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【発明の名称】 トンネル切羽変位警報方法及び装置
【発明者】 【氏名】田中 重明

【要約】 【課題】トンネル切羽の変位状況を定量的に且つ確実に把握し、客観的な判断基準により警報を発して作業員を安全に避難させること。

【解決手段】レーザー測距計12に制御部13を接続し、トンネル21の切羽22に設定された観測点1〜5における各変位量を示す変位量データD1を得る。判別部14で変位量データD1に基づいて地山崩落の危険発生を示す兆候が表れたか否かを判別する。危険発生を示す兆候が表れたと判別された場合に判別出力信号S1を出力し、赤色回転灯装置15Aを作動させることにより作業者に対して警報を出力する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 トンネル切羽に地山崩落などの危険発生の兆候が生じた場合に警報を出すためのトンネル切羽変位警報方法であって、トンネル切羽に設定された複数の観測点における各変位量をレーザ測距により得るステップと、該変位量に基づいて地山崩落などの危険発生を示す兆候が表れたか否かを判別する判別ステップと、該判別ステップに応答し前記危険発生を示す兆候が表れたと判別された場合に作業者に対する警報を出力するステップとを備えたことを特徴とするトンネル切羽変位警報方法。
【請求項2】 トンネル切羽に地山崩落などの危険発生の兆候が生じた場合に警報を出すためのトンネル切羽変位警報方法であって、トンネル切羽に設定された複数の観測点までの距離をレーザ測距により得て前記複数の観測点毎の初期値を設定する設定ステップと、前記複数の観測点までの各距離をレーザー測距により得、前記初期値を考慮して前記複数の観測点毎の変位量を計算する計算ステップと、前記変位量を所定の基準値と比較して前記複数の観測点における地山崩落などの危険発生を示す兆候の有無を判別する判別ステップと、該判別ステップにおいて前記危険発生を示す兆候が有ると判別された場合に警報を発するステップとを備えたことを特徴とするトンネル切羽変位警報方法。
【請求項3】 前記判別ステップにおいて前記危険発生の兆候が有ると判別されるまで前記計算ステップと前記判別ステップとを繰り返し実行するようにした請求項2記載のトンネル切羽変位警報方法。
【請求項4】 前記変位量のそれぞれが所定の誤差制限値未満か否かを判別するステップをさらに含み、前記所定の誤差制限値以上の変位量については前記判別ステップにおいて前記危険発生の兆候が有ると判別されてもこの判別を無視するようにした請求項2記載のトンネル切羽変位警報方法。
【請求項5】 前記判別ステップにおいて、前記複数の観測点毎に対応する変位量と所定の基準値とを比較することにより前記複数の観測点における前記危険発生の兆候の有無を判別するようにした請求項2記載のトンネル切羽変位警報方法。
【請求項6】 前記所定の基準値が前記複数の観測点のそれぞれについて別個に設定されている請求項5記載のトンネル切羽変位警報方法。
【請求項7】 トンネル切羽に地山崩落などの危険発生の兆候が生じた場合に警報を出すためのトンネル切羽変位警報方法であって、トンネル切羽に設定された複数の観測点までの各距離をレーザ測距により得て前記複数の観測点毎の初期値を設定する設定ステップと、前記複数の観測点のいずれかの観測点までの距離をレーザー測距により得て該距離を前記初期値の対応する値と比較することにより当該観測点における危険発生の兆候の有無を判別する処理を前記複数の観測点の全てについて順次実行するステップと、前記複数の観測点のいずれかにおいて前記危険発生の兆候が有ると判別された場合に警報を発するステップとを備えたことを特徴とするトンネル切羽変位警報方法。
【請求項8】 トンネル切羽に地山崩落などの危険発生の兆候が生じた場合に警報を出すためのトンネル切羽変位警報装置であって、レーザ測距計と、トンネル切羽に設定された複数の観測点における各変位量を示す変位量データを該レーザ測距計を用いて得るため該レーザ測距計に接続された制御手段と、該変位量データに基づいて地山崩落などの危険発生を示す兆候が表れたか否かを判別する判別手段と、該判別手段に応答し前記危険発生を示す兆候が表れたと判別された場合に作業者に対して警報を出力するための警報装置とを備えたことを特徴とするトンネル切羽変位警報装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トンネル掘削時にトンネル切羽に生じた変位量が危険レベルを超えた場合に作業者に警報を出すための、トンネル切羽変位警報方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】トンネル切羽作業における作業者の安全を確保するため、その作業中トンネル切羽の変位状況を把握し、崩落などの危険を示す兆候が生じた場合これを作業者に知らせ避難等の適切な措置をとる必要がある。