| 【発明の名称】 |
物体認識装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】西垣 守道
【氏名】坂 雅和
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| 【要約】 |
【課題】ウィンドウのクラスタリングを高速に行う。
【解決手段】所定の間隔をおいて配置された少なくとも2つの撮像手段、および該少なくとも2つの撮像手段で得られ、複数のウィンドウに分割された画像に基づいてウィンドウごとに対象物までの距離を計測する計測手段を有し、該計測手段により計測された距離に基づいて物体を認識する物体認識装置において、前記計測手段により計測することのできる領域が複数の距離範囲に区分けされており、それぞれの距離範囲に異なるラベルを付与して格納する距離範囲記憶手段と、前記計測手段により計測された距離の値を、該距離値が属する距離範囲に対応する前記ラベルに変換する距離変換手段と、該距離値が変換されたラベルに基づいて、画像上のウィンドウをクラスタリングしてクラスタを定めるクラスタリング手段とを備え、ラベルに基づいてクラスタリングを高速に行う。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】所定の間隔をおいて配置された少なくとも2つの撮像手段、および該少なくとも2つの撮像手段で得られ、複数のウィンドウに分割された画像に基づいてウィンドウごとに対象物までの距離を計測する計測手段を有し、該計測手段により計測された距離に基づいて物体を認識する物体認識装置において、前記計測手段により計測することのできる領域が複数の距離範囲に区分けされており、それぞれの距離範囲に異なるラベルを付与して格納する距離範囲記憶手段と、前記計測手段により計測された距離の値を、該距離値が属する距離範囲に対応する前記ラベルに変換する距離変換手段と、該距離値が変換されたラベルに基づいて、画像上のウィンドウをクラスタリングしてクラスタを定めるクラスタリング手段と、を備える物体認識装置。 【請求項2】前記距離範囲記憶手段において、前記計測手段が計測することのできる領域が、前記計測手段により計測される距離の誤差に応じて複数の距離範囲に区分けされている請求項1に記載の物体認識装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、自動車などの車両に搭載されたカメラによる撮像手段を用いて、前方の物体を検出する光学式の物体認識装置に関し、より具体的には、撮像された画像における複数のウィンドウを用いて、物体の特徴を認識する物体認識装置に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、車両走行の安全性を向上させるため、自車両の前方にある物体の距離や大きさを判断し、これに応じて車両を適切に制御する装置が提案されている。 【0003】2つの受光素子からなる光学式距離計測装置を使用し、距離検出された被写体が物体か道路領域(路面上の文字/白線を含む)かを判断する手法に関連するものとして、特開平9−79821号公報には、計算エリアごとに距離を算出し、、距離が相互に一定範囲内であり、水平方向に一定値以内に近接する計算エリアをクラスタリングして、障害物が存在する領域を認識する装置が提案されている。このクラスタリングでは、距離が未測定の計算エリアも含めてクラスタリングされる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ウィンドウ(上記の計算エリアに該当する)数を多くして、より緻密に計測距離値を得てクラスタリング(上記のブロック化に対応する)を行う場合には、特開平9−79821号公報のもののように、算出された距離値に基づいて距離が相互に一定範囲内にあるかどうかを判断すると、処理に非常に時間がかかる。 【0005】また、従来、予め距離範囲を定めて、その距離範囲内にあるウィンドウをクラスタリングする場合には、最初に距離の度数分布等を求めてクラスタリングを行う距離範囲を決定する処理が必要であった。さらに、クラスタリングを行う際に、ウィンドウについて算出された距離値がどの距離範囲に属するかを判断し、その距離範囲が互いに等しいかどうかを判断することが必要であった。これらの処理は、いずれも非常に時間がかかる。 【0006】さらに、特開平9−79821号公報のもののようにクラスタリングを行う距離範囲を一定とすると、距離が遠くなるほど距離値の精度が低下する。一般に、距離dの算出は、視差をsとすると「d=C/s(Cは定数)」の式で表され、視差の分解能が一定であるのに対し距離の分解能は遠距離にいくほど低下する。そのため、同一の物体が複数のウィンドウにわたって撮像されているとき、ウィンドウごとの距離値の誤差が、遠距離にいくほど大きくなる。 【0007】たとえば、図14の(a)に示すように、クラスタリングを行う距離範囲を一定にし、同一の物体を撮像した2つのウィンドウの距離値を算出すると、近距離では距離値101のウィンドウおよび距離値102のウィンドウが一緒にクラスタリングされるのに対し、遠距離では距離値103をもつウィンドウと距離値104をもつウィンドウが異なるクラスタにクラスタリングされることになる。 【0008】反対に、図14の(b)に示すように、同一の物体を撮像した2つのウィンドウを、遠距離で同じクラスタにクラスタリングさせるよう距離範囲を設定すると、距離値103をもつウィンドウと距離値104をもつウィンドウは同じクラスタにクラスタリングされるが、近距離では、距離値101および102をもつウィンドウだけでなく、異なる物体を撮像した距離値105をもつ他のウィンドウも同じクラスタにクラスタリングされてしまう。このように、距離範囲を一定にしてクラスタリングを行うと、同一物体を同一のクラスタに含めることができなかったり、同一ではない物体が同一のクラスタに含まれてしまうということが生じる。 【0009】したがって、この発明は、ウィンドウについて算出された距離値に対応するラベルに基づいてクラスタリングすることにより、高速にウィンドウをクラスタリングして物体を認識することのできる装置を提供することを目的とする。さらに、計測される距離の誤差に応じて距離範囲を設定することにより、正確にウィンドウをクラスタリングして物体を認識することのできる物体認識装置を提供することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため、請求項1の発明の物体認識装置は、所定の間隔をおいて配置された少なくとも2つの撮像手段、および該少なくとも2つの撮像手段で得られ、複数のウィンドウに分割された画像に基づいてウィンドウごとに対象物までの距離を計測する計測手段を有し、該計測手段により計測された距離に基づいて物体を認識する物体認識装置において、前記計測手段により計測することのできる領域が複数の距離範囲に区分けされており、それぞれの距離範囲に異なるラベルを付与して格納する距離範囲記憶手段と、前記計測手段により計測された距離の値を、該距離値が属する距離範囲に対応する前記ラベルに変換する距離変換手段と、該距離値が変換されたラベルに基づいて、画像上のウィンドウをクラスタリングしてクラスタを定めるクラスタリング手段とを備える。 