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【発明の名称】 繊維の径分布測定方法および装置
【発明者】 【氏名】榎本 雅幸

【氏名】金丸 孝夫

【氏名】三津江 雅幸

【氏名】永井 信尚

【要約】 【課題】人手を介することなく高速かつ正確に径分布を測定する繊維径分布計測方法と自動測定装置を提供する。特にガラス繊維の径分布を精度よく求めることができる自動計測方法と装置を提供する。

【解決手段】繊維を拡大して写し込んだ画像を2値化し、2値画像を膨張収縮処理し、その後距離変換処理を行い各画素と輪郭までに存在する画素数を画素値として表した多値画像を取得し、距離変換処理で得た多値画像を細線化処理して画素値の大きい骨格を残し、骨格を示す細線化画像について画素値の分布を求めることにより、繊維径の分布を推定できるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 繊維を写し込んだ原画像を2値化し、さらに膨張収縮処理して2値画像を生成し、該2値画像に対して距離変換処理を施して各画素と輪郭までに存在する画素数を画素値として表した多値画像を生成し、該多値画像を細線化処理して画素値の大きい骨格を残した細線化画像を生成し、該細線化画像について画素値の分布を求めて出力することにより、繊維径の分布を推定できるようにすることを特徴とする繊維径分布測定方法。
【請求項2】 繊維を写し込んだ原画像を2値化し、さらに膨張収縮処理して2値画像を生成し、該2値画像に対して距離変換処理を施して各画素と輪郭までに存在する画素数を画素値として表した多値画像を生成し、該多値画像を細線化処理して画素値の大きい骨格を残した細線化画像を生成し、前記原画像に戻り該骨格線を基準として骨格線を挟んだ両側の近傍における輝度が極値を示す位置を繊維の輪郭と判定して繊維径を求めて、該繊維径の分布を出力することを特徴とする繊維径分布測定方法。
【請求項3】 顕微鏡を備えた撮像装置と画像処理装置と演算処理装置を備えて、前記撮像装置が繊維の原画像を取得し、前記画像処理装置が、前記原画像を2値化しさらに膨張収縮処理して2値画像を生成し、該2値画像に距離変換処理を行って骨格部の画素値が輪郭までの画素数を表した多値画像を生成し、該多値画像を細線化処理して画素値の大きい骨格を残した細線化画像を生成し、前記演算処理装置が該細線化画像の画素値についてヒストグラム処理して分布図を出力することを特徴とする繊維径分布測定装置。
【請求項4】 顕微鏡を備えた撮像装置と画像処理装置と演算処理装置を備えて、前記撮像装置が繊維の原画像を取得し、前記画像処理装置が、前記原画像を2値化しさらに膨張収縮処理して2値画像を生成し、該2値画像に距離変換処理を行って骨格部の画素値が輪郭までの画素数を表した多値画像を生成し、該多値画像を細線化処理して画素値の大きい骨格を残した細線化画像を生成し、前記原画像において該細線化画像の骨格線を挟んだ両側に現れる輝度極値点を繊維輪郭として繊維径を算出し、前記演算処理装置が該多値画像の画素値についてヒストグラム処理して分布図を出力することを特徴とする繊維径分布測定装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の繊維を撮像した画像から繊維の径分布を求める繊維径分布測定方法と装置に関し、特にガラス繊維の径分布を測定することができる繊維径分布測定方法と装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、細い繊維の径はマイクロメータを組み込んだ顕微鏡で目視により測定していた。多くの場合、繊維の太さは場所により異なるため、母数をある程度大きくとって統計的に処理して得た繊維径の分布に基づいて繊維径としていた。すなわち、ある1群の繊維について繊維の太さを評価するときは、顕微鏡にマイクロメータを組み込んで個々の繊維について測定した結果を統計的に処理して繊維径の分布を得ていた。
【0003】このような測定を自動化するものとして、繊維群を撮像装置のサンプル台上に散開し、顕微鏡を介して撮像装置で撮影し、画像データを画像処理装置で処理する装置がある。このような自動測定装置では、画像データを2値化し、画像上で繊維ごとに1本ずつ分離して、長さ方向に対して垂直な方向の幅を測定して得た多数の測定結果を統計処理する。
