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【発明の名称】 レーザ衝撃ピーニングにおいて閉込め媒質の流れの条件設定及び制御を行うための方法
【発明者】 【氏名】ウェイン・リー・ローレンス

【氏名】リチャード・ユージーン・クラッセン

【要約】 【課題】加工物のレーザ衝撃ピーニング(LSP)において閉込め媒質を流すための透明閉込め媒質ノズルの条件設定方法の提供。

【解決手段】閉込め媒質ノズル123を通して閉込め媒質を流し、かつ閉込め媒質の流量を設定する工程Aと、ノズル123を通して被加工表面154上に閉込め媒質を流すように、ノズル123の位置決めを行う工程Bと、被加工表面154と反対側に位置する被加工物の側壁148に取付けられた超音波変換器の使用により、被加工表面154上における閉込め媒質層の厚さを測定する工程を経て設定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 加工物(108)のレーザ衝撃ピーニング(LSP)に際して閉込め媒質(121)を流すための透明閉込め媒質ノズル(123)の条件設定を行うための方法において、レーザ衝撃ピーニングを施すべき加工物(108)の1つのパッチ(145)に関連した試験片の相関表面(154)上の少なくとも1つの点(A)に関し、前記閉込め媒質ノズル(123)を通して前記閉込め媒質(121)を流しかつ前記閉込め媒質の流量を設定する工程Aと、前記ノズル(123)を通して前記相関表面(154)上に前記閉込め媒質(121)を流すように前記ノズル(123)の位置決めを行う工程Bと、前記相関表面(154)の反対側に位置する前記試験片の側壁(148)に取付けられた超音波変換器(20)の使用により、前記相関表面(154)上における閉込め媒質層の厚さ(T)を測定する工程Cとを実施することを含む方法。
【請求項2】 前記試験片が前記加工物(108)であり、かつ前記相関表面が前記加工物(108)の第1の側壁上にある第1のレーザ衝撃ピーニング表面(154)である請求項1記載の方法。
【請求項3】 前記工程Cにおいて測定された閉込め媒質層の厚さ(T)を閉込め媒質層の厚さ(T)に関する所定の値又は値範囲と比較する工程Dと、前記工程Dにおける比較結果に基づき、前記閉込め媒質の流量及び(又は)前記ノズルの位置を再設定すべきか、あるいは前記工程Aにおいて設定された前記閉込め媒質の流量及び前記ノズルの位置を使用しながら前記加工物(108)のレーザ衝撃ピーニング(LSP)を続行すべきかを決定する工程Eとを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項4】 前記閉込め媒質の流量及び前記ノズルの位置の少なくとも一方を再設定して前記工程C、D及びEを繰返す工程Fを更に含む請求項3記載の方法。
【請求項5】 前記加工物(108)の前記パッチ(145)上におけるレーザ衝撃すべきスポットの中心点(A)に関して前記工程B及びCが実施される請求項2記載の方法。
【請求項6】 前記加工物(108)の前記パッチ(145)上におけるレーザ衝撃すべき複数のスポット(158)の対応する複数の中心点に関して前記工程B及びCが実施される請求項2記載の方法。
【請求項7】 前記工程Cにおいて前記点の各々に関し測定されかつ記録された閉込め媒質層の厚さ(T)を閉込め媒質層の厚さ(T)に関する所定の値又は値範囲と比較する工程Dと、前記工程Dにおける比較結果に基づき、前記閉込め媒質の流量及び前記ノズルの位置の少なくとも一方を再設定すべきか、あるいは前記工程Aにおいて設定された前記閉込め媒質の流量及び前記ノズルの位置を使用しながら前記加工物(108)のレーザ衝撃ピーニング(LSP)を続行すべきかを決定する工程Eとを更に含む請求項6記載の方法。
【請求項8】 前記閉込め媒質の流量及び前記ノズルの位置の少なくとも一方を再設定して前記工程C、D及びEを繰返す工程Fを更に含む請求項7記載の方法。
【請求項9】 レーザ衝撃ピーニング(LSP)用の少なくとも1つの固定レーザビーム(102)発生源及び前記加工物(108)を保持する制御可能な第1のマニプレータ(127)を具備したレーザ衝撃ピーニング装置(10)において前記方法が実施されると共に、前記加工物(108)のレーザ衝撃ピーニング(LSP)に際して前記加工物の姿勢及び位置を整合させるため、前記工程A及びBの間において前記加工物の姿勢及び位置の少なくとも一方が前記第1のマニプレータ(127)によって調整される請求項7記載の方法。
【請求項10】 前記閉込め媒質の流量及び前記ノズルの位置の少なくとも一方を再設定して前記工程C、D及びEを繰返す工程Fを更に含む請求項9記載の方法。
【請求項11】 前記ノズルの位置の設定及び再設定が前記ノズル(123)を保持する制御可能な第2のマニプレータ(18)を用いて行われる請求項9記載の方法。
【請求項12】 前記工程A〜Eが第1組の工程を成す場合において、前記工程A〜Eが第1のレーザ衝撃ピーニング表面(154)に関して実施された後、第1の側壁上にある第1のレーザ衝撃ピーニング表面(154)の反対側に位置する前記加工物(108)の第2の側壁上にある前記加工物(108)の第2のレーザ衝撃ピーニング表面(155)に関して第2組の工程A〜Eが実施される請求項7記載の方法。
