| 【発明の名称】 |
面形状等を測定するための干渉計及びその測定方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】須原 浩之
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| 【要約】 |
【課題】球面のみならず非球面レンズの形状等を高精度且つ効率的に測定可能な干渉計及びその測定方法を提供する。
【解決手段】本発明の干渉計は、光源1からの可干渉光束を参照波と被検波とに分け、上記参照波に被測定面7aに相当する波面を形成する波面形成手段6a,8,9と、上記参照波と被検波とを重畳して撮像手段11より取り込んだ干渉縞データを基に面形状や面精度を演算可能とするもので、上記被測定面7aへ照射される参照波の位相を任意に変調可能な位相制御素子9を有する。上記演算手段12は、上記位相制御素子9により参照波の位相分布を被測定面7aに合わせ、撮像手段11でヌルの干渉縞を観測できるように補正した出力データを解析する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 同一光源から出射された可干渉光束を参照波と被検波とに分ける手段と、上記参照波に被検物の被測定面に相当する波面を形成する波面形成手段と、上記参照波と被検波とを重畳させる重畳手段と、該重畳手段を介して形成される干渉縞を観測する撮像手段と、該撮像手段の出力データを取り込んで上記被測定面の面形状や面精度を算出する演算手段と、を備えた干渉計において、上記波面形成手段は、被測定面へ照射される参照波の位相を任意に変調可能な位相制御素子を有するとともに、上記演算手段が、上記位相制御素子による位相変調量に基づいて上記撮像手段の出力データを解析するとしたことを特徴とする面形状を測定する干渉計。 【請求項2】 上記波面形成手段が、被測定面の基準となる非球面形状の波面を形成可能な回折光学素子を有することを特徴とする請求項1記載の面形状等を測定するための干渉計。 【請求項3】 上記位相制御素子が、上記回折光学素子と、上記被測定面との間に配置されたことを特徴とする請求項2記載の面形状等を測定するための干渉計。 【請求項4】 上記位相制御素子が、液晶を用いたものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の面形状等を測定するための干渉計。 【請求項5】 同一光源から出射された可干渉光束を被検波と、参照波とに分け、該参照波に被測定面を基準とした波面を形成して被測定面に照射し、被測定面で反射した参照波と、上記被検波とを重畳させて観測される干渉縞を解析して被測定面の面形状や面精度を測定する測定方法において、上記参照波の位相を変調制御して、観測される干渉縞をほぼヌル(null)とすることを特徴とする面形状等の測定方法。 【請求項6】 上記参照波の位相分布を2次元的且つ時間的に制御することにより、上記被測定面の任意の範囲に上記ヌルの干渉縞を形成し、該干渉縞の解析を行うことを特徴とする請求項5記載の面形状等の測方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチックレンズ等の被検物の面形状や面精度を測定する干渉計及び測定方法に関し、特に測定精度の向上および非球面の測定技術に関するものである。 【0002】 【従来の技術】一般にプラスチックレンズ等の球面を測定するものとしては、レーザ干渉計が知られている。また、非球面レンズを計測する試みは、以前から各方面で盛んに研究されているにも関わらず、なかなか実用化には至っておらず、実際に商品化されたものはない。その理由として、加工の誤差と被検物並びに光学系自身の配置誤差が完全に分離しにくく、干渉縞が大きく乱れていると縞解析ができない。非球面測定の実用化に向けては、被検物の設置位置を高精度に調整し干渉縞を解析許容範囲内に収める必要がある。 【0003】従来において、例えば、被検物等の位置調整には被検物を保持するフランジに取り付けたマイクロメータヘッド等により構成される微動機構を用いる手法が提案されている(特開平9−203686号等)。被検物が球面の場合、3軸方向の位置あわせで調整することが可能である。また、非球面の場合は、軸の偏心もあるので5軸調整が必要である。さらに非共軸非球面であれば6軸の調整が必要となる。 【0004】ところで、「球面」とは一の共軸を持つ連続面(点集合)と定義できることは周知の通りである。従来の測定対象とされた「非球面」は、上記のような球面から僅かにずれた形状や双曲面などに限定されていたが、近年では球面からかなり逸脱した形状も見られる。その結果、複雑な非球面形状の計測を目的とした測定技術が必要とされてきている。