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【発明の名称】 掘削断面の内空変位の計測方法
【発明者】 【氏名】畑 浩二

【要約】 【課題】安全性の確保と、掘削直後の初期計測とを可能にする。

【解決手段】制御部14は、センサヘッド10a,10b,10cと電気的に接続されていて、各センサヘッド10a,10b,10cから対応する反射シート12a,12b,12cにそれぞれレーザ光線Lを発射して、個別に反射レーザ光線を受光させることにより、発射および受光レーザ光線間の位相差などに基づいて、センサヘッド10a,10b,10cから対応する反射シート12a,12b,12cまでの距離をそれぞれ演算する。距離の計測は、サンプリングタイムの間は、常時継続して自動的に行われる。掘削断面22の異なる3点間の距離を経時的に継続して求めると、3角測量の原理から掘削断面22の内空変位を求めることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 計測対象となる掘削断面の一端側に設置され、前記掘削端面の他端側に向けてレーザ光線を発射するとともに、発射されたレーザ光線の反射光を受光するセンサヘッドと、前記掘削断面の他端側または天井部に設けられ、前記センサヘッドから発射されたレーザ光線を反射する反射シートと、前記センサヘッドから対応する前記反射シートにそれぞれレーザ光線を発射して、反射レーザ光線を受光させることにより、前記センサヘッドから対応する前記反射シートまでの距離を演算する制御部とを備え、前記センサヘッドから前記反射シートまでの間の距離を常時計測することにより、前記掘削断面の内空変位を求めることを特徴とする掘削断面の内空変位の計測方法。
【請求項2】 前記センサヘッドを3台設置すると共に、前記反射シートを、前記3台のセンサヘッドから発射されるレーザ光線が個別に照射されるように、前記掘削断面の他端側および天井部に設置することを特徴とする請求項1記載の掘削断面の内空変位の計測方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、トンネルや地下空洞などの地盤掘削断面の内空変位の計測方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】トンネルや地下発電所などの地下掘削工事では、建設予定地の地質は、土砂地山,強度の小さい軟岩,膨張性地山など、各種各様の種類があり、地山を掘削した断面は、掘削側に緩み出して、内空が経時的に変位する。
【0003】内空変位が大きい場合には、そのまま放置しておくと、掘削断面の崩壊などに繋がる恐れがあるので、支保工の変更などの対策を施す必要がある。このため、従来は、このような内空変位を、図4,5に示す方法により計測していた。
【0004】図4に示した計測方法は、スチールテープ1を用いる方法であって、スチールテープ1の両端を、治具2により保持させ、スチールテープ1が計測対象となる掘削断面を横切るようにさせて、治具2を地山にモルタルなどで固定する。
【0005】そして、スチールテープ1の中間に変位計3を設け、スチールテープ1の長さ変位を変位計3で計測することにより、内空の変位を計測する。
【0006】この計測方法では、スチールテープ1をそのまま設置しておくと、他の作業の障害になるので、スチールテープ1と変位計3は、着脱可能な構造になっていて、所定時間が経過する毎に、これらを治具2に取付けて計測を行う。
【0007】図5に示した計測方法は、光波測距儀4を用いる方法であって、計測対象となる掘削断面に沿って設置される複数のターゲット5を、光波測距儀4で視準して、両者間の距離を計測することにより、内空の変位を計測する。
【0008】この計測方法では、ターゲット5は、計測が終了するまではその位置に設置しておき、光波測距儀4を所定時間が経過する毎に、同じ計測点に設置して、距離の計測を行う。
【0009】しかしながら、このような従来の内空変位の計測方法には、以下に説明する技術的な課題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、前者の計測方法では、スチールテープ1の両端に設けられた治具2をモルタルなどにより地山に固定するので、モルタルなどが硬化するまでに1ないしは2日かかるので、掘削直後の初期計測ができないという問題があった。
【0011】また、後者の計測方法では、光波測距儀4の設置位置を、測量により内空変位を計測する度毎に算出しなければならず、この作業が非常に煩雑になるという問題があった。
【0012】さらに、これらの計測方法は、何れの方法も機器の設置から計測終了までに、早くても30〜60分程度かかり、大型重機が絶えず通行する掘削現場では、安全を確保することも難しいという問題もあった。