【0004】しかし、繊維の束について測定するときに、繊維が1本ずつ分離した状態の画像を得ることは困難である。ところが、画面中で繊維が重なっていると画像処理装置が繊維1本ずつを機械的に分別処理しながら径測定することが難しい。そこで自動測定装置でも、ディスプレイに撮像画面を表示し、操作員がディスプレイ上で個々の繊維を判別して指定する繊維の境界位置に基づいて繊維径を求め、これを統計処理して径分布を得るようにしている。
【0005】このような測定方法は、操作員が介在して画像中の繊維ごとに目視と手動操作を繰り返しながら計測するものであるため、能率が悪い上、個人差が含まれ測定精度がよくなかった。したがって、人手を介することなく画像情報から直接的に繊維径を求めて処理する自動測定装置が望まれていた。
【0006】また、自動測定装置において繊維の部分を確定するために2値化処理を行うときに、閾値の設定により繊維輪郭が一定しない問題があった。特に、透明なガラス繊維の径分布を測定するときには、繊維の内部は暗く輪郭が明るく写るので、2値化によって1本の繊維が2本の分離した線とならないようにするため2値化閾値を低く取る必要があり、繊維径が大きくなる傾向があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明が解決しようとする課題は、人手を介することなく自動的に径分布を取得する繊維径分布計測方法と装置を提供するところにある。特にガラス繊維の径分布を精度よく求めることができる自動計測方法と装置を提供するところにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明の繊維径分布測定方法は、繊維を写し込んだ画像を2値化し、2値画像を膨張収縮処理し、その後距離変換処理を行い各画素と輪郭までに存在する画素数を画素値として表した多値画像を取得し、距離変換処理で得た多値画像を細線化処理して画素値の大きい骨格を残し、骨格を示す細線化画像について画素値の分布を求めることにより、繊維径の分布を推定できるようにすることを特徴とする。
【0009】本発明の繊維径分布測定方法によれば、撮像画面を適当な閾値を用いて2値化して膨張収縮処理するので、画面中の繊維部分にある穴や欠落部を埋めた2値画像が得られる。このようにして生成された2値画像に対して距離変換処理を行って、繊維の軸部分すなわち骨格部に輪郭までの距離すなわち半径が画素数で表された多値画像を得る。
【0010】この距離変換処理は、2値画像中の0と1の境界部からの画素距離を画素値に持つ多値画像に変換するものである。次に、この多値画像を細線化処理して骨格部のみを残した線画像を得る。この線画像における骨格線は繊維ごとの軸を表し、そこに残された数値はその位置における繊維の径に対応する。したがって骨格部に残された数値のヒストグラムを算出することにより、画像中の繊維半径の分布が得られることになる。
【0011】なお、細線化処理で骨格線を求めた後で、原画像に戻り骨格線を基準として骨格線を挟んだ両側の近傍における輝度が極値を示す位置を繊維の輪郭と判定して繊維径を求めるようにしてもよい。このようにして繊維輪郭を求めるようにすると、2値化閾値のレベルに左右されず正確な径を得ることができる。特に透明ガラスファイバなどを対象とするときにも信頼性の高い測定を行うことができる。
【0012】また、上記課題を解決するため、本発明の繊維径分布測定装置は、顕微鏡を備えた撮像装置と画像処理装置と演算処理装置を備える。撮像装置は繊維の画像を取得する。画像処理装置は、取得した画像を2値化し、生成した2値画像を膨張収縮処理して2値画像を得て、得られた2値画像に距離変換処理を行って骨格部の画素値が輪郭までの画素数を表した多値画像とし、距離変換処理で得た多値画像を細線化処理して画素値の大きい骨格を残した細線化画像を得る。演算処理装置は、この細線化画像の画素値についてヒストグラム処理して分布図を出力する。
【0013】また、画像処理装置は、さらに原画像において骨格部を挟む輝度ピーク対を検出してその間隔を繊維径として提示する機能を備えてもよい。本発明の繊維径分布測定装置により、操作員の操作により画像中の繊維の輪郭を指示しなくても自動的に繊維径分布を得ることができるようになる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について実施例に基づき図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の実施例である繊維径分布測定装置の構成図、図2は本発明の繊維分布測定方法の実施例を説明する流れ図、図3は本実施例に用いるアルゴリズムにしたがって変化する画像を表した図面、図4は結果として得られる繊維径ヒストグラム、図5はガラス繊維測定の手法を説明する説明図、図6はガラス繊維の輝度変化を説明するグラフである。
