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【発明の名称】 振動型ジャイロスコープ
【発明者】 【氏名】菊池 尊行

【氏名】横井 昭二

【要約】 【課題】複数の回転軸の周りの各回転角速度を検出可能な振動型ジャイロスコープを提供する。

【解決手段】振動型ジャイロスコープは、所定面に略平行に延びる第一の回転軸xおよび第二の回転軸yを中心とする各回転角速度を検出する。振動型ジャイロスコープは、所定面に沿って延びる振動子1Aを備えている。振動子1Aが、第一の回転軸xおよび第二の回転軸yに対して交差する方向に向かって延びる少なくとも一対の駆動振動片3A、3B、および駆動振動片と分離された少なくとも一対の検出振動片6A、6Bを備えている。一対の検出振動片の一方からの検出信号と他方からの検出信号との和から、第一の回転軸xの周りの回転角速度を検出する。一方の検出信号と他方の検出信号との差から、第二の回転軸yの周りの回転角速度を検出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】所定面に略平行に延びる第一の回転軸および第二の回転軸を中心とする各回転角速度を検出するための振動型ジャイロスコープであって、前記所定面に沿って延びる振動子を備えており、この振動子が、第一の回転軸および第二の回転軸に対して交差する方向に向かって延びる少なくとも一対の駆動振動片、この駆動振動片と分離された少なくとも一対の検出振動片、一対の検出振動片の一方からの検出信号と他方からの検出信号との和から第一の回転軸の周りの回転角速度を検出する手段、および一対の検出振動片の一方からの検出信号と他方からの検出信号との差から第二の回転軸の周りの回転角速度を検出する手段を備えていることを特徴とする、振動型ジャイロスコープ。
【請求項2】前記振動子が、前記駆動振動片と前記検出振動片とを連結する連結片を備えていることを特徴とする、請求項1記載の振動型ジャイロスコープ。
【請求項3】前記振動子が、固定部、この固定部の一方の側に設けられている第一の連結片、および固定部の他方の側に設けられている第二の連結片を備えており、前記駆動振動片が第一の連結片に連結されており、前記検出振動片が第二の連結片に連結されていることを特徴とする、請求項1記載の振動型ジャイロスコープ。
【請求項4】前記振動型ジャイロスコープが、前記所定面に対して略垂直な第三の回転軸を中心とする回転角速度を検出するものであり、前記振動子が、固定部と、前記駆動振動片を前記固定部に連結する細長い連結片とを備えており、振動子が第三の回転軸を中心として回転したときにコリオリ力によって連結片に生ずる屈曲振動に基づいて、第三の回転軸を中心とする回転角速度を検出することを特徴とする、請求項1または2記載の振動型ジャイロスコープ。
【請求項5】前記振動型ジャイロスコープが、前記所定面に対して略垂直な第三の回転軸を中心とする回転角速度を検出するものであり、前記振動子が、固定部と、前記駆動振動片を前記固定部に連結する細長い連結片と、前記固定部から突出する少なくとも一対の共振アームとを備えており、振動子が第三の回転軸を中心として回転したときにコリオリ力によって連結片に生ずる屈曲振動に対して、各共振アームが共振し、各共振アームの共振に基づいて第三の回転軸を中心とする回転角速度を検出することを特徴とする、請求項1または2記載の振動型ジャイロスコープ。
【請求項6】前記振動型ジャイロスコープが、前記所定面に対して略垂直な第三の回転軸を中心とする回転角速度を検出するものであり、前記振動子が、細長い固定部と、前記駆動振動片を前記固定部の一方の側に連結する細長い連結片と、前記固定部の他方の側から突出する共振片とを備えており、振動子が第三の回転軸を中心として回転したときにコリオリ力によって連結片に生ずる屈曲振動に対して、共振片が共振し、この共振片の共振に基づいて第三の回転軸を中心とする回転角速度を検出することを特徴とする、請求項1または2または5記載の振動型ジャイロスコープ。
【請求項7】前記検出振動片が前記連結片に連結されていることを特徴とする、請求項4−6のいずれか一つの請求項に記載の振動型ジャイロスコープ。
