| 【発明の名称】 |
振動型ジャイロスコープ |
| 【発明者】 |
【氏名】大杉 幸久
【氏名】藤原 雄二
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| 【要約】 |
【課題】振動子を支持部材へと接着した場合に、振動型ジャイロスコープの環境温度が変化した場合にも、振動子の検出振動のQ値の変動を抑制し、振動型ジャイロスコープの温度特性を減少させること。
【解決手段】振動型ジャイロスコープは、振動子30、振動子30を支持する支持部材31、31A、31B、32、33、および支持部材と振動子との間に介在し、振動子を支持部材へと接着する接着剤部20を備えている。振動子に駆動振動を与えたときに回転角速度に応じて振動子に励起される検出振動から回転角速度を求める。接着剤部20を形成する接着剤のtanδが、振動型ジャイロスコープの使用温度範囲内において0.1以下である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】回転角速度を所定温度範囲内で検出するための振動型ジャイロスコープであって、振動子、この振動子を支持する支持部材、およびこの支持部材と前記振動子との間に介在し、この振動子を前記支持部材へと接着する接着剤部を備えており、振動子に駆動振動を与えたときに前記回転角速度に応じて前記振動子に励起される検出振動から前記回転角速度を求めるように構成されており、前記接着剤部を形成する接着剤のtanδが前記所定温度範囲内において0.1以下であることを特徴とする、振動型ジャイロスコープ。 【請求項2】前記接着剤がシリコーンゴムであることを特徴とする、請求項1記載の振動型ジャイロスコープ。 【請求項3】前記接着剤の比重が1.1以下であることを特徴とする、請求項1または2記載の振動型ジャイロスコープ。 【請求項4】前記振動子のうち前記検出振動の振幅が最も小さい領域で前記振動子が支持されていることを特徴とする、請求項1−3のいずれか一つの請求項に記載の振動型ジャイロスコープ。 【請求項5】前記振動子が、前記検出振動の振幅が最も小さい領域と、前記駆動振動の振幅が最も小さい領域とが重なる重複領域で支持されていることを特徴とする、請求項4記載の振動型ジャイロスコープ。 【請求項6】前記振動子が、前記振動子の重心の近傍領域内で支持されていることを特徴とする、請求項1−5のいずれか一つの請求項に記載の振動型ジャイロスコープ。 【請求項7】前記振動子が圧電性単結晶からなることを特徴とする、請求項1−6のいずれか一つの請求項に記載の振動型ジャイロスコープ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、振動型ジャイロスコープに関するものである。 【0002】 【従来の技術】回転系内の回転角速度を検出するための角速度センサとして、圧電体を用いた振動型ジャイロスコープが、航空機や船舶、宇宙衛星などの位置の確認用として利用されてきた。最近では、民生用の分野としてカーナビゲーションや、VTRやスチルカメラの手振れの検出などに使用されている。 【0003】このような圧電振動型ジャイロスコープは、振動している物体に角速度が加わると、その振動と直角方向にコリオリ力が生じることを利用している。そして、その原理は力学的モデルで解析される(例えば、「弾性波素子技術ハンドブック」、オーム社、第491〜497頁)。そして、圧電型振動ジャイロスコープとしては、これまでに種々のものが提案されている。例えば、スペリー音叉型ジャイロスコープ、ワトソン音叉型ジャイロスコープ、正三角柱型音片ジャイロスコープ、円筒型音片ジャイロスコープ等が知られている。 【0004】最近、自動車の車体回転速度フィードバック式の車両制御方法に用いる回転速度センサーに、振動型ジャイロスコープを使用することが検討されている。こうしたシステムにおいては、操舵輪の方向自身は、ハンドルの回転角度によって検出する。これと同時に、実際に車体が回転している回転速度を振動ジャイロスコープによって検出する。そして、操舵輪の方向と実際の車体の回転速度を比較して差を求め、この差に基づいて車輪トルク、操舵角に補正を加えることによって、安定した車体制御を実現する。 【0005】一方、こうした振動子は、振動型ジャイロスコープの所定の容器内に収容し、固定基板などの固定部材に対して固定することによって、車体へと取り付け可能とする必要がある。