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【発明の名称】 欠陥検出方法
【発明者】 【氏名】池田 孝之

【要約】 【課題】超硬チップなどの物品の表面欠陥を自動的に検出する。

【解決手段】CCDカメラなどで得られる物品の表面の濃淡を輝度で表し、サンプリングした輝度のバラツキのヒストグラムから、当該輝度を例えば白黒に分けて表示するための二値化の閾値の範囲の上限値及び下限値を設定し、その範囲内で、二値化の閾値の最適値を、当該輝度のヒストグラムの平均輝度及び25%輝度、即ち輝度の低い方から1/4の位置の輝度で表す回帰式を求める。これにより、照明の状態が変化しても、凡そ同じ二値化の閾値の最適値を設定することができる。なお、検出しにくい欠陥は、輝度を縦横に積算し、その値が所定値以下である領域に欠陥があると判定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 物品の表面の輝度を二値化して当該表面の欠陥を検出するにあたり、前記物品の表面の輝度のヒストグラムから平均輝度及び25%輝度を設定し、このヒストグラムのバラツキから設定される二値化閾値の上下限値を求め、その範囲の中で、前記平均輝度及び25%輝度を用いて二値化閾値の最適値を設定することを特徴とする欠陥検出方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば磁性体材料からなる焼結部品の表面欠陥を検出する方法に関するものであり、特に物品の表面の輝度を二値化して当該表面の欠陥を検出するのに好適なものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、磁性体材料を焼結した、所謂超硬チップなどでは、欠けやクラック(ひび)、へこみやふくれなどの表面欠陥が生じることがある。このような表面欠陥を自動的に検出しようとする試みは従来から行われている。なかでも、欠陥検出対象となる物品の表面の濃淡を輝度で表すと、表面欠陥のある部分或いはその周辺には輝度の変化が表れる。輝度表示は、濃淡をそのまま表示して欠陥を検出する方法に比べて、演算負荷が小さく、処理速度を高められると共に、例えばCCDカメラなどで映像として捉えた物品の表面の状態を一画素毎に圧縮できるため、微小な表面欠陥を検出できるという利点がある。この輝度の変化から物品の表面欠陥を検出するために、例えば白と黒という二値に分け、黒い部分が表面欠陥であるとする方法などがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、物品の表面の輝度を、例えば白と黒の二値に分ける場合、表面欠陥だけを黒として表示する閾値は、簡単には得られない。実質的には、照明の状態や表面欠陥の種類や大きさなどを変えて大量のサンプリングを行い、どのあたりで区切るかを実験的に求めるしかないという実状がある。
【0004】本発明は前記諸問題を解決すべく開発されたものであり、例えば照明の状態が変化する場合が想定されるとしても、或る程度のサンプリングによって、輝度のバラツキのヒストグラムを作れば、二値化閾値の設定ができるという欠陥検出方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記諸問題を解決するため、本発明のうち欠陥検出方法は、物品の表面の輝度を二値化して当該表面の欠陥を検出するにあたり、前記物品の表面の輝度のヒストグラムから平均輝度及び25%輝度を設定し、このヒストグラムのバラツキから設定される二値化閾値の上下限値を求め、その範囲の中で、前記平均輝度及び25%輝度を用いて二値化閾値の最適値を設定することを特徴とするものである。
【0006】なお、この欠陥検出方法は、例えば物品の表面欠陥を黒で表すことを前提としたとき、輝度の高い(明るい)側を100%輝度側とし、輝度の低い(暗い)側を0%輝度側としてバラツキのヒストグラムを作製し、そのうちの暗い方の25%輝度と全体の平均輝度とを用いるようにしている。また、ヒストグラムのサンプリング数は数個から数十個程度でよい。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の欠陥検出方法を、磁性体材料を焼結した超硬チップの表面欠陥検出に適用したものであり、図1aから図1eの順に、表面の輝度を白と黒の二値に分けて表示する閾値を次第に暗い側、即ち輝度の低い側に変更している。つまり、超硬チップの表面の照明を当て、それをCCDカメラで画像情報として捉え、その一画素毎の輝度を白か黒かで表すものとしたとき、より明るい側に閾値を設けてそれより明るい(輝度が高い)画素を白、それより暗い(輝度が低い)画素を黒としたのが、図1aであり、その閾値を次第に暗い側に移行して、最も暗い側に閾値を設けて同様に白黒の二値に表したのが図1eである。
【0008】この図1で、表示されている左上部の黒い部分が表面欠陥であるが、例えば図1a、図1bでは、表面欠陥以外の部分が黒く表れているし、逆に図1eでは、表面欠陥自体が白く表れている。つまり、二値化の閾値が適切でないと表面欠陥を正しく抽出或いは検出できないことになる。一方、図1c、図1dでは、表面欠陥だけが黒く表れていることから、この程度に二値化の閾値の最適値が存在することが分かる。