【請求項8】前記振動子が、少なくとも二対の前記駆動振動片、少なくとも二対の前記検出振動片、各対の駆動振動片および各対の検出振動片に対してそれぞれ連結されている細長い連結片、および各連結片を互いに連結する連結部分を備えており、二対の駆動振動片にそれぞれ駆動振動を励起するための手段を備えていることを特徴とする、請求項1記載の振動型ジャイロスコープ。
【請求項9】前記二対の駆動振動片の駆動振動の全体の重心が、前記振動子の重心上またはその近傍にあることを特徴とする、請求項8記載の振動型ジャイロスコープ。
【請求項10】前記振動型ジャイロスコープが、前記所定面に対して略垂直な第三の回転軸を中心とする回転角速度を検出するものであり、前記振動子が、前記連結部分に連結されている少なくとも一つの第二の検出振動片を備えており、振動子が第三の回転軸を中心として回転したときにコリオリ力によって各連結片に生ずる屈曲振動に対して、第二の検出振動片が共振し、この第二の検出振動片の共振に基づいて第三の回転軸を中心とする回転角速度を検出することを特徴とする、請求項8または9記載の振動型ジャイロスコープ。
【請求項11】前記振動子が圧電性セラミックスまたは恒弾性金属からなり、前記駆動振動片および前記検出振動片が、前記第一の回転軸に対して10−80°の角度をなしていることを特徴とする、請求項1−10のいずれか一つの請求項に記載の振動型ジャイロスコープ。
【請求項12】前記振動子が圧電性単結晶からなり、前記駆動振動片および前記検出振動片が、前記第一の回転軸に対して10−80°の角度をなしていることを特徴とする、請求項1−10のいずれか一つの請求項に記載の振動型ジャイロスコープ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の回転軸の周りの回転角速度を測定するための振動型ジャイロスコープに関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば自動車の車体回転速度フィードバック式の車両制御方法に用いる回転速度センサーに、振動型ジャイロスコープを使用することが検討されている。こうしたシステムにおいては、操舵輪の方向自身は、ハンドルの回転角度によって検出する。これと同時に、実際に車体が回転している回転速度を振動ジャイロスコープによって検出する。そして、操舵輪の方向と実際の車体の回転速度を比較して差を求め、この差に基づいて車輪トルク、操舵角に補正を加えることによって、安定した車体制御を実現する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】こうした振動型ジャイロスコープでは、2軸方向の各回転角速度を検出することが望まれる。2軸の各回転角速度を同時に測定するためには、複数の振動子を、それぞれ所望の回転軸の周りに取り付けることが考えられる。しかし、この方法では、2つの振動子をそれぞれ別個の位置に、別個の方向に向かって取り付ける必要があるので、製造、施工コストが高い。
【0004】本発明の課題は、複数の回転軸の周りの各回転角速度を検出可能な振動型ジャイロスコープを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、所定面に略平行に延びる第一の回転軸および第二の回転軸を中心とする各回転角速度を検出するための振動型ジャイロスコープであって、所定面に沿って延びる振動子を備えており、振動子が、第一の回転軸および第二の回転軸に対して交差する方向に向かって屈曲振動する少なくとも一対の駆動振動片、この駆動振動片と分離された少なくとも一対の検出振動片、一対の検出振動片の一方からの検出信号と他方からの検出信号との和から第一の回転軸の周りの回転角速度を検出する手段、および一方の検出信号と他方の検出信号との差から第二の回転軸の周りの回転角速度を検出する手段を備えていることを特徴とする。
【0006】図1を参照しつつ、本発明について更に説明する。図1(a)の振動型ジャイロスコープは、第一の回転軸xおよび第二の回転軸yを中心とする各回転角速度を測定するものである。振動子1Aは、少なくとも一対の駆動振動片3A、3Bからなる駆動振動系2Aと、少なくとも一対の検出振動片6A、6Bからなる検出振動系4Aとを備えている。5は各振動片の付け根である。
