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【発明の名称】 ステレオ測位装置及び方法
【発明者】 【氏名】岩野 博隆

【氏名】大木 透

【要約】 【課題】従来よりも少ない演算量で必要な精度を実現するステレオ測位の技術を提供する。

【解決手段】対応点抽出部5は、パターンマッチングアルゴリズムなどの技術により、各撮像部3L,3Rで撮像された左右の各画像データの各部分同士を比較し、各画像から相互に対応する対応点を抽出する。対応点が、左右どちらか一方の画像では高解像部分で、他方の画像では低解像度部分である可能性がある場合、解像度変換部6は、高解像部分データを、低解像度領域Lの解像度ヘ変換し、対応点抽出部5へ提供する。対応点検出部6で対応点を検出後、測位部7では、対応点が左右の画像でどの程度ずれているかなどの情報に基づいて、対象物の3次元位置座標を検出し、対象物について例えば、画像上の座標とともに測位した3次元位置座標を外部の情報処理システム2に提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 撮像用のイメージセンサを左右2つ備え、各イメージセンサから得られる各画像に基づいて対象物の測位を行うためのステレオ測位装置において、前記各イメージセンサは、撮像面の左右両端寄りにそれぞれ設けられた第1の領域と、前記各第1の領域の間に設けられ、第1の領域よりも解像度の粗い第2の領域と、を備えたことを特徴とするステレオ測位装置。
【請求項2】 前記各イメージセンサから得られる各画像の部分同士を比較することにより、各画像から相互に対応する対応点を抽出するための対応点抽出手段と、前記対応点抽出手段が、前記第1の領域で撮像された第1の部分の画像データと、前記第2の領域で撮像された第2の部分の画像データとを比較しようとするとき、前記第1の部分の画像データを、前記第2の領域の解像度ヘ変換するための手段と、を備えたことを特徴とする請求項1記載のステレオ測位装置。
【請求項3】 撮像用のイメージセンサを左右2つ用い、各イメージセンサから得られる各画像に基づいて対象物の測位を行うためのステレオ測位方法において、前記各イメージセンサには、撮像面の左右両端寄りにそれぞれ設けられた第1の領域と、前記各第1の領域の間に設けられ、第1の領域よりも解像度の粗い第2の領域と、を設けておき、前記各イメージセンサから得られる各部分の画像データに対して、画像データのデータ量に応じた演算量の画像処理を施すことによって対象物の測位を行うためのステップを含むことを特徴とするステレオ測位方法。
【請求項4】 前記各イメージセンサから得られる各画像の部分同士を比較することにより、各画像から相互に対応する対応点を抽出するための対応点抽出ステップと、前記対応点抽出ステップにおいて、前記第1の領域で撮像された第1の部分の画像データと、前記第2の領域で撮像された第2の部分の画像データとを比較しようとするとき、前記第1の部分の画像データを、前記第2の領域の解像度ヘ変換するためのステップと、を含むことを特徴とする請求項3記載のステレオ測位方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像情報に基づいて周囲の物体の距離や位置を測位するステレオ測位の技術の改良に関するもので、特に、従来よりも少ない演算量で必要な精度を実現するようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】近年、デジタル技術の発展に伴い、画像情報によって周囲の状況を電子的に解析し、自動車における他車の接近警報や自動制御を始めとした各種の情報処理に応用する技術が提案されている。特に、画像情報に基づいて周囲の物体の距離や位置を測位する技術としては、ステレオ測位が知られている。このステレオ測位は、動物の両眼視差による立体視を応用した技術で、イメージセンサを左右2つ組み合わせて用いるものである。ここで、イメージセンサは、画像情報を得るための装置であり、典型的には、フォトダイオードの集合体であるCCD(ChargeCoupled Device )が挙げられる。