【0011】この発明によると、ウィンドウの計測距離ではなく、計測距離が属する距離範囲に対応するラベルに基づいてクラスタリングするので、高速にクラスタリングすることができる。 【0012】また、請求項2の発明は、請求項1の物体認識装置の前記距離範囲記憶手段において、前記計測手段が計測することのできる領域が、前記計測手段により計測される距離の誤差に応じて複数の距離範囲に区分けされている構成をとる。 【0013】請求項2の発明によると、計測される距離の誤差に応じて距離範囲を設定するので、正確にクラスタリングすることができる。 【0014】 【発明の実施の形態】次に図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明の一実施例の物体認識装置の全体的なブロック図である。図2は、この実施例で用いる三角計測法による距離の計測原理を説明する図である。まず図2を参照して1対の撮像装置を用いた距離の測定方法を説明する。 【0015】一対の撮像装置の一方を構成するラインセンサ21およびレンズ23は、他方の撮像装置を構成するラインセンサ22およびレンズ24と所定の間隔すなわち基線長Bだけ左右方向または上下方向に間隔をおいて配置されている。ラインセンサ21および22は、典型的には1次元のCCDであり、直線的に配列されたフォトセンサのアレイであってもよい。夜間の使用を考慮すると赤外線を用いた撮像装置にするのがよい。この場合、レンズ23、24の前に赤外線透過性のフィルタを置き、赤外線の光源を用いて一定の周期で対象物20を照射し、対象物20から反射する赤外線をラインセンサ21、22が感知するようにするのがよい。 【0016】ラインセンサ21、22は、それぞれレンズ23、24の焦点距離fに配置されている。レンズ23、24のある平面から距離aにある対象物の像が、ラインセンサ21ではレンズ23の光軸からX1ずれた位置に形成され、ラインセンサ22ではレンズ24の光軸からX2だけずれた位置に形成されるとすると、レンズ23、24の面から対象物20までの距離aは、三角計測法の原理により、a=B・f/(X1+X2)で求められる。 【0017】この実施例では画像はデジタル化されるので、距離(X1+X2)は、ディジタル的に算出される。ラインセンサ21および22で得られる画像の片方または両方をシフトさせながら両画像のそれぞれ対応する画素の輝度を示すディジタル値の差の絶対値の総和を求め、これを相関値とする。相関値が最小値になるときの画像のシフト量が両画像の間の位置ずれ、すなわち(X1+X2)を示す。観念的には図2に示すようにラインセンサ21および22から得られる2つの画像を重なり合わせるために2つの画像を相対的に移動させねばならない距離が(X1+X2)である。 【0018】ここでは、簡単のため撮像装置が1次元のラインセンサ21、22であるものとして説明したが、以下に述べるようにこの発明の一実施例では2次元のCCDまたは2次元のフォトセンサ・アレイを撮像装置として使用する。この場合、2つの撮像装置から得られる2次元の画像を相対的にシフトさせて上述したのと同様の相関計算を行い、相関値が最小となるときのシフト量を求めると、このシフト量が(X1+X2)に相当する。 【0019】図1の撮像手段3は、図2のレンズ23およびラインセンサ21からなる一方の撮像手段に対応し、撮像手段3’は、図2のレンズ24およびラインセンサ22からなる他方の撮像手段に対応する。この実施例では、図3の(b)に示すように撮像領域を複数のウィンドウ(小領域)W11、W12、・・・に分割し、ウィンドウごとに距離の計測を行うので、対象物全体の2次元の画像が必要になる。このため撮像手段3、3’は、2次元のCCDアレイまたは2次元のフォトセンサ・アレイで構成される。 【0020】図3の(a)は、撮像手段3または3’により自車両の前方を走行する他車両を撮像した画像の例を示し、図3の(b)は、図3の(a)の画像を概念的に複数のウィンドウに分割したものを示す。図3の(b)は、縦方向に行および横方向に列をとり、簡単のため10行×15列のウィンドウに分割して示す。それぞれのウィンドウには番号が付されており、例えばW12は、1行2列にあるウィンドウを示す。 【0021】撮像手段3、3’で撮像された対象物の画像はアナログ・デジタル変換器(A/D変換器)4、4’でデジタルデータに変換され、画像メモリ5、5’に格納される。ウィンドウ切り出し部9によって、ウィンドウW11に対応する画像部分が画像メモリ5および5’からそれぞれ切り出されて相関計算部6に送られる。相関計算部6は、切り出された2つの画像を所定の単位ずつシフトさせて前述した相関計算を行い相関値が最小になるときのシフト量を求めると、このシフト量が(X1+X2)である。相関計算部6は、こうして求めた(X1+X2)の値を距離計算部7に送る。 【0022】距離計算部7は、前述したa=B・f/(X1+X2)の式を用いて、ウィンドウW11にある対象物までの距離a11を求める。こうして求められた距離a11は、距離記憶部8に記憶される。同様の計算処理がそれぞれのウィンドウについて順次実行され、距離a11、a12、・・・が距離記憶部8に記憶される。以下、あるウィンドウについて計算された対象物までの距離を、そのウィンドウの計測距離という。 【0023】上の相関計算で用いる画像データは、撮像素子アレイの素子のピッチによって分解能が定まるので、フォトセンサ・アレイなど比較的ピッチの大きい受光素子を用いるときは、ピッチ間の補間計算を行って画像データの密度を高める処理を行い、こうして密度を高められた画像データについて相関計算を行うのが好ましい。 【0024】また、温度による撮像素子アレイの特性変化を補正するため、温度センサを撮像素子アレイ付近に配置し、温度センサから得られる温度情報に基づいて距離計算を補正するようにすることもできる。 【0025】次に、上記のようにして距離を計測することのできる領域を、複数の距離範囲に区分けする方法について説明する。図4の(a)に、検知エリア100の例を示す。検知エリア100は、撮像部3および3’により距離を計測することのできる領域であり、撮像手段3および3'の仕様および位置に基づいて定められる。たとえば、検知エリア100を、距離レンジ60メートル、角度レンジ30度と設定することができる。検知エリア100は予め固定して設定することもできるが、自車の速度に応じて動的に設定することが好ましい。この場合、速度が大きくなるにつれて、測定可能な距離範囲は大きくなり、角度範囲は小さくなるよう設定する。 【0026】検知エリア100は、計測される距離の誤差に応じて、互いに重なりを持たないよう複数の距離範囲に区分けされる。この実施例では、撮像手段3および3’を備える車両から距離が遠くなるほど計測した距離の精度が低下するので、距離が遠くなるほど広い距離範囲を持つよう区分けされる(図4の(a)のS1〜S6)。 【0027】距離範囲は、計測される距離の誤差に応じて設定される。