| 【発明の名称】 |
変位検出装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】小沢 英隆
【氏名】中村 稔
【氏名】生駒 浩一
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| 【要約】 |
【課題】変位部材の変位を実時間で検出する。
【解決手段】磁性材料でできた変位部材の変位を検出する変位検出装置であって、変位部材が変位する領域に磁界を生成するよう配置され、所定の周波数の電圧が供給される一次コイルと、一次コイルが生成する磁界に応じて電圧を発生するよう配置され、一方向に巻かれた第1部分、およびこれとは逆向きに巻かれた第2部分を有する二次コイルと、を備え、二次コイルの出力に応じて変位部材の変位量を検出する。第1部分に発生する電圧と第2部分に発生する電圧とは逆極性になるから、磁性材料の変位部材が磁界内を移動するとき、二次コイルの両端に生じる電圧の変化の幅が大きくなる。変位部材が変位すると、第1部分に生じる電圧と第2部分に生じる電圧とのバランスがくずれるので、二次コイルの両端にはその和として変位部材の変位を反映する電圧が発生する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】磁性材料よりなる変位部材の変位を検出する変位検出装置であって、前記変位部材が変位する領域に磁界を生成するよう配置され、所定の周波数の電圧が供給される一次コイルと、前記一次コイルが生成する磁界に応じて電圧を発生するよう配置され、一方向に巻かれた第1部分、および該第1部分に関し逆向きに巻かれた第2部分を有する二次コイルと、を備え、前記二次コイルの出力に応じて前記変位部材の変位量を検出するようにした変位検出装置。 【請求項2】前記一次コイルおよび二次コイルは同軸に設けられており、前記変位部材は、電磁石を用いたアクチュエータのアマチャに接続された棒状の形状を持ち、前記一次および二次コイルの軸心に沿って変位する請求項1に記載の変位検出装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、変位する部材の変位を検出する装置に関し、より具体的には電磁石を用いたアクチュエータのアマチャの変位を検出する装置に関する。 【0002】 【従来の技術】いわゆる電磁バルブと呼ばれる電磁アクチュエータによるバルブ駆動機構のなかで、対向した電磁石に交互に電力を供給し、その中間部に、それぞれにオフセット荷重を予め与えた状態の一対のばねで挟んだ可動鉄片すなわちアマチャ(armature)を駆動することで、アマチャに連結したバルブを駆動するような形式の機構においては、従来、おおよそ次のような基本的な電磁石(以下、ソレノイドアクチュエータ、もしくは単にアクチュエータと呼ぶことがある。)の駆動方法が採られている。 【0003】一方のアクチュエータがアマチャに及ぼす電磁石としての磁気吸引力が、一対のばねの反発力に打ち勝ち、このアクチュエータに磁気吸引され着座しているアマチャ(バルブ)が、その後のアクチュエータへの電力供給の停止などを契機として、着座状態から開放され、余弦関数的に変位を開始する。 【0004】このアマチャ変位に応じたタイミングでもう一方のアクチュエータに適当な電流(catch current)を供給し、吸引力発生の為の磁束を成長させる。アマチャが、この磁束を発生しつつあるアクチュエータに近づくにつれ、磁束が急激に成長し、このアクチュエータの吸引力による仕事が、一方のアクチュエータの残留磁束によるアマチャを引き戻そうとするわずかな仕事と、大部分の仕事である機械的損失の和に打ち勝って、アマチャが着座位置に到達する。 【0005】こうして着座する時期を見計らい、着座しているアクチュエータにアマチャを保持するための保持電流(hold current)を供給し、然るべき期間アマチャを着座位置に保持する。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】このように電磁アクチュエータの動作方式において、アクチュエータ動作の各段階で、アマチャの位置の情報が極めて重要な役割を担う。また、より進んだ制御、すなわち、アマチャの変位、速度などを状態変数として、消費電力の最小化や、アマチャの着座音の最小化、また動作の安定化などを目指す現代制御では、アマチャの変位に関する情報が必要不可欠となる。このように、アマチャの変位を実時間で良好に検出する技術に対する必要性が存在する。 