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【発明の名称】 対向平面平行度測定方法及び装置
【発明者】 【氏名】岡本 清和

【氏名】藤本 生松

【氏名】半田 博久

【氏名】光谷 直樹

【要約】 【課題】少なくとも一方が回転する対向平面間の最大傾斜角並びに最小傾斜角を求める。

【解決手段】対向配置されて少なくとも一方が他方に対して対向方向にほぼ沿った回転軸を中心として回転する一対の被測定面に、基準平面を介してそれぞれ平行光を照射し、各被測定面及び基準平面からの反射光が干渉することによって得られた干渉像をそれぞれ個別に観測することにより、一対の被測定面の平行度を測定する。一対の被測定面のうち回転する被測定面の傾きを、第1の位置と、この第1の位置から前記回転軸を中心として所定角度回転させた第2の位置とでそれぞれ測定すると共に他方の被測定面の傾きを測定する。回転する被測定面の第1及び第2の位置での傾きから、被測定面の法面ベクトルが描く円錐を推定する。この被測定面の法面ベクトルが描く円錐の軸と他方の被測定面の法面ベクトルのなす角度と、円錐の頂角とから一対の被測定面のなす最大角度及び最小角度の少なくとも一方を求める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 対向配置されて少なくとも一方が他方に対して対向方向にほぼ沿った回転軸を中心として回転する一対の被測定面に、基準平面を介してそれぞれ平行光を照射し、各被測定面及び基準平面からの反射光が干渉することによって得られた干渉像をそれぞれ個別に観測することにより、前記一対の被測定面の平行度を測定する対向平面平行度測定方法であって、前記一対の被測定面のうち回転する被測定面の傾きを、第1の位置と、この第1の位置から前記回転軸を中心として所定角度回転させた第2の位置とでそれぞれ測定するステップと、前記回転する被測定面の第1及び第2の位置での傾きから、当該被測定面の法面ベクトルが描く円錐を推定するステップと、このステップで推定された1又は複数の円錐の軸及び頂角から前記一対の被測定面のなす最大角度及び最小角度の少なくとも一方を求めるステップとを有することを特徴とする対向平面平行度測定方法。
【請求項2】 前記被測定面の傾きを測定するステップは、複数回の測定を行うことにより1つの位置及び被測定面について、位相の異なる複数の前記干渉像を得るステップと、このステップで取得された複数の干渉像を解析して各被測定面の高さを求めるステップと、このステップで求められた各被測定面の高さから前記各被測定面の代表面の傾きを求めるステップとを含むものであることを特徴とする請求項1記載の対向平面平行度測定方法。
【請求項3】 前記各被測定面の高さから前記各被測定面の代表面の傾きを求めるステップは、最小二乗法により前記各被測定面の代表面の傾きを求めるステップであることを特徴とする請求項2記載の対向平面平行度測定方法。
【請求項4】 前記各被測定面の高さから前記各被測定面の代表面の傾きを求めるステップは、外接又は内接する傾斜平面によっ前記各被測定面の代表面の傾きを求めるステップであることを特徴とする請求項2記載の対向平面平行度測定方法。
【請求項5】 前記一対の被測定面の一方が回転し、他方が固定である場合、前記他方の被測定面の傾きを測定すると共に、得られた傾きから前記他方の被測定面の法面ベクトルを求めるステップと、前記一方の被測定面の法面ベクトルが描く円錐の軸と前記他方の被測定面の法面ベクトルのなす角度と、前記円錐の頂角とから前記一対の被測定面のなす最大角度及び最小角度の少なくとも一方を求めるステップとを備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の対向平面平行度測定方法。
【請求項6】 前記一対の被測定面の両方が回転する場合、前記各被測定面の法面ベクトルが描く円錐の軸のなす角度と前記各円錐の頂角とから前記一対の被測定面のなす最大角度及び最小角度の少なくとも一方を求めるステップを更に備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の対向平面平行度測定方法。
