| 【発明の名称】 |
焦点光源付ステレオカメラによる3次元面形状推定方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】喜多 泰代
【氏名】築山 俊史
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| 【要約】 |
【課題】簡単な装置を使用することにより、特徴点のない滑らかなほぼ垂直な対象物体曲面に対して、必要な3次元物体曲面を高速演算で復元する。
【解決手段】カメラとカメラの焦点位置に仮想的に設けられた点光源装置とからなる複数台の焦点光源付カメラ及びCPUを具備する焦点光源付ステレオカメラシステムであって、複数の点光源を順次点灯させて対象物体の反射光に基づく物体映像を複数台のカメラでそれぞれ撮影し、CPUはこれらの映像信号を取り込み、両映像の正反射点を求め、対象物体面の最近傍点の3次元位置情報、法線方向を算出して、対象物体の面までの距離を演算する。さらに、CPUは算出した法線方向から対象物体断面形状を推定し、これらの値と対象物体の領域内の輝度とから対象物体の面を近似演算する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 カメラと該カメラの焦点位置に仮想的に設けられた点光源照明とからなる複数台の焦点光源付カメラと、CPUとを具備する焦点光源付ステレオカメラを用いて、両点光源を順次点灯し、対象物体のそれぞれの反射光に基づく対象物体像を両カメラで撮影し、CPUはこれらの映像信号を取り込み、両映像中の正反射点を求め、カメラの前方に位置する対象物体面の1点の3次元座標、3点の法線方向を算出し、対象物体面を近似演算することを特徴とする焦点光源付ステレオカメラによる3次元面形状推定方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ステレオ立体視型視覚センサによる三次元形状の推定方法、特に焦点光源付ステレオカメラを使用して、平面状及び曲面状物体の形状を推定する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】ロボットが室内を移動する際、室内に配置された物体を認識して、これらの物体を避けて移動する必要があり、このための物体を把握する視覚センサがロボットに設置されている。視覚センサを使用して物体までの距離を測定して3次元形状を推定する方法として、従来は、三角距離計測の原理を使用したステレオ立体視法、超音波やレーザーレンジファインダを用いる手法が使用されていた。 【0003】図10により、ステレオ立体視法による物体の3次元形状の推定方法の原理を説明する。カメラ等の視覚センサを2個左右の位置R,Lに並べてステレオ画像視する方法である。カメラの位置R,Lは定められているので、一辺a両端角b,cから三角形の頂点、対象物体の一点Pは一意的に決定される。カメラの姿勢、レンズの焦点距離が既知であるので、右画像平面、左画像平面のP1,P2点から両端角b,cは求めることができる。 【0004】 【発明の解決しようとする課題】三角測量によるステレオ立体視法を適用する従来の方法は、2台のカメラを使用するだけなので簡便でよい。ただし、カメラの視線方向を決定するには、右画像のなかに見えている点が左画像のどこの対応しているかを探す必要がある。二つの入力画像から自動的に対応点を発見することは困難である。コンピュータにより対象物の中でも表面の明暗が急変している箇所しか対応点を決定することができないので、特徴のない一様の表面を持った物体に対しては、表面全体の三次元計測を行うことができないという問題点があった。 【0005】又、従来の超音波やレーザーレンジファインダを使用した3次元形状推定方法では、レーザーレンジファインダーや超音波装置などの特殊装置を必要としていた。レーザーレンジファインダーを使用するものは対象物体の形状推定の演算に時間を要し、超音波装置を使用するものは演算時間は短いものの精度が悪かった。これに対して、ロボットが障害物を避けて室内を移動する時、人間の眼と同様、ロボットに必要な物体の3次元情報は障害物体の大まかな位置、大きさだけで充分であるものの、障害物体を把握する演算時間は移動時間より短くする必要があり、これらの視覚センサは移動ロボットの視覚センサとして充分なものとは言えなかった。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記課題を達成するために、本発明では、カメラと該カメラの焦点位置に仮想的に設けられた点光源照明とからなる複数台の焦点光源付カメラと、CPUとを具備する焦点光源付ステレオカメラを用いて、両光源の一方の照明による対象物体の反射光に基づく対象物体像を両カメラで撮影し、CPUはこれらの映像信号を取り込み、両映像中の正反射点を求め、カメラの前方に位置する対象物体面の1点の3次元座標、3点の法線方向を算出し、対象物体面を近似演算して3次元面形状を推定する方法を提供する。 