【0003】すなわち、ステレオ測位では、例えば2台のビデオカメラ(単にカメラとも呼ぶ)を左右に位置をずらして並べ、それぞれの画像から同じ対象物が写っている部分を抽出し、同じ対象物の各画像間での位置のずれから、対象物の距離や位置を測位する。このようなステレオ測位の技術は、ステレオ測位装置などとして実現される。
【0004】ところで、ステレオ測位では、解像度など他の条件が同じ場合、測位対象が正面から左右にずれればずれるほど、画像の歪みや左右のビデオカメラからの距離の差などの影響により、測位精度が低下する。そして、従来のステレオ測位の技術では、図5の概念図に例示するように、横方向の画素サイズが全体で均一なイメージセンサを使い、画像全体を一様な解像度で撮像していた。
【0005】このため、正面から左右にずれた部分に関する測位精度は、正面からずれている横方向の距離に比例して悪化せざるを得なかった。ここで、図6は、従来技術における画像の左右方向の各部分における誤差の程度を例示するグラフである。したがって、従来技術では、精度が最も低下する画像の左右両端でも必要な要求精度が確保されるように(図6)、撮像素子の画素サイズが決定されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のような従来技術では、画像の左右両端での測位精度を確保するために、画像中央付近については、精度とそれに比例する画像処理演算量が過剰となり、結果として画像処理演算量全体とその負荷が大きく、それらの低減が困難という問題点があった。特に、演算量が多い場合は、長い演算時間か、高性能な処理装置か、のうち少なくともどちらかが必要となるため、測位のリアルタイム性の確保と、装置の小型化低廉化の両立は困難であった。
【0007】本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたもので、その目的は、従来よりも少ない演算量で必要な精度を実現するステレオ測位の技術、すなわちステレオ測位装置及び方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、撮像用のイメージセンサを左右2つ備え、各イメージセンサから得られる各画像に基づいて対象物の測位を行うためのステレオ測位装置において、前記各イメージセンサは、撮像面の左右両端寄りにそれぞれ設けられた第1の領域と、前記各第1の領域の間に設けられ、第1の領域よりも解像度の粗い第2の領域と、を備えたことを特徴とする。請求項3の発明は、請求項1の発明を方法という見方からとらえたもので、撮像用のイメージセンサを左右2つ用い、各イメージセンサから得られる各画像に基づいて対象物の測位を行うためのステレオ測位方法において、前記各イメージセンサには、撮像面の左右両端寄りにそれぞれ設けられた第1の領域と、前記各第1の領域の間に設けられ、第1の領域よりも解像度の粗い第2の領域と、を設けておき、前記各イメージセンサから得られる各部分の画像データに対して、画像データのデータ量に応じた演算量の画像処理を施すことによって対象物の測位を行うためのステップを含むことを特徴とする。請求項1,3の発明では、ステレオ測位に用いるCCDといったイメージセンサの横方向について、左右両端部分では画素が細かく、画素数と解像度が相対的に大きい。一方、その内側では、画素が粗く、画素数と解像度が相対的に小さい。このため、左右両端部分では、測位誤差が要求精度すなわち許容範囲内に抑制され、一方、その内側では、過剰な測位精度や画像処理演算量が回避され、画像処理が迅速化される。この結果、従来よりも少ない演算量で必要な精度が実現され、特にリアルタイム測位が求められる場面でもより高速な処理が可能となる。
