| 【発明の名称】 |
発掘出土品のデータ作成方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】角張 淳一
|
| 【要約】 |
【課題】発掘出土品データを作成する際における作成作業の飛躍的な効率化を図るとともに、作成する際の正確性、さらには高い作成品質を確保する。また、データの多様性及び発展性を高める。
【解決手段】撮像位置を固定したビデオ用カメラ2により、単色面3上の石器Aとスケール4を撮像し、撮像した画像データをコンピュータ5に取り込むとともに、ディスプレイ6に表示されたスケール4から石器Aの寸法を計測するための基準長さデータを設定し、かつ石器Aの画像データのみを抽出して基礎データDa…を得、この基礎データDa…と基準長さデータから石器Aの寸法を計測するとともに、基礎データDa…を処理することにより、発掘出土品データを作成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 撮像位置を固定したビデオ用カメラにより、単色面上の発掘出土品とスケールを撮像し、撮像した画像データをコンピュータに取り込むとともに、ディスプレイに表示されたスケールから発掘出土品の寸法を計測するための基準長さデータを設定し、かつ発掘出土品の画像データのみを抽出して基礎データを得、この基礎データと前記基準長さデータから発掘出土品の寸法を計測するとともに、前記基礎データを処理することにより、発掘出土品データを作成することを特徴とする発掘出土品のデータ作成方法。 【請求項2】 発掘出土品は、石器であることを特徴とする請求項1記載の発掘出土品のデータ作成方法。 【請求項3】 前記石器には、予め、実測図の作成に必要なマーキングを施すことを特徴とする請求項2記載の発掘出土品のデータ作成方法。 【請求項4】 前記基礎データの抽出は、前記単色面と同色のデータを除去し又は前記単色面と発掘出土品の境界を識別して行うことを特徴とする請求項1記載の発掘出土品のデータ作成方法。 【請求項5】 前記基礎データには、発掘出土品の異なる面を撮像した複数の基礎データを含むとともに、前記処理には、当該複数の基礎データをレイアウトするレイアウト処理及びサイズの変更を行うサイズ変更処理を含むことを特徴とする請求項1記載の発掘出土品のデータ作成方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、石器等に係わる発掘出土品データを得るための発掘出土品のデータ作成方法に関する。 【0002】 【従来技術及び課題】一般に、発掘調査では、発掘出土品に係わる発掘出土品データを作成し、専門的に整理することにより学術的資料にまとめている。ところで、発掘出土品、特に、石器の場合、石器データには、写真や寸法をはじめ、製作技法に係わるデータも含まれる。即ち、石器は、時代や地域(文化)によって剥離具で石を加撃する際の技術が異なり、この結果、石器に現れる剥離様相も異なるため、その技術構造(製作技法)も重要な石器データとなる。 【0003】従来、このような石器データの作成作業は、極めて専門的な知識とノウハウを伴うため、主に定規を用いた手計測と写真を利用し、限られた専門家によって、いわば手作業により作成を行っていた。しかし、従来の作成方法は、作成作業にかなりの時間を要し、効率的な作成作業を行うにも限界があること、作成する際の正確性に欠け、作成品質を確保することが容易でないこと、データの多様性及び発展性に欠けることなどの問題があった。 【0004】本発明は、このような従来技術に存在する課題を解決したものであり、発掘出土品データを作成する際における作成作業の飛躍的な効率化を図るとともに、作成する際の正確性、さらには高い作成品質を確保し、加えて、データの多様性及び発展性を高めることができる発掘出土品のデータ作成方法を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段及び実施の形態】本発明に係る発掘出土品のデータ作成方法は、撮像位置を固定したビデオ用カメラ2により、単色面3上の発掘出土品とスケール4を撮像し、撮像した画像データをコンピュータ5に取り込むとともに、ディスプレイ6に表示されたスケール4から発掘出土品の寸法を計測するための基準長さデータを設定し、かつ発掘出土品の画像データのみを抽出して基礎データDa…を得、この基礎データDa…と基準長さデータから発掘出土品の寸法を計測するとともに、基礎データDa…を処理することにより、発掘出土品データを作成するようにしたことを特徴とする。 【0006】この場合、好適な実施の態様により、発掘出土品として石器Aに適用でき、石器Aには、予め、実測図の作成に必要なマーキング7…を施すことができる。一方、基礎データDa…の抽出は、単色面3と同色のデータを除去し又は単色面3と発掘出土品(石器A)の境界Sを識別して行う。