| 【発明の名称】 |
レイリー散乱を利用した変位計測装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】村上 正人
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| 【要約】 |
【課題】光ファイバーのレイリー散乱を利用して土木構造物の変位を連続的に、安全に、しかも微小変位を増幅して確実に計測する装置を提供すること。
【解決手段】光ファイバ11に入力した光パルスの後方散乱光の変化により土木構造物12の変位を検知する装置において、変位検出個所に設けた変位増幅手段21の変位増幅ロッド23に光ファイバ11を連結固定する。土木構造物12に亀裂29が発生し、xだけ変位移動したものとすると、変位増幅手段21のファイバー支持点27における変位移動距離は、増幅されて検出される。光ファイバ11が変位増幅ロッド23により引っ張られると、鋭角に曲げられ、後方への散乱光量は、激減する。これを光学時間領域反射測定器13によって計測する。このときの受光時間と光ファイバ11内での光速から亀裂29の発生地点の距離が求められる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 光ファイバ11を土木構造物12に張り巡らし、この光ファイバ11の一端に入力した光パルスの後方散乱光の変化により前記土木構造物12の変位を検知するようにした装置において、前記土木構造物12の変位検出個所に変位増幅手段21を設け、この変位増幅手段21の変位増幅ロッド23に前記光ファイバ11を連結固定してなることを特徴とするレイリー散乱を利用した変位計測装置。 【請求項2】 変位増幅手段21は、変位伝達部材22と変位増幅ロッド23とが連結点24にて回動自在に連結され、変位伝達部材22の固定点25は、亀裂29を挾んだ土木構造物12の一方の壁面に固定的に取り付けられ、また、変位増幅ロッド23の固定点26は、亀裂29を挾んだ固定点25とは反対側の土木構造物12の壁面に固定的に取り付けられ、前記固定点26は、連結点24からできるだけ近い位置に設定され、前記変位増幅ロッド23の先端部には、光ファイバ11を支持するファイバー支持点27が設けられていることを特徴とする請求項1記載のレイリー散乱を利用した変位計測装置。 【請求項3】 変位増幅手段21は、変位伝達部材22と変位増幅ロッド23とが連結点24にて回動自在に連結され、変位伝達部材22の固定点25は、亀裂29を挾んだ土木構造物12の一方の壁面に固定的に取り付けられ、また、変位増幅ロッド23の固定点26は、亀裂29を挾んだ固定点25とは反対側の土木構造物12の壁面に固定的に取り付けられ、前記固定点26は、連結点24からできるだけ近い位置に設定され、前記変位増幅ロッド23の先端部には、光ファイバ11を支持するファイバー支持点27が設けられ、このファイバー支持点27の両側には、それぞれ屈曲発生装置30が設けられ、さらにそれぞれの外側の位置で光ファイバ11が土木構造物12に固定されていることを特徴とする請求項1記載のレイリー散乱を利用した変位計測装置。 【請求項4】 変位増幅手段21は、変位伝達部材22と変位増幅ロッド23とが連結点24にて回動自在に連結され、変位伝達部材22の固定点25は、亀裂29を挾んだ土木構造物12の一方の壁面に固定的に取り付けられ、また、変位増幅ロッド23の固定点26は、亀裂29を挾んだ固定点25とは反対側の土木構造物12の壁面に固定的に取り付けられ、前記固定点26は、連結点24からできるだけ近い位置に設定され、前記変位増幅ロッド23の先端部には、光ファイバ11を支持するファイバー支持点27が設けられ、このファイバー支持点27の両側には、それぞれ屈曲発生装置30が設けられ、さらにそれぞれの外側の位置で光ファイバ11が土木構造物12に固定され、前記屈曲発生装置30は、光ファイバ11の途中を可及的に小さな曲げ損となるような曲率を持って収納固定するとともに、この固定位置に先鋭端部46を有する案内突部42を設けてなることを特徴とする請求項1記載のレイリー散乱を利用した変位計測装置。 