ここで、距離の誤差の値は、撮像手段3および3'の仕様などに依存する。たとえば、計測される距離の誤差が実際の距離の10%以下とすると、ある距離に対する距離範囲は、「距離〜(距離×(1+0.1))」と定めることができる。この実施例では、分割数を少なくして高速に処理するため、また誤差10%という精度がすべての画素について確保されないことがあるので、距離の誤差を30%として距離範囲を定める。したがって、ある距離に対する距離範囲は、「距離〜(距離×(1+0.3))」と定められる。 【0028】図5は、距離の誤差を30%とした場合の距離と距離ラベルの対応の一部を示した表であり、同じ距離ラベルをもつ距離が、1つの距離範囲を構成する。距離の単位は0.1メートルである。たとえば、距離が1のとき、距離の30%は0(小数点以下は切り捨て)であるので、距離範囲1に対して距離ラベル「1」が付与される。距離が2のとき、距離の30%は0なので、距離範囲2に対して別の距離ラベル「2」が付与される。ここで、距離ラベルは、距離範囲が変わるごとに1ずつ歩進されるよう設定される。距離が20のときは、距離の30%は6であるので、距離範囲20〜26に対して距離ラベル「9」が付与される。こうして、距離範囲が近距離から遠距離へと設定され、検知エリア100が複数の距離範囲に区分けされる。なお、異なる距離ラベルを持ついくつかの距離範囲を結合して、1つの距離範囲としてもよい。 【0029】この実施例ではわかりやすく説明するため、図5に示されるいくつかの距離範囲を大きく結合し、図4の(b)に示すように距離範囲S1〜S6を設定し、さらに新たな距離ラベル1〜6をそれぞれ付与する。図4の(a)は、図4の(b)の距離範囲S1〜S6を示したものであり、車両から遠くなるほど距離範囲が大きくなっている。なお、距離ラベルは、たとえばアルファベット文字など識別可能な他の符号を使用してもよい。こうして、距離ラベルを付与された距離範囲は、距離変換テーブルとして距離範囲記憶部9に記憶される。なお、検知エリアが予め固定して設定される場合には、予め距離範囲を算出して距離ラベルを付与した距離変換テーブルを距離範囲記憶部9に格納しておくのが好ましい。また、検知エリアが動的に変更される場合には、格納された距離変換テーブルを動的に更新することができる。 【0030】図1の路面除去部31は、予め決められた推定距離と上記のようにして計測された距離とをウィンドウごとに比較し、推定距離に近い計測距離および推定距離以上の計測距離をもつウィンドウについての計測距離値を距離記憶部8から削除する。推定距離とは、車両が傾くことなく路面に平行な状態にある場合の路面までの距離をいい、この時の路面を推定路面という。この推定距離は、たとえばCCDアレイにより実現される撮像手段3および3'の取り付け位置、俯角、基線長、焦点距離およびサイズと、画像におけるウィンドウの位置とにより予め算出され、ウィンドウごとに推定距離記憶部32に記憶されている。 【0031】計測距離が推定距離に近い値または推定距離以上の値ならば、ウィンドウの対象物が路面であって物体ではないと判断し、路面除去部31は、路面と判断されたウィンドウの計測距離値を距離記憶部8から削除する。これにより、計測距離値が削除されたウィンドウについては以降の物体認識の処理を進める必要がなくなり、より効率よく他のウィンドウについて物体認識を行うことができる。路面と判断されたウィンドウの計測距離値を距離記憶部8から削除するかわりに、たとえば路面と判断されたことを識別するフラグを使用し、路面と判断されたウィンドウに識別フラグをたてて距離記憶部8に記憶することもできる。 【0032】別の実施形態では、たとえば車両が下り坂を走行し始めるという場合も考えられるので、計測距離と推定距離とを比較して所定範囲内ならば、その計測距離値を削除するようにすることもできる。たとえば、計測距離と推定距離との差が0.5m以内ならば、所定範囲内と判断して計測距離値を削除し、差が0.5mより大きければ、以降のクラスタリング処理を進める。 【0033】次に、ウィンドウをクラスタリングする方法を説明する。クラスタリング部33は、路面除去部31により削除されずに残った、計測距離をもつウィンドウについてクラスタリングを行う。最初に、クラスタリング部33の距離変換部26は、それぞれのウィンドウについて、計測距離を距離ラベルに変換する。具体的には、距離範囲記憶部9に格納された距離変換テーブルに基づいて、ウィンドウの計測距離が属する距離範囲を調べ、その距離範囲に対応するラベルに計測距離を変換する。ここで、たとえばコントラストがなかったために計測距離が得られなかったウィンドウについては、距離変換テーブルで使用されていないラベル、たとえばラベル「0」を付与する。さらに、距離変換部26は、計測距離をラベルに変換するとき、その計測距離が属する距離範囲のウィンドウ数をカウントし、図4の(b)に示されるそれぞれの距離範囲に属するウィンドウの度数を算出する。 【0034】例として、図6の(a)は、撮像された画像上のそれぞれのウィンドウの計測距離を示す。距離変換部26は、図6の(a)に示される計測距離を、図4の(b)の距離変換テーブルに従って距離ラベルに変換する。図6の(b)は、それぞれのウィンドウについて変換された距離ラベルを示す。この処理と同時に、距離変換部26は、距離ラベルごとにウィンドウ数をカウントし、距離範囲ごとのウィンドウの度数を算出する。 【0035】すべてのウィンドウについて距離ラベルに変換した後、距離変換部26は、ある距離範囲に属するウィンドウの度数がしきい値未満である場合には、その距離範囲に属する計測距離を持つウィンドウの距離ラベルを「0」に設定する。これは、高速化という目的では一致しているが、その距離範囲に有効な物体(前方車両など)が撮像されていないという判断を行ったために、距離ラベルを「0」として無効化しているものである。したがって、ウィンドウの度数がしきい値未満の距離範囲に属するウィンドウをクラスタリングの対象から外し、より高速にクラスタリングを行うようにする。なお、しきい値は、距離範囲ごとに異なる値を設定することができる。 【0036】図6の(b)の例において、距離ラベル「1」および「2」に対するしきい値をたとえば「10」とすると、距離ラベル「1」を持つウィンドウはW31の1個だけであり、距離ラベル「2」を持つウィンドウは、W53、W73、W66、W68およびW48の5個であるので、これらのウィンドウの距離ラベルを「0」に置き換える。その結果得られる距離ラベルを図6の(c)に示す。 【0037】次に、クラスタリング部33のクラスタラベル付与部27は、それぞれのウィンドウの距離ラベルに基づいて、それぞれのウィンドウにクラスタラベルを付与し、同じラベルを持つウィンドウをクラスタリングする。クラスタラベルは、同じ距離ラベルをもつ隣接するウィンドウが同じクラスタを構成するよう付与される。 【0038】クラスタラベル付与部27は、図7に示されるテンプレートを使用してウィンドウにクラスタラベルを付与する。図7の(a)のT1〜T5はテンプレートにおける位置を示す。