【0007】各駆動振動片3A、3Bに対して、矢印AXYに示すように、x軸およびy軸に対して交差する方向に向かって駆動振動を励振する。この状態で、図1(b)に示すように、振動子1Aをy軸の周りに回転させると、駆動振動片3Aと3Bとは、所定面に垂直な第三の軸(z軸)の方向へとBZのように振動する。この際、一方の駆動振動片3Aの振動の位相と他方の駆動振動片3Bの振動の位相とは逆になる。これに応答して、検出振動片6Aと6Bとは、CZに示すように、Z軸方向へと向かって、逆位相で振動する。
【0008】一方、図1(c)に示すように、振動子1Aをx軸の周りに回転させると、駆動振動片3Aと3Bとは、所定面に垂直な第三の軸(z軸)の方向へとDZのように振動する。この際、一方の駆動振動片3Aの振動の位相と他方の駆動振動片3Bの振動の位相とは同じになる。これに応答して、検出振動片6Aと6Bとは、EZのように、z軸の方向へと順位相で振動する。
【0009】検出振動片6Aから得られた検出信号と、6Bから得られた検出信号との差は、図1(b)、(c)から分かるように、y軸の周りの回転角速度を反映する。なぜなら、図1(b)に示す各振動CZに由来する検出信号は、逆位相なので増幅され、図1(c)に示す各振動EZに由来する検出信号は、順位相なので消去されるからである。一方、検出振動片6Aから得られた検出信号と、6Bから得られた検出信号との和は、図1(c)から分かるように、x軸の周りの回転角速度を反映する。なぜなら、図1(b)に示す各振動CZに由来する検出信号は、逆位相なので消去され、図1(c)に示す各振動EZに由来する検出信号は、順位相なので増幅されるからである。従って、本振動子によって、x軸の周りとy軸の周りとの各回転角速度を検出できる。
【0010】本発明の好適な実施形態においては、振動子が、駆動振動片と検出振動片とを連結する連結片を備えており、この連結片が、第二の回転軸yの方向に向かって延びている。図2(a)−(c)はこの実施形態に係るものである。図1に示した各構成部分については説明を省略する。
【0011】振動子1Bは、各駆動振動片3A、3Bと、各検出振動片6A、6Bとを連結する連結片7を備えている。連結片7の長手方向は、y軸と略平行である。
【0012】本発明の他の実施形態においては、振動子が、固定部、固定部の一方の側に設けられている第一の連結片、および固定部の他方の側に設けられている第二の連結片を備えており、駆動振動片が第一の連結片に連結されており、検出振動片が第二の連結片に連結されている。図3(a)、(b)は、この実施形態に係る振動子を示す模式図である。
【0013】振動子1Cは、固定部10、固定部10の一方の側から突出する第一の連結片8、固定部10の他方の側から突出する第二の連結片9を備えている。第一の連結片8の先端から、一対の駆動振動片3A、3Bが延びており、第二の連結片9の先端から、一対の検出振動片6A、6Bが延びている。
【0014】各駆動振動片3A、3Bに対して、矢印AXYに示すように、x軸およびy軸に対して交差する方向に向かって駆動振動を励振する。この状態で、図3(a)に示すように、振動子1Cをy軸の周りに回転させると、駆動振動片3Aと3Bとは、第三の軸zの方向へとBZのように振動する。これに応答して、検出振動片6Aと6Bとは、CZに示すように、Z軸方向へと向かって、逆位相で振動する。
【0015】図3(b)に示すように、振動子1Cをx軸の周りに回転させると、駆動振動片3Aと3Bとは、第三の軸zの方向へとDZのように振動する。これに応答して、検出振動片6Aと6Bとは、EZに示すように、Z軸方向へと向かって、順位相で振動する。
【0016】この実施形態においては、固定部10は細長いものであることが好ましく、その縦横比は3倍以上であることが好ましい。
【0017】本発明の他の実施形態においては、振動型ジャイロスコープが、第三の回転軸zを中心とする回転角速度を検出するものであり、振動子が、固定部と、駆動振動片を固定部に連結する細長い連結片とを備えており、振動子が第三の回転軸を中心として回転したときにコリオリ力によって連結片に生ずる屈曲振動に基づいて第三の回転軸を中心とする回転角速度を検出する。図4(a)、(b)は、この実施形態に係るものである。
【0018】振動子1Dは、固定部10と、一対の駆動振動片3A、3Bを固定部10に連結する細長い連結片8とを備えている。図4では、一対の検出振動片6A、6Bも連結片8に連結されている。