このため、従来においては、例えば経験を有する作業員がトンネル切羽及びその近傍の地山状況を目視により観察し自己の経験から崩落予測を行うという経験者の目視による予測に基づいて、又は、鏡吹付コンクリートのひび割れ発生状況やひび割れの進行状況を観察することによる定性的な観測に基づいて作業者に退避警報を出していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来の方法は、いずれにしても人の経験や勘に頼るものであるため、崩落予測の判断が人によって異なり、作業者の安全を確実なものとするには信頼性の面で問題があった。また、大断面トンネルにおいては観察すべき地山の目視距離が遠くなるためトンネル切羽における微小な変位を確実に捉えることが目視では困難であり、精度の高い崩落予測を出しにくいという別の問題点も有している。
【0004】本発明の目的は、トンネル切羽の変位状況を定量的に且つ確実に把握し、客観的な判断基準により崩落などの危険を示すトンネル切羽の変位の発生を判別して警報を発し、作業員を安全に避難させることができるようにした、トンネル切羽変位警報方法及び装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明では、レーザ測距計等によるレーザ測距でトンネル切羽の変位状況を検出し、この検出結果から崩落などの危険発生を示す兆候が得られた場合に警報を発し、これにより作業員の安全を図ることができるようにしたものである。
【0006】上記課題を解決するため、本発明によれば、トンネル切羽に地山崩落などの危険発生の兆候が生じた場合に警報を出すためのトンネル切羽変位警報方法であって、トンネル切羽に設定された複数の観測点における各変位量をレーザ測距により得るステップと、該変位量に基づいて地山崩落などの危険発生を示す兆候が表れたか否かを判別する判別ステップと、該判別ステップに応答し前記危険発生を示す兆候が表れたと判別された場合に作業者に対する警報を出力するステップとを備えた方法が提案される。
【0007】レーザー測距により得られた変位量を所定の基準値と比較し、この比較結果に基づいて地山崩落等の危険性の兆候の有無を判別することもできるが、他の適宜の方法で判別を行ってもよい。
【0008】本発明によれば、また、トンネル切羽に地山崩落などの危険発生の兆候が生じた場合に警報を出すためのトンネル切羽変位警報方法であって、トンネル切羽に設定された複数の観測点までの距離をレーザ測距により得て前記複数の観測点毎の初期値を設定する設定ステップと、前記複数の観測点までの各距離をレーザー測距により得、前記初期値を考慮して前記複数の観測点毎の変位量を計算する計算ステップと、前記変位量を所定の基準値と比較して前記複数の観測点における地山崩落などの危険発生を示す兆候の有無を判別する判別ステップと、該判別ステップにおいて前記危険発生を示す兆候が有ると判別された場合に警報を発するステップとを備えたことを特徴とするトンネル切羽変位警報方法が提案される。
【0009】前記判別ステップにおいて前記危険発生の兆候が有ると判別されるまで前記計算ステップと前記判別ステップとを繰り返し実行するように構成することもできる。
【0010】前記変位量のそれぞれが所定の誤差制限値未満か否かを判別するステップをさらに含み、前記所定の誤差制限値以上の変位量については前記判別ステップにおいて前記危険発生の兆候が有ると判別されてもこの判別を無視するように構成することもできる。
【0011】前記判別ステップにおいて、前記複数の観測点毎に対応する変位量と所定の基準値とを比較することにより前記複数の観測点における前記危険発生の兆候の有無を判別するように構成することもできる。ここで、前記所定の基準値を前記複数の観測点のそれぞれについて別個に設定することもできる。