図7の(b)のa〜eは、あるウィンドウにT4が合うようテンプレートが置かれた時の、T1〜T5の位置にそれぞれ対応するウィンドウの距離ラベルをそれぞれ示す。図7の(c)のA〜Eは、あるウィンドウにT4が合うようテンプレートが置かれた時の、T1〜T5の位置にそれぞれ対応するウィンドウに付与されたクラスタラベルを示す。 【0039】また、図7の(d)の表は、あるウィンドウにT4が合うようテンプレートが置かれたときの、T1〜T5の位置に対応するウィンドウの距離ラベルに基づいて、T4の位置に対応するウィンドウにどのようなクラスタラベルDが付与されるかを示したものである。たとえば、T1〜T5の位置に対応するウィンドウの距離ラベルa〜eが条件5を満たせば、T4に対応するウィンドウのクラスタラベルDには、T2に対応するウィンドウのクラスタラベルBと同じクラスタラベルが付与される。なお、条件2および3が満たされた時に付与されるクラスタラベル「L」は、まだ使用されていない新たなクラスタラベルを示す。クラスタラベル付与部27は、テンプレートのT4を画像上のウィンドウに順次合わせて画像上のウィンドウを順次走査し、ウィンドウの距離ラベルに基づいてウィンドウにクラスタラベルDを付与する。 【0040】図8の例を参照して、クラスタラベルを付与する具体的な方法を説明する。図8で使用するウィンドウには、図8の(f)のように番号が付されている。図8の(a)は、距離変換部26により、ウィンドウの計測距離が距離ラベルに変換されたウィンドウW11〜W44を示す。クラスタラベル付与部27は、画像上のウィンドウを左上から右下へと走査する。 【0041】最初に、テンプレートのT4がウィンドウW11に合うようテンプレートが置かれる。ウィンドウW11の距離ラベルが「0」であるので、図7の(d)の条件1を満たし、T4に対応するウィンドウW11にクラスタラベル「0」が付与される。同様にして、ウィンドウW12〜W14およびW21にクラスタラベル「0」が付与される。 【0042】次に、ウィンドウW22にテンプレートのT4が合うようテンプレートが置かれ、ウィンドウW22は図7の(d)の条件2を満たすので、新たなクラスタラベル「61」を付与する(図8の(b))。この例では、クラスタラベルを2桁で表すことにし、上位の桁で距離ラベルを表し、下位の桁は図7の(d)の条件2および3に該当するたびに、1ずつ歩進するよう設定する。クラスタラベルは数字または文字などの任意の符号を使用することができる。 【0043】次に、ウィンドウW23にT4が合うようテンプレートが置かれ、ウィンドウW23は図7の(d)の条件4を満たすので、ウィンドウW23に、ウィンドウW22と同じクラスタラベル、すなわちクラスタラベル「61」を付与する。(図8の(c))。ウィンドウW24およびW31は条件1を満たすので、クラスタラベル「0」が付与される。 【0044】次に、ウィンドウW32にT4が合うようテンプレートが置かれ、ウィンドウW32は図7の(d)の条件6を満たすので、T4に対応するウィンドウW32に、ウィンドウW22と同じクラスタラベル、すなわちクラスタラベル「61」を付与する(図8の(d))。次に、ウィンドウW33にT4が合うようテンプレートが置かれ、ウィンドウW33は図7の(d)の条件7を満たすので、T4に対応するウィンドウW33に、ウィンドウW23と同じクラスタラベル、すなわちクラスタラベル「61」を付与する。残りのウィンドウW34およびW41〜W44は条件1を満たすので、クラスタラベル「0」が付与される。こうして、クラスタラベルがそれぞれ付与されたウィンドウが得られる(図8の(e))。 【0045】図7の(a)に示されるテンプレートでは、T4に対応するウィンドウのクラスタラベルDを、T4の上および左のT1およびT3に対応するウィンドウのクラスタラベル(AおよびC)に基づいて設定する場合が多いので(図7の(d)の条件6〜8)、このようなテンプレートを使用する場合には、画像上のウィンドウを左上から右下へと走査するのが好ましい。図7に示すテンプレートは例であり、異なるテンプレートを用いることができる。また、テンプレートに合わせて、ウィンドウの走査の順序を定めることができる。 【0046】クラスタラベル付与部27は、図7の(d)の条件8を満たす場合には、テンプレートのT1およびT3に対応するクラスタラベルを連結としてクラスタ記憶部48に記憶する。図9を参照して連結を説明する。図9の例で使用するウィンドウには、図9の(g)に示されるように番号が付されている。図9の(a)は、距離変換部26により、計測距離が距離ラベルに変換されたウィンドウW11〜W35を示す。 【0047】クラスタラベル付与部27は、画像上のウィンドウを左上から右下へとテンプレートを走査させ、図8で説明したのと同じ方法で、図9の(a)の距離ラベルに基づいてウィンドウにクラスタラベルを付与する。ウィンドウW11〜W31、W12およびW22は、条件1を満たすので、クラスタラベル「0」が付与される。ウィンドウW32は、図7の(d)の条件2を満たすので、新たなクラスタラベル「61」を付与する(図9の(b))。ウィンドウW13およびW23は条件1を満たすので、クラスタラベル「0」が付与される。ウィンドウW33は条件4を満たすので、ウィンドウW32と同じクラスタラベル「61」が付与される(図9の(c))。ウィンドウW14は条件1を満たすので、クラスタラベル「0」が付与される。ウィンドウW24は条件2を満たすので、新たなクラスタラベル「62」を付与する(図9の(d))。 【0048】次に、T4がウィンドウW34に合うようテンプレートが置かれ、T1に対応するウィンドウW24の距離ラベルは「6」、クラスタラベルは「62」であり、T3に対応するウィンドウW33の距離ラベルは「6」、クラスタラベルは「61」であるので、ウィンドウW34は図7の(d)の条件8を満たし、T1に対応するウィンドウW24と同じクラスタラベル「62」が付与される(図9の(e))。この結果、ウィンドウW32およびW33のクラスタラベルと、ウィンドウW24およびW34のクラスタラベルとが、隣接しているにかかわらず異なるものとなる。 【0049】したがって、図7の(d)の条件8を満たす場合には、テンプレートのT1およびT3に対応するウィンドウのクラスタラベルAおよびC、この例ではウィンドウW33およびW24のクラスタラベル「61」および「62」を連結としてクラスタ記憶部48に記憶する。すべてのウィンドウについてクラスタラベルを付与した後、連結として記憶された2つのクラスタラベルを、同じクラスタラベルに置き換える。たとえば、クラスタラベル「61」を「62」に置き換えてもよいし、この逆でもよい。さらに、たとえばラベル「63」のような新しいクラスタラベルで「61」および「62」を置き換えてもよい。こうして、図9の(f)に示されるように、同じ距離ラベルを持ち、隣接するウィンドウには、同じクラスタラベルが付与される。 【0050】図6に戻り、上記に説明した方法に従い、図6の(c)に示される距離ラベルに基づいてウィンドウにクラスタラベルを付与すると、図6の(d)が得られる。同じクラスタラベルを持つウィンドウの集まりが、1つのクラスタを構成する。