【0007】本願発明の方法によると、リング光源、カメラ、CPU等市販されている簡単な装置により、特徴点のない滑らかで、ほぼ垂直な曲面を有する対象物体面を短時間で推定することができる。 【0008】 【発明の実施の態様】図1は本発明の方法を実施する装置の一例を示している。1R,1Lはステレオカメラを構成する右,左の焦点光源付カメラで、2R,2Lは右,左の受光装置で、例えばカメラ、3R,3Lはカメラの光軸上の仮想的な位置に配置された右,左の点光源装置、4はアナログ・デジタル変換器、5はCPU、6はモニタ、7R,7Lは照射光、8R,8Lは照射光7L,7Rの物体表面による反射光を表している。 【0009】点光源装置3R,3Lは例えば環状ストロボで、カメラ2R,2Lの投影中心の位置レンズと同軸に取り付けられている。一般に環状光源は、対象とする面までの距離が光源の直径の10倍以上になると、点光源と等価になる。図1の焦点光源付ステレオカメラの点光源装置3R,3Lは、カメラの焦点位置に配置された点光源として機能する。図2は、点光源装置3R,3L、カメラ2R,2Lからなる光源付ステレオカメラを上部に配置した移動ロボットの斜視図を示している。 【0010】アナログ・デジタル変換器4はカメラ2R,2Lで撮影された画像をサンプルし、各画素を輝度レベルでデジタル化し、CPU5に送信する。CPU5はカメラ2R,2L、光源照明3R,3Lを制御するとともに、アナログ・デジタル変換器4からの映像信号を記憶し、3次元情報を演算する。 【0011】本発明の方法を図1の焦点光源付ステレオカメラを参照して、図3のフロー図により説明する。 ステップS1まず、焦点光源付ステレオカメラ2R,2Lの左,右点光源装置3L,3Rのいずれか一つ、例えば右点光源装置3Rを先ず点灯し、カメラ2L,2Rで対象物体を撮影し、次いで左点光源装置3Lを点灯しカメラ2L,2Rで対象物体を撮影する。これら4個の画像の映像信号はアナログ・デジタル変換されてCPU5に入力される。図4(a)は、右点光源照明Rが点灯した時の右カメラ2Rが撮影した右画像例である。 【0012】ステップS2CPU5は、入力された各画像から物体領域を抽出し、等輝度曲線を抽出する。先ずソーベルオペレータ(Sobel operator)とリージョンラベリング(Region labelling )を使い、面領域の抽出を行う。ソーベルオペレータにより画素周辺の輝度の変化を調べ、変化分の小さい画素を面部分、それ以外をエッジ部分とし、画像を2つの領域に分ける。面領域に関しては、リージョンラベリングで画素の連結性を調べて、面積が一定値以上の領域を物体領域とする。 【0013】次に、対象物体面の材質や微細な表面形状などによる輝度のむらを除去するために、各々の面領域の輝度を7×7のウィンドウオペレータにより平均化する。さらに、各平面ごとに平均化された輝度を一定のレベルごとに量子化し、同じ輝度の連結領域をリージョンラベリングにより求める。この連結領域は帯状になり、正確にはこの領域を細線化して等輝度曲線を求める。 【0014】図4(b)は、右点光源装置3Rが点灯した時に右カメラ2Rが撮影した右画像例(図4(a))において、抽出された物体領域像とそこに等輝度線像をのせた例を示した図である。U1’〜U4’で囲まれた領域が抽出された物体領域を、Eが演算された等輝度曲線を示している。この例では、表示の便宜上、輝度を2レベルごとに間引いた等輝度曲線である。輝度分布のピークになるところが正反射点であることから、CPU5は演算された等輝度曲線の同心円群、楕円状の曲線群の中心点を基に輝度分布のピーク位置を求めて、正反射点の位置を求める。正反射光成分による輝度分布での等輝度曲線は、楕円曲線短軸が10〜60画素程度になる。短軸の長さの平均値が60画素以下であれば、この輝度分布は正反射光成分であるとして良い。 【0015】ステップS3点光源で照明された物体を撮影した画像において、反射光がピークとなる各局所領域に関してピークである位置での3法線方向と一点の3次元情報を、次に述べる方法により算出する。 【0016】図5(a)は左点光源3Lを点灯した時の光の照射経路、反射経路と左,右のカメラ3L,3Rが撮影した画像面における反射光がピークとなる局所領域(画像面において楕円で表された領域)を示し、図5(b)は右点光源3Rを点灯した時の光の照射経路、反射経路と左、右カメラが撮影した画像面における反射光がピークとなる局所領域を示している。