【0012】本発明によれば、さらに、トンネル切羽に地山崩落などの危険発生の兆候が生じた場合に警報を出すためのトンネル切羽変位警報方法であって、トンネル切羽に設定された複数の観測点までの各距離をレーザ測距により得て前記複数の観測点毎の初期値を設定する設定ステップと、前記複数の観測点のいずれかの観測点までの距離をレーザー測距により得て該距離を前記初期値の対応する値と比較することにより当該観測点における危険発生の兆候の有無を判別する処理を前記複数の観測点の全てについて順次実行するステップと、前記複数の観測点のいずれかにおいて前記危険発生の兆候が有ると判別された場合に警報を発するステップとを備えたことを特徴とするトンネル切羽変位警報方法が提案される。
【0013】本発明によれば、また、トンネル切羽に地山崩落などの危険発生の兆候が生じた場合に警報を出すためのトンネル切羽変位警報装置であって、レーザ測距計と、トンネル切羽に設定された複数の観測点における各変位量を示す変位量データを該レーザ測距計を用いて得るため該レーザ測距計に接続された制御手段と、該変位量データに基づいて地山の崩落の危険を示す兆候が表れたか否かを判別する判別手段と、該判別手段に応答し前記危険を示す兆候が表れたと判別された場合に作業者に対して警報を出力するための警報装置とを備えた装置が提案される。
【0014】トンネル切羽の変位量を得るためのレーザ測距方式は任意のものでよいが、反射板などのターゲットを用いず測距できる方式のものを採用すれば、切羽に近づく作業を極力少なくできるという利点を得ることができるので好ましい。
【0015】レーザ測距計は市販の公知の構成のものを用いることができ、制御手段はこのような公知の構成のレーザ測距計に接続されたパソコンに、所要の変化量データを得るための計測動作を自動的に連続して行わせることができるようにするプログラムをセットした構成とすることもできる。また、判別手段の機能を該パソコン内にソフトウェアとして組み込んでもよい。この場合、レーザー測距により得られた変位量データを所定の基準データと比較し、この比較結果に基づいて地山崩落の危険性の兆候の有無を判別することもできるが、他の適宜の方法で判別を行ってもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例につき詳細に説明する。
【0017】図1は、本発明によるトンネル切羽変位警報装置の実施の形態の一例を示す概略構成図であり、トンネル切羽変位警報装置11は、レーザ測距によりトンネル切羽の所定の観測点における変位状況を把握し、その変位状況に基づいて崩落などの危険を示す兆候が生じていると判別されれば作業員に対して警報を発し、作業員を退避させるように構成されたものである。
【0018】トンネル切羽変位警報装置11は、レーザ測距計12と、トンネル切羽に設定された複数の観測点における各トンネル切羽の変位量をレーザ測距計12を用いて得るためにレーザ測距計12を制御すると共にレーザ測距計12からの測距出力を処理して切羽の変位状況を示す変位量データD1を出力するための制御部13と、制御部13から出力される変位量データD1に基づいて地山の崩落の危険を示す兆候が表れたか否かを判別する判別部14とを有し、判別部14において地山の崩落の危険を示す兆候が表れたと判別された場合に判別部14から判別出力信号S1が出力され警報装置15に入力される。
【0019】警報装置15は、赤色回転灯装置15Aから成り、判別出力信号S1が入力された場合に赤色回転灯装置15Aが作動し、光によって作業者に警報を与えることができる構成となっている。しかし、警報装置15の構成はこれに限定されるものではなく、サイレン装置を付加するなど、適宜の構成とすることができる。
【0020】図示の実施の形態では、制御部13、及び判別部14はコントロールボックス16内に一緒に納められており、コントロールボックス16とケーブルで接続されている警報装置15を見やすい適宜の位置に設置できる構成となっている(図2参照)。コントロールボックス16とレーザ測距計12とはケーブル17によって必要に応じて接続することができ、これにより持ち運び及びセットが便利なようになっている。
【0021】図2は、図1に示したトンネル切羽変位警報装置11を掘削中のトンネル21内にセットし、トンネル21の切羽22の変位警報を行うようにした場合の概略構成を示す図であり、図3は図2に示す切羽22をトンネル切羽変位警報装置11の後方より見た場合の図である。
【0022】図2及び図3を参照して、トンネル切羽変位警報装置11により切羽22の変位警報を行う場合の例について説明する。
【0023】先ず、トンネル21内の一次吹付を行い、支保工エレクター台車のセット後、トンネル切羽変位警報装置11を切羽22から適宜の距離だけ離れたトンネル21の盤面21A上に設置する。