【0007】 【課題を解決するための手段】上に述べた課題を解説するため、この発明は、磁性材料でできた変位部材の変位を検出する変位検出装置であって、前記変位部材が変位する領域に磁界を生成するよう配置され、所定の周波数の電圧が供給される一次コイルと、前記一次コイルが生成する磁界に応じて電圧を発生するよう配置され、一方向に巻かれた第1部分、および該第1部分に関し逆向きに巻かれた第2部分を有する二次コイルと、を備え、前記二次コイルの出力に応じて前記変位部材の変位量を検出するという構成をとる。 【0008】この発明によると、二次コイルが第1部分とこれとは逆向きに巻かれた第2部分とをもっている。第1部分に発生する電圧と第2部分に発生する電圧とは逆極性になるから、磁性材料の変位部材が磁界内を移動するとき、二次コイルの両端に生じる電圧の変化の幅が大きくなる。たとえば、第1部分が二次コイルの半分を占め、第2部分が残りの半分を占める形態では、変位部材が二次コイルの領域に完全に入っている状態では、二次コイルの第1部分に生じる電圧と第2部分に生じる電圧とが打ち消し合って、二次コイルの両端に生じる電圧はほぼゼロになる。この状態から変位部材が変位すると、第1部分に生じる電圧と第2部分に生じる電圧とのバランスがくずれるので、二次コイルの両端にはその和として変位部材の変位を反映する電圧が発生する。こうして、変圧器の原理を応用した簡単な構成により、小さな変位部材の変位量を検出することができる。 【0009】また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、一次コイルおよび二次コイルは同軸に設けられており、変位部材は、電磁石を用いたアクチュエータのアマチャに接続された棒状の形状を持ち、一次および二次コイルの軸心に沿って変位するという構成をとる。 【0010】請求項2の発明によると、電磁石を用いたアクチュエータのアマチャの変位を実時間で検出することができる。 【0011】 【発明の実施の形態】まずこの発明の変位検出装置の動作原理を図1を参照して説明する。エンジンの吸気バルブまたは排気バルブを駆動する電磁石アクチュエータのアマチャに連結された磁性材の棒11(変位部材に対応、以下磁性材の棒11という)は、円筒状に構成された差動変圧コイル12の内部を移動する。簡単のために、この磁性材の棒11の長さが変圧コイル12の長さと同じ21mmで、棒11がコイル12の中を図のように移動するとする。 【0012】図2は、変圧コイル12の断面の拡大図である。変圧コイル12は、円筒状のコイルボビン18に巻かれた二次側コイル14,15とこの二次側コイルの上に同軸に巻かれた一次側コイル13とからなる。二次側コイルは、中心から左側半分の第1部分14と第1部分とは逆向きに巻かれた右側半分の第2部分とから構成されている。従って、一次側コイル13が交流電圧により励起されると、二次側コイルの第1部分14と第2部分15にそれぞれ反対の位相の電圧が生じる。 【0013】コイルボビン18は、コイルを巻いて支持する部分であり、具体的には、図2に示すように、コイルボビン18をごく薄い(たとえば1.5mm未満の厚さの)非磁性材料やプラスチック等の構造とし、変圧コイルの内周から棒11までの距離を、たとえば1.5mm以下とする。磁性材の棒11は、たとえばSCM418や鉄系の材料で作られており、その径は、たとえば3mm程度である。変圧コイル12の長さは、たとえば21mmとする。巻き線径は、たとえば0.11mmとし、巻き数はたとえば一次側および二次側ともに200とする。 【0014】図1(i)に示されるように磁性材の棒11が、二次側コイルの第1部分14に位置している状態では、一次側コイル13でつくられる磁束は、ほとんど二次側コイルの第1部分14に鎖交する。一次側コイル13は、二次側コイルの第2部分15に対応する部分でも磁束を発生するが、その多くの部分は、二次側コイルの第2部分15とは鎖交しないで漏れ磁束となり、そのうちのかなりの部分が磁性材の棒11を通る。こうして、二次側コイルの第2部分15にはわずかな電圧しか発生しない。したがって、この状態では、二次側コイルの出力は、ほとんど第1部分14で生成される。 【0015】アマチャが変位し、図1(ii)に示すように、磁性材の棒11が変圧コイル12と完全に重なるときには、二次側の第1部分14および第2部分15それぞれが二次電圧を誘起する。第1部分14と第2部分15とでは、コイルの巻き方が逆であるため、第1部分14と第2部分15とでは発生する電圧の位相が正反対となる。したがって、変圧コイル12の二次電圧はほぼゼロとなる。 