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【発明の名称】 厚さ計測方法及び装置
【発明者】 【氏名】森田 秀俊

【氏名】穂積 清介

【要約】 【課題】コーティングのある金属材料の正確な厚さを安定して測定し得るようにする。

【解決手段】コーティング1を表面に施した鋼材2(金属材料)の厚さxを超音波で測定する厚さ計測方法に関し、一対の振動子3,4を音響分割面5により区画して備えた分割型の超音波探触子6を使用し、該超音波探触子6の一方の振動子3により鋼材2のコーティング1上から超音波のパルスを発信し、前記一方の振動子3に対しコーティング1の表面から鋼材2の表面までの間で反射したエコーSが所定のしきい値を超えて受信される毎に計測開始のリセットを繰り返しながら計時を行い、その計時を前記超音波探触子6の他方の振動子4に対し鋼材2の底面で反射したエコーBが受信された時に停止し、最終的な計測開始から計測停止までの間の計測時間に基づき鋼材2の厚さxを算出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 コーティングを表面に施した金属材料の厚さを超音波で測定する厚さ計測方法であって、一対の振動子を音響分割面により区画して備えた分割型の超音波探触子を使用し、該超音波探触子の一方の振動子により金属材料のコーティング上から超音波のパルスを発信し、前記一方の振動子に対しコーティングの表面から金属材料の表面までの間で反射したエコーが所定のしきい値を超えて受信される毎に計測開始のリセットを繰り返しながら計時を行い、その計時を前記超音波探触子の他方の振動子に対し金属材料の底面で反射したエコーが受信された時に停止し、最終的な計測開始から計測停止までの間の計測時間に基づき金属材料の厚さを算出することを特徴とする厚さ計測方法。
【請求項2】 コーティングを表面に施した金属材料の厚さを超音波で測定する厚さ計測装置であって、一対の振動子を音響分割面により区画して備えた分割型の超音波探触子と、該超音波探触子の一方の振動子に超音波のパルスを発信させるための電気パルスを印加し且つその印加タイミングに応じたスタート信号を出力する送信パルス発生器と、コーティングの表面から金属材料の表面までの間で反射したエコーが所定のしきい値を超えて前記超音波探触子の一方の振動子に受信された時にリセット信号を出力する第一の超音波受信器と、金属材料の底面で反射したエコーが前記超音波探触子の他方の振動子に受信された時にストップ信号を出力する第二の超音波受信器と、前記スタート信号により計時を開始して前記リセット信号が入力される毎に計測開始のリセットを繰り返しながら計時を行い且つ前記ストップ信号により計時を停止する計測カウンタと、該計測カウンタによる最終的な計測開始から計測停止までの間に計測された時間に基づき金属材料の厚さを算出する演算器とを備えたことを特徴とする厚さ計測装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗膜などのコーティングを表面に施した金属材料の厚さ計測方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図3に示す如く、従来において、塗膜などのコーティング1を表面に施した鋼材2の厚さxを超音波で測定する場合、一対の振動子3,4を音響分割面5により区画して備えた分割型の超音波探触子6を使用し、該超音波探触子6を接触媒質を介し鋼材2のコーティング1上に接触させて一方の振動子3から超音波のパルスを発信せしめ、その発信側の振動子3に鋼材2の表面(コーティング1と鋼材2の境界面)で反射したエコーS’が受信されてから鋼材2の底面で反射したエコーBが他方の振動子4に受信されるまでの間の時間を計側し、その計測時間に基づいて鋼材2の厚さxを算出するようにしている。
【0003】即ち、鋼材2の表面で反射したエコーS’は、比較的浅い位置で反射することになるので、発信側の振動子3に向けて戻ってくるようになっているが、鋼材2の底面で反射したエコーBは、比較的深い位置で反射することになるので、音響分割面5により分割された他方の振動子4に向けて戻ってくるようになっている。
【0004】ただし、前述した発信側の振動子3に受信されるエコーは、鋼材2の表面で反射したエコーS’だけでなく、コーティング1の表面で反射したエコーSなど(これ以外にもコーティング1内の積層部分で反射したものや二次反射エコーなどがある)も受信されるので、適切なしきい値を設定して該しきい値を超えたエコーだけを鋼材2の表面で反射したエコーS’であるとして識別するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、コーティング1の表面状態が悪いためにコーティング1の表面で反射したエコーSが大きくなってしまったような場合や、コーティング1が厚いために鋼材2の表面で反射したエコーS’が減衰して小さくなってしまったような場合に、コーティング1の表面で反射したエコーSが先行してしきい値を超えてしまい、鋼材2の表面で反射したエコーS’が受信されるよりも早く時間の計測が開始されるという誤作動が起こり、鋼材2の正確な厚さxを安定して測定することができないことがあった。
