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【発明の名称】 救難目標位置指示装置
【発明者】 【氏名】妹尾 明展

【要約】 【課題】救難目標をロストすることなく確実に指示できる救難目標位置指示装置を提供する。

【解決手段】飛行体2の搭乗員3に装着される頭部装着型表示装置4のコンバイナ13を介して視認される照準画像と救難目標とが対応した時、入力装置5を搭乗員3が操作することで、救難目標位置を演算するのに必要な変数の検出装置6の検出結果に基づき情報処理装置7により救難目標位置が演算される。飛行体2の過去に更新された複数位置と、次の更新時の予想更新位置と、現時点に最も近い過去に更新された位置と予想更新位置との間の複数の補間位置と、現時点に最も近い過去における位置の更新時点から現時点までの経過時間とから、その経過時間に対応する補間位置が演算される。その救難目標の位置の演算に際して用いられる飛行体の位置として、その補間位置と前記GPSから出力されるデータから検出される位置の中で、その経過時間に対応する位置が用いられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】飛行体の搭乗員に装着される頭部装着型表示装置と、その搭乗員により操作される入力装置と、救難目標の位置を演算するのに必要な変数の検出装置と、その頭部装着型表示装置、入力装置および検出装置に接続される情報処理装置とを備え、その頭部装着型表示装置は、画像表示光を出射する表示器と、その画像表示光の光路を変更すると共に前方からの光を透過するコンバイナとを有し、前記変数としてGPSから出力されるデータから前記飛行体の位置が検出されると共に、その飛行体の位置は一定の時間間隔をおいて更新され、そのコンバイナを介して視認される照準画像と救難目標とが対応した時、その入力装置を搭乗員が操作することで、その検出装置の検出結果に基づいて情報処理装置により救難目標の位置が演算され、その演算された救難目標位置を示す画像が前記頭部装着型表示装置により表示される救難目標位置指示装置において、過去に更新された飛行体の複数位置と、次の更新時における飛行体の予想更新位置との間の予め設定した第1の関係を記憶する手段と、現時点に最も近い過去に更新された飛行体の位置と、その予想更新位置と、現時点に最も近い過去に更新された飛行体の位置と予想更新位置との間の複数の補間位置と、現時点に最も近い過去における飛行体の位置の更新時点から現時点までの経過時間との間の予め設定した第2の関係を記憶する手段とが設けられ、その記憶した第1、第2の関係と、過去に更新された飛行体の複数位置とから、その経過時間に対応する補間位置が前記情報処理装置により演算され、その救難目標の位置の演算に際して用いられる飛行体の位置として、その補間位置と前記GPSから出力されるデータから検出される位置の中で、その経過時間に対応する位置が用いられることを特徴とする救難目標位置指示装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難破船や遭難者等の救難目標の位置を、航空機やヘリコプタ等の飛行体の搭乗員が装着する頭部装着型表示装置を利用して指示する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】飛行体による救難活動において、発見した救難目標を見失うことがないように用いられている救難目標位置指示装置は、飛行体の搭乗員に装着される頭部装着型表示装置と、その搭乗員により操作される入力装置と、救難目標の位置を演算するのに必要な変数の検出装置と、その頭部装着型表示装置、入力装置および検出装置に接続される情報処理装置とを備える。
【0003】その頭部装着型表示装置は、画像表示光を出射する表示器と、その画像表示光の光路を変更すると共に前方からの光を透過するコンバイナを有する。そのコンバイナを介して視認される照準画像と救難目標とが対応した時、その入力装置を搭乗員が操作することで、その情報処理装置により検出装置の検出結果に基づいて救難目標の位置が演算される。その情報処理装置から表示器に送られる画像信号により、その救難目標の位置を示す目標シンボル画像が頭部装着型表示装置により表示される。これにより、その飛行体および搭乗員の頭部が変位しても、救難目標の位置を目標シンボル画像により指示できる。
【0004】従来、その救難目標位置を演算する際に用いる変数として、飛行体の緯度、経度に対応する位置、飛行高度、飛行体の姿勢および飛行体に対する頭部装着型表示装置の姿勢が検出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】その飛行体の緯度、経度に対応する位置は、GPS(Global Positioning System)から出力されるデータから検出され、一定の時間間隔をおいて更新される。そうすると、その更新が行われる間においては飛行体が移動することにより、そのGPSから出力されるデータから検出される飛行体の位置に誤差を生じる。そのため、その検出された飛行体の位置に基づき演算される救難目標の位置を示す目標シンボル画像が実際の救難目標に対応しなくなり、救難目標を見失うという問題がある。