【請求項13】 前記第1組及び第2組の工程が、前記閉込め媒質の流量及び前記ノズルの位置の少なくとも一方を再設定して前記第1組及び第2組の工程中の前記工程C、D及びEを繰返す工程Fを更に含む請求項12記載の方法。
【請求項14】 レーザ衝撃ピーニング(LSP)用の少なくとも1つの固定レーザビーム(102)発生源及び前記加工物(108)を保持する制御可能な第1のマニプレータ(127)を具備したレーザ衝撃ピーニング装置(10)において前記方法が実施されると共に、前記加工物(108)のレーザ衝撃ピーニング(LSP)に際して前記加工物の姿勢及び位置を整合させるため、前記工程A及びBの間において前記加工物の姿勢及び位置の少なくとも一方が前記第1のマニプレータ(127)によって調整される請求項13記載の方法。
【請求項15】 前記ノズルの位置の設定及び再設定が前記ノズル(123)を保持する制御可能な第2のマニプレータ(18)を用いて行われる請求項14記載の方法。
【請求項16】 製造加工物(108)のレーザ衝撃ピーニング(LSP)プロセス中において流れる閉込め媒質(121)の厚さ(T)を制御するための方法において、前記方法が、加工物(108)のレーザ衝撃ピーニング(LSP)に際して閉込め媒質(121)を流すための透明閉込め媒質ノズル(123)の条件設定を行うための条件設定操作を実施する工程と、複数の加工物(108)にレーザ衝撃ピーニング(LSP)を施す工程と、前記閉込め媒質の厚さ(T)を点検するための点検操作を実施する工程とを含んでいて、前記条件設定操作は、前記加工物(108)の第1のレーザ衝撃ピーニング表面(154)上における少なくとも1つの点(A)に関し、前記閉込め媒質ノズル(123)を通して前記閉込め媒質(121)を流しかつ前記閉込め媒質の流量を設定する工程Aと、前記ノズル(123)を通して前記第1のレーザ衝撃ピーニング表面(154)上に前記閉込め媒質を流すように前記ノズル(123)の位置決めを行う工程Bと、第1の側壁上にある前記第1のレーザ衝撃ピーニング表面(154)の反対側に位置する前記加工物(108)の第2の側壁に取付けられた超音波変換器(20)の使用により、前記第1のレーザ衝撃ピーニング表面(154)上における閉込め媒質層の厚さ(T)を測定する工程Cとを実施することから成り、また前記点検操作は、前記工程B及びCを繰返した後、前記工程Cにおいて測定された閉込め媒質層の厚さ(T)を閉込め媒質層の厚さ(T)に関する所定の値又は値範囲と比較する工程Dと、前記工程Dにおける比較結果に基づき、前記閉込め媒質の流量及び前記ノズルの位置の少なくとも一方を再設定すべきか、あるいは前記工程Aにおいて設定された前記閉込め媒質の流量及び前記ノズルの位置を使用しながら前記加工物(108)のレーザ衝撃ピーニング(LSP)を続行すべきかを決定する工程Eとを実施することから成ることを特徴とする方法。
【請求項17】 前記閉込め媒質の流量及び前記ノズルの位置の少なくとも一方を再設定して前記工程C、D及びEを繰返す工程Fを更に含む請求項16記載の方法。
【請求項18】 前記加工物(108)の前記第1のレーザ衝撃ピーニング表面(154)上におけるレーザ衝撃すべき複数のスポット(158)の対応する複数の中心点の各々に関して前記工程B及びCが実施される請求項17記載の方法。
【請求項19】 前記レーザ衝撃ピーニング(LSP)が、前記中心点の各々に関して前記加工物(108)の位置及び姿勢の少なくとも一方を変化させることを含む請求項18記載の方法。
【請求項20】 前記工程A〜Eが第1組の工程を成す場合において、前記工程A〜Eが第1のレーザ衝撃ピーニング表面(154)に関して実施された後、第1の側壁上にある前記第1のレーザ衝撃ピーニング表面(154)の反対側に位置する前記加工物(108)の第2の側壁上にある前記加工物(108)の第2のレーザ衝撃ピーニング表面(155)に関して第2組の工程A〜Eが実施される請求項19記載の方法。
【請求項21】 前記加工物(108)が前縁(LE)及び後縁(TE)を有するエーロフォイル(134)を含むガスタービンエンジン部品(108)であり、前記第1及び第2の側壁が前記エーロフォイル(134)の凸形吸引側壁(148)及び凹形圧力側壁(146)であり、かつ前記パッチ(145)が前記前縁及び前記後縁の一方に沿って配置されている請求項19記載の方法。
【請求項22】 前記超音波変換器(20)と前記エーロフォイル(134)との間にエポキシ樹脂音響結合材(175)が配置される請求項19記載の方法。
【請求項23】 前記超音波変換器(20)と前記エーロフォイル(134)との間にエポキシ樹脂音響結合材(175)が配置される請求項16記載の方法。