こうして定められたクラスタを、図6の(e)に示す。 【0051】計測距離値そのものを扱うのではなく距離ラベルを使用することにより、高速にウィンドウのクラスタリングを行うことができる。すなわち、この発明によれば、計測距離値の距離ラベルへの変換が、距離範囲ごとに度数分布を求める処理と並行して行われることにより、ウィンドウの計測距離がどの距離範囲に属するかという判断がすでに行われているため、従来のように、クラスタリングを行うときに、距離範囲の度数分布等を求めてクラスタリングする距離範囲を決定する処理が不要となる。また、図7のようなテンプレートを走査させてクラスタラベルを決定するとき、従来のように計測距離がどの距離範囲に属するかという判断が不要となり、それぞれの属する距離範囲がdの属する距離範囲と等しいかどうかの判断が不要となる。 【0052】以上のように、計測された距離の誤差に基づいて距離範囲を設定することによりクラスタリングを正しく行うことができ、距離ラベルを使用することによりクラスタリングを高速に行うことができる。 【0053】次に、3次元表示部35は、上記のようにクラスタリングされたウィンドウのクラスタを3次元情報で表す。図10に示すように、3次元情報は、この実施例では水平位置(x)、垂直位置(y)および路面距離(z)の3座標を使用する。水平位置を示すx座標はウィンドウの列方向(図3の(b)を参照)に対応し、垂直位置を示すy座標は路面からの高さ方向に対応し、路面距離を示すz座標はウィンドウの行方向(図3の(b)を参照)に対応する。また、路面距離を示すz座標は計測距離dに比例する。 【0054】図10を参照して、クラスタを構成するウィンドウを3次元情報で表す方法を説明する。原点Oは車両が位置する路面を示し、x、yおよびz軸は原点Oで互いに直交する。x軸は車両から見て左右に伸びており、y軸は路面に垂直に伸びており、z軸は車両の進行方向に伸びている。撮像カメラ53は、原点Oからy軸方向の高さHのところにある。物体54は、高さhおよび幅gを持ち、z軸方向にi進んだ所にある。撮像カメラ53で撮像された画像上の複数のウィンドウのうち、あるウィンドウには、物体54が存在しなければ点55で表される路面が対象物として撮像され、物体54が存在すれば、点56で表される物体54の一部が対象物として撮像される。推定距離Dは、撮像カメラ53と点55との間の距離であり、物体54が存在しない場合に撮像された点55までの計測距離に等しい。計測距離dは、撮像カメラ53と点56との間の距離であり、図2を参照して前述した方法により計算される。(x,y,z)座標系を使用すると、撮像カメラ53の位置は(0,H,0)で表され、点56の位置は(g,h,i)で表される。 【0055】ウィンドウごとの推定距離Dおよび撮像カメラの推定路面からの高さHは固定値であるので、予め計算して記憶しておくことができる。図10から明らかなように、ウィンドウの対象物の高さhは以下の式(1)から、対象物の路面距離iは式(2)から求められる。 【0056】 【数1】
【0057】図10のx軸方向の車両からの水平距離は、撮像カメラの位置、画像におけるウィンドウ数などに応じてウィンドウの列ごとに予め決められる。たとえば、ウィンドウの3列目は、車両の中心から左に1メートルの位置を示すというように定めることができる。したがって、点56が撮像されているウィンドウの画像上の位置に基づいて、点56のx座標値(この例ではgであり、対象物の幅の値に等しい)を求めることができる。こうして、クラスタを構成するウィンドウのそれぞれを、x、yおよびz座標で表すことができる。なお、別の実施形態では、たとえば路面距離を示すz座標の代わりに計測距離dを使用することもでき、上記の座標系とは異なる座標系を使用してウィンドウを表すこともできる。 【0058】こうして、3次元情報表示部35は、クラスタを構成するそれぞれのウィンドウを3次元情報で表して3次元上に点として投影し、クラスタの中心位置、幅および大きさを求めることができる。あるクラスタについて3次元上に投影されたすべての点を含む最小の直方体を定め、クラスタを直方体で近似するのが好ましい。これにより、クラスタの中心位置、幅および高さ(厚み)を容易に求めることができ、クラスタに含まれる対象物の大きさおよび位置を正確に認識することができる。 【0059】上記のx,y,z座標系を使用すると、直方体で近似されたクラスタの幅は、投影された点のうち最大のx座標値から最小のx座標値引いた値であり、クラスタの厚みは、投影された点のうち最大のy座標値から最小のy座標値を引いた値である。さらに、クラスタの中心位置は、x、yおよびz座標のそれぞれについて、最大値から最小値を引いて2分の1した値で表される。こうして算出されたクラスタの中心位置の距離、水平位置および垂直位置と、クラスタの幅および高さ(このようなクラスタに関するそれぞれの情報を、クラスタの属性という)は、クラスタ記憶部48に記憶される。 【0060】図1に戻り、クラスタ群決定部36は、物体認識の処理が行われたことを示す処理済みフラグがたっていないクラスタをクラスタ記憶部48から抽出し、クラスタの属性に基づいて、任意の数のクラスタから構成されるクラスタ群を定める。クラスタリング部33によりクラスタリングされた直後は、すべてのクラスタに処理済みフラグがたっていないので、すべてのクラスタが抽出される。 【0061】この実施例では、クラスタ群決定部36は、あるクラスタと他のクラスタの距離、水平位置および垂直位置の差を算出し、これらの差がいずれもしきい値以下ならば、これらのクラスタは同じクラスタ群に含まれると判断する。この処理を、抽出されたクラスタのすべてについて行い、クラスタ群を決定する。複数のクラスタが近い場所に現れているならば、これらのクラスタは同じ対象物を表す可能性が高いからである。 【0062】しきい値は、車両からの距離に応じて異なる値を設定するのが好ましい。この実施形態では、距離および位置の差を求める2つのクラスタの距離に応じて、しきい値を設定する。2つのクラスタの距離は、それぞれのクラスタに含まれるウィンドウ数と、それらウィンドウの計測距離とに基づいて算出する。たとえば、2つのクラスタC1およびC2があり、クラスタC1およびC2の距離をそれぞれd1およびd2とし、それぞれのクラスタC1およびC2に含まれるウィンドウ数をw1およびw2とすると、以下の式(3)に基づいて2つのクラスタの距離を算出することができる。ここで、クラスタの距離d1およびd2は、それぞれのクラスタに含まれるウィンドウの計測距離を平均した値を用いる。 【0063】 【数2】 2つのクラスタの距離 = (d1×w1+d2×w2)/(w1+w2) ...式(3) 【0064】2つのクラスタの水平位置および垂直位置の差dxおよびdyは、2つのクラスタ間の間隔で表され、距離の差dzは、それぞれのクラスタの距離(上記ではd1およびd2)の差で表される。例として、図11の(a)は、x−y平面から見た複数のクラスタを示し、図11の(b)は、x−z平面から見た、図11の(a)と同じクラスタを示す。クラスタC4およびC6の水平位置の差は、x軸方向のdxで表され、垂直位置の差は、y軸方向のdyで表される。また、クラスタC4およびC6の距離をそれぞれd4およびd6とすると、距離の差はz軸方向のdzで表される。 【0065】しきい値は、上記の式(3)を用いて計算された2つのクラスタの距離に基づいて、たとえば、距離の差については以下の表1のように、水平位置および垂直位置の差については以下の表2のように設定することができる。 【0066】 【表1】