【0024】ここで、レーザ測距計12からのレーザ光LAを切羽22上に予め定めた複数の観測点1〜5に照射できるようにレーザ測距計12の三脚12Aを用いてしっかりとレーザ測距計12を盤面21A上に設置する。このとき、コントロールボックス16はレーザ測距計12の近傍に置かれ、レーザ測距計12とコンクリートボックス16とをケーブル17によって電気的に接続する。そして、コントロールボックス16と警報装置15とを接続し、警報装置15は作業員が気が付きやすい位置に設置する。トンネル切羽変位警報装置11には、図示しないバッテリより所要の直流電力を供給する。
【0025】ここで、観測点1〜5は、天端、肩、または地山不良位置など、適宜のポイントを選ぶことができ、その数も図示の5ヶ所に限定されず、任意の数とすることができる。
【0026】しかる後、制御部13の制御動作によりレーザ測距計12からレーザ光LAを観測点1〜5に順々に照射し、これにより観測点1〜5における各変位を連続的に測定する。この変位測定は、レーザ測距計12によって測定された各観測点1〜5までの距離の時間的変化から容易に求めることができる。制御部13ではこのようにして観測点1〜5における各変位量を示す変位量データD1が演算され、変位量データD1は判別部14に入力される。
【0027】判別部14では、観測点1〜5のそれぞれにおける変位量が予め定めた所定レベルを超えたか否かが変位量データD1に基づいて判別される。そして、観測点1〜5のうちの少なくとも一点においてその変位量が所定レベルを超えたと判別された場合、判別部14からはトンネル21の崩落の危険性が高いことを示す判別出力信号S1が出力される。
【0028】この場合、所定のレベルは、各観測点1〜5毎に固有の値がセットされる。これにより、各観測点の特性に適った危険度判別を行うことが可能となり、これにより切羽22の崩落の危険予知を高精度にて行うことが可能となる。勿論、各観測点1〜5に対して同一の所定レベルを設定することも可能である。
【0029】このようにして、切羽22の各観測点1〜5のいずれかにおける変位量として計算されるがその許容値を超えると判別出力信号S1が出力され、警報装置15がこれに応答して赤色回転灯装置5Aが作動し、トンネル11内の作業者に切羽22の崩落の危険があることを確実に知らせ、早急にトンネル21から退避することを光により促すことができる。
【0030】なお、トンネル21内で重機を稼動させた場合切羽22の各観測点1〜5の変位量が大きく変化することが考えられる。したがって、重機の稼動により生じた大きな変位量(誤差制限値を超えた値)は無視するように判別部14を構成することも可能である。また、ロックボルト施行時にも同様の事態が生じるので、この場合にも同様の措置を取ることができる。
【0031】以上説明したように、トンネル切羽変位警報装置1によれば、切羽22から遠く離れた場所からレーザ光を使って切羽22の複数の観測点1〜5の各変位量を測定し、この測定結果から崩落の危険度を判定して警報を出力するようにしたので、目視等による経験的な方法に比べ、切羽22の地山変位状況が的確に把握でき、状況判断が速いので退避などの指示を早目に出すことができ、作業者の安全を確実にすることができる。また、大断面トンネルのようにトンネル切羽までの距離が遠い場合であっても、レーザー光を使用するのでトンネル切羽における目視によっては捉えることができない微小な変位も確実に捉えることができ、従来に比べ精度の高い崩落予測が可能となり作業の安全確保に著しく寄与することができる。
【0032】また、レーザ測距計12として市販の既存の製品を用いることができるので、比較的コストがかからず、修理時の代替がしやすい。さらに、動力は持ち運び可能なバッテリを用いるため、設備の整っていない場所においても単独で使用できる。
【0033】図1に示したコントロールユニット16は、例えば、パーソナルコンピュータ等に所要のプログラムをセットして実行させることにより上述した各機能を実現する構成とすることができる。
【0034】図4は、そのようなプログラムの一例を示すフローチャートであり、図4を参照してこのプログラムに従う動作について説明する。先ず、ステップ31で、測定時間間隔、切羽22の各観測点における変位量の許容値K、及び誤差制限値Eの各設定値を示す設定データを入力する。この設定データは、パーソナルコンピュータの入力装置(図示せず)から入力することができる。
【0035】次のステップ32では、観測点1〜5の各初期値L1〜5の設定が行われる。