この場合には、通常、振動子を基板に対して接着し、固定している。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかし、車体制御システムにおいては、振動型ジャイロスコープおよびその振動子は、幅広い環境温度、即ち高温と低温とにさらされる。このような使用温度範囲は、通常は−40℃−+80℃の範囲にわたっており、一層厳しい仕様では更に広い温度範囲にわたる場合もある。特に、振動子を圧電性単結晶によって形成した場合には、圧電性単結晶の有する温度特性の影響がある。本発明者は、こうした振動子それ自体の有する温度特性をできる限り除去したが、振動子を基板に接着し、−40℃−+80℃の温度範囲で、駆動振動の共振尖鋭度(Q値)を測定すると、やはりQ値に大きな変動が見得られた。即ち、室温の近傍ではほぼ一定のQ値を示していた場合であっても、環境温度が高温側あるいは低温側へと大きく変動すると、Q値も大きく変動することがあった。 【0007】本発明の課題は、振動子を支持部材へと接着した場合に、振動型ジャイロスコープの環境温度が変化した場合にも、振動子の駆動振動のQ値の変動を抑制し、振動型ジャイロスコープの温度特性を減少させることである。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、回転角速度を所定温度範囲内で検出するための振動型ジャイロスコープであって、振動子、振動子を支持する支持部材、および支持部材と振動子との間に介在し、振動子を支持部材へと接着する接着剤部を備えており、振動子に駆動振動を与えたときに回転角速度に応じて振動子に励起される検出振動から回転角速度を求めるように構成されており、接着剤部を形成する接着剤の弾性率tanδが所定温度範囲内において0.1以下であることを特徴とする。 【0009】本発明者は、前記の環境温度変化に伴う振動子の駆動振動のQ値の変動の原因を探索していたが、その過程で、接着剤のtanδを、目的とする使用温度範囲において0.1以下とすることによって、使用温度範囲の全体においてQ値を大きくでき、かつその変動を最小限とできることを見いだし、本発明に到達した。 【0010】接着剤のtanδは、使用温度範囲(通常−40℃−+80℃、特に好ましくは−40℃−+85℃)の全体においてQ値を大きくでき、かつその変動を小さくするという観点から、0.03以下が更に好ましい。また、tanδの下限は特になく、0.00であってもよい。 【0011】使用温度範囲内における接着剤のtanδの最大値と最小値との差は、0.03以下であることが好ましい。 【0012】また、振動子の駆動振動のQ値を更に一定にするという観点から、接着剤の比重は1.1以下とすることが特に好ましい。このように接着剤の比重を1.0に近づけるためには、接着剤中の充填剤(フィラー)の含有量を7重量%以下とすることが好ましい。 【0013】接着剤の種類は限定されず、シリコーンRTVゴム、シリコーンゲル、シリコーン樹脂、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴムなどの合成ゴム、テフロン、四フッ化エチレン樹脂などのフッ素樹脂、塩化ビニール、ナイロン、ポリエチレンなどがある。 【0014】接着剤の動的弾性率は102 −1010Paが好ましく、動的損失は101 −108 Paが好ましい。接着剤の厚さは、動的粘弾性の大きさにほぼ反比例するように調整できる。 【0015】接着剤は、振動型ジャイロスコープの使用温度範囲において、動的粘弾性変化の小さい粘弾性体であることが好ましく、使用温度範囲における動的粘弾性の変化率が3倍以内であることが望ましい。 【0016】接着剤部の形成方法は限定されない。例えば、未硬化の液状原料を、接着箇所に塗布、ポッティング、スプレー塗布することで、塗布膜を形成できる。例えば、脱アルコール型、脱アセトン型、脱オキシム型、脱酢酸型、付加反応型などの種々のシリコーン接着剤を、ディスペンサーによって接着箇所にポッティングし、付着させることができる。液状原料を接着箇所に塗布またはポッティングする場合には、液状原料の粘性を100Pa・s以下とすることによって、液状原料の付着面積を容易に広くでき、かつ塗布膜の厚さを均一にできる。また、高分子材料からなるシートや平板状成形体を、接着箇所に接着、粘着することができる。 