図5中、物体のA点,C点は同じ側の、例えば左点光源3L点灯時の左カメラ画像で観測される正反射点で、その像の輝度が一番高く観測される。B点は左点光源点灯時、右点光源点灯時にそれぞれ右カメラ画像、左カメラ画像において共に輝度のピーク値が観測される点である。 【0017】3次元座標をステレオカメラのベースラインの中点(図5のOで示す点)に原点をとり、カメラの視線方向をZ軸、それに直交する面の垂直下方方向をY軸、水平方向をX軸とした右手座標系とする。図5中のL,Rはそれぞれ左点光源3Lの位置・左カメラ2Lの焦点位置、右点光源3Rの位置・右カメラ2Rの焦点位置を表している。左,右カメラの焦点座標をそれぞれ次の(1)の座標とする。 【0018】又、図5中、B点に対応する左,右カメラ画像面上の観測3次元位置、すなわち右,左の点光源を点灯した時の左,右カメラ画像面での輝度ピーク観測位置がそれぞれ次の(2)のように計測されるとする。とすると、 図5中のB点の3次元座標(Bx,By,Bz)は、次の(3)式,(4)式,(5)式で、B点の法線方向nBのベクトルは、次の(6)式で表せる。 【0019】 【数1】
【0020】 【数2】
【0021】図5中のA点,C点の法線方向nAのベクトル,nCのベクトルは、観測3次元位置、すなわち左,右の点光源を点灯した時の左,右画像面でのピーク観測位置をそれぞれ、次の(7)とすると、それぞれ次の(8),(9)式の値となる。なお、本明細書で同じ参照符号を使用するものは同じもの又は相当するものを表している。 【0022】 【数3】
【0023】ステップS4これら対象物体像のA点,B点,C点の3法線方向とB点の座標を用いて、2法線を含むエピポーラ面(Epipolar plane)の対象物体表面の断面形状を種々の近似曲線で近似する。2個の円弧S,S’により近似推定する例を図6により説明する。 【0024】円弧で近似した理由は、次の2点による。 ■ 滑らかな曲面を少ないパラメータで表せること。 ■ 室内に実在する人工物曲面は、球やシリンダー側面などのような円弧面をもとに作製されていることが多く、近似精度が良いこと。 【0025】まず、A点とB点とを通る2線(図6参照)の交点OABを求め、これを球の中心とする。実際には誤差があるので、A点とB点とを通る2線は立体的に交差して2線が交わらない場合には、2線が最短に近づく両線上の点P1,P2を求めて、これらの中点を球の中心とする。これらA点とB点とを通る2線上のP1点,P2点の座標はそれぞれ、次の(10)式,(11)式で求まる。ゆえに、物体表面の断面を円弧で近似するための球の中心SOAB,半径SRABは次の(12)式,(13)式で求まる。 【0026】 【数4】
【0027】 【数5】
【0028】物体表面のA点,B点に対応する画像上の輝度ピーク点を結ぶ直線上に存在する各画素ごとに、この球との交点を求めることにより物体表面の断面形状を得る。各画素の画像面上での3次元位置を次の(14)とすると、これに対する球との交点は(15)になる。物体表面のB点,C点に対しても球との交点は同様に算出することができる。 【0029】 【数6】
【0030】ステップS5濃淡画像上でその断面の表面に対応する画素の輝度から、対象面における入射角と面の輝度の反射マップを推定する。各画素の輝度(濃淡値)は、光源とカメラの位置、物体表面の反射係数及びその傾きによって決まる。これを利用して、その領域内の残りの法線方向をShape−From−Shading(濃淡画像から物体表面の向きを抽出して、3次元形状を再構成する方法)方法で決定していく。 【0031】1.ステップS4で推定した物体断面の表面各点における入射角を算出し、対象物体面の反射関数を得る方法を図7により説明する。断面における物体表面上のPi点の座標を(Xi,Yi,Zi)(i=1〜n)とすると、このPi点の対象物体面の法線方向npのベクトルは、断面の表面を近似した円弧の中心S0=(S0x,S0y,S0z)とこのPi点とを結ぶ方向なので、次の(16)式で表せる。左点光源3Lを用いた場合のこのPi点における光源方向Lnpのベクトルは、次の(17)式で求まる。したがって、その入射角はθpは、(18)式で求めることができる。 【0032】 【数7】