【0036】図5には、ステップ32の処理を詳細に示すフローチャートが示されている。先ずステップ41で観測点を示すデータNの値が1にセットされ、ステップ42で観測点N(=1)までの距離がレーザ測距計12によって測定され、ステップ43でこの観測点N(=1)までの測定距離が初期値LN(=L1)として設定される。
【0037】ステップ44ではN≧5か否かが判別される。ここではN=1であるから、ステップ44での判別結果はNOとなり、ステップ45でNの値を1だけ大きくし、N=2としてステップ42に戻る。そして、ステップ42、43での処理がN=2について実行され、観測点2についての初期値L2が設定される。
【0038】以後、同様の繰り返しによって、観測点3、4、5についての初期値L3、L4、L5が設定されるとN=5となるので、ステップ44での判別結果がYESとなり、ステップ32の処理が終了することになる。
【0039】図4に戻ると、ステップ32の処理が終了するとステップ33に入り、ここで、観測点1〜5の各変位量が計算される。
【0040】図6を参照してステップ33における観測点1〜5の各変位量の計算について説明すると、先ずステップ51で観測点を示すデータNの値が1にセットされ、ステップ52で観測点N(=1)までの距離がレーザ測距計12によって測定される。ステップ53ではこの観測点N(=1)までの測定距離DNとその初期値L1との差分が変位量ΔDN(=ΔD1)として計算され、変位量ΔD1が観測点1における今回の変位量として図示しないメモリに格納される(ステップ54)。
【0041】ステップ55ではN≧5か否かが判別される。ここではN=1であるから、ステップ55での判別結果はNOとなり、ステップ56でNの値を1だけ大きくし、N=2としてステップ52に戻る。そして、ステップ52、53、54での処理がN=2について実行され、観測点2についての変位量ΔD2が得られ、メモリに格納される。
【0042】以後、同様にして、観測点3、4、5についての変位量D3、D4、D5が計算され、メモリに格納され終わったときにN=fであるから、ステップ55での判別結果がYESとなり、ステップ33の処理が終了しステップ34に入る。
【0043】図4に戻ると、ステップ34では、ステップ54で格納された変位量ΔD1〜D5の少なくとも1つが許容値K以上であるか否かが判別される。変位量ΔD1〜D5の全てが許容値Kより小さければステップ34の判別結果はNOとなり、切羽22の崩落の危険兆候はないと判断され、ステップ33に戻り、切羽22における変位量の計算が再び実行される。
【0044】このようにして、時間が経過し、変位量ΔD1〜D5の少なくとも1つが許容値K以上となると、ステップ34の判別結果はYESとなり、ステップ35に入る。
【0045】ステップ35では、ステップ34で許容値以上と判別された変位量が誤差制限値E未満か否かが判別される。その変位量が誤差制限値E以上であると、当該変位量は重機の稼動やロックボルトの施工の影響を受けて生じた切羽崩落の兆候とはならない変位量であると判断され、ステップ35の判別結果はNOとなってステップ33に戻る。すなわち、誤差制限値E以上の変位量についてはステップ34での判別によって地山崩落などの危険発生の兆候があると判別されてもこの判別を無視する構成となっている。一方、ステップ35で、変位量が誤差制限値E未満であると判断されると、当該変位量は切羽崩落の兆候を示すものであると判断され、ステップ35の判別結果はYESとなり、ステップ36に入り、ここで、判別出力信号S1が出力される。
【0046】なお、上記では、ステップ34においての判別は変位量ΔD1〜D5を全て許容値Kと比較して切羽22の崩落の兆候の有無を判断する構成としたが、各観測点毎に異なる許容値K1〜K5を設定し、各観測点毎にその観測点に適した許容値で切羽崩落の兆候を判断する構成とし、より精度の高い警報を出すようにすることも可能である。
【0047】以上、図4及び図6を参照して制御部13及び判定部14の具体的構成の一例について説明したが、本発明はこの一具体的構成に限定されるものではない。
【0048】図7には、図1に示した制御部13及び判定部14により達成される機能をパーソナルコンピュータを用いて実現するための他のプログラムの具体的構成例がフローチャートにて示されている。図7に示すフローチャートにおいて、ステップ61、62は図4に示したステップ31、32と同様であり、ステップ62の処理の詳細は図5に示した通りである。したがって、ステップ61、62の詳細な説明は省略する。