【0017】接着剤の固化方法は限定されず、2液混合による付加反応型接着剤、加熱による付加反応型接着剤、脱アルコール型接着剤を例示できる。 【0018】支持部材と振動子との間に介在する接着剤部の厚さは、振動子を確実に固定するという観点からは0.05mm以上とすることが好ましく、0.1mm以上とすることが更に好ましい。支持部材と振動子との間に介在する接着剤部の厚さは、使用温度範囲の全体にわたって振動子のQ値の変化を一層少なくし、また検出振動の感度を向上させるという観点から、1mm以下とすることが好ましく、0.4mm以下とすることが更に好ましい。 【0019】振動子のうち駆動振動の振幅が最も小さい領域で振動子を支持することが好ましい。これによって、検出振動片における検出振動の共振尖鋭度(Q値)が向上し、感度を上昇させえる。 【0020】また、好ましい態様として、振動子の支持を、検出振動が最も小さい領域と駆動振動が最も小さい領域とが重なる重複領域で行うと、駆動振動だけでなく検出振動のQ値も高くなり、さらに感度を上昇させることができる。 【0021】有限要素法による固有モード解析によって、振動子における検出振動または駆動振動の振幅の、振動子における検出振動または駆動振動の最大振幅に対する比率を算出し、振動子の各点における前記比率の分布から、検出振動または駆動振動が最も小さい領域を検出できる。 【0022】検出振動または駆動振動の最も小さい領域とは、他に一層小さい領域が見当たらないような一つまたは複数の領域を示す。好ましくは、検出振動時または駆動振動時の振動振幅が、振動子における最大振動振幅点の1000分の2以下であり、特に好ましくは1000分の1以下である。 【0023】特に好適な態様においては、駆動振動と検出振動とが振動子の面内振動である。 【0024】特に好適な態様においては、振動子が、振動子の重心(振動子が振動していないときの重心)GOの近傍領域内で支持されている。これによって、振動子の外部から加わる振動や加速度による振動子の歪みが振動状態に及ぼす影響を、軽減することができる。 【0025】駆動振動の振幅は、検出振動の振幅よりもはるかに大きいので、駆動振動から検出振動への影響を小さくすることが重要である。このため、好適な態様においては、振動子が、振動子の駆動振動の重心GDの近傍領域内で支持されている。これによって、駆動振動による検出振動への影響を最小限とすることができる。 【0026】「振動子が、振動子の重心GOまたは駆動振動の重心GDの近傍領域内で支持されている」とは、実質的に重心GO、GD上で支持されていてもよいが、重心GO、GDから直径1mmの円内で支持されている場合を含む。 【0027】振動子の表面と支持部材の表面との間に接着剤層を介在させ、この接着剤層によって振動子を接着できる。しかし、振動子に支持孔を形成し、この支持孔の中に支持部材の固定部を挿入し、支持孔の内壁面と固定部との間に接着剤層を介在させ、これによって振動子を支持できる。また、前記の両方を同時に行うこともできる。 【0028】支持部材の固定部の形状は限定されないが、突起または棒状であることことが好ましい。支持孔は、いわゆる盲孔でも良いが、貫通孔であることが最も好ましい。支持孔が盲孔である場合には、盲孔が振動子の厚さの1/2以上の深さを有することが好ましい。これは、振動子の内部の方が、検出振動が最も小さい領域が、振動子の表面よりも広いからである。 【0029】好適な態様においては、振動子に複数の支持孔を設け、複数の支持孔で前述のように振動子を支持する。これによって、振動子に対して外部振動が加わったときに、この外部振動による擾乱の影響を著しく低減できる。 【0030】この態様においては、振動子の重心から見て点対称の位置にある複数の支持孔で、振動子を支持することが好ましい。これによって、外部振動による擾乱の影響が一層減衰する。 【0031】また、振動子のうち検出振動が最も小さい領域を囲むように複数の支持孔を設けることができる。この場合には、振動子の重心から見て点対称の位置にある複数の支持孔で、振動子を支持することが特に好ましい。 【0032】振動子の材質としては、恒弾性金属の他、圧電セラミックスや圧電性単結晶を用いることが好ましく、その中でも水晶、LiTaO3 単結晶、LiNbO3 単結晶などの圧電性単結晶を用いることがさらに好ましい。これは、単結晶自体の高いQ値を、効果的に適用できるためである。 