【請求項7】 前記被測定面の傾きを測定するステップは、前記一対の被測定面の一方の第1の位置の干渉像群S1と、他方の前記第1の位置の干渉像群R1を得るステップと、前記一対の被測定面の一方の前記第1の位置の干渉像群S1′と、他方の前記第2の位置の干渉像群R2を得るステップと、前記干渉像群S1′から求めた代表平面M1′を前記干渉像群S1から求めた代表平面M1に一致させるに必要な補正量を求めるステップと、前記干渉像群R2から求めた代表平面に対して前記補正量を補正するステップと、を備えたことを特徴とする請求項1記載の対向平面平行度測定方法。
【請求項8】 前記補正量は、前記代表平面M1′の法面ベクトルを、前記代表平面M1の法面ベクトルに一致させるための回転軸位置と回転角度を含むことを特徴とする請求項7記載の対向平面平行度測定方法。
【請求項9】 対向配置されて少なくとも一方が他方に対して対向方向にほぼ沿った回転軸を中心として回転する一対の被測定面にそれぞれ平行光を導くと共に前記被測定面への平行光の照射によって形成された干渉像を各被測定面方向からそれぞれ異なる光学経路を介して導く干渉光学系と、前記各光学経路を介して導かれた干渉像をそれぞれ撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された干渉像から前記被測定面の平行度を算出する演算手段とを備え、前記演算手段は、前記一対の被測定面のうち回転する被測定面の傾きを、第1の位置と、この第1の位置から前記回転軸を中心として所定角度回転させた第2の位置とでそれぞれ測定し、前記回転する被測定面の第1及び第2の位置での傾きから、当該被測定面の法面ベクトルが描く円錐を推定すると共に、この推定された1又は複数の円錐の軸及び頂角から前記一対の被測定面のなす最大角度及び最小角度の少なくとも一方を求めるものであることを特徴とする対向平面平行度測定装置。
【請求項10】 前記干渉光学系は、平行度及び距離が高精度に規定された一対の対向する基準平面が形成されこれら基準平面が前記各被測定面と対向するように前記被測定面間に挟持される測定ヘッド部と、光源から出射された光を平行光に整形するレンズ系と、このレンズ系からの平行光を2つの光学経路に分割し前記各基準平面を介して前記各被測定面に導くと共に前記各被測定面とこれと対向する基準平面とでそれぞれ反射した光が干渉することによって生成される前記干渉像を前記撮像手段までそれぞれ導く分割光学系とを備えたものであることを特徴とする請求項9記載の対向平面平行度測定装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばマイクロメータのアンビルとスピンドルのように、少なくとも一方が回転する一対の対向平面の平行度、特に最大角度及び最小角度を高精度に測定するのに好適の対向平面平行度測定方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】マイクロメータは、寸法測定を行う物体を、アンビル先端面(固定側平面)と回転しながら線形移動するスピンドル先端面(回転側平面)との間に挟持して両平面間の距離を測定することで物体の寸法を測定するものである。従来、このような一対の対向平面の平面度や平行度を高精度に測定する検査方法として、オプチカルパラレルを用いた方法が知られている。この方法は、検査すべきマイクロメータの被測定面に、両面が平行且つ平面となるように光学的な研磨が施されたガラス製のオプチカルパラレルを、通常の測定と同様に挟み込んで、オプチカルパラレルの測定面とマイクロメータの固定被測定面及び回転被測定面との接触面に発生する干渉縞(いわゆるニュートン縞又はニュートンリング)を目視で観察して被測定面の平面度や平行度を評価する方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来のオプチカルパラレル法では、回転側平面の回転軸(スピンドル軸)に対する傾きが求められておらず、固定側平面と回転側平面との間の最大傾斜角並びに最小傾斜角を決定して、両平面の差異の最大値及び最小値を求めることができなかった。