【0019】各駆動振動片3A、3Bに対して、矢印AXYに示すように、x軸およびy軸に対して交差する方向に向かって駆動振動を励振する。この状態で、図4(a)に示すように、振動子1Dをy軸の周りに回転させると、検出振動片6Aと6Bとは、CZに示すように、Z軸方向へと向かって、逆位相で振動する。振動子1Cをx軸の周りに回転させると、検出振動片6Aと6Bとは、EZに示すように、Z軸方向へと向かって、順位相で振動する。
【0020】これと共に、図4(b)に示すように、振動子1Dを、z軸の周りに回転させると、各駆動振動片3A、3Bには、FXYで示すような方向の振動が発生する。この振動成分をx軸方向とy軸方向とに向かって分解すると、y軸方向の各成分は互いに相殺し、x軸方向の成分が残る。この結果、GXで示すように、連結片8が、その付け根8aを中心として振動する。連結片8の付け根8aの近傍に何らかの検出手段を設けることによって、連結片8の屈曲振動を検出する。
【0021】本発明の他の実施形態においては、振動子が、固定部と、駆動振動片を固定部に連結する細長い連結片と、固定部から突出する少なくとも一対の共振アームとを備えており、振動子が第三の回転軸を中心として回転したときにコリオリ力によって連結片に生ずる屈曲振動に対して、各共振アームが共振し、各共振アームの共振に基づいて第三の回転軸を中心とする回転角速度を検出する。または、駆動振動片を固定部の一方の側に連結する細長い連結片と、固定部の他方の側から突出する共振片とを備えており、振動子が第三の回転軸を中心として回転したときにコリオリ力によって連結片に生ずる屈曲振動に対して、共振片が共振し、この共振片の共振に基づいて第三の回転軸を中心とする回転角速度を検出する。図5は、この実施形態に係る振動子を示す模式図である。
【0022】振動子1Eは、固定部10の一方の側から突出する連結片8と、他方の側から突出する共振片12とを備えている。一対の駆動振動片3A、3Bが連結片8の先端に設けられており、一対の検出振動片4A、4Bが連結片8の両側面から突出している。
【0023】この振動子1Eは、前述したように、x軸およびy軸の周りの各回転角速度を検出する。これと共に、振動子1Eをz軸の周りに回転させると、各駆動振動片3A、3Bには矢印FXYで示すような振動が発生し、これに応答して、連結片8には、矢印GXで示すように、付け根8aを中心とする屈曲振動が発生する。この屈曲振動GXに対して、一対の共振アーム11A、11Bが矢印HXのように順位相で屈曲振動する。従って、各共振アーム11A、1Bにそれぞれ検出手段を設け、各検出手段からの検出信号を加算することによって、z軸の周りの回転回転角速度を算出できる。
【0024】これと共に、固定部10の他方の側にある共振片12は、連結片8の振動GXに応答して、JXのように屈曲振動する。共振片12の付け根の近傍に検出手段を設け、この検出手段からの検出信号を処理することによって、z軸の周りの回転角速度を算出できる。
【0025】このように、共振アームを11A、11B、あるいは共振片12を、x軸およびy軸の周りの回転角速度を検出する検出振動片6A、6Bから分離して設けることによって、z軸の周りの回転角速度の検出感度を向上させることができる。
【0026】連結片8の屈曲振動からz軸の周りの回転角速度を検出するためには、連結片8の縦横比は3倍以上とすることが好ましい。
【0027】また、本発明の実施形態においては、振動子が、少なくとも二対の駆動振動片、少なくとも二対の検出振動片、各対の駆動振動片および各対の検出振動片に対してそれぞれ連結されている細長い連結片、および各連結片を互いに連結する連結部分を備えており、二対の駆動振動片にそれぞれ駆動振動を励起するための手段を備えている。この際、特に好ましくは、振動子が、連結部分に連結されている少なくとも一つの第二の検出振動片を備えており、振動子が第三の回転軸を中心として回転したときにコリオリ力によって各連結片に生ずる屈曲振動に対して、第二の検出振動片が共振し、この第二の検出振動片の共振に基づいて第三の回転軸を中心とする回転角速度を検出する。図6、図7は、この実施形態に係る振動子1Fに係るものである。
