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【発明の名称】 2つの直交する試験信号のオフセットを補償する装置
【発明者】 【氏名】クラウス、ディートマイヤー

【要約】 【課題】できるだけ簡単にオフセット補償を行う装置を提供する。

【解決手段】2つのセンサ2,3から供給される2つの直交信号センサ信号S(x)およびS(y)のオフセットを補償し、角度の測定に好適に設計された装置において、3対の測定値のうち少なくとも1対が前回のテストサイクルにおいて用いられた測定値の対と異なり、訂正手段が訂正信号KxおよびKyを生成し、これらの訂正信号によりセンサ信号S(x)およびS(y)が補完され、訂正手段が各測定サイクルにおいてオフセット訂正信号Kxを前回の測定サイクルのオフセット訂正信号Kxと比較して中心座標Δxの符号に依存して訂正値KWxだけ増大または減少させ、かつ、同様に、訂正手段が各測定サイクルにおいて上記オフセット訂正信号Kyを前回の測定サイクルのオフセット訂正信号Kyと比較して中心座標Δyの符号に依存して訂正値KWyだけ増大または減少させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】2つのセンサから供給される2つの直交センサ信号S(x)およびS(y)のオフセットを補償し、角度の測定に好適に設計された装置であって、前記オフセット補償は、前記センサ信号S(x)およびS(y)の3対の試験値P1(x1,y1)、P2(x2,y2)およびP3(x3,y3)の座標系での幾何学的配置に依存して発生し、前記3対の試験値P1(x1,y1)、P2(x2,y2)およびP3(x3,y3)が前記座標系において周上に位置する円の中心が前記座標系の原点に対して中心座標ΔxおよびΔyを有し、前記3対の試験値P1(x1,y1)、P2(x2,y2)およびP3(x3,y3)が周上に位置する前記円の前記中心座標ΔxおよびΔyの値の符号の決定を各測定サイクルにおける繰り返しサイクルにおいて実行する訂正手段を備え、この一方、各測定サイクルにおいて、前記試験値対のうち少なくとも1対が前回の前記テストサイクルにおいて用いられた前記試験値対と異なり、前記訂正手段が訂正信号KxおよびKyを生成し、これらの訂正信号により前記センサ信号S(x)およびS(y)が補完され、前記訂正手段が各測定サイクルにおいて前記オフセット訂正信号Kxを前記中心座標Δxの符号に依存して前回の測定サイクルのオフセット訂正信号Kxと比較して訂正値KWxだけ増大させまたは減少させ、かつ、前記訂正手段が各測定サイクルにおいて前記オフセット訂正信号Kyを前記中心座標Δyの符号に依存して前回の測定サイクルのオフセット訂正信号Kyと比較して訂正値KWyだけ増大させまたは減少させることを特徴とする装置。
【請求項2】2つの積分器をさらに備え、これらの積分器によって前回のサイクルのオフセット訂正信号KxおよびKyが今回のサイクルの訂正値KWXおよびKWyのそれぞれだけ各サイクルにおいて増大されまたは減少されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】前記訂正値KWxおよびKWyは、一定のプログラム可能な量であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】前記訂正手段は、前回のサイクルにおける中心座標Δxが今回のサイクルと同一の符号を有した場合にサイクル中で前記訂正値KWxを倍にし、前回のサイクルにおける中心座標Δyが今回のサイクルと同一の符号を有した場合にサイクル中で前記訂正値KWyを倍にすることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】前記訂正手段は、オフセット訂正信号の算出において、対をなす試験値P1(x1,y1)、P2(x2,y2)およびP3(x3,y3)の取り込みのみを行い、前記オフセット訂正信号の算出においては、座標系における前記3対の試験値P1(x1,y1)、P2(x2,y2)およびP3(x3,y3)を結ぶ直線G12とG13は、少なくとも5°の角度を互いに含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】前記オフセット訂正信号KxおよびKyの値をプログラムされた制限値またはプログラム可能な制限値に制限するリミッタをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】前記装置が始動されるごとに、前記制限値がセットされる初期化が実行されることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】前記装置が始動されるごとに、初期化が実行され、前記初期化においては、前記訂正手段が前記オフセット訂正信号KxおよびKyの初期値の設定を行うことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】前記訂正手段は、次の判定式【数1】

に従って、前記3対の試験値P1(x1,y1)、P2(x2,y2)およびP3(x3,y3)の中心座標Δxの符号判定を実行し、上記判定式には、次の等式が成立する【数2】

ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】前記訂正手段は、次の変換方程式KS{x,y}→KS{y‘,x‘}
を用いて変換された座標系KS‘における前記3対の試験値P1(x1,y1)、P2(x2,y2)およびP3(x3,y3)の中心座標Δyの符号判定を次の判定式に従って実行し、【数3】

上記判定式には次の等式が成立する【数4】

ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2つのセンサ2,3から供給される2つの直交信号センサ信号S(x)およびS(y)のオフセットを補償し、角度の測定に好適に設計された装置であって、上記オフセット補償が、上記センサ信号S(x)およびS(y)の3対の試験値P1(x1,y1)、P2(x2,y2)およびP3(x3,y3)の座標系での幾何学的配置に依存して発生し、上記3対の試験値P1(x1,y1)、P2(x2,y2)およびP3(x3,y3)が上記座標系において周上に位置する円が上記座標系の原点に対して中心座標ΔxおよびΔyを有する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】多くの既知の測定システムは、相互に直交する、即ち、相互に90°の位相シフトを示す2つの試験信号から測定すべき値を決定する。こうして一方の測定チャネルが、確認すべき量の正弦に比例する試験量を生成し、他方の測定チャネルが確認すべき量の余弦に比例する信号を生成する。このような装置は、例えば角度測定システムにおける角度の算出を可能にする。ここでは、信号の振幅値における変化は、温度とともに、または2つのチャネルにおける他の影響により、この振幅が同じように変化する限り、重要でない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、いわゆるオフセットは、測定精度に好ましくない影響を及ぼす。これらのオフセットは、重畳された直流の電圧または電流信号と見なしてよく、これらは最小限に減少されるべきである。センサの製造におけるオフセット補正は、煩雑な方法であり、回避される。これに代えて、アプリケーション環境におけるオフセット補正の実行が企図される。
【0004】米国特許第5,297,063は、この目的のための装置であって、3つの試験値が周上に位置する円の中心を計算することによりオンラインでのオフセット補償を実行する装置を開示する。この円は、既知の幾何学的関係から計算することができる。この装置の不利な点は、処理が比較的複雑であり、かつ、マイクロプロセサを必要とすることである。
【0005】本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、できるだけ簡単にオフセット補償を行う装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、3対の試験値P1(x1,y1)、P2(x2,y2)およびP3(x3,y3)が周上に位置する円の中心座標値ΔxおよびΔyの符号判定を各測定サイクルにおける繰り返しサイクルで実行する訂正手段を備え、この一方、各測定サイクルにおいて、上記3対の試験値のうち少なくとも1対が前回の上記テストサイクルにおいて用いられた試験値の対と異なり、上記手段が訂正信号KxおよびKyを生成し、これらの訂正信号により上記センサ信号S(x)およびS(y)が補完され、上記訂正手段が各測定サイクルにおいて上記オフセット訂正信号Kxを前回の測定サイクルの上記オフセット訂正信号Kxと比較して上記中心座標Δxの符号に依存して訂正値KWxだけ増大または減少させ、かつ、同様にして、上記訂正手段が各測定サイクルにおいて上記オフセット訂正信号Kyを前回の測定サイクルのオフセット訂正信号Kyと比較して上記中心座標Δyの符号に依存して訂正値KWyだけ増大または減少させることにより、上述した目的が達成される。