【0004】本発明は、このような点に鑑み、少なくとも一方が回転する対向平面間の最大傾斜角並びに最小傾斜角を求めることができる対向平面平行度測定方法及び装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る対向平面平行度測定方法は、対向配置されて少なくとも一方が他方に対して対向方向にほぼ沿った回転軸を中心として回転する一対の被測定面に、基準平面を介してそれぞれ平行光を照射し、各被測定面及び基準平面からの反射光が干渉することによって得られた干渉像をそれぞれ個別に観測することにより、前記一対の被測定面の平行度を測定する対向平面平行度測定方法であって、前記一対の被測定面のうち回転する被測定面の傾きを、第1の位置と、この第1の位置から前記回転軸を中心として所定角度回転させた第2の位置とでそれぞれ測定するステップと、前記回転する被測定面の第1及び第2の位置での傾きから、当該被測定面の法面ベクトルが描く円錐を推定するステップと、このステップで推定された1又は複数の円錐の軸及び頂角から前記一対の被測定面のなす最大角度及び最小角度の少なくとも一方を求めるステップとを有することを特徴とする。
【0006】本発明によれば、回転する被測定面の傾きを第1の位置と、この位置から所定角度回転した第2の位置とでそれぞれ測定し、各位置において求められた被測定面の傾きから、被測定面の法面ベクトルが描く円錐を推定するようにしているので、この推定された円錐の軸と他方の被測定面の法面ベクトルとのなす角度と、前記円錐の頂角とから最大角度及び最小角度を求めることが可能になる。このため、測定精度及び評価精度が向上する。
【0007】本発明は、一対の被測定面のうちの一方のみが回転する場合と、両方が回転する場合のいずれの場合にも適用可能である。一対の被測定面の一方が回転し、他方が固定である場合には、他方の被測定面の傾きを測定すると共に、得られた傾きから他方の被測定面の法面ベクトルを求めるステップと、一方の被測定面の法面ベクトルが描く円錐の軸と他方の被測定面の法面ベクトルのなす角度と、円錐の頂角とから一対の被測定面のなす最大角度及び最小角度の少なくとも一方を求めるステップとを備えるようにすれば良い。
【0008】また、一対の被測定面の両方が回転する場合には、各被測定面の法面ベクトルが描く円錐の軸のなす角度と各円錐の頂角とから一対の被測定面のなす最大角度及び最小角度の少なくとも一方を求めるステップとを備えるようにすれば良い。
【0009】被測定面の傾きを測定するステップは、例えば、平行光の波長を変えて複数回の測定を行うことにより1つの位置及び被測定面について位相の異なる複数の干渉像を取得するステップと、このステップで取得された複数の干渉像を解析して各被測定面の高さを求めるステップと、このステップで求められた各被測定面の高さから前記各被測定面の代表面の傾きを求めるステップとを含むように構成することができる。
【0010】被測定面の代表面は、各被測定面の高さデータから最小二乗法によって求めることができる他、各被測定面の高さデータの頂上部分に外接する平面や、谷底部分に内接する平面で代表させても良い。更に被測定面を回転させて測定を行うに当たって、干渉計装置の取り外し、再配置を行う過程が必要になる場合には、基準とする被検出面(固定被検面)の測定位置が相違するという問題があるが、これに対しては、前記被測定面の傾きを測定するステップにおいて、前記一対の被測定面の一方の第1の位置の干渉像群S1と、他方の前記第1の位置の干渉像群R1を得るステップと、前記一対の被測定面の一方の前記第1の位置の干渉像群S1′と、他方の前記第2の位置の干渉像群R2を得るステップと、前記干渉像群S1′から求めた代表平面M1′を前記干渉像群S1から求めた代表平面M1に一致させるに必要な補正量を求めるステップと、前記干渉像群R2から求めた代表平面に対して前記補正量を補正するステップとを備えることによって、基準とする被検面(固定被検面)の測定位置が相違しても補正することが可能となる。また、この補正量は、前記代表平面M1′の法面ベクトルを、前記代表平面M1の法面ベクトルに一致させるための回転軸位置と回転角度を含んでも良く、これらを補正データとすることによって確実な補正が可能になる。
