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【発明の名称】 方位表示装置
【発明者】 【氏名】鶴巻 桂司

【要約】 【課題】電力供給の開始時における回動表示部の誤作動を抑制し得る方位表示装置を提供する。

【解決手段】交差コイルx,y中に回動軸51を備えたロータ磁石52を配置してなる交差コイル式計器5と、ロータ磁石52に応動するように回動軸51に連結される回動表示部54と、イグニッションスイッチ(スイッチ手段)7を介して電源6と接続されると共に方位センサ1の検出状態に基づく入力信号を処理して交差コイルx,yに駆動信号を出力することにより回動表示部54を検出状態に応じて回動させる制御手段4とを備えており、制御手段4はイグニッションスイッチ7の投入により電力供給が開始されると、回動表示部54を電気指示角で「0度」から「360度」まで回動させる初期動作信号(駆動信号)を出力した後に、方位センサの検出状態に基づく駆動信号を出力する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 交差コイル中に回動軸を備えたロータ磁石を配置してなる交差コイル式計器と、前記ロータ磁石に応動するように前記回動軸に連結される回動表示部と、スイッチ手段を介して電源と接続されると共に方位センサの検出状態に基づく入力信号を処理して前記交差コイルに駆動信号を出力することにより前記回動表示部を前記検出状態に応じて回動させる制御手段とを備え、前記制御手段は前記スイッチ手段の投入により電力供給が開始されると、前記回動表示部を所定の回動角分動作させるに相当する前記駆動信号を出力した後に、前記方位センサの検出状態に基づく前記駆動信号を出力することを特徴とする方位表示装置。
【請求項2】 前記回動表示部が線状の指針からなることを特徴とする請求項1記載の方位表示装置。
【請求項3】 前記回動表示部に対応させて方角指標部を有する固定部材を設けてなることを特徴とする請求項2記載の方位表示装置。
【請求項4】 前記回動表示部が方角指標部を有する回動部材からなることを特徴とする請求項1記載の方位表示装置。
【請求項5】 前記方角指標部に対応するマークを有する固定部材を設けてなることを特徴とする請求項4記載の方位表示装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の移動体に搭載され、アクチュエータに連結された回動表示部にて方位を表示する方位表示装置に関し、特にアクチュエータとして交差コイル式計器を適用した方位表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車等に搭載される方位表示装置としては、方位指標を施した方位盤上に地磁気に応じて回動する磁針を回動自在に取り付けてなり、地磁気に応じた磁針の回動にて方角を表示する磁針タイプのものや、地磁気センサ(方位センサ)による方位検出状態に基づいて例えば液晶表示パネルにて方角をセグメント表示するセグメントタイプのもが一般的である。
【0003】上述のごとき磁針タイプのものは、取り付け方向が水平でないと正規指示しない、あるいは他の車載機器の磁界影響を受けやすい性質があり、また上述のごときセグメントタイプにあっては、表示できる方角が限られてしまうという性質があるため、例えば実開昭58−51217号公報に示されているように、指針からなる回動表示部を連結したアクチュエータを、地磁気センサによる方位検出状態に基づいて駆動することで回動表示部を通じて方角を表示させる方位表示装置の要望がある。
【0004】回動表示部を回動するアクチュエータとしては、上記公報にも示されているように例えば交差コイル式計器を適用でき、この交差コイル式計器は、一般によく知られているように、交差コイル中に回動軸を有するロータ磁石を配置してなるもので、回動軸の先端に回動表示部を連結すると共に各コイルに地磁気センサによる方位検出状態に基づいた駆動信号を供給する制御手段を設け、この制御手段によりロータ磁石(回動表示部)を方位検出状態に基づいて回動させることで、方角を表示することが可能となる。