【請求項24】 製造加工物(108)のレーザ衝撃ピーニング(LSP)プロセス中において流れる閉込め媒質(121)の厚さ(T)を制御するための方法において、加工物(108)のレーザ衝撃ピーニング(LSP)に際して前記加工物(108)の第1の側壁上にある第1のレーザ衝撃ピーニング表面(154)上に閉込め媒質(121)を流すための透明閉込め媒質ノズル(123)の条件設定を行うための条件設定操作が実施されると共に、前記条件設定操作は、前記第1のレーザ衝撃ピーニング表面(154)上におけるレーザ衝撃すべき複数のスポット(158)の対応する複数の中心点に関し、閉込め媒質ノズル(123)を通して前記閉込め媒質(121)を流しかつ前記閉込め媒質の流量を設定する工程Aと、前記加工物(108)を保持しかつ前記加工物の姿勢及び位置を設定するために役立つ第1の制御可能なマニプレータ(127)並びに前記ノズル(123)を保持しかつ前記ノズルの姿勢及び位置を設定するために役立つ第2の制御可能なマニプレータ(18)を使用しながら、前記点の各々に関し、前記ノズル(123)を通して前記第1のレーザ衝撃ピーニング表面(154)上に前記閉込め媒質を流すように前記ノズル(123)の位置決めを行う工程Bと、第1の側壁上にある前記第1のレーザ衝撃ピーニング表面(154)の反対側に位置する前記加工物(108)の第2の側壁に取付けられた超音波変換器(20)の使用により、レーザ衝撃ピーニングを施すべき前記点のそれぞれに対応した複数の閉込め媒質層の厚さ(T)を測定しながら、前記第2のマニプレータ(18)を用いて前記ノズルの姿勢及び位置を調整する工程Cとを実施することから成る方法。
【請求項25】 それぞれの前記点上において所定の閉込め媒質厚さ(T)に等しい閉込め媒質厚さ(T)の測定値が得られるように前記点の各々に関して前記ノズルの姿勢及び位置の設定値のスケジュールを計算する工程と、前記点の各々に関する前記スケジュールに従って前記ノズルの姿勢及び位置を設定すると共に、前記点上に前記閉込め媒質(121)を流しながら前記点の各々にレーザ衝撃ピーニング(LSP)装置からのレーザビーム(102)パルスを投射することによって前記加工物(108)にレーザ衝撃ピーニング(LSP)を施す工程とを更に含む請求項24記載の方法。
【請求項26】 それぞれの前記点上において所定の閉込め媒質厚さ(T)範囲内の閉込め媒質厚さ(T)が得られるように前記点の各々に関して前記ノズルの姿勢及び位置の設定値のスケジュールを計算する工程と、前記点の各々に関する前記スケジュールに従って前記ノズルの姿勢及び位置を設定すると共に、前記点上に前記閉込め媒質(121)を流しながら前記点の各々にレーザ衝撃ピーニング(LSP)装置からのレーザビーム(102)パルスを投射することによって前記加工物(108)にレーザ衝撃ピーニング(LSP)を施す工程とを更に含む請求項24記載の方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の分野】本発明はレーザ衝撃ピーニング(LSP)に関するものであって、更に詳しく言えば、レーザ衝撃ピーニング操作に際して加工物のレーザ衝撃区域上における水又はその他の閉込め媒質の流れの条件設定及び制御を行うための方法に関する。
【0002】
【関連技術の説明】レーザ衝撃ピーニング(又は「レーザ衝撃加工」とも呼ばれる)は、加工物の表面区域にレーザ衝撃ピーニングを施すことによって付与された深い残留圧縮応力を有する領域を生み出すための方法である。通常のレーザ衝撃ピーニングは、「材料特性の変更」と称する米国特許第3850698号、「レーザ衝撃加工」と称する米国特許第4401477号、及び「材料特性」と称する米国特許第5131957号の明細書中に開示された方法と同じく、高出力パルスレーザからの1つ以上の放射パルスを用いて加工物の表面に強い衝撃波を生み出すものである。当業界において理解されかつ本明細書中において使用される意味での「レーザ衝撃ピーニング」は、レーザビーム発生源からのパルスレーザビームを用いて表面の一部分に強い局部圧縮力を生み出すものである。かかる目的は、該表面の薄い層あるいは該表面上の被膜(たとえば、テープ又はペイント)の瞬間的なアブレーション又は蒸発により、レーザビームの衝突点において爆発力を生み出すことによって達成される。
【0003】レーザ衝撃ピーニングはガスタービンエンジン分野における数多くの用途のために開発されている。かかる用途の一部は、「オンザフライレーザ衝撃ピーニング」と称する米国特許第5756965号、「レーザ衝撃ピーニングを施したガスタービンエンジン用送風機羽根縁端」と称する同第5591009号、「亀裂を防止又は転向する技術」と称する同第5569018号、「レーザ衝撃ピーニングを施したガスタービンエンジン用圧縮機羽根縁端に関するゆがみ管理」と称する同第5531570号、「レーザ衝撃ピーニングを施したターボ機械用ロータ部品」と称する同第5492447号、「接着テープで被覆されたレーザ衝撃ピーニング」と称する同第5674329号、及び「乾燥テープで被覆されたレーザ衝撃ピーニング」と称する同第5674328号の明細書中に開示されている。なお、これらの発明はいずれも本発明の譲受人に譲渡されている。
【0004】レーザピーニングは、加工物の外面に圧縮応力を有する保護層を生み出すために使用されてきた。これは、「レーザピーニング装置及び方法」と称する米国特許第4937421号明細書中に開示されているごとく、疲労破損に対する加工物の抵抗性をかなり高めることが知られている。これらの方法においては、プラズマ閉込め媒質を得るため、加工物上に流された水のカーテンを使用するか、あるいはその他何らかの方法を使用するのが通例である。このような媒質は、プラズマが急激に衝撃波圧力を発生して塑性変形をもたらし、それに伴ってLSP効果を構成する残留応力パターンを生み出すことを可能にする。水のカーテンは、加工によって発生した衝撃波を閉込めてそれをLSPを施すべき部品の材料本体中に転向させ、それによって有益な残留圧縮応力を生み出すための閉込め媒質を提供する。このような閉込め媒質はまた、加工によって生成された残骸及び使用されないレーザビームエネルギーを除去するためのキャリヤとしても役立つ。水は、ND:YAGビーム波長に対して透明であると共に製造時の取扱いが容易であり、従って理想的な閉込め媒質である。水のカーテンは、LSPを施すべき加工物又は部品の表面に連続的に接触させておくことが必要であると共に、最小の所定厚さ又は厚さ範囲を有することが必要である。多くの場合、水のカーテンは約0.02インチの深さに保つことが必要である。