【0033】また、本発明は、下記のタイプの横置き型の振動型ジャイロスコープに対して、特に好適に適用できる。 【0034】この振動子は、所定の回転軸を中心として回転させるための振動子であって、この振動子が少なくとも複数の振動系を備えており、これら複数の振動系が回転軸に対して交差する所定面内に延びるように形成されており、振動系が、振動系の振動の重心が振動子の重心から見て所定面内で径方向に振動する径方向振動成分を含む第一の振動系と、振動系の振動の重心が振動子の重心から見て所定面内で周方向に振動する周方向振動成分を含む第二の振動系とを備えている。 【0035】なお、周方向に振動する振動成分とは、重心GOから見て所定面内で円周方向に振動する振動成分のことを指している。径方向に振動する成分とは、重心GOからみて所定面内で円の直径方向に振動する振動成分のことを指しており、つまり、重心GOに対して遠ざかる方向と近づく方向とに対して交互に振動する成分のことを言う。 【0036】前記した第一の振動系と第二の振動系とは、すべて何らかの形で連結され、所定面内に延びる振動子を形成している。こうした振動子を、回転軸Zを中心として矢印ωのように回転させることで、回転角速度の検出を行える。 【0037】図1は、この態様に係る圧電単結晶製の振動子1を備えた振動型ジャイロスコープを、概略的に示す平面図である。基部8は、振動子の重心GOを中心として、4回対称の正方形をしている。基部8の周縁部8aから、四方に向かって放射状に、二つの駆動振動系9A、9B(本例では第一の振動系)と検出振動系10A、10B(本例では第二の振動系)とが突出しており、各振動系は互いに分離されている。駆動振動系9Aと9Bとは、重心GOを中心として2回対称であり、検出振動系10Aと10Bとは、重心GOを中心として2回対称である。 【0038】駆動振動系9A、9Bは、基部8の周縁部8aから突出する支持部2A、2Bと、支持部2A、2Bの先端2b側から支持部に直交する方向に延びる屈曲振動片3A、3B、3C、3Dを備えている。各屈曲振動片には、それぞれ駆動電極4A、4B、4C、4Dが設けられている。検出振動系10A、10Bは、細長い周方向屈曲振動片からなり、各屈曲振動片には検出電極5A、5Bが設けられている。 【0039】本発明者は、図1の振動子について、駆動振動および検出振動モードが振動子の全体に及ぼす影響を調べるため、有限要素法による固有モード解析を実施した。そして、振動子を水晶によって作製し、振動子の各点の振動の振幅を、最大振動振幅点に対する比率の分布として求めた。 【0040】図2には、振動子の各点の駆動振動モード(図1における矢印Aの方向)における最大振動時の振幅の相対比率を示し、図3には、振動子の各点の検出振動モード(図1における矢印Bの方向)における最大振動時の振幅の相対比率を示している。図2の駆動モードにおいては、各屈曲振動片が、支持部2A、2Bの先端部分2b付近を中心として屈曲振動している。図3の検出モードにおいては、支持部2A、2Bが、固定部2aを中心として周方向に屈曲振動し、これに対応して、検出振動系の屈曲振動片10A、10Bが屈曲振動している。 【0041】図2および図3において、それぞれ色の異なる領域は、各別に異なる最大振動振幅点との比率の領域を示す。橙色の部分が、振幅が最小の領域となる。 【0042】図2によると、各支持部2A、2Bの基部8に対する固定部2aの近辺では、各駆動振動系の振動に伴って引っ張り応力が加わり、変形が見られる。しかし、この変形の影響は、各駆動振動系9Aと9Bとが2回対称の位置に配置されていることから、基部内において互いに相殺し合う。このため、基部の中心付近、そして駆動振動系に挟まれた検出振動系10A、10Bにおいては、駆動振動による影響が見られなくなっている。 【0043】図3によると、各駆動振動系9Aと9Bとから基部に加わる影響が相殺し合っている。しかも、各検出振動系10A、10Bから基部に加わる影響も、各検出振動系が2回対称の位置に配置されていることから、基部内において互いに相殺し合う。この結果、基部の中心付近6A(図1および図3参照)においては、検出振動による影響が見られなくなっている。 【0044】本例においては、図1−図3におけるように、駆動振動が最も小さい領域内に、振動子の重心GOが位置している。また、検出振動が最も小さい領域内に、振動子の重心GOが位置しており、重複領域内に、支持孔7Aを設ける。 