この場合、制御手段は、地磁気センサの検出状態に基づく入力信号を処理して各コイルに90度位相の異なる電圧信号(駆動信号)を出力するように構成され、イグニッションスイッチ(スイッチ手段)を介して車載バッテリと接続され、イグニッションスイッチのスイッチ手段を通じて車載バッテリからの電力供給が行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、アクチュエータとして交差コイル式計器を適用した方位表示装置にあっては、イグニッションスイッチを通じて制御手段への電力供給のオン・オフがなされるため、イグニッションスイッチの遮断後(電力供給「オフ」時)は、各コイルへの駆動信号供給も行われないため、回動表示部の動作を制御することは不可能となる。このためイグニッションスイッチの遮断後(電力供給「オフ」時)に回動表示部が本来向くべき正規方向とは180度異なる方向を向いている状態でイグニッションスイッチを投入(電力供給「オン」)した場合、ロータ磁石を回動させるために各コイルを通じて発生するベクトルの向きが一方向(180度)となり、回動表示部がイグニッションスイッチ投入前(電力供給「オフ」時)の向きのまま張り付いて、地磁気センサの検出状態に応じた正規方向とは反対側を向いてしまうことがあり、改良が望まれていた。
【0006】そこで本発明は、このような問題点に着目し、電力供給の開始時における回動表示部の誤作動を抑制し得る方位表示装置を提供することを主な目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解決するため、交差コイル中に回動軸を備えたロータ磁石を配置してなる交差コイル式計器と、前記ロータ磁石に応動するように前記回動軸に連結される回動表示部と、スイッチ手段を介して電源と接続されると共に方位センサの検出状態に基づく入力信号を処理して前記交差コイルに駆動信号を出力することにより前記回動表示部を前記検出状態に応じて回動させる制御手段とを備え、前記制御手段は前記スイッチ手段の投入により電力供給が開始されると、前記回動表示部を所定の回動角分動作させるに相当する前記駆動信号を出力した後に、前記方位センサの検出状態に基づく前記駆動信号を出力することを特徴とする。
【0008】また本発明は、前記回動表示部が線状の指針からなることを特徴とする。
【0009】また本発明は、前記回動表示部に対応させて方角指標部を有する固定部材を設けてなることを特徴とする。
【0010】また本発明は、前記回動表示部が方角指標部を有する回動部材からなることを特徴とする。
【0011】また本発明は、前記方角指標部に対応するマークを有する固定部材を設けてなることを特徴とする。。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づき、本発明の実施形態を説明するが、何れの実施形態も本発明による方位表示装置を自動車に適用した場合を例に説明する。
【0013】図1から図5は、本発明の第1実施形態を示し、図1は全体構成を示すブロック図、図2は交差コイル式計器を示す断面図、図3は電力供給「オフ」後の指針位置を示す平面図、図4は電力供給「オン」時の指針位置を示す平面図、図5は指針指示角(指針の動作)と電気指示角信号(駆動信号出力)の関係を示す図である。
【0014】図1において方位表示装置は、方位センサ1と、制御部2と駆動処理部3とからなる制御手段4と、交差コイル式計器5と、電源6と、イグニッションスイッチ(スイッチ手段)7とで構成されている。
【0015】方位センサ1は、例えばフラックスゲート式の地磁気センサからなり、自動車の向いている方角を検出し、その検出状態に基づく電気信号を方位検出信号として制御部2に出力する。
【0016】制御部2は、マイクロコンピュータ(マイコン)からなるもので、制御プログラムを実行するCPU、制御プログラムを記憶するROM、演算処理されたデータを一時的に記憶するRAM、外部からの信号を入力するインターフェイス(I/F)、これらCPU、ROM、RAM、インターフェイスのそれぞれを接続するバスを含み、方位センサ1から入力される方位検出信号を後述する表示板の指示位置に換算して、後述する回動表示部の前記文字板上における指示角度データを求め、この指示角度データを後段の駆動処理部3に出力する。
【0017】駆動処理部3は、前記指示角度データに応じた交差コイルx,y(後述)の通電量データを記憶したROM部、各ROM部の出力値をそれぞれのアナログ量に変換するD/A変換部、前記アナログ量に対応した駆動電圧を交差コイルx,yに通電する駆動出力部をそれぞれ含んで構成され、制御部1からの指示角度データは、この駆動処理部2によって所定の駆動信号(通常、sin,cosの基本波形にて変化する電圧信号)に変換され、交差コイル式計器(後述する交差コイルx,y)5に出力されるものである。