【0009】そこで、本実施形態では、表面欠陥のあるものもないものも含めて、数個から数十個の超硬チップの表面輝度をランダムにサンプリングし、図2に示すようなヒストグラムを作製する。このヒストグラムは、一般に統計学でいうバラツキを用いてもサンプルの分散の仕方を表すことができるが、例えば平均輝度と25%輝度(全バラツキの中で輝度の低い方から1/4の位置の輝度)でもサンプルの分散の仕方を表すことができる。このようにヒストグラムのバラツキの状態が分かると、経験的に二値化閾値の上限と下限とを設定することができるので、その範囲の中で最も表面欠陥を確実に表すことができる二値化閾値の最適値を求めることができる。従って、この二値化閾値最適値をバラツキを表すパラメータ、即ち平均輝度及び25%輝度で回帰式として設定すれば、例えば照明の状態が変化しても、つまり輝度のバラツキ全体が変化しても、同様に二値化閾値の最適値を設定することができる。ちなみに、この実施形態では、最適二値化閾値を下記1式で設定した。
【0010】
最適二値化閾値=(−0.36×平均輝度)
+(1.10×25%輝度)+27 ……… (1)次に、本実施形態の超硬チップに見られる典型的な表面欠陥について、図3に示す。このうち、急峻な突起や穴、シミやクラックなど、色が変化しているもの、一部が完全に欠けているものは、例えば図4に矢印で示すように、比較的広範な黒い部分が表れるので検出し易い。一方、幅の狭いクラックや直径が1〜2画素程度の微小な穴やふくれ、つまり欠陥のサイズが小さいものや、正常部との輝度の変化が少ないもの、例えば傾斜の滑らかなふくれや面積が広く浅い欠け、浅いすじ模様、或いはエッジ部に存在する欠陥等は、それそのものを認識しにくいため、検出が困難である。
【0011】そこで、本実施形態では、図5aに示すように例えば縦横方向に輝度値を積算し、夫々に上限値、下限値を設けて、例えば下限値を下回る部分に欠陥があるといったように判定する。図5bは、傾斜が滑らかなふくれがある場合であるが、輝度の積算値の一部が大きく減少していることから、そこに欠陥があると判定できるといった要領である。図6は、表面欠陥のない超硬チップの輝度の積算値であるが、照明の影響で何れか一方のエッジ部分(角隅部)がオーバシュートし、他方のエッジ部分がアンダーシュートするのを除くと、輝度の積算値は殆ど平坦になる。これに対して、図7a,bに示すように、欠陥部がある場合には、輝度の積算値、つまり白の画素数の合計が欠陥部だけ大きく減少するので、これを判定値と比較して、それより輝度の積算値が小さい場合には、そこに欠陥があると判定する。なお、判定値は、例えば白画素の合計の最大値の約90%程度に設定するとよい。
【0012】また、前述したように輝度の積算値がアンダーシュートするエッジ部分では、もともと輝度の積算値が小さいために欠陥の判定が困難であるが、図8に示すように、欠陥と見なされる程度の欠陥がエッジ部分にあると、輝度の積算値の小さい領域が大きくなるので、輝度の積算値が0から急速に立ち上がる部分を真のエッジとし、そこから判定値を下回る輝度の積算値の終了点までの距離が、欠陥のない超硬チップのそれより大きいときには、その超硬チップのエッジ部分に欠陥があると判定するように設定した。
【0013】また、縞模様についても、図9に示すように輝度の積算値が細かく変動する場合には、そこに縞模様の欠陥があると判定することが可能である。なお、縞模様が薄くて、前記二値化閾値ではっきりと抽出できない場合には、表面の濃淡をそのまま累積して、同様に欠陥を検出することも可能である。図10に、実際に欠陥(欠け部)を検出(抽出)したものを示す。なお、図中の欠け部抽出部分は、所謂ネガポジを反転してわかりやすくしている。原画像では、欠け部ははっきりしていないが、前述のように輝度を二値化してみると、はっきりと抽出される。ちなみに、本実施形態による超硬チップ欠陥検出の所要時間は最大で520msec.最小で478msec.であり、平均すると約500msec.で欠陥検出を行うことができた。
【0014】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の欠陥検出方法によれば、数個から数十個の物品の表面の輝度をサンプリングし、そのバラツキのヒストグラムを作製して、その平均輝度及び25%輝度によって最適二値化閾値を設定することができるので、欠陥検出に要する手間を大幅に削減することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000001258
【氏名又は名称】川崎製鉄株式会社
【出願日】 平成11年12月14日(1999.12.14)
【代理人】 【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也 (外2名)
【公開番号】 特開2001−174238(P2001−174238A)
【公開日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願番号】 特願平11−355123