【0007】本発明にかかる装置は、幾何学的関係に基づいて動作する。この幾何学的関係とは、即ち、試験信号S(x)およびS(y)から引き出された3対の試験値は、その中心が2つのセンサ信号S(x)およびS(y)のオフセットΔxおよびΔyであることを特徴とする円周上にある、という関係である。本発明にかかる装置は、上記オフセットΔxおよびΔyの正確な計算を実行しない。これにより、支出は、できるだけ小さなものに維持される。オフセットΔxおよびΔyの上記計算に代えて、値ΔxおよびΔyの符号のみが判定される。このことは、実質的に計算がより簡単であり、しかし、非常に良好な訂正が可能になる。このことは、各測定サイクルにおいて、3対の試験値についての補正を毎回行うことにより達成される。これにより、選択されたステップサイズの変化に依存して、ΔxおよびΔyの値に必要な訂正量が各訂正動作でより小さくなり、ΔxおよびΔyは、可能な限り小さな値に調整される。これにより、最適化されたオフセット補償が得られる。
【0008】この目的のために、ΔxおよびΔyの値の符号判定をサイクリックに実行する訂正手段が装置内に備えられる。ΔxおよびΔyは、ここでは円の中心座標をなし、この円の周上には、3対の試験値P1(x1,y1)、P2(x2,y2)およびP3(x3,y3)が配置される。これら試験値の対は、既に決定されたものでなければならず、かつ、少なくとも1対の試験値は、前回の測定サイクルにおいて用いられた試験値と異なるものでなければならない。
【0009】上記訂正手段は、さらに、上記センサ信号S(x)およびS(y)に重畳されるオフセット訂正信号KxおよびKyを生成する。こうして、上記センサ信号S(x)およびS(y)が上記オフセット訂正信号KxおよびKyにより訂正される。これにより、これらの信号のオフセット補償が達成される。
【0010】このことは、2つのオフセット訂正信号について同様に、しかし互いに独立して行われる。まず、このようにして、上記中心座標Δxの上記符号が、各測定サイクルにおけるオフセット訂正信号Kxのために、3対の試験値P1(x1,y1)、P2(x2,y2)およびP3(x3,y3)について判定される。次に、この符号に依存して、オフセット訂正信号Kxが、判定された上記符号に依存して、訂正値KWxだけ増大または減少される。このオフセット訂正信号Kxは、前回サイクルの信号からスタートする。即ち、オフセット訂正信号Kxは、各サイクルにおいて、そのサイクルで判定された中心座標Δxの値に依存して訂正値KWxだけ増大または減少される。この方法では、オフセット訂正信号Kxは、各サイクルにおいて中心座標Δxの値が継続的に減少して、選択された訂正値KWxの値に依存する最小値に近づくように、増大または減少される。これは、反復されるプロセスであり、このプロセスにおいては、オフセット補償が幾度かの測定手順、即ち、幾度かの測定サイクル期間内で発生し、このプロセスは、最適のプロセスに近く、しかしながら、Δxの値の符号を判定するだけで十分なので、非常に小さな支出しか要求されない。
【0011】信号S(y)についてオフセット補償を得るプロセスは、センサ信号S(x)を参照しながら上述したプロセスに一致する。しかしながら、両方の信号についてのオフセット補償は、相互に独立して実行される。
【0012】オフセット訂正信号Kxにおいて、各サイクルで適用される訂正値KWxだけの変化は、本発明の実施の一態様として請求項2に記載される2つの積分器により、安価に提供すると好適である。これにより、これらの積分器は、各測定サイクルにおいて供給すべきオフセット訂正信号の変化が増大方向の訂正値だけの変化であるのか、減少方向への訂正値だけの変化であるのかを指示する信号のみを受け取る。これにより、前回サイクルのオフセット訂正信号をなす、既に積分された値が新たな訂正値だけ増大しまたは減少する。
【0013】上記訂正値KWxおよびKWyは、請求項3に記載される本発明の他の実施態様において備えられるように、プログラム可能な量でもよい。これにより、上記訂正値を例えば適用分野に応じて異なる値にプログラムしてもよい。