【0011】また、本発明に係る対向平面平行度測定装置は、対向配置されて少なくとも一方が他方に対して対向方向にほぼ沿った回転軸を中心として回転する一対の被測定面にそれぞれ平行光を導くと共に前記被測定面への平行光の照射によって形成された干渉像を各被測定面方向からそれぞれ異なる光学経路を介して導く干渉光学系と、前記各光学経路を介して導かれた干渉像をそれぞれ撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された干渉像から前記被測定面の平行度を算出する演算手段とを備え、前記演算手段が、前記一対の被測定面のうち回転する被測定面の傾きを、第1の位置と、この第1の位置から前記回転軸を中心として所定角度回転させた第2の位置とでそれぞれ測定し、前記回転する被測定面の第1及び第2の位置での傾きから、当該被測定面の法面ベクトルが描く円錐を推定すると共に、この推定された1又は複数の円錐の軸及び頂角から前記一対の被測定面のなす最大角度及び最小角度の少なくとも一方を求めるものであることを特徴とする。
【0012】この発明によれば、異なる光学経路を介して一対の干渉像を撮像手段に導いて、演算手段で解析することができるので、自動化に適した測定が可能になる。
【0013】前記干渉光学系は、例えば平行度及び距離が高精度に規定された一対の対向する基準平面が形成されこれら基準平面が前記各被測定面と対向するように前記被測定面間に挟持される測定ヘッド部と、光源から出射された光を平行光に整形するレンズ系と、このレンズ系からの平行光を2つの光学経路に分割し前記各基準平面を介して前記各被測定面に導くと共に前記各被測定面とこれと対向する基準平面とでそれぞれ反射した光が干渉することによって生成される前記干渉像を前記撮像手段までそれぞれ導く分割光学系とを備えて構成することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、添付の図面を参照してこの発明の好ましい実施の形態について説明する。 図1は、この発明の一実施例に係る対向平面平行度測定装置を用いたマイクロメータの自動計測システムの構成を示す図である。測定対象であるマイクロメータ2は、製造最終工程又は検査工程において、マイクロ搬送・プローブ支持機構3によって搬送される。本実施例の対向平面平行測定装置1は、マイクロメータ2と一緒にマイクロ搬送・プローブ支持機構3によって搬送されるプローブ本体11と、このプローブ本体11に光を供給するLD(レーザ・ダイオード)光源回路12と、マイクロメータ2の被測定面に適度な測定圧を加えるための測定圧付加機構13と、マイクロメータ2のスピンドル42を180度回転させるための回転駆動機構10と、これら各部やマイクロ搬送・プローブ支持機構3を制御すると共に測定に必要な演算処理を実行するコントローラ14とを備えて構成されている。LD光源回路12とプローブ本体11とは、偏波面保持光ファイバ15を介して光学的に接続されている。測定圧付加機構13とプローブ本体11とはワイヤ16を介して機械的に接続されている。
【0015】プローブ本体11は、LD光源回路12から延びる偏波面保持光ファイバ15を光ファイバコネクタ17を介して接続し、内部に各被測定面を計測するための別々の光学経路を形成する干渉光学系18を形成すると共に、この干渉光学系18を介して抽出された干渉像をそれぞれ撮像する撮像手段であるCCDカメラ19,20を設けたものである。プローブ本体11の図中下端部に後述する測定ヘッド部27が形成され、この測定ヘッド部27の両側端に被測定面であるマイクロメータ2のアンビル41の先端面とスピンドル42の先端面とを挟み込んで測定が行われる。
【0016】図2は、干渉光学系18の一例を示す図である。ここでは干渉光学系18としてフィゾー型干渉計を用いた例を示している。LD光源回路12から出射された光は、偏波面保持光ファイバ15を介して筐体21の内部に導入される。導入された光は、まずコリメータレンズ22で約φ7mm程度の光束にコリメートされる。コリメータレンズ22からの平行光は、偏光ビームスプリッタ23に入射され、ここで一部が透過し、残りが反射して進行方向を90度曲げられる。90度進行方向を曲げられた光は、直角プリズム24にて再度90度進行方向を曲げられる。これにより、平行光は、平行な2つの光学経路C1、C2に分割される。各光学経路C1,C2を進行する平行光は、偏光ビームスプリッタ25,26をそれぞれ透過して、筐体21の下端部に形成された測定ヘッド部27に導入される。測定ヘッド部27には直角プリズム28が装着されており、測定ヘッド部27に導入された光は、この直角プリズム28でそれぞれ進行方向を90度曲げられて互いに逆方向で外向きに進行する。