【0005】現行の技術は、ビデオモニタによって閉込め媒質を絶えず監視するというものである。この場合には、オペレータは十分な注意力が要求されるばかりでなく、厚さの測定値データを得ることができない。
【0006】
【発明の概要】加工物のレーザ衝撃ピーニングに際して閉込め媒質を流すための透明閉込め媒質ノズルの条件設定を行うための本発明方法は、レーザ衝撃ピーニングを施すべき加工物の1つのパッチに関連した試験片の相関表面上の少なくとも1つの点に関して下記の工程を実施することから成っている。それらの工程は、閉込め媒質ノズルを通して閉込め媒質を流しかつ閉込め媒質の流量を設定する工程Aと、ノズルを通して相関表面上に閉込め媒質を流すようにノズルの位置決めを行う工程Bと、相関表面の反対側に位置する試験片の側壁に取付けられた超音波変換器の使用により、相関表面上における閉込め媒質層の厚さを測定する工程Cとを含んでいる。超音波変換器は、相関表面の反対側に位置する試験片の側壁に取付けられている。本発明の実施の一態様に従えば、加工物が試験片として使用され、そして相関表面は加工物の第1の側壁上にある第1のレーザ衝撃ピーニング表面である。本発明の好適な実施の態様は、工程Cにおいて測定されかつ記録された閉込め媒質層の厚さを閉込め媒質層の厚さに関する所定の値又は値範囲と比較する工程Dと、工程Dにおける比較結果に基づき、閉込め媒質の流量及び(又は)ノズルの位置を再設定すべきか、あるいは工程Aにおいて設定された閉込め媒質の流量及びノズルの位置を使用しながら加工物のレーザ衝撃ピーニングを続行すべきかを決定する工程Eとを更に含んでいる。必要ならば、閉込め媒質の流量及びノズルの位置の少なくとも一方を再設定して工程C、D及びEを繰返す工程Fが実施される。
【0007】本発明の実施の一態様に従えば、レーザ衝撃ピーニングを施すべき加工物のパッチ上における複数の点に関して工程B及びCを実施することが要求される。この場合、工程Dにおいては、工程Cにおいて各々の点に関し測定されかつ記録された閉込め媒質層の厚さが閉込め媒質層の厚さに関する所定の値又は値範囲と比較される。次いで、工程Eを実施することにより、工程Dにおける比較結果に基づき、閉込め媒質の流量及び(又は)ノズルの位置を再設定すべきか、あるいは工程Aにおいて設定された閉込め媒質の流量及びノズルの位置を使用しながら加工物のレーザ衝撃ピーニングを続行すべきかが決定される。必要ならば、閉込め媒質の流量及び(又は)ノズルの位置を再設定して工程C、D及びEを繰返す工程Fが実施される。
【0008】本発明の方法は、レーザ衝撃ピーニング用の少なくとも1つの固定レーザビーム発生源及び加工物を保持する制御可能な第1のマニプレータを具備したレーザ衝撃ピーニング装置において実施されることが好ましい。工程A及びBの間においては、加工物のレーザ衝撃ピーニングに際して加工物の姿勢及び位置を整合させるため、加工物の姿勢及び(又は)位置が第1のマニプレータによって調整される。なお、ノズルの位置の設定及び再設定はノズルを保持する制御可能な第2のマニプレータを用いて行われる。
【0009】両側レーザ衝撃ピーニングを行う場合には、工程A〜Eが第1組の工程を成すと共に、工程A〜Eが第1のレーザ衝撃ピーニング表面に関して実施された後、第1の側壁上にある第1のレーザ衝撃ピーニング表面の反対側に位置する加工物の第2の側壁上にある加工物の第2のレーザ衝撃ピーニング表面に関して第2組の工程A〜Eが実施される。特定の実施の態様においては、本発明の方法はエーロフォイルを含むガスタービンエンジン用羽根部品(たとえば、前縁及び後縁を有するタービン羽根、圧縮機羽根又は送風機羽根)に対して実施される。この場合、第1及び第2の側壁はエーロフォイルの凸形吸引側壁及び凹形圧力側壁であり、そしてパッチは前縁及び後縁の一方に沿って配置されている。本発明の実施の一態様に従えば、超音波変換器とエーロフォイルとの間にエポキシ樹脂音響結合材が配置される。
【0010】本発明の更に別の実施の態様に従えば、それぞれの点上において所定の閉込め媒質厚さが得られるように各々の点に関してノズルの姿勢及び位置の設定値のスケジュールを計算し、次いで点上に閉込め媒質を流しながら各々の点にレーザ衝撃ピーニング装置からのレーザビームパルスを投射することによって加工物にレーザ衝撃ピーニングを施すために本発明の方法が使用される。かかるレーザ衝撃ピーニングに際しては、スケジュールによってノズルの姿勢及び(又は)位置の変化が要求される各パルス投射に先立ち、各々の点に関するスケジュールに従ってノズルの姿勢及び位置が設定される。