【0067】 【表2】
【0068】表1において、2つのクラスタの距離が大きくなるほど距離の差のしきい値が大きくなっているのは、自車両からの距離が遠くなるほど計測距離の誤差が大きくなるためである。表2において、2つのクラスタの距離が大きくなるほど水平および垂直位置の差のしきい値が小さくなっているのは、たとえば他の車両が自車両から近い距離に存在するような場合には、コントラストが低いために計測距離を算出することのできないウィンドウが多く発生し、クラスタとクラスタとの間の間隔が広くなることがあるからである。 【0069】図11の(a)および(b)を参照すると、クラスタ群決定部36は、クラスタC1〜C6から任意のクラスタを2つ選び、距離、水平および垂直位置の差を算出してしきい値と比較し、同じクラスタ群に含めることができるかどうか判断する。たとえば、クラスタC1およびC2は距離および位置の差がしきい値以下なので同じクラスタ群に含めることができ、クラスタC2およびC4も距離および位置の差がしきい値以下なので同じクラスタ群に含めることができると判断し、その結果、クラスタC1、C2およびC4を同じクラスタ群G1に含めることができると判断する。 【0070】また、クラスタC6およびクラスタC5は、水平および垂直位置の差はしきい値以下であるが、距離の差がしきい値を超えるため、それぞれ別のクタスタ群に含めると判断する。このようにして、クラスタ群決定部36は、図11の(c)および(d)に示されるような2つのクラスタ群G1およびG2を決定する。その後、クラスタ群決定部36は、同じクラスタ群を構成するクラスタに、同じクラスタラベルを付与しなおす。 【0071】次に、過去の情報に基づいて物体を推定する方法を説明する。図1の物体推定部40は、前回認識された物体の位置と、該物体に対する相対速度に基づき、今回得られた画像における物体の位置を推定する。図12を参照して、この実施形態における物体の推定方法について説明する。図12の(a)〜(c)は前回の処理を示し、図12の(d)〜(f)は今回の処理を示す。図12の(a)には、2台の車両91および92が撮像されており、図12の(d)には、図12の(a)と同じ車両91および92が撮像され、さらに新たに標識93が撮像されている。 【0072】図12の(b)は、図12の(a)の画像に基づいてクラスタリング部33により定められたクラスタC11〜C17と、クラスタ群決定部36により定められたクラスタ群63および64を示す。図12の(c)は、クラスタ群63および64から認識された物体65および66を示し、それぞれ車両91および車両92に対応する。物体65と66の位置および大きさは、前回の処理で物体記憶部39に記憶されている。 【0073】物体推定部40は、前回認識された物体65および66の位置と相対速度を物体記憶部39から読み出し、物体65および66の今回の位置を算出する。算出は、(前回の物体の位置+相対速度×検出間隔時間)という計算式を使用して行うことができる。この例では、物体65に対する相対速度はゼロであり、物体66に対する相対速度が時速−10キロメートルとし(この例では、物体の速度に対して自車両の速度が大きい場合の相対速度を「負」で表す。)、検出間隔時間を100ミリ秒とする。前回と今回の物体65に対する相対距離は変化せず、物体66に対する相対距離は約0.3メートルだけ短くなる。 【0074】したがって、自車両の位置を原点とし、前回の物体65の位置(物体の中心座標で表すとする)を(x1,y1,z1)、物体66の位置を(x2,y2,x2)とし、それぞれの座標値をメートルで示すと、物体65の今回の位置は(x1,y1,z1)、物体66の今回の位置は(x2,y2,z2−0.3)と推定することができる。ここで、推定される物体は前回と同じ水平位置にあるとする。なお、座標系や原点のとりかたに応じて、物体に対して自車両の速度が大きい(または小さい)場合の相対速度「正」または「負」で表すことができ、上記と異なる式を用いて物体の位置を算出することもできる。 【0075】さらに、時間が経過しても物体の大きさは変わらないので、物体推定部40は、物体65および66の幅および高さを物体記憶部39から読み出し、それぞれの今回の位置(x1,y1,z1)および(x2,y2,z2−0.3)において、物体65および66を3次元上に再構成することができ、推定された物体の画像上におけるウィンドウの位置を求めることができる。図12の(e)は、上記のように物体65および66を推定した物体75および76を、画像上の四角で囲まれた領域で示す。 【0076】物体推定部40は、推定した物体(以下、推定物体という)75および76の属性(距離、水平位置、垂直位置、幅および高さなどの物体に関する情報)を、推定物体記憶部49に記憶する。なお、物体推定部40による処理は、前述したクラスタリング部33およびクラスタ群決定部36による処理と並行して行うのが好ましい。 【0077】図1に戻り、クラスタ選択部41は、最も近い距離にあるクラスタを含むクラスタ群を選ぶ。次に、選択されたクラスタ群を構成するクラスタと距離の差がしきい値以下であって、水平および垂直位置で重なりを持つ推定物体のうち、最も近い距離にある推定物体を選択する。その後、クラスタ選択部41は、選択された推定物体と重なりを持つクラスタを、選択されたクラスタ群からすべて選択する。 【0078】ここで、選択したクラスタ群を構成するいずれのクラスタも、推定物体との距離の差がしきい値を満たさず推定物体と重なりを持たない場合、すなわち選択すべき推定物体が無い場合には、そのクラスタ群に含まれるすべてのクラスタを選択し、処理は物体候補抽出部42に進む。 【0079】また、物体候補抽出クラスタ選択部41は、すべてのクラスタが処理された後になお推定物体が残っている場合には、この推定物体はすでに画像領域に現れなくなった物体と判断し、推定記憶部49から削除することができる。 【0080】近い距離にあるクラスタ群および推定物体から処理するのは、近い距離にあるクラスタほど物体かどうか優先して判断する必要があり、また、対応する推定物体を見つけやすいからである。 【0081】クラスタおよび推定物体のそれぞれの距離は、それぞれの中心位置における距離を用いることができる。または、クラスタの距離は、クラスタを構成するウィンドウの計測距離の平均した値を用いることもできる。距離の差のしきい値は、前述した表1の値を用いることもでき、または新たに異なる値のしきい値を用いてもよい。重なりの判断は、比較するクラスタと推定物体をx−y平面に投影することにより、簡単に判断することができる。なお、水平および垂直位置に重なりがあればよく、推定物体にクラスタ全体が含まれる必要はない。 