【0018】交差コイル式計器5は、図2に詳しく示すように、回動軸51を有するロータ磁石52を交差コイルx,y中に配置してなるもので、中空形状のボビンフレーム53を通じてロータ磁石52を収納・軸支すると共に一対のコイルx(SIN側),y(COS側)でなる交差コイルx,yが巻回されており、この交差コイルx,yに制御手段4(駆動処理部3)からの駆動信号が供給されると、交差コイルx,yに合成磁界が形成され、この合成磁界によりロータ磁石52が方位センサ1の検出状態に応じて回動するように構成されている。
【0019】ボビンフレーム53より突出する回動軸51の先端には、ロータ磁石52に応動するように線状の指針からなる回動表示部54が連結固定され、この回動表示部54とボビンフレーム53との間には、方位盤となる表示板(固定部材)55が設けられ、この表示板55上には「N,E,S,W」なる文字とこれら文字間に位置する目盛とでなる方角指標部56(図3,図4参照)が形成されており、この方角指標部56をロータ磁石52の回動運動に応動する回動表示部55が指示することによって、方位(方角)を表示(指示)するようになっている。なお本実施形態では表示板55を方角指標部56を有する固定部材として設けたが、例えば回動表示部54の前方側を覆う透明部材(図示しない)に本実施形態のごとき方角指標部56を形成し、固定部材として設けることもできる。
【0020】このように交差コイル式計器5を方位センサ1の検出状態に応じて駆動する制御部2(制御手段4)への電力供給は、制御部2と電源6との間に接続されたイグニッションスイッチ7及び図示しないレギュレータを介して行われ、このイグニッションスイッチ7の投入・遮断により制御部2への電力供給のオン・オフ切替も行われるように構成されており、電力供給のオン時(イグニッションスイッチ7の投入後)は、制御部2を通じて交差コイル式計器が駆動され、電力供給のオフ時(イグニッションスイッチ7の遮断後)は、制御部2自体を作動させる電力自体が供給されなくなるため、交差コイル式計器5による回動表示部55の駆動は停止され、回動表示部の位置(向き)はランダム(制御不可能)となる。
【0021】次に図3から図5を用いて、本実施形態の動作を説明する。
【0022】図3に示す電力供給オフ時(イグニッションスイッチ7の遮断後)において、回動表示部54は、「S(南)」なる方角指標部56を指示した状態で停止しているが、ここで、実際(正規)の車体向きはこれとは180度異なる「N(北)」なる方角指標部56であったとする。
【0023】このような電力供給オフ状態から、イグニッションスイッチ7の投入に伴って電力供給を開始されると、制御手段4は、まず、回動表示部54を所定の回動角分、初期動作させるに足りる駆動信号を出力した後に、続いて方位センサ1の検出状態に基づく駆動信号を出力するように予め設定(プログラミング)されており、具体的には、図5中、点線にて示すように、イグニッションスイッチ7の投入により制御手段3は、回動表示部54を電気指示角で0度から360度回動させるに相当する駆動信号を交差コイルx,yに出力し、その後、方位センサ1の出力に応じた通常の駆動信号を交差コイルx,yに出力する。
【0024】制御手段3より初期動作信号となる駆動信号が出力されると、回動表示部54は、図4に示すように、図3に示した指示位置(ここでは点線で示す)から、一端、「E」なる方角指標部56側(反時計方向)に振れた後(矢印A)、「N」なる方角指標部56に向けて時計方向に回動する(矢印B)。この後、回動表示部54は、方位センサ1の出力に応じた通常の駆動信号にて駆動される。なお本実施例では、「N」なる方角指標部56位置を電気指示角0度に対応する回動表示部54の指示位置として設定している。
【0025】以上のように本実施形態による方位表示装置は、交差コイルx,y中に回動軸51を備えたロータ磁石52を配置してなる交差コイル式計器5と、ロータ磁石52に応動するように回動軸51に連結される回動表示部54と、イグニッションスイッチ(スイッチ手段)7を介して電源6と接続されると共に方位センサ1の検出状態に基づく入力信号を処理して交差コイルx,yに駆動信号を出力することにより回動表示部54を検出状態に応じて回動させる制御手段4とを備え、制御手段4はイグニッションスイッチ7の投入により電力供給が開始されると、回動表示部54を所定の回動角分、初期動作させるに相当する初期動作信号となる駆動信号(本実施例では回動表示部54を電気指示角で「0度」から「360度」まで回動させるに相当する駆動信号)を出力した後に、方位センサの検出状態に基づく駆動信号を出力することにより、回動表示部54が本来指示すべき正規方向とは180度異なる方向を向いた状態でイグニッションスイッチ7を投入(電力供給開始)した場合であっても、電力供給オン時にロータ磁石に作用する磁界ベクトルの向きが一方向(180度)となることを防止でき、これにより、回動表示部54がイグニッションスイッチ7の投入前(電力供給「オフ」時)の向きのまま張り付いて、地磁気センサ1の検出状態に応じた正規方向とは反対側を向いてしまうといいた誤動作を抑制することができる。
