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【発明の名称】 角速度センサー
【発明者】 【氏名】高橋 敏則

【要約】 【課題】安定した特性でノイズや温度特性に優れ、特性を劣化させることなく振動子の研削による周波数調整ができ、且つ薄型化を可能とする角速度センサーを提供する。

【解決手段】上蓋3と底蓋4とを有する筐体5内に振動子8を収容し、該振動子は四角柱形状であって、その長手方向が筐体長手方向に沿って配設され、該振動子の1側面または対向する2側面に駆動/検知用の感知素子6,14が装着された角速度センサー16,17,18において、前記振動子8の感知素子6,14装着面が、前記筐体5の上面および底面に直交する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】上蓋と底蓋とを有する筐体内に振動子を収容し、該振動子は四角柱形状であって、その長手方向が筐体長手方向に沿って配設され、該振動子の1側面または対向する2側面に駆動/検知用の感知素子が装着された角速度センサーにおいて、前記振動子の感知素子装着面が、前記筐体の上面および底面に直交して配設されたことを特徴とする角速度センサー。
【請求項2】前記感知素子は、圧電素子、電歪素子または磁歪素子からなることを特徴とする請求項1に記載の角速度センサー。
【請求項3】前記振動子は、その長手方向に沿った2ヵ所の振動の節の位置で導電性を有する弾性材料により前記筐体側に支持されたことを特徴とする請求項1に記載の角速度センサー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は角速度センサーに関する。より詳しくは、四角柱形状の振動子を筐体に収容した角速度センサーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の角速度センサーは、棒状の振動子を所定の共振周波数で振動させ、振動子上に60度ないし90度の角度で配置した2つの圧電素子の信号を差動増幅することによって、角速度を検出していた。このような角速度センサーでは、多角柱振動子の対向しない2面(あるいは3面以上)に圧電素子を精度よく位置決めして貼り付けるか、多角柱振動子の対向しない2面(あるいは3面以上)または円筒面に電極を精度よく印刷する必要があった。このため、製造プロセスが面倒になり量産性の面で難があった。
【0003】このような欠点を改善するため、近年圧電セラミックを積層して形成した四角柱振動子の1面あるいは対向する2面に駆動/検出用素子を有する角速度センサーが開発された。
【0004】図5(A)(B)はそれぞれ、従来の角速度センサーの分解斜視図および縦断面図である。この角速度センサー1は、4側面を形成する矩形状の側枠2と上蓋3と底蓋4とにより筐体5を構成し、この筐体5内に振動子8を収容したものである。振動子8は、四角柱形状のベース7の上面に一対となる2つの圧電素子6を長手方向に沿って並列して装着し、全体として断面がほぼ正方形の四角柱形状としたものである。これらの圧電素子6が自励発振駆動用および角速度検出用の感知素子を構成する。振動子8の下側には回路基板9が設けられる。この回路基板9には、圧電素子6を駆動して振動させたり両電極(圧電素子6)間の差動信号に基づいてコリオリ力を検出するための駆動検出回路が形成されている。
【0005】振動子8は、その基本振動の節の位置で、金属材料等からなる導電性および弾性を有する支持棒11により筐体5の側枠2に固定保持される。この支持棒11は、振動子8の上面の各圧電素子6に対しそれぞれ2ヵ所で接合され、圧電素子6に駆動電圧を供給したり、出力信号を取り出すためのリード線の役割を兼ねている。
【0006】振動子8のベース7は、エリンバーなどの恒弾性金属やセラミックまたはガラスなどで形成される。このベース7の材質が絶縁材の場合には、少なくとも圧電素子6が形成される面とその反対側の面の2面がメッキなどによって電極が形成され電気的に接続される。振動子8は回路基板9と電気的に接続され、この回路基板9は筐体側面に設けた電極端子10を介して外部に接続される。
【0007】筐体5の上蓋3および底蓋4は側枠2とともに、電磁気からのシールドのために金属材料で構成され、必要に応じて回路基板9のグラウンドを介して接地される。なお、これらの材質は金属材料に限らず加工性等を考慮して樹脂で形成してもよい。
【0008】図6(A)(B)はそれぞれ、従来の角速度センサーの別の構造を示す分解斜視図および縦断面図である。
【0009】この角速度センサーは、振動子のベース7の上面の圧電素子6を角速度検出用として専用に用い、下面側に駆動専用の圧電素子14を装着して振動子13を構成したものである。その他の構成は図5の従来構成と同様である。
【0010】上記構成の図5および図6の従来の角速度センサーは、四角柱振動子の上面(図5)あるいは対向する上下面(図6)のみに電極を設けた非常にシンプルな構造であるため、曲面に電極を印刷するといった難しい工程は必要としない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の角速度センサーにおいては、振動子の圧電素子は、前述の構成で示したように筐体の上面および底面に対し平行に配置されていたため、ノイズや温度特性の点で問題があった。これは、特に角速度センサーの小型化を図るために筐体の高さ寸法を小さくした場合、振動子上面の圧電素子が上蓋に近接して電磁的な影響や浮遊容量の影響が大きくなるためである。また、振動子下面側にも圧電素子を設けた場合には、この圧電素子と回路基板との間の距離が近接し、この場合にも電磁的な影響や浮遊容量の影響が大きくなる。