【0011】本発明の利点は数多いが、その1つとしては、レーザ衝撃ピーニングプロセス中において閉込め媒質又は水カーテン用ノズルの条件設定を行う工程並びに閉込め媒質又は水カーテン用ノズルの品質保証試験を行う工程に関する費用、時間、労力及び複雑度の低減が挙げられる。本発明のもう1つの利点は、レーザ衝撃ピーニングプロセス中における水カーテンの厚さの品質保証試験を実際の製造部品に関してプロセスの現場で加工に対しリアルタイムで実施するというプロセス中品質管理が可能となることである。本発明は、レーザ衝撃ピーニングに際して品質保証試験を実施するために必要な作業停止時間を大幅に短縮することができる。
【0012】本発明は、閉込め媒質の条件設定及び制御を行うためのより正確な方法を提供する。精度の向上は、レーザ衝撃ピーニングに際して閉込め媒質の厚さが不十分であったために劣った高サイクル疲労(HCF)試験結果を示すことのある部品に対する再加工を低減又は排除するために役立つ。本発明はまた、流量とノズルの位置及び姿勢との間におけるデータの監視手段を提供し、そして部品上における閉込め媒質の超音波試験によって測定された閉込め媒質の厚さとの相関関係を得ることを可能にする。これはまた、レーザ衝撃ピーニングに際してレーザビーム投射時の流量データの監視をも可能にし、それによってレーザ衝撃ピーニングプロセスの現場におけるリアルタイムの品質保証監視を可能にする。
【0013】
【好適な実施の態様の詳細な説明】以下、添付の図面を参照しながら本発明の上記及びその他の特徴を詳しく説明しよう。
【0014】図1には、レーザ衝撃ピーニングを実施するために使用されるレーザ衝撃ピーニング装置10及び試験用の加工物が略示されている。加工物の実例として、レーザ衝撃ピーニングを施すべきパッチ145を有するエーロフォイル134を含む羽根108が示されている。羽根108は、コンピュータによって数値制御(CNC)された5軸の第1のマニプレータ127に固定された取付具に取付けられている。かかるマニプレータの一例は、アメリカ合衆国サウス・カロライナ州(29710)クローバ市ハフマンウェイ1050所在のハフマン・コーポレーション(Huffman Corporation) から商業的に入手可能である。この実施の態様において示された5つの運動軸は、CNC加工分野において公知である通常の並進軸X、Y及びZ並びに通常の第1、第2及び第3の回転軸A、B及びCを含んでいる。第1のマニプレータ127は、連続的に羽根の移動及び位置決めを行い、それにより本発明の実施の態様に従って「オン・ザ・フライ」の状態でレーザ衝撃ピーニングを施すために使用される。レーザ衝撃ピーニングは、アブレーティブ媒質としてペイント又はテープを使用しながら様々なやり方で実施することができる(詳しくは、「粘着テープ被覆レーザ衝撃ピーニング」と称する米国特許第5674329号明細書を参照されたい)。
【0015】更に図3、7及び8について説明すれば、エーロフォイル134の凸形吸引側壁148及び凹形圧力側壁146は、羽根108の両側においてパッチ145の内部に第1及び第2のレーザ衝撃ピーニング表面154及び155をそれぞれ有している。米国特許第5674329及び5674328号明細書中に開示されているごとく、第1及び第2のレーザ衝撃ピーニング表面154及び155はペイント又は粘着テープのごときアブレーティブ被膜で被覆され、それによって被覆表面を形成している。かかるペイント又はテープはアブレーティブ媒質を提供するが、その上には図1に示された水流121のごとき透明な流体カーテンから通例成る透明な閉込め媒質が配置される。
【0016】レーザ衝撃ピーニング操作に際しては、羽根108は連続的に移動される。その間、レーザ衝撃ピーニング装置10の使用により、被覆された第1及び第2のレーザ衝撃ピーニング表面154及び155上の流水カーテン121を通して静止した高出力レーザビーム102が連続的に投射され、それによって互いに離隔したレーザ衝撃ピーニングスポット158が形成される。また、図2に一層詳しく示されるごとく、給水管120に連結された給水路119の末端に設けられた水ノズル123によって流水カーテン121が供給される。図5に一層詳しく示されるごとく、本発明は条件設定操作に際してオシロスコープ又はコンピュータ17により監視される超音波変換器20を用いて流水カーテン121の厚さT(通例約0.02インチ)を設定しかつ監視するための方法を提供する。なお、コンピュータ17は超音波変換器から厚さ測定値を計算すると共に、条件設定中を通じて結果をコンピュータディスプレイ又はモニタ19上に表示するために使用される。本発明の方法はまた、コンピュータ17及び(又は)制御装置24に接続されかつそれらによって監視された計量装置22を用いて流水カーテン121の水流量を測定する。なお、制御装置24もレーザ衝撃ピーニング装置10を監視しかつ(あるいは)制御するために使用される。ノズル123を通過する水の流量を制御するため、給水管120中には流量弁26が設けられている。所望ならば、図1に示されるごとく、流量弁26を制御しかつ流量弁及びノズル123を通過する水の流量を調整するために制御装置24が使用される。
