極として構成されている。
【0056】なお、この第2実施形態例では、基板1をガラスの基板としており、この基板1の上に、厚さ50μmのシリコン層を加工して、平面振動体10および支持梁3を備えた振動子、固定部35等を形成している。また、この第2実施形態例でも前記提案例および第1実施形態例と同様に、櫛形電極6A,6Bには、駆動用導体層(図示せず)が接続されており、図示しない導体パターンを介して外部の電極パッド(図示せず)に接続されて励振器4を形成している。
【0057】さらに、前記連結梁40は重り部2の右側に、平面振動体10の振動方向となるX方向と直交するZ方向に沿って2本設けられており、重り部2は連結梁40によって直角四辺形状の枠体36の図の右側の辺に接続されている。連結梁40は重り部2の検出振動方向となるY方向の厚みが50μmよりも小さく、Y方向の剛性が平面振動体10の振動方向であるX方向の剛性よりも小さく形成されている。また、支持梁3は平面振動体10の振動方向であるX方向の剛性が重り部2の検出振動方向となるY方向の剛性よりも小さく形成されている。
【0058】図中、50は、キャビティとなる窪みを示しており、20は重り部2(垂直移動側電極30)への接続電極、33は固定対向電極31への接続電極をそれぞれ示している。
【0059】第2実施形態例は以上のように構成されている。この第2実施形態例では、平面振動体10の重り部2の両端縁部領域に対応する位置に導電層23A,24Aを設けて、静電引力21A,22Aにより重り部2を基板1側に引っ張り、さらに、これらの導電層23A,24Aを挟み、かつ、枠体36に対応する位置に導電層23B,24Bを設けて、静電引力21B,22Bにより枠体36を基板1側に引っ張ることができる構成とした。このため、重り部2と枠体36を有する平面振動体10のY方向の共振周波数を調整できると共に、重り部2と枠体36の基板1の面に対する傾きを個別に補正することができる。
【0060】したがって、第2実施形態例も上記第1実施形態例と同様の効果を奏することができる。
【0061】また、この第2実施形態例では、平面振動体10を枠体36と重り部2を有する構成とし、枠体36と重り部2を連結する連結梁40のY方向の剛性をX方向の剛性よりも小さく形成し、平面振動体10を支持する支持梁3のX方向の剛性をY方向の剛性よりも小さく形成した。これにより、平面振動体10がX方向に振動してZ軸回りに回転すると、重り部2だけがY方向に振動し、枠体36はY方向に殆ど振動しないようにすることができる。そのため、櫛形電極6Bが櫛形電極6Aに対してY軸方向にずれることはなく、平面振動体10は、前記駆動用導体層に印加した電圧分の振幅の大きさで常に安定して励振振動をすることができるし、Z軸回りの回転角速度をより一層精度よく検知することができる。
【0062】さらに、この第2実施形態例では、連結梁40を平面振動体10の振動方向となるX方向と直交するZ方向に沿って設けたことにより、平面振動体10の振動によって生じる加速度によるモーメントは重り部2のねじれ方向に発生して上下方向の変動成分が生じることはないために、Y軸方向に生じるコリオリ力に影響を与えることはなく、Z軸回りの回転角速度検知をより一層精度よく行うことができる。
【0063】以下に、第3実施形態例を説明する。この第3実施形態例において特徴的なことは、応力キャンセル手段を設けたことである。それ以外の構成は前記各実施形態例と同様であり、この第3実施形態例の説明において、前記各実施形態例と同一構成部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0064】上記各実施形態例で述べたような振動体傾き補正手段(導電層23,24)を設けて静電引力により平面振動体10を基板1側に引っ張ると、支持梁3に引っ張り応力が生じる。この支持梁3の引っ張り応力によって、平面振動体10の振動振幅が小さくなって共振素子16の感度がやや落ちたり、平面振動体10の振動が瞬間的に乱れて検知用の電気信号にノイズが発生することが懸念される。
【0065】そこで、この第3実施形態例では、上記した応力キャンセル手段を設けて上記支持梁3の引っ張り応力を打ち消す方向の力を支持梁3に加える構成とした。図4の(a)には前記図1の共振素子16に上記応力キャンセル手段を加えた場合の一例が示され、図4の(b)には前記図3の共振素子16に上記応力キャンセル手段を加えた場合の一例が示されている。これら図4の(a)、(b)に示すように、この第3実施形態例では、応力キャンセル手段である導電層41,42(41A,41B,42A,42B)が平面振動体10の面を介して上記振動体傾き補正手段(導電層23,24(23A,23B,24A,24B))と対向し該振動体傾き補正手段とにより平面振動体10を間隔を介して挟み込む形態で設けられている。
【0066】上記導電層41,42(41A,41B,42A,42B)には、図示されていない導電パターン等を介して直流の電圧が印加される構成と成しており、これら導電層41,42(41A,41B,42A,42B)に直流電圧を印加すると、それら導電層41,42(41A,41B,42A,42B)と平面振動体10間に互いに引き合う方向の静電引力が発生して平面振動体10が図4の上側に引っ張り上げられる。