【0026】なお本実施形態では、イグニッションスイッチ7の投入(電力供給開始)に伴って回動表示部54を初期動作させる際に制御部4が出力する初期動作信号(駆動信号)を、回動表示部54を電気指示角で「0度」から「360度」まで回動させるに相当する駆動信号として設定したが、初期動作信号としては、イグニッションスイッチ7の投入前における回動表示部54を、その時の指示位置から少なくとも所定角度分(1度以上)、回動させるに足りる電気指示角信号となる駆動信号であれば、その設定値は任意であり、例えば変形例(第2実施形態)として図6に示すように、初期動作信号を電気指示角で90度(電気指示角0度に対応する「N」なる方角指標部56位置を基準とした場合、−90度)に設定しても、同様の効果を得ることができる。
【0027】また初期動作信号を出力するメリットとしては、回動表示部54の誤動作防止に加え、制御手段4への電力供給の開始時に必ず一定の出力値となる駆動信号を出力することで、制御手段4に対する回動表示部54の追従動作を確実なものとすることができる点があげられる。
【0028】なお前述実施形態では、回動表示部54を線状の指針から設けたが、本発明の第3実施形態(回動表示部54の変形例)として図7に示すように、回動表示部54を方角指標部55を有する回動盤(回動部材)としてもよい。この場合、回動する方角指標部56に対応させて、方位判読上の基準点となるマークMを有する固定部材を設けてもよく、このような固定部材としては、回動表示部54の前方側を覆う遮蔽部材または透明部材(共に図示しない)にマークMを形成することで固定部材となすことができる。
【0029】また本発明の第4実施形態として図示しないが、前述第1実施形態における回動表示部54及び方角指標部56を透光性に形成すると共に、これら回動表示部54及び方角指標部56を背後から照明する照明手段を設け、また回動表示部54及び方角指標部56の前方側には、暗色系の色彩を有する半透過性パネル(スモークパネル)を配置し、照明手段の点灯により回動表示部54及び方角指標部56の発光表示像を半透過性パネル通じて視認させると共に、照明手段の非点灯時には発光表示像がほとんど視認できないように構成することもでき、このような構成の方位表示装置において、少なくとも回動表示部54の初期動作が終了するまでは、照明手段を非点灯に制御する機能を例えば制御手段4またはこの制御手段4とは異なる他の制御手段に持たせてもよく、このように回動表示部54の初期動作が終了するまでは、照明手段を非点灯に制御するよう構成すれば、実際の方位指示動作でなはい回動表示部54の初期動作が運転者に視認されない、あるいはほとんど視認されないようにすることができ、これにより表示品質を高めることができる。
【0030】
【発明の効果】以上のように、 交差コイル中に回動軸を備えたロータ磁石を配置してなる交差コイル式計器と、前記ロータ磁石に応動するように前記回動軸に連結される回動表示部と、スイッチ手段を介して電源と接続されると共に方位センサの検出状態に基づく入力信号を処理して前記交差コイルに駆動信号を出力することにより前記回動表示部を前記検出状態に応じて回動させる制御手段とを備え、前記制御手段は前記スイッチ手段の投入により電力供給が開始されると、前記回動表示部を所定の回動角分動作させるに相当する前記駆動信号を出力した後に、前記方位センサの検出状態に基づく前記駆動信号を出力することにより、電力供給の開始時における回動表示部の誤作動を抑制し得る方位表示装置を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
【出願日】 平成11年6月30日(1999.6.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−12951(P2001−12951A)
【公開日】 平成13年1月19日(2001.1.19)
【出願番号】 特願平11−184594