【0045】検出振動の振幅が最小の領域6A内において、本発明に従って振動子1を支持し、固定し、および/または、支持孔7Aにおいて振動子1を支持し、固定する。 【0046】図4は、他の実施形態に係る振動子11を概略的に示す平面図である。駆動振動系9A、9B、検出振動系10A、10Bおよびこれらの動作については、図1に示したものと同様である。この基部13の検出振動系側の2片の周縁13aから枠部12A、12Bが延びており、各枠部の中に各検出振動系が包囲されている。各枠部は、それぞれ、各検出振動系と平行に延びる接続部分12aと、振動子の支持、固定を必要に応じて行うための支持枠12bとを備えている。枠部12A、12Bの中で、駆動振動時および検出振動時の振幅が最小の領域を支持、固定する。 【0047】こうした形態の振動子では、その駆動振動においては、各支持部2A、2Bの基部13に対する固定部2aの近辺では、各駆動振動系の振動に伴って引っ張り応力が加わり、変形が見られる。この影響は、枠部の接続部分12aにおいても若干見られる。しかし、これらの影響は相殺し合うために、基部の中心付近、駆動振動系の各屈曲振動片および枠部の支持枠12bにおいては、駆動振動による影響が見られなくなっている。 【0048】この振動子の検出振動においては、各駆動振動系、各検出振動系から基部13に加わる影響は互いに相殺し合い、この結果、基部13の中心付近6Aにおいては、検出振動による影響が見られなくなっている。また、本例においては、駆動振動時の振動子の微小変位部分内に、振動子の重心GOと駆動振動系の全体の重心GDとが位置している。また、検出振動時の振動子の微小変位部分6A内に、振動子の重心GOと駆動振動系の全体の重心GDとが位置している。 【0049】検出振動の振幅が最小の領域6A内において、本発明に従って振動子11を支持し、固定し、および/または、支持孔7A(図示せず)において振動子11を支持し、固定する。また、支持枠12b内の領域6Bも振幅が最小となるので、この領域6B内において、本発明に従って振動子11を支持し、固定できる。また、領域6B内に、図示しない支持孔を形成し、この支持孔において振動子11を支持し、固定できる。 【0050】振動子の固定は、例えば図5、図6に示すようにして行う。支持台22の上には、スペーサー28、制御部29および支持部材23が載置されている。スペーサー28の上に振動子30が載置されており、振動子30の支持孔27に、支持部材23の突起23aが挿入されている。支持孔27の内壁面と突起23aとの隙間は、接着剤20によって充填されている。制御部29の上には所定のワイヤー26が接続されており、ワイヤー26が振動子30上の所定の電極パターンに接続されている。また、固定台24から固定治具25が突出しており、固定治具25によって振動子30がスペーサー上の所定箇所に機械的に固定されている。 【0051】振動子に支持孔を設けた場合の具体的支持形態を中心として、図7を参照しつつ更に述べる。 【0052】図7(a)においては、支持部材の突起31を支持孔27の下方に配置し、振動子の表面と突起31とを、接着剤層20を介して接合する。図7(b)においては、振動子の支持孔27を挟むように、振動子の上下に突起31A、31Bを設置し、支持孔27の中に接着剤20を充填し、かつ振動子30と突起31Aおよび突起31Bとの間に接着剤20を充填する。 【0053】また、図7(c)に示すように、支持部材32の突起32aを支持孔27中に挿入し、挿通し、支持部材32の端面と振動子30との間、および突起32aと支持孔27の内壁面との間に、接着剤層20を形成する。また、図7(d)においては、図7(b)と同様に、突起32の方にピン32aを設け、他方の突起33の方に孔33aを設け、突起32と33とを、振動子30の支持孔27を挟むように上下に配置し、ピン32aを支持孔27に挿入し、貫通させ、更に突起33の孔33aに挿入する。そして、突起32および33の各端面と振動子30との間、および支持部材32aと支持孔27の内壁面との間に、接着剤20を充填する。 【0054】接着剤部を設ける際には、一液型または二液型の接着剤を所定箇所に塗布、印刷等の方法によって充填し、硬化させる。また、図7(a)に示すような平坦な接着剤層を形成する場合には、予め接着剤層の成形用の型の中に、一液型または二液型などの液状の接着剤を充填することによって平板形状の接着剤層を形成し、この接着剤層を、振動子と支持部材との間に挟み、この状態で接着剤層を更に硬化させることができる。