また、基礎データDa…には、発掘出土品(石器A)の異なる面を撮像した複数の基礎データDa,Db,Dcを含むとともに、基礎データDa…の処理には、複数の基礎データDa,Db,Dcをレイアウトするレイアウト処理及びサイズの変更を行うサイズ変更処理を含む。 【0007】 【実施例】次に、本発明に係る好適な実施例を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。 【0008】まず、本実施例に係る発掘出土品のデータ作成方法を実施できるデータ作成システム1の構成について、図2を参照して説明する。 【0009】図2中、2は撮像位置を固定したビデオ用カメラである。このビデオ用カメラ2としては、画像信号をデジタル信号で出力するデジタルカメラ(静止画撮像カメラ)又はビデオカメラ(動画撮像カメラ)等を使用できる。また、3は全面青色の単色面であり、ビデオ用カメラ2から一定距離だけ離間する。この場合、具体的な構成としては、例えば、上面及び側面を青色にしたテーブルT(図6参照)に、ビデオ用カメラ2を支持するスタンドを取付け、かつテーブルT上に、青色の衝立Mを立てればよい。これにより、スタンドを起立させれば、ビデオ用カメラ2をテーブルTの上方にセッティングできるため、図2のように、上方(真上)から単色面3上の石器A(発掘出土品)又はスケール4を撮像できるとともに、他方、スタンドを倒せば、ビデオ用カメラ2をテーブルTの横方にセッティングできるため、図6に示すように、横方(水平方向)から単色面3上の石器A又は鉛直方向に立てたスケール4を撮像できる。 【0010】一方、10は、コンピュータシステムであり、コンピュータ5を備えるとともに、このコンピュータ5に接続した画像表示用のディスプレイ6,操作用のキーボード11及びプリントアウト用のプリンタ12を備える。そして、コンピュータ5には、本実施例に係るデータ作成方法を実行する作成処理プログラムPが格納(インストール)されている。 【0011】次に、このようなデータ作成システム1を用いた本実施例に係る発掘出土品データの作成方法について、図2〜図7を参照しつつ図1に示すフローチャートに従って説明する。 【0012】まず、図4に示すように、石器Aには、予め、実測図の作成に必要なマーキング7…を施す(ステップSf)。マーキング7…の施し方は、石器Aの表面に形成された稜線を、例えば、容易に落とすことができるチャコールペン等により擦って石器Aの表面色とは異なる色(白又は黒等)を付着させればよい。 【0013】一方、スケール4を用意し、図2に示すように、テーブルTの上にスケール4を置いて、上方からビデオ用カメラ2により撮像する(ステップS1)。この場合、テーブルTの上面が単色面3となる。これにより、ビデオ用カメラ2から画像データがコンピュータ5に取り込まれる。また、スケール4は、ディスプレイ6に表示されるため、図3に示すディスプレイ6に表示されたスケール4から石器Aの長さを計測するための基準長さデータを設定する(ステップS2)。この場合、例えば、コンピュータ5で10〔cm〕を基準長さとして指定し、コンピュータ5に付属するマウスを利用して表示されたスケール4における10〔cm〕に対応する二点をクリックすれば、二点間の距離が基準長さデータ(10〔cm〕)として設定される。 【0014】次いで、図2に示す単色面3の上に、正面を上にした石器Aを置くことにより、上方からビデオ用カメラ2により撮像する(ステップS3)。これにより、ビデオ用カメラ2から画像データがコンピュータ5に取り込まれる。また、図4に示すように、画像データはディスプレイ6に表示されるため、表示された石器A(正面図)をトリミングするとともに、さらに、石器Aの画像データのみを抽出して基礎データDaを得る(ステップS4)。この場合、基礎データDaの抽出は、単色面3と同色のデータを除去し又は単色面3と石器Aの境界Sを識別して行う。抽出処理は、ディスプレイ6及び実物の石器Aを見ながら行い、正確に抽出できないときは、必要により、部分的な拡大を行ったり、コントラストを変更して抽出する。そして、抽出した基礎データDa(平面図)はコンピュータ5に登録する。 【0015】また、石器Aを裏返し、背面を上にして置くことにより、上方からビデオ用カメラ2により撮像する(ステップS5)。これにより、図5に示すように、ディスプレイ6には画像データが表示されるため、上記同様に、ディスプレイ6に表示された石器A(背面図)をトリミングするとともに、さらに、石器Aの画像データのみを抽出して基礎データDbを得る(ステップS6)。そして、抽出した基礎データDb(背面図)はコンピュータ5に登録する。 【0016】他方、ビデオ用カメラ2をテーブルTの横方に移動させ、石器Aの側面を撮像できるようにセッティングするとともに、図6に示すように、石器Aの隣にスケール4を鉛直方向に立てる。これにより、ビデオ用カメラ2から石器Aの側面を見た際に、テーブルTの側面と衝立Mが単色面3となる。そして、石器A及びスケール4を、横方からビデオ用カメラ2により一緒に撮像する(ステップS7)。