【0028】振動子1Fは、少なくとも二対の駆動振動片3Aと3Bおよび3Cと3D、少なくとも二対の検出振動片6Aと6B、および6Cと6D、各対の駆動振動片および各対の検出振動片に対してそれぞれ連結されている細長い連結片8A、8B、および各連結片8Aと8Bとを互いに連結する連結部分20を備えている。連結部分20は、本例では略正方形をしており、連結部分20の相対向する各辺から、連結片8A、8Bが突出している。2A、2Bは駆動振動系であり、4C、4Dは検出振動系である。
【0029】各駆動振動片に対して、矢印AXYで示すように、屈曲振動を励振し、この状態で振動子1Fをx軸、y軸の周りに回転させると、各検出振動片6A−6DがCZ、EZで示すように振動するので、前述したようにしてx軸、y軸の周りの回転角速度を算出できる。
【0030】また、振動子1Fは、連結部分20に連結されている二つの第二の検出振動片13を備えている。図7に示すように、振動子1Fが第三の回転軸zを中心として回転すると、コリオリ力によって各連結片8A、8Bに、矢印GXで示す屈曲振動が生ずる。これに応答して、第二の検出振動片13がKYのように屈曲振動する。この振動に基づいて、z軸の周りの回転角速度を算出できる。
【0031】振動子の材質は特に限定しないが、水晶、LiNbO3 、LiTaO3 、ニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体(Li(Nb,Ta)O3)単結晶、ホウ酸リチウム単結晶、ランガサイト単結晶等からなる圧電単結晶を使用することが好ましい。圧電単結晶を使用すると、検出感度を良好にすることができるとともに、検出ノイズを小さくできる。
【0032】本発明の振動子を圧電性材料によって形成した場合には、この振動子に駆動電極および検出電極を設ける。圧電性材料としては、圧電単結晶の他に、PZT等の圧電セラミックスがある。本発明の振動子を、エリンバー等の恒弾性金属によって形成することもできる。この場合には、振動子の所定箇所に圧電体を取り付ける必要がある。
【0033】振動子は、圧電材料や恒弾性合金の他に、シリコンマイクロマシンにおいて使用されるように、シリコン半導体プロセスによって形成することもできる。この場合には、振動子を駆動する際には、静電力等を利用する。具体的には静電検出電極を利用できる。また、静電検出電極のかわりに、特定の金属がドープされた半導体ドーピング領域を設け、この半導体ドーピング領域によってピエゾ抵抗素子を構成できる。この場合には、振動子が回転するときに、各屈曲振動片の各ピエゾ抵抗素子に加わる応力による抵抗値の変化を測定し、回転角速度の指標として検出する。
【0034】駆動振動片は、第一の回転軸に対して、10−80°の角度をなすことが好ましく、30−60°の角度をなすことが一層好ましい。
【0035】振動子が圧電性セラミックスまたは恒弾性金属によって形成されている場合には、駆動振動片および検出振動片が、第一の回転軸xに対して10−80°の角度をなしていることが好ましく、30−60°の角度をなしていることが一層好ましい。これが約45°であると、x軸の周りの回転角速度の検出感度と、y軸の周りの回転角速度の検出感度とを同程度とすることができるので、特に好ましい。
【0036】振動子が圧電性単結晶、特に水晶、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体からなる場合には、駆動振動片および検出振動片が、第一の回転軸に対して10−80°の角度をなしていることが好ましく、20−70°の角度をなしていることが一層好ましい。一対の駆動振動片同士、あるいは一対の検出振動片同士は、約120°の角度をなすことが特に好ましい。
【0037】水晶のように、所定面内に3回回転の結晶軸を有している単結晶によって振動子が形成されている場合には、各結晶軸の方向に向かって各駆動振動片、各検出振動片が延びるようにすることが好ましい。これによって、一対の駆動振動片の振動面の結晶方位、あるいは一対の検出振動片の振動面の結晶方位が一致する。