【0014】各サイクルにおいて訂正値KWxおよびKWyが同一の値を有するのであれば、そのときは、各サイクルにおいてオフセット補償の訂正にこの値を供給するだけでよい。ケースによって、より迅速なオフセット補償が望まれたり、または必要なときは、請求項4にかかる本発明のさらに他の実施態様におけるように、KWxおよびKWyの値を定数として選択するのでなく、前回のサイクルにおいて2つの中心座標ΔxおよびΔyについて求められた符号と前回のサイクルにおいて選択された訂正値KWxおよびKWyとに応じて決定すると好適である。これは、例えば、前回の測定サイクルn−1において、中心座標Δxについて今回の測定サイクルnと同一の符号が判定された場合に、測定サイクルnにおいて訂正値KWxを倍にすることにより、実行される。これにより、センサ信号S(x)に関するオフセット補償は、同一の方向で、即ち、前回のサイクルランにおける符号と同一の符号で発生しなければならない、ということが認められる。より大きなオフセット訂正が同一の方向で必要とされていると推定できるので、この場合は、訂正値KWxを倍にすると好適である。このプロセスは、座標Δxの符号が変化するまで、反復し、これにより、KWxの本来の値への回帰がなされる。この本来の値は、固定値でもよいし、プログラム可能な値でもよい。この結果、幾度かの連続するサイクルにおいて同一の符号を有する信号S(x)のオフセットエラーが検知されたときはいつでも、オフセット補正の訂正プロセスがスピードアップされる。信号S(y)についての手順は、明らかに同一であり、また、信号S(x)の訂正と独立である。即ち、KWxおよびKWyの値における変化は、相互に独立して供給される。
【0015】中心座標ΔxおよびΔyの値を十分正確に取得するため、また、これにより、オフセット補償を十分正確に行なうために、請求項5にかかる本発明のさらに別の実施態様によれば、上記3対の試験値P1(x1,y1)、P2(x2,y2)およびP3(x3,y3)が所定の幾何学的要求を満たし、この結果、中心座標ΔxおよびΔyの符号の判定が十分な正確さで可能になる。
【0016】請求項6にかかる本発明のさらに別の実施態様により、オフセット訂正信号KxおよびKyが無作為な値を呈し得ないように、リミッタによりこれらの訂正信号を制限すると好適である。このような制限動作により、信号のエラーがより長い期間継続することによるアルゴリズムの発散を防止することができる。
【0017】請求項4にかかる発明により供給される可変訂正値KWxおよびKWyを組み合わせて、上記制限値に達したときに上記訂正値KWxおよびKWyをそれぞれの初期値にリセットするようにしてもよい。
【0018】上記制限のための制限値は、請求項7にかかる本発明のさらに別の実施態様により提供されるように、装置を初期化するときにセットしてもよい。
【0019】請求項8に記載するように、上記オフセット訂正信号KxおよびKyの開始値の設定は、このような初期化中に実行してもよい。
【0020】請求項9および10は、本発明のさらに別の実施態様においてセンサ信号S(x)およびS(y)を調整するために、3対の試験値P1(x1,y1)、P2(x2,y2)およびP3(x3,y3)に基づいて、これらの請求項内で指示された具体的な方程式により比較的簡単に符号を判定する方法を具体的な条件(term)で指示する。請求項10によれば、中心座標Δyの符号を判定するために座標変換が実行される。これは、この方法においてΔyの符号を判定するために、請求項9に従って用いられたΔxを判定するための方程式と同様の方程式を用いることができるからである。これは、対をなす試験値の関連する座標値を方程式に代入するだけで十分である。他の値については、変換されているので、中心座標ΔxおよびΔyについて方程式は同一である。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態について図面を参照しながらより詳細に説明する。
【0022】図1は、デカルト座標系x/yを示す。このデカルト座標系内には、3対の試験値P1(x1,y1)、P2(x2,y2)およびP3(x3,y3)が記入されている。このような表現は、ある所与の瞬間t1においてセンサ信号S(x)およびS(y)の値が決定され、これにより、値P1(x1,y1)が座標系x/yにおいて得られるようにするためであると解釈すべきである。センサS(x)およびS(y)は、相互に直交するため、これらは、次のように記載することができる。
【0023】
【数5】