【0013】本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、煩雑な作業を回避しつつ、安全性の確保と、掘削直後の初期計測とが可能になる掘削断面の内空変位の計測方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、計測対象となる掘削断面の一端側に設置され、前記掘削端面の他端側に向けてレーザ光線を発射するとともに、発射されたレーザ光線の反射光を受光するセンサヘッドと、前記掘削断面の他端側または天井部に設けられ、前記センサヘッドから発射されたレーザ光線を反射する反射シートと、前記センサヘッドから対応する前記反射シートにそれぞれレーザ光線を発射して、反射レーザ光線を受光させることにより、前記センサヘッドから対応する前記反射シートまでの距離を演算する制御部とを備え、前記センサヘッドから前記反射シートまでの間の距離を常時計測することにより、前記掘削断面の内空変位を求めるようにした。このように構成した内空変位の計測方法によれば、掘削断面の一端側に、他端側に向けてレーザ光線を発射するとともに、発射されたレーザ光線の反射光を受光するセンサヘッドを設置し、掘削断面の他端側または天井部に設けられ、センサヘッドから発射されたレーザ光線を反射する反射シートを設置し、制御部で、センサヘッドから対応する反射シートにレーザ光線を発射して、反射レーザ光線を受光させることにより、センサヘッドから対応する反射シートまでの距離を演算することにより、掘削断面の空変位を求めるので、掘削直後の断面変位の計測が可能になる。また、このような距離の計測は、センサヘッドから常時レーザ光線を発射させて、継続して行うので、仮に、重機の移動により、レーザ光線が遮断されたとしても、この遮断状態が解除されると、直ちに計測が可能になり、このような計測の回復に際して、人の作業を伴わないので、安全性にも問題がない。本発明の内空変位の計測方法では、前記センサヘッドを3台設置すると共に、前記反射シートを、前記3台のセンサヘッドから発射されるレーザ光線が個別に照射されるように、前記掘削断面の他端側および天井部に設置することができる。この構成を採用すると、複数点でのトラバース計測が可能ななり、より高精度に内空変位を計測することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1から図3は、本発明にかかる掘削断面の内空変位の計測方法の一実施例を示している。
【0016】同図に示した内空変位の計測方法では、3台の第1〜第3センサヘッド10a,10b,10cと、3枚の第1〜第3反射シート12a,12b,12cと、制御部14と、データの収集記憶用のパソコン16とが用いられる。
【0017】3台の第1〜第3センサヘッド10a,10b,10cは、所定波長のレーザ光線Lを発射し、発射されたレーザ光線Lの反射光を受光するものであって、角形に形成されたケーシング100と、このケーシング100の一端に設けられ、レーザ光線Lを発射し、発射されたレーザ光線Lの反射光を受光する窓部101とを備えている。
【0018】第1〜第3センサヘッド10a,10b,10cから発射されるレーザ光線Lは、計測距離に対応して、その波長を選択することが望ましく、例えば、距離が5〜10mの範囲内では、緑色、距離が10〜15mの範囲内では、青色、距離が15〜20mの範囲内では、金色、距離が20〜25mの範囲内では、白色を用いるようにする。
【0019】なお、この場合、第1〜第3反射シート12a,12b,12cは、波長によって反射率が異なる場合もあるので、使用するレーザ光線Lに対応して、もっと反射率の良好なものを選択する。
【0020】また、3台の第1〜第3センサヘッド10a,10b,10cは、本実施例の場合には、発破工法を作用している現場において使用した際に、発破による飛石から防御できるように、図2,3にその詳細を示すように、鋼製のボックス18内に収納されている。
【0021】鋼製ボックス18の前面には、レーザ光線Lの透過が可能な透明なガラス板20が設けられており、3台の第1〜第3センサヘッド10a,10b,10cは、各窓部101が、ガラス板20側を向くように配置されていて、第1〜第3センサヘッド10a,10b,10cから発射されるレーザ光線Lの発射方向の微調整ができるように、図示省略の微調整治具を介して、ボックス18に支持されている。
【0022】本実施例の場合には、第1センサヘッド10aが中央に配置され、この第1センサセッド10aの両側に第2および第3センサヘッド10b,10cが配置されている。
【0023】このようなセンサヘッド10a,10b,10cの配置状態においては、各センサヘッド10a,10b,10cから発射されるレーザ光線Lが、トンネル軸方向において、ケーシング100の厚みに相当する距離だけ離れた面に発射されるが、ケーシング100の厚みは、数cm程度なので、実質的に同一平面として扱うことができる。
【0024】第1センサヘッド10aは、レーザ光線Lが斜め上方に向けて発射されるように窓部101が設置され、第2および第3センサヘッド10b,10cは、レーザ光線Lがほぼ水平方向に向けて発射されるように窓部101が設置されている。
【0025】3台の第1〜第3センサヘッド10a,10b,10cを収納したボックス18は、図1に示すように、内空変位を計測しようとするトンネルなどの掘削断面22の一端側において、レーザ光線Lが掘削断面22の他方側に向けて発射されるように、掘削直後などに固定設置される。
【0026】3枚の第1〜第3反射シート12a,12b,12cは、高効率反射板120に貼付されていて、掘削断面22の天井部に第1および第2反射シート12a,12bが背面側を向き合うようにして、所定の傾斜角度で傾斜設置されている。
【0027】また、第3反射シート12cは、ボックス18が設置された掘削断面22の反対側にあって、ボクッス18と向かい合うように設置されている。また、この第3反射シート12cの近傍には、受光したレーザ光線Lを第2反射シート12b側に向けて反射し、第2反射シート12bで反射したレーザ光線Lをボックス18側に向けて反射させるプリズム24が設置されている。