【0009】請求項2の発明は、請求項1記載のステレオ測位装置において、前記各イメージセンサから得られる各画像の部分同士を比較することにより、各画像から相互に対応する対応点を抽出するための対応点抽出手段と、前記対応点抽出手段が、前記第1の領域で撮像された第1の部分の画像データと、前記第2の領域で撮像された第2の部分の画像データとを比較しようとするとき、前記第1の部分の画像データを、前記第2の領域の解像度ヘ変換するための手段と、を備えたことを特徴とする。請求項4の発明は、請求項2の発明を方法という見方からとらえたもので、請求項3記載のステレオ測位方法において、前記各イメージセンサから得られる各画像の部分同士を比較することにより、各画像から相互に対応する対応点を抽出するための対応点抽出ステップと、前記対応点抽出ステップにおいて、前記第1の領域で撮像された第1の部分の画像データと、前記第2の領域で撮像された第2の部分の画像データとを比較しようとするとき、前記第1の部分の画像データを、前記第2の領域の解像度ヘ変換するためのステップと、を含むことを特徴とする。請求項2,4の発明では、同じ対象物の写っている対応点が、一方の画像では高解像度部で、他方の画像では低解像度部分であっても、解像度を変換して相互比較することで適切に対応点を抽出することができる。このため、領域間の解像度差の影響が軽減され、測位精度が向上する。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態(実施形態と呼ぶ)について、図面を参照して具体的に説明する。なお、本実施形態は、左右2つのイメージセンサから得られる各画像に基づいて対象物の測位を行うためのステレオ測位装置(本装置又は測位装置と呼ぶ)と、本装置上で実行されるステレオ測位方法に関するものである。
【0011】具体的には、左右の画像における左右横方向のずれを利用したステレオ測位において、イメージセンサの撮像面内で部分によって画素サイズを変化させ、解像度を変えて計算量を低減することにより、有効測位精度を低下させることなく従来よりも画像処理速度を向上させるものである。
【0012】〔1.構成〕まず、図1は、本装置の構成を示す機能ブロック図である。すなわち、この図に示すように、本実施形態の測位装置1は、自動車の運転支援システムなどの情報処理システム2に測位結果を提供するものである。また、測位装置1は、左右2つの撮像部3L,3Rを備えている。これら左右の各撮像部3L,3Rは、それぞれ、CCD或いはCMOSイメージセンサ等を備えたビデオカメラであり、このCCDが撮像用のイメージセンサである。なお、左撮像部3Lは左カメラとも呼び、右撮像部3Rは右カメラとも呼び、両者を総称して撮像部3と呼ぶこととする。
【0013】また、図2は、左右各カメラのイメージセンサの左右横方向の画素分布を示す概念図であり、図3は、イメージセンサのより具体的な構成を示す概念図である。すなわち、これらの図に示すように、各イメージセンサは、撮像面の左右両端寄りにそれぞれ設けられた高解像度領域(前記第1の領域に相当する)Hと、各高解像度領域の間に設けられ、高解像度領域よりも解像度の粗い低解像度領域L(前記第2の領域に相当する)と、を備えている。
【0014】なお、画像のうち高解像度領域Hによって撮像された部分を高解像部分と呼び、高解像部分の画像データを高解像部分データと呼ぶ。同様に、画像のうち低解像度領域Lによって撮像された部分を低解像部分と呼び、低解像部分の画像データを低解像部分データと呼ぶ。
【0015】また、図1に示したように、測位装置1は、画像メモリ部4と、対応点抽出部5と、解像度変換部6と、測位部7と、を備えている。このうち画像メモリ部4は、各撮像部3L,3Rで撮像された左右の各画像の画像データを格納するためのメモリである。また、対応点抽出部5は、左右の各画像の部分同士を比較することにより、各画像から相互に対応する対応点、例えば同じ人物が写っている部分などを抽出するための対応点抽出手段である。
【0016】また、解像度変換部6は、対応点抽出部5が、高解像部分データと低解像部分データとを比較しようとするとき、高解像部分データを、低解像度領域の解像度ヘ変換するための手段である。
【0017】〔2.作用〕上記のように構成された本実施形態では、各撮像部3L,3Rで撮像された左右の各画像の画像データは、画像メモリ部4に一旦格納され、対応点抽出部5によって読み出される。対応点抽出部5は、パターンマッチングアルゴリズムなどの技術により、左右の各画像データの各部分に対して、画像データのデータ量に応じた演算量の画像処理を施すことによって左右の各画像の部分同士を比較し、これにより、各画像から相互に対応する対応点、例えば同じ人物が写っている部分などを抽出する。