【0016】次に、図1(iii)に示すように、磁性材の棒11が二次側コイルの第2部分15に位置すると、図1(i)の状態と逆で、一次側コイルでつくられる磁束のほとんどは二次側コイルの第2部分15に鎖交し、二次側の出力は、ほとんど第2部分15で生成される。図1の(i)の状態と(iii)の状態では二次側出力の位相が180度異なる。このように、変圧コイル12の二次電圧は、磁性材の棒11の位置、すなわち電磁石アクチュエータのアマチャの位置および変位量を反映している。したがって、変圧コイル12の二次電圧をローパスフィルタにとおし、さらに一次電圧に対する位相を検出することにより、電磁石アクチュエータのアマチャ変位をアマチャの中立点からの正負も含めて判断することができる。 【0017】図3は、この発明を車のエンジンの吸気バルブおよび排気バルブを電磁石で駆動する機構に適用した実施例の全体的な構成を示す。電子制御ユニット(ECU)30は、エンジン系統の働きを制御するユニットで、エンジン系統の様々な箇所から送られてくるデータに基づいて、演算を行いエンジンの燃料噴射装置、点火プラグ、電磁バルブ・アクチュエータなどに制御信号を送る。図では、電磁バルブ・アクチュエータだけが示されている。 【0018】ECU30は、演算を実行するプロセッサ31、プロセッサ31が実行するプログラムおよび演算に用いる基礎となるデータを格納する読み取り専用メモリ32、データおよびプログラムを一次記憶し、プロセッサ31による演算の作業領域を提供するランダム・アクセス・メモリ(RAM)33、エンジン系統各部からのデータを受け取り信号処理をしてプロセッサ31による処理に渡し、プロセッサ31による演算の結果生成される制御信号をエンジン系統各部のアクチュエータに送る入出力インターフェイス34を備える。 【0019】図3において、入出力インターフェイスへの入力として示されているのは、■クランク角度および回転数センサからのパルス信号、■電磁石51、52の動作電流、■電磁石51,52の動作電圧、■電磁石51,52の動作環境の温度センサ出力、■アマチャ変位センサの出力である。このほかに入出力インターフェイス34には、エンジンの運転状態を判定するためのデータとして、吸気管圧力センサの出力、エンジン水温などが入力される。ECU30は、これらのデータから判断される運転状態に基づいて燃料噴射量、点火時期などを制御する。 【0020】バルブ41は、エンジンの吸気バルブおよび排気バルブの一つであり、バルブシャフト42にはアマチャ43が設けられている。電磁石51および52が駆動されていない状態において、アマチャ43は、電磁石51と52の中間点でバランスするようばね45および46によってバイアスされている。 【0021】PWMドライバ37は、ECU30から渡される制御信号に応じて、電磁石51および52を駆動するパルス幅変調(Pulse Width Modulation)信号を生成する。電磁石51に信号が加えられると、電磁石の作用でアマチャ43が電磁石51に吸引され、したがってバルブ41が図の上方向に移動し、ついにはこの気筒の吸気口(または排気口)を閉じる。ついで、電磁石51には弱い保持電流が供給され、バルブ41は閉じた状態に保持される。電磁石51への電流供給が停止され電磁石52が駆動されると、アマチャ43は図の下方向に駆動され、気筒の吸気口(排気口)を開く。PWMドライバ37は、定電圧源38から電力を供給されている。 【0022】この発明の一実施例では、バルブシャフト42の先端44付近は磁性材で形成されており、同軸構造の変圧コイル12の円筒状コイルボビンの中を変位する。変圧コイル12は、アマチャ変位センサとして機能し、その一次側コイルにはアンプ・フィルタ36から高周波電圧が加えられている。また、二次側コイルの出力は、アンプ・フィルタ36でローバスフィルタをとおり、バルブシャフトの変位を表す出力になる。 【0023】図4は、変位センサ構造の詳細を示し、バルブシャフト42の先端部44には磁性材の軸47が取り付けられている。この実施例で軸47に使用する磁性体材は、減磁しやすく、ヒステリシス損失の少ない軟磁性体である。軸47の下端部は、ばね45を受ける下部スプリングシートの形状に作られている。 【0024】ハウジング61は、ばね45および上部スプリングシート62を収容する空間を提供するための部材でエンジンに固定されている。ハウジング61の上方に設けられた開口に固定部材64がはめ込まれている。固定部材の下端部は、スプリングシート62を収容する形に作られている。この実施例ではハウジング61の開口部および固定部材64の外周部にはねじが切られており、固定部材64は、ハウジング61の開口部にねじ構造で取り付けられている。さらに固定部材64は、振動によって緩むことがないようにナット63によって固定されている。 