【0012】すなわち、角速度センサーの部品厚さをできる限り薄くしようとすると、圧電素子が筐体の上蓋や底蓋にぎりぎりまで近接することになる。筐体上蓋は電磁シールドのため金属製である場合が多いが、その場合、圧電素子と蓋との間に無視できない程度の浮遊容量が発生してこれがノイズの原因となったり、またドリフトの原因となる。さらにこの浮遊容量は温度とともに変化するので温度特性を悪化させる原因にもなる。また、振動子は数kHz〜数十kHzの周波数で振動しているので、すぐ近傍に蓋があると反響してノイズの原因となる。
【0013】また、振動子は、筐体内に組込まれた状態で、駆動方向の共振周波数と検出方向の共振周波数が所定の周波数差になるように周波数調整される。この調整は、振動子を切削工具やレーザートリミング装置などを用いて切削して行われる。この切削を行うには十分な開口部が必要なため、筐体の上蓋および底蓋を外した状態で、通常は上蓋や底蓋および回路基板等を筐体に組み付ける前に、筐体の上面および底面が開放された状態でこの開口部を通して周波数調整のための切削が行われる。
【0014】この場合、従来の振動子では開口面側に圧電素子が設けられているため、この開口面側に配置された圧電素子を研削して周波数調整が行われていた。このような調整方法においては、圧電素子の研削調整により圧電素子を薄くすると、圧電素子の有効面積が減少することになり、蓋側からの影響が大きくなって安定した特性が得られず、振動子のQ(機械的品質係数)や駆動効率を劣化させ圧電振動ジャイロの効率を低下させていた。
【0015】本発明は上記従来技術を考慮したものであって、安定した特性でノイズや温度特性に優れ、特性を劣化させることなく振動子の研削による周波数調整ができ、且つ薄型化を可能とする角速度センサーの提供を目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明では、上蓋と底蓋とを有する筐体内に振動子を収容し、該振動子は四角柱形状であって、その長手方向が筐体長手方向に沿って配設され、該振動子の1側面または対向する2側面に駆動/検知用の感知素子が装着された角速度センサーにおいて、前記振動子の感知素子装着面が、前記筐体の上面および底面に直交して配設されたことを特徴とする角速度センサーを提供する。
【0017】この構成によれば、振動子の感知素子装着面が筐体の上面と直交方向に向くため、筐体側枠内面との間の距離が十分に広がり、感知素子の上表面側に十分な空間が確保される。このため、不必要な浮遊容量は発生せず、感知素子に対する筐体側からの影響が小さくなってノイズや温度特性が向上する。これにより、特性や品質を劣化させることなく筐体の上蓋および底蓋を振動子に可能な限り近づけて角速度センサーの薄型化を図ることができる。
【0018】また、感知素子が装着されていない面が筐体の上面側に配置されるため、筐体開口面からの周波数調整は、四角柱形状の感知素子のない面を研削して行われることになり、振動子の特性劣化は生じない。
【0019】本発明では、前記感知素子として、圧電素子、電歪素子または磁歪素子を用いることができる。
【0020】好ましい構成例では、前記振動子は、その長手方向に沿った2ヵ所の振動の節の位置で導電性を有する弾性材料により前記筐体側に支持されたことを特徴としている。
【0021】この構成によれば、金属等の導電性および弾性を有する支持部材で、振動子の節を支持するため、基本振動に影響することなく、効率よく振動子を駆動し且つ検知信号を得ることができるとともに、支持部材を電極リード線として用いることができるため構造を簡素化することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1(A)(B)はそれぞれ、本発明に係る角速度センサーの分解斜視図および縦断面図である。この角速度センサー16は、前述の図5の角速度センサーの振動子の圧電素子の装着面を変えたものであり、振動子8の側面(筐体上下面と直交する面)に圧電素子6を設けたものである。
【0023】この振動子8の配置以外の構成については基本的に図5の例と同様である。すなわち、この角速度センサー16は、4側面を形成する矩形状の側枠2と上蓋3と底蓋4とにより筐体5を構成し、この筐体5内に振動子8を収容したものである。振動子8は、四角柱形状のベース7の一方の側面(筐体5の上面および底面に直交する面)に一対となる2つの圧電素子6を長手方向に沿って並列して装着し、全体として断面がほぼ正方形の四角柱形状としたものである。これらの圧電素子6が自励発振駆動用および角速度検出用の感知素子を構成する。振動子8の下側には回路基板9が設けられる。この回路基板9には、圧電素子6を駆動して振動させたり両電極(圧電素子6)間の差動信号に基づいてコリオリ力を検出するための駆動検出回路が形成されている。