【0015】
【実施例1】図1の繊維径分布測定装置は、本発明第1実施例を示すもので、プレパラートなどの上に展開された試料1を載置するサンプル台2と、試料中の繊維束の実像を形成する顕微鏡3と、形成された実像の位置に撮像面を置いたCCDカメラ4と、CCDカメラからの画像信号を処理する画像処理装置5と、処理過程の画像と測定結果を表示するディスプレイ6を備えている。
【0016】撮像装置は、映像信号を電気信号として出力するものであればよいので、CCDカメラ以外のカメラも使用できることはいうまでもない。なお、顕微鏡2には同軸照明を施す照明装置が備えられていて、繊維束の画像が影の影響を受けにくくしている。また、照明の光量を十分大きくして、被写界深度を深くし画像中に多数の繊維を捉えやすくしている。なお、照明装置は場合によって取り替えられるようになっている。試料によっては側射照明の方がより鮮明な画像を得ることができる場合もあるからである。また、画像処理装置4には画像信号に対して画像処理を施す部分と得られた画像情報に対して演算処理を施して径分布情報を求める演算処理部分が含まれている。
【0017】本発明の繊維径分布測定は、次の手順で行われる。できるだけ重ならないようにプレパラートの上に展開された試料繊維1の拡大画像をCCDカメラ4の撮像面上に形成する。この撮像面で区切られた領域内に撮像された繊維について繊維径分布を測定する。勿論、撮像面内に改めて小さな測定領域を設定することもできる。図2は画像処理装置5で行われる処理の手順を示した流れ図、図3は画像処理過程で変化する画像の例を示す図面である。
【0018】画像処理装置5は、CCDカメラ4から画像信号を入力して画像メモリに格納する(S1)。画像メモリには原画像の画素に対応するメモリ空間が形成されていて、各画素の位置に画素の輝度データが格納される。こうして入力した原画像にはノイズが多数存在するので、メディアンフィルタ処理や収縮膨張処理など通常の手法によりノイズを除去する(S2)。なお、画面の状態がよければノイズ処理を省略してもよいことはいうまでもない。
【0019】さらに、画像の状態から決められる閾値に基づいて2値化処理をして、輝度の高い部分に1を割り振りそれ以外を0とした2値画像を生成する(S3)。1の部分が繊維の部分に対応する。2値画像の繊維部分に穴や欠陥が存在すると距離変換処理などに支障を来す場合があるので、膨張収縮処理により繊維幅の情報を維持した上で欠陥等を埋めた修整2値画像を形成する(S4)。修整2値画面はたとえば図3(a)のようになる。この修整2値画像に対して距離変換処理を施す(S5)。距離変換は、2値画像中の例えば1の数値を有する画素が境界から画素数で数えて何個分離れているかを示す数値を画素値として持つ多値画像に変換する操作である。
【0020】具体的には、例えば3×3のカーネルサイズを持つ縮小フィルタを修整2値画像に作用させて行う。縮小フィルタは、カーネル中の画素がすべて1であるときに値を1とし、ひとつでも0の画素があれば値を0とするような論理積演算を行う。この縮小フィルタを画像の左上から右下にかけて1回走査して作用させると、2値画像中の値1の領域の周囲を1画素分縮小した新しい値1の領域を生成する。この新しい領域は初めの領域の輪郭から内側に1画素以上離れた画素の集合を表すものである。初めの画像にこの新たな画像を加算処理すると得られた画像は、元の画像における値1の領域の輪郭から1画素未満の距離にある画素に値1を付し、1画素以上の距離にある画素に対して値2を付して表した距離変換画像となる。
【0021】初めの領域の輪郭から内側に1画素以上離れた画素の集合を表す新しい領域に対して同じように縮小フィルタを作用させると、今度は初めの輪郭から内側に2画素以上離れた画素の集合を表すものが生成される。これを先の距離変換画像に加算すると、輪郭線に接するところに1、内側に1画素分離れた画素に2、さらに2画素以上離れた内部領域に値3を付した距離変換画像となる。
【0022】このようにして縮小フィルタ操作を値1の領域が全て消滅するまで繰り返すことにより、繊維の輪郭からの距離を数値で表現した距離変換画像を得ることが出来る。たとえば、図3(a)の2値画像を距離変換すれば、図3(b)に示した距離変換画像が得られる。このように、距離変換画像では繊維の中心を結ぶ骨格線にその位置における繊維の半径を画素幅を単位として表した数値が表示されていることになる。