よって、本願にいう「非球面」とは、上記球面から僅かにずれた非球面形状のみならず、複数の球面形状を組み合わせた非共軸面、球面と非球面を組み合わせた非共軸面、これらの連続面に限らず不連続面等、いわゆる空間上の自由曲面及び不連続部を含む概念である。以上のように、非球面形状測定の実用化が望まれている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来技術のように被検物の位置誤差等のアライメント誤差を除去する作業をメカ的調整に依存するのでは測定者にとって負担になり、また、非球面ではさらに複雑となるため、実用化レベルの測定効率及び精度を得ることはできなかった。 【0006】すなわち、非球面形状の測定では、ちょっとしたアライメント誤差が干渉縞の発生に複雑な影響を及ぼし、この光路のずれが非球面の複雑な形状において現れる場合に位置誤差に起因する像を判定するのは球面のように容易ではない。したがって実際には測定者の熟練が必要な位置調整等により、解析許容範囲のデータを得ようと試みているのが現状である。特に近年においては、非球面形状が複雑化しつつあることから、非球面測定の干渉縞は乱れたものとなりやすい。このように観測される干渉縞に解析困難な乱れた像が含まれやすく、この結果、測定精度の向上が妨げられていた。 【0007】そこで、本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的は被検物の設置誤差等をメカ的に調整する作業が簡素化し又は不要となり測定効率が大幅に向上するとともに、非球面の測定であっても解析許容範囲の干渉縞を容易に観察でき、非球面レンズの面形状や面精度の測定精度を向上させる干渉計及び測定方法を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明の干渉計は、同一光源から出射された可干渉光束を参照波と被検波とに分ける手段と、上記参照波に被検物の被測定面に相当する波面を形成する波面形成手段と、上記参照波と被検波とを重畳させる重畳手段と、該重畳手段を介して形成される干渉縞を観測する撮像手段と、該撮像手段の出力データを取り込んで上記被測定面の面形状や面精度を算出する演算手段と、を備えた干渉計において、上記波面形成手段は、被測定面へ照射される参照波の位相を任意に変調可能な位相制御素子を有するとともに、上記演算手段が、上記位相制御素子による位相変調量に基づいて上記撮像手段の出力データを解析するとしたことを特徴としている。 【0009】また、上記本発明の干渉計において、上記波面形成手段が、被測定面の基準となる非球面形状の波面を形成可能な回折光学素子を有することができる。この場合、上記位相制御素子が、上記回折光学素子と、上記被測定面との間に配置された構成が望ましい。また、上記位相制御素子は液晶を用いたものであるとよい。 【0010】本発明の測定方法は、同一光源から出射された可干渉光束を被検波と、参照波とに分け、該参照波に被測定面を基準とした波面を形成して被測定面に照射し、被測定面で反射した参照波と、上記被検波とを重畳させて観測される干渉縞を解析して被測定面の面形状や面精度を測定する方法において、上記参照波の位相を変調制御して、観測される干渉縞をほぼヌル(null)とすることを特徴としている。 【0011】また、上記測定方法の発明において、上記参照波の位相分布を2次元的且つ時間的に制御することにより、上記被測定面の任意の範囲に上記ヌルの干渉縞を形成し、該干渉縞の解析を行うとすることができる。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。図1は、本発明の干渉計の一実施例を示している。この実施例はフィゾー型干渉計を基本構成としている。同図において、1は光源で、可干渉性の高いガスレーザ又は半導体レーザ等が使用される。光源1から出射された可干渉光は、集光レンズ2aで一旦集光され空間フィルタ3によりゴースト光や反射光等の不要な光がカットされる。上記集光レンズ2aとコリメータレンズ2bはビームエクスパンダを構成し、光源1から出射された幅の狭い可干渉光を適当な大きさに拡げるものである。ビームエクスパンダ2a,2bで拡大された光束は、コリメータレンズ2bにより平行光束となり対物レンズ6を経由して被測定面7aに達する。対物レンズ6の最終面は半透鏡としての参照面6aとなっており、ここで下記の波面形成手段を介して被検物7へ照射される参照波と、反射される被検波とに分けられる。 【0013】本実施例の波面形成手段には、対物レンズ6、回折光学素子8及び位相制御素子9を用いている。すなわち、対物レンズ6を透過する光は被測定面形状の基準面となる参照面6aで球面波となり、つぎに回折光学素子8によって、被測定面7aに相当する非球面波に変換される。