【0017】加工物又は羽根108のレーザ衝撃ピーニングに際して閉込め媒質(すなわち、流水カーテン121)を流すための透明閉込め媒質ノズル123の条件設定を行うための方法は、図10のフローチャートに示されるような工程A〜Fを含んでいる。かかる方法は、レーザ衝撃ピーニングを施すべき加工物の1つのパッチに関連した試験片の相関表面上における、(図3中にレーザ衝撃ピーニングスポット158の1つの中心点Aとして一層詳しく示されている)少なくとも1つの点に関して実施される。試験片は実際の加工物とは異なる物体(たとえば、平坦なクーポン又は成形されたクーポン)であり得るが、より高い精度及びより一貫した結果を得るためには実際の加工物を使用することが好ましい。その場合の相関表面は、第1及び第2のレーザ衝撃ピーニング表面154及び155の一方である。
【0018】工程Aは、閉込め媒質ノズル123を通して閉込め媒質を流しかつそれの流量を設定することから成っている。それの流量は、コンピュータ17及び(又は)制御装置24に接続されかつそれらによって監視される計量装置22を用いて測定される。更に図2、3及び4について述べれば、工程Bは、エーロフォイル134に向けて閉込め媒質(水)を水流135として下向きに流し、そして第1及び第2のレーザ衝撃ピーニング表面154及び155の一方における水スポット129に当てるようにノズル123の位置決めを行うことから成っている。水流135がレーザ衝撃ピーニング表面のどこに当たって水スポット129を形成するか、及び水流135がレーザ衝撃ピーニングスポット158に対していかなる角度を成すかは、適当な厚さTを有する一様な流水カーテン121を形成するために重要なパラメータである。図2は凸形吸引側壁148の斜視図であって、ノズル123の位置及び姿勢を示している。本明細書中で使用される「ノズルの位置」は、ノズル123の出口125の位置並びに中心点A及びレーザ衝撃ピーニング表面154及び155に対するノズルの姿勢又は角方位を含んでいる。水ノズル123及び給水路119は調整可能であって、手動で調整することもできるし、あるいは図5に示されるごとく制御装置24で制御し得る第2の随意マニプレータ18を用いて自動的に調整することもできる。
【0019】図3及び4には、エーロフォイル134の凹形圧力側壁146に対する水ノズル123の位置及び姿勢が示されている。それの位置は、互いに直交する第1、第2及び第3の軸X1、Y1及びZ1のそれぞれに沿った方向における第1、第2及び第3の距離D1、D2及びD3によって測定される。ここで、第1の軸X1はエーロフォイル134の底辺149から前縁LEに平行に延びるものであり、また第2の軸Y1は底辺及び前縁の平面内に位置するものである。原点50は、底辺と前縁LEとの交点に位置している。ノズル123の姿勢は、水流135の角方位として定義されるものであって、水流135と第1、第2及び第3の軸X1、Y1及びZ1のそれぞれとの間における第1、第2及び第3の角A1、A2及びA3によって表わされる。第1、第2及び第3の距離D1、D2及びD3並びに第1、第2及び第3の角A1、A2及びA3は、実験によって決定されるか、あるいは経験的又は半経験的方法によって決定される。
【0020】関連するレーザ衝撃ピーニングスポットのそれぞれを覆って一様な水流及び流水カーテン121の適正な厚さTを得るためには、水スポット129と関連する円形のレーザ衝撃ピーニングスポット158のそれぞれとの間における良好な水スポット距離WD1を実験によって決定することができる。
【0021】図5に示されるごとく、ノズルの位置及び姿勢を手動によって調整し、そして各々の羽根108に関するレーザ衝撃ピーニング操作を通じて同じ状態に保持することができる。すなわち、手動調整可能な給水路119〔たとえば、ロックライン(Loc-Line)ブランドの1/4インチモジュラホース〕を使用することによって水流135の方向及び位置が決定される。なお、ノズルの位置及び姿勢を調整すると共に流水カーテン121の水流の一様性を点検するため、レーザポインタ160の使用により、鏡107で反射されたHe−Neビーム103が図1中のレーザビーム102と同じ経路に沿って投射される。
【0022】工程Cは、十分に一様な流水カーテン121が確立された後に実施される。工程Cは、超音波変換器20の使用により、第1のレーザ衝撃ピーニング表面154として示された相関表面上における閉込め媒質層の厚さTを測定して記録することを含んでいる。超音波変換器20は、相関表面と反対側に位置する加工物の側壁に取付けられている。本発明の図示された実施の態様においては、加工物は試験片であり、相関表面は第1の側壁又は凹形圧力側壁146上における第1のレーザ衝撃ピーニング表面154であり、そして超音波変換器20は羽根108のエーロフォイル134の凸形吸引側壁148に取付けられている。エポキシ樹脂音響結合材の層175の使用により、エーロフォイル134の凸形吸引側壁148に対して超音波変換器20が音響学的に結合されかつ機械的に定着されている。使用されたエポキシ樹脂の一例は、デブコン(Devcon)社製の5分エポキシ樹脂である。超音波変換器は事後に取外され、そして乾燥したエポキシ樹脂は削り取られる。かかる材料の使用は、変換器とエーロフォイルとが直接に接触していない場合でも、変換器の平らな接触面がエーロフォイルと変換器との間で超音波の送受信を行うことを可能にするための連続音響媒質を提供する。