【0082】図12の例で説明すると、図12の(d)に示される車両91と92および標識93は、実際に路面上のほぼ同じ距離に存在しているとする。図12の(e)には、クラスタリング部33が図12の(d)の画像に基づいて定めたクラスタC21〜C31と、クラスタ群決定部36により定められ、クラスタC21〜C31から構成される1つのクラスタ群72が示される。 【0083】クラスタ選択部41は、最も近い距離にあるクラスタを含むクラスタ群を選択するが、この例ではクラスタ群が1つなので、クラスタ群72が選択される。次に、クラスタ群72を構成するクラスタの距離および位置をクラスタ記憶部48から読み出し、推定物体75および76の距離および位置を推定物体記憶部49から読み出す。クラスタ群72を構成するクラスタとの距離の差がしきい値以下で、水平および垂直位置で重なりを持つ推定物体は2つある(推定物体75および76)。推定物体75が76より近い距離にあるとすると、推定物体75が選択される。次に、クラスタ群72を構成するクラスタのうち、推定物体75と重なりを持つクラスタC22〜C26を選択する。こうして、推定物体に対応するクラスタがまとまりをもって選択される。 【0084】物体候補抽出部42は、クラスタ選択部41で選択されたクラスタからすべての組み合わせを抽出し、それぞれの組み合わせについて結合クラスタを定め、それぞれの結合クラスタを物体候補とする。組み合わせには、クラスタが1つの場合も含む。図13は、図12の(e)の推定物体75について選択されたクラスタC22〜C26のすべての組み合わせを抽出したものである。たとえば、図13の結合クラスタ番号10には、クラスタC23とC24の組み合わせで結合されたクラスタが示される。ここで、結合クラスタを構成するクラスタをすべて含む最小の直方体を定めて、結合クラスタを直方体で近似するのが好ましい。これにより、結合クラスタの属性(距離、位置、大きさなど)を容易に求めることができる。 【0085】物体候補抽出部42により、物体候補である結合クラスタが抽出された後、対応する推定物体を持つ結合クラスタについては、処理は物体判定部37を経て第1の物体認識部43に進み、対応する推定物体を持たない結合クラスタについては、処理は物体判定部37を経て第2の物体認識部44に進む。 【0086】図1の物体判定部37は、物体候補抽出部42により抽出された物体候補である結合クラスタの高さまたは厚みに基づいて、クラスタの対象物が物体かどうか判断する。結合クラスタの高さおよび厚みがクラスタ記憶部48に記憶されている。たとえば、検知対象を他の車両とする場合には、推定路面から結合クラスタの上面までの高さが90cm以下であり、かつ上面と下面との差が80cm以下の結合クラスタと、上面までの高さが70cm以下の結合クラスタとを、物体ではないと判定して物体候補から除外する。高さおよび厚みにこのようなしきい値を設けることにより、結合クラスタが路面である場合には、厚みが非常に薄いものとなるため、物体と判定されることはない。 【0087】第1の物体認識部43は、物体判定部37により除外されずに残っている結合クラスタであって、対応する推定物体を持つ結合クラスタの属性と、推定物体との属性とを順次比較し、推定物体の属性に一番近い属性をもつ結合クラスタを物体として認識する。ここで使用する属性は、距離、水平位置、垂直位置、幅および高さであり、属性の比較は以下の式(4)を用いて行われる。式(4)の変数の意味を表3に示す。 【0088】 【数3】
【0089】 【表3】
【0090】式(4)は、結合クラスタおよび推定物体の中心位置の差と、幅および高さの差とに基づいて、両者の属性の差を関数で表したものである。なお、距離(Z値)は、その距離値に応じて誤差があるので、推定物体の距離Ztに比例する値で補正している。 【0091】図13の例では、推定物体75に対応する結合クラスタ1〜31のすべてについて関数値E1を算出し(e01、e02、、、e31)、関数値E1が最小となる結合クラスタ31を物体78として認識する(図12の(f))。最小のE1を持つ結合クラスタ31が、推定物体75の位置および大きさを最も良く表すからである。 【0092】こうして属性の比較を行うことにより、たとえばあるクラスタが複数の推定物体と重なりをもち、推定物体のほんの一部しか表さない場合には、そのクラスタを含まない結合クラスタが物体として認識され、より正確に物体を認識することができる。 【0093】物体として認識されたクラスタC22〜C26および対応する推定物体75は、物体認識の処理が行われたことを識別するため、たとえば処理済みフラグをたててクラスタ記憶部48および推定物体記憶部49に記憶される。 【0094】クラスタ群決定部36、クラスタ選択部41、物体候補抽出部42、第1の物体認識部43(または第2の物体認識部44)による処理は、すべてのクラスタが処理済みとなるまで(この例では、すべてのクラスタに処理済みフラグがたつまで)繰り返される。すなわち、クラスタ群決定部36が、クラスタ記憶部48に記憶されたクラスタの処理済みフラグを調べ、処理済みフラグがたっていないクラスタが見つからないとき、繰り返し処理を終える。 【0095】または、物体として認識する数に予め上限(たとえば、4個)を定め、認識された物体の数がこの数に達したならば、処理の繰り返しを終えるようにすることもできる。 【0096】図12の(f)を参照して前述したように、物体78が認識された後、クラスタ群決定部36は、クラスタ記憶部48に記憶されたクラスタの処理済みフラグを調べ、処理済みフラグがたっていないラスタC21、C27〜C31を抽出する。さらに、推定物体記憶部49に記憶された推定物体の処理済みフラグを調べ、処理済みフラグがたっていない推定物体76を抽出する。 【0097】クラスタC21およびクラスタC27〜C31は水平位置の差がしきい値を超えるので、クラスタ群決定部36は、それぞれ異なる2つのクラスタ群を新たに定める。このように、新たにクラスタ群を定めることにより、他の推定物体がどのような位置にあっても、クラスタC21とC27〜C31が結合されて1つの物体と誤認されることがなくなる。 【0098】クラスタC27〜C31から構成されるクラスタ群の方が近い距離にあるとすると、クラスタ選択部41は、クラスタC27〜C31のクラスタ群を選択し、このクラスタ群を構成するクラスタと、距離の差がしきい値以下で水平および垂直位置で重なりを持つ推定物体76を選択する。次に、クラスタ群を構成するクラスタのうち、推定物体76を重なりを持つクラスタC27〜C31を選択する。 【0099】物体候補抽出部42は、クラスタC27〜C31のすべての組み合わせを作って結合クラスタを定める。第1の物体認識部43は、それぞれの結合クラスタの属性を、推定物体76の属性と比較する。その結果、クラスタC27〜C31からなる結合クラスタが、推定物体76に最も近い属性を持つと判断し、クラスタC27〜C31の結合クラスタを物体79と認識する(図12の(f))。物体と認識されたクラスタC27〜C31および対応する推定物体76は、クラスタ記憶部48および推定物体記憶部49に、それぞれ処理済みフラグをたてて記憶される。 