【請求項5】 屈曲発生装置30は、耐腐食性の器体35と蓋板36からなり、前記器体35内に、第1凹部39と第2凹部40を互いに連通して形成し、この連通部分との間に案内通路43を持って両端部分を先鋭端部46とした案内突部42を設け、前記第1凹部39の左右両側部から外部まで途中にくびれ部38を有する差し込み孔37を連通形成し、前記第2凹部40内に、案内突部42との間に光ファイバセンサ32の直径と略同じ間隔をもって保持体44を設けてなることを特徴とする請求項4記載のレイリー散乱を利用した変位計測装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバーの後方散乱光(以下、レイリー散乱という)を用いて土木構造物などの変位を計測するためのレイリー散乱を利用した変位計測装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、トンネル、橋梁、その他の土木構造物の変形(歪)を検査するには、人間が暗いトンネルなどを徒歩で巡回し目視点検によりクラックなどの変位をさがしたり、変位が生じている個所にテストモルタルを塗布し、このテストモルタルの状態により変位を確認していた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】従来のように、人間が徒歩で巡回し目視点検する方法では、長距離の点検作業に多くの時間を要し、連続的に常時観測できないという問題があった。また、すでに亀裂などが発生しているトンネルなどでは、落盤や土砂崩れなどがいつ発生するかわからないので、その進行状態を観測するのに危険が大きすぎるという問題があった。また、土木構造物や岩盤などでは、亀裂の進行がmm単位かそれ以下の場合、目視による進行状態の判断がきわめて困難であるだけでなく、経時的な変化を把握するのが困難であるという問題があった。 【0004】本発明は、光ファイバーのレイリー散乱を利用することによって、トンネルなどの長大な土木構造物の変位を連続的に、安全に、しかも微小変位を増幅して確実に計測する装置を提供することを目的とするものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、光ファイバ11を土木構造物12に張り巡らし、この光ファイバ11の一端に入力した光パルスの後方散乱光の変化により前記土木構造物12の変位を検知するようにした装置において、前記土木構造物12の変位検出個所に変位増幅手段21を設け、この変位増幅手段21の変位増幅ロッド23に前記光ファイバ11を連結固定してなり、変位増幅手段21は、変位伝達部材22と変位増幅ロッド23とが連結点24にて回動自在に連結され、変位伝達部材22の固定点25は、亀裂29を挾んだ土木構造物12の一方の壁面に固定的に取り付けられ、また、変位増幅ロッド23の固定点26は、亀裂29を挾んだ固定点25とは反対側の土木構造物12の壁面に固定的に取り付けられ、前記固定点26は、連結点24からできるだけ近い位置に設定され、前記変位増幅ロッド23の先端部には、光ファイバ11を支持するファイバー支持点27が設けられていることを特徴とするレイリー散乱を利用した変位計測装置である。 【0006】以上のような構成において、土木構造物12に亀裂29が発生し、xだけ変位移動したものとすると、ファイバー支持点27における変位移動距離は、増幅されて検出される。 【0007】光ファイバ11が変位増幅ロッド23により引っ張られると、先鋭端部46の位置で鋭角に曲げられる。この光ファイバ11の鋭角な曲げにより、後方への散乱光量は、激減する。これを光学時間領域反射測定器13によって計測する。このときの受光時間と光ファイバ11内での光速から亀裂29の発生地点の距離が求められる。 【0008】 【発明の実施の形態】光ファイバ11内の散乱現象には、レイリー散乱、ブリルアン散乱、ラマン散乱があり、これらの散乱光のスペクトラムは、図7に示される。レイリー散乱は、入射光と同じ周波数をもつ成分の媒質内の密度揺らぎにより生じる。ブリルアン散乱は、入射光とわずかに周波数の異なる成分と、媒質内の音波との相互作用により生じる。ラマン散乱は、入射光とわずかに周波数の異なる成分と、媒質内の分子振動などの相互作用により生じる。 【0009】本発明は、以上のような光ファイバ11内の散乱現象のうち、レイリー散乱を利用して土木構造物などの変位を計測する装置に関するものであり、図1に基づき本発明の原理を説明する。11は、光ファイバで、この光ファイバ11は、トンネルなどの長大な土木構造物12の被測定個所に取り付けられる。前記光ファイバ11の基端部14は、光学時間領域反射測定器13に結合される。 【0010】このような構成において、光学時間領域反射測定器13から光ファイバ11へ光パルス17を送りこむと、この光パルス17は、光ファイバ11の内部を伝播する。ここで、土木構造物12の壁面などの被測定部位に変位が生じ、これに伴い光ファイバ11に屈曲部16が生じたものとする。すると、この屈曲部16の部位にて光パルス17の一部がレイリー散乱光18となり、光パルス17の一部が基端部14側に戻され、残りは、進行光パルス19となって末端部15側へ伝播する。 