【0023】そこで、距離変換画像を細線化して骨格線のみを残した細線化画像を求める(S6)。たとえば、図3(b)の距離変換画像からは図3(c)の細線化画像が得られる。細線化画像の骨格線は繊維の芯の位置を表す。また、その画素値はその位置の繊維径を表すので、画像中の画素値の頻度を求めてヒストグラムを作成する(S7)。このヒストグラムはそのまま繊維の径の分布を表すことになるので、これを人が理解しやすく実寸値に変換してグラフ化し、ディスプレイに表示する(S8)。図4はこのようなヒストグラムの模式的に例示したものである。またヒストグラムに基づいて、平均値、中央値、最頻値など統計的処理により対象とする繊維束において妥当性のある繊維径を求めることもできる。
【0024】このような繊維径分布測定方法によれば、画像中の繊維を1本ずつ分離して処理しなくても繊維径を数値化できるので、従来方法のように人手を介することなく繊維径分布状況を知ることができる。これまでは人手をかけて何百回と測定を繰り返す必要があったところを1回の画像処理に置き換えることができるので、測定の省力化、効率化が達成できる。また、繊維の太さが場所によって異なる場合にも、1本の繊維の全長にわたり径が求められるので、これを統計処理することにより信頼に値する測定値を得ることができる。
【0025】
【実施例2】透明のガラス繊維について撮影した画像は輪郭が高い輝度を有するが内部の輝度は低いため、2値化処理における閾値が高すぎると1本の繊維を2本と誤って判断することがあるので閾値を低くする必要がある。このため、一般に繊維径が大きく捉えられる傾向があって正しい値が得られない嫌いがあった。そこで、原画像のおける繊維輪郭イメージを利用して繊維径を測定するように改良したものが実施例2の繊維径分布測定方法および測定装置である。
【0026】本実施例の方法では、まず、原画像を2値化して膨張収縮処理し、距離変換して細線化して繊維の骨格線を求めるまでは、実施例1の手順に基づいて処理する。こうして繊維の位置を把握した後で、また原画像に帰って骨格線を投影し、図5の概念図に示すように、骨格線に垂直なルーラーを引く。ルーラーの長さは繊維幅以上なければならないが、骨格線上に記憶されている画素値が半径を示しているのでこの値の2倍以上あれば十分である。
【0027】次に、ルーラー線に沿った輝度変化を調べると、図6に示すように繊維の外側から輪郭に近づくにつれて輝度値が急峻に立ち上がり、繊維の輪郭で最も高い輝度を示すが内側ではまた輝度が小さくなる。そこで、骨格線を挟んだ両側の近傍において輝度が極値を示す位置を繊維の輪郭と判断して、両輪郭線間の距離を繊維径として、統計処理によりヒストグラムを求めサンプルとした繊維の径の妥当値を求める。この方法では、ガラスのような透明繊維であっても、2値化閾値のレベルによって左右されず安定した繊維径分布計測が可能となり、正当な繊維径評価ができる。
【0028】90万画素(850H×984V)のカメラを用い、側射照明の下で倍率1000倍の単焦点レンズにより1画素が実寸の0.636μmに当たるようにした本実施例の繊維径分布測定装置を用いて、ガラス繊維の径を調べたところ、4種類の長繊維についてそれぞれ5.2μm、7.3μm、9.1μm、13.3μmと、いずれも真値に対して±1μm以内の測定精度で測定できた。また1から13μmの径分布を持つ短繊維について平均径5.6μmという満足できる結果を得た。なお、測定の精度は繊維像に対する画素の大きさに関係することは明らかで、カメラの画素数を大きくするかレンズの倍率を大きくすれば精度が容易に向上するが、情報処理の負担が大きくなったり測定対象とする範囲が小さくなるので、測定性能として総合的に検討する必要がある。
【0029】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の繊維径分布測定方法および装置によれば、多数の繊維について人手を介さずに1挙に高速かつ正確に径分布測定することができる。また、特に透明な繊維についても正確な径分布測定ができる。
【出願人】 【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
【出願日】 平成11年12月17日(1999.12.17)
【代理人】 【識別番号】100104341
【弁理士】
【氏名又は名称】関 正治
【公開番号】 特開2001−174227(P2001−174227A)
【公開日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願番号】 特願平11−359093