【0100】次に、クラスタ群決定部36は、処理済みフラグがたっていないクラスタC21をクラスタ記憶部48から抽出する。クラスタが1個なので、クラスタC21をクラスタ群とする。この例では、推定物体がすべて処理され、対応する推定物体が存在しないので、クラスタ選択部41は、クラスタC21を選択し、物体候補抽出部42に渡す。物体候補抽出部42は、クラスタ群に含まれるクラスタのすべての組み合わせから結合クラスタを定めるが、ここではクラスタC21の1個だけなので、クラスタC21からなる結合クラスタを定める。クラスタC21からなる結合クラスタは、物体判定部37を経て、第2の物体認識部44で処理される。 【0101】このように、物体を表すクラスタはまとまって現れると考えられるので、処理の繰り返しはクラスタ群の決定から行うのが好ましい。前述したように、推定物体の距離および位置は相対速度から求めるので、誤差を含むことが多い。クラスタ群を決定せずに、推定物体と重なりを持つクラスタを抽出すると、水平位置が非常に離れているクラスタを結合して物体と誤認することがある。 【0102】第2の物体認識部44は、物体候補抽出部42から抽出された、対応する推定物体を持たない少なくとも1つ以上のクラスタから構成される結合クラスタの属性と、予め決められた検知すべき物体(以下、検知物体という)の属性とを比較し、属性の差が最小値となる検知物体を、結合クラスタに対応する物体として認識する。なお、しきい値を設けて、属性の差がしきい値以下で、最小値となる検知物体を、対応する物体として認識することもできる。予め決められた検知物体との比較は、すべての結合クラスタについて行われ、検知物体が複数ある場合には、すべての検知物体と比較される。 【0103】検知すべき物体の属性は予め決められて検知物体記憶部50に記憶されている。たとえば、車両を検知するのであれば、いくつかの種類の標準的な車両の属性が記憶されており、標識を検知するのであれば、いくつかの標準的な標識の属性を記憶することができる。この実施例では、比較する属性として幅および高さを使用し、前回の情報が存在しないので距離、水平位置および垂直位置は比較しない。属性の比較は、以下の式(5)を用いる。式(5)の変数の意味を表4に示す。式(5)は、結合クラスタおよび検知物体の幅および高さの差に基づいて、両者の属性の差を関数で表したものである。 【0104】 【数4】 E2 = |Wc−Wt|+|Hc−Ht| ・・・式(5) 【0105】 【表4】
【0106】図12の例では、前述したように、第2の物体認識部44は、物体候補抽出部42により抽出されたクラスタC21の結合クラスタの属性と、いくつかの検知物体の属性とを比較し、関数値E2が最小となる検知物体(この例では、標識)を抽出する。こうして、クラスタC21が物体77として認識される(図12の(f))。 【0107】以上のように、過去の物体に関する情報を使用して物体を認識することにより、前方を走行する他の車両が路側物(たとえば、標識)に近接して走行した場合や、隣りのレーンの車両が前方車に接近した場合に、2つの物体を1つの物体と誤認したり、1つの物体を複数の物体と誤認することがなくなる。 【0108】第1および第2の物体認識部43および44は、認識された物体の属性を物体記憶部39に記憶する。物体記憶部39には、前回認識された物体の属性も記憶されている。さらに、第1および第2の物体認識部43および44は、前回認識された物体の距離(前回距離)および今回認識された物体の距離(今回距離)を用い、計算式「(今回距離−前回距離)/検出時間間隔」に基づいて求めた値にフィルターをかけて物体に対する自車の相対速度を算出し、物体記憶部39に記憶する。検出時間間隔は、前述したように前回の計測と今回の計測との時間差であり、たとえば100ミリ秒とすることができる。 【0109】車両制御部45は、物体記憶部39に記憶された物体の距離、位置および相対速度などの情報、および自車速度検出装置46やヨーレート検出装置47などの装置からの情報に基づいて、物体までの距離が適切であるよう自車両を制御する。たとえば、運転者に音声やアラームで警告を発したり、自車のエンジンを制御して強制的に減速させたりなどの制御をすることができる。 【0110】なお、物体の認識を確実にするため、第1および第2の物体認識部43および44により前回認識された物体と今回認識された物体とが同一かどうか判断し、同一物体が連続してある予め決められた回数認識されたときに、車両制御部45が車両を制御するようにするのが好ましい。 【0111】図1に示した相関計算部6、距離計算部7、距離記憶部8、ウィンドウ切り出し部13、距離範囲記憶部9、クラスタリング部33、クラスタ群決定部36、クラスタ記憶部48、物体判定部37、物体記憶部39、物体推定部40、クラスタ選択部41、物体候補抽出部42、第1および第2の物体認識部43および44、推定物体記憶部49、検知物体記憶部50および車両制御部45は、中央演算処理装置(CPU)、制御プログラムおよび制御データを格納する読み出し専用メモリ、CPUの演算作業領域を提供し様々なデータを一時記憶することができるランダムアクセスメモリ(RAM)で構成することができる。距離記憶部8、距離範囲記憶部9、クラスタ記憶部48、推定物体記憶部49、物体記憶部39および検知物体記憶部50は、1つのRAMのそれぞれ異なる記憶領域を使用して実現することができる。また、各種の演算で必要となるデータの一時記憶領域も同じRAMの一部分を使用して実現することができる。 【0112】また、この発明の物体判定装置をエンジンの電子制御ユニット(ECU)、ブレーキ制御ECUその他のECUとLAN接続して物体判定装置からの出力を車両の全体的な制御に利用することができる。 【0113】 【発明の効果】請求項1の発明によると、ウィンドウの計測距離ではなく、その計測距離が属する距離範囲に対応するラベルに基づいてクラスタリングするので、高速にクラスタリングすることができる。 【0114】請求項2の発明によると、計測される距離の誤差に応じて距離範囲を設定するので、正確にクラスタリングすることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005326 【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年6月16日(1999.6.16) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081721 【弁理士】 【氏名又は名称】岡田 次生
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| 【公開番号】 |
特開2001−4368(P2001−4368A) |
| 【公開日】 |
平成13年1月12日(2001.1.12) |
| 【出願番号】 |
特願平11−169567 |
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