【0028】なお、このプリズム24は、反射鏡であってもよい。ボックス18内に収納されている第1センサヘッド10aは、その窓部101から発射されるレーザ光線Lが第1反射シート12aを照射し、かつ、第1反射シート12aで反射した後に、窓部101に戻るように、レーザ光線Lの出射方向と第1反射シート12aの反射面の傾斜角度とが調整されている。
【0029】また、第2センサヘッド10bにおいても、その窓部101から発射されるレーザ光線Lがプリズム24に受光され、プリズム24から出射したレーザ光線Lが第2反射シート12bを照射し、かつ、第2反射シート12bで反射した後に、プリズム24を介して、窓部101に戻るように、レーザ光線Lの出射方向とプリズム24および第2反射シート12bの反射面の傾斜角度とが調整されている。
【0030】さらに、第3センサヘッド10cにおいても、同様に、その窓部101から発射されるレーザ光線Lが第3反射シート12cを照射し、かつ、第3反射シート12cで反射した後に、窓部101に戻るように、レーザ光線Lの出射方向と第3反射シート12cの反射面の傾斜角度とが調整されている。
【0031】制御部14は、各センサヘッド10a,10b,10cと電気的に接続されていて、各センサヘッド10a,10b,10cの作動を制御して、各センサヘッド10a,10b,10cから対応する反射シート12a,12b,12cにそれぞれレーザ光線LL発射して、個別に反射レーザ光線を受光させることにより、発射および受光レーザ光線間の位相差などに基づいて、センサヘッド10a,10b,10cから対応する反射シート12a,12b,12cまでの距離、すなわち、第1センサヘッド10aと第1反射シート12aまでの距離aと、第2センサヘッド10bと第2反射シート12bまでの距離b、および、第3センサヘッド10cと第3反射シート12cまでの距離cをそれぞれ演算する。
【0032】制御部14に電気的に接続されたパソコン16は、制御部14で求めた各距離a,b,cを所定時間間隔毎に記憶し、モニタにその結果を表示する。
【0033】以上のような距離a,b,cの計測は、センサヘッド10a,10b,10cと反射シート12a,12b,12cとを設置すると、例えば、10分〜60分程度ののサンプリングタイムを設定して、このサンプリングタイムの間は、常時継続して自動的に行われる。
【0034】そして、掘削断面22の異なる3点間の距離a,b,cを経時的に継続して求めると、3角測量の原理から掘削断面22の内空変位を求めることができる。
【0035】さて、以上のように構成された掘削断面の内空変位の計測方法によれば、掘削断面22の一端側に、3台のセンサヘッド10a,10b,10cを設置し、掘削断面22の他端側および天井部に設けられ、センサヘッド10a,10b,10cから発射されたレーザ光線Lを個別に反射する3つの反射シート12a,12b,12cを設置し、制御部14で、センサヘッド10a,10b,10cから対応する反射シート12a,12b,12cにそれぞれレーザ光線Lを発射して、個別に反射レーザ光線を受光させることにより、センサヘッド10a,10b,10cから対応する反射シート12a,12b,12cまでの距離a,b,cを演算することにより、掘削断面22の空変位を求めるので、掘削直後の断面変位の計測が可能になる。
【0036】また、このような距離a,b,cの計測は、センサヘッド10a,10b,10cから常時レーザ光線Lを発射させて、継続して行うので、仮に、重機の移動により、レーザ光線Lが遮断されたとしても、この遮断状態が解除されると、直ちに計測が可能になり、このような計測の回復に際して、人の作業を伴わないので、安全性にも問題がない。
【0037】なお、本実施例の場合には、計測している掘削断面22の内空に、大きな変位が発生すると、反射シート12a,12b,12cの傾斜状態が大きく変位して、センサヘッド10a,10b,10cから発射しているレーザ光線Lが、反射シート12a,12b,12cを正確に照射しなくなり、その結果、距離a,b,cの計測が不能に陥る場合が予測されるが、このことは逆に、本実施例での距離a,b,cの計測が不能になった場合には、非常に大きな内空変位が発生していることが検知されることにもなる。
【0038】また、上記実施例では、センサヘッド10a,10b,10cを3台設置すると共に、反射シート12a,12b,12cを、3台のセンサヘッド10a,10b,10cから発射されるレーザ光線が個別に照射されるように、掘削断面の他端側および天井部に設置し、複数点でのトラバース計測を可能にして、より高精度に内空変位を計測する場合を例示したが、本発明の実施は、これに限定されることはなく、たとえば、距離a,b,cの1つだけを計測する方法、または、距離a,b,cのいずれか2箇所を計測する方法であってもよい。
【0039】
【発明の効果】以上、実施例で詳細に説明したように、本発明にかかる掘削断面の内空変位の計測方法によれば、煩雑な作業を回避しつつ、安全性の確保と、掘削直後の初期計測とが可能になる。
【出願人】 【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
【出願日】 平成11年6月24日(1999.6.24)
【代理人】 【識別番号】100087686
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 雅利
【公開番号】 特開2001−4369(P2001−4369A)
【公開日】 平成13年1月12日(2001.1.12)
【出願番号】 特願平11−178163