【0017】筐体21の測定ヘッド部27の両側壁は、光が透過できるように開口されている。この開口を塞ぐように透明の平面基準板31,32が側壁外面にそれぞれ添接されている。平面基準板31,32は、例えばガラスで形成されており、その測定ヘッド部27に密着する面には、被測定面M1,M2の反射率に応じた反射コーディングが施され、この面が基準平面S1,S2となる。例えば、測定対象がマイクロメータ2のアンビル41とスピンドル42の挟持面である場合、基準平面S1,S2には被測定面M1,M2を形成する超硬合金の反射率に適合させた、金属膜によるハーフミラーコーティングが施される。フィゾー型干渉計は、この基準平面S1,S2と被測定面M1,M2とで反射された2つの光を干渉させる干渉計である。
【0018】ところで、基準平面S1の法面ベクトルと基準平面S2の法面ベクトルとは、一致しているとは限らない。しかし、この装置では、2枚の平面基準板31,32を密着固定する測定ヘッド部27の平面基準板固定面をゲージブロック並の良好な平行平面にラッピング加工し、その上で平面基準板31,32の基準平面をリンギングによって固定している。このため、基準平面S1,S2は、極めて高精度な干渉計の平行基準面として用いることができる。また、適当なるキャリブレーション法を併用すれば、更に一致度は高まる。
【0019】測定ヘッド部27の左側の平面基準板31には、中央部に測定用の開口部を有する固定保護板33がリンギングによって添接されている。固定保護板33は、焼き入れされた鋼又は超硬合金を用い、平面基準板31の基準平面S1と平行になるように高精度にラッピング加工されている。一方、測定ヘッド部27の右側の平面基準板32には、中央部に測定用の開口部を有する可動加圧板34が設けられている。この可動加圧板34は、測定圧付加機構13により図中矢印方向に移動して被測定面M1,M2に適当な測定圧を付与する。
【0020】平面基準板31,32の各基準平面S1,S2とアンビル41及びスピンドル42の被測定面M1,M2とで反射されることによって生じた干渉像は、直角プリズム28の方へ逆方向に進み、直角プリズム28で反射して進行方向を90度曲げられ、偏光ビームスプリッタ25,26で反射され、CCDカメラ19,20の各撮像素子19a,20aに撮像される。CCDカメラ19,20でそれぞれ撮像された干渉像は、コントローラ14に入力されて解析処理に供せられる。
【0021】コントローラ14は、例えばLD光源回路12をコントロールして、LD光源回路12からの光の波長を微小に変化させる。光波長を微小変化させると、干渉縞に光学的な位相シフトが生じ、観測される干渉縞が移動する。そこで、光波長を変化させて、異なる既知の3つの波長による測定を行って、3画像以上の位相シフト画像を用いて高精度に平面形状を求める。以下、本実施例の測定方法について図3のフローチャートに基づき説明する。
【0022】(1)被検面の各位置における高さの算出固定側の被測定面(以下、「固定被検面」と呼ぶ)M1と、回転側の被測定面(以下、「回転被検面」と呼ぶ)M2とは、それぞれ中央部の所定の領域を測定領域と仮定した。位相シフト法では、異なる既知の3つの波長による測定が必要となる。そこで、LDの波長を既知の微小量ほど変化させて、それぞれ3度の測定を行う。また、回転駆動機構10を制御して同じ測定を第1の位置と、回転被検面M2を180度回転させた第2の位置とで繰り返す(S1)。
【0023】いま、3種類の波長をλk=λ−α,λ,λ+βとおく。被検面M1,M2と基準平面S1,S2との距離を(x,y)∈Sに対してz(x,y)とすれば、位相のずれは、(2z*2π)/λk=4πz/λkとなる。よって、3つの干渉縞の光強度分布Ik(x,y)は、任意の位置(x,y)∈Sに対して、次の関係式で表される。
【0024】
【数1】