【0023】本発明の別の実施の態様に従えば、工程Cにおいて測定された閉込め媒質層の厚さTを閉込め媒質層の厚さに関する所定の値又は値範囲と比較する工程Dが含まれる。これに続いて、工程Dにおける比較結果に基づき、閉込め媒質の流量及び(又は)ノズルの位置を再設定すべきか、あるいは工程Aにおいて設定された閉込め媒質の流量及びノズルの位置を使用しながら加工物のレーザ衝撃ピーニングを続行すべきかを決定する工程Eが実施される。必要ならば、閉込め媒質の流量及び(又は)ノズルの位置を再設定して工程C、D及びEを繰返す工程Fが実施される。
【0024】本発明の実施の一態様に従えば、レーザ衝撃ピーニングを施すべき加工物又は羽根108のパッチ145上における複数(2つ以上)の点(たとえば、一部又は全部のレーザ衝撃ピーニングスポット158の中心点A)に関して工程B及びCを実施することが要求される。図6には、5列の部分的に重なり合ったレーザ衝撃ピーニングスポット158が101〜112、201〜212、301〜312、401〜411及び501〜511の番号を付けて示されている。奇数番及び偶数番のレーザ衝撃ピーニングスポット158には相異なるパスによってレーザ衝撃ピーニングが施されるが、それらのパスの間にパッチ145を再被覆することもできる。101〜112、201〜212、301〜312、401〜411及び501〜511の番号を付けた4列の部分的に重なり合ったレーザ衝撃ピーニングスポット158の間におけるレーザ衝撃ピーニングスポット158の重なりは図示されていない。部分的に重なり合ったレーザ衝撃ピーニングスポット158の互いに隣接した列同士及び互いに隣接したレーザ衝撃ピーニングスポット同士は、約30%の重なり部分を有するのが通例であり、またレーザ衝撃ピーニングスポットは約0.25インチの大きさを有するのが通例である。
【0025】工程Dにおいては、工程Cにおいて各点に対して測定されかつ記録された閉込め媒質層の厚さTが閉込め媒質層の厚さに関する所定の値又は値範囲と比較される。次いで、工程Eを実施することにより、工程Dにおける比較結果に基づき、閉込め媒質の流量及び(又は)ノズルの位置を再設定すべきか、あるいは工程Aにおいて設定された閉込め媒質の流量及びノズルの位置を使用しながら加工物のレーザ衝撃ピーニングを続行すべきかが決定される。必要ならば、閉込め媒質の流量及び(又は)ノズルの位置を再設定して工程C、D及びEを繰返す工程Fが実施される。
【0026】同時両側レーザ衝撃ピーニングを行うためには、第1及び第2のレーザ衝撃ピーニング表面154及び155に関して工程A〜Eが実施される。典型的な実施の態様においては、本発明の方法はエーロフォイルを含むガスタービンエンジン用羽根部品(たとえば、前縁及び後縁を有するタービン羽根、圧縮機羽根又は送風機羽根)に対して実施される。その他の種類の加工物に対しても本発明の方法を適用することができるのであって、かかる加工物としては静翼のエーロフォイルが挙げられるが、それのみに限定されるわけではない。
【0027】本発明の更に別の実施の態様に従えば、それぞれの点上において所定の閉込め媒質厚さが得られるように各々の点に関してノズルの姿勢及び位置の設定値のスケジュールを計算し、次いで点上に閉込め媒質を流しながら各々の点にレーザ衝撃ピーニング装置からのレーザビームパルスを投射することによって加工物にレーザ衝撃ピーニングを施すために本発明の方法が使用される。かかるレーザ衝撃ピーニングに際しては、スケジュールによってノズルの姿勢及び(又は)位置の変化が要求される各パルス投射に先立ち、各々の点に関するスケジュールに従ってノズルの姿勢及び位置が設定される。
【0028】図7及び8について説明すれば、羽根108はプラットホーム136から羽根先端138まで半径方向に沿って外方に延びるエーロフォイル134を含んでいる。羽根108はまた、プラットホーム136から基底部140の内端137まで半径方向に沿って内方に延びる基底部140をも含んでいる。基底部140の内端137には羽根の根元142が設けられているが、これはシャンク144によってプラットホーム136に連結されている。エーロフォイル134は、翼弦方向においては前縁LEと後縁TEとの間に延びている。エーロフォイル134の翼弦CHは、図8に示されるごとく、羽根の各横断面において前縁LEと後縁TEとを結ぶ直線である。エーロフォイル134の圧力側壁146は矢印Vによって表わされる全体回転方向に対面しており、また吸引側壁148はエーロフォイルの反対側に位置している。中心線MLは、翼弦方向に沿いながら2つの側壁の概して中間に配置されている。
【0029】羽根108の前縁区域150は、エーロフォイル134の前縁LEに沿ってプラットホーム136から羽根先端138まで延びている。前縁区域150は、エンジンの運転に際しエーロフォイル134の前縁に沿って切れ目や裂け目の起こり得る区域を含むように予め決定された第1の幅Wを有している。エーロフォイル134は、エンジンの運転時に回転する羽根108によって発生される遠心力のために顕著な引張応力場に暴露される。エーロフォイル134はまた、エンジンの運転時に発生する振動にも暴露される。その結果、切れ目や裂け目は高サイクル疲労応力発生部位として作用し、そしてそれらの周囲に追加の応力集中を生み出す。