【0067】これにより、支持梁3には上記振動体傾き補正手段に起因した引っ張り応力を打ち消す方向の力が間接的に加えられる。このことから、上記導電層41,42(41A,41B,42A,42B)に印加する直流電圧の大きさを調整することで、支持梁3の上記引っ張り応力をほぼ打ち消すことが可能である。例えば、図4の(a)に示す各導電層23,24,41,42への直流電圧印加によって平面振動体10に加えられる各静電引力の大きさをそれぞれF23、F24、F41、F42としたときに、F23+F24=F41+F42の式が成り立つように、各導電層23,24,41,42に印加する直流電圧の大きさを決定する。これにより、支持梁3の上記引っ張り応力をほぼ打ち消すことができる。
【0068】この第3実施形態例によれば、応力キャンセル手段を設け、該応力キャンセル手段によって支持梁3に無用な引っ張り応力を打ち消す構成を備えたので、その支持梁3の引っ張り応力に起因した様々な問題発生を確実に回避することができる。平面振動体10は理想的な振動することが可能となり、より一層、感度が良く、かつ、ノイズが小さい共振素子を提供することができる。
【0069】なお、本発明は上記各実施形態例に限定されることはなく、様々な実施の態様を採り得る。例えば、上記第1実施形態例では、平面振動体10の両端縁部領域のみに導電層23,24を設けたが、導電層23,24は、平面振動体10の少なくとも両端縁部領域に設ければよく、それ以外の領域にも導電層23,24を設けてもよい。また、上記第1実施形態例では、平面振動体10(重り部2)はポリシリコンにより形成されていたが、シリコンにより構成してもよい。また、第1実施形態例で示した共振素子16を角速度センサとして用いる場合に、重り部2に垂直移動側電極30を設けていたが、シリコンから成る重り部2自体が垂直移動側電極として機能する構成としてもよい。
【0070】また、上記第2実施形態例では、重り部2の両端縁部領域のみに、第1の振動体傾き補正手段としての導電層23A,24Aを設けたが、導電層23A,24Aは、重り部2の少なくとも両端縁部領域に設ければよく、それ以外の領域にも導電層23A,24Aを設けてもよい。ただし、図3の(a)に示したように、重り部2の下部側に固定対向電極31を設ける場合、導電層23A,24Aは、それぞれ、固定対向電極31の配設部を避けた位置に設けられる。
【0071】さらに、上記第2実施形態例では、連結梁40は重り部2の右側に設け、連結梁40によって、重り部2を枠体36の図の右側の辺に接続したが、連結梁40を重り部2の左側に設けてもよいし、連結梁40を重り部2の両側に設けて、両持ち梁状態で重り部2を枠体36に接続してもよい。また、連結梁40は、X方向に沿って設けても構わない。ただし、連結梁40をZ方向に沿って設けることにより、前記の如く、振動によって生じる加速度の影響を受けることなくZ軸回りの回転角速度を検知することができるために、連結梁40をZ方向に設けることが望ましい。
【0072】また、上記第2実施形態例のように、枠体36を設けて平面振動体10を構成するときに、図5の(a)、(b)に示すように、重り部2の四隅部にそれぞれ、L字形状の連結梁40の短辺46の先端側を接続し、各連結梁40のL字形状の長辺47を、重り部2の辺に間隔を介して沿わせて、L字形状の短辺46の先端側が接続されている隅部に向けて伸設し、その伸設先端側を枠体36側に接続してもよい。
【0073】このようにした場合も、これらの図に示すように、上記第2実施形態例と同様に、導電層23A,24A,23B,24Bおよび、導電層23A,24A,23B,24Bに接続する導電パターン25A,26A,25B,26Bと導電パッド27A,28A,27B,28Bとを設けて、静電引力21A,22Aにより重り部2を基板1側に引っ張り、静電引力21B,22Bにより枠体36を基板1側に引っ張ることにより、上記第2実施形態例と同様の効果を奏することができる。また、この図5に示す形態の共振素子16においても、図4の(c)に示すように、前記第3実施形態例で述べたような応力キャンセル手段である導電層41A,41B,42A,42Bを設けることにより、上記第3実施形態例と同様の効果を奏することができることとなる。
【0074】さらに、上記第1実施形態例と第2実施形態例では、平面振動体10の両端縁の辺に沿って伸長された導電層23,24を形成したが、例えば、複数の微細な導体層が平面振動体10の両端縁の辺に沿って配列形成されている構成としてもよい。この場合には、少なくとも、四辺形状の平面振動体10の四隅部分に対向する上記微細な導体層が設けられることが望ましい。
【0075】さらに、上記第2実施形態例では、重り部2自体が垂直移動側電極として機能していたが、重り部2の表面側と裏面側の少なくとも一方に別個の垂直移動側電極30を設けてもよい。なお、重り部2の表面側に垂直移動側電極30を設ける場合、例えば図2の(d)に示した状態と同様に、重り部2に対向するカバー32などを設けて、そのカバー32等に固定対向電極が設けられる。