【0006】本発明は、上記問題を解決することのできる救難目標位置指示装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、飛行体の搭乗員に装着される頭部装着型表示装置と、その搭乗員により操作される入力装置と、救難目標の位置を演算するのに必要な変数の検出装置と、その頭部装着型表示装置、入力装置および検出装置に接続される情報処理装置とを備え、その頭部装着型表示装置は、画像表示光を出射する表示器と、その画像表示光の光路を変更すると共に前方からの光を透過するコンバイナとを有し、前記変数としてGPSから出力されるデータから前記飛行体の位置が検出されると共に、その飛行体の位置は一定の時間間隔をおいて更新され、そのコンバイナを介して視認される照準画像と救難目標とが対応した時、その入力装置を搭乗員が操作することで、その検出装置の検出結果に基づいて情報処理装置により救難目標の位置が演算され、その演算された救難目標位置を示す画像が前記頭部装着型表示装置により表示される救難目標位置指示装置に適用される。本発明は、過去に更新された飛行体の複数位置と、次の更新時における飛行体の予想更新位置との間の予め設定した第1の関係を記憶する手段と、現時点に最も近い過去に更新された飛行体の位置と、その予想更新位置と、現時点に最も近い過去に更新された飛行体の位置と予想更新位置との間の複数の補間位置と、現時点に最も近い過去における飛行体の位置の更新時点から現時点までの経過時間との間の予め設定した第2の関係を記憶する手段とが設けられ、その記憶した第1、第2の関係と、過去に更新された飛行体の複数位置とから、その経過時間に対応する補間位置が前記情報処理装置により演算され、その救難目標の位置の演算に際して用いられる飛行体の位置として、その補間位置と前記GPSから出力されるデータから検出される位置の中で、その経過時間に対応する位置が用いられることを特徴とする。
【0008】本発明の構成によれば、GPSから出力されるデータから飛行体の位置が検出され、その飛行体の位置は一定の時間間隔をおいて更新される。過去に更新された飛行体の複数位置から、次の更新時における飛行体の予想更新位置が記憶された第1の関係に基づき特定できる。その予想更新位置と、現時点に最も近い過去に更新された飛行体の位置と、現時点に最も近い過去における飛行体の位置の更新時点から現時点までの経過時間とから、その経過時点に対応する補間位置が第2の関係に基づき演算できる。その補間位置とGPSから出力されるデータから検出される飛行体の位置の中で、その経過時間に対応する位置を用いて、救難目標の位置が演算される。すなわち、GPSから出力されるデータから検出される飛行体の位置が更新される間を補間することで、その飛行体の位置に基づき演算される救難目標位置の特定精度を向上できる。また、その救難目標の位置に対応する画像を飛行体の位置変化に応じてスムースに移動させ、実際の救難目標位置に対応しなくなるのを防止できる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1に示す救難目標位置指示装置1は、航空機やヘリコプター等の飛行体2の搭乗員3に装着される頭部装着型表示装置4と、入力装置5と、検出装置6と、情報処理装置7とを備える。その搭乗員3は、飛行体2の側面の見張窓8から救難目標を探索する。
【0010】その頭部装着型表示装置4は、頭部への装着部を構成する例えばヘルメット11と、そのヘルメット11により保持される表示器12と、そのヘルメット11に搭乗員3の前方に位置するように保持されるバイザー兼用のコンバイナ13とを備える。なお、その頭部への装着部はヘルメットに限定されず、例えば頭部に嵌め合わされるバンド状のものでもよい。その表示器12は、例えばフラットパネルディスプレイやCRT等により構成され、情報処理装置7から送られる画像信号に対応する表示光を出射する。そのコンバイナ13は、その表示器12から出射される表示光を光路変更して搭乗員3の目に導く。これにより、搭乗員3の前方に画像が形成される。このコンバイナ13としては、例えば、ハーフミラーやホログラム素子を用いることができる。ハーフミラーを用いる場合は反射により表示光の光路を変更し、ホログラム素子を用いる場合は回折により表示光の光路を変更する。そのコンバイナ13は前方からの光を透過するので、その画像とコンバイナ13の前方に実際に存在するものの双方を搭乗員3は視認できる。
【0011】その入力装置5は、例えば押し釦スイッチにより構成され、その搭乗員3により操作されることで、情報処理装置7に入力信号を出力する。