【0024】本実施形態では、振動子8の圧電素子装着面およびその反対側の面と筐体内壁面との間に十分な空間15が形成される。また、筐体5の上面および底面には振動子8の圧電素子が装着されていない面が向けられて配設される。このような構成とすることにより、部品(角速度センサー)の小型化(実装面積と部品高さを最小にする構成)を図るために、振動子を回路基板と筐体の蓋に接触しない程度に近接して挟んで配置した場合に、圧電素子の電極近傍には十分な空間15が確保されているため不必要な浮遊容量は発生せず、ノイズの影響が抑制され安定した温度特性が維持される。また、後述のように周波数調整のための切削による特性劣化が防止される。
【0025】振動子8は、その基本振動の節の位置となる長手方向の2ヵ所で、各位置で上下左右の合計4本の金属材料等からなる導電性および弾性を有する支持棒11により筐体5の側枠2に固定保持される。この支持棒11は、図1(B)に示すように、先端が屈曲して振動子8の両側面の上下に接合される。図の振動子の右側面では、支持棒11は、各圧電素子6に対し接合され、この圧電素子6に駆動電圧を供給したり、出力信号を取り出す。このように支持棒11は振動子に対する信号受け渡しのためのリード線の役割を兼ねている。
【0026】振動子8のベース7は、エリンバーなどの恒弾性金属やセラミックまたはガラスなどで形成される。このベース7の材質が絶縁材の場合には、少なくとも圧電素子6が接着される面とその反対側の面の2面がメッキなどによって電極が形成され電気的に接続される。振動子8は回路基板9と電気的に接続され、この回路基板9は筐体側面に設けた電極端子10を介して外部に接続される。
【0027】筐体5の上蓋3および底蓋4は側枠2とともに、電磁気からのシールドのために金属材料で構成され、必要に応じて回路基板9のグラウンドを介して接地される。なお、これらの材質は金属材料に限らず加工性等を考慮して樹脂で形成してもよい。
【0028】図2は、本発明に係る角速度センサーの周波数調整の説明図である。図示したように、筐体の側枠3に振動子8を取付けた後、回路基板や上蓋および底蓋を取付ける前に、筐体上下の開口面から図示しない切削工具(砥石やサンドブラスト等)あるいはレーザートリミング装置等を用いて振動子8の上向きの側面を切削してモニタリングしながら周波数調整を行う。この場合、振動子8の切削面となる図の上下の面は前述のように圧電素子が装着されていない面である。したがって、振動子8のQや駆動効率が劣化するおそれがなくなる。
【0029】図3は、本発明の別の実施の形態の縦断面図である。この実施形態は、特に部品の薄型化を図ったものである。この実施形態に係る角速度センサー17は、回路基板9を前述の振動子8の下側に設ける構成に代えて、振動子8の側方に配設したものである。これにより筐体5の高さを低くすることができる。この場合、筐体5の形状は回路基板9を振動子8に並列させるため平面的に大きな形状となるが、本実施形態では、高さ方向のスペース削減を優先させたものである。
【0030】図4(A)(B)はそれぞれ、本発明の角速度センサーの別の構造を示す分解斜視図および縦断面図である。この実施形態に係る角速度センサー18は、前述の図6の角速度センサー12に対し本発明を適用したものであり、振動子13のベース7の一方の側面の圧電素子6を角速度検出用として専用に用い、その反対側の側面に駆動専用の圧電素子14を装着して振動子13を構成したものである。その他の構成は図6の従来構成と同様であり、その作用効果は前述の図1の実施形態と同様である。
【0031】なお、上記各実施形態においては、振動子を構成する自励発振駆動用および角速度検出用の素子として圧電素子を用いたが、これに代えて、電歪素子あるいは磁歪素子を用いることもできる。
【0032】本発明に係る角速度センサーは、ビデオカメラ等の撮像装置に組込んで手ぶれを検出してその補正機構を構成したり、カーナビゲーションシステムに組込んでカーブ等の走行を検出してGPS電波が届かない場所での位置を演算したり、あるいはバーチャルリアリティ装置に組込んでロボット等の動きを制御するために用いることができる。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、振動子の感知素子(圧電素子等)の装着面が筐体の上面と直交方向に向くため、筐体側枠の内面との間の距離が十分に広がり、感知素子の上表面側に十分な空間が確保される。このため、不必要な浮遊容量は発生せず、感知素子に対する筐体側からの影響が小さくなってノイズや温度特性が向上する。これにより、特性や品質を劣化させることなく筐体の上蓋および底蓋を振動子に可能な限り近づけて角速度センサーの薄型化を図ることができる。
【0034】また、感知素子が装着されていない面が筐体の上面側に配置されるため、筐体開口面からの周波数調整は、四角柱形状の感知素子のない面を研削して行われることになり、感知素子を研削することによる振動子の特性劣化は生じない。
【出願人】 【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
【出願日】 平成11年6月22日(1999.6.22)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−4380(P2001−4380A)
【公開日】 平成13年1月12日(2001.1.12)
【出願番号】 特願平11−174860