この光が被測定面7aで反射すると元来た光路をそのまま逆戻りして参照波6aとなるのである。本発明に係わる位相制御素子9は、回折光学素子8等とともに波面形成手段を構成する光学手段であるが、これは主として後述の波面補正処理に使用するものである。なお、回折光学素子8は、ホログラムや電子描画、エッチング等により製作する。 【0014】また、上記波面形成手段は、本実施例のように対物レンズ6、回折光学素子8及び位相制御素子9の3種の光学素子からなる構成に限らず、少なくとも被測定面7aに対し基準となる波面を形成する手段であって、且つこれに参照波6aの位相分布を任意に制御できる機能が加味されたものであれば本発明を適用可能である。例えば、上記半鏡面の参照面6aは対物レンズ6の最終面としたが、そこに限られるものではなく、例えばコリメートレンズ2bと対物レンズ6の間に設けてもよい。また、回折光学素子8には高密度に加工されたゾーンプレート等があるが、これにより光の進行方向を自在に制御して非球面波を形成可能であれば、上記対物レンズ6は不要となる。さらに、上記位相制御素子9が高密度且つ任意に可変で、これのみで非球面に相当する波面を自在に発生可能であれば上記回折光学素子8も不要な構成となるのである。 【0015】上記位相変調を担う位相制御素子9としては、例えば2次元的に位相を変調可能な液晶を用いている。液晶のリタデーションが印加電圧に依存するため、印加電圧を制御することにより、リアルタイムで2次元的に位相変調を行うことができるのである。 【0016】光源1から出射された可干渉光は、参照面6aで反射された参照光、及び被測定面7aで反射された被検光になり双方とも同一光路を戻り重畳手段である光アイソレータ4により重畳される。光アイソレータ4は、ビームスプリッタ4a、λ/4板4b及び反射面4cにより構成されている。重畳された参照光と被検光とは、共に光アイソレータ4の反射面4cで反射されて結像レンズ10によって撮像手段としてのエリアCCDやリニアCCD等の受光素子11上に集光され、干渉縞の像を形成する。受光素子11に接続された演算手段12は図示しない画像処理手段を介して受光素子11からの出力データを取り込む。また、本発明に係わる演算手段12は、上記位相制素子を任意に操作し又はその自動制御を可能とするための制御手段を兼ねたマイクロコンピュータからなっている。 【0017】上記干渉光学系は、理論的には上記回折光学素子8及び被検物7を適切な場所に配置すれば受光素子11上でヌルの干渉縞が生じるように、あらかじめ被検物7の設計データをもとに設計されている。従って、被検物7が理想的な形状で加工され、かつ理想的な位置に配置した場合は、参照光の波面は被測定面形状に一致し、参照波は来た経路をそのまま戻るのでヌル(null)の干渉縞が生じる。ここで被検物7が理想的な形状から僅かでもずれていれば、これが受光素子11上に干渉縞となって観測される。観測された干渉縞の出力データは演算手段12へ取り込まれ、取り込んだ出力データを公知の位相シフト法などにより解析し、被測定面7aの加工における形状誤差量として算出する。 【0018】しかしながら、上記被測定面7aの測定において、被検物7の設置位置が設計上の理論位置からずれていても同じように干渉縞となって現れるので、上記形状誤差量には光学系の被検物の設置誤差成分が含まれてしまっている。そこで、従来の機械的な位置調整に代えて、本発明に係わる位相制御素子9によって上記参照波6aの空間的な位相分布を補正するのである。特に複雑な非球面形状の被測定面7aでは、そのアライメント誤差が複雑な干渉縞を発生させるので、参照波6aを波面制御し渉縞データを解析許容範囲に収めなければならない。 【0019】具体的には、本実施例に係わる演算手段12は、上記位相制御素子9を用いて電気的に被検物7への入射光線(参照波の波面)を調整しながら、受光素子11で観測される干渉縞のいずれの場所においても位相分布がほぼ等しくなるように位相変調をかける。こうして位置誤差の無い状態に等しいヌルの干渉縞を得るための波面制御を行ってから、演算手段へ12は干渉縞データを取り込み、公知の位相シフト等により縞解析等を行う。 【0020】上記波面補正の簡単な具体例を挙げる。図2に受光素子11上で2次元で捉えた干渉縞を模式的に示す。例えば球面の場合、被検物7が光軸に対してチルトあるいはシフトしている場合には、図2(a)の様な干渉縞を生じる。そこで、その干渉縞を相殺するように位相制御素子9により位相変調させる。また、被検物7がデフォーカスのずれを起こしている場合には、図2(b)の様な干渉縞を生じるので、それを相殺するような位相変調をさせればよい。 【0021】本実施例のように非球面の場合は、その形状により発生する干渉縞も異なってくるが、いずれにしても球面の場合と同様に発生した干渉縞を相殺する処理を行う。