【0025】但し、Ik(x,y)は光強度分布の測定値、IB(x,y)は干渉縞のバイアス値、IA(x,y)は振幅値である。上記関係式より、【0026】
【数2】

【0027】とおくと、数1は下記数3のように表すことができる。
【0028】
【数3】

【0029】ここで、α′、β′では、高さ情報z(x,y)=z0(x,y)は平均的なものを与えておくこととする。
【0030】
【数4】

【0031】を解いて、高さz1(x,y)=θλ/(4π)を求める。ここで、初期値として与えた高さ情報z0(x,y)との差z1(x,y)−z0(x,y)が与えられた許容値内にあれば、この高さ情報z1(x,y)を採用する。そうでなければ、求められたz(x,y)=z1(x,y)を前述の初期高さ情報として同様に求めていく(S2)。
【0032】(2)平均的な傾斜を持つ近似平面の算出固定被検面M1、回転被検面M2の代表平面は前述の位相シフト干渉法により各位置の高さが求められているので、次のようにして決定する。即ち、平面の高さをz=f(x,y)(x,y∈S)で表し、代表平面をz=ax+by+c(x,y∈S)を、最小二乗法で求められる平均的な傾斜平面に選ぶ(S3)。
【0033】
【数5】

(但し、zkは位置(xk,yk)における位相シフト法で求められた高さである。)
【0034】上記式より、パラメータa,b,cを求め、平均的な傾斜を持つ平面z=ax+by+c(x,y∈S)を決定する。但し、パラメータa,b,cは、次の式で求められる。
【0035】
【数6】

【0036】なお、代表平面をz=ax+by+c(x,y∈S)を、上述したように最小二乗法で求められる平均的な傾斜平面に選ぶ代わりに、代表平面の頂上部分が最低3箇所で接する外接平面又は代表平面の谷底部分が最低3箇所で接する内接平面を選んでも良い。この場合、計算処理が容易になる利点がある。
【0037】(3)固定被検面M1の法面ベクトルUと回転被検面M2の2箇所の位置における法面ベクトルV1,V2の算出固定被検面M1の平均傾斜面は、(2)の方法によって求められている。よって、法面ベクトルUは、次のように表される。なお、法面ベクトルUは、長さ1に正規化されている(S4)。
【0038】
【数7】

【0039】回転被検面M2の180度異なる2箇所の位置における法面ベクトルV1,V2も同様に求められる(S4)。この法面ベクトルにより、平面の向きと傾きが規定される。図4に示すように、固定被検面M1の法面ベクトルUとスピンドル軸SPは一定の角度εをなす。回転被検面M2の法面ベクトルVは、回転により円錐面を描く。回転被検面M2の回転は、その軸がぶれないので、法面ベクトルの描く円錐は、その断面が円となる円錐である。勿論、回転被検面M2が回転軸に対して垂直であれば、円錐面の頂角δはゼロになる。
【0040】図6のように固定被検面1と固定被検面2の両法面ベクトルが一致しない場合、図7で示すように固定被検面2の法面ベクトルU2を固定被検面1の法面ベクトルU1に一致させるように回転させればよい。補正の要点は、図8のように、回転軸ez=(U2×U1)/|U2×U1|(×は外積作用素)を中心に、U1とU2とのなす角度δ=arcsin(|U2×U1|)だけV2を回転させる点にあり、回転後のV2が補正された回転被検面2の法面ベクトルとなる。以下、補正方法を示す。
【0041】(a)図8で示す回転軸ezに直交する平面Sにおける回転被検面2の法面ベクトルV2の成分ベクトルを、V2−(V2,ez)ezによって求める。
(b)上記成分ベクトルの単位ベクトルexは、【0042】
【数8】

【0043】で示される。ここで、単位ベクトルexと回転軸ezの両方に直交するベクトルは、ezとexの外積作用素を施すことにより、【0044】
【数9】

【0045】を求め、新たな座標系(ex,ey,ez)を構成する。
(c)回転被検面2の法面ベクトルV2の補正されたベクトルV2hを次のように求める。即ち、ezとeyとで張られる平面S上で、exをU1とU2のなす角度δだけ回転したベクトルνは、【0046】
【数10】

【0047】で表されるので、回転検出面2の補正後の法面ベクトルV2hは、上記ベクトルνと回転被検面2の法面ベクトルV2の回転軸ez方向の成分ベクトル(V2,ez)ezとの合成として、正規化を行って、次のように決定される。
【0048】
【数11】

【0049】固定被検面1と固定被検面2の両法面ベクトルが一致しない場合、図3のステップS4におけるV2は、このV2hを使用する。
【0050】(4)固定被検面と回転被検面の平行度検査の幾何学的なモデル構築前述のようにして固定被検面M1の法面ベクトルUと回転被検面M2の180度異なる2箇所の位置における法面ベクトルV1,V2は、回転軸を中心とする円錐円の180度異なるベクトルである。固定被検面M1と回転被検面M2の平行度は、例えば回転被検面M2の法面ベクトルがV1の場合、下記のように固定被検面M1の法面ベクトルUとのなす角θで表される。
【0051】
【数12】

【0052】ここでθが小さいほど平行度が良いことになる。ところで、回転被検面M2が回転軸に対して垂直でなければ上記のなす角θは法面ベクトルの位置によって異なる。故に、固定被検面の法面ベクトルUとスピンドル面の法面ベクトルの最大角を求め、これによって平行度を規定する必要がある。即ち、【0053】
【数13】