【0012】その検出装置6は、救難目標位置を演算するのに必要な変数を検出するもので、その変数として、飛行体2の緯度と経度に対応する位置をGPSから出力されるデータから検出するGPS用受信機21、飛行体2の飛行高度を検出する高度計22、飛行体2の姿勢として機首の向きを検出する方向センサ23と左右の傾きであるバンク角を検出する角度センサ24、および飛行体2に対する頭部装着型表示装置4の姿勢として搭乗員3の視線の向きが飛行体2の左右方向を向いている状態からの頭部の傾き角を検出するヘッドモーショントラッカ25とから構成されている。
【0013】そのGPSから出力されるデータから検出される飛行体2の位置は、一定の時間間隔をおいて更新される。本実施形態では、その飛行体2の位置の更新時間間隔は1秒とされている。
【0014】そのヘッドモーショントラッカ25は、ヘルメット11に取り付けられるセンサ25aと、機体側に取り付けられるソース25bとを有し、そのセンサ25aでソース25bの信号を検知することで、飛行体2に対する搭乗員3の視線の向きに対応した信号を出力する。
【0015】その情報処理装置7はコンピュータにより構成され、その入力装置5、表示器12、GPS用受信機21、高度計22、方向センサ23、角度センサ24、ヘッドモーショントラッカ25に接続され、さらに、レーダースコープ31と航法表示装置32に接続されている。
【0016】その情報処理装置7は、過去に更新された飛行体2の複数位置と、次の更新時における飛行体2の予想更新位置との間の予め設定した第1の関係を記憶する。例えば、図2に示す水平面に沿うxy座標系において、過去に更新された飛行体2の5箇所の位置の中で、現時点に最も近い位置P1の座標を(x1、y1)、次いで近い位置P2の座標を(x2、y2)、次いで近い位置P3の座標を(x3、y3)、次いで近い位置P4の座標を(x4、y4)、次いで近い位置P5の座標を(x5、y5)、次の更新時における飛行体2の予想更新位置Paの座標を(xa、ya)とした場合、その第1の関係として次の(1)、(2)式が記憶される。
【0017】
xa−x1={(x1−x2)+(x1−x3)/2+(x1−x4)/3+(x1−x5)/4}/4…(1)
ya−y1={(y1−y2)+(y1−y3)/2+(y1−y4)/3+(y1−y5)/4}/4…(2)
【0018】すなわち第1の関係によれば、x方向とy方向それぞれにおいて、現時点に最も近い過去に更新された飛行体2の位置P1までの他の各位置P2、P3、P4、P5からの距離が求められ、求められた各距離の更新時間間隔に対応する値が求められ、求められた距離の更新時間間隔に対応する値の平均値が求められ、現時点に最も近い過去に更新された飛行体の位置P1から、その求めた平均値だけ離れた位置が予想更新位置Paとされる。
【0019】また、その情報処理装置7は、現時点に最も近い過去に更新された飛行体2の位置P1と、その予想更新位置Paと、現時点に最も近い過去に更新された飛行体2の位置P1と予想更新位置Paとの間の複数の補間位置と、現時点に最も近い過去における飛行体の位置P1の更新時点から現時点までの経過時間との間の予め設定した第2の関係を記憶する。例えば図3に示すように、現時点に最も近い過去に更新された飛行体2の位置P1と予想更新位置Paとの間を複数に等分割し、各等分割点を補間位置S1、S2、S3…S59とし、現時点に最も近い過去における飛行体2の位置P1の更新時点から現時点までの経過時間に対応する補間位置の数をnとし、現時点に最も近い過去に更新された飛行体2の位置P1からn番目の補間位置Snの上記xy座標系における座標を(xan、yan)とした場合、その第2の関係として次の(3)、(4)式が記憶される。本実施形態では、その現時点に最も近い過去に更新された飛行体2の位置P1と予想更新位置Paとの間の分割数は、その更新時間間隔(1秒)あたりの頭部装着型表示装置4の画像のフレーム数と等しく60とされている。
【0020】
xan−x1=(xa−x1)×n/60…(3)
yan−y1=(ya−y1)×n/60…(4)
【0021】すなわち第2の関係によれば、x方向とy方向それぞれにおいて、現時点に最も近い過去に更新された飛行体2の位置P1から次の更新時点での予想更新位置Paまでの距離が求められ、この求めた距離を補間位置数に1を加えた値で除することで補間位置間隔が求められ、その補間位置間隔に、現時点に最も近い過去における飛行体2の位置P1の更新時点から現時点までの経過時間に対応する補間位置の数nを乗じた値が求められ、この求めた値だけ現時点に最も近い過去に更新された飛行体の位置P1から離れた位置が、経過時間に対応する補間位置とされる。
【0022】その情報処理装置7は表示器12に、例えば図4の(1)に示すような照準画像41を表示するための画像信号を送る。搭乗員3は、頭部装着型表示装置4の表示視野42内においてコンバイナ13を介して視認される照準画像41と、そのコンバイナ13を介して視認される海上等の捜索範囲を視認する。