上記方程式において、αは、計算すべき量、例えば決定すべき角度である。センサ信号の振幅Aは、数5においてAが同一であれば、試験値の計算において必須ではない。
【0024】試験値の対を図1に示すように、デカルト座標系にプロットすると、これらはある円を定義する。この円の半径は、振幅Aに依存し、従って温度に依存することがある。求めるべき量は、次式が成立するので、Aから独立する。
【0025】
【数6】

しかしながら、ここで、2つの信号の1つが直流成分、即ち、オフセットを含むときは、上述の記載で与えられた方程式がもはや成立しないため、数6に従って評価をすれば誤った結果がもたらされる、という問題が発生する。
【0026】このような場合を図1において例証する。図1において3対の試験値P1(x1,y1)、P2(x2,y2)およびP3(x3,y3)は、センサS(x)およびS(y)の何らかの試験値を表し、このセンサ信号用のオフセット訂正の各サイクルにおいて少なくとも1対の試験値を新たに決定しなければならない。図1の図形は、上述の関係による1つの円の円周上に上記3対の試験値があることを示す。この円の中心とそのデカルト座標系における座標ΔxおよびΔyの決定は、点P1(x1,y1)と点P2(x2,y2)とを結ぶ線分G12の垂直2等分線S12と、点P2(x2,y2)と点P3(x3,y3)とを結ぶ線分G23の垂直2等分線S23とをそれぞれ形成することにより非常に簡単に実行できる。これらの垂直2等分線S12とS23との交点は、座標ΔxおよびΔyを有する円心をなす。これらの座標ΔxおよびΔyは、2つのセンサ信号用のオフセットである。
【0027】しかしながら、中心座標ΔxおよびΔyの正確な値を直接計算することは、非常に大変であり、本発明によれば、関連する中心座標ΔxおよびΔyのそれぞれの符号のみを判定することにより、このことが回避される。
【0028】これは、反復する測定サイクルにおいて達成される。新たな測定サイクルランのそれぞれにおいて、座標ΔxおよびΔyの符号を計算するために、新たな試験値対P1(x1,y1)、P2(x2,y2)およびP3(x3,y3)が取得される。これら3対の試験値のうち少なくとも1対は、前回のサイクルにおいて用いられた試験値の対と比較して新しくなければならない。
【0029】次に、3対の試験値P1(x1,y1)、P2(x2,y2)およびP3(x3,y3)の幾何学的または数学的な相互関係に基づいて中心座標ΔxおよびΔyの符号を判定できる方法について説明する。
【0030】試験値対P1(x1,y1)とP2(x2,y2)とを結ぶ線分G12の中点M12と、2対の試験値P2(x2,y2)とP3(x3,y3)とを結ぶ線分G23の中点M23は、以下のように計算することができる。
【0031】
【数7】

上記2式は、次のように、直線G12の傾きに適用できる。
【0032】
【数8】

垂直2等分線S12が直線G12に対して垂直であるため、この垂直2等分線の傾きについて次式が成立する。
【0033】
【数9】

ここでy切片bS12が垂直2等分線S12の直線方程式を十分に決定するために残る。接続線上の既知の点M12を用いると、一般的な直線方程式から次式が得られる。
【0034】
【数10】

これまでに既知となった値aS12とbS12とを用いると、次の直線方程式が得られる。
【0035】
【数11】

同様にして、垂直2等分線S23の次の直線方程式が得られる。
【0036】
【数12】

各定数は、次の通りである。
【0037】
【数13】

垂直2等分線S12と垂直2等分線S23の2つの結果を等しくすることにより、2つの直線の交点が座標ΔxおよびΔyとともに得られる。
【0038】
【数14】

従って、方程式10の分数の分子の符号がその分母の符号と等しければ、中心座標Δxについては、Δx>0が成立する。これらの符号が異なっていれば、Δx<0が成立する。
【0039】本発明にかかるオフセット補償装置については、このような符号判定で既に十分である。
【0040】しかしながら、方程式11から符号を判定することは、より複雑であると思われる。従って、座標軸の交換が発生するような方法で座標変換を実行すると好適である。ここで、次の変換条件が適用される。
【0041】KS{x,y}→KS{y‘,x‘}
ここで、原則として座標軸が交換され、従ってまたこれに伴って試験値対のx値とy値が交換されるので、Δyについては、以下の方程式が得られる。
【0042】
【数15】