【0011】屈曲部16の部位では、直線部分よりも大きな光損失が生じるので、光損失曲線20の傾斜がこの部位で大きくなる。また、光ファイバ11の末端部15部位にても大きな光損失が生じる。この光損失曲線20は、光学時間領域反射測定器13の表示部で、縦軸を光損失、横軸を光ファイバ11の敷設距離として表示される。 【0012】光ファイバ11の敷設距離は、土木構造物12の長さ、土木構造物12から光学時間領域反射測定器13の設置場所までの距離などにより決定されるが、10km程度まで可能である。 【0013】光ファイバ11におけるレイリー散乱光18を捕らえるためには、光ファイバ11の変位により直径が7mm程度まで屈曲させることが必要である。ところが、土木構造物12の変位は、微小であり、光ファイバ11の屈曲から直接レイリー散乱光18を捕らえることは困難である。 【0014】そこで、本発明では、土木構造物12の変位を増幅して検出することにより、1mmかそれ以下の変位をも検出できるようにしてある。これを可能にした変位増幅手段21を図2〜図5により土木構造物12がトンネルの場合を例として説明する。光ファイバ11は、図2に示すように、土木構造物12内に数10cmから1m間隔程度に固定して張り巡らせるが、前記変位増幅手段21は、土木構造物12内の亀裂29の発生個所など、変位を測定しようとする個所に取り付けられる。この変位増幅手段21は、変位を増幅して検出する部分と、その変位により光ファイバ11をより確実に屈曲させる部分とからなる。 【0015】前記変位増幅手段21は、図3に示すように、変位伝達部材22と変位増幅ロッド23とが連結点24にて回動自在に連結され、前記変位伝達部材22の固定点25は、亀裂29を挾んだ土木構造物12の一方の壁面に固定的に取り付けられ、また、変位増幅ロッド23の固定点26は、亀裂29を挾んだ固定点25とは反対側の土木構造物12の壁面に固定的に取り付けられる。前記固定点26は、連結点24からできるだけ近い位置に設定される。また、変位増幅ロッド23の先端部には、光ファイバ11を固定的に支持するファイバー支持点27が設けられている。前記ファイバー支持点27の両側には、それぞれ屈曲発生装置30が設けられ、さらにそれぞれの外側の位置で光ファイバ11がファイバ固定具28により土木構造物12に固定されている。 【0016】前記屈曲発生装置30を図4および図5に基づき説明する。前記屈曲発生装置30は、一辺の長さが5〜10cm程度で、厚さが1cm程度の耐腐食性の器体35と、この器体35に被せる蓋板36からなる。前記器体35には、第1凹部39と第2凹部40が光ファイバ11の直径の数倍の深さで、かつ互いに連通して形成され、この連通部分の第1凹部39側には、案内突部42が設けられている。この案内突部42の外周と第1凹部39の内周の間隙部分は、光ファイバ11の直径と略同一の案内通路43となっており、また、案内突部42の両端部分は、先鋭端部46となっている。 【0017】前記第1凹部39の左右両側部から差し込み孔37が外部まで連通形成され、この差し込み孔37は、途中が光ファイバ11の直径と略同一のくびれ部38となり、また、このくびれ部38の両端開口部分は、ラッパ状に広がって第1凹部39に連通するとともに、外部に連通している。前記案内突部42の外周と対峙し、かつ、光ファイバ11の直径と略同じ間隔をもって、保持体44がワッシャ49とねじ45によって取付けられる。 【0018】前記第2凹部40の略中央には、光ファイバ11を数回巻き付けできる間隔を持って巻き付け部41が設けられ、この巻き付け部41と、前記蓋板36とを貫通する取付け孔48が穿設されている。47は、器体35と蓋板36の取付け用の組み立て孔である。 【0019】この状態で、光ファイバ11を、器体35の一方の差し込み孔37からくびれ部38、第1凹部39へ嵌め込み、さらに、案内通路43を経て第2凹部40の内部で巻き付け部41に1、2回巻きつけ、再び他方の案内通路43を経て第1凹部39に嵌め込み、他方の差し込み孔37からくびれ部38を経て取り出される。 【0020】前記光ファイバ11を屈曲発生装置30にセットするには、光ファイバ11は、第1凹部39と第2凹部40の内部で可及的に小さな曲げ損となるように、充分大きな曲率半径を持って嵌め込まれる。つぎに、光ファイバ11が案内通路43、43で交差する部分に保持体44をあてがい、ワッシャ49とねじ45によって締め付けることにより、光ファイバ11を固定する。 【0021】同様にして全ての屈曲発生装置30の器体35に光ファイバ11を嵌め込み固定する。このとき、光ファイバ11に、引っ張り力がかからないようにして、ファイバー固定具28で固定する。 