(但し、Vは、回転被検面M2の法面ベクトル)
【0054】となる角度θを求める。
【0055】(5)固定被検面と回転被検面の平行度決定のためのアルゴリズム図5に基づいて、本発明による平行度決定のためのアルゴリズムを示す。いま、回転被検面M2の法面ベクトルV1,V2をV1=P→P1,V2=P→P2、固定被検面M1の法面ベクトルUをU=P→P3とする(但し、Uは図4の向きとは逆向き)。なお、(3)で述べたように、測定された3つのベクトルU,V1,V2は長さ1に正規化されているものとする。
【0056】まず、点P1,P2は円錐断面に関して最遠点となっており、その頂角、即ちV1とV2のなす角度∠P1PP2は、【0057】
【数14】

【0058】で求められる。P1とP2との中点P0は、V1とV2とが丁度180度の関係となっているために、円錐の軸上に存在する。よって、V0=P→P0は、【0059】
【数15】

【0060】で求められる。従って、∠P1PP0=∠P2PP0=δ/2である(S5)。次に、UとV0とにより、その頂角εは同様に、【0061】
【数16】

【0062】により求められる(S6)。ところで、点P0は、点P1,P2の中点であるから、点P1,P2,P0は同一直線上に存在する。また、P3からP0を通り、円錐面と交わる点をP4とすると、点P3,P4,P0も同一直線上に存在するので、点P1,P2,P0,P3,P4は、点P1,P0,P2で作る直線と、点P3,P0,P4で作る直線とにより規定される平面上に共通に存在する。この平面と円錐とが交わる断面が、図5のM3で示されている。この断面M3は、円錐の軸と必ずしも直交していないので、楕円形となる。しかしながら、点Pから断面M3の輪郭である楕円上の任意の点に延びる円錐面上の任意のベクトルVと、円錐の軸上に存在するベクトルV0とのなす角度は、常にδ/2である。故に、固定被検面の法面ベクトルUに対して最大角を持つ円錐面上のベクトルVは、点P0に対してP3とは反対側に位置する円錐面上の点P4に延びるベクトルである。この場合、最大角度γ=(δ/2)+εとなる。このようにして、固定被検面M1と回転被検面M2との最大のずれ角度γを決定し、この角度値により、平行度の差異の評価をすることができる(S7)。また、同様に最小角度は、γ=−(δ/2)+εにより決定される。
【0063】なお、以上の説明では、二つの被測定面のうち一方が固定で、他方が回転する場合について説明したが、双方が回転する場合にも本発明は適用可能である。この場合、固定面の法面ベクトルUとスピンドル軸とのなす角度εの代わりに、固定被検面を回転させる0度と180度の位置における第2スピンドル軸と被検面M1の法面ベクトルとのなす角δ′よりδ′/2を求め、α=(δ/2)+(δ′/2)とする。また、(5)で回転被検面M2の円錐軸に沿った中心ベクトルV0と同様に、回転被検面M1側の円錐軸に沿う中心ベクトルV0′も求める。このとき、ベクトルV0,V0′のなす角度は、【0064】
【数17】

【0065】であるので、結局、両被検面M1,M2の最大のずれ角度は、γ=α+ε′で表される。また、両被検面の最小のずれ角度はγ=−α+ε′で表される。
【0066】なお、本発明は上述した実施形態に限定されない。即ち、位相の異なる複数の干渉像を得るステップにおいて、本出願人による特願平10-164291号又は特願平11-136831号に開示された光学的位相シフトを使用することにより、同時に位相の異なる複数の干渉像を取得することができるので、特定の高速化や測定の信頼性向上を図ることができる。その外、干渉計の基準面を移動させる公知の技術を使用しても良い。また、代表面の傾きを求めるステップにおいて、代表面は、外接平面と内接平面の2つの平面の高さを平均した平均平面としても良い。
【0067】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、回転する被測定面の傾きを第1の位置と、この位置から所定角度回転した第2の位置とでそれぞれ測定し、各位置において求められた被測定面の傾きから、被測定面の法面ベクトルが描く円錐を推定するようにしているので、この推定された円錐の軸と他方の被測定面の法面ベクトルとのなす角度と、前記円錐の頂角とから最大角度及び最小角度を求めることが可能になり、測定精度及び評価精度が向上するという効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
【出願日】 平成11年10月15日(1999.10.15)
【代理人】 【識別番号】100092820
【弁理士】
【氏名又は名称】伊丹 勝
【公開番号】 特開2001−174239(P2001−174239A)
【公開日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願番号】 特願平11−293145