【0033】こうして求めた物体表面の断面上の各点における入射角θpと(図7(a)の場合は左点光源装置3L点灯時の)観測画像上のその点の輝度の関係をプロットすると、図7(b)のような曲線が得られる。これが観測面の反射特性を表す反射関数である。 【0034】2.次に、推定形状断面以外の観測画像の各画素点に対応する3次元座標を算出する方法を図8により説明する。先ず、各画素の輝度から1.で求めた反射関数を用いて、その画素に観測される対象上の点における入射角θを得る。これにより、例えば、図8(a)に示すような観測画像の画素(in,jn+1)へのカメラ視線を中心線とする頭頂角θの円錐面上にこの画素に対する対象物体面上の点Pの法線方向nのベクトルが限定される。対象物体の面がなめらかである条件より、既知である近傍の点の法線方向nnのベクトルに最も近い法線をこの円錐側面上から算出し、対応する対象面上の点における法線とする。 【0035】これは、具体的に次のようにして決定できる。3次元座標系をこの円錐(側面長さを単位1とする)の頂点O’(図8(b)参照)を原点とするように平行移動する。今、求めたい対象物体面上のP点における法線方向nのベクトルは、原点O’においたnnのベクトルとこの円錐の底面との交点をP1点とすると、これを底面の円の半径方向に伸ばした方向の円周との交点P2点終点とするベクトルである。円錐底面は、既知である点光源方向へのV0のベクトル(視線方向の負ベクトル)を使って、次の(19)式で表せ、これと次の(20)式で表せる直線との交点は次の(21)式で求まる。したがって、求める法線方向nのベクトルは次の(22)式で求まる。 【0036】 【数8】
【0037】 【数9】
【0038】ここで、3次元座標系を元の原点Oに戻すように平行移動する。画素(in,jn+1)に対応する物体表面上の点Pは、図8(c)に示すように視線方向にあり、3次元座標値を(23)とする既知の近傍点Pnから3次元座標値を(Px,Py,Pz)とする点Pへのベクトルと先に求めたnの法線ベクトル(nx,ny,nz)とが直交することから、次の(24)式で算出される。 【0039】 【数10】
【0040】このように、形状断面位置の法線ベクトルから近傍点の法線ベクトルを順次求めることにより対象物体表面の3次元座標Pを算出して、対象物体面の3D形状を推定することができる。 【0041】図9は、対象物体が平面状物体U、円筒物体Vである表面形状を本発明の方法により推定した一例を示している。図9中のR,Lは、右、左の点光源位置・カメラの焦点位置を表している。この例では左画像により物体領域を演算した。そのため物体領域はLに向かっている。右画像により演算しても相違は少ない。図9(a)は本発明に係るステップ3の演算例で、(b)はステップ4で、ステップ2で求めた位置Lの左カメラ2Lから見た物体領域の左右視覚範囲U1’〜U2’,V1’〜V2’の範囲で円弧で近似された表面断面を演算した例である。(c)はステップ4で推定した断面の表面上の点において、入射角と画像面で観測される輝度とをプロットしたグラフにより反射関数を求めた例である。(d)はステップ2で求めた対象物体である平面状物体U,円筒物体Vの物体領域内で、観測画像からShape−From−Shading方式により演算して平面状物体及び円筒物体の3D形状面を推定した例である。以上、焦点光源付カメラ2台に付いて本発明の方法を説明したが、焦点光源付カメラが3台以上であっても本発明の方法は可能である。 【0042】 【発明の効果】従来の2台のカメラを用いるステレオ両眼立体視手法が、エッジなどの特徴のないのっぺりとした領域に対して3次元再構成が十分行えなかったのに対して、本発明の方法は、カメラとカメラに付加した焦点光源という簡便な装置により、能動的に照明を当てて輝度分布を計測して、特徴のない面上の1点の3次元位置情報、3点の法線方向を簡易に演算し、さらにShape−From−Shading方式の原理を用いてその面の3次元形状を演算できる。 【0043】輝度分布のピーク位置は外乱の影響が少なく、かつ、その位置の推定は簡単な画像処理でできる。本発明の方法は、数メートルぐらいまでの距離にある面の位置や形状情報が得られ、建物内を移動するロボットのビジョンシステムに適している。
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| 【出願人】 |
【識別番号】301000011 【氏名又は名称】経済産業省産業技術総合研究所長
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| 【出願日】 |
平成12年1月6日(2000.1.6) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2001−194128(P2001−194128A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月19日(2001.7.19) |
| 【出願番号】 |
特願2000−767(P2000−767) |
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