【0022】つぎに土木構造物12に亀裂29が発生したときの作用を説明する。図3において、光ファイバ11に亀裂29が発生したものとする。変位伝達部材22が固定点25で固定され、変位増幅ロッド23が固定点26で固定されているので、亀裂29が図示矢印方向にxだけ変位移動したものとすると、固定点26も同様にxだけ変位移動する。ところが、連結点24は、変位伝達部材22に連結されているので、変位しない。 【0023】ここで、連結点24から固定点26までの距離をa、連結点24からファイバー支持点27まで間距離をbとすると、ファイバー支持点27における変位移動距離yは、y=x・b/aとなる。b>aとすると、b/a倍(少なくとも10倍程度)だけ増幅されたこととなる。 【0024】光ファイバ11が変位増幅ロッド23により引っ張られると、光ファイバ11は、図3および図4の鎖線に示されるように、案内突部42の先鋭端部46の位置で鋭角に曲げられるか、場合によっては、この先鋭端部46の位置で光ファイバ11が切断する。 【0025】この光ファイバ11の鋭角な曲げまたは切断により、光ファイバ11の曲げ損が急増し、後方への散乱光量は、激減する。これを光学時間領域反射測定器13内のOTDR(光ファイバリフレクトメータ)によって計測する。この光学時間領域反射測定器13で検出された光量は、微弱であるから、何回も平均化処理を行ない、図1のような波形となる。このときの受光時間と光ファイバ11内での光速から災害発生地点の距離が求められる。 【0026】光学時間領域反射測定器13は、このようにして土木構造物12に亀裂29などの変位を検出すると、内部の発信回路などを介して管理者などに知らせる。 【0027】図3に示した前記実施例では、変位増幅ロッド23の固定点26の位置を、連結点24とファイバー支持点27との間に設けたので、増幅後の変位yが変位xの方向と同一方向になり、図中左側の屈曲発生装置30が屈曲作用点となるが、固定点26の位置を連結点24を挾んで反対方向としてもよく、この場合には、増幅後の変位yは、変位xと反対方向になり、図中右側の屈曲発生装置30が屈曲作用点となる。 【0028】前記屈曲発生装置30は、図4および図5に示すような構造に限られるものではなく、図6に示すような簡単な構造でもよく、要するに、光ファイバ11が引っ張られたとき、大直径L1から小直径L2に変化することにより、光ファイバ11の曲げ損が急増し、後方への散乱光量が激減するものであればよい。 【0029】また、前記変位増幅手段21は、図3に示すような変位伝達部材22と変位増幅ロッド23とを主体として構成したものに限られるものではなく、歯車、その他の機構により変位を増幅して検出できるものであってもよい。 【0030】 【発明の効果】従来のような人間が徒歩で巡回し目視点検する方法に比較し、長距離の点検作業が短時間で、連続的に常時観測できる。また、光ファイバ11と変位増幅手段21の設置のとき以外、亀裂29の発生しているトンネル12などに直接人間が入る必要がないので、落盤や土砂崩れなどが発生しても安全である。 【0031】土木構造物12や岩盤などにおける亀裂29の進行がmm単位かそれ以下の微小であっても、変位増幅手段21により進行状態の判断がきわめて正確で、経時的な変化を把握することが容易である。屈曲発生装置30は、光ファイバ11の途中を可及的に小さな曲げ損となるような曲率を持って収納固定するとともに、この固定位置に、先鋭端部46を有する案内突部42を設けた構成としたので、機械的に可動する部品がなく、長期間設置したたままであっても確実に動作する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】300000188 【氏名又は名称】株式会社 日本工営横浜事業所
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| 【出願日】 |
平成12年1月14日(2000.1.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100076255 【弁理士】 【氏名又は名称】古澤 俊明 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−194109(P2001−194109A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月19日(2001.7.19) |
| 【出願番号】 |
特願2000−6742(P2000−6742) |
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