方程式に代入される値は、次の通りである。
【0043】
【数16】

このようにしてΔyの方程式の分数の符号判定によりΔyの符号判定を達成することができる。また、上記分数の分子の符号が分母の符号と等しければΔyが0以上であることが成立する。2つの式の符号が等しくなければ、Δy<0となる。
【0044】この方法には、ΔxおよびΔyの方程式が同一の基礎構造を有し、従って、2つの値を同様の方法で決定できるという利点が伴う。即ち、3対の試験値P1(x1,y1)、P2(x2,y2)およびP3(x3,y3)の異なる座標値を方程式に代入すれば十分なのである。
【0045】本発明にかかる装置は、これらの方程式に従って各サイクルでΔxおよびΔyの符号を判定し、センサ信号S(x)およびS(y)をオフセット訂正信号KxおよびKyを用いて修正する。KxおよびKyの値は、各サイクルにおいて、関連するサイクルにおいて判定されたΔxおよびΔyの値の符号に依存する。こうしてΔxおよびΔyの値の減少が各サイクルランにおいて達成され、これにより、オフセットは最小となる。
【0046】このことを以下において図2を参照しながらより詳細に説明する。図2は、一面では角度を決定する装置を示し、この角度決定装置内に本発明にかかるオフセット補償用の装置がまた備えられる。
【0047】図2は、これらの装置をブロック図の形式で示す。センサ装置1がまた備えられ、センサ装置1は2つのセンサ2,3を備え、さらに、センサ2,3はまた4つのセンサ素子を備え、これらのセンサ素子は、測定ブリッジをなすように配設される。2つのセンサ2,3は、相互に直交するセンサ信号S(x)およびS(y)を供給するように相互に配置される。従って、信号S(x)およびS(y)は、位相が相互に90°シフトされる。
【0048】センサ信号S(x)およびS(y)は、角度決定装置4に供給される。装置4において、センサ信号S(x)は、アナログ/ディジタルコンバータ5に供給され、また、センサ信号S(y)は、アナログ/ディジタルコンバータ6に供給される。角度計算手段7は、これらのディジタル化されたセンサ信号S(x)およびS(y)について図1を参照しながら説明した上述の相互関係から所望の角度αを決定する。
【0049】手段7は、この角度αを指示する信号Wを供給する。
【0050】前述したように、センサ信号S(x)およびS(y)がオフセット、即ち、直流成分を含まない、ということは、最適化された精度で角度を測定するための条件である。
【0051】センサ信号S(x)もしくはS(y)、またはセンサ信号S(x)およびS(y)内に存在するいずれの直流成分をも最小にするため、本発明にかかるオフセット補償用の装置は、訂正手段10を備え、この訂正手段10は装置4内に備えられる。
【0052】訂正手段10は、制御11を備え、この制御11にディジタル化されたセンサ信号S(x)およびS(y)が供給される。
【0053】訂正手段10は、その出力としてオフセット訂正信号KxおよびKyを生成し、これらの信号KxおよびKyは、ディジタル化されたセンサ信号S(x)およびS(y)に重畳される。このようにして、ディジタル化されたセンサ信号S(x)およびS(y)にオフセット訂正が実行され、これにより、角度計算手段がエラーなしで角度値Wを決定できる。この間、訂正手段11は、角度計算手段7とは独立に動作し、オフセット訂正をサイクリックに実行する。
【0054】各サイクルにおいて、訂正手段11は、まず、3対の試験値の座標値を収集する。これらの試験値は、ディジタル化されたセンサ信号S(x)およびS(y)から引き出された値である。従って、3対の試験値P1(x1,y1)、P2(x2,y2)およびP3(x3,y3)の座標が収集される。これらの試験値は、原則としては全く何でもよいが、図1に示す円の円周上であまりに相互に近接して位置するものであってはならない。さらに、これら3対の試験値のうち少なくとも1対は、前回のサイクルで用いられた試験値対と異なるものでなければならない。このために、次の基準、例えば図1の直線G12およびG23は少なくとも互いに5°、好ましくは互いに10°の角度を含むべきであることを考慮すると良い。
【0055】訂正手段10内の制御11がこれら3対の試験値を収集した後は、ΔxおよびΔyの符号を上述において与えられた方程式から判定することができる。これは制御11において実行される。このプロセスは、上述で解明された幾何学的関係と方程式に基づいて実行される。
【0056】この符号判定が完了すると、制御11は、確認された符号に応じた信号を積分器12,14に供給する。積分器12および14は、その出力端にオフセット訂正信号KxおよびKyをそれぞれ供給する。リミッタ13,15を積分器12および14の出力にそれぞれ接続し、これらのリミッタがオフセット訂正信号を制限して、関連する制限値に至った直後にオフセット訂正信号KxおよびKyを狙いの値、または初期値にリセットすることとしても良い。