【0030】切れ目や裂け目から発生して延びることのある亀裂線に沿って羽根の一部が疲労破損を起こすのを防止するため、初期の切れ目や裂け目が高サイクル疲労のために羽根の破損を引起こす可能性のある前縁LEの一部に沿ってレーザ衝撃ピーニング済みのパッチ145が配置されている。レーザ衝撃ピーニング済みのパッチ145は、送風機羽根又は圧縮機羽根の場合に典型的な第1モード破壊線Lが発生することのある前縁LEの一部に沿って配置されている。レーザ衝撃ピーニング済みのパッチ145においては、圧力側壁146及び吸引側壁148の少なくとも一方(好ましくは両方)に対して同時にレーザ衝撃ピーニングを施すことにより、図8に示されるごとく、背中合せに配置された第1及び第2のレーザ衝撃ピーニング表面154及び155が形成されていると共に、レーザ衝撃ピーニング(LSP)によって付与された深い残留圧縮応力を有しかつレーザ衝撃ピーニング表面からエーロフォイル134中に延びるプレストレスト羽根領域156及び157が形成されている。かかるプレストレスト羽根領域156及び157は前縁区域150の一部のみに沿って図示されているが、所望ならば前縁LEの全体又はより長い部分に沿って延びていてもよい。
【0031】再び図1について説明すれば、図示されたレーザ衝撃ピーニング装置10は、発振器、前置増幅器及びビームスプリッタを具備した通常の発生器131を含んでいる。ビームスプリッタは予備増幅されたレーザビームを2つのビーム光学伝送回路に供給するが、それらの伝送回路はそれぞれ第1及び第2の増幅器を有している。光学系35は、レーザビーム102を第1及び第2のレーザ衝撃ピーニング表面154及び155上に伝達しかつ集束させるための鏡及びレンズのごとき光学部品を含んでいる(詳細については、上記のごとき米国特許第5756965号及びその他のレーザ衝撃ピーニング関係特許の明細書を参照されたい。)制御装置24もまた、レーザ衝撃ピーニング装置10を調整しかつ制御することにより、レーザビーム102を被覆された第1及び第2のレーザ衝撃ピーニング表面154及び155上に制御下で投射するために使用される。なお、本発明の実施の一態様に従えば、制御装置24はノズル123の位置及び姿勢を制御するためにも使用される。アブレーションを受けた被膜材料は、流水カーテン121によって洗い流される。
【0032】閉込め媒質層の厚さに関する所定の値又は値範囲は、様々な方法によって決定することができる。1つの方法は、試験用の加工物又は羽根について高サイクル疲労試験を行うというものである。図9には、ノッチ付きの試験用羽根109が示されている。これは実際の製造羽根108と同じものであるが、試験用羽根109にレーザ衝撃ピーニングを施してパッチ145を形成した後にノッチ152が付加されている。試験用羽根109のレーザ衝撃ピーニングに際しては、計量装置22並びにノズル123及び水スポット129の位置及び姿勢に関するパラメータの使用により、試験毎に厚さTが測定されかつ記録される。これらのパラメータは試験毎に異なる厚さTを得るよう変動される。次いで、それぞれの試験用羽根109についてHCF試験が実施され、そして破壊するまで継続される。このような試験結果から、HCF性能と流水カーテン121の厚さTとの相関関係が明らかにされる。このようにして、閉込め媒質層の厚さに関する所定の値又は値範囲が決定され、そして工程A〜D及び工程E〜Fを有する方法において使用される。
【0033】HCF試験は、羽根の所定の第1モード破壊線Lに沿って破壊を引起こす振動数でノッチ付きの試験用羽根を振動させるものである。かかる相関試験は、羽根を励振して高サイクル疲労を引起こすため羽根に加えられる力の量に基づくことが好ましい。それはまた、試験用羽根109のレーザ衝撃ピーニングのための条件設定に際してコンピュータ17に接続されかつそれによって監視される計量装置22を使用することにより、流水カーテン121の流量と関係づけることもできる。次いで、加工物のレーザ衝撃ピーニングに際し、流量とHCFデータとの相関関係を使用してレーザ衝撃ピーニング装置10を監視しかつ(あるいは)制御することにより、適正な閉込め媒質層の厚さを設定したり、かつ(あるいは)流量が不適格であることをオペレータに警告したりすることができる。計量装置22に警報器を設けることもできるし、あるいはそれを制御装置に接続して監視された閉込め媒質層の厚さ又は流量が不適格である場合には警報又は警告メッセージを発するようにすることもできる。
【0034】以上、本発明の原理を説明するために本発明の好適な実施の態様を詳しく説明したが、前記特許請求の範囲によって規定された本発明の範囲から逸脱することなく、好適な実施の態様に対して様々な変更又は改変を施し得ることは言うまでもない。
【出願人】 【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【出願日】 平成12年8月29日(2000.8.29)
【代理人】 【識別番号】100093908
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 研一
【公開番号】 特開2001−174245(P2001−174245A)
【公開日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願番号】 特願2000−258280(P2000−258280)