この場合には、図7(a)において、支持品27はなくともよい。こうした成形方法を採用することによって、接着剤層の厚さおよび平面的形状を一定に保持することができる。振動子の検出振動の振幅は一般に微小であり、振動子に対して直接に接触する接着剤層の形状および物性によって大きく影響を受ける。従って、振動型ジャイロスコープの各製品ごとの特性の変動を最小限にするためには、接着剤層の硬化後の材質だけでなく、接着剤層の寸法を一定にすることが、振動型ジャイロスコープの製品の歩留りを向上させる上で重要である。この観点から見て、前記の成形方法はきわめて有益である。 【0055】振動子と支持部材との間にほぼ一定厚さの接着剤層を介在させる場合には、振動子の固定強度を向上させ、振動型ジャイロスコープに対して外部から加わる外乱の影響を最小限とするという観点からは、接着剤層の面積を2mm2 以上とすることが好ましい。検出振動のQ値を大きくするという観点からは、接着剤層の面積を10mm2 以下とすることが好ましい。 【0056】以下、具体的な実験結果について述べる。 【0057】図1に示す振動型ジャイロスコープを作製した。具体的には、厚さ0.3mmの水晶のZ板のウエハーに、スパッタ法によって、所定位置に、厚さ200オングストロームのクロム膜と、厚さ5000オングストロームの金膜とを形成した。ウエハーの両面にレジストをコーティングした。 【0058】このウエハーを、ヨウ素とヨウ化カリウムとの水溶液に浸漬し、余分な金膜をエッチングによって除去し、更に硝酸セリウムアンモニウムと過塩素酸との水溶液にウエハーを浸漬し、余分なクロム膜をエッチングして除去した。温度80℃の重フッ化アンモニウムに20時間ウエハーを浸漬し、ウエハーをエッチングし、振動子の外形を形成した。メタルマスクを使用して、厚さ2000オングストロームのアルミニウム膜を電極膜として形成した。 【0059】得られた振動子の基部8の寸法は6.0mm×6.0mmであり、各検出振動片10A、10Bの寸法は、幅1.0mm×長さ6.0mmであった。検出電極5A、5Bの寸法は、幅0.6mm×長さ2.8mmであり、検出振動片10A、10Bの付け根から1.2−4.0mmの位置に形成されていた。 【0060】図7(c)に示すように、振動子1の中央部に0.75mm×0.75mmの正方形の支持孔7A(図7では27)を形成し、金属製の支持部材(突起)32の先端の直径0.6mmの金属ピン32aを支持孔7Aに通し、金属ピン32aに対して振動子1を接着した。この際には、表1に示す各接着剤を使用した。 【0061】 【表1】
【0062】各接着剤の−40℃−+80℃におけるtanδの最大値、tanδの最小値、および動的弾性率の最大値と最小値との比率を、表2に示す。また、各振動型ジャイロスコープについて、駆動電極間および検出電極間の各々について、インピーダンスアナライザを用いて、電気インピーダンスの周波数変化を測定し、共振先鋭度(Q値)を見積もり、表2に示す。 【0063】 【表2】
【0064】 【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、振動子を支持部材へと接着した場合に、振動型ジャイロスコープの環境温度が大きく変化した場合にも、振動子の検出振動のQ値の変動を抑制し、振動型ジャイロスコープの温度特性を減少させることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004064 【氏名又は名称】日本碍子株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年7月2日(1999.7.2) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100059258 【弁理士】 【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−12955(P2001−12955A) |
| 【公開日】 |
平成13年1月19日(2001.1.19) |
| 【出願番号】 |
特願平11−188563 |
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