【0006】本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、コーティングのある金属材料の正確な厚さを安定して測定し得るようにすることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に記載の発明は、コーティングを表面に施した金属材料の厚さを超音波で測定する厚さ計測方法であって、一対の振動子を音響分割面により区画して備えた分割型の超音波探触子を使用し、該超音波探触子の一方の振動子により金属材料のコーティング上から超音波のパルスを発信し、前記一方の振動子に対しコーティングの表面から金属材料の表面までの間で反射したエコーが所定のしきい値を超えて受信される毎に計測開始のリセットを繰り返しながら計時を行い、その計時を前記超音波探触子の他方の振動子に対し金属材料の底面で反射したエコーが受信された時に停止し、最終的な計測開始から計測停止までの間の計測時間に基づき金属材料の厚さを算出することを特徴とするものである。
【0008】而して、このような方法によれば、金属材料の表面で反射したエコーが、コーティングの表面で反射したエコーよりも小さくなってしまったような場合に、コーティングの表面で反射したエコーが超音波探触子の一方の振動子に先行して受信されたとしても、金属材料の表面で反射したエコーが前記一方の振動子に最後に受信された際には、計時がリセットされて初めからカウントし直されているので、最終的な計測開始から計測停止までの間の計測時間に基づき金属材料の厚さを算出するようにすれば、金属材料の表面で反射したエコーが前記一方の振動子に受信されてから金属材料の底面で反射したエコーが他方の振動子に受信されるまでの間の時間が確実に計側されることになり、これにより常に正常な作動状態が維持されて金属材料の正確な厚さを安定して測定することが可能となる。
【0009】また、本発明の請求項2に記載の発明は、コーティングを表面に施した金属材料の厚さを超音波で測定する厚さ計測装置であって、一対の振動子を音響分割面により区画して備えた分割型の超音波探触子と、該超音波探触子の一方の振動子に超音波のパルスを発信させるための電気パルスを印加し且つその印加タイミングに応じたスタート信号を出力する送信パルス発生器と、コーティングの表面から金属材料の表面までの間で反射したエコーが所定のしきい値を超えて前記超音波探触子の一方の振動子に受信された時にリセット信号を出力する第一の超音波受信器と、金属材料の底面で反射したエコーが前記超音波探触子の他方の振動子に受信された時にストップ信号を出力する第二の超音波受信器と、前記スタート信号により計時を開始して前記リセット信号が入力される毎に計測開始のリセットを繰り返しながら計時を行い且つ前記ストップ信号により計時を停止する計測カウンタと、該計測カウンタによる最終的な計測開始から計測停止までの間に計測された時間に基づき金属材料の厚さを算出する演算器とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】而して、このような装置によれば、コーティングを表面に施した金属材料の厚さを超音波で測定する際に、送信パルス発生器により超音波探触子の一方の振動子に電気パルスを印加して超音波のパルスを発信せしめると、前記送信パルス発生器から電気パルスの印加タイミングに応じたスタート信号が出力されて計測カウンタにて計時が開始される。
【0011】そして、コーティングの表面から金属材料の表面までの間で反射したエコーが超音波探触子の一方の振動子に戻り、それらのエコーが所定のしきい値を超えて前記一方の振動子に受信される毎に第一の超音波受信器からリセット信号が計測カウンタに向けて出力される。
【0012】ここで、計測カウンタにおいては、リセット信号が入力される毎に計測開始のリセットが繰り返されながら計時が行われるが、金属材料の底面で反射したエコーが超音波探触子の他方の振動子に受信されると、第二の超音波受信器からストップ信号が出力されて計測カウンタの計時が停止されるので、該計測カウンタによる最終的な計測開始から計測停止までの間に計測された時間に基づいて演算器にて金属材料の厚さが算出される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0014】図1及び図2は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図3と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0015】図1に示す如く、本形態例においては、分割型の超音波探触子6の一方の振動子3に、該一方の振動子3に対し超音波のパルスを発信させるための電気パルスを印加する送信パルス発生器7が接続されており、該送信パルス発生器7は、電気パルスの印加タイミングに応じてスタート信号8を出力するようになっている。
【0016】また、前記超音波探触子6の一方の振動子3には、コーティング1の表面から鋼材2の表面までの間で反射したエコーが所定のしきい値を超えて前記一方の振動子3に受信された時にリセット信号9を出力する第一の超音波受信器10が接続されており、他方、前記超音波探触子6の他方の振動子4には、鋼材2の底面で反射したエコーBが受信された時にストップ信号11を出力する第二の超音波受信器12が接続されている。
【0017】そして、前述したスタート信号8、リセット信号9、ストップ信号11の夫々は、計測カウンタ13に入力されるようになっており、該計測カウンタ13は、前記スタート信号8により計時を開始して前記リセット信号9が入力される毎に計測開始のリセットを繰り返しながら計時を行い且つ前記ストップ信号11により計時を停止するようになっている。