この場合、残差分が無視できるまでのヌル、つまり位相制御素子9により理想的な波面に制御できたならば、加工形状が極めて良好であり縞解析は不要である。 【0022】また、残差分が無視できない程度のヌル、つまり干渉縞の残差分を計測する場合は、公知の位相シフトによる解析方法を用いることができる。なお、この場合、受光素子11で得られた結果と、位相制御素子9での位相変調量とを足し合わせ、位相つなぎ処理を行い、総合的な波面収差量を算出する。このデータから被検物7のセッティング誤差に伴って発生した透過波面収差量を差し引くといった種々の解析処理が行われる。この結果、被検物7の加工誤差を原因とする波面収差量が算出され、且つ、これはヌルの干渉縞データに基づくものであるから、その補正後に行われる解析処理の精度は向上する。つまり、従来の非球面測定のように複雑且つ面倒な縞解析は回避され、位置誤差の調整も自動化されることと相俟って、非球面測定が実用化レベルに達するのである。以上のような補正及び演算処理は、非球面形状の測定に限らず球面形状の測定にも同様に有効である。 【0023】また、非球面測定において、球面からかなり逸脱した形状の測定は、位相制御素子9をリアルタイムに制御しながら任意の位相分布にて行う。例えば、ある領域でほぼヌルになる波面を設定し、これを2次元的に任意に位相分布を制御し、各領域において良好な位相分布を探しながら測定を行う。これにより面形状を特定する係数が多い複雑な非球面の測定が容易となる。 【0024】なお、上記の回折光学素子8及び位相制御素子9の位置は、それが設計上考慮されていれば特に問われない。本実施例のように、位相制御素子9を回折光学素子8と被検物7との間、すなわち光学系の一番最後に配置することによって全体の光学系に対する影響が少なく波面の補正が容易となる点で優れている。 【0025】以上の例ではフィゾー干渉計を説明したが、これに限らず、例えばマイケルソン干渉計、トワイマングリーン干渉計等の他の干渉計にも適用可能である。 【0026】 【発明の効果】以上説明したように、本発明では、被測定面へ照射される参照波の位相を任意に変調可能な位相制御素子を有するとともに、該位相制御素子による位相変調量に基づいて撮像手段からの出力データを解析するので、上記位相変調量から光学部品の配置や被検物の位置誤差(アライメント誤差)を電気的な処理によって補正可能であり、従来の機械的なアライメント調整が簡素化し又は不要となる。また、上記測定前の波面補正により上記撮像手段の出力データを解析許容範囲に収めることができ、この結果、非球面形状についての高精度な測定が可能となる。勿論、従来の球面測定を目的とした干渉計にも適用可能であり、位置調整の自動化及び測定精度の向上に寄与する。 【0027】また、本発明の干渉計において、上記波面形成手段が、被測定面の基準となる非球面形状の波面を形成可能な回折光学素子を有する構成であれば、上記位相制御素子の制御の基準となる非球面波を形成し、被検物の位置誤差の調整が容易で、且つ精度の高い非球面測定用の干渉計を提供することができる。 【0028】また、本発明の干渉計において、上記位相制御素子が、上記回折光学素子と、上記被測定面との間に配置された構成によれば、光学系全体に対して位相制御の影響が少ないので波面の形成が確実且つ容易となる。また、上記位相制御素子には液晶を用いた構成であれば、参照波の位相分布をリアルタイムに二次元的に制御でき、良好な波面形成が可能となる。 【0029】本発明の測定方法は、上記参照波の位相を変調制御して、観測される干渉縞をほぼヌル(null)とするので、被測定面の位置調整等の作業が簡素化又は不要となり、また、ほぼヌルの干渉縞に基づく高精度な解析が可能となる。 【0030】本発明の測定方法において、上記参照波の位相分布を2次元的且つ時間的に制御することにより、上記被測定面の任意の範囲に上記ヌルの干渉縞を形成し、該干渉縞の解析を行う方法によれば、球面をかなり逸脱した面形状についても測定を自動化し、効率的且つ高精度な測定が可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006747 【氏名又は名称】株式会社リコー
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| 【出願日】 |
平成11年12月20日(1999.12.20) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2001−174233(P2001−174233A) |
| 【公開日】 |
平成13年6月29日(2001.6.29) |
| 【出願番号】 |
特願平11−361647 |
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