【0038】第一の回転軸xの周りの回転角速度に対応する屈曲振動CZの共振周波数f(CZ)と、第二の回転軸yの周りの回転角速度に対応する屈曲振動EZの共振周波数f(EZ)とは、互いに50Hz以上異なっていることが好ましい。また、駆動振動の共振周波数f(D)は、屈曲振動CZの共振周波数f(CZ)と屈曲振動EZの共振周波数f(EZ)との間にあることが好ましい。この場合には、駆動振動の共振周波数f(D)と屈曲振動CZの共振周波数f(CZ)との差|f(D)−f(CZ)|と、駆動振動の共振周波数f(D)と屈曲振動EZの共振周波数f(EZ)との差|f(D)−f(EZ)|とが、互いに10Hz以下異なっていることが好ましい。これによって、x軸の周りの回転角速度の検出感度と、y軸の周りの回転角速度の検出感度とを近づけ、あるいは一致させることができる。
【0039】本発明においては、振動子が所定面に沿って延びているが、これは厳密に幾何学的意味で所定面内に延びていることを言うものではなく、本技術分野において常識的な値、例えば厚さにして1mm以下の範囲内に振動子が形成されていることを意味する。
【0040】図8は、本発明の他の実施形態に係る振動子1Gを示す斜視図である。振動子1Gは、固定部10と、固定部10から延びる細長い連結片8とを備えている。連結片8の先端側には拡張部分14が設けられている。拡張部分14の先端側から一対の駆動振動片3A、3Bが延びており、拡張部分14の固定部10側の端部から一対の検出振動片6A、6Bが延びている。駆動振動片と検出振動片とは互いに略平行である。
【0041】図9に示す振動子1Hは、図8に示した振動子1Gとほぼ同様の形態を有しているが、各駆動振動片3A、3B、検出振動片6A、6Bが延びている方向が異なっており、かつ連結片22が平面的に見て長方形をなしている。
【0042】図10に示す振動子1Jの外形は正方形ないし正方形に近い長方形である。振動子1Jは枠部15を備えており、枠部15内には中空部16が形成されている。枠部15から中空部16へと向かって連結片8が突出している。連結片8の先端から一対の駆動振動片3A、3Bが突出しており、駆動振動片から若干付け根8a側に離れた位置から、一対の検出振動片6A、6Bが突出している。
【0043】本例の振動子1Jの全体は恒弾性金属からなっており、恒弾性金属の表面に、アース電極膜が形成されており、アース電極膜の表面に、圧電セラミックス板が取り付けられており、圧電セラミックス板の表面に、各電極が形成されている。また、振動子1Jの枠部15の縁部には電極パッド17A、17B、17C、17D、17Eが形成されている。
【0044】各駆動振動片3A、3B上にはそれぞれ駆動電極18A、18Bが形成されている。各検出振動片6A、6B上にはそれぞれ検出電極19A、19Bが形成されている。連結片8には第二の検出電極21A、21Bが形成されている。これらの各駆動電極および検出電極とアース電極との間に、それぞれ圧電セラミックス板が挟まれている。
【0045】各駆動電極18A、18Bは、電極パッド17Aを介して高周波電源25に接続されており、この高周波電源25によって各駆動振動片を励振する。各検出電極19A、19B、21A、21Bからの各検出信号は、次のように処理される。即ち、各検出振動片19A、19Bからの検出信号を、電極パッド17B、17Cを通して振動子の外部へと送り、加算し、この和を計算装置へと送り、x軸の周りの回転角速度を算出する。また、各検出振動片19A、19Bからの検出信号を、電極パッド17B、17Cを通して振動子の外部へと送り、除算し、その差を計算装置へと送り、y軸の周りの回転角速度を算出する。また、検出電極21A、21Bからの検出信号を、電極パッド17D、17Eを通して振動子の外部へと送り、除算し、この差を計算装置へと送り、z軸の周りの回転角速度を算出する。
【0046】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明によれば、複数の回転軸の周りの各回転角速度を検出可能な振動型ジャイロスコープを提供できる。
【出願人】 【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
【出願日】 平成11年7月1日(1999.7.1)
【代理人】 【識別番号】100059258
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外2名)
【公開番号】 特開2001−12953(P2001−12953A)
【公開日】 平成13年1月19日(2001.1.19)
【出願番号】 特願平11−187856