これにより、ビデオ用カメラ2から画像データとしてコンピュータ5に取り込まれ、ディスプレイ6に表示される。また、上記同様に、図6に示すディスプレイ6に表示されたスケール4から石器A(側面図)の長さを計測するための基準長さデータを設定する(ステップS8)。なお、実施例では、石器Aの側面とスケール4を一緒に撮像したが、前述したステップS1とステップS3のように別々に撮像してもよいし、この場合のスケール4は無くてもよい。さらに、上記同様、表示された石器A(側面図)をトリミングするとともに、石器Aの画像データのみを抽出して基礎データDcを得る(ステップS9)。そして、抽出した基礎データDc(側面図)はコンピュータ5に登録する。 【0017】一方、コンピュータ5では、基礎データDa,Db,Dcと基準長さデータから自動で石器Aの寸法を計測する(ステップS10)。計測した寸法はデータベースとしてコンピュータ5のメモリに登録される。 【0018】また、石器Aに係わる基礎データDa(正面図),基礎データDb(背面図)及び基礎データDc(側面図)は、ディスプレイ6に同時に表示される。この場合、各図は、予め定められた位置関係により表示される。各図の位置関係は図7に示すようになる。そして、表示された正面図,背面図及び側面図に対する細部のレイアウト処理、例えば、向きの修正や対称性の修正等を行うとともに、サイズに対する必要な変更処理を行う(ステップS11)。なお、必要により、各種オプション処理、例えば、自動で表計算ソフトウェアへのデータ(幅,長さ,厚さ)の張り付けを行う処理或いは断面作成用枠の表示処理等を行わせることができる。 【0019】以上により、データ作成システム1を用いた石器データの作成が終了する。一方、石器データ、即ち、石器Aの正面図,背面図及び側面図は、プリンタ12からプリントアウトすることができる(ステップS12)。プリントアウトした用紙は、例えば、属性を表示して属性カードとして利用できるとともに、実測図を作成するための補助図として利用できる。なお、補助図として利用する場合には、プリントアウトした用紙の上にトレーシングペーパを置き、必要なリング(RING)L…(図7参照)を入れることにより実測図を作成することができる(ステップSr)。リングL…を入れる実測図の作成作業は、高度の専門性とノウハウが要求されるため、コンピュータシステム10を用いた作成は困難であり、この段階では手作業で行う。図7は作成された実測図を示す。 【0020】以上、実施例について詳細に説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、細部の構成,用具,手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更,追加,削除することができる。例えば、実施例は、石器データを作成する場合を示したが、土器等の他の発掘出土品に係わる発掘出土品データを作成する場合にも同様に適用できる。また、基礎データとして、正面図,背面図及び側面図(片側側面図)を例示したが、両側面図,平面図,底面図も同様の基礎データとして作成できる。なお、マーキングは必ずしも施すことを要しない。 【0021】 【発明の効果】このように、本発明に係る発掘出土品のデータ作成方法は、撮像位置を固定したビデオ用カメラにより、単色面上の発掘出土品とスケールを撮像し、撮像した画像データをコンピュータに取り込むとともに、ディスプレイに表示されたスケールから発掘出土品の寸法を計測するための基準長さデータを設定し、かつ発掘出土品の画像データのみを抽出して基礎データを得、この基礎データと基準長さデータから発掘出土品の寸法を計測するとともに、基礎データを処理することにより、発掘出土品データを作成するようにしたため、次のような顕著な効果を奏する。 【0022】■ 専門的な知識とノウハウを伴う発掘出土品データを作成する際における作成作業の飛躍的な効率化を図ることができる。 【0023】■ 手作業が介在する作業工程を大幅に削減できるため、実測図を作成する際の正確性、さらには高い作成品質を確保できる。 【0024】■ 発掘出土品データをデータベース化できるため、属性カードの作成や統計等を容易に行うことができるなど、データの多様性及び発展性を高めることができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】500002582 【氏名又は名称】株式会社アルカ
|
| 【出願日】 |
平成11年12月20日(1999.12.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088579 【弁理士】 【氏名又は名称】下田 茂
|
| 【公開番号】 |
特開2001−174225(P2001−174225A) |
| 【公開日】 |
平成13年6月29日(2001.6.29) |
| 【出願番号】 |
特願平11−360318 |
|