【0018】また、同じ対象物の写っている対応点が、左右どちらか一方の画像では高解像部分で、他方の画像では低解像度部分である可能性がある場合、対応点抽出部5は、高解像部分データと低解像部分データとを比較する必要がある。このような場合、そのことを解像度変換部6や対応点抽出部5が検知し、解像度変換部6は、高解像部分データを、低解像度領域Lの解像度ヘ変換し、対応点抽出部5へ提供する。
【0019】このようにして対応点検出部6で対応点を検出後、測位部7では、対応点が左右の画像でどの程度ずれているかなどの情報に基づいて、対象物の3次元位置座標を検出し、対象物について例えば、画像上の座標とともに測位した3次元位置座標を外部の情報処理システム2に提供する。
【0020】〔3.効果〕以上説明したように、本実施形態では、イメージセンサの横方向について、左右両端部分の高解像度領域Hでは画素が細かく、画素数と解像度が相対的に大きい。一方、その内側の低解像度領域Lでは、高解像度領域Hより画素が粗く、画素数と解像度が相対的に小さい。このため、高解像度領域Hでは、測位誤差が要求精度すなわち許容範囲内に抑制され、一方、低解像度領域Lでは、過剰な測位精度や画像処理演算量が回避され、画像処理が迅速化される。
【0021】ここで、図4は、本実施形態において、画像範囲の左右方向における各部分ごとの誤差の例を概念的に示すグラフである。この例では、左右両端部分の高解像度領域Hでは、その内側の低解像度領域Lよりも画素サイズが小さくなっていることに比例し、測位誤差が低下している。すなわち、高解像度領域Hの解像度が図6の場合の従来例と同じ場合、高解像度領域Hでは図6と同様に、誤差は要求精度内に収まる。また、内側の低解像度領域Lでは画素数を低減している分、図6の従来例と比べ、正面から左右にずれるほど誤差は大きくなるが、そもそも低解像度領域Lは、画像範囲全体の中では正面寄りで誤差自体が小さいため、要求精度を超えることはない。
【0022】このように、本実施形態では、全体として誤差の最大値を許容誤差内に維持したまま、画素数が低減でき、これに比例して演算量を低減することが可能となる。つまり、従来よりも少ない演算量で必要な精度が実現され、特にリアルタイム測位が求められる場面でもより高速な処理が可能となる。
【0023】また、本実施形態では、同じ対象物の写っている対応点が、一方の画像では高解像度部で、他方の画像では低解像度部分であっても、解像度を変換して相互比較することで適切に対応点を抽出することができる。このため、領域間の解像度差の影響が軽減され、測位精度が向上する。
【0024】〔4.他の実施形態〕なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、次に例示するような他の実施形態も包含するものである。例えば、高解像度の第1の領域と低解像度の第2の領域との関係について、両者の大きさや比率は自由である。また、両者間で解像度を異ならせるための具体的な構成は自由であり、例えば、画素サイズを変えるだけでなく、画素ごとの撮像素子のサイズは同じにしながら、その間隔を変えてもよい。
【0025】また、ステレオ測位の結果の用途は自由であり、車両の運転支援などの他、防犯装置など自由に選択することができる。また、撮像用のイメージセンサを左右に代え、上下2つ設ければ、上下方向に関するステレオ測位を行うこともできる。この場合、本出願における「左右」は「上下」と読み替えるものとする。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、従来よりも少ない演算量で必要な精度を実現するステレオ測位の技術、すなわちステレオ測位装置及び方法を提供することができるので、測位のリアルタイム性の確保と、装置の小型化低廉化の両立も容易になる。
【出願人】 【識別番号】000001487
【氏名又は名称】クラリオン株式会社
【出願日】 平成11年12月15日(1999.12.15)
【代理人】 【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
【公開番号】 特開2001−174214(P2001−174214A)
【公開日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願番号】 特願平11−355352