【0025】変圧コイル12は、変位センサ・ベース65の先端に設けられた円筒状コイルボビン部66に設けられている。変位センサ・ベース65は、コイルボビン部66に変圧コイル12を巻いた後、円筒状の固定部材64の内側にはめ込まれる。変位センサ・ベース65の外周および固定部材64の内周にねじを切っておき、変位センサ・ベース65を固定部材64にねじ構造で取り付けるのが好ましい。変位センサ・ベース66の軸心部には、変圧コイル12の一次側巻き線の端子および二次側巻き線の端子を取り出すための穴67が設けられている。 【0026】図5は、磁性材の棒11を変圧コイル12内で変位させた場合の変圧比の静特性を示す。曲線Aは、変圧コイル12に対してほぼ同じ長さの磁性材の棒11を図1に示すような相対位置で変位させたときの変圧コイル12の変圧比を示す。変圧コイルの一次側コイルには100kHzの電圧を加え、二次側コイルの高周波出力をローパスフィルターに通して直流出力を得た。曲線Aの極小点は、棒11のセンターが二次側コイルの第1部分14と第2部分15の切り替えポイントに一致する状態、すなわち図1(ii)の状態に対応する。この位置を変位ゼロとして棒11を右方向(正の変位)移動させるにつれて変圧比が上昇し、図1(iii)に対応する位置で変圧比が最大になる。同様に変位ゼロの中心位置から棒11を左方向(負の変位)に移動させると変圧比が上昇し、図1(i)に対応する位置で変圧比が最大になる。 【0027】曲線Bは、変圧コイル12の長さ(この実施例では21mm)よりも長い磁性材の棒11を用いた場合の静特性を示す。ここでの変圧コイル12と磁性材の棒11との関係は、図4の変圧コイル12と磁性材の軸47との関係に相当し、磁性材の軸47(変位部材に対応する)は、変圧コイル12の上端位置(図1(ii)に対応)と変圧コイル12の中間位置(図1(iii)に対応)との間で変位する。図5の曲線Bからわかるように変位が2.5mmから9.5mmの部分ではほぼ線形の変位―変圧比特性が得られる。エンジンの電磁バルブ機構ではバルブの変位は一般的に7mm(±3.5mm)であるので、図5の曲線Bの線形特性を利用することができる。 【0028】図6は、図4に示すようなこの発明の一実施例の変位センサを電磁バルブ機構に組み込んで動作させた場合のセンサの応答特性を示す。一次側コイルに100kHz、5Vの高周波電圧を加える。電磁石51,52が交互に駆動されてアマチャが±3.5mmの往復動作を繰り返すと、アマチャに接続された磁性材の軸47が変圧コイル12内を往復運動する。この時発生する二次側電圧を包絡線検波し、オペアンプでオフセット調整および増幅を行い、25kHzのカットオフ周波数をもつローパスフィルターを通すと図6の曲線Aのような応答特性が得られる。曲線Bは、高精度のレーザ変位計を用いて変位を測定した場合の応答特性である。図から見られるようにこの実施例では、高精度のレーザ変位計を用いたのと同程度の精度でアマチャの変位を検出することができる。 【0029】こうして得られるアマチャの変位を示す情報を用いてフィードバック制御またはフィードフォーワード制御することにより、安定したバルブ動作を得ることができる。以上にこの発明を特定の実施例について説明したが、この発明はこのような実施例に限定されるものではない。 【0030】 【発明の効果】請求項1の発明によると、変圧作用を利用した簡単な構成により、小さな変位部材の変位量を検出することができる。また、請求項2の発明によると、電磁石を用いたアクチュエータのアマチャの変位を実時間で検出することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005326 【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年1月5日(2000.1.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081721 【弁理士】 【氏名又は名称】岡田 次生
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| 【公開番号】 |
特開2001−194104(P2001−194104A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月19日(2001.7.19) |
| 【出願番号】 |
特願2000−310(P2000−310) |
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