【0018】更に、前記計測カウンタ13には、該計測カウンタ13による最終的な計測開始から計測停止までの間に計測された時間に基づき鋼材2の厚さxを算出する演算器14が接続されており、該演算器14には、算出された鋼材2の厚さxを数字などで表示する表示器15が接続されている。
【0019】而して、コーティング1を表面に施した鋼材2の厚さxを超音波で測定する際に、送信パルス発生器7により超音波探触子6の一方の振動子3に電気パルスを印加して超音波のパルスを発信せしめると、前記送信パルス発生器7から電気パルスの印加タイミングに応じたスタート信号8が出力されて計測カウンタ13にて計時が開始される。
【0020】そして、例えばコーティング1の表面で反射したエコーSが超音波探触子6の一方の振動子3に戻り、そのエコーが所定のしきい値を超えて前記一方の振動子3に受信されると、第一の超音波受信器10からリセット信号9が計測カウンタ13に向けて出力され、これに続いて、鋼材2の表面で反射したエコーS’が超音波探触子6の一方の振動子3に戻り、そのエコーS’が所定のしきい値を超えて前記一方の振動子3に受信されると、第一の超音波受信器10から再びリセット信号9が計測カウンタ13に向けて出力される。
【0021】ここで、計測カウンタ13においては、リセット信号9が入力される毎に計測開始のリセットが繰り返されながら計時が行われるが、鋼材2の底面で反射したエコーBが超音波探触子6の他方の振動子4に受信されると、第二の超音波受信器12からストップ信号11が出力されて計測カウンタ13の計時が停止されるので、該計測カウンタ13による最終的な計測開始から計測停止までの間に計測された時間に基づいて演算器14にて鋼材2の厚さxが算出され、その算出された鋼材2の厚さxが表示器15に数字などとして表示される。
【0022】図2は以上に述べた各種の信号波形を時間軸を合わせてタイムチャート形式で示したものであり、図中の上から一番目のものは、超音波探触子6の発信側を成す一方の振動子3における信号波形を示し、上から二番目のものは、超音波探触子6の受信側を成す他方の振動子4における信号波形を示し、上から三番目のものは、第一の超音波受信器10から出力されるリセット信号9の波形を示し、上から四番目のものは、第二の超音波受信器12から出力されるストップ信号11の波形を示している。
【0023】この図2から明らかなように、一方の振動子3にて超音波のパルスTが発信されてから、コーティング1の表面で反射したエコーSと、鋼材2の表面で反射したエコーS’とが順次受信されるが、これらのエコーS,S’が受信される毎に第一の超音波受信器10にてリセット信号9が出力され、他方の振動子4にて鋼材2の底面で反射したエコーBが受信された時に第二の超音波受信器12にてストップ信号11が出力されるようになっており、その結果として、鋼材2の表面で反射したエコーS’が受信されてからストップ信号11が出力されるまでの間の時間tが計測されるのである。
【0024】従って、以上に述べた如き形態例によれば、鋼材2の表面で反射したエコーS’が、コーティング1の表面で反射したエコーSよりも小さくなってしまったような場合に、コーティング1の表面で反射したエコーSが超音波探触子6の一方の振動子3に先行して受信されたとしても、鋼材2の表面で反射したエコーS’が前記一方の振動子3に最後に受信された際には、計時がリセットされて初めからカウントし直されているので、前述した如く、最終的な計測開始から計測停止までの間の計測時間に基づき鋼材2の厚さxを算出するようにすれば、鋼材2の表面で反射したエコーS’が前記一方の振動子3に受信されてから鋼材2の底面で反射したエコーBが他方の振動子4に受信されるまでの間の時間が確実に計側されることになり、これにより常に正常な作動状態が維持されて鋼材2の正確な厚さxを安定して測定することが可能となる。
【0025】尚、本発明の厚さ計測方法及び装置は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、先の形態例で説明した中ではコーティングの表面で反射したエコーについてだけ説明しているが、コーティングの表面から鋼材の表面までの間で反射して所定のしきい値を超えたエコーについては何れも同様に扱うことができ、これらの一方の振動子への受信時にリセット信号が第一の超音波受信器から出力されて計測開始のリセットが繰り返されることは勿論であり、また、鋼材以外の金属材料にコーティングを施したものを対象としても良いこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0026】
【発明の効果】上記した本発明の厚さ計測方法及び装置によれば、金属材料の表面で反射したエコーが一方の振動子に受信された時点を計測開始として、その計測開始から金属材料の底面で反射したエコーが他方の振動子に受信されるまでの間の時間を確実に計側することができるので、常に正常な作動状態を維持することができ、コーティングのある金属材料の正確な厚さを安定して測定することができるという優れた効果を奏し得る。
【出願人】 【識別番号】000198318
【氏名又は名称】石川島検査計測株式会社
【出願日】 平成11年12月16日(1999.12.16)
【代理人】 【識別番号】100062236
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 恒光 (外1名)
【公開番号】 特開2001−174244(P2001−174244A)
【公開日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願番号】 特願平11−357542