【0023】そのコンバイナ13を介して視認される照準画像41と救難目標とが対応した時、上記入力装置5を搭乗員3が操作することで、情報処理装置7により検出装置6の検出結果に基づいて救難目標の位置が演算される。その救難目標の位置の演算に際して用いられる飛行体2の位置として、上記補間位置とGPSから出力されるデータから検出される位置の中で、現時点に最も近い過去における飛行体2の位置P1の更新時点から現時点までの経過時間に対応する位置が用いられる。すなわち、その現時点に最も近い過去における飛行体の位置P1の更新時点からの経過時間が、飛行体2が最初の補間位置P1に到るのに要する時間よりも短い場合は、GPSから出力されるデータから検出される位置を用いて救難目標位置が演算され、飛行体2が最初の補間位置P1に到達するのに要する時間よりも長い場合は、飛行体2が最後に到達する補間位置を用いて救難目標位置が演算される。
【0024】その情報処理装置7は、演算された救難目標43の位置に基づき画像信号を表示器12に送る。その画像信号により表示器12が表示光を出射することで、図4の(2)において救難目標位置を示す目標シンボル画像51が円形画像として視認されるように形成される。
【0025】図5のフローチャートは、その目標シンボル画像51の形成手順を示す。まず、搭乗員3が救難目標43を発見して入力装置5が操作されると、GPSから出力されるデータから検出される飛行体2の位置が更新されてから、飛行体2が最初の補間位置P1に到達するのに要する時間が経過したか否かが判断される(ステップ1)。その時間が経過している場合、情報処理装置7は、記憶した第1、第2の関係に対応する式(1)〜(4)と、過去に更新された飛行体の複数位置P1〜P5とから、現時点に最も近い過去における飛行体の位置P1の更新時点から現時点までの経過時間に対応する補間位置Snを演算する(ステップ2)。その演算した補間位置SnとGPS用受信機21以外の検出装置22〜25の検出結果とを用いて、情報処理装置7は救難目標の位置を演算する(ステップ3)。ステップ1において飛行体2が最初の補間位置P1に到達するのに要する時間が経過していない場合、そのGPSから出力されるデータからGPS用受信機21により検出される飛行体2の位置とGPS用受信機21以外の検出装置22〜25の検出結果とを用いて、情報処理装置7は救難目標の位置を演算する(ステップ4)。しかる後に、その演算された救難目標43の位置に対応する目標シンボル画像51を形成するための画像信号を頭部装着型表示装置4に出力する(ステップ5)。
【0026】上記構成によれば、GPSから出力されるデータから検出される飛行体2の位置が更新される間を補間することで、その飛行体2の位置に基づき演算される救難目標43の位置の特定精度を向上できる。また、その救難目標43の位置に対応する目標シンボル画像51を飛行体2の位置変化に応じてスムースに移動させ、実際の救難目標位置43に対応しなくなるのを防止できる。例えば図6において、搭乗員3が救難目標43を発見して入力装置5を操作した時、GPSから出力されるデータから検出される飛行体2の位置が更新された後であって次の更新前に、飛行体2が約67m進行し、その飛行体2から救難目標43までの距離が約1853mであるとする。この場合において、その救難目標43の位置を従来のように現時点に最も近い過去に更新された飛行体2の位置P1を用いて演算すると、その演算位置は図中破線で示すように、実際の救難目標43の位置から、水平面内での搭乗員3からの視認方向角度で2°の誤差が生じる。また、目標シンボル画像51の位置は実際の救難目標43の位置に対応しない。さらに、その目標シンボル画像51の位置は飛行体2の位置が更新される毎にしか移動しないため、飛行体2の移動に対する追従性が悪い。これに対して上記実施形態によれば、飛行体2の演算位置の実際の救難目標43の位置からの誤差を低減し、また、目標シンボル画像51の位置は実際の救難目標43の位置に対応し、さらに、その目標シンボル画像51の位置は飛行体2の移動に円滑に追従して移動する。
【0027】本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、第1の関係における過去に更新された飛行体の位置の数や、第2の関係における補間位置の数は特に限定されない。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、救難目標をロストすることなく確実に指示できる救難目標位置指示装置を提供できる。
【出願人】 【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
【出願日】 平成11年6月24日(1999.6.24)
【代理人】 【識別番号】100095429
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 進
【公開番号】 特開2001−4397(P2001−4397A)
【公開日】 平成13年1月12日(2001.1.12)
【出願番号】 特願平11−178545