【0057】上述したとおり、制御11は、3対の試験値P1(x1,y1)、P2(x2,y2)およびP3(x3,y3)に基づいて、求められた値Δxの符号に対応する信号を新たなサイクルランごとに積分器12に与える。3対の試験値のうち、少なくとも1対は、新たな試験値である。積分器12は、前回のサイクルランにわたって積分器を介して形成されたオフセット訂正信号Kxをまず供給する。例えば、現在のサイクルランnについて値Δx≧0であると判明すれば、対応する信号が積分器12に与えられ、また、前回のサイクルのオフセット訂正信号Kxの値が積分器12により訂正値KWxだけ増大される。従って、オフセット訂正信号Kxの値は、次のサイクルにおいてKWxだけ大きい。同様にして、制御11がΔx≦0と検知すると、オフセット訂正信号Kxの値は、訂正値KWxだけ減少される。この方法において、オフセット訂正信号は、各サイクルにおいてΔxの符号に依存して訂正値KWxだけ継続的に増大されまたは減少される。これにより、Δxの値の最小化が達成され、実際にこの信号、即ち、センサ信号S(x)のオフセット補償に等しくなる。制御11と積分器14は、対応する方法でΔyの符号に基づいて信号S(y)のオフセット訂正を実行する。
【0058】ここで、2つのセンサ信号S(x)およびS(y)のオフセット訂正は、相互に独立して発生し、これにより、ΔxおよびΔyの符号判定が同様に相互に独立しており、積分器12および14の動作も同様に相互に独立であるということに注目されたい。
【0059】上述したとおり、積分器12,14は、リミッタ13,15をそれぞれ有し、リミッタ13,15は、これら積分器12,14の下流側にそれぞれ接続されてオフセット訂正信号KxおよびKyを制限することとしてもよい。さらに、リミッタ13,15は、制限に至った直後に積分器12,14をリセットし、この結果、各サイクルで発生する、訂正信号KxおよびKyを生成するための積分プロセスがその開始値で再開することとしてもよい。制限値に至るとシステムが永久的に妨害された状態となり、これにより、リセットが要求されると考えられるので、このことは理にかなう。
【0060】上述した記載は、値、例えばオフセット訂正信号Kxの値がKWxの値だけ増大しまたは減少し、かつ、KWxの値が常に同一であるという状況に基づいたものである。このKWxの値は、固定的にプログラムされたものでもよいし、また、用いられるアプリケーションに依存するものでもよい。
【0061】しかしながら、これとは別に、訂正値KWxをその前歴に応じて流動的に選択することとしてもよい。この場合、前回のサイクルn−1において座標Δxについて現在のサイクルnにおいて求められた符号と同一の符号が求められた場合に、KWxの値は、サイクルnにおいて2倍にされる。2つの連続するサイクルにおいて同一の値がΔxについて求められると、いずれのサイクルにおいてもオフセット訂正が同一の方向で発生しなければならないことが明らかなので、このことは理にかなう。このことは、この方向で比較的大きなオフセット訂正エラーがあることを高い可能性で意味する。このため、ステップサイズを増大させ、これによりオフセット訂正信号K(x)をこの方向で修正すると便利である。前回のサイクルで求められたΔxの符号と同一の符号が求められるサイクルごとに、訂正値KWxを前回での訂正値KWxと比較して2倍にすることとすると好適である。この2倍化は、Δxの符号が変化するまで維持される。符号の変化が検知されると、最後の訂正ステップのKWxは、あまりに値が大きいので、次のステップでは実行されない。その後、このプロセスは、最小の訂正値で再び継続される。
【0062】この2倍化は、図2に記載された構成で、例えば制御11が関連する信号を積分器12に供給し、次に積分器12が積分プロセス内で対応する回数だけ訂正値KWxを含むことにより達成してもよい。
【0063】信号S(y)のオフセット補償の訂正が類似の方法で発生するのは明らかであり、この信号のオフセット訂正が中心座標Δyの符号に依存するという点で、制御11や積分器14は類似の方法で動作する。
【0064】この場合、瞬間的な中心座標ΔxまたはΔyの符号と前回サイクルでの関連する座標の符号との適用可能な比較が各サイクルにおいて実行され、積分器12または14にそれぞれ信号が与えられる。
【0065】本発明にかかる装置により、発生し得るいかなるオフセットまたは直流成分についても、センサ信号S(x)およびS(y)がオフセット訂正信号KxおよびKyにより相互に独立に訂正され、これにより、角度計算手段7が角度計算を最適に実行できるということが達成される。プロセスは比較的簡単であり、これは、中心座標ΔxおよびΔyの符号を判定するだけで十分であり、また、求められた符号に依存して制御11が積分器12,14に制御信号を供給し、認定されたΔxおよびΔyの符号に基づいて、積分されたオフセット訂正信号KxおよびKyを各サイクルにおいて適切に訂正するからである。
【0066】特に、マイクロプロセサまたは同様のものが必要になることもある、ΔxおよびΔyの複雑でない正確な決定には、本発明にかかる装置で実行する必要がある。
【0067】
【発明の効果】以上詳述したとおり、本発明にかかる装置は、安価に行われるべきオフセット補償に実質的な不利がなく、簡易なものに維持することができる。
【出願人】 【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【出願日】 平成12年4月10日(2000.4.10)
【代理人】 【識別番号】100064285
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 一雄 (外3名)
【公開番号】 特開2001−174253(P2001−174253A)
【公開日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願番号】 特願2000−108652(P2000−108652)