【0076】さらに、上記第1実施形態例において、重り部2の裏面側に垂直移動側電極30を設け、基板1上の重り部2に対向する位置に固定対向電極31を設けてもよい。
【0077】さらに、上記第1実施形態例と第2実施形態例では、振動体傾き補正手段として機能する導電層23,24(23A,23B,24A,24B)は基板1に設けられていたが、図2の(d)に示すように平面振動体10を覆うカバー32が設けられる場合には、それら導電層23,24(23A,23B,24A,24B)を基板1ではなくカバー32に設けてもよい。この場合にも、上記各実施形態例と同様に、導電層23,24は平面振動体10の両端縁部領域に設ける。また、そのように、振動体傾き補正手段として機能する導電層23,24がカバー32に設けられる場合に、上記第3実施形態例に示した応力キャンセル手段である導電層41,42を設ける場合には、それら導電層41,42は、基板1に、平面振動体10の面を介して上記導電層23,24に対向し該導電層23,24とよって平面振動体10を挟み込む形態で設けられることとなる。
【0078】さらに、上記第3実施形態例では、支持梁3の引っ張り応力を打ち消す方向の力を支持梁3に間接的に加える構成であったが、例えば、支持梁3に直接的に静電引力が付与されるように応力キャンセル手段である導電層を設けてもよい。
【0079】さらに、上記各実施形態例では、平面振動体10を両端固定する構成としたが、この平面振動体10を片側固定方式(片持ち梁方式)としてもよい。
【0080】さらに、上記各実施形態例では、共振素子16を角速度センサに適用する例について説明したが、本発明の共振素子は角速度センサ以外の他の分野にも利用することができる。
【0081】
【発明の効果】本発明によれば、振動体傾き補正手段が設けられているので、上記振動体傾き補正手段によって、平面振動体の共振周波数の調整と、固定基板の基板面方向に対する平面振動体の傾きの補正とを共に行なうことができる。このため、面倒なトリミング加工を行わなくても、コリオリ力により振動する平面振動体の振動方向と検出方向の共振周波数の差を小さくすることができ、かつ、検出方向のぶれも小さくすることができ、感度が高く、かつ、ノイズが小さい優れた共振素子とすることができる。
【0082】また、平面振動体を枠体と重り部とを設けて構成し、平面振動体の面とY方向に間隔を介した対向面側にはX方向に間隔を介した少なくとも重り部の両端縁部領域に第1の振動体傾き補正手段が設けられているとともに、前記枠体に対向し、かつ、前記第1の振動体傾き補正手段をX方向に間隔を介して挟む位置に第2の振動体傾き補正手段を設けたものにあっては、重り部と枠体を有する平面振動体の共振周波数を調整できると共に、重り部と枠体の固定基板の面に対する傾きを個別に補正することができる。
【0083】また、枠体の内側に連結梁を介して重り部を設けており、連結梁の構成によっては枠体と重り部の動きを独立させ、例えば平面振動体がX方向に振動してZ軸回りに回転したとき、重り部だけがY方向に振動し、枠体はY方向にほとんど振動しないようにすることもできるため、このようにすれば、平面振動体をより一層安定して振動方向に励振振動させることができる。
【0084】さらに、応力キャンセル手段を設けたものにあっては、該応力キャンセル手段によって、振動体傾き補正手段による平面振動体への静電引力付与に起因した支持梁の引っ張り応力を打ち消す方向の力を支持梁に直接的に又は間接的に加えることができるので、上記支持梁の無用な引っ張り応力によって発生する様々な問題を確実に回避することができる。これにより、より一層、感度が高く、かつ、ノイズが小さい優れた共振素子を提供することが可能となる。
【0085】さらに、重り部の表面と裏面の少なくとも一方には垂直移動側電極が設けられるとともに該垂直移動側電極とY方向に間隔を介した対向側には固定対向電極が設けられ、前記垂直移動側電極と固定対向電極の組はZ軸回りの回転の角速度変化に対応する重り部のY方向の振動振幅を検出するZ軸回り角速度検出電極として構成した発明や、重り部自体が上記垂直移動側電極として機能する発明によれば、垂直移動側電極と固定対向電極の組により形成したZ軸周り角速度検出電極により、Z軸周りの角速度を正確に検出することができる。
【出願人】 【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
【出願日】 平成11年12月3日(1999.12.3)
【代理人】 【識別番号】100093894
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 清
【公開番号】 特開2001−82964(P2001−82964A)
【公開日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【出願番号】 特願平11−344648