【0049】ステップ63では、ステップ62において設定された初期値L1〜L5を参照して、観測点1〜5の各変位量ΔD1〜D5を計算し、これらに基づいて切羽崩落兆候の判断を行う。
【0050】図8には、ステップ63の詳細フローチャートが示されている。図8を参照してステップ63での処理について説明すると、先ずステップ71で観測点を示すデータNの値が1にセットされ、ステップ72で観測点N(=1)までの距離がレーザ測距計12によって測定される。ステップ73ではこの観測点N(=1)までの測定距離DN(=D1)とその初期値LN(=L1)との差分ΔDN(=ΔD1)が計算され、ΔD1(=L1−D1)が観測点1における今回の変位量として得られる。
【0051】ステップ74では、ステップ73で得られた変位量ΔD1の値が許容値K以上であるか否かが判別される。ここで、変位量ΔD1の値が許容値Kより小さければステップ34のは判別結果はNOとなり、切羽22の観測点1での崩落の兆候はないと判断され、ステップ75に進む。
【0052】ステップ75ではNの値を1だけ大きくする処理が行われ、ステップ76でN>5か否かが判別される。N>5でなければステップ76の判別結果はNOとなり、ステップ72に戻り、観測点2における変位量ΔD2の計算及び観測点2における崩落の兆候の有無が先の場合と同様にして判別される。
【0053】このようにして観測点3、4、5における崩落の兆候の有無が順次判別される。そして観測点5についての崩落の兆候の有無が判別された後にステップ75でN=6となるので、ステップ76の判別結果はYESとなり、ステップ77でN=1としてからステップ72に戻る。この結果、再び観測点1〜5における崩落の兆候の有無が順次判別される。
【0054】このようにして時間が経過し、いずれかの観測点iにおける変位量DiがK以上となると、ステップ74の判別結果がYESとなり、ステップ78に進む。
【0055】ステップ78では、変位量ΔDiが誤差制限値E未満か否かが判別される。変位量ΔDiが誤差制限値E以上であると、この変位量ΔDiは重機の稼動やロックボルトの施工の影響を受けて生じた切羽崩落の兆候とはならない変位量であると判断されステップ78の判別結果はNOとなってステップ78に入り、次の観測点の崩落兆候判別が行われることになる。
【0056】一方、ステップ78で、変位量ΔDiが誤差制限値E未満であると判断されると、当該変位量ΔDiは切羽崩落の兆候を示すものであると判断され、ステップ78の判別結果はYESとなり、ステップ79に入り、ここで、判別出力信号S1が出力される。
【0057】なお、上記では、ステップ74においての判別は変位量ΔD1〜D5を全て許容値Kと比較して切羽崩落の免除性を判断する構成としたが、各観測点毎に異なる許容値K1〜K5を設定し、各観測点毎にその観測点に適した許容値で切羽崩落の兆候を判断する構成とし、より精度の高い警報を出すようにすることも可能である。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、切羽から遠く離れた場所からレーザ光を使って切羽の所定の観測点の変位量を測定し、この測定結果から崩落の危険度を判定して警報を出力するようにしたので、目視等による経験に頼る従来の方法に比べ、切羽の地山変位状況が的確に把握でき、状況判断が速いので退避などの指示を早目に出すことができ、作業者の安全を確実にすることができる。また、大断面トンネルのようにトンネル切羽までの距離が遠い場合であっても、レーザー光を使用するのでトンネル切羽における目視によっては捉えることができない微小な変位も確実に捉えることができ、従来に比べ精度の高い崩落予測が可能となり作業の安全確保に著しく寄与することができる。さらに、レーザー測距のために市販の既存の製品を用いることができるので比較的コストがかからず修理の代替がしやすい、動力は持ち運び可能なバッテリを用いることができるため設備の整っていない場所においても単独で使用できる等の利点を有している。
【出願人】 【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
【出願日】 平成12年1月14日(2000.1.14)
【代理人】 【識別番号】100077540
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 昌俊
【公開番号】 特開2001−194112(P2001−194112A)
【公開日】 平成13年7月19日(2001.7.19)
【出願番号】 特願2000−10069(P2000−10069)